JP2003039185A - 亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法およびレーザー重ね溶接用亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法およびレーザー重ね溶接用亜鉛系めっき鋼板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね
溶接時に亜鉛蒸気の発生による溶融金属のスパッタやブ
ローホールの発生を低減し、溶接部品質に優れた亜鉛系
めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法およびレーザー重ね
溶接用亜鉛系めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方
法において、重ね溶接部の隙間(X)、鋼板板厚
(Y)、重ね面の合計亜鉛付着量(Z)がX≧Z/(4
800×Y)、X≦0.35×Y あるいはさらにこれ
らを満足する部分の長さの合計(L)がレーザー溶接線
長(A)に対して L≧A×0.4/Yを満足するよう
重ね溶接部に隙間を設けることを特徴とする亜鉛系めっ
き鋼板のレーザー重ね溶接方法。また、それに適したレ
ーザー重ね溶接用亜鉛系めっき鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛系めっき鋼板
のレーザー重ね溶接方法およびレーザー重ね溶接用亜鉛
系めっき鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系めっき鋼板は自動車、家電、建材
等、幅広い分野で使用されているが、長期間の防錆効果
を確保する目的からは厚目付けのめっきが有効である。
特に、腐食環境が厳しい自動車用のめっき鋼板として
は、めっき付着量を40g/m2以上の厚目付け亜鉛系
めっき鋼板が広く使用されている。亜鉛系めっきとして
は、Zn中に微量のAlやその他不可避不純物を含有す
る純亜鉛系の溶融亜鉛めっき鋼板、実質的にZnおよび
不可避不純物からなる電気亜鉛めっき鋼板、Zn中にF
eを5〜20%程度含有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板
が主流である。
【0003】しかし、これらの亜鉛系めっき鋼板は、総
じて溶接性が劣るという難点がある。溶接性としては溶
接方法と密接な関係があるが、レーザー重ね溶接におい
ても亜鉛系めっき鋼板は溶接性が劣るという課題があ
る。ここでレーザー重ね溶接とは2枚あるいはそれ以上
の鋼板を重ね、鋼板表面にほぼ垂直な方向からレーザー
ビームを照射してキーホール溶接する方法をいう。亜鉛
系めっき鋼板では、2枚の鋼板の間に存在するめっき金
属がレーザービームで加熱され、亜鉛が溶融・気化して
蒸発し、この亜鉛蒸気の圧力によって溶融池の溶鋼がス
パッタとして吹き飛ばされてビードを貫通する欠陥(ピ
ット)を生じたり、亜鉛蒸気が溶鋼中に閉じ込められて
凝固することによるブローホール、といった欠陥が多発
する。従って、亜鉛系めっき鋼板をレーザー重ね溶接す
ることは困難であった。
【0004】かかるレーザー重ね溶接における課題を解
決する手段として、例えば以下の技術が提案されてい
る。特開平4−231190号公報には、前処理工程で
予め亜鉛系めっきを加熱して除去した後にレーザー重ね
溶接する方法が開示されている。しかし、この方法で
は、工程が2つ以上必要である上に、合わせ部の耐食性
に課題が生ずる、という難点がある。
【0005】特開平3−165994号公報には、予め
めっき鋼板の重ね面にレーザーを吸収する材料を塗布し
ておく方法が開示されている。しかし、この方法におい
ても工程が2つ以上必要であり、生産性およびコストの
点で課題がある。特許第3139325号公報には、Z
n−Ni系合金めっき鋼板のめっき付着量と鋼板板厚と
の関係を限定することで、レーザー溶接における溶接欠
陥が少なく、かつ溶接部外観の優れたZn−Ni系合金
めっき鋼板が開示されている。しかし、この技術では例
えば板厚が0.6mmではめっき付着量を15g/m2
以下としなければならず、亜鉛系めっき鋼板の最大の機
能である耐食性が犠牲となり、厳しい腐食環境で長期間
使用される自動車の耐久性が確保できない、という難点
がある。
【0006】一方、レーザー溶接される鋼板の間に隙間
を設けることにより、蒸発する亜鉛を逃がして良好な溶
接性を得る方法も、特開平7−155974号、特開2
001−162391、特開2001−162387、
特開2001−162388、特許2571976号公
報等、いくつか報告されている。しかしこれらはいずれ
も、溶接される鋼板の間の鋼板上に凸部を設けることに
より鋼板間に隙間を確保する方法であり、隙間の最小値
を制御するには好適であるけれども、隙間の最大値を制
御することは困難な方法であった。外部から溶接金属を
供給しないレーザー溶接においては、溶接される鋼板と
鋼板の隙間が大きくなると溶け落ち不良を生じるため、
これら鋼板間に凸部を設けて隙間を設ける方法は、レー
ザー溶接における鋼板間の隙間制御において、片手落ち
の方法であった。
