以下、本発明の第1実施形態である工具交換装置2について、図1乃至図7を参照して説明する。図1は、工作機械1及び工具交換装置2の要部を示す縦断面図であり、図2は、L字保持部材70の斜視図であり、図3は、グリップアーム50、L字保持部材70、可動カム28及び固定カム29の相互の位置関係を示す斜視図であり、図4は、グリップアーム50の揺動を示す説明図(摺動ローラ58が保持バネ64に保持された状態)であり、図5は、グリップアーム50の揺動を示す説明図(摺動ローラ58が第1ガイド面76に当接した状態)であり、図6は、グリップアーム50の揺動を示す説明図(摺動ローラ58が第2ガイド面77に押し込まれた状態)である。また、以下説明において、図1の左側を工作機械1の前側とし、右側を工作機械1の後ろ側とし、紙面手前側を工作機械1の右側とし、紙面奥行き側を工作機械1の左側とする。
なお、第1実施形態の工具交換装置2は、工作機械1の主軸30に装着された工具5を、グリップアーム50の揺動によって他の工具に自動的に交換する装置である。そして、この工具交換装置2では、グリップアーム50の後端側を、マガジン支持台37に軸支されたL字保持部材70で保持することによって、グリップアーム50の姿勢を保持できる点に特徴を有する。
はじめに、工作機械1の構成について概略的に説明する。図1に示すように、工作機械1は、基台となるベース(図示外)の上部後方に立設された柱状のコラム10と、該コラム10の前面に沿って昇降可能に支持された主軸ヘッド24と、該主軸ヘッド24の前方下部の内側に回転可能に支持され、工具5を保持する工具ホルダ7が着脱可能に装着される主軸30と、主軸ヘッド24の前側に配設され、主軸30に装着された工具ホルダ7を他の工具を保持する工具ホルダに自動的に交換する工具交換装置2とを主体に構成されている。
また、コラム10の左右両側面には、主軸ヘッド24を内側に挟むようにして前方に延びるフレーム18(図1では、一枚のフレーム18のみ図示)が各々設けられている。そして、これら一対のフレーム18の前端部には、マガジン支持台37が固定され、該マガジン支持台37に対して、工具交換装置2のマガジンベース41が回転割出可能に支持されている。さらに、そのマガジン支持台37の上部には、工作機械1の前側に向かって斜め前方に延設され、マガジンベース41を覆って保護するためのマガジンカバー19が固定されている。このマガジンカバー19は、主軸30の周囲から飛散する切粉や、切削液の飛沫がマガジンベース41に付着することを防止するものである。また、ベース上にはテーブル(図示外)が設置され、該テーブル上にはワークが着脱可能に固定される。そして、そのワークに対して、主軸ヘッド24が昇降し、主軸30が高速回転することによって所望の切削加工がなされる。
次に、主軸ヘッド24の昇降機構について説明する。図1に示すように、コラム10の前面には、上下方向に延設されたボールねじ12が上側軸受部14と、下側軸受部15とによって回転可能に支持されている。そして、主軸ヘッド24の背面に固定されたナット13に対して、そのボールねじ12がねじ込まれて挿通している。さらに、ボールねじ12の上端部は、上側軸受部14の上部に固定されたサーボモータ(図示外)の駆動軸に対してカップリング(図示外)を介して連結されている。よって、ボールねじ12は、サーボモータの駆動によって正逆両方向に回転される。そして、ボールねじ12が正逆方向に回転すると、そのボールねじ12に螺合するナット13が昇降し、該ナット13に連結する主軸ヘッド24が昇降移動するようになっている。
次に、主軸ヘッド24の内部構造について説明する。図1に示すように、主軸ヘッド24の前方下部の内側には、上下方向に回転軸を有する主軸30が回転可能に支持されている。この主軸30は、主軸ヘッド24の上部に固定されたサーボモータ22の駆動軸に対してカップリング23を介して連結されている。よって、主軸30はサーボモータ22の回転駆動によって回転する。さらに、主軸30の先端部(下端部)には、工具ホルダ7のテーパ装着部7aを装着するためのテーパ穴31が設けられている。このテーパ穴31にテーパ装着部7aが装着されると、テーパ装着部7aから上方に突出するプルスタッド7bが、主軸30の内部に設けられホルダ挟持部材32により挟持される。そして、このホルダ挟持部材32が、主軸30の中心を通る孔の中に同軸上に挿通して配置されたドローバー34によって下方に押圧されると、ホルダ挟持部材32によるプルスタッド7bの挟持が解除されるようになっている。
また、主軸ヘッド24の後方上部の内側には、右側面視略L字型のクランクレバー20が支軸21を介して揺動自在に軸支されている。このクランクレバー20は、垂直方向に延びる垂直レバー20bと、該垂直レバー20bの下端部から前方に向かって略水平に延びる水平レバー20aとから構成されている。そして、水平レバー20aの先端部は、ドローバー34に直交して突設されたピン35に対して係合可能となっている。また、垂直レバー20bの背面上部には板カム体36が固定され、その板カム体36は、上側軸受部14に固定されたカムフォロア17と接離可能となっている。さらに、垂直レバー20bと主軸ヘッド24との間には、引張コイルバネ(図示外)が弾力的に介装されている。よって、クランクレバー20を右側面から見た場合、クランクレバー20は時計回りに常時付勢されているので、水平レバー20aによるピン35に対する押圧は常時解除されている。
