JP5639453B2 - てこ式検出器、スタイラス、及びスタイラス自動交換装置 - Google Patents
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Description
表面粗さ測定装置を使用するにあたっては、予め、通常のスタイラスのほかに、被測定物の測定部位形状に対応して用意された各種形状のスタイラスが用意されているから、被測定物の測定部位形状に適したスタイラスに交換したのち、測定を行う。例えば、小孔の表面粗さを測定する場合には、小孔測定用スタイラスに、あるいは、深い溝の表面粗さを測定する場合には、スタイラス長さが長い深溝測定用スタイラスなどに交換したのち、測定を行う。
スタイラスの交換作業は、従来、測定者によって行われている。これには、測定者が、測定作業を一旦中断し、現在使用中のスタイラスを検出器から取り外したのち、新たなスタイラスを検出器に装着して、測定作業を再開していた。
そこで、三次元測定機などで利用されているオートプローブチェンジャーを表面性状測定装置に適用することが考えられる。つまり、複数種のスタイラスを格納した交換ラックを測定装置に設置して、検出器のスタイラスを自動的に交換するというものである。
被測定物と接触する接触部を有したスタイラスと、
前記スタイラスを揺動自在に支持するスタイラスホルダと、
前記スタイラスの揺動変位を検出する変位検出手段と、を備え、被測定物の表面性状を測定するために前記スタイラスの揺動変位を取得するてこ式検出器であって、
前記スタイラスは、先端に前記接触部を有する長尺状のスタイラス本体と、該スタイラス本体の基端に設けられ前記スタイラスホルダに着脱自在な着座体とを有する場合に、
複数種のスタイラスを手動で交換する作業の負担を軽減できるてこ式検出器、およびそのスタイラス、さらには、てこ式検出器に対して複数種のスタイラスを自動で交換できるスタイラス自動交換装置を提供することにある。
前記スタイラスホルダには、前記スタイラスの揺動中心となる軸体が設けられ、
前記着座体には、前記スタイラスホルダから切り離された状態の前記スタイラス全体の重心が位置しており、かつ前記スタイラスを装着する際に前記スタイラスの重心まで前記軸体を案内する切欠部が形成されている。この切欠部の形状は、略U字、略V字、略L字など特に限定されない。
そして、該切欠部によって前記軸体が前記重心まで案内された状態で、前記スタイラスホルダに前記着座体が着脱自在に保持され、前記スタイラスが軸体周りに揺動自在となることを特徴とする。
なお、本発明においてスタイラスホルダに設けられる軸体は、このホルダに回転自在に支持されたものでもよく、ホルダに固定支持されたものでもよい、後者の場合、固定された軸体の中心軸周りに後述の揺動体が回転することになる。
ここで、着座体の係止片部が交換ラックの被係止片部を係止する動作と、保持されたスタイラスがスタイラスホルダから離脱する動作とは連係して実行される。つまり、スタイラスをスタイラスホルダから離脱させる際、スタイラスホルダを交換ラックに接近させて、まず被係止片部に係止片部を係止させる。この係止状態を保って検出器を交換ラックから離間させると、着座体がスタイラスホルダから離脱するから、スタイラスを交換ラックに格納できる。反対にスタイラスをスタイラスホルダに装着させる際、スタイラスホルダを交換ラックに接近させてスタイラスホルダの軸体をスタイラスの重心まで案内して、スタイラスの着座体をスタイラスホルダに装着させる。その後、被係止片部と係止片部との係止が解除される方向にスタイラスホルダを移動させて、交換ラックからスタイラスを取り出せばよい。
この保持用弾性体は、その基端が前記支持体に回転自在に支持され、かつ前記スタイラスを前記スタイラスホルダに装着の際、先端が前記着座体によって押され、回転しながら弾性変形を生じ、発生した弾性力で前記着座体を前記該揺動体に押し付けて保持することが好ましい。
前記てこ式検出器を前記交換ラックに対して接近、離間する方向へ駆動させる検出器駆動機構と、制御装置とを備え、
前記制御装置は、スタイラス交換指令が与えられた際、前記検出器駆動機構を制御しながら、前記スタイラスホルダと前記交換ラックとの間でスタイラス交換動作を実行することを特徴とする。
