JP5489005B2 - 溶接方法 - Google Patents

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この発明は、アーク溶接とレーザ溶接を併用した金属の溶接方法に関し、特に、チタン、ニッケル、及び、これらの金属の合金等のように、熱伝導率が他の金属と比較して小さい金属の溶接に好適な溶接方法に関する。
金属の溶接方法として、例えば特許文献1〜3に示すように、アーク溶接とレーザ溶接とを併用するハイブリッド溶接による溶接方法が実用化されている。この溶接方法として、まずアーク放電の電極を走査して接合部に沿うように溶融池を形成し、次にこの溶融池にレーザ光を照射し、溶接対象物のより深い領域まで溶融して溶接を行う構成が採用されることが多い。
この溶接対象物同士を突き合わせて溶接する際に、両者の間に隙間が存在すると、細く絞ったレーザ光がその隙間に入り込んでその一部が裏面側にそのまま通過してしまい、このレーザ光による加熱作用が不十分となることがある。このように隙間が存在する場合でも、アーク放電を先行することで幅広の溶融池が形成されて前記隙間が塞がれた状態となるため、多少の隙間や突き合わせ位置のずれがあったとしても、レーザ光による加熱作用を十分に発揮することができる。
また、レーザ光は固体金属の表面に直接照射するよりも、溶融状態の金属に照射する方が光吸収性を改善し得るといわれており、深い領域まで効率良く溶融させることができる。このため、レーザ光の照射に先立ってアーク放電で溶融池を形成しておくことで、溶接部の品質を一層高いものとし得る(特許文献1を参照)。
さらに、このハイブリッド溶接においては、レーザ光の照射によって生じたレーザプルームによってアーク放電を特定の箇所に誘導し、この特定箇所でのアークの強度を高めるようにすることもできる。このようにアーク放電を所望の位置に誘導することにより、アーク放電に伴う入熱の総量を抑制でき、溶接部の良好な品質を確保しつつ、この入熱に起因して溶接対象物にダメージが発生するのを防止することができる(特許文献2を参照)。
このように、ハイブリッド溶接は、アーク溶接又はレーザ溶接を単独で行った場合と比較してメリットが多いが、溶融池の内容物が溶接部周辺に飛散するスパッタが生じやすいというデメリットがある。このスパッタは、溶融池にエネルギー密度が高いレーザ光を照射することで、その照射部分が局所的に過熱され、溶融池の表面の変動(ゆらぎ)が活発になりやすいためと考えられる。さらに、この変動に伴って前記表面から溶融池内に気泡が入り込みやすく、この気泡は溶融池の固化に伴って溶接部に取り込まれてポロシティ(小孔)となる。このスパッタ及びポロシティは溶接部の美観を損ね、その品質を低下させるため、その発生をできるだけ抑制する必要がある。そこで、溶接の際に溶接部周辺に供給するシールドガスに酸素を所定割合で混合して、このスパッタを低減する技術が提案されている(特許文献3を参照)。
特開平2−52183号公報 特開2003−311415号公報 特開2006−75847号公報
スパッタやポロシティは、レーザ光の照射に伴ってその照射部分が局所的に過熱されることに起因して発生し、特に熱伝導率の小さい金属(例えば、チタン、ニッケル、あるいはチタンやニッケルを含む合金)でその発生が顕著である。この場合も、上述したように、シールドガスに酸素を混合することによって、スパッタの発生を抑制し得る。しかしながら、これらの金属の中には、酸素と結合しやすく、しかもこの結合によって、溶接部の品質が顕著に劣化するものがあり、このような金属に対しては、シールドガスに酸素を混ぜてスパッタを低減する方法は適用できない。
そこで、この発明は、アーク溶接及びレーザ溶接を併用する溶接方法において、溶接部の品質を劣化させることなく、スパッタやポロシティの発生を抑制することを課題とする。
前記課題を解決するため、この発明は、溶接対象物同士の突き合わせ部に対して、アーク溶接とレーザ溶接を併用して溶接処理を行う溶接方法において、前記溶接対象物の表面側から、前記突き合わせ部に沿うように前記アーク溶接のアーク放電の電極を走査して溶融池を形成し、レーザ溶接のレーザ光を前記アーク放電に追随するように走査しつつこの溶融池に向けて照射し、前記レーザ光の焦点が、前記溶接対象物の裏面外側に位置する構成を採用した。