例えば、主軸30のテーパ穴31に、工具ホルダ7のテーパ装着部7aが装着された状態において、主軸ヘッド24が上昇すると、クランクレバー20に設けた板カム体36がカムフォロア17に摺動する。この場合、クランクレバー20は、右側面から見た場合に、支軸21を中心に反時計回りに回転する。すると、水平レバー20aはピン35に係合しつつ下方に押圧するので、ドローバー34を介してホルダ挟持部材32が付勢される。よって、ホルダ挟持部材32によるプルスタッド7bの挟持が解除される。このようにして、工具5を保持する工具ホルダ7が主軸30に対して着脱可能に装着される。
次に、本発明に係る工具交換装置2の構造について説明する。図1に示すように、工具交換装置2は、工作機械1の前方に正面を向けて配置された円盤状のマガジンベース41と、該マガジンベース41の裏面の外周に沿って揺動可能に軸支された複数のグリップアーム50(図1では、上下2本のグリップアーム50のみ図示)とを主体に構成されている。
マガジンベース41の支持構造について説明する。コラム10の左右両側面には、主軸ヘッド24を内側に挟むようにして前方に延びるフレーム18(図1では、一枚のフレーム18のみ図示)が各々設けられ、それら一対のフレーム18の前端部には、マガジン支持台37が固定されている。そして、そのマガジン支持台37の内側には減速機42が設けられている。さらに、その減速機42の入力軸43は主軸ヘッド24側に向かって斜め上方に突出し、出力軸44は主軸ヘッド24の前側に向かって斜め下方に突出している。そして、その出力軸44の先端には、マガジンベース41の貫通する中央部が固定されている。一方、入力軸43の先端は、マガジン支持台37の内側に固定された玉軸受部46に軸支されている。さらに、その入力軸43の玉軸受部46と減速機42との間には、ブレーキ歯車47がフランジ状に設けられている。つまり、ブレーキ歯車47を回転させると、入力軸43が回転するようになっている。
さらに、マガジン支持台37の内側にはサーボモータ25が設置されている。そして、そのサーボモータ25の駆動軸の先端には、ブレーキ歯車47よりも小さい歯車48が先端に設けられている。そして、その歯車48の外周とブレーキ歯車47の外周とが互いに噛合している。また、ブレーキ歯車47のマガジンベース41側に対向する側面には、位置決め用の凹部(図示外)が複数設けられている。そして、その最下方に位置する凹部に対して、マガジン支持台37の内側にバネ38によって弾力的に支持された鋼球39の一部が落着する。
例えば、サーボモータ25の駆動軸が回転すると、その駆動軸の回転トルクは、歯車48、ブレーキ歯車47を介して、減速機42の入力軸43に伝達される。さらに、その入力軸43に伝達された回転トルクは、所定の減速比で出力軸44の回転として出力される。そして、この出力軸44の回転に伴って、マガジンベース41が指定された数だけ回転し、ブレーキ歯車47の最下方に位置する凹部に対して、鋼球39の一部が落着することによって、ブレーキ歯車47の位置が決まり、所定の工具5が割出位置に移動される。また、ブレーキ歯車47の凹部に対して、鋼球39の一部が落着しているので、入力軸43にトルクが加わらなくても、ブレーキ歯車47が勝手に回転することを防止することもできる。
ところで、サーボモータ25には、エンコーダ26が固定されている。そして、そのエンコーダ26は、工作機械1の制御装置(図示外)に接続されている。よって、制御装置では、エンコーダ26の信号に基づいて、サーボモータ25のフィードバック制御が可能となっている。そして、これらサーボモータ25及びエンコーダ26は、マガジン支持台37の上部に固定されたマガジンカバー19の内側に配置されている。これにより、主軸30周囲の加工領域から飛散する切粉や、切削液の飛沫が、サーボモータ25及びエンコーダ26に付着するのを防止することができる。
さらに、マガジン支持台37の主軸30に最も近接する部分には、回転割り出しされたグリップアーム50の後端側(後述する摺動ローラ58)に相対するように、本発明の特徴である側面視L字型のL字保持部材70が枢支軸73(図2参照)を中心に軸支されている。このL字保持部材70は、グリップアーム50の摺動ローラ58(図2参照)を、主軸ヘッド24とマガジンベース41との間でガイドするとともに、主軸ヘッド24側の位置で保持するための部材である。
次に、L字保持部材70について詳細に説明する。図2に示すように、L字保持部材70は側面視L字型の部材である。L字保持部材70は、直方体状のベース部71と、該ベース部71の先端部から直角方向に突出する突出部72とから構成されている。そして、ベース部71における突出部72に向けられた内側面には、第1ガイド面76が設けられている。さらに、ベース部71と突出部72とが連結する部分の内側には滑らかに湾曲する第2ガイド面77が設けられている。そして、ベース部71と突出部72との連結部分には、マガジン支持台37に対して揺動可能に軸支されるための枢支軸73が設けられている。このような構造からなるL字保持部材70の枢支軸73がマガジン支持台37に軸支され、詳細には、枢支軸73からマガジンベース41側に向かってベース部71が延設され、枢支軸73から主軸30側に向かって突出部72が突出された状態で、L字保持部材70がマガジン支持台37に軸支されている。
