JP3776526B2 - 測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定物を載置するテーブルおよびこのテーブルに対して互い直交する3軸方向へ相対移動可能な移動軸を有する測定機を用いて、被測定物の孔または軸の直径を測定する測定方法に関する。詳しくは、三次元測定機を用いて、孔または軸の直径を測定する測定方法に関する。
【0002】
【背景技術】
三次元測定機では、被測定物とタッチ信号プローブとを、互いに直交する3軸方向(X,Y,Z軸方向)に相対移動させながら、タッチ信号プローブを被測定物の測定部位に当接させ、タッチ信号プローブからタッチ信号が発せられたときの各軸方向の座標値を読み取り、これらの座標値から測定部位の形状や寸法などを演算するものであるから、被測定物の各種形状を測定することができる。
ところで、三次元測定機を用いて、被測定物の孔の直径(内径)を測定する場合、被測定物とタッチ信号プローブとを相対移動させながら、タッチ信号プローブを被測定物の孔内に位置させたのち、その孔内の3点に接触させ、そのときの座標値を読み取り、これらの座標値から孔の直径を演算で求めていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の測定方法では、被測定物とタッチ信号プローブとを3軸方向に相対移動させながら測定するものであるため、測定精度が三次元測定機の精度に依存している。従って、測定精度を上げるためには、三次元測定機の加工、組立精度を向上することが必須であるが、これには、膨大な労力、時間がかかり、コスト的にも不利である。
【0004】
また、孔の直径を測定する場合でも、タッチ信号プローブを被測定物の孔内に位置させたのち、その孔内の3点で接触させるために、タッチ信号プローブと被測定物とを相対移動させなければならないから、つまり、測定機自体の駆動を伴うため、高速化、高精度化にとって大きな制約になっていた。
【0005】
このような制約を解消する1つの方法として、三次元測定機の先端移動軸にタッチ信号プローブに代えて、互いに接近、離間する一対の測定子を有する内径測定ヘッドを装着し、この内径測定ヘッドを被測定物の孔内に位置させたのち、一対の測定子を互いに離間する方向に移動させ、一対の測定子が孔の内壁に接触したときの一対の測定子の間隔から孔の内径を自動的に測定する方法が採られる場合がある。
【0006】
しかし、この方法の場合、内径測定ヘッドを被測定物の孔内に挿入する際、内径測定ヘッドが孔の中心からずれていると、内径測定ヘッドと被測定物とが干渉していずれかが破損する虞があるうえ、ずれた位置において、内径測定ヘッドの一対の測定子を互いに離間する方向に移動させると、一対の測定子が孔の直径を通る位置からずれた位置で内壁に接触することになるので、孔の直径を正確に測定することができないという問題がある。
【0007】
そのため、一対の測定子が孔の直径を通る位置に当接するように、一対の測定子の位置を孔に合わせて調整する自動調芯機構を内径測定ヘッド内に設ければよいが、これには構造が複雑化するうえ、コストアップにつながる。
【0008】
本発明の目的は、このような従来の課題を解消すべくなされたもので、被測定物に干渉する虞がなく、被測定物の孔または軸の直径を正確に測定することができる測定方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の測定方法は、被測定物を載置するテーブルおよびこのテーブルに対して互いに直交する3軸方向へ相対移動可能な移動軸を有する測定機を用いて、前記テーブル上に載置された被測定物の孔または軸の直径を測定する測定方法であって、前記移動軸に、接触によってタッチ信号を発するタッチ信号プローブを装着して基準リングの中心座標を測定するとともに、前記移動軸に、前記孔または軸の直径を測定する直径測定ヘッドを装着して前記基準リングの中心座標を測定し、この両中心座標の差をオフセット量として記憶する工程と、記タッチ信号プローブを前記移動軸に装着したのち、その移動軸と前記テーブルとを相対移動させながら前記タッチ信号プローブを前記被測定物の孔または軸の3点に接触させ、この3点においてタッチ信号が発せられたときの前記各軸方向の座標値を読み取り、その3点の座標値から前記孔または軸の中心座標を演算する予備測定工程と、前記移動軸に対