JP2022025953A - レーザ・アークハイブリッド溶接装置 - Google Patents

レーザ・アークハイブリッド溶接装置 Download PDF

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雅之 藤原
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Abstract

【課題】レーザ及びアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接において、母材への入熱量を抑制しつつ、母材表面の濡れ性を確保できる装置を提供する。【解決手段】レーザ・アークハイブリッド溶接装置1は、アーク溶接装置と、レーザ照射装置とを備える。アーク溶接装置は、母材70の接合部との間にアーク25を発生させるように構成される。レーザ照射装置は、アーク溶接装置による溶接部よりも溶接進行方向の前方にレーザ光50をパルス状に照射するように構成される。レーザ光50のパルスデューティは、40%よりも小さい。また、レーザ光50の照射領域におけるパルス間のOL率は、60%よりも高い。【選択図】図1

Description

本開示は、レーザ及びアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置に関する。
特開2003-205377号公報(特許文献1)は、レーザ溶接とアーク溶接とを複合させて行なう複合溶接方法を開示する。この溶接方法では、レーザをパルス状に照射するパルスレーザが用いられる。これにより、熱源の平均出力を増加させることなく、溶け込み深さと溶接金属の幅拡大とを同時に達成可能としている(特許文献1参照)。
特開2003-205377号公報
レーザ・アークハイブリッド溶接において、レーザをパルス照射することにより、連続照射に比べて、パルス照射時の出力を高めることで溶け込み深さを確保しつつ、平均出力を抑えることで母材(被溶接材)への入熱量を低減することができる。母材への入熱量を抑えることで、例えば、異材接合(GI鋼板やGA鋼板等の亜鉛メッキ鋼板とアルミニウム合金板との接合等)の溶接において、溶接に伴ない接合界面に生成される金属間化合物(IMC(Intermetallic Compound))の生成量を抑制することができる。また、異材接合でない場合においても、上記のように、レーザの平均出力を増加させることなく、溶け込み深さを確保することができる。
しかしながら、レーザをパルス照射することで母材への入熱量が抑えられると、母材表面の濡れ性が低下し、アーク溶接において溶融金属が母材表面で広がらずに十分なビード幅が得られない可能性がある。ビード幅が不足すると、接合強度が低下する可能性がある。なお、母材表面の濡れ性が確保されていると、溶融金属が母材表面で広がるため、ビード幅を確保することができる。
母材表面の濡れ性を確保するためにレーザを連続照射にすると、母材表面の濡れ性は確保できるけれども、母材への入熱量が多くなることで母材の溶融部及び熱影響部が大きくなる。そのため、アーク溶接による入熱量と重畳する結果、金属間化合物の生成量が多くなる等の問題が生じる可能性がある。
本開示は、上記の問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、レーザ及びアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接において、母材への入熱量を抑制しつつ、母材表面の濡れ性を確保することである。
本開示のレーザ・アークハイブリッド溶接装置は、レーザ及びアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置であって、アーク溶接装置と、レーザ照射装置とを備える。アーク溶接装置は、被溶接材の接合部との間にアークを発生させるように構成される。レーザ照射装置は、アーク溶接装置による溶接部よりも溶接進行方向の前方にレーザ光をパルス状に照射するように構成される。レーザ光のパルスデューティは、40%よりも小さい。レーザ光の照射領域におけるパルス間のオーバーラップ率は、60%よりも高い。