また、ベース部71の第1ガイド面76の反対面の枢支軸73から離れる側の一端側には、所定の深さで窪んだ円形状の凹部74が設けられている。この凹部74には、コイル状のバネ79(図4参照)の一端部が埋め込まれ、その凹部74から外側に突出するバネ79の他端部がマガジン支持台37の外面に当接する(図4参照)。これにより、L字保持部材70のベース部71における枢支軸73から離れる側の一端部は、図4に示す右側面から見た場合に、バネ79の付勢によって反時計回りの方向に常時付勢されている。
そして、上記構造からなるL字保持部材70の第1ガイド面76に対して、グリップアーム50の摺動ローラ58(図3参照)が摺動し、主軸ヘッド24とマガジンベース41との間でグリップアーム50の後端側がガイドされる。さらに、摺動ローラ58が第2ガイド面77に摺動して押し込まれると、バネ79の付勢によってL字保持部材70が、右側面から見た時の反時計回りに回転する。すると、摺動ローラ58が第2ガイド面77の湾曲面によって両側から挟持された状態となるため、摺動ローラ58を保持することができる。これにより、グリップアーム50の後端側を主軸ヘッド24側に移動させた状態で、グリップアーム50の姿勢を保持することができる。なお、L字保持部材70によるグリップアーム50の姿勢保持については後述する。また、図3に示すL字保持部材70のベース部71が本発明の「第1直線部」に相当し、突出部72が本発明の「第2直線部」に相当し、枢支軸73が本発明の「支点」に相当し、バネ79が本発明の「弾性部材」に相当する。
次に、グリップアーム50の構造について説明する。図1に示すように、グリップアーム50は、マガジンベース41の背面の外周側であって、所要の中心角で周方向に複数本(例えば、14本)固定されている。図3に示すように、グリップアーム50は、マガジンベース41の裏面の外周側に固定される支点台60を揺動動作の支点とする。グリップアーム50は、その支点台60に設けられた枢支軸57を介して軸支され、山成りに折れ曲がった棒状のアーム本体51と、該アーム本体51の自由端となる先端側に設けられ、図1に示す工具ホルダ7を把持するY字形状の把持部53と、アーム本体51の反自由端に設けられ、摺動ローラ58を軸支するローラ支持部54と、アーム本体51の枢支軸57に軸支される部分から主軸ヘッド24側(図1参照)に突出して設けられ、カムフォロア56を回転自在に支持するカムフォロア支持部55とを主体に構成されている。そして、このアーム本体51の外側面には、切粉の衝突を防ぐための金属板である鎧カバー52が固定されている。
支点台60は、断面コの字型に構成されている。この支点台60は、マガジンベース41の裏面の外周にビス等によって固定される固定板61と、該固定板61の左右両端部から、固定板61の内面に対して直角に各々延設された右側支持板62、及び左側支持板63とを主体に構成されている。そして、右側支持板62と左側支持板63との間には枢支軸57が渡設され、該枢支軸57を中心にアーム本体51が軸支されている。これにより、グリップアーム50が揺動可能となっている。さらに、固定板61の上端部の中央には、揺動するグリップアーム50の摺動ローラ58を保持するための板バネである保持バネ64が設けられている。この保持バネ64は、固定板61の上端部の中央から上方に延設された短冊板状の第1保持部65と、該第1保持部65の先端部から略直角に折り曲げられた第2保持部66と、該第2保持部66の先端部から斜め上方に延設された第3保持部67とから構成されている。
例えば、このような保持バネ64の内側に、グリップアーム50の摺動ローラ58が押し込まれると、第2保持部66と第3保持部67とが接する角部が、摺動ローラ58の転動面に当接する。このとき、摺動ローラ58は、第2保持部66と第3保持部67との角部によって保持バネ64の内側に付勢される。これにより、グリップアーム50の把持部53を主軸30に移動させた状態で、グリップアーム50の姿勢を安定保持させることができる。
把持部53は、非開閉式の2股部59と、該2股部59の内端部に設けられ、圧縮コイルバネ(図示外)によって弾力的に後退可能に収納される一対の支持ピン69(図3では、片方の支持ピン69のみ図示)とで構成されている。さらに、2股部59の両側に分かれる各端部の外側には、支持ピン69の中心を回転中心とするカムフォロア68が各々設けられている。このカムフォロア68は、主軸ヘッド24の左右両側面の下部に各々固定された固定カム29のカム面29aに沿って摺動する。これによって、把持部53を主軸30に装着された工具ホルダ7の溝部に正確にガイドすることができる。そして、把持部53の2股部59が工具ホルダ7の溝部に位置合わせされると、一対の支持ピン69がその溝部に挿通して当接し、圧縮コイルバネを押し戻しながら後退する。こうして、工具ホルダ7が把持部53に把持される。なお、固定カム29は、主軸ヘッド24の前面よりも前方にやや突出して固定されている。これにより、主軸ヘッド24が下降し、カムフォロア68が固定カム29のカム面29aから離間しても、カムフォロア68と主軸ヘッド24の前面との間に所定の隙間を保つことができる。