して、前記タッチ信号プローブに代えて、前記直径測定ヘッドを装着する測定ヘッド装着工程と、前記予備測定工程で演算された中心座標を前記オフセット量で補正した位置に、前記測定ヘッド装着工程で装着された直径測定ヘッドを位置させ、この位置において直径測定ヘッドによって前記孔または軸の直径を測定する本測定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、最初に、タッチ信号プローブを用いて被測定物の孔または軸の中心座標を求め、続いて、タッチ信号プローブに代えて直径測定ヘッドを装着したのち、この直径測定ヘッドを前記中心座標に位置させるようにしたので、つまり、タッチ信号プローブを用いて測定した被測定物の孔または軸の中心座標に直径測定ヘッドを位置させることができるので、直径測定ヘッドと被測定物とが干渉する虞がない。
しかも、直径測定ヘッドが被測定物の孔または軸の中心座標に位置したのちは、直径測定ヘッドのみによって孔または軸の直径を測定することができるから、つまり、測定機自体を駆動させなくてもよいから、高速化、高精度化も達成できるとともに、測定精度の向上のために、測定機自体の加工、組立精度の向上を必須としなくてもよいから、コスト的にも有利である。
【0011】
また、本発明の他の測定方法は、被測定物を載置するテーブルおよびこのテーブルに対して互いに直交する3軸方向へ相対移動可能な移動軸を有する測定機を用いて、前記テーブル上に載置された被測定物の孔または軸の直径を測定する測定方法であって、前記移動軸に接触によってタッチ信号を発するタッチ信号プローブを装着して基準リングの中心座標を測定するとともに、前記移動軸に、測定範囲の異なる複数種の直径測定ヘッドをそれぞれ装着して前記基準リングの中心座標を測定し、前記タッチ信号プローブを装着して測定したときの中心座標と前記各直径測定ヘッドを装着して測定したときの中心座標との差をそれぞれオフセット量として記憶する工程と、記タッチ信号を発するタッチ信号プローブを前記移動軸に装着したのち、その移動軸と前記テーブルとを相対移動させながら前記タッチ信号プローブを前記被測定物の孔または軸の3点に接触させ、この3点においてタッチ信号が発せられたときの前記各軸方向の座標値を読み取り、その3点の座標値から前記孔または軸の中心座標および直径を演算する予備測定工程と、前記測定範囲の異なる複数種の直径測定ヘッドの中から前記予備測定工程で演算された直径を測定可能な直径測定ヘッドを選択し、その選択した直径測定ヘッドを前記タッチ信号プローブに代えて前記移動軸に装着する測定ヘッド装着工程と、前記予備測定工程で演算された中心座標を対応する前記オフセット量で補正した位置に、前記測定ヘッド装着工程で装着された直径測定ヘッドを位置させ、この位置において直径測定ヘッドによって前記孔または軸の直径を測定する本測定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、最初に、タッチ信号プローブを用いて被測定物の孔または軸の中心座標および直径を求めたのち、測定範囲の異なる複数種の直径測定ヘッドの中から予備測定工程で演算された直径を測定可能な直径測定ヘッドを選択して、その選択した直径測定ヘッドを移動軸に装着するようにしたので、測定範囲の異なる複数種の直径測定ヘッドの中から測定しようとする孔または軸の直径に最も適した直径測定ヘッドを自動的に選択して移動軸に装着することができる。従って、作業者の労力を軽減できるとともに、間違えのない正確な選択ができる。
【0013】
以上の各発明において、移動軸にタッチ信号プローブを取り付けたときのタッチ信号プローブの中心軸と、移動軸に直径測定ヘッドを取り付けたときの直径測定ヘッドの中心軸とのずれ量がオフセット量として記憶され、直径測定ヘッドを予備測定工程で演算された中心座標に移動させる際、前記オフセット量を補正しながら移動されるから、両中心軸のずれ量を自動的に補正できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の測定方法を適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の測定装置を示す斜視図である。同測定装置は、三次元測定機11と、この三次元測定機11の前面に設置されたベースプレート31と、このベースプレート31上に設置され被測定物Wを載置するテーブル32と、前記三次元測定機11の前面一側に設置されたラック41とから構成されている。