前記交換ラックは、該着座体の平坦面上で前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向に直交する方向へ前記てこ式検出器を移動させる際に、前記着座体に設けられた係止片部と係止しながら前記スタイラスを収納位置まで導くための、前記てこ式検出器の移動方向に延びた被係止片部と、
前記スタイラスが収納位置にある状態で、前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向への前記スタイラスの移動を規制する規制片部と、を有し、
前記スタイラスが収納位置にある状態で、前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向へ前記検出器が移動することにより、前記スタイラスだけが前記交換ラックに格納されることが好ましい。
前記交換ラックは、該着座体の平坦面上で前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向へてこ式検出器を移動させる際に、前記着座体に設けられた係止片部と係止しながら、前記スタイラスを収納位置まで導くための、前記てこ式検出器の移動方向に延びた被係止片部と、
前記スタイラスが収納位置にある状態で、前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向への前記スタイラスの移動を規制する規制片部と、を有し、
前記規制片部が、前記スタイラスの移動を規制するために前記着座体を係止する係止位置と、前記着座体の係止を解除する解除位置との間を進退可能に設けられ、前記スタイラスが収納位置にある状態で、前記規制片部が係止位置に維持され、前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向へ前記検出器が移動することにより、前記スタイラスだけが前記交換ラックに格納されることが好ましい。
本発明においては、スタイラスの揺動軸である軸体をスタイラスの重心まで案内する切欠部を前記スタイラスの着座体に形成した。装着の際にこの切欠部を通ることによって、軸体がスタイラスの重心までアクセス可能に構成されている。従って、どのスタイラスの重心も、てこ式検出器の揺動中心である軸体と同軸上に設定されるから、異なる種類のスタイラスに交換した後も、揺動体を含めたスタイラス全体のバランスが崩れず、交換前と同じ測定力で測定を継続できる。特に精密測定において、交換後のスタイラスのバランス調整が不要となり、検出器にバランス調整用機構を内蔵させる必要もない。
また、この保持用弾性部材は、その基端が支持体に回転自在に支持され、かつ装着の際、先端が着座体によって押され、回転しながら弾性変形を生じ、発生した弾性力で着座体を該揺動体に押し付けて保持するようになっているから、着座体を挿入するだけで揺動体に保持させることができ、また、着座体を引き抜くだけで揺動体から離脱させることができる。このように、スタイラスの保持機構をいわゆるトグル機構で構成したことで、交換作業が容易となる。
さらに、弾性体の先端が着座体に押されるまでは、弾性体に弾性力が生じず、先端が着座体に押されてから弾性体が回転しながら弾性変形が進み、徐々に着座体に作用する弾性力が増大する。そして、弾性体が所定の回転位置に達したら、所定の保持力で着座体を揺動体に保持するようになっている。このようにトグル機構の動作では、スタイラスの着座体が弾性体の先端に接触した後、短い移動距離を進んでから、揺動体に完全に保持される。この短い移動距離を進む間に、例えば着座体と揺動体との位置決めを実行することで、スタイラスを正確に位置決めしてから、スタイラスを保持することが可能となる。
さらに、複数の球部のうち少なくとも2個は、着座体に回転支持され、かつ装着の際に揺動体に形成された溝に沿って案内されるから、軸体を正確にスタイラスの重心まで案内できる。従って、揺動体と着座体の位置関係を正確に再現することができ、スタイラスの交換による測定値のバラツキが減少する。
図1は、本発明の第1実施形態の真円度測定装置を示す斜視図である。
本実施形態の真円度測定装置は、図1に示すように、ベース10と、このベース10上の一側に垂直軸線Lを中心に回転可能に設けられ上面に被測定物Wを載置する回転テーブル20と、てこ式検出器30と、この検出器30を垂直軸線L方向および垂直軸線Lに対して直交する方向でかつ回転テーブル20に対して接近、離間する方向へ駆動させる検出器駆動機構40と、制御装置50とを備える。