【0007】鋼板の隙間を制御するレーザー溶接方法と
して、特開平4−327385号公報には、鋼板のどち
らか一方に溶接線に沿った溝状のガス抜き部を形成して
から溶接する方法が開示されている。この方法は、ガス
抜き部以外を密着させることで設定した隙間量を制御で
きる点は優れているが、ガス抜き部を予定する溶接線に
沿って形成する方法およびその形成したガス抜き部に沿
って実際にレーザー溶接する方法に困難があり、例えば
複雑な部品形状の周囲を複雑な曲線の溶接線を持って溶
接するような場合、そのガス抜き部形成およびそのガス
抜き部に沿った溶接のいずれにも、加工上や制御上の困
難があり、実現できてもコスト高になるか生産性が悪く
なると言う問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、生産性や防錆性能を犠牲にすることなく、
溶接欠陥が少なくかつ溶接部外観の優れた亜鉛系めっき
鋼板のレーザー重ね溶接方法およびレーザー重ね溶接に
適した亜鉛系めっき鋼板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、レーザー重
ね溶接による亜鉛系めっき鋼板の溶接継ぎ手部につい
て、溶接欠陥を低減し、優れた溶接部外観と継ぎ手強度
を確保するための溶接方法およびそれに適した鋼板につ
いて、種々の検討と実験を続けた結果、ついに2枚の鋼
板の間の間隔を制御し、この隙間と鋼板板厚と鋼板間に
存在する亜鉛の量との関係を特定の範囲に限定すること
で、溶接欠陥を低減し、優れた溶接部外観と継ぎ手強度
を確保できる溶接方法を見出した。
【0010】本発明はこうした知見に基づいてなされた
もので、その要旨とするところは以下の通りである。 (1)亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接において、
重ね溶接部の隙間:X (mm)、鋼板板厚:Y (m
m)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z (g/m2 )とする
とき、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を満足するよう重ね溶接部に隙間を設けることを特徴と
する亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法。
【0011】(2)亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶
接において、重ね溶接部の隙間:X (mm)、鋼板板
厚:Y (mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z (g/m
2 )とするとき、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を基本的に満足し、X≧Z/(4800×Y)を満足し
ない部分の最大長さが3×Y(mm)以下であるよう重
ね溶接部に隙間を設けることを特徴とする亜鉛系めっき
鋼板のレーザー重ね溶接方法。
【0012】(3)亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶
接において、重ね溶接部の隙間:X (mm)、鋼板板
厚:Y (mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z (g/m
2 )とするとき、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を基本的に満足し、X≧Z/(4800×Y)を満足し
ない部分の最大長さが3×Y(mm)以下であり、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を満足する部分の長さの合計L (mm)が、レーザー溶
接線長:A (mm)に対して、L≧A×0.4/Yを満
足するよう重ね溶接部に隙間を設けることを特徴とする
亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法。
【0013】(4)亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶
接において、重ね溶接部の平均隙間:Xa(mm)、鋼
板板厚:Y (mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z (g
/m2)とするとき、 Xa≧Z/(4800×Y) Xa≦0.35×Y を満足するよう重ね溶接部に隙間を設けることを特徴と
する亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法。
【0014】(5)隙間を設けるための手段が、片側も
しくは両側の鋼板の、溶接線の一部以上に、スペーサ
ー、凹凸の一方または両方を付設することである前記
(1)乃至(4)のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板
のレーザー重ね溶接方法。 (6)前記スペーサーが、固体有機物からなることを特
