JP5606802B2 - 鋼管ねじ継手の防錆に適した光硬化性組成物 - Google Patents

鋼管ねじ継手の防錆に適した光硬化性組成物 Download PDF

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Description

本発明は、光硬化性組成物およびその用途(例:光硬化被膜、光硬化被膜付き基材、光硬化被膜付き鋼管ねじ継手)、ならびに該組成物を用いた鋼管ねじ継手の防錆方法および光硬化被膜付き鋼管ねじ継手の製造方法に関する。本発明に係る光硬化性組成物は、特に鋼管、中でも油井管(OCTG)の締結に使用される鋼管ねじ継手の防錆用の表面処理に適している。
原油やガス油の採掘のための油井掘削に用いられる油井管(例、内部を原油などが流れるチュービング、ならびにチュービングを包囲するケーシング)は、一般に長さが十数メートルであり、油井に到達する長さになるまでねじ継手を用いて接続される。従来、油井の深さは2000〜3000mであった。ところが、近年の海洋油田などの深油井では、油井の深さが8000〜10000mまたはそれ以上に達することがある。
油井管の締結に使用されるねじ継手には、その使用環境下において、油井管およびねじ継手自体の重量に起因する軸方向引張力などの荷重、内外面圧力などの複合した圧力、さらには地中の熱による作用がかかる。このため、前記ねじ継手には、このような過酷な環境下においても破損することなく、油井管の気密性を保持できることが要求される。
油井管の締結に使用される典型的なねじ継手は、図1に模式的に示すようなピン−ボックス構造をとる。ピン1とは、典型的には油井管Aの端部に形成された雄ねじ3aを有する継手要素である。ボックス2とは、典型的にはねじ継手部品B(カップリング)の内面に形成された雌ねじ3bを有する継手要素である。ピン1の雄ねじ3aの先端近くと、ボックス2の雌ねじ3bの基部近くには、ねじ無し金属接触部がそれぞれ形成されている。油井管Aの一端をねじ継手部品Bに挿入し、雄ねじ3aと雌ねじ3bとを締付けることにより、ピンとボックスのねじ無し金属接触部同士を当接させてメタルシール部を形成することにより、油井管Aの気密性が確保される。
チュービングやケーシングの油井への降下作業時には、種々のトラブルにより一度締結したねじ継手を緩め、それらを油井から一旦引き上げた後に再度締結して降下させることがある。API(米国石油協会)は、チュービング継手では10回の、ケーシング継手では3回の、メイクアップ(締付け)およびブレークアウト(緩め)を行っても、ゴーリングと呼ばれる修復不能な焼付きの発生がなくかつ油井管の気密性が保持されるという意味での、耐ゴーリング性および気密性を要求している。
締結時における気密性および耐ゴーリング性の向上を図るために、従来は重金属粉を含有する粘稠な液状潤滑剤(「コンパウンドグリス」と呼ばれる)が、ねじ継手の接触表面(ねじ部およびねじ無し金属接触部)に塗布されてきた。API規格BUL5A2にそのようなコンパウンドグリスが規定されている。コンパウンドグリスはまた、塗布した接触表面における発錆を防止するという耐食性能(防錆性能)も発揮する。
コンパウンドグリスの保持性(ねじ継手の接触表面へのグリスの付着性)の向上やねじ継手の摺動性を改善する目的で、窒化処理、めっき処理(例:亜鉛系めっき、分散めっき)、リン酸塩化成処理といった多様な1層または2層以上の表面処理をねじ継手の接触表面に施すことが提案されている。
しかし、コンパウンドグリスの使用には環境や人体への悪影響が懸念されるという問題がある。コンパウンドグリスは、亜鉛・鉛・銅などの重金属粉を多量に含有している。このため、ねじ継手の締結時に、塗布されたグリスが洗い流されたり、外面にあふれ出したりして、特に鉛などの有害な重金属が環境(特に海洋生物)に悪影響を及ぼす可能性がある。また、コンパウンドグリスの塗布作業により作業環境が悪化することから、人体への有害性も懸念される。
近年、北東大西洋の海洋汚染防止に関するオスパール条約(オスロ・パリ条約、OSPAR)が1998年に発効したのを契機に、地球規模での環境に対する厳しい規制が進み、コンパウンドグリスも一部地域では既にその使用が規制されようとしている。
従って、ガス井や油井の掘削作業においては、環境や人体への悪影響を避けるために、コンパウンドグリスを使用せずに優れた耐ゴーリング性を発揮できるねじ継手が求められるようになってきた。