【0017】
前記三次元測定機11は、前面に矩形状の開口12を有するカバー13と、このカバー13内に収納配置された測定機本体21とから構成されている。測定機本体21は、図2に示すように、ベース22と、このベース22の長手方向(X軸方向)に沿って移動自在に設けられたXスライダ23と、このXスライダ23上に垂直に立設された支柱24と、この支柱24の長手方向(Z軸方向)に沿って昇降自在に設けられたZスライダ25と、このZスライダ25に前記X,Zスライダ23,25の移動方向に対して直交する方向と平行に支持されたYビーム26と、このYビーム26の長手方向(Y軸方向)に沿って移動自在に設けられたYスライダ27と、このYスライダ27に前記Yビーム26と平行に設けられたアーム28とから構成されている。
【0018】
ここに、前記アーム28は、前記テーブル32に対して互いに直交する3軸方向(X,Y,Z軸方向)へ移動可能な移動軸を構成している。なお、アーム28の3軸方向の座標値、つまり、Xスライダ23のX軸方向の座標値、Yスライダ27のY軸方向の座標値およびZスライダ25のZ軸方向の座標値は、各軸にそれぞれ設けられたX,Y,Z軸変位検出器(図示省略)によって検出されるようになている。
【0019】
前記アーム28の先端部分は前記カバー13の開口12からカバー13外に突出されているとともに、その突出端には前記ラック41に格納されるタッチ信号プローブ51および内径測定ヘッド61,62,63のいずれかが選択的に装着できるようになっている。前記アーム28の先端部分が突出する前記カバー13の開口12には、縦枠14が左右方向に移動自在に設けけられているとともに、その両側に縦枠14の移動に伴って伸縮する蛇腹状の覆い15が設けられている。縦枠14内には、前記アーム28の先端部分が挿通した昇降枠16が上下方向に移動自在に設けられているとともに、その上下に昇降枠16の移動に伴って伸縮する蛇腹状の覆い17が設けられている。これにより、カバー13内が密閉構造とされている。
【0020】
前記ラック41には、被測定物Wとの接触によってタッチ信号を発するタッチ信号プローブ51および測定範囲の異なる複数種の内径測定ヘッド61,62,63を引き抜き可能に格納するU字状の格納溝42が形成されているとともに、各内径測定ヘッド61,62,63に対応する基準リング71,72,73を保持する保持プレート43が設けられている。前記保持プレート43は、図3に示すように、前記各内径測定ヘッド61,62,63がラック41の格納溝42からX軸方向に所定量引き抜かれたとき、その内径測定ヘッド61,62,63の前面に前記各基準リング71,72,73が対向するように配置されている。
【0021】
前記タッチ信号プローブ51は、図4に示すように、本体52と、この本体52の先端面に揺動自在に支持された測定子53と、前記本体52内に設けられ前記測定子53を揺動自在かつ中立位置に復帰可能に支持する着座機構(図示省略)および前記測定子53が被測定物Wとの当接によって揺動したことを検知してタッチ信号を発する検知機構(図示省略)とから構成されている。前記本体42の後端部には、前記ラック41の格納溝42内に引き抜き可能に格納される環状の係合溝54が形成されている。
【0022】
前記各内径測定ヘッド61,62,63は、図5に示すように、本体64と、この本体64の先端面に互いに接近、離間可能に設けられた一対の測定子65,66と、前記本体64内に設けられ前記一対の測定子65,66を互いに接近、離間する方向に変位させる駆動機構(図示省略)および前記一対の測定子65,66の間隔を計測する計測手段(図示省略)とから構成されている。前記本体64の後端部には、前記ラック41の格納溝42内に引き抜き可能に格納される環状の係合溝67が形成されている。
【0023】
前記基準リング71,72,73は、対向する各内径測定ヘッド61,62,63の測定範囲に応じた内径を有する孔を備える。たとえば、内径測定ヘッド61,62,63の測定範囲が10〜30mm、30〜50mm、50〜70mmの場合、基準リング71,72,73の内径は20mm、40mm、60mmに形成されている。
【0024】
次に、本実施形態の作用を説明する。