第1スライド駆動機構45についても、スライドアーム44を垂直軸線Lに対して直交する方向でかつ回転テーブル20に対して近接、離間する方向へ駆動できる機構であれば、どのような機構でもよい。例えば、スライドアーム44の長手方向に沿ってラックを形成し、このラックに噛み合うピニオンおよびこのピニオンを回転させるモータなどを昇降スライダ42内に設けた構成であってもよい。
制御装置50のプログラム記憶部51に記憶された測定プログラムによって、測定指令が制御装置50に与えられると、検出器駆動機構40が駆動される。つまり、昇降駆動機構43および第1スライド駆動機構45の駆動により、検出器30が被測定物Wに接近する方向へ移動され、検出器30のスタイラス31が被測定物Wに接触される。また、必要に応じて旋回駆動機構47の駆動により、検出器30の姿勢が変更される。この状態において、回転テーブル20が回転駆動されると、被測定物Wの真円度に応じて検出器30のスタイラス31が変位されるから、そのスタイラス31の変位がスタイラスホルダ32によって電気信号として検出されたのち、制御装置50に取り込まれる。制御装置50は、とり込んだ測定データをデータ記憶部52に記憶したのち、これらのデータから真円度を演算し、その結果を表示装置53に表示し、かつ、必要に応じてプリントアウトする。
以降、本発明において特徴的な検出器30のスタイラス着脱機構について、図2〜7に基づいて説明する。まず、図2(A)に検出器30の斜視図、同図(B)にその内部構造を示す。
検出器30は、図2(A)に示すようにスタイラスホルダ32に設けられた揺動軸受32Aの周りに揺動自在に支持されたスタイラス31を有している。同時に検出器30は、スタイラス31を着脱させる機構も備えている。そのため、検出器30は、図2(B)に示すように揺動軸となる軸体36周りに回転支持され、かつスタイラス31を着脱自在に保持する板状揺動体37を有する構造となっている。
スタイラス本体33は長尺の円柱形状であり、円柱先端に接触部33Aである2つの超鋼球が固定されている。2つの超鋼球は、円柱先端の側周面に180度間隔で半分ほど埋め込まれて固定されている。図示したスタイラス31は、種々あるスタイラス31の一例に過ぎず、スタイラス本体33の長尺方向の長さ寸法、円柱の径寸法はスタイラス31の種類ごとに異なっている。また、接触部33Aについても、例えば、円柱先端に超鋼球が1つだけ固定されたスタイラスもある。また接触部33Aの形状も球に限らず、球状の先端をもつ円錐形状でもよい。また接触部33Aの材質はサファイヤなどでもよい。
着座板体34の本体部34Aには、その平坦面に略U字形の切欠部34Eが形成されている。この切欠部34Eは、図7(A)に示すように、スタイラス31の重心を含む範囲に形成されている。言い換えると、スタイラス31全体の重心が略U字形の切欠部34Eに位置している。また、切欠部34Eの中心軸Mに直交する方向の幅寸法Pは、スタイラスホルダ32の円柱状軸体36の径寸法よりも大きい。さらに、切欠部34Eの中心軸Mはスタイラス本体33の中心軸と一致しているから、スタイラスホルダ32にスタイラス31を装着する際、切欠部34Eは軸体36を重心まで案内できるようになっている。なお、本実施形態では切欠部34Eの形状を略U字形としたが、この形状は、略V字形、略L字形などでもよく、少なくとも軸体36を重心まで案内できる形状であればよい。
切欠部34Eには、その略U字形の内側の互いに向き合う両側面に、一対の窪み部34Fが形成されている。切欠部34Eの幅寸法P(図7(A)参照)に対して、窪み部34Fの幅寸法Qは大きい。窪み部34Fは、切欠部34Eの中心軸Mに沿って切欠部全体に形成されているのではなく、図7(A)の上側の開口部から中心軸Mに沿って切欠部34Eの略中央までの範囲に形成されている。また、窪み部34Fは、図3に示すように重心軸Nに沿って着座板体34の厚さ方向の全体に形成されているのではなく、着座板体34の係止片部34Bが設けられた表面から重心軸Nに沿って着座板体34の厚さ寸法の8割程度までの範囲に形成されている。このため窪み部34Fの内側面として、図6(C)に拡大して示すように、第1当接面34Gと第2当接面34Hとが形成される。第1当接面34Gは、窪み部34Fにおいて切欠部34Eの中心軸Mに直交する面であり、第2当接面34Hは、窪み部34Fにおいてスタイラス31の重心軸Nに直交する面である。