徴とする前記(5)に記載の亜鉛系めっき鋼板のレーザ
ー重ね溶接方法。 (7)前記凹凸の一部以上が、溶接線に対して45〜9
0゜の角度をなす溝を主体とするものであることを特徴
とする前記(5)または(6)に記載の亜鉛系めっき鋼
板のレーザー重ね溶接方法。
【0015】(8)前記凹凸が、周期性を有する溝状の
凹みの列を主体とし、その凹みの列の溶接線に沿った断
面において一つの凹みの開口部長さa(mm)と凹みの
周期bが、b>2×aを満足することを特徴とする前記
(5)乃至(7)のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板
のレーザー重ね溶接方法。 (9)前記凹凸を、鋼板の製品形状へのプレス工程にお
いて設けることを特徴とする、前記(5)乃至(8)の
いずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接
方法。
【0016】(10)重ね溶接部の隙間:X(mm)、
鋼板板厚:Y(mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z
(g/m2 )とするとき、X≧Z/(4800×Y)を
満足する部分の合計長さ:L(mm)が、レーザー溶接
線長:A(mm)に対して、L≧A×0.4/Yを満足
するように、溶接線の一部以上に、スペーサー、凹凸の
一方または両方を有することを特徴とするレーザー重ね
溶接用亜鉛系めっき鋼板。 (11)重ね溶接部の平均隙間:Xa(mm)、鋼板板
厚:Y(mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z (g/m
2)とするとき、 Xa≧Z/(4800×Y) Xa≦0.35×Y を満足する様に、溶接線の一部以上に、スペーサー、凹
凸の一方又は両方を有することを特徴とするレーザー重
ね溶接用亜鉛系めっき鋼板。
【0017】(12)前記スペーサーが固体有機物から
なることを特徴とする前記(10)または(11)に記
載のレーザー重ね溶接用亜鉛系めっき鋼板。 (13)前記凹凸の一部以上が、溶接線に対して45〜
90゜の角度をなす溝を主体とするものであることを特
徴とする前記(10)乃至(12)のいずれかに記載の
レーザー重ね溶接用亜鉛系めっき鋼板。 (14)前記凹凸が、周期性を有する溝状の凹みの列を
主体とし、その凹みの列の溶接線に沿った断面において
一つの凹みの開口部長さa(mm)と凹みの周期bが、
b>2×aを満足することを特徴とする前記(10)乃
至(13)のいずれかに記載のレーザー重ね溶接用亜鉛
系めっき鋼板である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
発明者らは、種々のめっき鋼板、具体的には、めっき種
としては溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板、Zn−Ni合金電気めっき鋼板、Zn−Fe合金電
気めっき鋼板等のめっき鋼板で、めっき付着量としては
片面あたり20〜80g/m2 、板厚としては0.7〜
2.3mmの鋼板を用い、種々の溶接条件でレーザー重
ね溶接実験を行ない、溶接部外観とスパッタ発生量を調
べた。ここでスパッタ発生量は溶接前後の試験片質量の
減少量として求めたものであり、レーザー重ね溶接によ
って蒸発した金属や溶接線以外の部分に付着した金属の
量の合計に相当する。スパッタ発生量が増加するのに従
って溶接部に存在する金属量が減少し、溶接継ぎ手の信
頼性が低下するが、発明者らが別途調べた結果では、ス
パッタ発生量が溶接部溶融金属量のおよそ20%以下で
あれば、溶接継ぎ手部の継ぎ手強度は母材とほぼ同等で
あり、この範囲であれば継ぎ手の信頼性が確保できると
考えられる。溶接部が全く健全な場合でも、母材および
めっきの一部が蒸発するので、試験片質量の減少量は0
にはならない。
【0019】数多くの実験結果について整理した結果、
健全な溶接部を得るための条件は、2枚の鋼板の隙間と
鋼板板厚と重ね面の亜鉛の合計付着量の3者と非常に密
接な関係があること、特に、健全な溶接部を得るために
重要な条件は従来から言われているようなめっき付着量
ではなく、亜鉛の合計付着量が非常に重要であること、
さらに2枚の鋼板の隙間をX(mm)、鋼板板厚をY
(mm)、重ね面の合計付着亜鉛量をZ(g/m2 )と
した時、図1および図2に示すように X≧Z/(4800×Y) を満足すると、鋼板の隙間X、鋼板板厚Y、重ね面の亜
鉛の合計付着量Zにかかわらず、溶接部外観が顕著に向
上し、スパッタ発生量が格段に低減できることを見出し
た。
【0020】この結果に基づいて、本発明では2枚の鋼
板の隙間をX(mm)、鋼板板厚をY(mm)、重ね面
の亜鉛の合計付着量をZ(g/m2 )との関係を X≧Z/(4800×Y) と規定した。ここで、2枚の鋼板の隙間Xは相対する鋼
板のめっきの表面同士の間隔を意味し、めっきの表面に
他の材料、例えば有機フィルムを介在させることによっ
て、片側の鋼板のめっき表面ともう一方の鋼板のめっき
表面との間に隙間を設けた場合にも、あくまでもめっき
同士の表面の間隔を意味する。
【0021】しかし、溶接線全線に渡って鋼板間に一定