まず、測定に先だって、予め、測定機本体21のアーム28にタッチ信号プローブ51を装着したときのタッチ信号プローブ51の中心軸と、測定機本体21のアーム28に各内径測定ヘッド61,62,63を装着したときの各内径測定ヘッド61,62,63の中心軸とのずれ量を補正するオフセット量を求める。
これには、図6に示すように、まず、タッチ信号プローブ51を測定機本体21のアーム28の先端に装着したのち、このタッチ信号プローブ51で各基準リング71,72,73の中心座標を測定し、その測定値を記憶しておく。つまり、タッチ信号プローブ51を各基準リング71,72,73の孔内の3点に接触させ、そのときの座標値から各基準リング71,72,73の中心座標を演算し、その測定値を記憶しておく。
【0025】
続いて、タッチ信号プローブ51に代えて、内径測定ヘッド61をアーム28の先端に装着したのち、この内径測定ヘッド61に対応する基準リング71の中心座標を測定し、その測定値を記憶しておく。つまり、内径測定ヘッド61に対応する基準リング71内に挿入して測定子65,66を基準リング71の孔に接触させ、そのときの測定子65,66の間隔から基準リング71の中心座標を測定し、その測定値を記憶しておく。これを、残る全ての内径測定ヘッド62,63について行い、各内径測定ヘッド61,62,63での各基準リング71,72,73の測定値を記憶しておく。
最後に、各基準リング71,72,73について、タッチ信号プローブ51での測定値と内径測定ヘッド61,62,63での測定値との差を求め、これをその内径測定ヘッド61,62,63でのオフセット量として記憶しておく。
【0026】
次に、内径測定は、図7に示すフローチャートに従って行う。
まず、タッチ信号プローブ51を測定機本体21のアーム28の先端に装着したのち、測定機本体21を三次元方向に移動しながらタッチ信号プローブ51を被測定物Wの測定孔内に挿入し、測定孔の3点に接触させる。すると、タッチ信号プローブ51が測定孔に接触したとき、タッチ信号プローブ51からタッチ信号が出力される。このとき、各軸方向の座標値、つまり、測定機本体21のXスライダ23のX軸方向の座標値、Yスライダ27のY軸方向の座標値およびZスライダ25のZ軸方向の座標値が取り込まれる。こののち、前記3点の座標値から測定孔の中心座標および直径を演算する(予備測定工程)。なお、孔の3点の座標値から測定孔の中心座標および直径を演算する方法については、周知であるので、ここでは説明を省略する。
【0027】
続いて、内径測定ヘッド61,62,63の中から、演算によって求めた直径に対応する内径測定ヘッド、つまり、演算によって求めた直径を測定可能な内径測定ヘッド61,62,63を選択し、これをタッチ信号プローブ51に代えてアーム28の先端に装着する(測定ヘッド装着工程)。
【0028】
続いて、測定機本体21を三次元方向に移動しながら、選択装着した内径測定ヘッド61,62,63を前記演算で求めた測定孔の中心座標に移動させる。このとき、測定機本体21を三次元方向に移動するに際して、前記オフセット量を補正量として各軸方向の移動を行う。
続いて、内径測定ヘッド61,62,63を測定孔内に挿入したのち、その内径測定ヘッド61,62,63を駆動して一対の測定子65,66を互いに離間する方向に変位させ、測定孔の内壁に接触させる(本測定工程)。すると、一対の測定子65,66間の距離が計測手段で計測されているから、その計測手段の計測値から測定孔の直径を求めることができる。
【0029】
本実施形態によれば、最初に、タッチ信号プローブ51を用いて被測定物Wの測定孔の中心座標を求め、続いて、タッチ信号プローブ51に代えて内径測定ヘッド61,62,63を装着したのち、この内径測定ヘッド61,62,63を前記中心座標に位置させるようにしたので、つまり、タッチ信号プローブ51を用いて測定した被測定物Wの測定孔の中心座標に内径測定ヘッド61,62,63を位置させることができるので、内径測定ヘッド61,62,63と被測定物Wとが干渉する虞がない。
【0030】
しかも、内径測定ヘッド61,62,63が被測定物Wの測定孔の中心座標に移動したのちは、内径測定ヘッド61,62,63の駆動によって測定孔の直径を測定することができるから、内径測定ヘッド61,62,63の精度で測定孔の測定を高速かつ高精度に行える。つまり、測定機自体を駆動させることなく、測定孔の測定を行えるから、高速化、高精度化も達成できるとともに、測定精度の向上のために、測定機自体の加工、組立精度の向上を必須としなくてもよいから、コスト的にも有利である。