2つの位置決めボール34Cは、略U字形の切欠部34Eの中心軸M(図7参照)に平行に並んで配置されている。スタイラス31の装着の際、これら2つの位置決めボール34Cは、スタイラスホルダ32の板状揺動体37に形成されたV溝37Cに沿って転動するようになっている。
一方、切欠部34Eを挟んで上記の2つの位置決めボール34Cと反対側の着座板体34に配置された1つの位置決めボール34Cは、V溝37Cと平行に形成された位置決め用平面部37Dに沿って転動するようになっている。
板状揺動体37は、スタイラス31の装着部で、かつ軸体36を固定する幅広の板部37Aと、この幅広の板部37Aと一体形成された幅狭の板部37B(図示一部省略)とを有する。図4(B)に示すように装着後の状態では、幅広の板部37Aと着座板体34とが、軸体36の軸方向に並んで配置される。
また、幅狭の板部37Bの回転変位が変位検出手段71によって検出される。変位検出手段71として差動変圧器を用いるが、他に歪みゲージや容量式センサなどスタイラス31の作動の負荷とならないものを選択してもよい。
幅狭の板部37Bには、回転力付与手段72によって軸体36周りの回転力が付与される。回転力付与手段72としてスプリングを用いるが、他に電動モータや、磁石とコイルからなるボイスコイルにより構成したアクチュエータなども選択できる。
スタイラス31が装着される前の状態では、第1バネ片38Aは図5で実線で示すように板バネ軸材39Cから幅広の板部37Aに向けて延設されており、第2バネ片38Bは第1バネ片38Aの他端部から幅広の板部37Aの表面と平行に軸体36に向けて延設されている。
図4および図6に基づいて着脱機構の動作を説明する。図6は、図4(B)の範囲Iを拡大したものである。
ここでは、図4(A)、(B)に示すように静止したスタイラス31にスタイラスホルダ32を接近させて、スタイラス31を装着させる場合について説明する。作業者がスタイラス31を手動で装着する場合は、静止したスタイラスホルダ32にスタイラス31を接近させることになるが、着脱機構の動作は実質的に変わらない。
まず、スタイラスホルダ32をスタイラス31に接近させて、着座板体34の切欠部34Eの上側開口部に軸体36を挿入させる。この際、着座板体34の位置決め用ボール34Cを板状揺動体37のV溝37Cおよび位置決め平面部37Dに載せて、ボール34CをV溝37Cおよび平面部37Dに沿って転動させれば、軸体36が着座板体34と干渉することなくスムーズに略U字形の切欠部34Eに沿ってスタイラス31の重心まで案内される。
さらに、板状揺動体37の幅広の板部37Aと、板バネ支持体39の第2支持部材39Bとの間に、着座板体34が差込まれる。そして、略U字形の切欠部34Eには、軸体36に続けて、板バネ支持体39の第1支持部材39Aが挿入される(図4(B))。
板バネ38は、着座板体34が挿入される過程で、着座板体34を付勢しない状態と付勢する状態の2つの状態をとり得るようになっているから、板バネ38の弾性力によって板状揺動体37がスムーズに着座板体34を保持できる。
一方、板状揺動体37と第2支持部材39Bとの間から着座板体34を引抜く場合、板バネ38が逆の手順で動作し、着座板体34が板状揺動体37から離脱して、スタイラス31をスタイラスホルダ32から容易に取り外すことができる。
このようなトグル機構では、板バネ38の先端が第2当接面34Hに当接されるまでは、板バネ38の弾性力が生じない。また、板バネ38が第2当接面34Hに当接された後、スタイラスホルダ32が短い移動距離を進んでから、第2当接面34Hを押す弾性力が最大になって、スタイラス31の保持が完了する。この短い移動距離をスタイラスホルダ32が進むまでに、着座板体34と板状揺動体37との位置決めを実行できるから、スタイラスホルダ32にスタイラス31を正確に位置決めした状態で、スタイラス31を保持するという手順が可能となる。
また、3つのボール34Cのうちの2つは装着の際に板状揺動体37のV溝37Cに沿って案内されるから、軸体36を正確にスタイラス31の重心まで案内できる。つまり、軸体36の中心軸をスタイラス31の重心軸Nに一致させることができ、交換前後での板状揺動体37と着座板体34の位置関係を正確に再現することができる。
