JP2007260789A - 定寸検出方法及び定寸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 クランクピンのような回転軸から偏心した工作物を加工する際に、省スペース化、小型化を図った簡単な装置で工作物の外径(半径)を測定することのできる定寸検出方法及び定寸装置を提供する。
【解決手段】 回転駆動される工作物の回転軸線から偏心した円筒部の半径を三点接触法により測定する三点接触式測定器46と、該三点接触式測定器46を前記回転軸線に垂直な断面上で前記円筒の円周に沿って接触移動させる接触移動手段42とを備えた定寸装置において、前記三点接触式測定器46を前記円筒部の公転における上昇端近傍においてのみ接触移動させて円筒の半径を測定する工程と、測定された半径のデータに基づいて所定寸法に達したことを検出する工程とを備える。
【選択図】 図4
【解決手段】 回転駆動される工作物の回転軸線から偏心した円筒部の半径を三点接触法により測定する三点接触式測定器46と、該三点接触式測定器46を前記回転軸線に垂直な断面上で前記円筒の円周に沿って接触移動させる接触移動手段42とを備えた定寸装置において、前記三点接触式測定器46を前記円筒部の公転における上昇端近傍においてのみ接触移動させて円筒の半径を測定する工程と、測定された半径のデータに基づいて所定寸法に達したことを検出する工程とを備える。
【選択図】 図4
Description
本発明は、工作物を円筒形に加工する研削盤や旋盤において回転軸に回転可能に支持された工作物の寸法を測定するのに使用する定寸検出方法及び定寸装置に関する。
研削盤や旋盤のような工作機械に付属して使用される外径測定装置は、加工中の工作物の加工箇所の外周面に接触子を接触させて工作物の外径を測定し、その測定値が所定値に達したとき定寸信号を発する定寸装置を構成するものである。
測定においては、加工箇所の中心を回転中心にして工作物を回転させながら、所定位置に設置された接触子を工作物の外周面に接触させて、加工の進行に伴って直径が減少する工作物の外周に追随させて工作物の直径を逐次測定する。そして、クランク軸のクランクピンのように偏心回転する部分の加工においては、クランクピンの偏心回転に追随させるよう接触子全体を揺動させる機構が必要である。
そのための技術として、例えば特許文献1に示すものが知られている。これは、特許文献1の図1に示すように、研磨ホイールスライド部(砥石台)1に支持される支持部材5に対して、回転する第1回転結合要素(第1アーム)9と、第1回転結合要素9に対して回転する第2回転結合要素(第2アーム)12と、第2回転結合要素12によって保持された参照装置(接触子)20と、参照装置20に連結された計測装置16,17とを有する装置である。そして、図1及び図4に示すように、第1回転結合要素9を回転させることにより、上下に参照装置20を移動させてクランクピン18に接触する点検位置(作動位置)と同クランクピン18から離間させる停止位置(待避位置)との間を移動させる。また、参照装置20は、点検位置においてクランクピン18の偏心回転に追随する必要があるが、参照装置20は支持部材5,第1回転結合要素9及び第2回転結合要素12を介して研磨ホイールスライド部1に支持されているので、前進後退は研磨ホイールスライド部1に伴って動き、研磨ホイール(砥石車)4に対しては相対的に円弧軌道25に示す動きに追随する。
また、他に特許文献2に示すものが知られており、これは、砥石台(table part)12に支持されて水平方向に直線的にスライドする縦支持部材(upright part)20を有し、該縦支持部材20に対して垂直方向に直線的にスライド可能に支持されて工作物(work piece)40の下面に接触する第一接触子(first finger)32を下端に有する第一計測部材(first elongate probe)30と、同じく垂直方向に直線的にスライド可能に支持されて工作物40の上面に接触する第二接触子(other finger)36を下端に有する第二計測部材(second elongate probe)34とを備える装置である。そして、第一接触子32の上面と第二接触子36の上面との間に工作物40を挟持し、両接触子32,36が接近する方向にスプリング21によって付勢した状態で真円度の計測がなされる。両接触子32,36の作動位置と待避位置との間の移動は、駆動装置(drives)17,19によって前記両計測部材30,34をそれぞれ垂直方向に直線的に移動させることによっておこなわれる。また、両接触子32,36は作動位置においてクランクピン40の偏心回転に追随するため、砥石車(grinding wheel)10に対して該砥石車10の外周に沿った円弧上を上下に動くようになっている。
