JP2005040806A - 亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、アーク溶接法が消耗電極パルスアーク溶接法であり、レーザの照射位置を溶融池前方の溶融部と非溶融部との境界部近傍に調整し、レーザの照射部の集光径を溶接継手部に存在するギャップ長よりも少し大きな直径に設定し、レーザの照射部のエネルギー密度を照射部の亜鉛メッキが蒸発する値に設定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法に関し、特に、部材間にギャップのある溶接継手を高速溶接する溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛メッキ鋼板は、ロアーアーム、サイドフレームメンバー、ボディ等の自動車部材に広く使用されている。この亜鉛メッキ鋼板の接合方法としては、炭酸ガスアーク溶接、マグ溶接等による重ねすみ肉溶接が多く使用されている。これらの溶接法での溶接速度は、一般的に70〜150cm/分程度である。この範囲よりも速い溶接速度では、図7(A)及び(B)に示すように、ハンピングビード3aと呼ばれる不整ビードが発生する。また、100cm/分を超える溶接速度では、溶融金属がアークの移動に追従することができないために、アーク長を短く設定して溶接する必要があり、その結果、短絡が多く発生してスパッタが大量に発生する。
【0003】
また、亜鉛メッキ鋼板の溶接では、アーク熱によって蒸発した亜鉛ガスが溶融池内に入り、溶融池が凝固するときに外部に放出されずに残留して、図8(A)に示すピット3b及び図8(B)に示すブローホール3cが発生しやすい。さらに、溶接継手にギャップが存在するときの高速溶接では、ギャップを充填するためにより多くの溶融金属が必要となるために、ますます良好な溶接品質を得ることは困難となる。
【0004】
上述した亜鉛メッキ鋼板の高速溶接時の問題を解決するための1つの方法として、アーク溶接とレーザ照射とを併用するレーザ照射アーク溶接方法が提案されている。以下、従来技術としてのレーザ照射アーク溶接方法について説明する。
【0005】
例えば特許文献1に記載する従来技術1の溶接方法では、薄板のレーザ重ね溶接において、レーザ溶接を行うと共にレーザ加工点の後方を狙ってアーク溶接を行い、さらにアーク溶接の電流電圧範囲を短絡移行域とする。この溶接方法では、アーク溶接によってレーザ加工点に溶融金属を供給し、部材間の隙間(ギャップ)を充填するので、ギャップのある溶接継手を高速溶接することができる。
【0006】
しかし、この溶接方法では、アーク溶接が短絡移行となる電流電圧範囲である必要があるために、ワイヤ送給速度は所定値以下に限定される。これは、アーク溶接では、ワイヤ送給速度が遅い場合に短絡移行溶接となり、速くなるとグロビュール移行溶接又はスプレー移行溶接となるからである。板厚が少し厚くなりギャップが存在する溶接継手を高速溶接する場合には、ワイヤ送給速度を速くして溶融金属の供給量を多くする必要がある。しかし、上述したように、ワイヤ送給速度を速くすると、アーク溶接が溶滴移行域から外れてグロビュール移行又はスプレー移行となるために、上記の溶接方法を適用することができなくなる。すなわち、上記の溶接方法では、薄板でギャップ長の小さな溶接継手を高速溶接することはできても、板厚が少し厚くなりギャップ長が少し大きくなると、良好な高速溶接を行うことはできない。さらに、上記の溶接方法では、上述した亜鉛メッキ鋼板の溶接に特有の問題点であるブローホールの発生及びスパッタの大量発生については改善されない。
【0007】
次に、例えば特許文献2に記載する従来技術2の溶接方法では、溶接予定箇所にYAGレーザを照射して溶接する工程と、この工程の後にガスメタルアーク溶接を行う工程を備え、ガスメタルアーク溶接後のビード幅がYAGレーザ照射の溶接工程で形成されるビード幅の2.0倍以下の範囲となるようにして、亜鉛メッキ鋼板の重ねすみ肉溶接におけるギャップが0の時のブローホールを抑制する。
【0008】