このレーザ・アークハイブリッド溶接装置においては、パルスレーザのデューティは40%よりも小さいので(レーザ照射が行なわれる以上、デューティは非零)、被溶接材(母材)への入熱量が抑えられる。他方、パルスレーザのオーバーラップ率(以下「OL(Overlap)率」と称する。)は60%よりも高いので(OL率は原理的に100%よりも低い)、母材表面における入熱量は確保され、母材表面の濡れ性が確保される。したがって、このレーザ・アークハイブリッド溶接装置によれば、母材への入熱量を抑制しつつ、母材表面の濡れ性を確保することができる。その結果、十分な接合強度を確保することができる。
本開示のレーザ・アークハイブリッド溶接装置は、異材接合に用いることができる。
異材接合では、溶接に伴ない接合界面に金属間化合物(IMC)が生成される。金属間化合物は、母材自体に比べて脆いため、金属間化合物の生成量が多くなると、接合強度が低下する。また、異材接合においても、母材表面の濡れ性が低いと、十分なビード幅が得られない可能性がある。このレーザ・アークハイブリッド溶接装置によれば、パルスレーザのデューティを40%よりも小さくすることにより、母材への入熱量を抑制することで金属間化合物の生成量を抑制しつつ、パルスレーザのOL率を60%よりも高くすることにより、母材表面の濡れ性を確保して十分なビード幅を得ることができる。その結果、異材接合において十分な接合強度を確保することができる。
レーザ照射装置は、溶接進行方向と交差する方向にレーザ光の照射領域を拡大する回折光学素子(DOE)を含んでもよい。
これにより、母材表面の濡れ性が溶接幅方向に確保されるので、後行のアーク溶接において、十分なビード幅を形成することができる。
アーク溶接装置は、溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替え、短絡期間とアーク期間とを繰り返して溶接するように構成されてもよい。
このようなアーク溶接手法により、スパッタを大幅に低減できるとともに、アーク溶接における母材への入熱量を抑制することができる。したがって、このレーザ・アークハイブリッド溶接装置によれば、母材への入熱量を十分に抑制しつつ、母材表面の濡れ性を確保することができる。その結果、十分な接合強度を確保することができる。
本開示のレーザ・アークハイブリッド溶接装置によれば、母材への入熱量を抑制しつつ、母材表面の濡れ性を確保することができる。その結果、十分な接合強度を確保することができる。
実施の形態に従うレーザ・アークハイブリッド溶接装置の全体構成を示す図である。 レーザヘッドから出力されるレーザ光のパワーの一例を示す図である。 レーザヘッドから出力されるレーザ光のOL率の一例を説明する図である。 図1に示すレーザヘッドの構成を概略的に示す図である。 図1に示すアーク溶接装置における溶接ワイヤの送給制御の一例を示す図である。 本実施の形態に従うレーザ・アークハイブリッド溶接装置による溶接結果の一例を示す図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本開示の実施の形態に従うレーザ・アークハイブリッド溶接装置の全体構成を示す図である。図1を参照して、レーザ・アークハイブリッド溶接装置1(以下、単に「ハイブリッド溶接装置1」と称する。)は、溶接トーチ10と、溶接ワイヤ20と、溶接電源装置30と、レーザヘッド40と、レーザ発振装置60とを備える。
このハイブリッド溶接装置1は、各種部材の溶接に用いることができ、異材接合の溶接にも用いることができる。異材接合とは、互いに主成分が異なる異種材料の接合であり、このハイブリッド溶接装置1は、例えば、GI鋼板やGA鋼板等の亜鉛メッキ鋼板とアルミニウム合金板との異材接合の溶接に用いることができる。アルミニウム合金板には、軟質アルミニウムだけでなく、JIS規格の5000番台(たとえば5052)、6000番台(たとえば6063)、7000番台(たとえば7075)等の硬質アルミニウムも適用可能である。ハイブリッド溶接装置1によって、互いに接合される母材70の一方と他方とが、たとえば、重ね隅肉溶接継手や突合せ溶接継手等によって接合される。
溶接トーチ10、溶接ワイヤ20、及び溶接電源装置30は、母材70の接合部との間にアークを発生させることで溶接を行なうアーク溶接装置を構成する。溶接トーチ10は、母材70の接合部に向けて、溶接ワイヤ20及び図示しないシールドガス(アルゴンガスや炭酸ガス等)を供給する。溶接トーチ10は、溶接電源装置30から溶接電流の供給を受け、溶接ワイヤ20の先端と母材70の接合部との間にアーク25を発生させる。
