JP2005324235A - めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法 - Google Patents

めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 めっき鋼板ヘリ継手の重ね合わせ部の端面間に向けてレーザー溶接する方法であって、フランジ長さが短く、かつ負角整形したような半殻体の周縁フランジを重ね合わせ溶接することを可能とし、優れた継手強度を維持し、かつブローホールなどの溶接欠陥が生じない、めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法を提供する。
【解決手段】 Al系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、または、Sn−Zn系めっき鋼板を成型してなる一対の半殻体の周縁フランジ部を重ね合わせた後、該重ね合わせ部の端面における隙間G1と、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2との関係が1≦(G2−G1)/FL×100を満足する条件で、前記端面に向けてレーザーを照射し、かつ、該端面に平均の溶接金属溶け込み深さが前記重ね合わせ部の平均の全板厚に対して50%以上、および/または、平均の溶接金属幅が0.5mm以上の溶接金属を形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐食性に優れためっき鋼板のレーザー溶接方法に関し、特に、車両用の燃料タンクなどに主として用いられるAl系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、Sn−Zn系めっき鋼板などの耐食性に優れためっき鋼板をプレス成型してなるフランジ部を重ね合せてレーザー溶接する方法に関する。
従来から自動車などの車両用燃料タンクに用いられる鋼板としては、耐食性を向上させる目的で、特許文献1で示されるAlを主成分としたAl系めっき鋼板、特許文献2で示されるZnを主成分としたZn−Ni系めっき鋼板などが多く用いられている。また、近年、耐久性向上の観点から従来よりも耐食性が優れたSnを主成分としたSn−Zn系めっき鋼板が特許文献3などで提案されている。
従来から上記めっき鋼板を用いて車両用燃料タンクを作成する場合には、当該めっき鋼板をプレス加工して互いに略面対称形状となるような一対の半殻体を作製し、一対の半殻体を構成する周縁フランジ同士を重ね合わせて、この重ね合わせ部をシーム溶接する方法が多く用いられてきた。
しかし、上記シーム溶接方法は、比較的大型の一対の回転電極を用いて溶接するため、半殻体の周縁フランジ部の長さを所定以上確保する必要があり、タンク容量拡大の妨げとなるだけでなく、半殻体の周縁フランジ部が内側に入り込むような負角整形をした半殻体の溶接は困難となる。
この課題を解決するための溶接方法として、例えば、特許文献4には、周縁フランジ長さの縮小や負角整形した半殻体のフランジ溶接も可能とし、タンク容量の拡大を図るために、一対の半殻体を構成する周縁フランジの重ね合わせ部をレーザー溶接する方法が提案されている。この方法は、アルミめっき鋼板の重ね合わせ部端部からやや内側を狙って、鋼鈑表面に対して垂直な方向からレーザーを照射し溶接する際に、片側鋼板表面に設けた段付きにより重ね合わせ面間に所定の間隙を設けるものである。これによりレーザー溶接時に溶接金属における鉄−アルミ金属間化合物の生成を抑制し継手強度を向上させることができる。
しかし、特許文献4に示される方法は、重ね合わせ部(フランジ部)表面に対して垂直な方向からレーザーを照射し溶接するため、レーザートーチや周辺機器などのレーザー装置と半殻体の干渉によりレーザー溶接の位置が制約され、周縁フランジ長さの縮小およびそれによるタンク容量の拡大には限界が生じる。また、この方法では、アルミめっき鋼板を溶接する際に特有の問題である鉄−アルミ金属間化合物を抑制するために、片側周縁フランジ部に予め段付きを設け、重ね合わせ面間に所定の間隙を確保することを必須とする。片側周縁フランジ部を加工して段付きを設ける方法は加工が厳しく、周縁フランジ部の長さを所定以上確保する必要があり、タンク容量拡大の妨げとなっていた。
また、従来から沸点の低いZnなどのめっき層が表面に施されためっき鋼板を重ねてレーザー溶接する場合に、溶接金属中にめっき金属の蒸気に起因するブローホール欠陥が発生するという問題が生じやすいことも知られている。車両用燃料タンクを作成する際に燃料タンクのフランジ部の溶接部にブローホールが発生すると、車両用燃料タンクの耐久性を損なうこととなるため好ましくない。
この溶接金属部のめっき金属の蒸気に起因するブローホール欠陥の抑制方法としては、従来から特許文献5に示すような鋼板表面に突起部を設けたり、特許文献6に示すような鋼板間にスペーサを挿入したりして、溶接時の重ね合わせ部に所定の間隙を確保する方法が知られている。
しかしながら、上記特許文献5のフランジ部に突起を設ける加工により隙間を設ける方法は、突起を設けるために、所定以上の周縁フランジ長さを確保する必要があり、タンク容量拡大のための周縁フランジ長さ縮小化の妨げになる。また、上記特許文献6の溶接時にスペーサを挿入して隙間を確保し、溶接後にそれを取り外す方法は、溶接施工時の作業性の悪化を招く。
