JP2002331375A - 亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレーザ溶接方法 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレーザ溶接方法

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JP2002331375A
JP2002331375A JP2001135951A JP2001135951A JP2002331375A JP 2002331375 A JP2002331375 A JP 2002331375A JP 2001135951 A JP2001135951 A JP 2001135951A JP 2001135951 A JP2001135951 A JP 2001135951A JP 2002331375 A JP2002331375 A JP 2002331375A
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laser
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Seiji Furusako
誠司 古迫
Yasunobu Miyazaki
康信 宮崎
Hideki Hamaya
秀樹 濱谷
Junichi Kobayashi
順一 小林
Kazuo Kagaya
和夫 加賀谷
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレーザ溶接にお
いて、めっき層中の亜鉛の瞬間的な気化による溶融金属
のスパッタリングを抑制し、溶接部の外観形状および継
手強度に優れた溶接部を形成できる亜鉛めっき鋼板の重
ね合わせレーザ溶接方法を提供する。 【解決手段】 亜鉛めっき鋼板1,2を重ね合わせてレ
ーザ溶接する溶接方法において、レーザビーム7の照射
方向と亜鉛めっき鋼板の溶接線上の法線9とがなす角度
10が10°超、30°以下の範囲内とし、かつレーザ
ビーム7のパワー密度を0.7MW/cm2以上とする
ことを特徴とする溶接ビード外観および継手強度に優れ
た亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレーザ溶接方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や自動二輪
の部品、家電製品等に用いられる耐食性に優れた亜鉛め
っき鋼板を重ね合わせ溶接する方法に関し、詳しくは、
亜鉛めっき鋼板をレーザにより重ね合わせ溶接する際
に、亜鉛蒸気の発生に起因するスパッタリング(溶接金
属の爆飛)および溶接欠陥を低減するための亜鉛めっき
鋼板の重ね合わせレーザ溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に自動車および自動二輪などの車
体、足廻り部材および燃料タンクなどの防錆性が必要と
される構造部の部材として亜鉛めっき鋼板が多く用いら
れている。
【0003】これらの構造体を組み立てる際には、亜鉛
めっき鋼板を所望の形状にプレス成形後、それらの一部
を重ね合わせてレーザを用いて溶接する、重ね合わせレ
ーザ溶接が多く適用されている。
【0004】亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレーザ溶接を
行う場合、鋼板表面の亜鉛めっき層は、鋼板母材に比べ
て沸点が低いため、溶接中に鋼板表面の亜鉛めっき層中
の亜鉛が気化して亜鉛蒸気となり、その全部または一部
が溶接金属中に残存してブローホールやピットなどの溶
接欠陥が発生したり、特に鋼板の亜鉛めっき層どうしが
密着状態で重ね合わせ溶接した場合には、溶融金属中の
亜鉛蒸気圧力が上昇し溶接金属の爆飛(スパッタリング
と称する)がおこり、溶接外観形状や継手強度を低下さ
せる原因となっておいた。
【0005】この問題を解決するために、例えば特開平
05−318155号公報には、亜鉛めっき鋼板の間に
低融点の金属箔を挟み、レーザにより重ね合わせ溶接す
る方法が開示されており、この方法により溶接中に発生
する亜鉛蒸気と金属箔の溶融金属とで化合物を形成し、
溶接金属中に固溶させることによってブローホール欠陥
がない良好な溶接ビードが得られることが記載されてい
る。
【0006】また、特開平07−155974号公報や
特開平10−216974号公報には、溶接前に少なく