特表平11−513317号公報(第17頁〜第21頁、図1〜図5)
米国特許5761821号公報(Fig.1〜Fig.3)
上記特許文献1にかかる装置では、参照装置20を偏心回転するクランクピン18の外径を全周にわたって測定するので、クランクピンの最高の位置18′と最低の位置18″との間を、参照装置20で追随させるため長い第1回転結合要素(第1アーム)9を正逆回転させて上下動させている。また、参照装置20を停止位置と点検位置との間で移動させる場合にも、長い第1回転結合要素(第1アーム)9を回転させるための広いスペースが必要となる。
また、特許文献2にかかる装置では、上部及び下部計測部材30,34を水平方向及び垂直方向に直動的にスライドさせるので、アームを回転させるような広いスペースは必要ではないが、特許文献1と同様に、工作物40の外径を全周にわたって測定するため、クランクピン40の最高位置と最低位置との間を上下にスライドさせるためのガイドや駆動装置を設けなければならず、装置自体が大掛かりなものとなってしまうという問題があった。
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、クランクピンのような回転軸から偏心した工作物を加工する際に、工作物の外周の一部を測定するだけで所定の外径(半径)寸法を検出でき、省スペース化、小型化を図った簡単な構造の定寸装置及び定寸検出方法を提供することである。
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、回転駆動される工作物の回転軸線から偏心した円筒部の半径を三点接触法により測定する三点接触式測定器と、該三点接触式測定器を前記回転軸線に垂直な平面上で前記円筒部の円周に沿って接触移動させる接触移動手段とを備えた定寸装置において、前記三点接触式測定器を前記円筒部の公転における上昇端近傍のみにおいて接触移動させて円筒部の半径を測定する工程と、測定された半径のデータに基づいて所定寸法に達したことを検出する工程とを備えたことである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記上昇端近傍は、前記円筒部の公転における該上昇端を挟んでその両側に36度ずつ開く角度の範囲とされていることである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、回転駆動される工作物の回転軸線から偏心した円筒部の半径を三点接触法により測定する三点接触式測定器と、該三点接触式測定器を前記回転軸線に垂直な平面上で前記円筒部の円周に沿って接触移動させる接触移動手段とを備えた定寸装置において、前記接触移動手段は、前記円筒部の公転における上昇端近傍のみにおいて前記三点接触式測定器を接触移動させる接触移動手段であり、前記三点接触式測定器によって測定されたデータに基づいて前記円筒部の半径が所定の寸法に達したことを検出する検出手段を備えたことである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項3において、前記検出手段は、前記工作物の円筒部が加工される際の半径の減少傾向特性を記憶する記憶手段を有し、前記傾向特性と前記三点接触式測定器によって測定されたデータとにより、前記三点接触式測定器によって測定されない円筒部の半径の値を予測し、所定の寸法に達したことを検出することである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項3又は4において、前記接触移動手段は、前記三点接触式測定器を工作物に接触させる作動位置において該三点接触式測定器を自由状態で上下に遊動させるスライダ部材と、該スライダ部材に前記回転軸線に垂直な平面内において回動可能に軸支され下端において三点接触式測定器が設けられた回動部材と、前記スライダ部材の下降端を規制することにより前記三点接触式測定器の接触移動範囲の下限を規制する規制手段とを備えたことである。
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項5において、前記規制手段は、前記三点接触式測定器の接触移動範囲を、前記工作物の回転軸線から偏心した円筒部の公転における前記円筒部の上昇端を挟んで、その両側に予め定められた角度の範囲に規制することである。