以上のように、自動車などの車両用燃料タンクの製造において、耐久性向上とタンク容量拡大の観点から、耐食性に優れた各めっき鋼板を用いて、周縁フランジ長さを極力短くし、負角整形したような半殻体でも良好な継手強度を維持し、かつブローホールなどの溶接欠陥を発生させない溶接方法の開発が望まれている。
特開平10―72641号公報 特開2001−323388号公報 特開2002−38250号公報 特開平9−155575号公報 特開2001−162388号公報 特開2001−276990号公報
上記の従来技術の実情を踏まえて、本発明はめっき鋼板ヘリ継手の重ね合わせ部の端面間に向けてレーザー溶接する方法であって、フランジ長さが短く、かつ負角整形したような半殻体の周縁フランジを重ね合わせ溶接することを可能とし、優れた継手強度を維持し、かつブローホールなどの溶接欠陥が生じない、めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法を提供するものである。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)Al系めっき鋼板、または、Zn−Ni系めっき鋼板を成型してなる一対の半殻体の周縁フランジ部を重ね合わせた後、該重ね合わせ部の端面における隙間G1と、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2との関係が下記(1)式を満足する条件で、前記端面に向けてレーザーを照射し、かつ、該端面に平均の溶接金属溶け込み深さが、前記重ね合わせ部の平均の全板厚に対して50%以上の溶接金属を形成することを特徴とするめっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法。
1≦(G2−G1)/FL×100 ・・・(1)
(2)Sn−Zn系めっき鋼板を成型してなる一対の半殻体の周縁フランジ部を重ね合わせた後、該重ね合わせ部の端面における隙間G1と、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2との関係が下記(1)式を満足する条件で、前記端面に向けてレーザーを照射し、該端面に平均の溶接金属幅が0.5mm以上で、かつ、平均の溶接金属溶け込み深さが、前記重ね合わせ部の平均の全板厚に対して50%以上の溶接金属を形成することを特徴とするめっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法。
1≦(G2−G1)/FL×100 ・・・(1)
(3)前記レーザーが2つのレーザービームからなり、各レーザービームの集光径D1,D2の中心が前記端面間の中心に対して相対する位置にあり、かつ前記端面間の中心から各レーザービーム集光径の中心までの距離L1、L2、および、各レーザービーム集光径D1,D2との関係が下記(2)式を満足することを特徴とする上記(2)項に記載のめっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法。
0.6≦L1+L2+(D1+D2)/2<1.5 ・・・(2)
本発明によれば、AL系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板性、Sn−Zn系めっき鋼板などを用い、車両用燃料タンクなどを製造する際に、燃料タンクの容量拡大を目的として、周縁フランジ長さを極力短くし、かつ負角整形したような半殻体のフランジ部を重ね合わせレーザー溶接する場合であっても、良好な継手強度を確保でき、かつブローホール溶接欠陥がない良好な溶接金属を得ることができる。したがって、本発明の適用により、自動車などの車両用燃料タンクの耐久性を向上させるとともにそのタンク容量を拡大することを実現できるため、本発明による社会的な貢献度は多大なものである。
以下に本発明について詳細に説明する。
先ず、本発明における溶接対象材は燃料タンク用素材として用いられているAl系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、及びSn−Zn系めっき鋼板の各めっき鋼板とする。
上記Al系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、または、Sn−Zn系めっき鋼板の鋼板表面に施される各めっき層の成分組成は、特に限定するものではないが、例えば、以下のような成分系が挙げられる。例えば、Al系めっき鋼板のめっき層の組成としては、特許文献1などに開示される、基本成分として、Siを2〜13%含有し、残部がAl及び不可避的な不純物からなる成分系などがあげられる。Zn−Ni系めっき鋼板のめっき層の組成としては、特許文献2などに開示される、基本成分として、鋼板表面に5〜80g/m2のZnが施され、その上に10g/m2のNiを施したZnとNiを主成分とする成分系などがあげられる。Sn−Zn系めっき鋼板のめっき層の組成としては、特許文献3などに開示される、基本成分として、Sn:50〜99質量%、Zn:1〜50質量%を含有し、さらに、必要に応じて選択的に、Mg:0.2〜8質量%、Al:0.02〜5質量%、Ca:0.1〜5質量%、Li:0.1〜5質量%を1種または2種以上含有する成分系などが挙げられる。