レーザ光の焦点位置を溶接対象物の裏面外側としたことにより、溶接対象物の表面側において、レーザ光の焦点がずれた状態となっている。このため、溶融池の表面にレーザ光のエネルギーが集中しにくく、照射部分の局所的な過熱が生じにくい。この局所的な過熱を防止することで溶融池の表面変動が減少し、この表面変動に起因して発生するスパッタを抑制できる。また、溶融池の表面からの気泡の入り込みも減少するため、ポロシティの発生も抑制できる。
このレーザ光の照射に際しては、その照射箇所から気化した金属成分が発生し、この気化に伴う反力によって溶融池内にキーホールが生じることが多い。このキーホールは、一般的に、レーザ光の入射側(開口側)で内径が大きく、その奥に向かうほど次第にその内径が狭まる長孔形状をしている。前記レーザ光の焦点を溶接対象物の裏面外側としたことにより、このレーザ光が前記長孔形状に沿うようにキーホールに入り込み、このキーホールの内壁面(キーホールが有底の場合はその底部も)を満遍なく照射する。このため、このキーホールを通して照射対象物の表面側から裏面側に亘って、一様に溶融状態を形成することができる。このため、アーク放電及びレーザ光を1回走査するだけで溶接作業を完了することができ作業効率が高い。この構成は、溶接対象物の肉厚が比較的小さく、1回の走査で、溶接に必要十分な熱量を前記突き合わせ部に与えることができる場合に適している。
あるいは、溶接対象物同士の突き合わせ部に対し、アーク溶接とレーザ溶接を併用して溶接処理を行う溶接方法において、前記溶接対象物の表面側から、前記突き合わせ部に沿うように前記アーク溶接のアーク放電の電極を走査して溶融池を形成し、レーザ溶接のレーザ光を前記アーク放電に追随するように走査しつつこの溶融池に向けて照射し、前記レーザ光の焦点が、前記溶接対象物の厚み中心からその裏面までの間に位置しており、前記表面側からの前記アーク放電の電極及びレーザ光の走査後に、前記裏面側から、前記アーク放電の電極及びレーザ光のうち少なくとも一方を前記突き合わせ部に沿うように走査する構成とすることもできる。
レーザ光の焦点を溶接対象物の厚み中心からその裏面までの間とすると、上記と同様に、溶接対象物の表面側において、レーザ光の焦点がずれた状態となっている。このため、溶融池の表面にレーザ光のエネルギーが集中しにくく、照射部分の局所的な加熱が生じにくい。このため、この局所的な加熱に起因して発生するスパッタを抑制できる。また、溶融池の表面の変動も生じにくいため、気泡が溶融池に入り込みにくく、ポロシティの発生も抑制できる。
また、上記と同様に、レーザ光がキーホールに入り込んで、このキーホールの壁面及び底部を満遍なく照射するため、このキーホールを通して照射対象物の表面側からレーザ光の焦点位置付近に亘って、溶融状態を形成することができる。この表面側からの走査後に、裏面側からもアーク放電及びレーザ光のうち少なくとも一方を走査するようにしたので、前記表面側からの走査によって溶融し切れなかった領域が溶融される。このため、溶接対象物の厚み方向全体に亘って良好な溶接状態を得ることができる。この構成は、溶接対象物の肉厚が比較的大きく、1回の走査で前記突き合わせ部の厚み方向全体を溶融することはできないが、少なくともその厚み中心までは溶融できる場合に適している。
前記各構成においては、前記溶接対象物の素材を、チタン、ニッケル、又は、チタン及びニッケルの少なくとも一方を含む合金とすることができる。
これらの金属は、金属の中でも熱伝導率が比較的小さく、溶融池の表面にレーザ光を照射した際に、その照射部分にレーザ光による熱が蓄積して、スパッタやポロシティが生じやすい。そこで、レーザ光の焦点位置を溶接対象物の裏面外側、又は、その厚み中心から裏面までの間とし、アーク放電によって生じた溶融池の表面にレーザ光のエネルギーが集中しないようにすることにより、チタン等の熱伝導率が比較的小さい金属に対しても、スパッタやポロシティの発生を防止しつつ溶接を行うことができる。
この発明は、溶接対象物の接合部にアーク放電を走査して溶融池を形成し、この溶融池に、接合部のレーザ光照射方向への厚み中心よりもこの接合部の裏面側に焦点が位置するように集光したレーザ光を照射した。このため、溶融池の表面にレーザ光のエネルギーが集中せずスパッタやポロシティの発生を防止することができ、溶接部の高い品質を確保することができる。