請求項1に係る発明においては、工作物の円筒部の外周の全部でなく一部のみに三点接触式測定器を接触させて工作物の半径を測定する。三点接触式測定器は、上下左右方向には工作物の回転中心から偏心した円筒部の遊星運動に伴って移動する。このとき工作物(円筒部)の上方に設けられた接触移動手段によって前記円筒部の全周でなく外周の一部についてのみ接触させて該円筒部の半径を測定し、実際に測定された半径のデータに基づいて工作物の半径の変化を予測し、予測値が定寸に至ることを検出する。このように三点接触式測定器の移動範囲が狭いので、接触移動手段や装置全体の小型化を図ることができ、三点接触式測定器を広く移動させて測定するのと比較して測定精度を向上させることができる。
請求項2に係る発明においては、三点接触式測定器を接触させて工作物の半径を測定するのは、円筒部が公転する5分の1の範囲である上昇端を挟んでその両側に36度ずつ開く角度の範囲なので、三点接触式測定器を狭い範囲で移動すればよく、また、工作物の半径の変化を予測するための信頼性の高い測定値を得ることができる。
請求項3に係る発明においては、三点接触式測定器を円筒部の全周でなく外周の一部についてのみ接触移動させるだけなので、接触移動手段が三点接触式測定器を移動させる範囲が少なくてすみ、接触移動手段は小型化・軽量化を図ることができ、装置全体としてもコンパクトでコストの安価な定寸装置を提供することができる。
請求項4に係る発明においては、記憶手段によって記憶された工作物の円筒部が加工される際の半径の減少傾向特性と、三点接触式測定器によって測定された半径のデータとにより、三点接触式測定器によって測定されない範囲の円筒部の半径について容易に予測し、円筒部の半径が所定の寸法に達したことを確実に検出することができる。
請求項5に係る発明においては、工作物の回転軸線に垂直な平面内で回動する回動部材の下端に設けられた三点接触式測定器を、接触移動手段に設けられた簡単な機構のスライダ部材によって作動位置において自由状態で上下に遊動させ、また簡単な機構の規制手段によって三点接触式測定器の接触移動範囲の下限を規制する。そのため、複雑な機構や大掛かりな装置とすることなく簡単な機構の定寸装置を提供することができる。
請求項6に係る発明においては、三点接触式測定器の接触移動範囲を、上昇端を挟んでその両側に予め定められた角度の範囲に規制する簡単な機構の定寸装置を提供することができる。
本発明に係る定寸装置の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。図1は本発明に係る定寸装置を使用した研削装置の概略平面図及び制御図であり、図2は該定寸装置の概略を示す側面図である。
まず、この発明の実施形態に使用される研削装置について説明する。図1に示すように、ベッド1上には一対のガイドレール3が研削装置5のZ軸方向である横長手方向に延在しており、ガイドレール3上にはテーブル7が摺動自在に載置されている。テーブル7上には主軸台11が図面上左側に配置され、主軸台11には主軸13が取り付けられている。主軸13はサーボモータ15の出力軸に連結されており、サーボモータ15の回転は、サーボモータ15に取り付けられているロータリーエンコーダ17により検出される回転位置に基づき後述する数値制御装置により制御されるようになっている。主軸13には図略のチャック等が取付けられ、該チャック等によりクランクシャフトWの一端部のジャーナル部が回転方向に位相決めされて把持されるようになっている。主軸台11と対向する図面上右側には心押台19が配置され、心押台19によりクランクシャフトWの他端のジャーナル部がセンタ21により回転可能に支持されるようになっている。これらの構成により主軸13の回転軸心とクランクシャフトWのジャーナル部の軸線が一致するので、クランクシャフトWは主軸13の軸線回りに制御回転されてクランクピンCPを遊星運動させる。
前記一対のガイドレール3間にはテーブル7をZ軸方向に移動させるボールねじ23が配置され、ボールねじ23の(図1において)左端部はベッド1の左端面に取付けられたサーボモータ25の出力軸に連結されている。サーボモータ25にはボールねじ23の回転角度を検出するためのロータリーエンコーダ27が取付けられている。
ベッド1上には、前記Z軸方向に対して水平面上で直交するX軸方向に延在する一対のガイドレール29が配置され、ガイドレール29上には砥石車31を回転自在に軸支する砥石台33が摺動可能に載置されている。この砥石車31は図略のモータによって回転駆動される。一対のガイドレール29間には砥石台33をX軸方向に移動させるボールねじ35が配置され、ボールねじ35の後端部はベッド1の後端面に取付けられたサーボモータ37の出力軸と連結している。サーボモータ37には回転角度を検出するためのロータリーエンコーダ39が取付けられている。これらの構成により砥石台33をクランクシャフトWの軸線に直交するX軸方向に制御しながら進退移動させるので、クランクピンCPの遊星運動に同期して往復運動させることができる。