カムフォロア56は、図1に示す主軸ヘッド24の前面に固定された可動カム28のカム面28aに摺動する。この可動カム28は、主軸ヘッド24の前面に支軸27により軸支されている。さらに、可動カム28と主軸ヘッド24の間には、圧縮コイルばね(図示外)が配設されているので、可動カム28は弾力的に浮いた状態で支持されている。これにより、カムフォロア56は、主軸ヘッド24から離れる方向に付勢されるので、アーム本体51が枢支軸57を中心に揺動する。そして、カムフォロア68が主軸ヘッド24の先端部に設けられた固定カム29のカム面29aに向かって弾力的に押圧されるようになっている。
ローラ支持部54は、2枚の支持板によって摺動ローラ58を挟み込んで軸支している。そして、この摺動ローラ58が、L字保持部材70の第1ガイド面76、第2ガイド面77をそれぞれ摺動することによって、ローラ支持部54が主軸ヘッド24とマガジンベース41との間をガイドされるので、グリップアーム50の揺動を安定して行うことができる。また、L字保持部材70の第1ガイド面76、第2ガイド面77に摺動ローラ58を摺動させることによって、第1ガイド面76、第2ガイド面77との摩擦を低減することができる。
次に、上記構成からなるグリップアーム50の揺動動作について説明する。まず、図4に示すように、マガジンベース41の最下端に回転割り出しされたグリップアーム50のカムフォロア68が、固定カム29のカム面29aに当接する。さらに、カムフォロア56が、可動カム28のカム面28aに当接する。そして、主軸ヘッド24が上昇した場合、カムフォロア56が可動カム28のカム面28aによって主軸ヘッド24から離れる方向に付勢される。すると、グリップアーム50が、枢支軸57を中心に右側面から見た時の反時計回りに揺動するので、カムフォロア68が固定カム29のカム面29aの奥側に沿って移動する。これに対し、摺動ローラ58は保持バネ64の内側に押し込まれる。すると、摺動ローラ58は、第2保持部66と第3保持部67との角部によって保持バネ64の内側に付勢されるので、摺動ローラ58は、保持バネ64の内側に保持される。このようにして、回転割出位置にあるグリップアーム50の把持部53を、主軸30の近接位置に移動させた状態で、グリップアーム50の姿勢を安定保持させることができる。
次いで、主軸ヘッド24が下降した場合、グリップアーム50のカムフォロア56が可動カム28のカム面28aを上方に向かって摺動する。そして、カムフォロア56は主軸ヘッド24の前面に向かって移動する。すると、グリップアーム50が、右側面から見た時の時計回りに揺動するので、カムフォロア68は固定カム29のカム面29aを手前側に摺動する。一方、摺動ローラ58は保持バネ64の内側から離脱するとともに、L字保持部材70の第1ガイド面76を主軸ヘッド24側に向かって摺動する。ここで、図5に示すように、L字保持部材70のマガジンベース41側の一端部は、バネ79によって下方に付勢されている。よって、L字保持部材70の第1ガイド面76に摺動ローラ58が当接すると、第1ガイド面76が摺動ローラ58によって上方に押し上げられる。すると、バネ79はマガジン支持台137とL字保持部材70との間で圧縮されるので、L字保持部材70は右側面から見た時の時計回りに回転する。
次いで、摺動ローラ58が第1ガイド面76を主軸ヘッド24側に摺動し、バネ79に相当する位置を通過すると、摺動ローラ58とバネ79との相対距離が徐々に離れる。さらに、バネ79の付勢によって、L字保持部材70が右側面から見た時の反時計回りに回転する。次いで、図6に示すように、摺動ローラ58が第2ガイド面77に向かって押し込まれると、L字保持部材70がさらに右側面から見た時の反時計回りに回転する。すると、摺動ローラ58の両側が第2ガイド面77によって挟まれた状態となるので、摺動ローラ58がL字保持部材70によって保持される。これにより、把持部53が主軸30から離間する退避位置に移動した状態で、回転割り出しされたグリップアーム50の姿勢を保持することができる。
そして、図7に示すように、主軸ヘッド24がワーク加工のために下降すると、グリップアーム50のカムフォロア56は、可動カム28のカム面28aから離間し、カムフォロア68は、固定カム29のカム面29aから離れる。そして、グリップアーム50の姿勢が保持された状態で、主軸ヘッド24が下降するため、カムフォロア68と主軸ヘッド24の前面との間には所定の隙間が保たれる。つまり、カムフォロア68が主軸ヘッド24の前面を摺動しないので、カムフォロア68と主軸ヘッド24の前面との間に切粉が侵入することを防止できる。さらに、カムフォロア68の転動面が切粉によって傷付くことを防止できる。よって、グリップアーム50の滑らかな揺動動作を維持することができる。