また、溶接トーチ10は、溶接ワイヤ20の送給制御を行なう。本実施の形態では、溶接トーチ10は、溶接ワイヤ20の送給速度を正送期間(送給速度:正)と逆送期間(送給速度:負)とに交互に切り替え、短絡期間とアーク期間とを繰り返して溶接するように、溶接ワイヤ20の送給を制御する。
なお、溶接ワイヤ20に代えて、溶接金属を形成するためのフィラー(溶加材)を添加しつつ非消耗材の電極(タングステン等)を用いてもよい。すなわち、溶接トーチ10によるアーク溶接は、溶接ワイヤを用いる溶極式(マグ溶接やミグ溶接等)であってもよいし、フィラーの添加を伴なう非溶極式(ティグ溶接等)であってもよい。
溶接電源装置30は、アーク溶接を行なうための溶接電圧及び溶接電流を生成し、生成された溶接電圧及び溶接電流を溶接トーチ10へ出力する。
レーザヘッド40及びレーザ発振装置60は、母材70の接合部に向けてレーザ光50を照射するレーザ照射装置を構成する。レーザヘッド40は、レーザ発振装置60からレーザ光の供給を受け、母材70の接合部に向けてレーザ光50を照射する。レーザヘッド40からのレーザ光50は、溶接トーチ10から発生するアーク25の近傍に照射され、このハイブリッド溶接装置1では、アーク25よりも溶接進行方向の前方にレーザ光50が照射される。アーク25の前方にレーザを照射することで、レーザ照射部にアーク25を誘導することができ、アーク25を安定させることができる。
本実施の形態に従うハイブリッド溶接装置1では、レーザヘッド40及びレーザ発振装置60は、レーザ光50をパルス状に照射する。すなわち、レーザ照射には、連続的にレーザを発振して照射する連続照射と、パルス状にレーザを発振して照射するパルス照射とがあり、このハイブリッド溶接装置1では、パルス照射が行なわれる。
レーザ光50をパルス照射することにより、連続照射に比べて、パルス照射時の出力を高めることで溶け込み深さを確保しつつ、平均出力を抑えることで母材70(被溶接材)への入熱量を低減することができる。母材70への入熱量が抑えられることで、異材接合の溶接の場合に、接合界面に生成される金属間化合物(IMC)の生成量を抑制することができる。例えば、GI鋼板とアルミニウム合金板との異材接合の場合、アルミニウムと鉄との合金(たとえば、FeAl、Fe3Al、Fe2Al5等)の金属間化合物が接合界面に生成される。金属間化合物は、母材70に比べて脆いため、接合界面において金属間化合物における割れや接合強度の低下が生じる可能性がある。本実施の形態では、レーザ光50をパルス照射することにより、母材70への入熱量が抑えられ、金属間化合物の生成量が抑制される。
しかしながら、レーザ光50をパルス照射することで母材70への入熱量が抑えられると、母材70の表面の濡れ性が低下し、後行のアーク溶接において溶融金属が母材70の表面で広がらずに十分なビード幅が得られない(溶融金属が溶接幅方向に広がらない)可能性がある。ビード幅が不足すると、接合強度が低下する可能性がある。なお、母材70の表面の濡れ性が確保されていると、溶融金属が母材表面で広がるため、ビード幅を確保することができる。
他方、母材70の表面の濡れ性を確保するためにレーザ光50を連続照射すると、母材70の表面の濡れ性は確保できるけれども、母材70への入熱量が多くなることにより、母材70の溶融部及び熱影響部が大きくなる。そのため、後行のアーク溶接による入熱量と重畳する結果、金属間化合物の生成量が多くなる等の問題が生じる可能性がある。
そこで、本実施の形態に従うハイブリッド溶接装置1では、母材70への入熱量を抑えつつ母材70の表面の濡れ性を確保するために、パルス照射されるレーザ光50のデューティが40%よりも小さく、かつ、レーザ光50の照射領域におけるパルス間のオーバーラップ率(OL率)が60%よりも高くなるように、溶接条件(レーザ出力、溶接速度、レーザ光50のパルス照射の周波数等)が設定される。OL率は、レーザ光50の照射領域において、隣接するパルスレーザの照射領域が重なり合う比率である。
レーザ光50のパルスデューティを40%よりも小さくすることで、母材70への入熱量が抑えられる。他方、レーザ光50のOL率を60%よりも高くすることで、母材70の表面の濡れ性を確保することができる。したがって、金属間化合物の生成量を抑制しつつ、十分なビード幅を確保することができる。