前記砥石台33の上面には定寸装置41が設けられている。本実施形態における定寸装置41は、図2に示すように、直動部材42と回動部材44と三点接触式測定器46とから構成される。砥石車31のカバー43にはクーラント液供給装置45の上方及び前方の一部を覆うブラケット47が設けられ、ブラケット47の前面には同じく直動部材42を構成する垂直ガイドレール49が緩衝部51を介して固設されている。垂直ガイドレール49には同じく直動部材42を構成するスライダ53が上下動摺動可能に設けられている。スライダ53の上部には係合板部53aが水平に突設され、係合板部53aには後述するシリンダ装置のピストンが遊嵌状態で係合する係合穴53bが貫設されている。
シリンダ装置55はシリンダ本体55aとピストン55bとエア供給ホース(図略)と、電磁切替弁(図略)と、エア供給ポンプ(図略)とから構成される。前記ブラケット47の上面にはブラッケット47より前方に段差を有して突出する支持板57が設けられ、支持板57にはピストン55bが遊嵌される図略の貫通穴が設けられている。支持板57には図略のボルト及びナットによってシリンダ本体55aが開口部を下向きにして載置固定されている。ピストン55bの下端部にはボルトヘッドによるストッパ55cが設けられて前記係合穴53bからの抜け止め防止となっている。図4に示すように、ストッパ55cに該係合穴53bが係合しかつピストン55bを最も伸長した状態が、クランクピンCPに対して後述する三点接触式測定器が接触移動可能な最低位置(下限)となる。本実施形態においては、クランクピンCPの公転における上昇端を挟んで、その両側に予め定められた角度、例えば36度ずつ(合計72度)開く角度に対応するクランクピンCPの外周位置B又はD(砥石台に対する相対位置b又はd)のところまで、該三点接触式測定器が該外周に沿って降下可能になっている。また、垂直ガイドレール49にはスライダ53が最低位置(下降端)に達したことを検知するセンサ50が設けられ、このセンサ50の信号が後述する数値制御装置に送られてクランクピンCPの外径(半径)寸法の測定の開始及び終了が行われる。したがって、クランクピンCPは全周に対して5分の1の範囲について実際に測定されることとなる。
ここで、上記直動部材42、回動部材44及びシリンダ装置55によって接触移動手段64を構成する。また、係合板部53a、係合穴53b、ピストン55b、ストッパ55cによって規制手段を構成する。このように、工作物(クランクシャフト)Wの回転軸線に垂直な平面内で回動する回動部材44の下端に設けられた三点接触式測定器46を、接触移動手段64に設けられた簡単な機構のスライダ53によって作動位置において自由状態で上下に遊動させ、また簡単な機構の規制手段55c等によって三点接触式測定器46の接触移動範囲の下限を規制する。そのため、複雑な機構や大掛かりな装置とすることなく簡単な機構の定寸装置41を提供することができる。
また、前記スライダ53の上下動は、スライダ53に係合した前記ピストン55bが進退されることによっておこなわれる。ピストン55bには前記エアポンプよりエアが供給され、後述する数値制御装置により制御される電磁切替弁を切り替えると、該エア供給ポンプからのエアの供給が切り替わって、ピストン55bが進退するようになっている。
また、このスライダ53の下端には砥石車31の回転軸心と平行な回転軸を有する回動係合部59が設けられ、回動係合部59を中心にして回動部材44が回動するように軸着されている。
回動部材44はL字形支持部材本体61と下部シリンダ63とから構成される。L字形支持部材本体61は断面4角形のパイプ状で、上端部を回動係合部59に軸着された上部支持部61aと、上部支持部61aより砥石車31側へ直角に屈曲させた下部支持部61bとから形成されている。上部支持部61aの下部上面には付勢錘62が設けられ、L字形支持部材本体61及び後述する三点接触式測定装置をクランクピンCP方向に付勢するようになっている。上部支持部61aと下部支持部61bの挟角部分には補強部材61cが設けられている。下部支持部61bには下部シリンダ63が並設されている。下部シリンダ63は、下部シリンダ本体63aと下部シリンダピストン63bとから構成され、下部シリンダ本体63aには下部シリンダピストン63bが進退可能に嵌挿されている。下部シリンダピストン63bは下部シリンダ63に並設されたスライドガイド65によってガイドされる。下部シリンダピストン63aの下端には三点接触式測定器46が組付けられている。下部シリンダ63にはエア供給ホース(図略)が設けられ、該エア供給ホースにはエア供給ポンプ(図略)が連通されている。該エア供給ホースの途中には後述する数値制御装置により制御される電磁切替弁(図略)が設けられ、該電磁切替弁を切り替えることによってエア供給ポンプからのエアの供給を切替え、下部シリンダピストン63bを進退させて三点接触式測定器46を上下動させるようになっている。この下部シリンダピストン63b及び前記ピストン55bを伸長させて、三点接触式測定器46をクランクピンCPの作動位置に位置合わせして載置・接触させる。