【0031】
また、タッチ信号プローブ51を用いて被測定物Wの測定孔の中心座標のほかに、直径を求めたのち、この直径を測定可能な内径測定ヘッド61,62,63を測定範囲の異なる複数種の直径測定ヘッド61,62,63の中から選択して、その選択した内径測定ヘッド61,62,63を測定機本体21のアーム28の先端に装着するようにしたので、測定しようとする測定孔の直径に最も適した内径測定ヘッドを、測定範囲の異なる複数種の内径測定ヘッド61,62,63の中から自動的に選択してアーム28に装着することができる。従って、作業者の労力を軽減できるとともに、間違えのない正確な選択ができる。
【0032】
また、測定に先だって、予め、アーム28にタッチ信号プローブ51を装着して基準リング71,72,73の中心座標を測定するとともに、アーム28に内径測定ヘッド61,62,63を装着して基準リング71,72,73の中心座標を測定し、この両中心座標の差をオフセット量として記憶しておき、内径測定において、内径測定ヘッド61,62,63を前記中心座標に移動させる際、前記オフセット量を補正値として、内径測定ヘッド61,62,63を移動させるようにしたので、アーム28にタッチ信号プローブ51を取り付けたときのタッチ信号プローブ51の中心軸と、アーム28に内径測定ヘッド61,62,63を取り付けたときの内径測定ヘッド61,62,63の中心軸とのずれ量を自動的に補正することができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、互いに接近、離間する一対の測定子65,66の間隔から内径を測定する構造の内径測定ヘッド61,62,63を用いたが、内径測定ヘッドの構造はこれに限らず、他の構造であってもよい。さらに、一対の測定子65,66が測定しようとする孔の直径を通る位置に当接するように、一対の測定子65,66の位置が孔に応じて自動的に調整される自動調芯機構を備えたもの(たとえば、特開平7ー113630号公報記載の内外側測定装置など)であれば、より高精度な測定が可能である。
【0034】
また、上記実施形態では、被測定物Wの孔の直径を測定する場合について述べたが、本発明は、これに限らず、被測定物Wの軸の外径測定にも適用することができる。
この場合、内径測定ヘッド61,62,63の一対の測定子65,66の内側で被測定物Wの測定部位を挟持するように改良するだけで、被測定物Wの軸の外径測定にも適用することができる。
【0040】
また、上記実施形態では、テーブル32に対して、タッチ信号プローブ51、内径測定ヘッド61,62,63が三次元方向に移動自在な測定機本体21を用いたが、テーブル32と、タッチ信号プローブ51、内径測定ヘッド61,62,63とが三次元方向に相対移動できるものであれば、他の測定機でもよい。たとえば、ロボットなどでもよい。
また、上記実施形態では、アーム28に対して交換可能な測定工具として、タッチ信号プローブ51、内径測定ヘッド61,62,63を挙げたが、これらのほかに、倣いプローブや、プローブ自体に三次元方向に変位可能な移動機構を備えた自動計測プローブなどを交換可能に構成するようにしてもよい。
【0041】
また、上記オフセット量の算出にあたって、最初に、タッチ信号プローブ51で基準リング71,72,73の中心座標を測定したのち、次に、内径測定ヘッド61,62,63で基準リング71,72,73の中心座標を測定し、この両中心座標の差をオフセット量として記憶するようにしたが、最初に、内径測定ヘッド61,62,63で前記基準リング71,72,73の中心座標を測定し、次に、タッチ信号プローブ51で基準リング71,72,73の中心座標を測定するようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明の測定方法によれば、最初に、タッチ信号プローブを用いて被測定物の孔または軸の中心座標を求め、続いて、タッチ信号プローブに代えて直径測定ヘッドを装着したのち、この直径測定ヘッドを前記中心座標に位置させるようにしたので、つまり、タッチ信号プローブを用いて測定した被測定物の孔または軸の中心座標に直径測定ヘッドを位置させることができるので、直径測定ヘッドと被測定物とが干渉する虞がない。しかも、直径測定ヘッドが被測定物の孔または軸の中心座標に位置したのちは、直径測定ヘッドのみによって孔または軸の直径を測定することができるから、高速化、高精度化も達成できるとともに、測定精度の向上のために、測定機自体の加工、組立精度の向上を必須としなくてもよいから、コスト的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の外観を示す斜視図である。