また、上記Al系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、または、Sn−Zn系めっき鋼板の母材鋼板の成分組成も、特に限定するものではないが、例えば、その代表的な基本成分としては、C:0.030質量%、Si:0.09質量%、Mn:0.30質量%、P:0.008質量%、S:0.012質量%が挙げられる。
本発明は、これらAl系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、または、Sn−Zn系めっき鋼板めっき鋼板を成型してなる一対の半殻体の周縁フランジ部を重ね合わせてレーザー溶接する場合に、AlまたはSnのめっき成分に起因する継手強度低下を抑制し、かつ沸点の低いZnめっき成分に起因するブローホールなどの溶接欠陥を抑制することを技術的課題とし、後述するような方法で解決するものである。
以下に本発明の技術思想と実施態様について説明する。
図1に本発明の実施形態の一例を示す。
本発明者らは、レーザー照射方向として、一対の半殻体を構成する周縁フランジ部の重ね合わせ部に対してフランジ面に対して垂直な方向からのレーザー照射方法(特許文献4、参照)は、レーザートーチやその周辺機器との干渉によりレーザー溶接位置が制約されるため、燃料タンク作成時の周縁フランジ長さの縮小やタンク容量拡大を実現するのは困難であると考えた。
そこで、本発明では、例えば、図1で示すように半殻体1,2の周縁フランジ部1a,2bの長さを極力短くし、かつ周縁フランジ部1a,2bの形状が殻体内側に入り込むような負角整形をした半殻体1,2を溶接対象とした場合でも、上記のレーザー装置と半殻体の干渉によるレーザー溶接位置の制約を解消するために、溶接時にレーザートーチ4から照射するレーザービーム3の照射方向を重ね合わせ部の端面間7に向かう方向とした。
なお、本発明では、図1に示すように溶接時のレーザービーム3の照射方向を重ね合わせ部の端面間7に向かって照射して端面間7を溶接した継手を一般にヘリ継手(JIS Z 3001)と言い、このレーザーによるヘリ継手の溶接をヘリ継手レーザー溶接と定義する。
ここで、重ね合わせ部の端面間7に向かう方向とは、めっき鋼板を成型してなる一対の半殻体の周縁フランジ部のフランジ面と平行な方向だけに限らず、フランジ面に対して所定角度をなす方向も含まれる。
なお、レーザートーチ4などのレーザー装置と溶接対象材との干渉を少なくし、かつ所定継手強度を確保するための溶接金属の幅および溶け込み深さ(これらの定義については後で説明する。)を得るためには、レーザー照射方向は、フランジ面に対する角度で、−30°超〜+30°の範囲とするのがより好ましい。
次に、Alめっき成分とFeとの金属間化合物生成に起因する継手強度低下を抑制する方法(特許文献4、参照)、或いは、低沸点のZnめっき成分等の蒸気ガス発生に起因するブローホールなどの溶接欠陥を抑制する方法(特許文献5、参照)として、フランジ部の重ね合わせ面に突起や段付きを設けて隙間を維持する方法は、突起の加工のために所定以上の周縁フランジ長さを必要とし、燃料タンク作成時の周縁フランジ長さの縮小やタンク容量拡大の点から好ましくない。
そこで、本発明では、一対の半殻体を構成する周縁フランジ部をプレス成型する際に、その周縁フランジ部の角度を調整し、図1に示すようにフランジ部1a、2aがフランジ端面からフランジ長さ(半殻体側に向かう方向)離れた位置において所定の隙間を確保することを考えた。この方法によれば、従来の予めフランジ部に突起を加工する方法に比べて、新たな加工工程は必要とせずに、燃料タンクなどに用いられる一対の半殻体をプレス成型する際に、金型の角度を若干修正するなどの成型条件を変更するだけで容易に図1に示すようにフランジ部の重ね合わせ面間に所定の間隙を設けることができる。また、この方法では、周縁フランジ長さが短いような場合でも実施が可能である。
上記のような本発明の実施形態によれば、レーザー照射方向を重ね合わせ部の端面間に向かう方向とし、また、周縁フランジの角度調整により重ね合わせ面間に所定隙間を設けるため、周縁フランジ長さを極力短くし、かつ負角整形したような半殻体の周縁フランジ部をレーザー溶接する場合でも、レーザートーチなどと干渉することなく、かつ良好な溶接品質を有する継手を得ることが可能となる。
本発明では、図1に示すような実施形態において、特に、重ね合わせ部端面における隙間G1と、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2との関係、および、重ね合わせ部端面に形成する溶接金属の平均の溶接金属溶け込み深さ、さらには、平均の溶接金属幅が、各めっき鋼板のヘリ継手における継手強度を向上し、かつ溶接金属のブローホールなどの溶接欠陥を抑制するために重要である。以下、これら本発明の基本条件の限定理由について説明する。
本発明者は、燃料タンク用素材として用いられているAl系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、及びSn−Zn系めっき鋼板について、ヘリ継手レーザー溶接時の条件と、継手強度及びブローホール溶接欠陥の発生状況との関係を実験などにより調べた。
図2〜図4に実験要領を説明するための模式図を示す。
実験は、先ず、図2に示すように、Al系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、及びSn−Zn系めっき鋼板の各めっき鋼板から切り出した所定サイズ(0.8〜2.0mm×20〜40mm×100〜150mm)の試験片5,6を用い、プレス成型によりその試験片5,6の一端にフランジ5a、6aを形成した。この際、試験片5,6のフランジ5a、6aの角度は、プレス成型する際に金型の角度を調整することにより調整した。