三点接触式測定器46は既知の外径寸法測定器であって、図2及び図3に示すように、V字に広がったブロックと該ブロックの間にある接触子との三点でクランクピンCPの外周に接触してその半径を測定する。三点接触式測定器46は、三点接触式測定器46の自重、回動部材44及びスライダ53の自重によってクランクピンCPに上方から押し付けられる。また、回動部材44の自重,三点接触式測定器46の自重及び付勢錘62に基づいて、回動部材44が回動係合部59を中心に回動し、三点接触式測定器46は横方向からクランクピンCPに押し付けられる。これらの上方及び横方からの押し付けによって、三点接触式測定器46はクランクピンCPへの安定した接触圧を確保するようになっている。測定の際、クランクピンCPは砥石台33に対して円弧状に上下に動くが、クランクピンCPが上昇すると、スライダ53の係合板部53aがストッパ55cから離間し、スライダ53は係合穴53bの内周を上下に延在するピストン55bの外周に摺動させながら上方へ遊動する。クランクピンCPが下降すると、ストッパ55cで規制される範囲において、スライダ53は係合穴53bの内周をピストン55bの外周に摺動させながら下方へ遊動する。クランクピンCPの横方向の動きにはクランクシャフトWの回転軸線に平行な回転軸で回動する回動部材44の動きによって追随する。このようにして、三点接触式測定器46をクランクピンCPの円弧状の上下の動き(上昇端近傍における)に追随させるようになっている。
前記砥石車31のカバー43の上面に設けられたクーラント液供給装置45は、背後に上下2本の供給パイプ67,69を備え、それぞれのパイプ67,69に連通するとともに砥石車31の研削面及びクランクピンCPの研削面に向かってそれぞれ開口するノズル71,73が設けられている。
数値制御装置101は、演算手段としての中央処理装置(CPU)103、読出し専用メモリ(ROM)104及び書込み可能メモリ(RAM)106がバスを介して相互に接続されて構成されている。数値制御装置101には、キーボード、CRTモニタ等を備えた入出力装置108が図略のインターフェースを介して接続され、この入出力装置108からの指令により数値制御装置101が操作される。ROM104には例えばシステム制御プログラム等が記憶されている。RAM106には例えばクランクピンCPの遊星運動に同期して砥石台33を往復運動させる加工動作プログラムなどが記憶されており、定寸装置41より検出された測定データを記憶する記憶領域等が設けられている。そして、これらの加工動作プログラム、外径(半径)寸法測定データ等に従い予め登録された加工データに基づいて、CPU103によりインターフェース105を介して主軸サーボモータ制御回路107、砥石台サーボモータ制御回路109及びテーブルサーボモータ制御回路111に加工指令を出力するよう構成されている。また、シリンダ装置55及び下部シリンダ61の前記電磁切替弁を制御して定寸装置41のスライダ53及び三点接触子式測定器46を上下動する。また、テーブル7、砥石台33及び主軸13等の動作を制御するそれぞれのサーボモータ15,25,37に取付けられたロータリーエンコーダ17,27,39により、インターフェース105を介して数値制御装置101に各サーボモータ15,25,37の現在位置情報をフィードバックできるようになっている。A/D変換器113は定寸装置41で測定されたクランクピンCPの測定値をデジタル信号に変換し、インターフェース105を介してCPU103に入力する。
次に上記のように構成された定寸装置の使用方法について説明する。入出力装置108から研削開始の指令が与えられると、CPU103は主軸13のサーボモータ15を作動させてクランクシャフトWを回転させ、砥石車31を回転させるとともに、砥石台33のサーボモータ37を作動させて砥石台33をクランクピンCPの遊星運動(図4においてA,B,C,D,E,F)に同期して往復運動させ、クランクピンCPの研削を開始する。
定寸装置としての外径(半径)寸法の測定は研削加工と並行して実行される。この測定動作は砥石車31がクランクピンCPに達して研削が開始される位置を越えたところから開始され、測定時間間隔は例えば5ミリ秒ごとに繰り返して実行される。