本願発明の溶接方法に係る装置構成を模式的に示す図 本願発明の実施例における溶接部の外観を示す図であって、(a)は表面側、(b)は裏面側 図2に示す溶接部の断面図 本願発明の実施例であって、レーザ光の焦点位置を表面から、(a)8mm、(b)10mm、(c)12mm、とした場合における表面の外観を示す図 本願発明の比較例であって、レーザ光の焦点位置を表面から、(a)0mm、(b)2mm、(c)4mm、(d)6mm、とした場合における表面の外観を示す図 本願発明の実施例における溶接部の表面の外観を示す図 図6に示す溶接部の断面図 図6に示す溶接部を含む引張試験片を用いた引張試験の試験片を示す図 本願発明の実施例であって、レーザ光の焦点距離を表面から、(a)6mm、(b)9mm、(c)12mm、とした場合における表面の外観を示す図 本願発明の比較例であって、レーザ光の焦点距離を表面から、(a)0mm、(b)3mm、とした場合における表面の外観を示す図
この発明に係る溶接方法に用いる溶接装置の構成を図1に示す。この溶接装置は、溶接対象物Mの突き合わせ部に対して、アーク溶接とレーザ溶接を順次行う所謂ハイブリッド溶接を行うためのものである。溶接対象物Mの表面側には、溶接方向(同図中の白抜き矢印を参照)の前方側にアーク放電(MIG溶接)の電極1が設けられ、溶接方向の後方側にレーザ光2が入射される。アーク放電の電極1は、鉛直線よりも前記前方側に25度傾斜して設けられ、レーザ光2の光軸は、前記鉛直線よりも前記後方側に10度傾斜した状態となっている。溶接対象物Mにおけるアーク放電の位置とレーザ光2の照射位置との間の距離は通常の実験条件では2mmに設定しているが、レーザ光2の出力や、アーク放電の電流・電圧の大きさに対応して、0〜5mmの範囲で適宜調節することもできる。また、溶接速度は、溶接対象物Mの厚み、レーザ光2の出力、アーク放電の電流・電圧の大きさによって決定し、一般的には0.5〜5m/分の範囲とする。
後述する実施例及び比較例においては、レーザ光2の光源として、ファイバーレーザ装置(最大出力10kW、図示せず)を用いたが、COレーザ装置やYAGレーザ装置等の他の汎用レーザ装置を用いることも勿論可能である。また、MIG溶接の代わりに、TIG溶接によるアーク放電を利用することもできる。
レーザ光2の入射位置よりも溶接方向の後方側にシールドガス供給部3が設けられ、このシールドガス供給部3から溶接対象物Mの表面に向けて、シールドガス4としてアルゴンガスが供給される。溶接対象物Mがチタンやチタン合金等のように活性が高い金属の場合は、上記のように、このシールドガス4としてアルゴンガスをはじめとする不活性ガスを用いるのが好ましいが、一般の鉄鋼材料のように溶接部の品質に及ぼす酸素の影響が比較的小さい溶接対象物Mの場合は、このシールドガス4を不活性ガスに限定しなくてもよい。
この溶接対象物Mの裏面側にはバックシールド部5が設けられ、このバックシールド部5内に、上記と同様に、シールドガス4としてアルゴンガスが供給される。また、アーク放電の電極1先端からもシールドガス4としてアルゴンガスが供給される。これらのシールドガス4についても、溶接対象物Mがチタンやチタン合金等の場合は不活性ガスを用いるのが好ましいが、一般の鉄鋼材料等においては不活性ガスに限定しなくてもよい。
この溶接装置を用いた溶接方法について説明する。溶接対象物Mの表面に対し、まずアーク放電の電極1を走査する。このアーク放電により、溶接対象物Mの突き合わせ部に溶融池が形成される。次に、この溶融池に向けてレーザ光2を照射する。このレーザ光2は、光学系を用いてその焦点位置を自在に調節し得るようになっている。
この焦点位置は、溶接対象物Mの厚みが比較的小さく、アーク放電の電極1及びレーザ光2を1回走査することによりその厚み方向全体に亘って溶融できる場合は、その焦点が、溶接対象物Mの裏面外側に位置するように調節する。
この一方で、溶接対象物Mの厚みが比較的大きく、アーク放電の電極1及びレーザ光2を1回走査するだけではその厚み方向全体に亘って溶融できない場合は、その焦点が溶接対象物Mの厚み中心(図1中の符号cを参照)からその裏面までの間に位置するように調節する。この場合、表面側から1回走査した後に、溶接対象物Mを上下反転させて元の裏面側からも1回走査して溶接を完了させることができる。この裏面側からの走査においては、レーザ光2単独で走査するようにすることもできる。表面側にアーク放電の電極1及びレーザ光2を走査した際に、溶接対象物M同士の間の隙間は既に塞がれた状態となっており、細く絞り込んだレーザ光2が前記隙間を通り抜けてしまう恐れはないからである。あるいは、レーザ光2を先行して走査し、このレーザ光2にアーク放電の電極1を追尾するようにしてもよい。溶接品質をより高めるため、同一面において複数回、アーク放電の電極1及びレーザ光2の少なくとも一方を走査するようにすることもできる。