図2は、レーザヘッド40から出力されるレーザ光50のパワーPwの一例を示す図である。図2を参照して、レーザヘッド40は、周期Tfのパルス状のレーザ光50を出力する。例えば、レーザヘッド40は、周期Tfのうち、時刻t1からt2の高出力期間Tpにおいて、高出力のレーザ光50を出力し、時刻t2からt3の低出力期間において、低出力のレーザ光50を出力する。レーザ光50の平均出力は、レーザ溶接に要求される設定値に制御される。なお、低出力期間のレーザ光50の出力は零であってもよい。
周期Tfに対する高出力期間Tpの割合は、レーザヘッド40から出力されるパルス状のレーザ光50のデューティを示す。本実施の形態に従うハイブリッド溶接装置1では、レーザ光50のデューティは、40%よりも小さい。なお、レーザ光50が照射される以上、デューティは非零(零よりも大きい)である。このように、レーザ光50のデューティを小さい値とすることにより、パルス出力による溶け込み深さを確保しつつ、母材70への入熱量を抑えることができる。
図3は、レーザヘッド40から出力されるレーザ光50のOL率の一例を説明する図である。図3を参照して、領域80-1~80-3の各々は、パルス照射されるレーザ光50の照射領域(以下「レーザ照射領域」と称する場合がある。)を示す。
x軸方向に沿って溶接が進行しているものとし、領域80-1は、最も直近のパルス照射によるレーザ照射領域を示す。領域80-2は、領域80-1に対応するパルス照射の直前に照射されたパルス照射によるレーザ照射領域を示す。領域80-3は、領域80-2に対応するパルス照射の直前に照射されたパルス照射によるレーザ照射領域を示す。
なお、この例では、領域80-1~80-3の各々は、溶接進行方向(x軸方向)に対して溶接幅方向(y軸方向)に拡幅された略矩形としているが、領域80-1~80-3の形状はこれに限定されるものではない。また、図3では、図示の関係上、領域80-1~80-3を互いにy軸方向に若干ずらして示しているが、実際には、領域80-1~80-3は、x軸方向に整列して形成される。
領域80-1~80-3の各々の面積をA1とし、領域80-1と領域80-2とが重なり合う領域82(領域80-2と領域80-3とが重なり合う領域でもよい。)の面積をA2とした場合に、A2/A1×100(%)がOL率である。レーザ照射領域が図示のような矩形の場合、OL率(%)は次式で算出することができる。
OL率={W+v/f×(2D-1)}/(W+v/f×D)×100 …(1)
ここで、Wはレーザ照射領域の幅(各領域80-1~80-3のx軸方向長さ)を示し、vは溶接速度を示す。fはレーザ光50のパルス周波数を示し、f=1/Tf(図2)である。Dはレーザ光50のデューティを示し、D=Tp/Tf(図2)である。
式(1)から分かるように、OL率は、デューティDの影響を受けるが、OL率を規定するパラメータには、溶接速度vやレーザ光50のパルス周波数fも含まれる。そのため、溶接に要するレーザ光50の出力条件(平均パワー)を満たすことを前提として、溶接速度vやパルス周波数fを調整することによって、OL率とデューティDとを独立に調整することができる。すなわち、溶接速度vやパルス周波数fを調整することによって、デューティDが40%よりも小さく、かつ、OL率が60%よりも高くなるように、レーザ光50のパルス照射を行なうことができる。これにより、母材70への入熱量を抑制しつつ、母材70の表面の濡れ性を確保することができる。
なお、本実施の形態では、レーザヘッド40に回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)が設けられ、レーザ照射領域が溶接幅方向に拡大される。これにより、母材70の表面の濡れ性が溶接幅方向に広く確保され、後行のアーク溶接により幅広のビードを形成することができる。
図4は、図1に示したレーザヘッド40の構成を概略的に示す図である。図4を参照して、レーザヘッド40は、DOE41と、レンズ42とを含む。レーザ発振装置60から出力されたレーザ光は、DOE41及びレンズ42を通過して母材70に照射され、母材70において照射領域80が形成される。
DOE41は、レーザ発振装置60から受けるレーザ光を、回折現象を利用して所望のビームパターンに加工する。具体的には、DOE41は、レーザ発振装置60から受ける入射光を幾何学的に分散し、母材70上の照射領域80が、DOE41が設けられない場合よりも拡幅され、かつ、略矩形となるように、照射レーザを成形する。