定寸装置41において、三点接触式測定器46が、図2に示すような退避位置にある場合、数値制御装置101によって前記電磁切替弁を作動させ、シリンダ装置55にエアを送り込むことによってピストン55bを伸長させる。ピストン55bの伸長によってスライダ53が下方に移動し、回動部材44及び三点接触式測定器46を測定可能な作動位置まで移動させる。そして下部シリンダ63の前記電磁切替弁を作動させて下部シリンダピストン63aを伸長させ、図3に示すように、測定するクランクピンCPに斜め上方から接近させて同クランクピンCPの外周に三点で接触させる。
このような状態でクランクピンCPの外径(半径)寸法の測定が開始されるが、研削加工と並行して測定が実行されるので、三点接触式測定器46は、水平方向には砥石台33の進退に伴って移動するとともに、図4に示すように、上下方向にはクランクシャフトWの回転中心KOから偏心したクランクピンCPの遊星運動(A〜A)にともなって、砥石車31の外周に沿った円弧上の所定の範囲を、砥石車31に対して相対的に上下動することが必要となる。しかし、このときクランクピンCPの上方に設けられたスライダ53はピストン55bを遊嵌した係合穴53bによって上下方向に遊動し、スライダ53の最低位置(下降端)はピストン55bのストッパ55cによって規制されるので、三点接触式測定器46は図4においてbcdの移動範囲の小さい円弧状を上下動する。また、スライダ53の下降端の位置はセンサ50により検知され、数値制御装置101に信号が送られて測定の開始と終了が制御される。したがって、三点接触式測定器46は、図4に示すように、クランクピンCPの上部外周の一部である72度の範囲(BCD)について接触移動させて半径を測定する。そして、三点接触式測定器46はクランクピンCPの半径を検知して外径(半径)検知信号を数値制御装置101に対して送付する。
次に、外径(半径)検知信号を送付された数値制御装置101は、測定データに基づいて、例えば図5に示すように、クランクピンCPが加工される際の半径の減少傾向特性を演算して(或いは予め実験的に求められた該減少傾向特性を)記憶手段としてのRAM106に記憶させる。そして、記憶させた減少傾向特性と、三点接触式測定器46によって実測されたクランクピンCPの半径のデータよりクランクピンCPの半径が予定寸法ALに達するのがX°の時点であると予測演算し、その予測値に至ったとき定寸の検知信号を発することで所定の寸法に達したことを検出する。このように実際には測定されていないクランクピンCPの半径についても、前記減少傾向特性と三点接触式測定器46による実測値とにより容易に予測し、該半径が所定寸法に達することを確実に検出することができる。これによって、三点接触式測定器46をクランクシャフトWの回転中心から偏心した円筒の遊星運動の全てに追随させることなく、短い測定時間でクランクピンCPの所期の半径寸法(定寸)を簡単に検出することができる。
また、接触移動手段64は三点接触式測定器46を移動させる範囲が少なくてすむので、測定精度を向上させるとともに接触移動手段自体の小型化・軽量化を図ることができ、装置全体としてもコンパクトなコストの安価な定寸装置41を提供することができる。
上記のように、三点接触式測定器46によって所期の半径が検出されて定寸の検知信号が発せられると、砥石台33が後退して研削が停止されるとともに数値制御装置101によって前記電磁切替弁が切替えられ、下部シリンダ63の下部シリンダピストン63aが退縮して三点接触式測定器46がクランクピンCPから離れる。下部シリンダピストン63aの退縮によってリミットスイッチ65がONされてL字形支持部材本体61の回動が止められて保持固定される。そして数値制御装置101によって前記電磁切替弁を作動させてシリンダ装置55のピストン55bを退縮させることによって、スライダ53を上方に移動させ、三点接触式測定器46を待避位置に移動させる。以下、クランクピンCPの研削加工ごとに同様におこなわれる。
なお、本実施形態では、クランクピンの外径(半径)を測定する範囲を72度としたが、これに限定されるものでなく、例えば45度、90度といった範囲を測定してもよい。
また、付勢錘62によって回動部材44をクランクピンCP方向に付勢するものとしたが、これに限定されず、例えば回動係合部に回動部材がクランクピンCP方向に付勢するようにスプリングを組付けてもよい。
三点接触式測定器46の位置を確認する作動位置確認センサ、待避位置確認センサを設け、これらのセンサからの信号によって次の工程に移行するようにしてもよい。