1回の走査で厚み方向全体に亘って溶融できるかどうかは、アーク放電の電流・電圧、レーザ光2の出力の大きさ、走査速度等の種々の要因によって変わるため、これらの要因を考慮してレーザ光2の焦点位置を最適な状態に適宜設定する。
(実施例1)
溶接対象物Mとして、板厚が8mmの純チタン板を用い、2枚の純チタン板をその端面で突き合わせて、その突き合わせ部にアーク放電の電極1及びレーザ光2を表面側のみから1回走査して、突き合わせた純チタン板同士を溶接した。図1に示した構成において、レーザ光2の出力を10kW、アーク放電の電流値を150A、溶接速度(アーク放電及びレーザ光2の走査速度)を1m/分、レーザ光2の焦点を純チタン板の表面から8mm下方(板裏面)、前記表面におけるレーザ光2の照射位置とアーク放電との間の距離を2mm、溶接ワイヤの直径を1.2mmとした。この溶接ワイヤの素材として、溶接対象物Mと同じく純チタンを用いた。突き合わせ溶接時においてはI型開先を使用し、そのギャップは0〜1mmとした。
図2(a)に表面側の外観、図2(b)に裏面側の外観をそれぞれ示す。表面側にはスパッタはほとんど観察されず、溶接部全体に亘って一定幅のビードが形成されており、その外観も良好であった。また、裏面側においても1回の走査で、きれいにビードが形成されていた。図3に、図2(a)及び(b)に示した溶接部の断面図を示す。本断面図においては、板厚方向全体に亘って、ポロシティ等の溶接欠陥は発生していないことが確認できた。
(実施例2)
実施例1と同じ純チタン板を用い、レーザ光2の焦点を板表面から8mm下方(板裏面)(実施例1と同条件)、10mm下方(板裏面下2mm)、12mm下方(板裏面下4mm)として溶接を行い、板表面におけるスパッタの発生の有無、及び、ビードの外観を評価した。レーザ光2の焦点位置以外の実験条件は、実施例1に示した実験条件と同じである。なお、この実施例2は焦点位置を変えたときの板表面の観察が目的なので、純チタン板を突き合わせずに、その板表面にアーク放電の電極1及びレーザ光2の走査を直接行っている。
図4(a)に焦点が8mm下方の場合、図4(b)に焦点が10mm下方の場合、図4(c)に焦点が12mm下方の場合の結果をそれぞれ示す。焦点が8mm下方の場合、スパッタの発生は少なく、ビードの外観も良好であった。焦点が10mm下方の場合、スパッタの発生はほとんどなく、ビードの外観も良好であった。焦点が12mm下方の場合、スパッタの発生はさらに少なく、ビードの外観も良好であった。
(比較例1)
実施例1と同じ純チタン板を用い、レーザ光2の焦点を板表面から0mm(板表面)、2mm下方(表面下2mm)、4mm下方(板厚中心)、6mm下方(表面下6mm)として溶接を行い、板表面におけるスパッタの発生の有無、及び、ビードの外観を評価した。レーザ光の焦点位置以外の実験条件は、実施例1に示した実験条件と同じである。また、実施例2と同様に、板表面にアーク放電の電極1及びレーザ光2の走査を直接行っている。
図5(a)に焦点が0mmの場合、図5(b)に焦点が2mm下方の場合、図5(c)に焦点が4mm下方の場合、図5(d)に焦点が6mm下方の場合の結果をそれぞれ示す。焦点が0mmの場合、スパッタが非常に多く発生し、ビード表面に巣が発生していた。焦点が2mm下方の場合も依然としてスパッタが多く発生し、ビード幅が安定しない結果となった。さらに、焦点が4mm下方及び6mm下方のいずれの場合も、スパッタが多く発生していた。
(実施例3)
溶接対象物Mとして、板厚が12mmの純チタン板を用い、2枚の純チタン板をその端面で突き合わせて、その突き合わせ部にアーク放電の電極1及びレーザ光2を表面側から1回走査し、その走査後に、裏面側から前記突き合わせ部にアーク放電の電極1及びレーザ光2を1回走査して、突き合わせた純チタン板同士を溶接した。図1に示した構成において、レーザ光2の出力を8kW、アーク放電の電流値を150A、溶接速度を2m/分、レーザ光2の焦点を純チタン板の表面から6mm下方(板厚中心)、前記表面におけるレーザ光2の照射位置とアーク放電との間の距離を2mm、溶接ワイヤの直径を1.2mmとした。この溶接ワイヤの素材として、溶接対象物Mと同じく純チタンを用いた。突き合わせ溶接時においてはI型開先を使用し、そのギャップは0〜1mmとした。