以上説明したように、第1実施形態の工具交換装置2は、マガジンベース41の最下端に回転割り出しされたグリップアーム50の後端側をガイドして保持するL字保持部材70を備えている。このL字保持部材70は、マガジン支持台37に対して揺動可能に軸支されている。さらに、L字保持部材70には、直線状の第1ガイド面76と、該第1ガイド面76から滑らかに湾曲する第2ガイド面77とが設けられている。これら第1ガイド面76及び第2ガイド面77に対して、グリップアーム50の摺動ローラ58が摺動することによって、グリップアーム50の後端側が主軸ヘッド24とマガジンベース41との間で安定してガイドされる。さらに、摺動ローラ58が第2ガイド面77に摺動して押し込まれると、バネ79の付勢によってL字保持部材70が右側面から見た時の反時計回りに回転する。すると、摺動ローラ58が湾曲する第2ガイド面77によって両側から挟持されるので、摺動ローラ58を保持することができる。これにより、グリップアーム50の後端側を主軸ヘッド24側に移動させた状態で、グリップアーム50の姿勢を保持することができる。
さらに、グリップアーム50のカムフォロア68は、主軸ヘッド24の前面から所定の隙間を空けた状態でその位置が保持される。これにより、カムフォロア68と主軸ヘッド24の前面との間に切粉が付着して、カムフォロア68の転動面が損傷することを防止できるので、グリップアーム50の滑らかな揺動動作を維持できる。さらに、L字保持部材70はマガジン支持台37に軸支されているので、マガジンベース41とともに回転しない。これにより、マガジンベース41の回転割出機構に対して、L字保持部材70の重量の負荷がかかることを防止できる。よって、マガジンベース41をより早く回転させることができる。また、図15に示す従来のグリップアーム250のような鋼球258を弾力的に支持するプランジャ機構は、切粉の侵入によって不具合を生じやすいが、摺動ローラ58は単純構造であるので、摺動ローラ58のローラ面や軸に切粉が付着しても摺動ローラ58の転動動作に不具合を生じにくい利点もある。
次に、第2実施形態である工具交換装置100について、図8乃至図11を参照して説明する。図8は、工作機械1及び工具交換装置100の要部を示す縦断面図であり、図9は、グリップアーム90、ヘッド側保持バネ120、ベース側保持バネ115、可動カム28及び固定カム33の相互の位置関係を示す斜視図であり、図10は、グリップアーム90の揺動を示す説明図(摺動ローラ98がベース側保持バネ115に保持された状態)であり、図11は、グリップアーム90の揺動を示す説明図(摺動ローラ98がヘッド側保持バネ120に保持された状態)である。また、以下説明において、図8の左側を工作機械1の前側とし、右側を工作機械1の後ろ側とし、紙面手前側を工作機械1の右側とし、紙面奥行き側を工作機械1の左側とする。また、図8では、グリップアーム90の摺動ローラ98を図示するため、ベース側保持バネ115を省略している。
第2実施形態の工具交換装置100は、第1実施形態の工具交換装置2の変形例である。工具交換装置100は、主軸ヘッド24とマガジンベース81との間で揺動するグリップアーム90の後端側を、マガジン支持台78に固定されたヘッド側保持バネ120によって保持できる点に特徴がある。なお、工具交換装置100は第1実施形態と同じ工作機械1に設けられるものであるため、工作機械1については第1実施形態と同符号を付すとともに説明を省略する。
まず、工具交換装置100について説明する。図8に示すように、工具交換装置100は、円盤状のマガジンベース81と、該マガジンベース81の裏面の外周に沿って揺動可能に軸支された複数のグリップアーム90(図8では、上下2本のグリップアーム90のみ図示)とを主体に構成されている。なお、後述するが、グリップアーム90の構造は、第1実施形態のグリップアーム50の構造と異なっている。
次に、マガジンベース81の支持構造について説明する。図8に示すように、コラム10の左右両側面には、主軸ヘッド24を内側に挟むようにして前方に延びるフレーム18が各々設けられている。そして、その一対のフレーム18の前端部には、マガジン支持台78が固定され、そのマガジン支持台78の内側には、第1実施形態と同様のマガジンベース81の回転割出機構が配設されている。この回転割出機構は、減速機82、該減速機82の入力軸83の先端を支持する玉軸受部86、減速機82の入力軸83に設けられたブレーキ歯車87、サーボモータ25及びエンコーダ26、サーボモータ25の駆動軸に設けられ、ブレーキ歯車87に噛合する歯車88、ブレーキ歯車87の側面に設けられた位置決め用の凹部(図示外)に対して落着させる鋼球89と、該鋼球89を弾力的に支持するコイルバネ85等から構成されている。
また、マガジン支持台78の下部には、下方に向かって突出し、回転割り出しされたグリップアーム90の後端側(後述する摺動ローラ98)に対して主軸ヘッド24側から対向する突出部78aが設けられている。そして、その突出部78aのグリップアーム90の後端側に対向する前面には、本発明の特徴であるコの字型のヘッド側保持バネ120が自身の開口する内側をグリップアーム90の後端側に向けた状態で固定されている。このヘッド側保持バネ120は、グリップアーム90の後端側に設けられた摺動ローラ98を内側に押し込めた状態で保持するための部材である。