とも一方のめっき鋼板に突出部を形成し、その突出部を
他方のめっき鋼板に当接するように重ね合わせてレーザ
により溶接する方法が開示されており、溶接部近傍の鋼
板重ね合わせ部に所定の隙間を形成し、この隙間から溶
接時に発生する亜鉛蒸気を逃がすことによりブローホー
ル欠陥がない良好な溶接品質が得られることが記載され
ている。
【0007】しかし、自動車用構造部品などの製造では
複雑な形状で剛性の高いプレス成形材同士の一部を重ね
合わせて溶接するため、溶接時に溶接部全長に亘って特
開平05−318155号公報で開示されるような金属
箔を挟んだり、特開平07−155974号公報や特開
平10−216974号公報で開示されるような所定の
隙間を保持して溶接することは極めて困難である。ま
た、めっき鋼板間に設けられる隙間が溶接全長の一部で
も適正でなく(狭くなり)、部分的に密着した状態で溶
接した場合には、溶融金属中に亜鉛蒸気が残留してブロ
ーホール欠陥が発生するだけでなく、最悪の場合には、
溶融金属中の亜鉛蒸気の圧力が上昇してスパッタリング
が生じ継手強度が著しく損なわれる畏れがある。
【0008】また、特開平05−50278号公報で
は、連続発振レーザに変調を加えることによりレーザ光
をパルス的に照射するとともに、ステップ状に変化させ
るように波形を制御したレーザ光をめっき鋼板に照射し
て溶接する方法が開示されている。特開平05−502
78号公報では、実施例として時間的にレーザパワーが
低い方P1から高い方P2へステップ状に変化する出力
波形のパルスビームを間欠的に照射し、前半のレーザパ
ワーが低いP1の照射時に上側鋼板表裏面の亜鉛めっき
層および下側表面の亜鉛めっき層を蒸発・離散させ、後
半のレーザパワーが低いP2の照射より上下の亜鉛めっ
き鋼板の溶接に必要な溶け込みを得、その結果、亜鉛蒸
気への吸収による照射レーザパワーの低下や溶接金属中
の亜鉛蒸気の残留を抑制し、良好な溶接品質が得られる
ことが記載されている。
【0009】また、特開平04−231190号公報で
は、レーザパワー密度の異なる2つのビームに分割して
溶接線上の前後に配置し、先行する低パワー密度のビー
ムで上側鋼板表裏面の亜鉛めっき層および下側表面の亜
鉛めっき層を蒸発・離散させ、後行する高パワー密度の
ビームで必要な溶け込みを確保した溶接を行い、溶接欠
陥のない溶接部を形成する亜鉛めっき重ね溶接方法が開
示されている。
【0010】しかし、特開平05−50278号公報や
特開平04−231190号公報で開示されている方法
は、レーザ発振機の制御やビームの分光のために特殊な
装置が必要となり装置が高価となるとともに調整などの
メンテナンスが困難であるという問題がある。また、本
発明者らもレーザ出力波形を様々に変更したり、低レー
ザパワー密度と高レーザパワー密度の異なる2つのビー
ムを用いて溶接実験を行ったが、レーザ出力波形の制御
やパワー密度の異なる2つのビームを用いる方法では、
亜鉛めっき鋼板の重ね合わせ溶接時の短時間でおこるス
パッタリングやブローホールおよびピット等の溶接欠陥
を完全に防止することは困難であった。
【0011】特開平06−79484号公報では、5〜
30%の酸素ガスを混合したアシストガスを用いて亜鉛
めっき鋼板等の母材よりも低融点の被覆層を有する鋼板
を重ね合わせレーザ溶接する方法が開示されており、亜
鉛めっき層をアシストガス中の酸素により酸化、燃焼さ
せることにより、溶接時の亜鉛の急激な気化によるスパ
ッタリングを防止することが記載されている。
【0012】しかしながら、本発明者らの実験結果で
は、特開平06−79484号公報の方法を用いても、
亜鉛蒸気によるスパッタリングの飛散を完全に防止する
ことは困難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術の問題
点に鑑みて、本発明は、亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレ
ーザ溶接において、めっき層中の亜鉛の瞬間的な気化に
よる溶融金属のスパッタリングを抑制し、溶接部の外観
形状および継手強度に優れた溶接部を形成できる亜鉛め
っき鋼板の重ね合わせレーザ溶接方法を提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するものであり、その要旨とするところは以下の通り
である。
【0015】(1) 亜鉛めっき鋼板を重ね合わせてレ
ーザ溶接する溶接方法において、レーザビームの照射方
向と亜鉛めっき鋼板の溶接線上の法線とがなす角度が1