レンズ42は、DOE41によって加工されたレーザ光を集光して、母材70に向けて出力する。
なお、照射領域80において、溶接幅方向(y軸方向)の中央から幅方向の端部へ向かうに従って照射エネルギ密度が高くなるように、DOE41によってレーザを成形してもよい。これにより、照射領域80の溶接幅方向の中央部においては、レーザによる入熱量が抑制される一方で、中央部から離れた部位(たとえば幅方向端部)においては、入熱量が確保される。その結果、アーク溶接後の溶接幅方向の入熱量が平準化され、品質の良い溶接ビードを形成することができる。
なお、図4の例では、照射領域80は、レーザヘッド40の進行方向(x軸方向)に平行な対辺が短辺であり、幅方向(y軸方向)に平行な対辺が長辺であるものとしたが、照射領域80は、略正方形であってもよいし、レーザヘッド40の進行方向(y軸方向)に平行な対辺を長辺としてもよい。また、照射領域80の形状は、矩形に限定されるものではなく、円形等であってもよい。
また、本実施の形態では、溶接トーチ10、溶接ワイヤ20、及び溶接電源装置30から成るアーク溶接装置においては、溶接ワイヤ20の送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替え、短絡期間とアーク期間とを繰り返して溶接するように、溶接ワイヤ20の送給が制御される。このようなアーク溶接手法により、アーク溶接においても母材70への入熱量を抑制することができる。
図5は、図1に示したアーク溶接装置における溶接ワイヤ20の送給制御の一例を示す図である。図5を参照して、送給速度Fwが正値のときは、溶接トーチ10から母材70に向けて溶接ワイヤ20が送り出されていることを示し(正送)、送給速度Fwが負値のときは、溶接ワイヤ20が溶接トーチ10に引き戻されていることを示す(逆送)。短絡判別は、溶接電圧に基づいて行なわれ、溶接電圧が判定値を下回ると、溶接ワイヤ20と母材70との間で短絡が発生したものと判別される。
溶接ワイヤ20が正送されることで、時刻t1において、溶接ワイヤ20と母材70との間で短絡が発生すると、送給速度Fwの減速が開始される。時刻t2において、送給速度Fwが一旦0となり、その後、送給速度Fwは、逆送方向に加速する。そして、時刻t3において、送給速度Fwが逆送ピーク値Pr(負値)に達すると、送給速度Fwは一定となる。
逆送ピーク値Prでの逆送は、時刻t4においてアークが発生(短絡が終了)するまで継続し、時刻t4においてアークが発生すると、送給速度Fwの減速が開始される。時刻t5において、送給速度Fwが一旦0となり、その後、送給速度Fwは、正送方向に加速する。そして、時刻t6において、送給速度Fwが正送ピーク値Ps(正値)に達すると、送給速度Fwは一定となる。
このように、溶接ワイヤ20の送給速度Fwを正送期間(時刻t2以前、時刻t5~t8)と逆送期間(時刻t2~t5)とに交互に切り替え、短絡期間(時刻t1~t4)とアーク期間(時刻t4~t7)とを繰り返すアーク溶接により、スパッタを大幅に削減できるとともに、アーク溶接に伴なう母材70への入熱量を抑制することができる。したがって、レーザ光50をパルス照射することと相俟って、金属間化合物(IMC)の生成量を効果的に抑制することができる。
図6は、本実施の形態に従うハイブリッド溶接装置1による溶接結果の一例を示す図である。図6を参照して、この例では、GI鋼板とアルミニウム合金板との突合せ異材接合において、レーザヘッド40からパルス照射されるレーザ光50のデューティを40%よりも小さい値に設定して、OL率を50%よりも大きい範囲で変化させたときの溶接結果の一例が示されている。なお、縦軸の接合率とは、サンプル数Nに対して、溶接後の接合状態が良好(金属間化合物の生成量が少なく、ビード幅が広い)と判断された数の比率であり、接合率が非零であれば、溶接可能と判定される。
この例では、レーザ光50のパルス出力(図2の高出力期間の出力)を6kW、レーザ光50のデューティDを11%、溶接速度vを一定として、溶接進行方向の単位長さ当たりの母材70への入熱量(J/cm)が略一定となるように、レーザ光50のパルス周波数fを変化させることでOL率を変化させたときの溶接結果が示されている。
図示のように、この例では、OL率が65%のときに40%弱の接合率であり、OL率が75%よりも高い範囲では、60%を超える接合率となっている。このことから、例えば、レーザ光50のデューティDが20%よりも低い場合に、OL率が50%よりも高ければ、溶接可能(接合率が非零)であり、さらに、70%よりも高いOL率とすれば、50%を超える高い接合率が得られると考えられる。