また、本実施形態では、研削装置に使用される定寸装置としたが、これに限定されず、例えばクランクピンの円筒部を加工する旋盤にも使用することができる。
41…定寸装置、42…接触移動手段(直動部材)、44…接触移動手段(回動部材)、46……三点接触式測定器、53…スライダ部材、53a…規制手段(係合板部)、53b…規制手段(係合穴)、55…接触移動手段(シリンダ装置)、55b…規制手段(ピストン)、55c…規制手段(ストッパ)、64…接触移動手段、103…検出手段(中央処理装置)、106…記憶手段(RAM)、CP…円筒部(クランクピン)。
Claims (6)
- 回転駆動される工作物の回転軸線から偏心した円筒部の半径を三点接触法により測定する三点接触式測定器と、
該三点接触式測定器を前記回転軸線に垂直な平面上で前記円筒部の円周に沿って接触移動させる接触移動手段とを備えた定寸装置において、
前記三点接触式測定器を前記円筒部の公転における上昇端近傍のみにおいて接触移動させて円筒部の半径を測定する工程と、測定された半径のデータに基づいて所定寸法に達したことを検出する工程とを備えたことを特徴とする定寸検出方法。 - 請求項1において、前記上昇端近傍は、前記円筒部の公転における上昇端を挟んでその両側に36度ずつ開く角度の範囲であることを特徴とする定寸検出方法。
- 回転駆動される工作物の回転軸線から偏心した円筒部の半径を三点接触法により測定する三点接触式測定器と、
該三点接触式測定器を前記回転軸線に垂直な平面上で前記円筒部の円周に沿って接触移動させる接触移動手段とを備えた定寸装置において、
前記接触移動手段は、前記円筒部の公転における上昇端近傍のみにおいて前記三点接触式測定器を接触移動させる接触移動手段であり、
前記三点接触式測定器によって測定されたデータに基づいて前記円筒部の半径が所定の寸法に達したことを検出する検出手段を備えたことを特徴とする定寸装置。 - 請求項3において、前記検出手段は、前記工作物の円筒部が加工される際の半径の減少傾向特性を記憶する記憶手段を有し、
前記傾向特性と前記三点接触式測定器によって測定されたデータとにより、前記三点接触式測定器によって測定されない円筒部の半径の値を予測し、所定の寸法に達したことを検出することを特徴とする定寸装置。 - 請求項3又は4において、前記接触移動手段は、前記三点接触式測定器を工作物に接触させる作動位置において該三点接触式測定器を自由状態で上下に遊動させるスライダ部材と、該スライダ部材に前記回転軸線に垂直な平面内において回動可能に軸支され下端において三点接触式測定器が設けられた回動部材と、前記スライダ部材の下降端を規制することにより前記三点接触式測定器の接触移動範囲の下限を規制する規制手段とを備えたことを特徴とする定寸装置。
- 請求項5において、前記規制手段は、前記三点接触式測定器の接触移動範囲を、前記工作物の回転軸線から偏心した円筒部の公転における前記円筒部の上昇端を挟んで、その両側に予め定められた角度の範囲に規制することを特徴とする定寸装置。
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---|---|---|---|
JP2006085136A JP2007260789A (ja) | 2006-03-27 | 2006-03-27 | 定寸検出方法及び定寸装置 |
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---|---|---|---|---|
CN101767297A (zh) * | 2010-03-04 | 2010-07-07 | 濮阳贝英数控机械设备有限公司 | 圆锥滚子无心磨床防倒置进料装置及使用方法 |
CN102059651A (zh) * | 2010-07-30 | 2011-05-18 | 潘旭华 | 一种曲轴随动磨削的圆度测量方法 |
CN102632457A (zh) * | 2012-04-26 | 2012-08-15 | 潘旭华 | 一种曲轴连杆颈随动磨削的圆度测量方法 |
WO2023175981A1 (ja) * | 2022-03-18 | 2023-09-21 | 株式会社ジェイテクト | 工作物交換装置を備えた工作機械及び加工システム |
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2006
- 2006-03-27 JP JP2006085136A patent/JP2007260789A/ja active Pending
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