JP2004261849A - 金属板材のレーザー溶接方法及びレーザー溶接用金属板材 - Google Patents

金属板材のレーザー溶接方法及びレーザー溶接用金属板材 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性や防錆性能を犠牲にすることなく、溶接欠陥が少なくかつ溶接部外観の優れたレーザー重ね溶接方法及びレーザー重ね溶接に適した金属板材を提供する。
【解決手段】一つの金属板材に微小な屈曲部4を形成し、重ね合わされる金属板材の間に屈曲部による隙間5を保持して、屈曲部に沿ってレーザー溶接する。重ね合わせる鋼板の屈曲部の角度合計を0.2〜3°の範囲に制御する、安定して良好な溶接性を得られる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属板材のレーザー重ね溶接方法及びレーザー重ね溶接用金属板材に関する。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛系めっき鋼板は、自動車、家電、建材等、幅広い分野で使用されているが、長期間の防錆効果を確保する目的からは、厚目付けのめっきが有効である。特に、腐食環境が厳しい自動車用のめっき鋼板としては、めっき付着量40g/m以上の厚目付け亜鉛系めっき鋼板が広く使用されている。亜鉛系めっきとしては、Zn中に微量のAlやその他不可避不純物を含有する純亜鉛系の溶融亜鉛めっき鋼板、実質的にZn及び不可避不純物からなる電気亜鉛めっき鋼板、Zn中にFeを5〜20%程度含有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板が主流である。
【0003】
しかし、これらの亜鉛系めっき鋼板は、総じて溶接性が劣るという難点がある。溶接性は、溶接方法と密接な関係があるが、レーザー重ね溶接においても、亜鉛系めっき鋼板は溶接性が劣るという課題がある。ここで、レーザー重ね溶接とは、2枚あるいはそれ以上の鋼板を重ね、鋼板表面にほぼ垂直な方向からレーザービームを照射して、キーホール溶接する方法をいう。亜鉛系めっき鋼板では、2枚の鋼板の間に存在するめっき金属がレーザービームで加熱され、亜鉛が溶融・気化して蒸発し、この亜鉛蒸気の圧力によって、溶融池の溶鋼がスパッタとして吹き飛ばされて、ビードを貫通する欠陥(ピット)を生じたり、亜鉛蒸気が溶鋼中に閉じ込められて凝固することによる、ブローホールを生じたり、といった欠陥が多発する。従って、亜鉛系めっき鋼板を高品質にレーザー重ね溶接することは困難であった。
【0004】
かかるレーザー重ね溶接における課題を解決する手段として、例えば、以下の技術が提案されている。特開平4−321190号公報(特許文献1)には、前処理工程で予め亜鉛系めっきを加熱して除去した後に、レーザー重ね溶接する方法が開示されている。しかし、この方法では、工程が2つ以上必要である上に、合わせ部の耐食性に課題が生ずる、という難点がある。
特開平3−165994号公報(特許文献2)には、予めめっき鋼板の重ね面にレーザーを吸収する材料を塗布しておく方法が開示されている。しかし、この方法においても、工程が2つ以上必要であり、生産性及びコストの点で課題がある。
【0005】
特許第3139325号公報(特許文献3)には、Zn−Ni系合金めっき鋼板のめっき付着量と鋼板板厚との関係を限定することで、レーザー溶接における溶接欠陥が少なく、かつ溶接部外観の優れたZn−Ni系合金めっき鋼板が開示されている。しかし、この技術では、例えば、板厚が0.6mmではめっき付着量を15g/m以下としなければならず、亜鉛系めっき鋼板の最大の機能である耐食性が犠牲となり、厳しい腐食環境で長期間使用される自動車の耐久性が確保できない、という難点がある。
【0006】