ここで、ヘッド側保持バネ120について説明する。図9に示すように、ヘッド側保持バネ120はコの字型の板バネであって、長方形の板状の固定部121、該固定部121の互いに対向する左右両端部からやや内側に向けた状態で斜めに各々延設された長方形の板状の右側押圧部122、左側押圧部123とから構成されている。さらに、これら右側押圧部122及び左側押圧部123の各前端部はやや外側にそれぞれ折り曲げられている。このことから、グリップアーム90の後端側の摺動ローラ98が押し込められやすくなっている。そして、このような構成からなるヘッド側保持バネ120の内側に、グリップアーム90の摺動ローラ98が押し込まれると、ヘッド側保持バネ120の右側押圧部122及び左側押圧部123によって、ヘッド側保持バネ120の内側に付勢される。これにより、グリップアーム90の後端側が主軸ヘッド24側で保持された状態で、グリップアーム90の姿勢を保持することができる。
次に、グリップアーム90の構造について説明する。図8に示すように、グリップアーム90は、マガジンベース81の裏面の外周側に、所要の中心角で周方向に複数本(例えば、14本)固定されている。図9,図10に示すように、グリップアーム90は、マガジンベース81の裏面の外周側に固定される支点台105を揺動動作の支点とする。グリップアーム90は、支点台105に設けられた枢支軸97を介して軸支され、山成りに折れ曲がった棒状のアーム本体91と、該アーム本体91の自由端である先端側に設けられ、図8に示す工具ホルダ7を把持するU字状の溝である把持溝93と、アーム本体91の反自由端である後端側に設けられ、くの字状に折れ曲がったローラ支持部94と、該ローラ支持部94の後端部に軸支された摺動ローラ98と、アーム本体91の枢支軸97に軸支される部分から主軸ヘッド24側(図8参照)に突出して設けられ、カムフォロア96を回転自在に支持するカムフォロア支持部95と、アーム本体91のカムフォロア支持部95より先端側(自由端側)に設けられ、カムフォロア102を主軸ヘッド24側に向けて軸支するカムフォロア支持部101とを主体に構成されている。さらに、アーム本体91のくの字状に折れ曲がった外側面には、切粉の衝突を防ぐための金属板である鎧カバー92が固定されている。また、ローラ支持部94とカムフォロア支持部95との間には補強板104が渡設されている。なお、グリップアーム90には、第1実施形態のグリップアーム50のカムフォロア68に相当するカムフォロアは設けられていない。
支点台105は、図9に示すように、断面コの字型に構成されている。この支点台105は、マガジンベース81の裏面に固定される固定板106、該固定板106の互いに対向する左右両端部から、固定板106の内面に対して直角に各々延設された右側支持板107、左側支持板108を主体に構成されている。そして、右側支持板107と左側支持板108との間には枢支軸97が渡設され、該枢支軸97を中心にアーム本体91が軸支されている。これにより、グリップアーム90が揺動可能となっている。また、固定板106の上端部の中央には、上方に延びる短冊状の支持板109が設けられている。さらに、その支持板109の主軸ヘッド24に対向する内側面には、コの字型のベース側保持バネ115が固定されている。
このベース側保持バネ115は、ヘッド側保持バネ120と同じコの字型の板バネである。ベース側保持バネ115は、長方形の板状の固定部116、該固定部116の互いに対向する左右両端部からやや内側に向けた状態で斜めに各々延設された長方形の板状の右側押圧部117、左側押圧部118から構成されている。さらに、これら右側押圧部117及び左側押圧部118の各前端部はやや外側にそれぞれ折り曲げられている。このことから、グリップアーム90の後端側の摺動ローラ98が押し込められやすくなっている。そして、このような構成からなるベース側保持バネ115の内側に、グリップアーム90の摺動ローラ98が押し込まれると、ベース側保持バネ115の右側押圧部117及び左側押圧部118によって、摺動ローラ98がベース側保持バネ115の内側に付勢される。これにより、グリップアーム90の後端側がマガジンベース81側で保持された状態で、グリップアーム90の姿勢を保持することができる。
カムフォロア96は、図8,図9に示す主軸ヘッド24の前面に固定された可動カム28のカム面28aに摺動する。一方、カムフォロア102は、図8,図9に示す主軸ヘッド24の前面の可動カム28の右側に固定された固定カム33のカム面33aに摺動する。なお、カムフォロア102は、カムフォロア96によるアーム本体91の揺動を補助するためのローラである。つまり、カムフォロア102が固定カム33のカム面33aを摺動することによって、揺動するアーム本体91の姿勢を安定して保持することができる。なお、固定カム33のカム面33aは、可動カム28のカム面28aに対して上下逆向きに傾斜している。これにより、アーム本体91を安定して揺動させることができる。