の隙間を確保することは、例えば、工場のラインでロボ
ットにより部品をレーザー溶接していくような場合には
難しい。そこで本発明者らは、実際の連続的な隙間のか
わりに、鋼板に溝状の凹部を設けて溶接線に沿っては断
続的な隙間であっても、連続的な隙間と同等のレーザー
溶接性向上機能を鋼板に持たせることを発明し、その適
正条件を研究した。その結果、溝状の凹みの列であって
も、その深さを溶接線に沿って平均した値を重ね合わせ
る鋼板間で足し併せた『平均隙間』Xaの考えを導入す
ることで実際の隙間と同様に取り扱えることを見出し
た。
【0022】凹部を形成された鋼板は溶接時に凹部以外
が密着するよう保持すれば、凹部で設定した隙間を保持
できるので、制御された隙間量の実現が容易であるとい
う、一般的な隙間保持の方法には無い、著しい利点があ
る。この平均隙間を用いると、図1のXは平均隙間Xa
と置き換えてもほとんど同じ結果が得られる点が本発明
の根本となる新たな知見である。ただし、不連続な隙間
である溝状の凹みの列においては、一つ一つの溝と溝の
間では、鋼板間に隙間がない状況でレーザー溶接される
ことになるが、発明者らの研究の結果、溶接ビードの外
観を気にしなければ、溝と溝の間が5mm程度あっても
平均隙間を十分に取ればスパッタ量は減らすことが可能
である。さらに、ビード外観を美麗に保つ目的のために
は溝と溝の間隔を狭めれば良いことも見出しており、例
えば、3mm以下の溝間隔ならば、ビード外観において
も美麗なものが得られ、図2においてもXを平均隙間X
aと置き換えて同等となることを明らかにしている。
【0023】これらの結果に基づいて、本発明では2枚
の鋼板の平均隙間をXa(mm)、鋼板板厚をY(m
m)、重ね面の亜鉛の合計付着量をZ(g/m2 )とし
て、レーザー重ね溶接性の良い平均隙間の下限を Xa≧Z/(4800×Y) と規定した。ここで、平均隙間についてさらに詳細に説
明する。平均隙間とは、レーザー溶接される鋼板の合わ
せ面における凹みの深さを溶接線に沿って平均した値で
あり、例えば、同じ矩形状の断面を持つ溝を合わせ面に
持つ二つの鋼板を溶接する場合、溝の溶接線方向の開口
部長さをa、溝の深さをd、溝の周期をbとした時に、
平均隙間Xaは、Xa=2×d×a÷bで計算される。
矩形でないが周期的な一般的な溝形状においては、溝の
溶接線方向の断面積Sと溝周期bを用いて、Xa=2×
S÷bで計算される。
【0024】溝が片方にしかなければ、矩形断面の溝の
場合には、Xa=d×a÷b及び矩形でない周期的な一
般的断面形状の溝では、Xa=S÷bと計算される。ま
た、板により溝形状が異なって、板1においては溝の溶
接線方向の断面積がS1、周期がb1、板2においては
それぞれS2、b2であり、この2枚の板が重ね溶接さ
れる時の平均隙間Xaは、Xa=(S1÷b1)+(S
2÷b2)と表される。さらに一般には、溝の列に周期
性がなくとも、溶接線において、溝の深さdを溶接線全
線について積分した値Sを、積分した溶接線の長さLで
除した平均深さ<d>を計算すれば、重ねる鋼板におい
て両鋼板の平均深さ<d>を足し併せたものが平均隙間
と定義される。
【0025】鋼板板厚Yは、2枚の鋼板の板厚が同一で
ある場合には片側の鋼板の板厚を意味し、2枚の鋼板の
板厚が異なる場合には薄い方の鋼板の板厚を意味する。
これは板厚の薄い鋼板の方がめっきが自由表面に到達し
やすいからである。重ね面の合計亜鉛付着量Zは2枚の
鋼板の間に存在する亜鉛の量であって、片側の鋼板の内
面側表面にあるめっきに含まれる亜鉛の量ともう一方の
鋼板の内面側表面にあるめっきに含まれる亜鉛の量との
合計量である。一方の鋼板が亜鉛系めっき鋼板であり、
もう一方の鋼板がめっきされていない鋼板である場合、
一方あるいは両方の鋼板が片面だけ亜鉛系めっきされた
鋼板である場合、一方あるいは両方の鋼板が差厚めっき
鋼板(両面のめっき付着量が同一ではない鋼板)では、
重ね溶接で内面側になる面の亜鉛付着量の合計が重要で
あり、これら鋼板の組み合わせである場合も本発明に含
まれることは言うまでも無い。
【0026】本発明において亜鉛付着量および合計亜鉛
付着量とは、文字通りの亜鉛の量および亜鉛付着量の合
計であって、めっきの付着量あるいはめっき付着量の合
計ではない。純亜鉛めっきの場合にはめっき付着量と亜
鉛付着量は同一であるが、Zn含有率がA(%)、他の
合金元素の含有率の合計がB(%)、めっき付着量がC
(g/m2 )である時、亜鉛の付着量はA×C/100
(g/m2 )である。鋼板間の隙間Xが X≦0.35×Y を満足すれば、溶接部外観の良好な溶接部が得られる
が、 X>0.35×Y では、溶接条件をいかように制御しても健全な溶接部を
得ることは困難である。
【0027】この条件は、隙間を溝状の凹みの列で実現
したときにも鋼板間の実際の隙間のかわりに平均隙間を
用いれば、全く同じ現象となり、平均隙間Xaが Xa≦0.35×Y を満足すれば、溶接部外観の良好な溶接部が得られる
が、 Xa>0.35×Y では、溶接条件をいかように制御しても健全な溶接部を
得ることは困難である。
【0028】さらに、2枚の鋼板間の隙間は、レーザー
溶接の溶接線の全長にわたって確保されていてももちろ