以上のように、この実施の形態においては、母材70への入熱量を抑えつつ母材70の表面の濡れ性を確保するために、レーザ光50のデューティが40%よりも小さく、かつ、レーザ光50のOL率が60%よりも高くなるように、溶接条件が設定される。レーザ光50のデューティを40%よりも小さくすることで、母材70への入熱量が抑えられる。他方、OL率を60%よりも高くすることで、母材70の表面における入熱量が確保され、母材表面の濡れ性が確保される。したがって、この実施の形態によれば、母材70への入熱量を抑制しつつ、母材表面の濡れ性を確保することができる。その結果、十分な接合強度を確保することができる。
また、この実施の形態によれば、ハイブリッド溶接装置1が異材接合に用いられる場合に、レーザ光50のデューティを40%よりも小さくすることにより、母材70への入熱量を抑制することで金属間化合物の生成量を抑制しつつ、レーザ光50のOL率を60%よりも高くすることにより、母材表面の濡れ性を確保して十分なビード幅を得ることができる。その結果、異材接合についても十分な接合強度を確保することができる。
また、この実施の形態によれば、溶接幅方向にレーザ照射領域80を拡大するDOE41がレーザヘッド40に設けられるので、母材表面の濡れ性が溶接幅方向に確保され、後行のアーク溶接において十分なビード幅を形成することができる。
また、この実施の形態においては、アーク溶接装置は、溶接ワイヤ20の送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替え、短絡期間とアーク期間とを繰り返して溶接するように構成される。このようなアーク溶接により、スパッタを大幅に低減できるとともに、アーク溶接における母材70への入熱量を抑制することができる。したがって、この実施の形態によれば、母材70への入熱量を十分に抑制しつつ、母材表面の濡れ性を確保することができる。その結果、十分な接合強度を確保することができる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 レーザ・アークハイブリッド溶接装置、10 溶接トーチ、20 溶接ワイヤ、25 アーク、30 溶接電源装置、40 レーザヘッド、41 DOE、42 レンズ、50 レーザ光、60 レーザ発振装置、70 母材、80,80-1~80-3 照射領域、82 オーバーラップ領域。

Claims (4)

  1. レーザ及びアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置であって、
    被溶接材の接合部との間にアークを発生させるように構成されたアーク溶接装置と、
    前記アーク溶接装置による溶接部よりも溶接進行方向の前方にレーザ光をパルス状に照射するように構成されたレーザ照射装置とを備え、
    前記レーザ光のパルスデューティは、40%よりも小さく、
    前記レーザ光の照射領域におけるパルス間のオーバーラップ率は、60%よりも高い、レーザ・アークハイブリッド溶接装置。
  2. 前記レーザ・アークハイブリッド溶接装置は、異材接合に用いられる、請求項1に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接装置。
  3. 前記レーザ照射装置は、溶接進行方向と交差する方向に前記レーザ光の照射領域を拡大する回折光学素子を含む、請求項1又は請求項2に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接装置。
  4. 前記アーク溶接装置は、溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り替え、短絡期間とアーク期間とを繰り返して溶接するように構成される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114952005A (zh) * 2022-05-16 2022-08-30 兰州理工大学 一种中厚板靶向激光辅助tig深熔打底焊接方法及焊接装置
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