ローラ支持部94はくの字状に折れ曲がり、その後端側は、アーム本体91の先端側の長手方向と平行に延設されている。そして、そのローラ支持部94の後端部には、該後端側の長手方向に延びる軸心を有する摺動ローラ98が軸支されている。これにより、摺動ローラ98をヘッド側保持バネ120及びベース側保持バネ115の内側に押し込めることができる。さらに、ヘッド側保持バネ120の右側押圧部122及び左側押圧部123と、ベース側保持バネ115の右側押圧部117及び左側押圧部118とに対して、摺動ローラ98の転動面をそれぞれ接触させることができるので、ヘッド側保持バネ120及びベース側保持バネ115に対して無理な負荷がかかることを防止することができる。
次に、上記構成からなるグリップアーム90の揺動動作について説明する。まず、マガジンベース81の最下端に回転割り出しされたグリップアーム90のカムフォロア96が、可動カム28のカム面28aに当接する。さらに、カムフォロア102が、固定カム33のカム面33aに当接する。そして、図10に示すように、主軸ヘッド24が上昇した場合、カムフォロア96が可動カム28のカム面28aによって主軸ヘッド24から離れる方向に付勢される。さらに、カムフォロア102が、固定カム33のカム面33aによって主軸ヘッド24に近づく方向に付勢される。すると、グリップアーム90が、右側面から見た時の反時計回りに揺動するため、アーム本体91の先端側の把持溝93が主軸ヘッド24の下部に沿ってガイドされる。
一方、グリップアーム90の後端側の摺動ローラ98は、ベース側保持バネ115の内側に押し込まれる。すると、摺動ローラ98の転動面には、右側押圧部117及び左側押圧部118が当接するとともに、摺動ローラ98をベース側保持バネ115の内側に付勢する。これにより、摺動ローラ98がベース側保持バネ115の内側に保持される。こうして、割出位置にあるグリップアーム90の把持溝93を、主軸30側に移動させた状態で、グリップアーム90の姿勢を安定保持させることができる。
次に、主軸ヘッド24が下降した場合、図11に示すように、グリップアーム90のカムフォロア102が、固定カム33のカム面33aを摺動することによって、主軸ヘッド24の前面から離間する方向に移動する。また、カムフォロア96は、可動カム28のカム面28aを摺動することによって、主軸ヘッド24の前面に向かって移動する。すると、グリップアーム90が、右側面から見た時の時計回りに揺動し始める。さらに、グリップアーム90の後端側の摺動ローラ98が、ベース側保持バネ115の内側から離脱し、主軸ヘッド24の前面に向かって移動する。これによって、グリップアーム90の先端側は、主軸ヘッド24の下部から離間する方向に移動する。
さらに、摺動ローラ98が主軸ヘッド24に向かって移動すると、摺動ローラ98はヘッド側保持バネ120の内側に押し込められる。すると、摺動ローラ98の転動面には、右側押圧部122及び左側押圧部123が当接するので、摺動ローラ98がヘッド側保持バネ120の内側に付勢される。これにより、摺動ローラ98がヘッド側保持バネ120の内側に保持される。こうして、マガジンベース81の最下端の割出位置にあるグリップアーム90の把持溝93を、主軸30から離れる退避位置に移動させた状態で、グリップアーム90の姿勢を安定保持させることができる。
そして、グリップアーム90は、摺動ローラ98がヘッド側保持バネ120に保持されることによって、その姿勢が保持されている。よって、グリップアーム90の先端側と、主軸ヘッド24の前面との間に所定の隙間が保たれた状態で、主軸ヘッド24が下降し、ワーク下降が実行される。これにより、グリップアーム90の先端側と、主軸ヘッド24の前面との間に切粉が入り込むことを防止できるので、グリップアーム90の滑らかな揺動動作を維持することができる。
以上説明したように、第2実施形態の工具交換装置100では、コの字型のヘッド側保持バネ120が、自身の開口する内側をグリップアーム90の後端側に向けた状態で、マガジン支持台78の下部に固定されている。このヘッド側保持バネ120は、固定部121、右側押圧部122及び左側押圧部123から構成されている。このような構成からなるヘッド側保持バネ120の内側に、グリップアーム90の摺動ローラ98が押し込まれると、摺動ローラ98は、右側押圧部122及び左側押圧部123によって、ヘッド側保持バネ120の内側に付勢される。これにより、グリップアーム90の後端側を主軸ヘッド24側で保持した状態で、グリップアーム90の姿勢を保持できる。そして、工作機械1において、ワーク加工のために主軸ヘッド24が下降した場合、グリップアーム90の後端側を主軸ヘッド24側で保持できることから、グリップアーム90の先端側と、主軸ヘッド24の前面との間に所定の隙間を保った状態でワーク加工を実行できる。これにより、主軸30の加工領域から飛散する切粉の影響を受けることなく、グリップアーム90の滑らかな揺動を維持することができる。