別の問題として、コンパウンドグリスは黒鉛に代表される固体潤滑剤を多量に含有するため、その被膜が透明ではないことが挙げられる。例えば、管体外面にねじ部を有するピンは、管体内面にねじ部を有するボックスよりも搬送中や締結時に損傷を受けやすいので、締結作業前にそのねじ部の損傷の有無を目視検査することが多い。ピンの管外面のねじ部がダメージを受けることによる突発的なゴーリングの発生を避けるためである。コンパウンドグリスを塗布した場合、この検査時にピンを洗浄してコンパウンドグリスを洗い流し、検査後に再びコンパウンドグリスを塗布する必要があった。この作業は上記のように環境に有害であり、かつ手間がかかる。もし被膜が透明であれば、被膜を除去せずにねじ部の損傷の有無を目視検査することができるため、検査作業の手間を大幅に軽減できる。
油井管は製造後、実際に使用されるまでに数ヶ月間あるいはそれ以上保管されることがある。このため、ねじ継手の接触表面には「ストレージ用グリス」が塗布される。ストレージ用グリスはコンパウンドグリスと同様に透明でないため、検査のたびにこれを洗い流す必要がある。このため、ストレージ用グリスはコンパウンドグリスと同様に環境上の問題を抱えていた。
コンパウンドグリスやストレージ用グリスを塗布せずに油井管の締結に使用できるねじ継手として、本出願人らは先に、下記特許文献1〜3において以下のようなねじ継手を提案している。
・特許文献1(WO2006/104251号公報):ピンおよびボックスの少なくとも一方の部材の接触表面が、下層の粘稠液体または半固体の潤滑被膜と、上層の乾燥固体被膜とからなる2層構造の被膜(2層被膜)で被覆されているねじ継手。乾燥固体被膜は、アクリル樹脂などの熱硬化型樹脂または紫外線硬化性樹脂から形成できる。粘稠液体または半固体の潤滑被膜はべたつきがあるため異物が付着しやすいが、その上に乾燥固体被膜を形成することにより、そのべたつきが解消される。乾燥固体被膜はねじ継手の締結時に破壊されるため、この上層被膜がその下の潤滑被膜の潤滑性を妨げることはない。
・特許文献2(WO2007/042231号公報):塑性型または粘塑性型のレオロジー挙動(流動特性)を示す固体マトリックス中に固体潤滑剤粒子を分散させて得られるべたつきのない薄い潤滑被膜を、ねじ部(例:ピンおよびボックス)に形成してなるねじ継手。固体マトリックスの融点は好ましくは80〜320℃の範囲内である。この潤滑被膜は、溶融状態でのスプレー塗布(ホットメルトスプレー法)、粉末を用いた溶射、あるいは水性エマルジョンのスプレー塗布により形成される。ホットメルトスプレー法に使用される組成物は、例えば、熱可塑性ポリマーとしてポリエチレン、潤滑成分としてワックス(例:カルナウバワックス)および金属石鹸(例:ステアリン酸亜鉛)、ならびに腐食抑制剤としてカルシウムスルホネートを含有する。
・特許文献3(WO2006/075774号公報):ピンおよびボックスの少なくとも一方の部材の接触表面が、下層の潤滑性粉末および結合剤を含む固体潤滑被膜と、上層の固体粒子を含有しない固体防食被膜とからなる2層被膜で被覆されたねじ継手。
一方、特許文献4(特開2002−080511号公報)には、(A)光硬化性(メタ)アクリレート樹脂と、(B)カルボキシル基含有単官能(メタ)アクリレートモノマーと、(C)リン酸(メタ)アクリレート化合物と、(D)2官能(メタ)アクリレートモノマーと、(E)3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、(F)光重合開始剤と、場合によりさらに防錆顔料を含有する光硬化性組成物が開示されている。特許文献4の実施例には、防錆顔料として縮合リン酸アルミニウムを配合した組成物が例示されている。特許文献4によれば、前記光硬化性組成物を用いることにより、鋼管に対する付着性、防錆性能、表面平滑性に優れた被膜を形成できると記載されている。
WO2006/104251号公報 WO2007/042231号公報 WO2006/075774号公報 特開2002−080511号公報