ん良いが、実用上は必ずしもその必要は無く、2枚の鋼
板の隙間をX(mm)、鋼板板厚をY(mm)、重ね面
の亜鉛の合計付着量をZ (g/m2 )とした時、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を満足する部分の長さの合計L(mm)がレーザー溶接
線長A(mm)に対して、L≧A×0.4/Yを満足す
ると、全長で隙間が確保されているのと実質的に同等の
効果が得られる。LがA×0.4/Yよりも小さい場合
にはスパッタ量が多くなる場合があり、Lが小さくなる
ほどスパッタ量が増加し、溶接部の外観が劣化する。た
だし、その隙間が、平均隙間Xaによって、 Xa≧Z/(4800×Y) Xa≦0.35×Y を満足するときにはLの制限は必ずしも必要ではない。
【0029】ここで、例えば自動車の車体部品など3次
元形状の部品同士を溶接する場合のように、実際の溶接
においては溶接面が完全に密着している場合は少なく、
むしろ隙間があくことが避けられない。しかし、本発明
のように制御された隙間でなければその効果は不充分あ
るいはまったく発揮されないのである。また、隙間を無
くそうとして押さえロールなどで2枚の鋼板を押さえる
ことも考えられるが、かかる方法だけでは、押さえ過ぎ
て隙間が小さくなりすぎる場合、隙間の小さい部分(X
<Z/(4800×Y)の部分)が長く連続する場合、
密着する場合、などが避けられず、本発明のような効果
を奏するものではない。
【0030】2枚の鋼板間に隙間を設ける方法としては
特に限定されるものではなく、前述の条件を満足する方
法であればいずれも適用可能である。具体的には、下記
の方法が有効である。2枚の鋼板の間に別な材料をスペ
ーサーとして介在せしめ、溶接線に隙間を確保すること
は有効である。この場合、溶接線をはさんで両側にスペ
ーサーを配置しても良く、片側に配置しても良く、また
溶接線と並んで全長に配置することは有効であるが、必
ずしも全長にわたって配置することは絶対条件ではな
く、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y あるいは X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を満足する部分の長さの合計L(mm)がレーザー溶接
線長A(mm)に対して、L≧A×0.4/Yを満足す
るように配置すれば良い。
【0031】2枚の鋼板の間に固体有機物を介在せしめ
隙間とすることも有効である。この場合、固体有機物が
少なくとも溶接線に存在していれば良く、そのままレー
ザー溶接することで顕著なスパッタ防止効果が得られ
る。固体有機物の種類は特に限定されるものではなく、
ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテ
ル、ポリオレフィン、ポリスチレン、などが代表的であ
り、これらの混合物であっても良い。2枚の鋼板の間に
固体有機物を介在せしめる方法は特に限定されるもので
はなく、固体有機物のフィルムを貼付する方法、固体有
機物を液体に分散して塗装する方法、など、対象物の形
状や構造、コストに応じて選定することができる。
【0032】鋼板表面の構造を空間変調することも、レ
ーザー重ね溶接時の隙間を付与する有効な手段である。
ここで、鋼板表面の構造を空間変調するとは、例えば鋼
板表面のテクスチャーを微視的および/または巨視的に
制御して所望のテクスチャーを得ることを意味する。例
えば、鋼板表面の形状を鋼板の幅および長さ方向におい
ては10〜100μm程度のオーダーで制御して微視的
凹凸を付与すること、鋼板表面に幅および長さ方向にお
いては100〜1mm程度のオーダーで制御した凹凸を
付与すること、など、目的とコストおよび他の必要条件
に応じての選択することができるが、重要なことはいず
れの場合においても X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y あるいはさらに、L≧A×0.4/Yを満足させること
が必要である。ただし、そのテクスチャーが溝状の凹み
の列であって、その平均隙間Xaが、 Xa≧Z/(4800×Y) Xa≦0.35×Y を満足するときには上記のLの制限は必ずしも必要では
ない。
【0033】鋼板表面の構造を空間変調するのは、鋼板
段階であっても良いし、鋼板を部品形状に成形する途中
の工程であっても良く、あるいは部品形状に成形した後
でレーザー重ね溶接する前であっても良く、いずれにし
ろレーザー重ね溶接するまでに行えばいずれも効果が発
揮される。鋼板の表面の全部または大部分を空間変調し
ても良く、あるいはレーザー重ね溶接する部分のみを空
間変調してもいずれでも良く、部品形状や鋼板の外観、
空間変調の方法に応じて選択すれば良い。
【0034】隙間形成のための空間変調の一方法として
の溝形状としては、図3の(A)の様に溶接線に対して
直交するものが単純な形として考えられるが、図3の
(B)の様に溶接線と適当な角度を持たせて成形させて
もよく、また、単独の溝の形状が線状である必要もなく
て図3の(C)〜(E)のようにV字形であったり、半
円型や波線型であったりなどしても、本発明の効果は同