次に、図2に示すように、一対の試験片5,6のフランジ部5a、6aを重ね合わせて、この重ね合わせ部の端面間7に向けて(図2中でAで示す方向に)レーザー8を照射し、その端面上の溶接線(重ね合わせ面)7に沿ってレーザー8を移動することにより、フランジ部の端面間に図3で示すような所定幅wおよび所定溶け込み深さdを有する溶接金属9を形成し溶接を行った。溶接により作成されたヘリ継手レーザー溶接継手については、引張試験を実施し、図2に示すBの方向に引張荷重を負荷した場合の引張最大荷重の測定により継手強度を評価した。また、ヘリ継手レーザー溶接継手の溶接金属部については、X線を用いた非破壊検査により溶接金属部の切断断面におけるブローホールの面積率を測定し、ブローホール溶接欠陥の発生率を評価した。
なお、以下に説明する図5〜6、図8〜11に示す試験のレーザー照射条件は、シングルビームのレーザーを用い、集光レンズを変えることによりレーザー集光径を0.4〜0.9mmで調整し、レーザー出力は2.5〜4.5kw、溶接速度は2〜8m/minで溶接を行った結果である。
なお、本発明において、溶接金属溶け込み深さdとは、図3に示される溶接金属の幅方向中央部における深さdとする。また、溶接金属幅wとは、図3に示される溶接金属9の板厚方向の幅wを意味し、溶接金属9の溶接線に対して垂直な断面の面積Sと、溶接金属溶け込み深さd(後で、定義する。)とからw=S/dとして求められる。
また、溶接金属溶け込み深さd、平均の溶接金属幅wは、重ね合せ部の端面上の溶接線に沿って少なくとも2〜3点以上の位置で測定された測定値の平均値を求めることが好ましい。
また、本発明において、一対の試験片5,6のフランジ部5a、6aを重ね合わせた場合のフランジ長さFL、端面における隙間G1、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2との関係を図4に示す。本発明では、めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接を行う際に、フランジ部5a、6aの端面における間隙G1に比べて、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2が大きく(G2>G1)、かつ、後述する所定の関係式を満足するような所定角度でフランジ部5a、6aが重ね合わされる。なお、一対の試験片5,6のフランジ部5a、6aを重ね合わせた場合のフランジ部5a、6aの端面における隙間G1は、本発明では大きくする必要はなく、通常は0(密着)となるようにして溶接を行うが、フランジ部5a、6aのプレス成型精度などのばらつきにより溶接線に沿って部分的に生じる隙間を考慮したものである。
(平均の溶接金属溶け込み深さ、平均の溶接金属幅)
図5は、各めっき鋼板をヘリ継手レーザー溶接して得られた平均の溶接金属溶け込み深さと継手強度との関係を示す。また、図6は、各めっき鋼板をヘリ継手レーザー溶接して得られた平均の溶接金属幅と継手強度との関係を示す。
なお、図5及び図6はいずれも後述する重ね合わせ部の端面における隙間G1、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2との関係が下記(1)式を満足する、(G2−G1)/FL×100=2の条件で行った。また、図5では、溶接金属平均幅が0.6mm、図6では、溶接金属溶け込み深さがフランジの肉厚(平均値)に対する平均の溶接金属幅の比で1の一定条件で行った。また、図5における平均の溶接金属溶け込み深さは、フランジ重ね合わせ部の全板厚の平均値に対する上述の定義により求められる溶接金属溶け込み深さdの平均値の比率(%)を示し、図6における平均の溶接金属幅は、上述の定義により求められる溶接金属幅wの平均値を示す。なお、図5及び図6はいずれも、継手強度は、母材強度に対する比で示し、これらの試験における母材の引張強度は300MPaであった。
図5からAl系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、および、Sn−Zn系めっき鋼板の何れも、平均の溶接金属溶け込み深さがフランジの肉厚(平均値)に対する平均の溶接金属幅の比で0.5以上の条件で良好な継手強度が得られる。
また、図6からAL系めっき鋼板およびZn−Ni系めっき鋼板については、平均の溶接金属幅に関わらず良好な継手強度が得られる。一方、Sn−Zn系めっき鋼板については、平均の溶接金属幅が0.5mm以上の条件では良好な継手強度が得られるものの、溶接金属幅が狭い0.5mm未満の条件では継手強度が大幅に低下することがわかった。
本発明者らは、図6で示されるSn−Zn系めっき鋼板の溶接継手強度の低下原因を調査し、以下のことを確認した。
Sn−Zn系めっき鋼板溶接部の剥離破断面の観察結果から、継手強度が低下した平均の溶接金属幅が0.3mmの条件では、図7に示すように溶接部破断面に複数の柱状晶の突起部が形成され、これを起点に凝固割れが発生したことがわかった。また、同じ継手溶接部のオージェ分析による破断面表層部の成分組成の分析結果から、図8に示すように、平均の溶接金属幅が0.3mmと狭い条件では、溶接部の剥離破断面にSn成分の偏析度合が特に大きいことがわかった。なお、図8に示すSn偏析度は、平均の溶接金属幅が0.3mmの条件における溶接部剥離破断面におけるSn濃度測定値を1(基準値)とし、その相対比で示した。