一方、レーザー溶接される鋼板の間に隙間を設けることにより、蒸発する亜鉛を逃がして良好な溶接性を得る方法も、特開平7−155974号公報(特許文献4)、特開2001−162391号公報(特許文献5)、特開2001−162387号公報(特許文献6)、特開2001−162388号公報(特許文献7)、特許2571976号公報(特許文献8)等、いくつか報告されている。しかし、これらは、いずれも、溶接される鋼板の間の鋼板上に凸部を設けることにより、鋼板間に隙間を確保する方法であり、隙間の最小値を制御するには好適であるけれども、隙間の最大値を制御することは困難な方法であった。レーザー溶接においては、溶接される鋼板と鋼板の隙間が大きくなると、溶け落ち不良を生じるため、これら鋼板間に凸部を設けて隙間を設ける方法は、レーザー溶接における鋼板間の隙間制御において、片手落ちの方法であった。
【0007】
鋼板の隙間を制御するレーザー溶接方法として、特開平4−327385号公報(特許文献9)には、鋼板のどちらか一方に、溶接線に沿った溝状のガス抜き部を形成してから、溶接する方法が開示されている。この方法は、ガス抜き部以外を密着させることで設定した隙間量を制御できる点は優れているが、ガス抜き部を予定する溶接線に沿って形成する方法、及び、その形成したガス抜き部に沿って実際にレーザー溶接する方法に困難があり、例えば、複雑な部品形状の周囲を複雑な曲線の溶接線を持って溶接するような場合、そのガス抜き部形成及びそのガス抜き部に沿った溶接のいずれにも、加工上や制御上の困難があり、実現できてもコスト高になる、生産性が悪くなると言う問題点があった。
【0008】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開平4−321190号公報)
(2)特許文献2(特開平3−165994号公報)
(3)特許文献3(特許第3139325号公報)
(4)特許文献4(特開平7−155974号公報)
(5)特許文献5(特開2001−162391号公報)
(6)特許文献6(特開2001−162387号公報)
(7)特許文献7(特開2001−162388号公報)
(8)特許文献8(特許2571976号公報)
(9)特許文献9(特開平4−327385号公報)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、亜鉛系めっき鋼板を含む金属板材を重ね溶接するレーザー溶接方法において、生産性や防錆性能を犠牲にすることなく、溶接欠陥が少なく、かつ、溶接部外観の優れたレーザー重ね溶接方法及びレーザー重ね溶接に適した金属板材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、レーザー重ね溶接による亜鉛系めっき鋼板の溶接継ぎ手部について、溶接欠陥を低減し、優れた溶接部外観と継ぎ手強度を確保するための溶接方法及びそれに適した鋼板について、種々の検討と実験を続けた結果、ついに簡便で低コストな方法で鋼板間の隙間を制御し、溶接欠陥を低減し、優れた溶接部外観と継ぎ手強度を確保できる溶接方法を見出した。
【0011】
本発明は、こうした知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)亜鉛系めっき鋼板を含む金属板材を重ね溶接するレーザー溶接方法であって、少なくとも一つの金属板材に屈曲部を形成し、重ね合わされる金属板材の間に該屈曲部による隙間を保持して、該屈曲部に沿ってレーザー溶接することを特徴とする金属板材のレーザー溶接方法。
(2)前記屈曲部の重ね合わせ面側に、前記屈曲部に沿って凹部をさらに形成する(1)のレーザー溶接方法。
(3)前記屈曲部の屈曲角度の合計が0.2〜3°の範囲である(1)又は(2)に記載のレーザー溶接方法。
【0012】
(4)亜鉛系めっき鋼板を含む金属板材の重ねレーザー溶接に供される金属板材であって、重ね合わせた時にレーザー溶接される部分の金属板材の間に隙間を保持するための屈曲部を形成したことを特徴とするレーザー溶接用金属板材。
(5)前記屈曲部の重ね合わせ面側に、前記屈曲部に沿って凹部をさらに形成した(4)記載のレーザー溶接用金属板材。
(6)前記屈曲部の折れ角度の合計が0.2〜3°の範囲である(4)又は(5)に記載のレーザー溶接用金属板材。
(7)前記金属板材が亜鉛系めっき鋼板である(4)〜(6)のいずれかに記載のレーザー溶接用金属板材である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