0°超、30°以下の範囲内とし、かつレーザビームの
パワー密度を0.7MW/cm2以上とすることを特徴
とする溶接ビード外観および継手強度に優れた亜鉛めっ
き鋼板の重ね合わせレーザ溶接方法。
【0016】(2) 前記レーザビームの波長が1.1
μm以下であることを特徴とする上記(1)項に記載の
溶接ビード外観および継手強度に優れた亜鉛めっき鋼板
の重ね合わせレーザ溶接方法。
【0017】(3) 前記レーザビームのアシストガス
として、炭酸ガスおよび酸素のうちの何れか1種または
2種を合計量で10〜50vol%含有し、その他のガ
スがアルゴン、ヘリウムおよび窒素のうちの1種または
2種以上である混合ガスを用いることを特徴とする上記
(1)または(2)項の何れかに記載の溶接ビード外観
および継手強度に優れた亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレ
ーザ溶接方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図1及び図2を参酌して本
発明の詳細について説明する。
【0019】先ず、本発明の技術思想について説明す
る。
【0020】図2は、従来の亜鉛めっき鋼板の重ね合わ
せレーザ溶接方法の例を示す図である。
【0021】亜鉛めっき鋼板1、2の重ね合わせレーザ
溶接は、レーザ照射ヘッド19を用いてアシストガス2
0を流しながら、めっき鋼板1、2の溶接線上の法線9
(鋼板面に対して垂直な線)の方向にレーザビーム7を
照射することより2枚の亜鉛めっき鋼板1、2を加熱・
溶融して溶融プール12を形成し、レーザ照射ヘッド1
9から照射されるレーザビーム7の位置を溶接方向8に
移動することにより、溶融プール12の溶融金属を冷却
・凝固させて溶接金属(溶接ビード)13を形成するこ
とにより行われる。
【0022】レーザビーム7の照射初期、つまり溶接初
期には、上側亜鉛めっき鋼板1および下側亜鉛めっき鋼
板2の加熱溶融により形成された溶融プール12を貫通
するキーホール11が形成される。この際、亜鉛めっき
鋼板1、2の表裏面に存在する亜鉛めっき層3、4、
5、6は、その主成分である亜鉛の沸点が鉄の融点より
低いため、レーザビーム7の照射により加熱され、瞬時
に気化し亜鉛蒸気14が発生するが、キーホール11の
前方の上側亜鉛めっき鋼板1裏面のめっき層4および下
側亜鉛めっき鋼板2表面のめっき層5から発生した亜鉛
蒸気14は、主に後方15(溶接方向とは逆向き方向)
の速度ベクトルを持つため、キーホール11後方の溶融
プール12の溶融金属を飛散させ、スパッタ21を発生
させる原因となる。このスパッタ21の発生は、溶接ビ
ード外観を不良とするばかりでなく、接合面積の低下に
より継手強度を低下させる原因となる。
【0023】本発明者らは、従来の亜鉛めっき鋼板の重
ね合わせレーザ溶接時の亜鉛蒸気の発生に起因する溶接
ビード外観不良および溶接金属のスパッタリングを抑制
する方法について鋭意検討した結果、上述の溶接ビード
外観不良および溶接金属のスパッタリングの発生は、亜
鉛めっき鋼板1、2の鋼板面に対するレーザビーム7の
照射角度に相関があり、照射角度を適正に制御すること
により溶接ビード外観不良および溶接金属のスパッタリ
ングを抑制できることが判った。
【0024】図1は本発明の亜鉛めっき鋼板の重ね合わ
せレーザ溶接の実施形態の一例を示す図である。
【0025】本発明は、上述の溶接ビード外観不良およ
び溶接金属のスパッタリングの発生を抑制するために、
レーザビーム7の照射方向と亜鉛めっき鋼板1、2の溶
接線上の法線9(鋼板面に対して垂直な線)とがなす角
度θ(以下、レーザビーム7の照射角度とする)を10
°超〜30°の範囲に制御して溶接することを特徴とす
る。
【0026】レーザ照射ヘッド19の調整により上記レ
ーザビーム7の照射角度(θ)10がαとなるようにし
て亜鉛めっき鋼板1、2を溶接する場合、レーザ照射初
期(溶接初期)に形成されるキーホール11前方に位置
するめっき層4およびめっき層5から発生した亜鉛蒸気
14の速度ベクトルの大きさをVZnとすると、このV Zn
のキーホール11後方の溶融金属壁に対して垂直な方向
の速度成分の大きさV pは、下記(1)式で表される。 Vp=Vzncosα ・ ・ ・(1)
【0027】(1)式からキーホール11後方の溶融金
属壁面に対して垂直な方向の速度成分の大きさVpは、
レーザビーム7の照射角度αが0°の場合、つまり、レ
ーザビーム7の照射方向が鋼板面の法線と一致する場合
に最大Vp=Vznであり、αが90°まではαの増加と