上記Sn−Zn系めっき鋼板溶接部の剥離破断面の分析結果から、ヘリ継手レーザー溶接時の平均溶接金属幅が狭い場合に継手強度が著しく低下する理由は、溶接金属中のSnめっき成分の偏析、さらにはこれに起因した凝固割れが起きるためであると考えられる。また、平均の溶接金属幅を0.5mm以上と増加することにより、溶接金属の体積が増加され、母材成分の希釈効果で溶接金属中のSnめっき成分の濃度が相対的に低減され、溶接金属凝固時のSnめっき成分の偏析およびこれに起因する凝固割れは抑制される。本発明者らは、平均の溶接金属幅を0.5mm以上の条件で、ヘリ継手溶接部の剥離破断面に図7で示すような柱状晶の突起部は全く認められないことを確認している。
以上の試験結果および知見を踏まえて、本発明のAl系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、および、Sn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接において、良好な継手強度を確保するために、平均の溶接金属溶け込み深さをフランジの肉厚(平均値)に対する平均の溶接金属幅の比で0.5以上に規定する。
さらに、本発明のSn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接において、上記平均の溶接金属溶け込み深さの規定に加え、溶接金属部でのSnめっき成分の偏析および柱状晶の突起発生を抑制し、平均の継手強度を向上させるために、平均の溶接金属幅を0.5mm以上に規定する。
なお、シングルビームレーザーにより平均の溶接金属幅を0.5mm以上の溶接金属を形成し、良好な継手強度をより安定して確保するためには、重ね合わせ部の端面間におけるレーザー集光径を0.8mm以上とするのがより好ましい。
(隙間G1、隙間G2、および、フランジ長さFLの関係)
本発明が規定する溶接金属溶け込み深さおよび/または溶接金属幅の条件下で、さらに、フランジ重ね合わせ部の隙間と継手強度およびブローホール発生率との関係について調べた。
図9は、各めっき鋼板をヘリ継手レーザー溶接する時のフランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100の値と、継手強度との関係を示す。また、図10は、各めっき鋼板をヘリ継手レーザー溶接する時のフランジ部の隙間評価係数::FG=(G2−G1)/FL×100と、溶接金属のブローホール発生度数を示す。
なお、図9及び図10におけるフランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100の値は、下記(3)式によりフランジ重ね合せ部の端面における隙間G1と、フランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2との関係から求められる値である。
フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100 ・・・(3)
なお、図9における継手強度は、母材強度に対する比で示し、この試験における母材の引張強度は300MPaであった。また、図10における溶接金属のブローホール発生度数は、フランジ部の重ね合わせが密着した条件(上記G1及びG2がともに0mmの条件)でのブローホール面積率の測定値を1(基準値)として、その比率で示した。なお、ブローホール面積率は、X線を用いた非破壊検査により溶接金属部の切断断面におけるブローホール面積率の測定値である。また、図9および図10はいずれもフランジ部の重ね合わせ部端面における隙間G1が0.05の条件で行った。
図9からZn−Ni系めっき鋼板およびSn−Zn系めっき鋼板については、フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100に関わらず良好な継手強度が得られた。一方、Al系めっき鋼板については、フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100が1以上の条件では良好な継手強度が得られるものの、この値が1未満の条件では継手強度が大幅に低下することがわかった。Al系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接する場合に、フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100が1未満の条件で継手強度が大きく低下した理由は、発明者らの検討によれば、溶接金属で特許文献4に示されるようなFe−Al金属間化合物が生成したためと考えられる。したがって、Al系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接において、フランジ部の重ね合わせ部の間隙からAlめっき成分を排出し、溶接金属におけるFe−Al金属間化合物の生成を抑制し、良好な継手強度を確保するために、フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100を1以上とする必要がある。