発明者らは、種々のめっき鋼板、具体的には、めっき種としては、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気Znめっき鋼板、Zn−Ni合金電気めっき鋼板、Zn−Fe合金電気めっき鋼板等の亜鉛系めっき鋼板で、めっき付着量としては、片面あたり20〜80g/m、板厚としては、0.7〜2.3mmの鋼板を用い、種々の溶接条件でレーザー重ね溶接実験を行ない、溶接部外観とスパッタ発生量を調べた。
【0014】
ここで、スパッタ発生量は、溶接前後の試験片質量の減少量として求めたものであり、レーザー重ね溶接によって蒸発した金属や溶接線以外の部分に付着した金属の量の合計に相当する。スパッタ発生量が増加するのに従って、溶接部に存在する金属量が減少し、溶接継ぎ手の信頼性が低下するが、発明者らが別途調べた結果では、スパッタ発生量が溶接部溶融金属量のおよそ20%以下であれば、溶接継ぎ手部の継ぎ手強度は母材とほぼ同等であり、この範囲であれば継ぎ手の信頼性が確保できると考えられる。溶接部が全く健全な場合でも、母材及びめっきの一部が蒸発するので、試験片質量の減少量は0にはならない。
【0015】
数多くの実験結果について整理した結果、健全な溶接部を得るための条件は、2枚の鋼板の重ね合わせ面での「隙間」と「鋼板板厚」と重ね合わせ面での亜鉛の「合計付着量」の3者と非常に密接な関係があることを明らかにした。特に、健全な溶接部を得るために重要な条件は、従来から言われているようなめっき層全体の付着量ではなく、めっき層中の亜鉛の合計付着量が非常に重要であること、さらに2枚の鋼板の重ね合わせ面の隙間をX(mm)、鋼板板厚をY(mm)、重ね合わせ面の亜鉛の合計付着量をZ(g/m)とした時、
X≧Z/(4800×Y)
を満足すると、図1及び図2に示すように、溶接部外観が顕著に向上し、スパッタ発生量が格段に低減できることを見出した。
【0016】
このように、重ね合わせ面に一定の隙間を設けることが、亜鉛めっき鋼板のレーザー重ね溶接には重要であるが、鋼板間に一定の隙間を確保することは、例えば、工場のラインで、ロボットにより部品をレーザー溶接していくような場合には難しい。そこで、本発明者らは、図3にその模式図を示すように、鋼板に微小な屈曲部を与え、この屈曲部により鋼板間に一定の隙間を実現することを発明した。図3〜5の模式図では、屈曲部を強調するために誇張しているが、実際には目に見えるかどうかといった程度の屈曲で、十分な隙間を保持出来ることを見いだした点が、本発明の画期的な特徴の一つである。
【0017】
鋼板に微小な屈曲部を与えるには、例えば、凸部を持つ金型でプレス加工すればよく、容易でかつ再現性良く一定の屈曲をもったレーザー溶接用のめっき鋼板を成型できる。また、実際には屈曲の程度が若干ばらついても、屈曲部が形成された鋼板を溶接時に屈曲部周囲が密着するよう保持すれば、密着部と溶接部の距離を制御することでほぼ一定の隙間を保持できるため、制御された隙間量の実現は容易である。例えば、屈曲が非常に微小でも、大きな部材で鋼板と鋼板を小さな力で押さえて溶接すれば、十分な隙間が生じるし、大きな屈曲を与えても、十分に溶接線の近くを強い力で押さえて溶接すれば、隙間が大きすぎて溶け落ちによるビード不良を生じることも防げる。
【0018】
しかし、施工の容易さや部材のサイズの制限、過度な歪みを鋼板に与えたくない等の条件によっては、望ましくは、重ね合わせる鋼板の屈曲部の角度合計を0.2〜3°の範囲に制御することにより、安定して良好な溶接性を得られる。0.2°より少ないと、必要な隙間の大きさが確保できなくなる可能性があり、3°超では、隙間が開きすぎたり、周囲の鋼板を密着させるために必要な荷重が大きくなり、コストが増大したり、作業性が劣化したりする場合が生じやすくなる。
【0019】
ここで、屈曲部の角度合計とは、例えば、2枚のめっき鋼板を重ね溶接する場合、図4(a)の断面模式図に示すように、1枚のみに折れ曲がりを形成するのであれば、その1枚の屈曲の角度9のことであり、図4(b)のように、2枚共に屈曲を形成する場合には、その2枚の屈曲の角度9、9’の合計のことである。例えば、1枚について0.15°の屈曲の角度であっても、2枚とも0.15°の屈曲の角度であれば、合計0.3°の屈曲の角度となり、安定した隙間形成能を発揮し、安定したレーザー溶接性を得られる。また、これら模式図では、屈曲部の存在することを強調するために、屈曲を誇張して示しているが、実際の屈曲は微小な範囲で良いので、鋼板に大きな加工歪みを与えることも、形状のゆがみを生じることもほとんど無い。