しかし、上記のガスメタルアーク溶接は、溶接電流範囲70〜300Aに対して溶接電圧範囲が12〜20Vで実施されている。この電流電圧条件では、短絡が多発するために、スパッタが大量発生する問題がある。また、ブローホール抑制の条件として、ガスメタルアーク溶接のビード幅がYAGレーザ溶接のビード幅の2倍以下である必要がある。YAGレーザ溶接では、レーザの照射部の集光径は0.5〜1mm程度である。このために、メタルアーク溶接のビード幅は、最大でも2mm程度に限定される。この結果、重ねすみ肉溶接継手の板厚が2mmを越える場合には、要求される引っ張り強度及び疲労強度を得るための溶接部の脚長及びのど厚を形成することが困難になる。すなわち、上記の溶接方法では、その電流電圧条件からスパッタが多く発生する問題に加えて、板厚2mm程度以下のギャップのない溶接継手にしか適用することができないという問題がある。溶接継手にギャップが存在する場合には、ビード幅が広く必要になるために、上記の溶接方法を適用することができる範囲はさらに狭くなる。
【0009】
さらに、例えば特許文献3に記載する従来技術3の溶接方法では、被加工物の表面の加工予定位置にレーザ光を照射し、アーク電極と上記被加工物との間に発生するアーク放電を、上記アーク電極とレーザ光の照射位置との間に発生するように誘導するレーザによるアーク誘導方法において、上記アーク電極と上記被加工物との間に供給されるアーク放電用電力をパルス状としたことを特徴とするレーザによるアーク誘導方法である。
【0010】
しかし、上記の従来技術3をギャップのある亜鉛メッキ鋼板の溶接に適用した場合、レーザの出力値が小さいときにはアーク発生部前方の亜鉛を蒸発させて除去することができないために、ブローホールが発生する。また、レーザは照射位置においてフォーカスが合うように調整されることが当然の前提であるために、集光径は0.5〜1 mm 程度と小さくなる。この結果、レーザの出力値が大きく設定されて亜鉛を蒸発させることができても、集光径よりも大きなギャップが存在する場合には、ギャップ部分の亜鉛を不十分にしか蒸発させることができず、やはりブローホールが発生することになる。したがって、従来技術3は、ギャップがほとんどない極薄板の亜鉛メッキ鋼板にしか適用することができない。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−103069号公報
【特許文献2】
特開2002−160082号公報
【特許文献3】
特開2000−263225号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述した亜鉛メッキ鋼板が使用される自動車部材においては、その溶接継手部にギャップが存在するのが一般的である。したがって、ギャップのある亜鉛メッキ鋼板の溶接継手を2m/分を超える高速溶接を行う場合には、上述した従来技術1〜3の溶接方法では以下の問題がある。すなわち、従来技術1〜3の溶接方法では、電流電圧条件、ビード幅又はレーザ集光径の制約から、ギャップのある溶接継手を高速溶接する場合に、極薄板にしか適用することができない。さらに、亜鉛メッキ鋼板の溶接に特有の問題点であるブローホールの発生及びスパッタの大量発生を、健全な溶接部が得られる程度まで抑制することができない。
【0013】
そこで、本発明では、ギャップのある亜鉛メッキ鋼板の溶接継手を高速溶接することができ、かつ、ブローホール及びスパッタの発生を抑制して健全な溶接部を形成することができる亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、少なくとも一方の被溶接材が亜鉛メッキ鋼板でありかつ継手部にギャップが存在する溶接継手をアーク発生部にレーザを照射しながら溶接する亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法において、
前記アーク溶接法が消耗電極パルスアーク溶接法であり、前記レーザの照射位置を溶融池前方の溶融部と非溶融部との境界部近傍に調整し、前記レーザの照射部がデフォーカスになるように設定しその集光径を前記溶接継手部に存在するギャップ長よりも少し大きな直径に設定し、前記レーザの照射部のエネルギー密度を照射部の亜鉛メッキが蒸発する値に設定することを特徴とする亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法。である。
【0015】