なお、位置決め用ボール34Cの数量を3としたが、少なくとも3つのボール34Cを一直線上でない三箇所に配置すればよい。また、複数のボール34Cのうちの少なくとも2つのボール34CをV溝37Cに沿って転動可能に配置すればよい。
また、位置決め用ボール34Cを着座板体34に回転自在に設けるのではなく、位置決め用ボール34Cを着座板体34に圧入、または接着によって固定してもよい。
図7(B)のスタイラス31Aは、クランク形測定子と呼ばれ、狭い円周部溝内の面測定に有効である。クランク形測定子では、スタイラス本体33の先端にさらに小径短尺の棒片33Bがスタイラス本体33と直交して設けられ、この棒片33Bの端部に接触部33Cが形成されている。接触部33Cの形状は、球状先端をもつ円錐形状である。
検出器30のスタイラス31を自動交換する場合について説明する。
図8は、図1の真円度測定装置に交換ラック60を取り付けて、それを別方向から見た斜視図である。この真円度測定装置は、図1の装置と比べて検出器アーム46の形状が異なるが、基本的な構成は共通し、本発明のスタイラス自動交換装置に相当する。
図9は、スタイラス31を交換する手順を説明する図であり、図9(A)は交換ラック60からスタイラス31を取り出す前、図9(B)はスタイラス31を取り出した後の斜視図である。
交換ラック60は、ラック台61と、ラック台61上にY方向に移動するラックスライダ62と、このラックスライダ62に立設する3つのストッカ63とを有する。図8には第1ストッカ63Aが着脱位置に位置決めされているが、ラックスライダ62の移動により第2ストッカ63Bおよび第3ストッカ63Cが順次、着脱位置に位置決めされるようになっている。第2ストッカ63Bには異種類のスタイラス31Aが格納されている。
一対の係止片部34Bが、着座板体34において位置決め用ボール34Cを支持する面とは反対側の面から、重心軸N方向に突出して設けられている。すなわち各係止片部34Bは着座板体34の本体部34Aに対して軸体36の中心軸方向にオフセットして設けられている。2つの係止片部34Bは長さが異なり、長い係止片部34Bが着座板体34のZ−方向に、短い係止片部34BがZ+方向に一定間隔で配置されている。各係止片部34Bの長尺方向は、略U字形の切欠部34Eの中心軸の直交方向に平行である。
また、スタイラス31の着座板体34に設けた係止片部34Bが、着座板体34の本体部34Aに対して重心軸N方向にオフセットしているから、例えば図7(B)のような特殊な形状のスタイラス31Aを製作する場合にカウンタバランス部34Dを拡張または縮小する自由度が増大して、特殊形状のスタイラス31Aを容易に製作できる。
プログラム記憶部に記憶されたスタイラス自動交換プログラムによって、スタイラス交換指令が制御装置50に与えられると、検出器駆動機構40が駆動される。つまり、昇降駆動機構43、第1スライド駆動機構45および旋回駆動機構47の駆動により、検出器30が移動され、スタイラスホルダ32と交換ラック60との間でスタイラス交換動作が実行される。
(B)昇降駆動機構43の駆動により、検出器30はZ+方向へ移動されて、交換ラック60から離間される。すると、スタイラス31は係止によってZ方向の移動が規制されているので、スタイラスホルダ32がスタイラス31をストッカ63に残したままZ+方向へ移動する。これにより、検出器30のスタイラス31が交換ラック60に格納される。
(C)昇降駆動機構43の駆動により、スタイラスホルダ32はZ−方向へ移動されて交換ラック60に接近される。すると、スタイラスホルダ32の軸体36がスタイラス31の重心まで案内されて、スタイラスホルダ32の板状揺動体37に着座板体34が装着される。つまり、スタイラスホルダ32に新たなスタイラス31が装着される(図9(A)参照)。
(D)第1スライド駆動機構45の駆動により、検出器30はX−方向へ移動されて交換ラック60から離間される。すると、スタイラス31の上下溝部73、74からストッカ63の上下突板65A、66Aが外れ、係止が解除されるから、交換ラック60からスタイラス31が取り出される(図9(B)参照)。