【0020】
金属板材の屈曲部は、レーザー溶接前に形成形成されていれば良く、特に形成時期を限定するものではない。例えば、金属板段階であっても良いし、金属板を部品形状に成形する途中の工程であっても良く、あるいは部品形状に成形した後でレーザー重ね溶接する前であっても良く、いずれも効果が発揮される。
金属板表面に微小な折れ曲がりを形成する手段としては、凸部を持つ金型でプレス加工する以外にも、例えば、金属板に付与したい屈曲形状を反転させた形状を有する金型やロールを金属板表面に押し付けて転写する手段等があるが、図5の(c)や(d)に、その断面形状を示すように、屈曲部の重ね合わせ面側に屈曲部に沿って1列あるいは2列の突起を持つ金型でプレスすることで、微小な屈曲と微小な凹部の両方を金属板に付与可能であり、このような凹部と屈曲部を両方使用する方法は、一定以上の隙間を確保できる面積が広いという観点からも望ましい方法である。
【0021】
発明者らは、既に、凹部のみを形成してレーザー溶接性を付与する方法を、特願2002−100525号で提案しているが、屈曲と凹部形成を併用する方法では、凹部のみを形成する場合よりも凹部の深さは浅くても、十分な効果を発揮する。例えば、本法に規定する範囲の屈曲を与えていれば、凹部の深さは凹部のみの場合に必要な深さの半分以下で良好なレーザー溶接性を確保でき、かつ、屈曲のみの場合よりも、屈曲部とレーザー溶接部がずれた場合等に更に安定してレーザー溶接性を確保できる。しかしながら、屈曲と凹部形成の両者の効果を十分に有効に組み合わせるためには、凹部の深さは特願2002−100525号で提案した深さの半分、つまり、鋼板板厚をY(mm)、重ね合わせ面の亜鉛の合計付着量をZ(g/m)とした時、2枚の鋼板の凹部深さの合計≧Z/9600×Y)を満足し、その凹部の溶接線直交方向の幅としては溶接ビード幅の倍程度以上であることが望ましい。
【0022】
本発明が対象とする亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛又は亜鉛を主体とする合金を鋼板表面(両面又は片面)にめっきしたものであり、製法は、工業的には溶融めっき、電気めっきが主流であるが、蒸着めっき等の他の製造方法であっても、もちろん構わない。亜鉛系めっき鋼板の鋼板母材は、通常自動車その他の製品に使われる鋼板であれば、すべて本発明の対象であり、特に鋼板の組成・組織・強度・延性等を限定するものではない。なお、本発明の溶接方法においては、上記めっき鋼板のめっき面が、重ね合わせ部の重ね合わせ面側に少なくとも存在するものである。また、亜鉛系めっき鋼板とレーザー溶接する相手材は、亜鉛系めっき鋼板である必要はなく、鋼板や他の金属板であっても良い。また、前述の屈曲部や凹部は、必ずしも亜鉛系めっき鋼板に設ける必要はなく、重ね合わせをする相手材の金属板に設けてあっても良い。
【0023】
なお、上下板ともに屈曲部を有するが、片方の板の方が屈曲角が大きく、もう片方の板の屈曲角が小さい場合であって、どちらも同じ方向に屈曲を配置して隙間を形成した場合にも、屈曲角の差が本法の範囲にある場合は、溶接条件だけを考慮すれば、良好な溶接体を得ることができる。ただし、そのような配置では、少ないとはいえ、屈曲形状が溶接後の最終形状に残されるので、設計上、多少の屈曲があっても構わない部位、あるいは本来屈曲部である部位で溶接する場合に、本発明を適用した例と考えられる。
【0024】
【実施例】
図5(a)〜(d)に、本発明の屈曲形状の実施例を模式図で示す。図5は、1枚の金属板に成型した折れ曲がりを溶接線に直交する断面で表示した図であるが、屈曲していることを強調するため、屈曲角度については誇張して表示している。実際に実施例に使用した角度は、表1に示した。図5の4種の形状は、それぞれ、(a)1カ所で屈曲している形状、(b)2カ所で屈曲している形状、(c)1カ所の凹部と屈曲部を持つ形状、(d)2カ所の凹部と屈曲部を持つ形状、のそれぞれの実施例である。(a)及び(b)は、ノッチ状の金型で順次微小な折り曲げを与え、(c)及び(d)は、それぞれ1列及び2列の幅0.5mm、2列の場合は間隔1mmの凸形状を備えた金型で、0.01mmの深さの凹部成形と同時に屈曲を付与した。