特許文献1に記載のねじ継手の2層被膜は、潤滑性能・耐食性に優れる。しかし、このねじ継手には、(1)潤滑被膜とその上に形成される乾燥固体被膜とからなる2層被膜を形成する必要があるため工程が複雑である、(2)ねじ締結時において2層被膜が破壊される際にフレークが出てくるため、その後の外観があまりよくない、(3)被膜の透明性が低い、という問題がある。被膜として、耐食性や付着性などの特性のさらなる改善が望まれている。
特許文献2に記載のねじ継手の被膜もやはり潤滑性能・耐食性に優れている。しかし、この被膜は透明ではないため、ねじ部の損傷の有無を調べるためのピンの検査が難しい。
特許文献3に記載のねじ継手の被膜は、耐食性が非常に高い。ところが、固体潤滑被膜が硬質の固体被膜であるため、その上に形成された固体防食被膜がねじ継手の締付け時に破壊されても、その破片が下の固体潤滑被膜に埋め込まれにくい。つまり、この2層被膜は潤滑性能がやや低い。
特許文献4に記載の光硬化性組成物からなる被膜は、鋼管に対する付着性、防錆性能、表面平滑性に優れている。ところが、この被膜には、(1)高温となる地域、冬季に極寒となる地域、さらには昼夜の寒暖の激しい地域のように、鋼管(特に油井管)の典型的な使用環境である低高温繰り返し環境下での基材への密着性が低い、(2)前記環境下においても錆の発生を防ぐ耐食性が必要とされるがその性能が充分ではない、という問題がある。
本発明は、上記のような従来技術が抱える問題を解決しようとするものである。すなわち本発明は、コンパウンドグリスまたはストレージ用グリスを使用することなく、気密性、基材への密着性、潤滑性能、耐ゴーリング性および耐食性に優れ、かつ薄膜で透明性が高い被膜を形成可能な光硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、上記光硬化性組成物を利用した光硬化被膜、光硬化被膜付き基材、光硬化被膜付き鋼管ねじ継手、ならびに上記光硬化性組成物を用いた鋼管ねじ継手の防錆方法および光硬化被膜付き鋼管ねじ継手の製造方法を提供することである。
本発明によれば、下記成分(A)〜(G)の合計100質量部として、質量部で、成分(A)を5〜50部、成分(B)を5〜50部、成分(C)を5〜30部、成分(D)を1〜15部、成分(E)を0.1〜5部、成分(F)を1〜10部、および成分(G)を1〜5部の範囲で含有する光硬化性組成物により上記課題を解決 することができる:
(A)光硬化性(メタ)アクリレート樹脂、
(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーおよび2官能(メタ)アクリレートモノマーから 選ばれた(メタ)アクリレートモノマー、
(C)3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー、
(D)光重合開始剤、
(E)ベンゾトリアゾール系防錆剤、
(F)リン酸系防錆顔料およびカルシウムイオン交換シリカから選ばれた防錆顔料、なら びに
(G)リン酸エステル。
本発明に係る光硬化性組成物の好適態様をいくつか列挙すると次の通りである。
・前記リン酸エステル(G)が、分子内にリン酸基を有する(メタ)アクリレートである。
・前記光硬化性(メタ)アクリレート樹脂(A)が、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートおよびポリウレタン(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である。
・(H)潤滑剤をさらに含有する。
・(I)蛍光増白剤をさらに含有する。
本発明によれば、
・前記光硬化性組成物の鋼管ねじ継手の防錆用被膜の形成材料としての使用;
・前記光硬化性組成物から形成された光硬化被膜;
・濁度が40%以下である前記光硬化被膜;
・前記光硬化被膜を有する光硬化被膜付き基材;
・鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの表面上に前記光硬化被膜を有する光硬化被膜付き鋼管ねじ継手;
・鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの表面上に前記光硬化性組成物を塗布した後、当該塗布面に活性エネルギー線を照射して該組成物を硬化させて光硬化被膜を形成する工程を含む、鋼管ねじ継手の防錆方法;ならびに
・鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの表面上に前記光硬化性組成物を塗布した後、当該塗布面に活性エネルギー線を照射して該組成物を硬化させて光硬化被膜を形成する工程を含む、光硬化被膜付き鋼管ねじ継手の製造方法、
もまた提供される。
本発明に係る光硬化性組成物は、気密性、基材への密着性、潤滑性能、耐ゴーリング性および耐食性に優れ、かつ薄膜で透明性が高い光硬化被膜(以下、本発明の光硬化被膜ともいう)を基材表面、特に油井管用鋼管ねじ継手の表面に形成することができる。この光硬化被膜はコンパウンドグリスおよびストレージ用グリスに匹敵する潤滑性能および耐食性を示す。
その結果、本発明により下記の効果を達成することができる。
(1)ねじ継手の被膜形成時やその締結時にコンパウンドグリスまたはストレージ用グリスを使用する必要がないため、かかるグリースの使用に伴う環境や人体への悪影響を回避できる。
(2)本発明の光硬化被膜を備えたねじ継手は、その優れた耐食性により、油井管を長期間保管した後に締結する際にも、特段の修復を必要とせずにそのまま用いることが出来る。
(3)本発明の光硬化被膜を備えたねじ継手は、この被膜が薄膜で透明性が高いため、ねじ部の損傷検査時に被膜をつけたまま検査でき、検査前の被膜剥離が不要となる。
(4)鋼管(特に油井管)は、高温となる地域、冬季に極寒となる地域、さらには昼夜の寒暖の激しい地域などにも輸出されるので、鋼管用ねじ継手の表面に形成された被膜には低高温繰り返し環境下でも基材から剥離することのない基材への密着性が要求される。本発明の光硬化被膜は、この要求を満たす。従って、実際のねじ継手の締結時に被膜の剥離が起こらないため、継手の潤滑性能が低下することはない。
(5)本発明の光硬化被膜は表面の滑り性が高い(摩擦係数が低い)。そのため、鋼管ねじ継手のピンをボックスに挿入する際に、雄ねじと雌ねじとがクロススレッドせず、ねじが噛み合いねじを傷つけずにスムースにねじ継手を締結できる。
(6)本発明の光硬化被膜は、鋼管の締結の際に通常使用される潤滑剤あるいは潤滑被膜の耐ゴーリング性を阻害することがない。
油井管の締結に使用される典型的なピン−ボックス構造のねじ継手の模式図である。
以下、本発明の光硬化性組成物およびその用途(例:光硬化被膜、光硬化被膜付き基材、光硬化被膜付き鋼管ねじ継手)、ならびに上記光硬化性組成物を用いた鋼管ねじ継手の防錆方法および光硬化被膜付き鋼管ねじ継手の製造方法について、好適な態様も含めて詳細に説明する。本発明の光硬化性組成物は、鋼管ねじ継手の防錆用被膜の形成材料として特に好適に用いられる。
なお、本発明において、各用語は以下のように定義される。
ピンとは雄ねじを有するねじ継手要素をいい、例えば油井管の端部に形成された雄ねじを有するねじ継手要素である。ボックスとは雌ねじを有するねじ継手要素をいい、例えばねじ継手部品(カップリング)の内面に形成された雌ねじを有するねじ継手要素である。
鋼管ねじ継手とは鋼管(例:油井管)の締結に使用される典型的なねじ継手である。油井管の締結に使用される典型的な鋼管ねじ継手はピン−ボックス構造をとる。ピンの雄ねじの先端とボックスの雌ねじの基部とには、それぞれねじ無し金属接触部が形成されている。油井管の一端(ピン)をねじ継手部品(ボックス)に挿入し、雄ねじと雌ねじとを締付けることによりピンとボックスのねじ無し金属接触部同士を当接させてメタルシール部を形成することにより、ねじ継手の気密性が確保される。
このようなピン−ボックス構造を有する鋼管ねじ継手としては、(1)両端の外面にピンを有する鋼管と、鋼管とは別の接続部品であって両側の内面にボックスを有するねじ継手部品(カップリング)とからなる鋼管ねじ継手、(2)両端の内面にボックスを有する鋼管と、両側の外面にピンを有するねじ継手部品とからなる鋼管ねじ継手、(3)鋼管の一端の外面に雄ねじを有するピンが形成され、その他端の内面に雌ねじを有するボックスが形成されているインテグラル方式のねじ継手(ねじ継手部品を利用せずに鋼管を直接連結する)が挙げられる。つまり、鋼管ねじ継手とは、鋼管とねじ継手部品との組合せ(前記(1)、(2))、および鋼管単独(前記(3))を包含する概念である。
〔光硬化性組成物〕