また、図10からAl系めっき系鋼板については、フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100に関わらず溶接金属のブローホール溶接欠陥は発生しなかった。一方、Zn−Ni系めっき鋼板およびSn−Zn系めっき鋼板については、フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100が1以上の条件ではブローホール溶接欠陥の発生を抑制できるものの、この値が1未満の条件では溶接金属のブローホール溶接欠陥が大幅に増加することがわかった。
また、Sn−Zn系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板をヘリ継手レーザー溶接する場合に、フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100が1未満の条件で継手強度が大きく低下した理由は、発明者らの検討によれば、沸点の低いZnめっき成分の蒸気が溶接金属内に残存し凝固したためであると考えられる。したがって、Zn−Ni系めっき鋼板およびSn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接において、フランジ部の重ね合わせ部の間隙からZnめっき成分から発生する蒸気を排出し、溶接金属内での蒸気の残存を抑制し、ブローホール溶接欠陥の発生を充分に抑制するために、フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100を1以上とする必要がある。
以上の試験結果および知見を踏まえて、本発明のAl系めっき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板、および、Sn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接において、良好な継手強度を確保し、かつ溶接金属のブローホール溶接欠陥の発生を充分に抑制するために、フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100を1以上に規定する。
以上が本発明の実施形態において特に重要となる基本条件である。さらに、本発明では、Sn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接において、上記重ね合わせ部端面における隙間G1が例えば、0.3mm程度以上の比較的大きい条件でも、平均の溶接金属幅が0.5mm以上の溶接金属を安定して形成し、良好な継手強度を確保するために以下に説明するようにツインビームレーザーを用いて、以下の条件で溶接することがより好ましい。
図11は、鋼板の突合わせ部の端面間に向けて照射するレーザーとして、2つのレーザービーム10、11を用いて溶接する場合の端面5a,6aにおける各レーザー集光径D1,D2の位置関係を示す模式図である。
Sn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接において、上記重ね合わせ部端面における隙間G1が比較的大きな条件でも、安定した継手強度を得るために、端面間に向けて照射するレーザーとして、2つのレーザービーム10、11を用いる場合、各レーザービーム10、11の集光径D1,D2の中心が前記端面5a,6a間の中心に対して相対する位置にあり、かつ前記端面間の中心から各レーザービーム集光径の中心までの距離L1、L2、および、各レーザービーム集光径D1,D2との関係が下記(2)式を満足するような条件で溶接することが好ましい。
0.6≦L1+L2+(D1+D2)/2<1.5 ・・・(2)
また進行方向に対して後方側のレーザービーム1は、先方側のレーザービーム11で溶融された金属が完全に凝固する前に通過することが好ましい。
図12にSn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接を2つのレーザービーム10、11を用いて行う場合のL1+L2+(D1+D2)/2の値と平均の継手強度との関係を示す。
なお、継手強度は、母材強度に対する比で示した。また、上記フランジ部の隙間評価係数:FG=(G2−G1)/FL×100の値は、上述した(1)式を満足する(G2−G1)/FL×100=2の条件で行った。なお、L1+L2+(D1+D2)/2は、上記(2)式に示すレーザー照射条件パラメータであり、端面間の中心から各レーザービーム集光径の中心までの距離L1、L2、および、各レーザービーム集光径D1,D2から求められる値である。また、実験は、における隙間G1が無い(密着)条件と、における隙間G1が0.3mmと比較的大きい条件のそれぞれにおいて、照射部におけるレーザービーム10の集光径D1とレーザービーム11の集光径D2はともに0.3〜0.8mmとし、レーザービーム10の集光径D1とレーザービーム11の集光径D2との中心間隔L1−2を0.3〜1.4mmとし、端面間の中心から各レーザービーム集光径の中心までの距離L1、L2はともに0〜0.7mmとする条件で行った。
図13から、端面における隙間G1が無い(密着)条件、および、端面における隙間G1が0.3mmと比較的大きい条件のいずれの場合でも、端面間に向けて照射するレーザーとして2つのレーザービームを用い、上記(2)式に示すL1+L2+(D1+D2)/2を0.6mm以上1.5mm未満の範囲になるような条件で溶接することにより、良好な継手強度を確保することができる。