ともに減少し、αが90°の場合に最小Vp=0とな
り、亜鉛蒸気14が溶融金属壁へ及ぼす力(溶融金属壁
に対して垂直な方向の速度成分Vpの力積)は全く発生
しないことが予想される。したがって、レーザ照射角度
を大きくすることにより、キーホール11前方で発生し
た亜鉛蒸気14をキーホール11後方の溶融金属壁面に
突入させることなく、主に上方15(一部下方16)の
大気中へ放散することができることが予想される。
【0028】しかしながら、実際の溶接では、亜鉛蒸気
14が発生直後、つまりキーホール11前方の溶融金属
壁での亜鉛蒸気14の速度ベクトルは、鋼板面に平行で
あるが、キーホール中に進行するとともに鉛直上方に向
かう鉄蒸気などの気流の影響を受けるために、キーホー
ル11後方の溶融金属壁での亜鉛蒸気14の速度ベクト
ルは、鋼板面に平行ではないため、上記(1)式で求め
られるVpから実際のキーホール11後方の溶融金属壁
へ及ぼす力およびスパッタ量を決定することはできな
い。
【0029】そこで、本発明者らは、レーザビームの照
射角度α(図1に示すレーザビーム7の照射方向と亜鉛
めっき鋼板1、2の溶接線上の法線9とがなす角度)に
よる亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレーザ溶接時のスパッ
タ量との関係を実験により確認した。図4にその実験結
果を示す。なお、レーザ溶接時のスパッタ量は、スパッ
タリングによる溶接ビード単位長さ当たりの重量ロス
(g/mm)で評価した。
【0030】図4からレーザビームの照射角度αを10
°<α≦30°の範囲内に制御することにより亜鉛めっ
き鋼板の重ね合わせレーザ溶接時に発生する亜鉛蒸気に
よるスパッタリングを防止でき、溶接ビード外観および
継手強度に優れた溶接部が形成可能となる。
【0031】レーザビームの照射角度αが10°以下で
ある場合には、キーホール前方で発生した亜鉛蒸気がキ
ーホール後方の溶融金属壁面に突入する割合が多くなり
亜鉛蒸気によるスパッタリングを抑制することができな
い。
【0032】また、レーザビームの照射角度αが30°
を超える場合には、レーザビームにより貫通させるため
の(キーホール形成のための)距離(2t/cosα、
但しt:板厚)が増加するために、安定してキーホール
を形成することが困難となり、発生した亜鉛蒸気をキー
ホールを通して大気中へスムーズに逃がすことができ
ず、スパッタリングの発生やブローホールおよびピット
などの溶接欠陥の生成により良好な溶接部を得ることが
できない。また、レーザビームの照射角度αを増加過ぎ
ると、レーザ照射ヘッドと亜鉛めっき鋼板とが干渉する
という問題も生じる。
【0033】また、亜鉛めっき鋼板のレーザ溶接中に良
好なキーホールを安定して形成させ発生する亜鉛蒸気を
キーホールを通して大気中に離散させるためには、レー
ザビームのパワー密度を0.7MW/cm2以上とする
必要がある。ここで、レーザビームのパワー密度とは、
照射熱量を総パワーの1/e2を占める楕円領域の面積
で割ったものと定義する。
【0034】レーザビームのパワー密度が0.7MW/
cm2未満の場合には、良好なキーホールを安定して形
成することは困難となり、発生する亜鉛蒸気をキーホー
ルから連続して大気中へ離散できなくなるため、スパッ
タリングの発生やブローホールおよびピットなどの溶接
欠陥の生成により良好な溶接部を得ることができない。
【0035】以上の理由から、本発明では、レーザビー
ムの照射角度αを10°<α≦30°の範囲内にすると
ともに、レーザビームのパワー密度を0.7MW/cm
2以上とする。
【0036】また、本発明において、レーザビームの波
長は、1.1μmを超えるような長波長のレーザビーム
(例えば炭酸ガスレーザなど)を用いると、キーホール
およびそれに起因する溶接ビード形状や溶け込み深さが
溶接速度に対して敏感に変化する領域が存在するため、
それらの溶接条件を適正に制御することが難しい。
【0037】したがって、本発明では、溶接ビード形状
や溶け込み深さを良好に維持し、スパッタリングの発生
を防止するための良好なキーホールを安定して形成させ
るために、溶接に用いるレーザビームの波長を1.1μ
m以下とする。
【0038】なお、波長が1.1μm以下であるレーザ
としては、例えば、YAGレーザ(波長:1.06μ
m)や半導体レーザ(0.8μm)等が挙げられるが、
本発明では、これらのレーザに限定されるものではな
い。
【0039】また、本発明で、さらに、スパッタリング