【0025】
これらの鋼板への折り曲げ形状のレーザー溶接性に及ぼす効果を明らかにするため、表1に示す金属板を、表1に示す条件でレーザー重ね溶接に供した。なお、表1におけるめっき付着量は、めっき層全体の量であるので、重ね合わせ面に存在するめっき中の亜鉛の量としては、上板、下板それぞれの付着量に、それぞれの亜鉛含有率を乗じて足し併せた量となる。
溶接はYAGレーザーで行い、出力は2kWであった。溶接速度は2.5m/分であった。金属板は、表1に示す組み合わせで、2枚重ね合わせ、ビード中心から両側に6mmずつ離れた部分で、隙間無く密着するように保持した。
【0026】
スパッタ発生量は、溶接前後の試験体全体の質量変化を測定し、溶接線長さ50mm当たりの質量変化に換算して表示した。ここで、溶接後に溶接部以外の金属板表面に付着したスパッタを残したままで試験片質量を測定すると、スパッタ発生量に誤差を生ずるので、これらのスパッタを除去してから、溶接後の試験片質量を測定した。
溶接部外観は、目視により、下記基準で評価した。
○:ビード全線に渡って外観が良好
△:一部ビード形状が悪い部分がある
×:大部分でビード形状が悪い
【0027】
【表1】
Figure 2004261849
【0028】
表1から、本発明例は、いずれも溶接部外観が良好であり、スパッタ発生量が非常に少ないことがわかる。これに対して、本発明の要件を満足しない比較例では、溶接部外観が不良であり、スパッタ発生量が非常に多い。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のレーザー溶接方法及びレーザー溶接用金属板材は、健全で信頼性の高いレーザー重ね溶接部を提供するものであり、自動車、建築・住宅、等に広く適用することが可能で、産業の発展に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】2枚の鋼板間の隙間XとZ/(4800×Y)値(ここで、Zは合わせ面に存在する亜鉛量の合計付着量、Yは薄い方の鋼板の板厚)と、スパッタ発生量の関係図。
【図2】2枚の鋼板の間の隙間XとZ/(4800×Y)値(ここで、Zは合わせ面に存在する亜鉛量の合計付着量、Yは薄い方の鋼板の板厚)と、溶接部外観の関係図。
【図3】本発明によるレーザー溶接法の模式図。
【図4】本発明の溶接方法に用いる鋼板の重ね合わせ部の模式図。
【図5】本発明の溶接方法に用いられる屈曲部の他の模式図である。
【符号の説明】
1 上板
2 下板
3 亜鉛系めっき層
4 屈曲部
5 隙間
6 溶接用レーザービーム
7 溶接方向
8 溶接ビード
9,9’ 屈曲部の角度
10 凹部

Claims (7)

  1. 亜鉛系めっき鋼板を含む金属板材を重ね溶接するレーザー溶接方法であって、少なくとも一つの金属板材に屈曲部を形成し、重ね合わされる金属板材の間に該屈曲部による隙間を保持して、該屈曲部に沿ってレーザー溶接することを特徴とする金属板材のレーザー溶接方法。
  2. 前記屈曲部の重ね合わせ面側に、前記屈曲部に沿って凹部をさらに形成する請求項1のレーザー溶接方法。
  3. 前記屈曲部の屈曲角度の合計が0.2〜3°の範囲である請求項1又は2に記載のレーザー溶接方法。
  4. 亜鉛系めっき鋼板を含む金属板材の重ねレーザー溶接に供される金属板材であって、重ね合わせた時にレーザー溶接される部分の金属板材の間に隙間を保持するための屈曲部を形成したことを特徴とするレーザー溶接用金属板材。
  5. 前記屈曲部の重ね合わせ面側に、前記屈曲部に沿って凹部をさらに形成した請求項4記載のレーザー溶接用金属板材。
  6. 前記屈曲部の折れ角度の合計が0.2〜3°の範囲である請求項4又は5に記載のレーザー溶接用金属板材。
  7. 前記金属板材が亜鉛系めっき鋼板である請求項4〜6のいずれかに記載のレーザー溶接用金属板材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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