これは、上記ツインビームレーザーの照射条件で溶接することで、端面における隙間G1が0.3mmと比較的大きい条件でも、本発明で規定する平均の溶接金属幅を0.5mm以上とすることが可能となり、溶接金属中のSnめっき成分の偏析およびこれに起因する凝固割れが抑制されることを実証するものである。
したがって、本発明では、Sn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接において、良好な継手強度を確保するために、端面間に向けて照射するレーザーとして2つのレーザービームを用い、上記(2)式に示すL1+L2+(D1+D2)/2を0.6mm以上1.5mm未満に規定することが好ましい。
以下に実施例を用いて本発明の効果を説明する。
表1、表2にそれぞれ示す成分組成を有するめつき層および母材鋼鈑からなるAL系めき鋼板、Zn−Ni系めっき鋼板をそれぞれ用い、これらのめっき鋼板をプレス成型して周縁フランジ部を有する上下一対の半殻体を作製した。なお、周縁フランジ部の角度の調整は、プレス成型時の金型角度などを調整して行い、フランジ部の重ね合わせ部の端面における間隙G1と、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における間隙G2との関係を調整した。
めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接は、一対の半殻体の周縁フランジ部を重ね合わせた後、表3で示す条件でおこなった。レーザー溶接時のレーザー集光径D1、D2は、集光レンズ交換により0.3〜0.9mmの範囲で調整した。また、2つのレーザービームを用いて溶接する場合は、ビーム分割用のプリズムを挿入し、図12に示すように鋼板重ね合わせ端面間の中心からの距離L1、L2及び、2つのビームの中心間距離を調整した。レーザー溶接時のレーザー出力は、2.5〜4.5kWの範囲で調整した。
得られた溶接継手については、引張試験による継手強度の測定、及び、X線を用いた非破壊検査による溶接金属の切断断面におけるブローホール面積率の測定が、行った。なお、引張試験は、10mm/minの引張速度で行った。また、溶接金属のブローホール発生状況の評価は、測定されたブローホール面積率が0%の場合をブローホール“無し”とし、測定されたブローホール面積率が0%より高い場合をブローホール“有り”と評価した。
表3にAL系めっき鋼板及びZn−Ni系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接した場合の主要条件と試験結果を示す。
No.1〜4の発明例は、溶接金属溶け込み深さ、およびフランジ間隙条件である(G2−G1)/FL×100の値が、本発明で規定する範囲内で溶接を行ったため、いずれも良好な継手強度が得られ、かつ溶接金属のブローホール溶接欠陥も発生しなかった。なお、No.2〜4の発明例の結果に示されるようにAL系めっき鋼板及びZn−Ni系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接では、溶接金属幅やフランジ重ね合わせ部端面における間隙G1の条件に関わらず、良好な継手強度と、ブローホールがない良好な溶接金属が得られた。
一方、No.5の比較例は、(G2−G1)/FL×100の値が本発明で規定する範囲から低く外れた条件でAl系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接を行ったため、溶接金属でのFe−Al金属間化合物の生成を抑制できず、継手強度が大きく低下した。
No.6の比較例は、溶接金属溶け込み深さが本発明で規定する範囲から低く外れた条件でAL系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接を行ったため、継手強度が低下した。
No.7の比較例は、(G2−G1)/FL×100の値が本発明で規定する範囲から低く外れた条件でZn−Ni系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接を行ったため、Znめっき成分の蒸気に起因する溶接金属のブローホールが発生した。
表1、表2にそれぞれ示す成分組成を有するめつき層および母材鋼鈑からなるSn−Zn系めっき鋼板を用い、表4に示す条件以外は、上記(実施例1)と同じ条件で試験を行った。
表4はSn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接した場合の主要条件と試験結果を示す。
No.1〜3の発明例は、溶接金属溶け込み深さ、溶接金属溶け込み幅、および、フランジ間隙条件である(G2−G1)/FL×100の値が、本発明で規定する範囲内で溶接を行ったため、いずれも良好な継手強度が得られ、かつ溶接金属のブローホール溶接欠陥も発生しなかった。なお、これらは、いずれも、フランジ重ね合わせ部端面における間隙G1の条件に関わらず、良好な継手強度と、ブローホールがない良好な溶接金属が得られた。また、No.2の発明例は、ツインビームレーザーを用い、その照射条件が本発明で規定するL1+L2+(D1+D2)/2の好ましい範囲内で溶接をしたため、間隙G1が0.3と大きい場合でも、継手強度の低下はなく、良好な溶接継手が得られた。