また、請求項2の発明は、前記レーザの照射部の集光径を、前記溶接継手部に存在するギャップ長よりも0.5乃至3mm大きな直径に設定する請求項1に記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法である。
【0016】
また、請求項3の発明は、前記エネルギー密度E[ kW/cm2 ]を、被溶接材の亜鉛目付量Z[ g/m2 ]の20〜120[ g/m2 ]の範囲に応じて、E≧ (3/8) ×Z+2.5の関係が成立するように設定する請求項1又は請求項2に記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法である。
【0017】
また、請求項4の発明は、前記アーク溶接法が消耗電極交流パルスアーク溶接法である請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して説明する。
【0020】
被溶接材1は、少なくとも一方が亜鉛メッキ鋼板であり、ギャップの存在する重ねすみ肉溶接継手、フレア溶接継手等を形成する。アーク5は、消耗電極パルスアーク溶接法によるアークである。溶接ワイヤ4は、溶接トーチ7を通って送給されて、被溶接材1との間にアーク5が発生する。溶接電源装置8は、パルスアーク溶接に適した溶接電圧及び溶接電流を出力すると共に、上記の溶接ワイヤ4の送給速度を制御する。レーザ6は、レーザ発振装置10から出力されて、レーザトーチ9を通って、アーク5によって形成された溶融池の前方に照射される。
【0021】
図2は、上記のレーザ照射位置の詳細を示す図である。同図(A)は溶接継手部を上面から見た図であり、同図(B)は断面から見た図である。同図(A)において、ビード2の先端に溶融池2aが形成される。レーザの照射位置は、溶融池2a前方の溶融部と非溶融部との境界部2b近傍である。かつ、レーザの照射部6aの集光径Dは、同図(B)に示すように、ギャップ長Gよりも少し大きな直径になるように設定される。通常、照射部6aのエネルギー密度を最大にするために、レーザ6は照射部6aにおいてフォーカスが合うように調整される。このために、集光径Dは0.5〜1mm程度と小さくなる。しかし、本発明では、レーザ6の集光径Dを上述したようにギャップ長Gよりも少し大きく設定するために、レーザ6のフォーカスをデフォーカスにしている。ギャップ長Gは板厚によっては2mmを超える場合もあるために、集光径Dも2mmを超えて設定される場合もある。
【0022】
図3は、上述したギャップ長Gとレーザの集光径Dとの関係図である。同図は、板厚2mmの亜鉛メッキ鋼板からなる重ねすみ肉溶接継手を4m/分で高速溶接する場合において、溶接継手部のギャップ長Gを変化させ、良好な溶接結果が得られるレーザの集光径Dを求めたものである。同図から明らかなように、レーザの集光径Dがギャップ長Gよりも少し大きな直径である(G+0.5)mm以上の範囲であれば、良好な溶接結果を得ることができる。レーザの集光径Dがギャップ長Gよりも小さい場合には、ギャップ部に溶融金属を十分に充填することができずハンピングビードになり、かつ、ブローホールも発生する不良な溶接結果となる。
【0023】
レーザの照射部のエネルギー密度Eは、亜鉛メッキを蒸発させて除去することができる値に設定する。本発明では、溶融池前方の溶融部と非溶融部との境界部にギャップ長Gよりも少し大きな集光径Dでレーザを照射することによって、以下の作用効果を発揮させている。すなわち、第1番目に、溶融池前方の亜鉛メッキを蒸発させて除去して溶融池に亜鉛ガスが混入するのを防止することによってブローホール及びピットの発生を抑制している。集光径Dが大きく設定されているので、溶融池前面の亜鉛メッキを幅広く除去することができる。このために、ブローホール及びピットの発生を確実に防止することができる。次に、第2番目に、ギャップ部分全体をレーザによって加熱することでギャップ部のねれ性が高くなり、アーク溶接から供給される溶融金属がギャップ部全体に円滑に充填されることになり、ハンピングビードになるのを防止する。このように、ギャップ部全体を加熱するために、集光径Dをギャップ長Gよりも少し大きくし、かつ、溶融池の境界部にレーザを照射する必要がある。さらに、第3番目に、アーク溶接法にパルスアーク溶接法を使用することによって短絡を伴わずに溶滴移行が行われるために、スパッタの発生を大幅に少なくすることができる。また、高速溶接の場合、アークの移動に溶融池の形成が追従できなくなり、アーク状態が不安定になりやすい。しかし本発明では、溶融池前方の境界部にレーザが照射されることによってアーク発生部に溶融池が常に形成されるので、アークは安定状態を保持することができる。このために、高速溶接時においてもアークは安定した状態を維持することができるので、スパッタは少なくなる。