図6に表面側の外観を示す。スパッタの発生はほとんどなく、ビードの外観も非常に良好であった。図7に、図6に示した溶接部の断面図を示す。板厚方向全体に亘って、ポロシティ等の溶接欠陥は発生しておらず、溶接部の品質は良好であった。さらに、この溶接を行った純チタン板を引張試験片に加工し、これを用いて引張試験を行った。その結果、図8に示すように、全ての試験片において溶接部以外の母材部で破断が生じた。また、破断が生じる平均引張強度は411MPaで、溶接対象物Mの母材強度に相当する十分な引張強度を備えていることが確認された。
(実施例4)
実施例3と同じ純チタン板を用い、レーザ光2の焦点を板表面から6mm下方(板厚中心)(実施例1と同条件)、9mm下方(板表面から板厚の3/4下方)、12mm下方(板裏面)として溶接を行い、板表面におけるスパッタ発生の有無、及び、ビードの外観を評価した。レーザ光2の焦点位置以外の実験条件は、実施例3に示した実験条件と同じである。なお、この実施例4は焦点位置を変えたときの板表面の観察が目的なので、純チタン板を突き合わせずに、その板表面にアーク放電の電極1及びレーザ光2の走査を直接行っている。
図9(a)に焦点が6mm下方の場合、図9(b)に焦点が9mm下方の場合、図9(c)に焦点が12mm下方の場合の結果をそれぞれ示す。焦点が6mm下方の場合、スパッタの発生はほとんどなく、ビードの外観も良好であった。焦点が9mm下方の場合もスパッタの発生はほとんどなかった。焦点が12mm下方の場合、スパッタは観察されなかった。
(比較例2)
実施例3と同じ純チタン板を用い、レーザ光2の焦点を板表面から0mm(板表面)、3mm下方(板表面から板厚の1/4下方)として溶接を行い、板表面におけるスパッタの発生の有無、及び、ビードの外観を評価した。レーザ光2の焦点位置以外の実験条件は、実施例3に示した実験条件と同じである。また、実施例4と同様に、板表面にアーク放電の電極1及びレーザ光2の走査を直接行っている。
図10(a)に焦点が0mmの場合、図10(b)に焦点が3mm下方の場合の結果をそれぞれ示す。焦点が0mm及び3mm下方のいずれの場合においても、スパッタが非常に多く発生し、ビードの溶け込みが不十分であった。
上記の各実施例においては、溶接対象物Mとして純チタン板を用いたが、ニッケル、あるいは、チタン又はニッケルの合金等のように比較的熱伝導率の小さい金属を用いた場合においても、純チタン板を用いた場合と同様の結果となる。
1 電極
2 レーザ光
3 シールドガス供給部
4 シールドガス
5 バックシールド部
M 溶接対象物

Claims (3)

  1. 溶接対象物(M)同士の突き合わせ部に対して、アーク溶接とレーザ溶接を併用して溶接処理を行う溶接方法において、
    前記溶接対象物(M)の表面側から、前記突き合わせ部に沿うように前記アーク溶接のアーク放電の電極(1)を走査して溶融池を形成し、レーザ溶接のレーザ光(2)を前記アーク放電に追随するように走査しつつこの溶融池に向けて照射し、前記レーザ光(2)の焦点が、前記溶接対象物(M)の裏面外側に位置していることを特徴とする溶接方法。
  2. 溶接対象物(M)同士の突き合わせ部に対し、アーク溶接とレーザ溶接を併用して溶接処理を行う溶接方法において、
    前記溶接対象物(M)の表面側から、前記突き合わせ部に沿うように前記アーク溶接のアーク放電の電極(1)を走査して溶融池を形成し、レーザ溶接のレーザ光(2)を前記アーク放電に追随するように走査しつつこの溶融池に向けて照射し、前記レーザ光(2)の焦点が、前記溶接対象物(M)の厚み中心からその裏面までの間に位置しており、前記表面側からの前記アーク放電の電極(1)及びレーザ光(2)の走査後に、前記裏面側から、前記アーク放電の電極(1)及びレーザ光(2)のうち少なくとも一方を前記突き合わせ部に沿うように走査することを特徴とする溶接方法。
  3. 前記溶接対象物(M)の素材が、チタン、ニッケル、又は、チタン及びニッケルの少なくとも一方を含む合金であることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接方法。
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