(E)昇降駆動機構43の駆動により、検出器30はZ+方向へ移動され、元の位置に復帰される。こののち、旋回駆動機構47の駆動によって検出器30が所定の姿勢に旋回されたのち、新たな測定部位の測定が実行される。
このようにスタイラス31はストッカ63に取出可能かつ格納可能に収容される。ここでは、標準的なスタイラス31のほかに、長さの異なるスタイラスなど、被測定物Wの測定部位に対応して用意された複数種のスタイラスが収納される。
図10は、本発明の第2実施形態に係る検出器のスタイラスホルダの部分側面図であり、(A)はスタイラスを装着する前の図、(B)は装着後の図である。図10は第1実施形態の図4に対応している。
検出器は前述と略同じ構成であるが、スタイラスの保持機構が異なり、以下にスタイラスの着座板体34を保持するための保持用弾性体と、この保持用弾性体を支持する支持体との構成を説明する。
支持体81は、板状揺動体37に連続形成されており、板状揺動体37から軸体36の軸方向に突出して設けられている。この支持体81の突出端には保持用弾性体である板バネ82の一端が留めネジ83で固定されている。
第1バネ片82Aの一端は支持体81に固定され、その他端が図中下側に配置された軸体36(図示省略)に向かって延設されている。第2バネ片82Bは、第1バネ片82Aの他端から板状揺動体37に向かって延設されている。この板バネ82の折り曲げ部の内側には、軸材85が板状揺動体37の幅方向と平行に設けられている。軸材85は、板バネ82とは別体のL字部材84を回転自在に支持する。
前記実施形態では、弾性体の弾性力によって板状揺動体37が着座板体34を着脱自在に保持する機構について説明したが、これに限らず、マグネットによって着脱可能に着座板体34を板状揺動体37に結合するようにしてもよい。または、エアーの吸引によって、着座板体34を揺動体37に着脱可能に保持する構造であってもよい。
例えば、保持用弾性体としてスプリングプランジャーのような弾性部材を含んで構成された弾性力発生部品を採用してもよい。スプリングプランジャーは、コイルばねと、コイルばねを内部に収納する円筒状ケースと、ケース内の軸方向に進退自在に収納された進退部材とからなる。進退部材の先端部は円筒状ケースから突出しており、突出した先端部が外力を受けてケース内に押し込まれると、コイルばねが圧縮されて、進退部材にはその反発力が作用するようになっている。
このようなスプリングプランジャーの一端を、前記実施形態の板バネ38の一端の代わりに、回転自在に支持させれば、板バネ38と同様にトグル機構の動作をする。すなわち、進退部材の先端部が着座板体34に押されることにより、スプリングプランジャーが回転しながら、コイルばねが圧縮される。そして、圧縮による弾性力で進退部材が着座板体34を揺動体37に押し付けるようにすればよい。
前記実施形態では、トグル機構を利用したスタイラスの着脱機構について説明したが、図12〜図14に示すようなトグル機構を用いない着脱機構でもよい。図12は、本発明の第3実施形態に係る検出器のスタイラスの着脱機構を示す斜視図である。また、図13(A)は、検出器のスタイラスホルダにスタイラスを装着する前の、板状揺動体137のみの部分側面図であり、同(B)は装着後の、板状揺動体137と着座板体134との位置関係を示す部分側面図であり、第1実施形態の図4に対応する。図14は、図13中の範囲IIの拡大図である。
着脱機構の動作については、基本的な動作は、前記実施形態と共通する。ここでは、図13(A)、(B)に基づいて異なる点を中心に説明する。スタイラス131の装着の際、軸体36は、着座板体134の切欠部34Eに沿って、スタイラス131の重心まで案内される。前述の実施形態と同様に、軸体36と板バネ支持体139は、軸体が案内される方向(案内方向)に沿って並んで配置されている。そのため、切欠部34Eには、軸体36に続けて、板バネ支持体139も挿入される。
本実施形態のスタイラス131の自動交換装置は、前述の実施形態と同様に、図8で示した交換ラック60を有する真円度測定装置であるが、交換ラック60を構成するストッカ163の構成が異なっている。このストッカ163について、図15〜図18に基づいて説明する。図15は、ストッカ163からスタイラス131を取り出す前のストッカ163と検出器130との位置関係を示す斜視図であり、第1実施形態の図9(A)に対応する。図16は、スタイラス131を交換する手順を説明する図であり、(A)はストッカ163からスタイラス131を取り出す前、(B)は板状揺動体137がスタイラス131を装着した状態、(C)はストッカ163からスタイラス131を取り出した後の斜視図である。