【図2】 同上実施形態における測定機本体を示す斜視図である。
【図3】 同上実施形態におけるラックを示す平面図である。
【図4】 同上実施形態におけるタッチ信号プローブを示す斜視図である。
【図5】 同上実施形態における内径測定ヘッドを示す斜視図である。
【図6】 同上実施形態におけるオフセット量の算出方法を示すフローチャートである。
【図7】 同上実施形態における内径測定のフローチャートである。
【符号の説明】
11 測定機
21 測定機本体
28 アーム(移動軸)
32 テーブル
51 タッチ信号プローブ
61,62,63 内径測定ヘッド(直径測定ヘッド)
71,72,73 基準リング
被測定物

Claims (2)

  1. 被測定物を載置するテーブルおよびこのテーブルに対して互いに直交する3軸方向へ相対移動可能な移動軸を有する測定機を用いて、前記テーブル上に載置された被測定物の孔または軸の直径を測定する測定方法であって、
    前記移動軸に、接触によってタッチ信号を発するタッチ信号プローブを装着して基準リングの中心座標を測定するとともに、前記移動軸に、前記孔または軸の直径を測定する直径測定ヘッドを装着して前記基準リングの中心座標を測定し、この両中心座標の差をオフセット量として記憶する工程と、
    記タッチ信号プローブを前記移動軸に装着したのち、その移動軸と前記テーブルとを相対移動させながら前記タッチ信号プローブを前記被測定物の孔または軸の3点に接触させ、この3点においてタッチ信号が発せられたときの前記各軸方向の座標値を読み取り、その3点の座標値から前記孔または軸の中心座標を演算する予備測定工程と、
    前記移動軸に対して、前記タッチ信号プローブに代えて、前記直径測定ヘッドを装着する測定ヘッド装着工程と、
    前記予備測定工程で演算された中心座標を前記オフセット量で補正した位置に、前記測定ヘッド装着工程で装着された直径測定ヘッドを位置させ、この位置において直径測定ヘッドによって前記孔または軸の直径を測定する本測定工程と、
    を備えたことを特徴とする測定方法。
  2. 被測定物を載置するテーブルおよびこのテーブルに対して互いに直交する3軸方向へ相対移動可能な移動軸を有する測定機を用いて、前記テーブル上に載置された被測定物の孔または軸の直径を測定する測定方法であって、
    前記移動軸に接触によってタッチ信号を発するタッチ信号プローブを装着して基準リングの中心座標を測定するとともに、前記移動軸に、測定範囲の異なる複数種の直径測定ヘッドをそれぞれ装着して前記基準リングの中心座標を測定し、前記タッチ信号プローブを装着して測定したときの中心座標と前記各直径測定ヘッドを装着して測定したときの中心座標との差をそれぞれオフセット量として記憶する工程と、
    記タッチ信号を発するタッチ信号プローブを前記移動軸に装着したのち、その移動軸と前記テーブルとを相対移動させながら前記タッチ信号プローブを前記被測定物の孔または軸の3点に接触させ、この3点においてタッチ信号が発せられたときの前記各軸方向の座標値を読み取り、その3点の座標値から前記孔または軸の中心座標および直径を演算する予備測定工程と、
    前記測定範囲の異なる複数種の直径測定ヘッドの中から前記予備測定工程で演算された直径を測定可能な直径測定ヘッドを選択し、その選択した直径測定ヘッドを前記タッチ信号プローブに代えて前記移動軸に装着する測定ヘッド装着工程と、
    前記予備測定工程で演算された中心座標を対応する前記オフセット量で補正した位置に、前記測定ヘッド装着工程で装着された直径測定ヘッドを位置させ、この位置において直径測定ヘッドによって前記孔または軸の直径を測定する本測定工程と、
    を備えたことを特徴とする測定方法。
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