の発生を防止する効果を高めるには、レーザ照射に用い
るアシストガスとして、溶融金属の粘性を向上させる作
用のある炭酸ガスおよび酸素のうちの何れか1種または
2種を合計量で10〜50vol%含有し、その他のガ
スがアルゴン、ヘリウムおよび窒素のうちの1種または
2種以上である混合ガスを用いる必要がある。
【0040】アシストガス中の炭酸ガスおよび酸素のう
ちの何れか1種または2種の合計量が10vol%未満
になると、炭酸ガスや酸素による溶融金属の粘性向上の
効果が不十分であり、また、その合計量が50vol%
を超えると溶接ビード形状が不良となる。
【0041】したがって、本発明では、レーザ照射に用
いるアシストガスの炭酸ガスおよび酸素のうちの何れか
1種または2種を合計含有量を10〜50vol%とす
る必要がある。
【0042】以上の本発明の適用により、溶接時に発生
する亜鉛蒸気によるスパッタリングを防止することが可
能となる。しかし、図1及び図2に示すように、1つの
レーザビーム7を用いて溶接する場合には、溶融プール
12の周辺の熱影響部の表層亜鉛めっき層3から発生し
た亜鉛蒸気17が溶融金属中に混入してそのまま凝固し
て生成されたブローホール18およびピット等の溶接欠
陥の発生を防止することは困難である。
【0043】溶接時に発生する亜鉛蒸気によるスパッタ
リングを防止するとともに、このようにして生成される
ブローホール18およびピット等の溶接欠陥の発生を防
止し溶接品質をさらに向上させるためには、レーザビー
ム7による溶接後、その溶融・凝固前または凝固後の溶
接ビード上にパワー密度の小さい第2のレーザビームを
照射加熱することにより、溶接ビード中のブローホール
18を熱拡散・離散したり溶接ビード表面のビットを溶
融・平滑化することが好ましい。この方法を用いる場合
には、レーザ発振装置をコンパクト化し生産コストを低
減するために、1つのレーザ発振装置から照射されるビ
ームをプリズムなどの光学系を用いて2つに分光して第
2のレーザビームを得ることが好ましい。また、第2の
レーザビームの照射による新たなブローホールおよびピ
ットなどの溶接欠陥の生成を抑制するために、第2のレ
ーザビームは、溶接ビード中のブローホールおよびピッ
トなどの溶接欠陥を熱拡散・離散または溶融・平滑化す
るための必要最小限のパワー密度にするとともに、溶接
用レーザのビーム径を同等以下のビーム径(楕円ビーム
の場合は、溶接線に垂直な幅方向の径)に調整すること
が好ましい。
【0044】
【実施例】以下に本発明の実施例を用いてその効果を説
明する。
【0045】図1に示すように、片面当たりの目付量が
45g/m2で両面に亜鉛めっきが施された板厚0.8
mmの亜鉛めっき鋼板1、2を鋼板面が密着するように
重ね合わせた後、その重ね合わせ部を表1に示すレーザ
照射角度α、レーザビーム波長、エネルギ(パワー)密
度、アシストガスにより溶接した。
【0046】なお、波長1.06μmのYAGレーザを
用いる場合には、レーザ発振出力:3kWおよび溶接速
度:3m/minとし、波長が10.6μmの炭酸ガス
レーザを用いる場合には、レーザ発振出力:5kWおよ
び溶接速度:3m/minとした。またレーザ照射時の
焦点距離は、YAGレーザの場合には100mmとし、
炭酸ガスレーザの場合には250mmとし、YAGレー
ザおよび炭酸ガスレーザともにレーザビームは上側鋼板
の直上に照射して溶接長さ:70mmの溶接金属(溶接
ビード)13を形成した。溶接により得られた溶接継手
の形状およびサイズを図3に示す。なお、図3(a)は
平面図で、図3(b)は断面図である。
【0047】溶接継手を用いて、スパッタによる継手の
重量ロス(減)、溶接金属13のX線非破壊検査、なら
びに継手の引張強度を測定・評価した。これらの評価結
果も表1に示した。
【0048】なお、表1に示すスパッタ量の評価は、溶
接金属13の単位溶接金属量当たりの重量ロス(減)の
割合(%)で評価し、10%未満を良好(○)、10%
以上50%未満をやや不良(△)、50%以上を不良
(×)という3段階評価した。また、ブローホール量の
評価は、単位溶接長(溶接金属の中央部を通る線の長
さ)当たりのブローホール長さ(ブローホールが溶接線
を分断する線分の長さ)の割合(%)で評価し、10%
未満を良好(○)、10%以上30%未満をやや不良
(△)、30%以上を不良(×)という3段階評価し
た。
【0049】また、継手の引張強度の評価は、母材強度
の90%以上のものを良好(○)、90%未満80%以
上をやや不良(△)、80%未満を良好(○)として判