様であり、本発明の範疇である。溶接線と直交した溝で
は、鋼板を密着させた時に溝部と溝部以外が噛み込んで
実質の隙間が減少してしまう場合があるが、溝の間隔を
溝の幅に対して小さくしたり、図3の(B)の様に溝と
溶接線に角度を付けたり、図3の(C)〜(E)のよう
に線状でない形状を選ぶことで、防止することが出来
る。
【0035】特に、溶接線と直交する線状の溝でも溝の
開口部長さaと溝の周期bをb>2×aとすれば、噛み
混みによる隙間減少は回避できる。さらに、一定の溝開
口部長さaの値に対して溝の周期bの値を大きくするほ
ど、低い荷重で大きな溶接性向上効果が得られることも
本発明者らは見出しており、効率的な溶接性向上効果を
発揮する最低限の周期としても上式を満たすものが望ま
しい。溝列の幅wは、図3の様に単独の溝の溶接線に直
交する長さと同等であり、その長さは、溶接ビードの幅
より十分に長い必要があるが、例えば溶接ビードの倍程
度の長さがあれば効果を発揮可能である。材料や部品及
び加工方法などの制約が許す限り、幅が広くても、広す
ぎてレーザー溶接性上問題となることはない。そのため
この溝幅を適当に設定することで、溝列成形の精度、溶
接線と部品の位置の精度に余裕を持たせることが可能な
点も本発明の溝状の凹みの列による隙間設定の大きな利
点である。
【0036】鋼板表面の構造を空間変調する手段として
は、例えば、鋼板に付与したい表面構造を有する金型や
ロールを鋼板表面に押し付けて転写する手段、高エネル
ギー密度ビームで鋼板表面の金属を局部的に蒸発・除去
する手段、鋼板表面の金属を鋼板の幅および長手方向に
分布を持たせ、かつ板厚方向にも分布を持たせて機械的
に除去する手段、鋼板表面の金属をエッチングや電解な
どの化学的方法によって鋼板の幅および長手方向に分布
を持たせ、かつ板厚方向にも分布を持たせて除去する手
段、など、空間変調後のテクスチャーとコスト、生産性
に応じて種々の手段を用いることができる。
【0037】本発明が対象とする亜鉛系めっき鋼板は、
亜鉛または亜鉛を主体とする合金を鋼板表面(両面また
は片面)にめっきしたものであり、製法は工業的には溶
融めっき、電気めっきが主流であるが、蒸着めっきなど
他の製造方法であってももちろん構わない。鋼板は通常
自動車その他の製品に使われる鋼板であればすべて本発
明の対象であり、特に鋼板の組成・組織・強度・延性等
を限定するものではない。
【0038】
【実施例】(実施例1)表1に示す鋼板を表1に示す条
件でレーザー重ね溶接に供した。溶接はYAGレーザー
で行い、出力は2KWであった。隙間の付与方法とし
て、Aは付与すべき厚みを有する金属箔をスペーサーと
して、溶接線をはさんでその両側に配置した上で、2枚
の鋼板を重ねて固定して隙間を付与した。Bは固形有機
物を利用し、具体的には溶接線に位置する部分に付与す
べき厚みを有するポリエチレンフィルムを配置した上
で、2枚の鋼板を重ねて固定して隙間を付与した。C
は、片側の鋼板を、幅0.1mm、深さ0.04mmで
溶接線とほぼ直角を成して交わる溝を、溶接線方向の間
隔0.2mmで付与した鋼板とし、もう一方の鋼板は通
常の鋼板として、前記鋼板の溝が合わせ面に位置するよ
うにして2枚の鋼板を重ねることで隙間を付与した。こ
のとき、隙間の長さの合計は溶接線長の50%である。
Dは、片側の鋼板を、幅0.1mm、深さ0.04mm
で溶接線とほぼ直角を成して交わる溝を、溶接線方向の
間隔1.0mmで付与した鋼板とし、もう一方の鋼板は
通常の鋼板として、前記鋼板の溝が合わせ面に位置する
ようにして2枚の鋼板を重ねることで隙間を付与した。
このとき、隙間の長さの合計は溶接線長の10%であ
る。
【0039】スパッタ発生量は、溶接前後の試験体全体
の質量変化を測定し、溶接線長さ50mmあたりの質量
変化に換算して表示した。ここで、溶接後に溶接部以外
の鋼板表面に付着したスパッタを残したままで試験片質
量を測定するとスパッタ発生量に誤差を生ずるので、こ
れらのスパッタを除去してから溶接後の試験片質量を測
定した。
【0040】溶接部外観は目視で評価し、結果は ○:外観が良好 △:一部ビード形状が悪い部分がある ×:大部分でビード形状が悪い で表示した。表1から、本発明例はいずれも溶接部外観
が良好であり、スパッタ発生量が非常に少ないことがわ
かる。これに対して本願発明の要件を満足しない比較例
では溶接部外観が不良であり、スパッタ発生量が非常に
多い。
【0041】
【表1】
【0042】(実施例2)図3及び図4に本発明の溝状
凹み列の実施例を示す。図3は鋼板表面上に成型した溝
を上面からみた図であり、それぞれ、(A)溶接線と直
交する溝列、(B)溶接線に対して角度を持った溝列、
(C)V字の溝列、(D)円弧状の溝列、(E)波状の
溝列の実施例である。図4は同様の溝列を溶接線に沿っ
た断面から表した図であり、それぞれ、(A)矩形断面
の溝列、(B)台形断面の溝列、(C)台形断面の角に
丸みを付けた断面の溝列の実施例である。溝のサイズの
例としては、溝の開口部長さaとして0.1mm〜2m
m、溝の周期bとしてはa×1.5からa×5の値で金
型を作成し、鋼板上に押しつけて転写した。
【0043】これらの溝状凹みのレーザー溶接性に及ぼ