前述の実施形態と同様に、スタイラス自動交換プログラムによって、スタイラス交換指令が制御装置50に与えられると、検出器駆動機構40が駆動して、スタイラスホルダ132と交換ラック60との間でスタイラス交換動作が実行される。
20 :回転テーブル
30、130 :てこ式検出器
31、131 :スタイラス(測定子)
32、132 :スタイラスホルダ
33 :スタイラス本体
33A:接触部
34、134 :着座板体(着座体)
34A:本体部
34B、34L、34K:係止片部
34C:位置決め用ボール(球部)
34D:カウンタバランス部
34E:切欠部
34J:凸部
35 :ホルダ本体
36 :軸体
37、137 :板状揺動体
38、82、138:板バネ(保持用弾性体)
39、81、139:板バネ支持体(保持用弾性体を支持する支持体)
40 :検出器駆動機構
50 :制御装置
60 :交換ラック(スタイラスストッカ)
65、165 :上側保持具(規制片部)
66、166 :下側保持具(被係止片部)
71 :変位検出手段
72 :回転力付与手段
L :垂直軸線方向
Claims (13)
- 被測定物と接触する接触部を有したスタイラスと、
前記スタイラスを揺動自在に支持するスタイラスホルダと、
前記スタイラスの揺動変位を検出する変位検出手段と、を備え、被測定物の表面性状を測定するために前記スタイラスの揺動変位を取得するてこ式検出器であって、
前記スタイラスは、先端に前記接触部を有する長尺状のスタイラス本体と、該スタイラス本体の基端に設けられ前記スタイラスホルダに着脱自在な着座体とを有し、
前記スタイラスホルダには、前記スタイラスの揺動中心となる軸体が設けられ、
前記着座体には、前記スタイラスホルダから切り離された状態の前記スタイラス全体の重心が位置しており、かつ前記スタイラスを装着する際に前記スタイラスの重心まで前記軸体を案内する切欠部が形成されており、
該切欠部によって前記軸体が前記重心まで案内された状態で、前記スタイラスホルダに前記着座体が着脱自在に保持され、前記スタイラスが軸体周りに揺動自在になることを特徴とするてこ式検出器。 - 請求項1記載のてこ式検出器において、
前記スタイラスの着座体には、該着座体の切欠部に前記スタイラス全体の重心が含まれるように、前記重心の位置を調整するカウンタバランス部が設けられていることを特徴とするてこ式検出器。 - 請求項2記載のてこ式検出器において、
被測定物の測定部位に対応して用意された複数種の前記スタイラスには、
該スタイラスを取出可能かつ格納可能に収容する交換ラックに設けられた被係止片部を係止可能な係止片部が設けられており、
前記係止片部は、前記スタイラスの着座体に設けられ、かつ前記カウンタバランス部に対して前記軸体の揺動軸方向にオフセットした位置に設けられていることを特徴とする測定装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載のてこ式検出器において、
前記スタイラスホルダには、前記軸体に軸支された揺動体が設けられ、
前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内された状態では、
前記揺動体および前記着座体が、前記軸体の軸方向に並んで配置されており、
前記揺動体には、弾性力で前記着座体を該揺動体に押し付けて保持する保持用弾性体と、該保持用弾性体を支持する支持体とが設けられていることを特徴とするてこ式検出器。 - 請求項4記載のてこ式検出器において、
前記保持用弾性体は、その基端が前記支持体に回転自在に支持され、かつ前記スタイラスを前記スタイラスホルダに装着の際、先端が前記着座体によって押され、回転しながら弾性変形を生じ、発生した弾性力で前記着座体を前記揺動体に押し付けて保持することを特徴とするてこ式検出器。 - 請求項4記載のてこ式検出器において、