次に、第3実施形態の工具交換装置について、図12乃至図14を参照して説明する。図12は、グリップ支持カラー150、グリップアーム160、可動カム28及び固定カム33の相互の位置関係を示す斜視図であり、図13は、グリップアーム160の揺動を示す説明図(鋼球168がベース側ノッチ溝152に落着した状態)であり、図14は、グリップアーム160の揺動を示す説明図(鋼球168がベース側ノッチ溝152に落着した状態)である。
第3実施形態の工具交換装置は、図15に示す従来の工具交換装置200のグリップ支持カラー210を変形したグリップ支持カラー150を有し、そのグリップ支持カラー150の主軸ヘッド24側に、ヘッド側ノッチ溝153を設けた点に特徴がある。なお、第3実施形態の工具交換装置は、第1実施形態と同じ工作機械1に設けられるものであるため、従来構造と異なるグリップ支持カラー150を中心に説明する。
グリップ支持カラー150について説明する。図12に示す円筒状のグリップ支持カラー150は、図15に示すマガジンベース202のボス部202aに外挿されている。このグリップ支持カラー150の外周面には、断面円弧状に形成されたガイド面151が形成されている。そして、そのガイド面151のマガジンベース側(図12の左側)にはベース側ノッチ溝152が周設され、主軸ヘッド側には(図12の右側)にはヘッド側ノッチ溝153が周設されている。ベース側ノッチ溝152,ヘッド側ノッチ溝153は、グリップアーム160の後端側から突出する鋼球168を落着させることによって、グリップアーム160の姿勢を保持するためのものである。
グリップアーム160について説明する。グリップアーム160は、図15に示すグリップアーム250と同じ構造である。図12に示すように、グリップアーム160は、マガジンベースの裏面の外周側に固定される支点台162を揺動動作の支点とする。グリップアーム160は、その支点台162に設けられた枢支軸167を介して軸支され、山成りに折れ曲がった棒状のアーム本体161と、該アーム本体161の自由端となる先端側に設けられ、図1に示す工具ホルダ7を把持するY字形状の把持部163と、アーム本体161の反自由端に設けられ、圧縮コイルばね(図示外)を収納して鋼球168を弾力的に支持する筒状の当接部164と、アーム本体161の枢支軸167に軸支される部分から主軸ヘッド側に突出して設けられ、カムフォロア166を回転自在に支持するカムフォロア支持部165とを主体に構成されている。
さらに、把持部163は、非開閉式の2股部169と、該2股部169の内端部に設けられ、圧縮コイルバネ(図示外)によって弾力的に後退可能に収納される一対の支持ピン176(図12では、片方の支持ピン176のみ図示)とで構成されている。さらに、2股部169の両側に分かれる各端部の外側には、支持ピン176の中心を回転中心とするカムフォロア175が各々設けられている。
次に、グリップアーム160の揺動動作について説明する。図13に示すように、マガジンベースの最下端に回転割り出しされ、主軸30に最も近接する位置に移動されたグリップアーム160のカムフォロア175が、固定カム29のカム面29aに当接する。さらに、カムフォロア166が可動カム28のカム面28aに当接する。そして、これらカムフォロア175及びカムフォロア166がカム面29a,28aに沿って摺動すると、アーム本体161が枢支軸167を中心に揺動する。また、グリップアーム160の当接部164から突出する鋼球168の一部は、グリップ支持カラー150のガイド面151に当接して摺動する。これにより、グリップアーム160の揺動動作を安定して行うことができる。
そして、図13に示すように、主軸ヘッド24が上昇すると、カムフォロア175,166が摺動するカム面29a,28aによって、グリップアーム160が右側面から見た時の反時計回りに揺動し、グリップアーム160の把持部163が主軸側に移動し、当接部164がマガジンベース側に移動する。この場合、当接部164から突出する鋼球168はベース側ノッチ溝152に落着する。これにより、グリップアーム160は揺動することなくその姿勢が保持される。
次いで、図14に示すように、主軸ヘッド24が下降すると、グリップアーム160が右側面から見た時の時計回りに揺動するため、当接部164の鋼球168は、グリップ支持カラー150のベース側ノッチ溝152から離脱して、円弧状のガイド面151に沿って移動する。そして、グリップアーム160の把持部163がマガジンベース側に移動し、当接部164が主軸ヘッド24側に移動すると、当接部164から突出する鋼球168はヘッド側ノッチ溝153に落着する。これにより、グリップアーム160は揺動することなくその姿勢が保持される。そして、グリップアーム160は、当接部164がヘッド側ノッチ溝153に落着していることによって、その姿勢が保持されている。これにより、カムフォロア175と、主軸ヘッド24の前面との間に所定の隙間を保った状態でワーク加工を実行できる。そして、カムフォロア175と主軸ヘッド24の前面との間に切粉が付着して、カムフォロア175の転動面が損傷することがないので、グリップアーム160の滑らかな揺動を維持できる。
なお、本発明の工具交換装置は、上記実施形態に限らず、各種の変形が可能なことはいうまでもない。