定した。この母材強度とは(母材の引張強さ×試験片断
面積)のことである。
【0050】表1に示すように、レーザビームの照射角
度αの波長、エネルギ密度、アシストガスが本発明範囲
内である本発明例(No.1〜7)は、それらが本発明
の範囲から外れる比較例(No.8〜27)に比べて溶
接部の外観と強度がともに優れたレーザ溶接継手が得ら
れた。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、亜鉛めっき鋼板の重ね
レーザ溶接において、たとえ溶接時に板が密着して重ね
合わせられても、従来と比較し溶融金属のスパッタ量を
著しく低下できるとともに、良好な継手強度を得る溶接
部を形成でき、特に自動車産業上利するところ甚大であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレーザ溶
接方法の実施形態の一例を示す模式図である。
【図2】従来の亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレーザ溶接
方法の一例を示す模式図である。
【図3】亜鉛めっき鋼板のレーザ重ね継手の模式図で、
(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図4】本発明におけるレーザビームの照射角度αとス
パッタリングによる重量ロスとの関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 上側亜鉛めっき鋼板 2 下側亜鉛めっき鋼板 3 上側亜鉛めっき鋼板表面の亜鉛めっき層 4 上側亜鉛めっき鋼板裏面の亜鉛めっき層 5 下側亜鉛めっき鋼板表面の亜鉛めっき層 6 下側亜鉛めっき鋼板裏面の亜鉛めっき層 7 レーザビーム 8 溶接方向 9 亜鉛めっき鋼板の板面に対する法線 10 照射角度θ(レーザビームの照射方向と亜鉛めっ
き鋼板の溶接線上の法線とがなす角度) 11 キーホール 12 溶融プール 13 溶接金属(溶接ビード) 14 キーホール前方より発生した亜鉛蒸気 15 亜鉛蒸気の上方離散ルート 16 亜鉛蒸気の下方離散ルート 17 溶接金属(溶接ビード)の周辺から発生した亜鉛
蒸気 18 ブローホール 19 レーザ照射ヘッド 20 アシストガス 21 スパッタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B23K 103:16 B23K 103:16 (72)発明者 濱谷 秀樹 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 小林 順一 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 加賀谷 和夫 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4E068 BF00 CJ05 DA14 DB01 DB15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛めっき鋼板を重ね合わせてレーザ溶
    接する溶接方法において、レーザビームの照射方向と亜
    鉛めっき鋼板の溶接線上の法線とがなす角度が10°
    超、30°以下の範囲内とし、かつレーザビームのパワ
    ー密度を0.7MW/cm2以上とすることを特徴とす
    る溶接ビード外観および継手強度に優れた亜鉛めっき鋼
    板の重ね合わせレーザ溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記レーザビームの波長が1.1μm以
    下であることを特徴とする請求項1に記載の溶接ビード
    外観および継手強度に優れた亜鉛めっき鋼板の重ね合わ
    せレーザ溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記レーザビームのアシストガスとし
    て、炭酸ガスおよび酸素のうちの何れか1種または2種
    を合計量で10〜50vol%含有し、その他のガスが
    アルゴン、ヘリウムおよび窒素のうちの1種または2種
    以上である混合ガスを用いることを特徴とする請求項1
    または請求項2の何れかに記載の溶接ビード外観および
    継手強度に優れた亜鉛めっき鋼板の重ね合わせレーザ溶
    接方法。
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