【0024】
ここで、集光径Dの設定範囲について考える。上述したように、集光径Dの最小値はギャップ長G+0.5mmとなる。最大値は、レーザの照射位置の狙いずれを考慮すると大きき方が良い。反面、亜鉛メッキを蒸発させるためのエネルギー密度Eが必要であるために、集光径Dが大きくなる程レーザの総出力値が大きくなる。したがって、集光径Dは必要最小限であることが望ましい。結果として、上記の反する条件のバランスを取り、集光径Dは、ギャップ長Gよりも少し大きい範囲である(G+0.5mm)〜(G+3mm)の範囲が望ましい。
【0025】
図4は、亜鉛メッキ鋼板の亜鉛目付量Z[ g/m2 ]と亜鉛を蒸発させて除去するために必要なレーザのエネルギー密度E[ kW/cm2 ]との関係を示す図である。同図は、上述した図3と同様に、板厚2 mm の亜鉛メッキ鋼板の重ねすみ肉溶接継手の場合である。溶接継手部のギャップ長は2 mm であり、レーザの集光径Dは3 mm の場合である。同図から明らかなように、亜鉛目付量Zが大きくなるに伴って、ブローホールが発生しないようにするために亜鉛を蒸発させて除去するためのエネルギー密度Eは大きくなる。これは、溶融池前方の境界部に集光径Dでレーザを照射して亜鉛メッキを蒸発させるときに、亜鉛目付量Zが大きいと亜鉛メッキ の層が厚くなり、蒸発させるためにより大きなエネルギー密度Eが必要になるからである。したがって、亜鉛目付量Zの20〜120[ g/m2 ]の範囲に応じて、レーザのエネルギー密度EをE≧( 3/8 )×Z+2.5の関係が成立するように設定する必要がある。この関係式は、被溶接材の板厚又はギャップ長には関係なく成立する。これは、エネルギー密度Eの下限値は、亜鉛を蒸発させるための値であるので、亜鉛目付量Zによって定まるからである。
【0026】
上述したように、レーザのエネルギー密度Eは亜鉛目付量に応じて亜鉛を蒸発させる値に設定し、かつ、溶接速度等に応じた被溶接材への適正な入熱量によって定まる値に設定する。
【0027】
また、パルスアーク溶接法として交流パルスアーク溶接法を使用すると、ギャップに対する良好な溶接結果を得ることができる溶接条件裕度が拡大する。交流パルスアーク溶接法では、電極プラス極性と電極マイナス極性との電流比率である電極マイナス極性電流比率(EN比率と呼ばれる)を調整することによって、ワイヤ溶融量と被溶接材への入熱量をそれぞれ適正化することができる。したがって、溶接継手部のギャップ長、溶接速度等に応じてワイヤ溶融量を適正値に設定することができる。同時に、被溶接材への入熱量については、交流パルスアーク溶接からの入熱とレーザからの入熱とによって適正分配することができる。
【0028】
図5は、本発明の効果の一例を示す溶接速度に対して良好な溶接が可能な最大のギャップ長Gを比較した図である。同図は、板厚2mmの亜鉛メッキ鋼板の重ねすみ肉溶接継手の場合である。同図から明らかなように、レーザのフォーカスを照射部に合わせる従来技術のレーザ照射アーク溶接方法では、ギャップ長Gが0.2mm程度以下と非常に小さいときにだけ2m/分を超える高速溶接が可能となる。これに対して、交流パルスアーク溶接を使用した本発明のレーザ照射アーク溶接方法では、ギャップ長Gが2.5mmと大きくなっても2m/分を超え4m/分程度の超高速溶接を行うことができる。図6は、ギャップ長Gが2mmで、溶接速度が4m/分の場合の本発明によるビード外観図及びビード断面図である。ブローホール及びピットの発生もなく、かつ、パンピングビードにもならない良好な溶接品質である。上述した自動車部材の溶接継手では、1mmを超えるギャップが存在することは多いために、本発明によって実用的な高速溶接を行うことが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