一方、No.5の比較例は、(G2−G1)/FL×100の値が本発明で規定する範囲から低く外れた条件でSn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接を行ったため、Znめっき成分の蒸気に起因する溶接金属のブローホールが発生した。
No.6およびNo.7の比較例は、溶接金属幅が本発明で規定する範囲から低く外れた条件でSn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接を行ったため、溶接金属のSnめっき成分の偏析に起因して継手強度が大きく低下した。
No.8の比較例は、溶接金属溶け込み深さが本発明で規定する範囲から低く外れた条件でSn−Zn系めっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接を行ったため、継手強度が低下した。
Figure 2005324235
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Figure 2005324235
Figure 2005324235
本発明の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の溶接継手の作製方法を示す図である。 本発明の溶接金属幅と溶接金属溶け込み深さを示す図である。 本発明のフランジ部における間隙G1、G2とフランジ長さFLを示す図である。 各めっき鋼板ヘリ継手レーザー溶接継手における平均の溶接金属溶け込み深さと継手強度との関係を示すグラフである。 各めっき鋼板ヘリ継手レーザー溶接継手における平均の溶接金属幅と継手強度との関係を示すグラフである。 Sn−Zn系めっき鋼板溶接部の乖離破面の組織の顕微鏡写真である。 Sn−Zn系めっき鋼板ヘリ継手レーザー溶接継手における溶接金属幅とSn偏析度との関係を示すグラフである。 各めっき鋼板ヘリ継手レーザー溶接継手における(G2−G1)/FL×100と継手強度との関係を示すグラフである。 各めっき鋼板ヘリ継手レーザー溶接継手における(G2−G1)/FL×100の値と溶接金属のブローホール発生度数との関係を示すグラフ。 ツインビームレーザー溶接時の端面におけるビーム照射位置を示す図である。 ツインビームを用いた場合のSn−Zn系めっき鋼板ヘリ継手レーザー溶接継手におけるL1+L2+(D1+D2)/2の値と、継手強度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1、2:半殻体
1a、2a:半殻体の周縁フランジ部
3:レーザービーム
4:レーザートーチ
5、6:試験片
5a、6a:試験片のフランジ部
7:フランジの端面間
8:レーザービーム
9:溶接金属
10:レーザービーム
11:レーザービーム
A:レーザー照射方向
B:引張試験の引張方向
C:レーザービームの進行方向(周縁フランジに対する相対的な方向)
FL:フランジ長さ
G1:フランジ端面間の隙間
G2:フランジ内面側の隙間
D1、D2:2ケに分割されたレーザービームの集光径
X:ビーム進行方向
Y:ビーム進行と垂直な方向(端面間の中心線上にXY軸の原点を取る)
L1−2:2ケのレーザービームの中心間距離
L1,L2:鋼板重ね合わせ端面間の中心から、2ケのレーザービームの中心までの距離
d:溶接金属の溶け込み深さ
S:溶接金属の断面の面積
W:溶接金属の断面幅

Claims (3)

  1. Al系めっき鋼板、または、Zn−Ni系めっき鋼板を成型してなる一対の半殻体の周縁フランジ部を重ね合わせた後、該重ね合わせ部の端面における隙間G1と、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2との関係が下記(1)式を満足する条件で、前記端面に向けてレーザーを照射し、かつ、該端面に平均の溶接金属溶け込み深さが、前記重ね合わせ部の平均の全板厚に対して50%以上の溶接金属を形成することを特徴とするめっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法。
    1≦(G2−G1)/FL×100 ・・・(1)
  2. Sn−Zn系めっき鋼板を成型してなる一対の半殻体の周縁フランジ部を重ね合わせた後、該重ね合わせ部の端面における隙間G1と、端面からフランジ長さFLだけ離れた位置における隙間G2との関係が下記(1)式を満足する条件で、前記端面に向けてレーザーを照射し、該端面に平均の溶接金属幅が0.5mm以上で、かつ、平均の溶接金属溶け込み深さが、前記重ね合わせ部の平均の全板厚に対して50%以上の溶接金属を形成することを特徴とするめっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法。
    1≦(G2−G1)/FL×100 ・・・(1)
  3. 前記レーザーが2つのレーザービームからなり、各レーザービームの集光径D1,D2の中心が前記端面間の中心に対して相対する位置にあり、かつ前記端面間の中心から各レーザービーム集光径の中心までの距離L1、L2、および、各レーザービーム集光径D1,D2との関係が下記(2)式を満足することを特徴とする請求項2に記載のめっき鋼板のヘリ継手レーザー溶接方法。
    0.6≦L1+L2+(D1+D2)/2<1.5 ・・・(2)
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