前記保持用弾性体は、その基端が前記支持体に片持ち支持され、かつ前記スタイラスを前記スタイラスホルダに装着の際、前記着座体によってその先端が前記揺動体から遠くなる方向に押され、曲げによる弾性変形を生じ、発生した弾性力で前記着座体を前記揺動体に押し付けて保持することを特徴とするてこ式検出器。 - 請求項6記載のてこ式検出器において、
前記スタイラスが前記スタイラスホルダに装着された状態で、
前記着座体は、前記切欠部を挟んだ位置に前記保持用弾性体側への2つの凸部を有し、
前記保持用弾性体は板状であり、一部分が前記支持体に片持ち支持され、他の部分が前記2つの凸部により前記揺動体から遠くなる方向に押されていることを特徴とするてこ式検出器。 - 請求項4から7のいずれかに記載のてこ式検出器において、
前記スタイラスが前記スタイラスホルダに装着された状態で、
前記支持体が前記切欠部を通って前記揺動体から前記軸体の軸方向に突出して形成され、該突出した先端部で前記保持用弾性体を支持していることを特徴とするてこ式検出器。 - 請求項4から8のいずれかに記載のてこ式検出器において、
前記着座体と前記揺動体との間に複数の球部を一直線上でない少なくとも三箇所に配置し、この球部によって前記揺動体に対する前記着座体の前記軸体の揺動軸方向の位置決めを行うことを特徴とするてこ式検出器。 - 請求項9記載のてこ式検出器において、
前記複数の球部のうち少なくとも2個は、前記着座体に回転支持され、かつ装着の際に前記軸体が重心まで案内される方向に沿って形成された前記揺動体の溝上を転動することを特徴とするてこ式検出器。 - 請求項1から10のいずれかに記載のてこ式検出器と、
被測定物の測定部位に対応して用意された複数種のスタイラスを取出可能かつ格納可能に収容した交換ラックと、
前記てこ式検出器を前記交換ラックに対して接近、離間する方向へ駆動させる検出器駆動機構と、制御装置とを備え、
前記制御装置は、スタイラス交換指令が与えられた際、前記検出器駆動機構を制御しながら、前記スタイラスホルダと前記交換ラックとの間でスタイラス交換動作を実行することを特徴とするスタイラスの自動交換装置。 - 請求項11記載のスタイラスの自動交換装置において、
前記スタイラスの前記着座体は板状に形成されており、
前記交換ラックは、
該着座体の平坦面上で前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向に直交する方向へ前記てこ式検出器を移動させる際に、前記着座体に設けられた係止片部と係止しながら前記スタイラスを収納位置まで導くための、前記てこ式検出器の移動方向に延びた被係止片部と、
前記スタイラスが収納位置にある状態で、前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向への前記スタイラスの移動を規制する規制片部と、
を有し、
前記スタイラスが収納位置にある状態で、前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向へ前記検出器が移動することにより、前記スタイラスだけが前記交換ラックに格納されることを特徴とするスタイラスの自動交換装置。 - 請求項11記載のスタイラスの自動交換装置において、
前記スタイラスの前記着座体は板状に形成されており、
前記交換ラックは、
該着座体の平坦面上で前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向へてこ式検出器を移動させる際に、前記着座体に設けられた係止片部と係止しながら、前記スタイラスを収納位置まで導くための、前記てこ式検出器の移動方向に延びた被係止片部と、
前記スタイラスが収納位置にある状態で、前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向への前記スタイラスの移動を規制する規制片部と、
を有し、
前記規制片部が、前記スタイラスの移動を規制するために前記着座体を係止する係止位置と、前記着座体の係止を解除する解除位置との間を進退可能に設けられ、
前記スタイラスが収納位置にある状態で、前記規制片部が係止位置に維持され、前記軸体が前記スタイラスの重心まで案内される方向へ前記検出器が移動することにより、前記スタイラスだけが前記交換ラックに格納されることを特徴とするスタイラスの自動交換装置。
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