す効果を明らかにするため、表2に示す鋼板を表2に示
す条件でレーザー重ね溶接に供した。溶接はYAGレー
ザーで行い、出力は2kWであった。溶接速度は2.5
m/分であった。鋼板は同じものを2枚重ね合わせ、溝
の無い部分では隙間無く密着するように保持した。スパ
ッタ発生量は、溶接前後の試験体全体の質量変化を測定
し、溶接線長さ50mmあたりの質量変化に換算して表
示した。ここで、溶接後に溶接部以外の鋼板表面に付着
したスパッタを残したままで試験片質量を測定するとス
パッタ発生量に誤差を生ずるので、これらのスパッタを
除去してから溶接後の試験片質量を測定した。
【0044】また、表2における、溝状凹みの断面形状
については以下の通りである。 記号 表面からの形状 断面形状 A 図3(A) 図4(A):矩形断面 B 図3(A) 図4(B):台形断面 C 図3(B) 図4(A):矩形断面 D 図3(B) 図4(B):台形断面 E 図3(B) 図4(C)右図:面取り台形断面 F 図3(C) 図4(B):台形断面 G 図3(D) 図4(B):台形断面 H 図3(E) 図4(B):台形断面 O 溝状の凹み無し 溝状の凹み無し
【0045】溶接部外観は目視で評価し、結果は ○:外観が良好 △:一部ビード形状が悪い部分がある ×:大部分でビード形状が悪い で表示した。表2から、本発明例はいずれも溶接部外観
が良好であり、スパッタ発生量が非常に少ないことがわ
かる。これに対して本発明の要件を満足しない比較例で
は溶接部外観が不良であり、スパッタ発生量が非常に多
い。特に、比較例No.21の場合は、溶け落ち不良で
ビード全線が陥没するのが見られた。
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明のレーザー重ね
溶接方法および亜鉛系めっき鋼板は、健全で信頼性の高
いレーザー重ね溶接部を提供するものであり、自動車、
建築・住宅、等に広く適用することが可能で産業の発展
に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】2枚の鋼板の間の隙間XおよびZ/(4800
×Y)値(ここでZは合わせ面に存在する亜鉛量の合計
付着量、Yは薄い方の鋼板の板厚)とスパッタ発生量の
関係を示す図である。
【図2】2枚の鋼板の間の隙間XおよびZ/(4800
×Y)値(ここでZは合わせ面に存在する亜鉛量の合計
付着量、Yは薄い方の鋼板の板厚)と溶接部外観の関係
を示す図である。
【図3】鋼板表面上に成型した溝を上面からみた図であ
る。
【図4】鋼板表面上に成型した溝列を溶接線に沿った断
面から表した図である。
【符号の説明】 1 溶接線(その中心線) 2 溝状の凹み 3 溝の溶接線に沿った開口部長さ(a) 4 溝の周期(b) 5 溝列の幅(w) 6 溝深さ(d) 7 レーザー溶接時鋼板と鋼板の内側の面(合わせ面) 8 レーザー溶接時外側の面 9 溝部断面積(s)
フロントページの続き (72)発明者 宮崎 康信 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 能勢 幸一 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4E068 BF00 DB01 DB15

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接に
    おいて、重ね溶接部の隙間:X(mm)、鋼板板厚:Y
    (mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z(g/m2 )と
    するとき、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を満足するよう重ね溶接部に隙間を設けることを特徴と
    する亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法。
  2. 【請求項2】 亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接に
    おいて、重ね溶接部の隙間:X(mm)、鋼板板厚:Y
    (mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z (g/m2 )と
    するとき、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を基本的に満足し、 X≧Z/(4800×Y) を満足しない部分の最大長さが3×Y(mm)以下であ
    るよう重ね溶接部に隙間を設けることを特徴とする亜鉛
    系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法。
  3. 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接に
    おいて、重ね溶接部の隙間:X(mm)、鋼板板厚:Y
    (mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z (g/m2 )と