本発明の亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法によれば、パルスアーク溶接の溶融池前方の境界部にギャップ長よりも少し大きな集光径で亜鉛メッキを蒸発させることができるエネルギー密度で照射することによって、ギャップの存在する溶接継手の高速溶接において、ブローホール及びピットの発生しないパンピングビードにもならないスパッタの発生も少ない良好な溶接品質を得ることができる。
【0030】
請求項3記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法によれば、亜鉛メッキ鋼板の亜鉛目付量が変化するとレーザのエネルギー密度を適正値に変化させることによって、亜鉛目付量が変化しても上記の効果を奏することができる。
【0031】
請求項4記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法によれば、パルスアーク溶接法として交流パルスアーク溶接法を使用することによって、高速溶接時のギャップ裕度をさらに拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法を実施するための溶接装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態において、レーザの照射位置及び集光径を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態において、溶接継手部のギャップ長とレーザの集光径との関係図である。
【図4】本発明の実施の形態において、亜鉛目付量とレーザのエネルギー密度との関係図である。
【図5】本発明の効果の一例を表わせための溶接速度に対するギャップ裕度を示す比較図である。
【図6】図5において溶接速度4m/分、ギャップ長2mmの場合の本発明のビード外観図及びビード断面図である。
【図7】従来技術による亜鉛メッキ鋼板の高速溶接時に発生するパンピングビードを示す図である。
【図8】従来技術による亜鉛メッキ鋼板の溶接時に発生するピット及びブローホールを示す図である。
【符号の説明】
1 被溶接材
2 ビード
2a 溶融池
2b 境界部
3a ハンピングビード
3b ピット
3c ブローホール
4 溶接ワイヤ
5 アーク
6 レーザ
6a 照射部
7 溶接トーチ
8 溶接電源装置
9 レーザトーチ
10 レーザ発振装置
E エネルギー密度
G ギャップ長
Z 亜鉛目付量
Claims (4)
- 少なくとも一方の被溶接材が亜鉛メッキ鋼板でありかつ継手部にギャップが存在する溶接継手をアーク発生部にレーザを照射しながら溶接する亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法において、
前記アーク溶接法が消耗電極パルスアーク溶接法であり、前記レーザの照射位置を溶融池前方の溶融部と非溶融部との境界部近傍に調整し、前記レーザの照射部がデフォーカスになるように設定しその集光径を前記溶接継手部に存在するギャップ長よりも少し大きな直径に設定し、前記レーザの照射部のエネルギー密度を照射部の亜鉛メッキが蒸発する値に設定することを特徴とする亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法。 - 前記レーザの照射部の集光径を、前記溶接継手部に存在するギャップ長よりも0.5乃至3mm大きな直径に設定する請求項1に記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法。
- 前記エネルギー密度E[ kW/cm2 ]を、被溶接材の亜鉛目付量Z[ g/m2 ]の20〜120[ g/m2 ]の範囲に応じて、E≧ (3/8) ×Z+2.5の関係が成立するように設定する請求項1又は請求項2に記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法。
- 前記アーク溶接法が消耗電極交流パルスアーク溶接法である請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の亜鉛メッキ鋼板のレーザ照射アーク溶接方法。
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