    するとき、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を基本的に満足し、 X≧Z/(4800×Y) を満足しない部分の最大長さが3×Y(mm)以下であ
    り、 X≧Z/(4800×Y) X≦0.35×Y を満足する部分の長さの合計L(mm)が、レーザー溶
    接線長:A(mm)に対して、 L≧A×0.4/Y を満足するよう重ね溶接部に隙間を設けることを特徴と
    する亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法。
  4. 【請求項4】 亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接に
    おいて、重ね溶接部の平均隙間:Xa(mm)、鋼板板
    厚:Y (mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z (g/m
    2)とするとき、 Xa≧Z/(4800×Y) Xa≦0.35×Y を満足するよう重ね溶接部に隙間を設けることを特徴と
    する亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方法。
  5. 【請求項5】 隙間を設けるための手段が、片側もしく
    は両側の鋼板の、溶接線の一部以上に、スペーサー、凹
    凸の一方または両方を付設することである請求項1乃至
    4のいずれか1項に記載の亜鉛系めっき鋼板のレーザー
    重ね溶接方法。
  6. 【請求項6】 前記スペーサーが、固体有機物からなる
    ことを特徴とする請求項5に記載の亜鉛系めっき鋼板の
    レーザー重ね溶接方法。
  7. 【請求項7】 前記凹凸の一部以上が、溶接線に対して
    45〜90゜の角度をなす溝を主体とするものであるこ
    とを特徴とする請求項5または6に記載の亜鉛系めっき
    鋼板のレーザー重ね溶接方法。
  8. 【請求項8】 前記凹凸が、周期性を有する溝状の凹み
    の列を主体とし、その凹みの列の溶接線に沿った断面に
    おいて一つの凹みの開口部長さa(mm)と凹みの周期
    bが、 b>2×a を満足することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか
    1項に記載の亜鉛系めっき鋼板のレーザー重ね溶接方
    法。
  9. 【請求項9】 前記凹凸を、鋼板の製品形状へのプレス
    工程において設けることを特徴とする、請求項5乃至8
    のいずれか1項に記載の亜鉛系めっき鋼板のレーザー重
    ね溶接方法。
  10. 【請求項10】 重ね溶接部の隙間:X(mm)、鋼板
    板厚:Y(mm)、重ね面の合計亜鉛付着量:Z (g/
    2 )とするとき、 X≧Z/(4800×Y) を満足する部分の合計長さ:L(mm)が、レーザー溶
    接線長:A(mm)に対して、 L≧A×0.4/Y を満足するように、溶接線の一部以上に、スペーサー、
    凹凸の一方または両方を有することを特徴とするレーザ
    ー重ね溶接用亜鉛系めっき鋼板。
  11. 【請求項11】 重ね溶接部の平均隙間:Xa(m
    m)、鋼板板厚:Y(mm)、重ね面の合計亜鉛付着
    量:Z (g/m2)とするとき、 Xa≧Z/(4800×Y) Xa≦0.35×Y を満足する様に、溶接線の一部以上に、スペーサー、凹
    凸の一方又は両方を有することを特徴とするレーザー重
    ね溶接用亜鉛系めっき鋼板。
  12. 【請求項12】 前記スペーサーが固体有機物からなる
    ことを特徴とする請求項10または11に記載のレーザ
    ー重ね溶接用亜鉛系めっき鋼板。
  13. 【請求項13】 前記凹凸の一部以上が、溶接線に対し
    て45〜90゜の角度をなす溝を主体とするものである
    ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に
    記載のレーザー重ね溶接用亜鉛系めっき鋼板。
  14. 【請求項14】 前記凹凸が、周期性を有する溝状の凹
    みの列を主体とし、その凹みの列の溶接線に沿った断面
    において一つの凹みの開口部長さa(mm)と凹みの周
    期bが、 b>2×a を満足することを特徴とする請求項10乃至13のいず
    れか1項に記載のレーザー重ね溶接用亜鉛系めっき鋼
    板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005262226A (ja) * 2004-03-16 2005-09-29 Mitsubishi Electric Corp 亜鉛メッキ鋼板のレーザ溶接方法
JP2005324235A (ja) * 2004-05-14 2005-11-24 Nippon Steel Corp めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法

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