本発明の光硬化性組成物は、(A)光硬化性(メタ)アクリレート樹脂と、(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーおよび2官能(メタ)アクリレートモノマーから選ばれた(メタ)アクリレートモノマーと、(C)3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーと、(D)光重合開始剤と、(E)ベンゾトリアゾール系防錆剤と、(F)リン酸系防錆顔料およびカルシウムイオン交換シリカから選ばれた防錆顔料と、(G)リン酸エステルとを含有する。
また、任意成分として各種添加剤(例:(H)潤滑剤、(I)蛍光増白剤)を含有してもよい。必須成分(A)〜(G)および任意成分(H)〜(I)のいずれについても、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記光硬化性組成物に含まれる上記成分(A)〜(G)は何れも公知物質であり、それらの一部を含有する組成物はこれまでにも開示されている。ところが、それらの一部を含有する組成物から形成された被膜は、耐食性および低高温繰り返し環境下での基材への密着性がバランス良く優れるとは必ずしも言えなかった。これに対し、上記成分(A)〜(G)を必須成分として含有する本発明の光硬化性組成物は次の特徴を示す。
(1)本発明の光硬化性組成物の樹脂系造膜成分である成分(A)、(B)、および(C)がいずれも光重合性を有する。換言すると、本発明の光硬化性組成物は光重合性を有していない樹脂成分を実質的に含んでいない。そのため、活性エネルギー線の照射により組成物全体が急速に硬化し、全体として架橋度が均一な被膜を形成できる。このような被膜は、低高温繰り返し環境下でも基材への密着性に優れ、かつ耐食性が高い。
(2)ベンゾトリアゾール系防錆剤(E)およびリン酸系防錆顔料およびカルシウムイオン交換シリカから選ばれた防錆顔料(F)が示す基材金属材料に対する防錆作用によって、本発明の光硬化被膜はコンパウンドグリスやストレージ用グリスに匹敵する優れた耐食性を示すことができる。その結果、この被膜は、仕上がりの外観、低高温繰り返し環境下での基材への密着性、耐食性にバランス良く優れている。特に鋼管ねじ継手の防錆用被膜の形成材料では、これらの性質は何れも重要である。この意味においても、本発明の光硬化性組成物は、従来の組成物と比較して、鋼管ねじ継手の防錆用被膜の形成材料として優れている。
(3)ベンゾトリアゾール系防錆剤(E)を含むことにより、本発明の光硬化被膜は表面の滑り性が高まる。この理由は定かではないが、ベンゾトリアゾール系防錆剤(E)は、本発明の光硬化性組成物を構成する他の成分と比較して基材の鋼表面に吸着され易いため、被膜内で厚さ方向に異なる組成の濃度分布が生じ、その結果として被膜の厚さ方向に硬度の勾配(基材に近いほど硬度が低くなる)が生じ、この硬度勾配が滑り性に良い効果をもたらす、と推測される。一方、本発明の光硬化性組成物の必須成分の一部が欠ける場合には、前記硬度勾配が適切に得られないのではないか、と考えられる。
本発明の光硬化性組成物の各成分について以下に詳説する。
(A) 光硬化性(メタ)アクリレート樹脂
光硬化性(メタ)アクリレート樹脂(A)としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートおよびポリウレタン(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、多塩基酸またはその無水物と多価アルコールとから合成されるポリエステルに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。前記多塩基酸としては、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバチン酸、イソセバチン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ピメリン酸、アゼライン酸などが挙げられる。前記多価アルコールとしては、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート(あるいは「エポキシ(メタ)アクリレート樹脂」ともいう)としては、例えば、エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を付加させて得られる(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂が挙げられる。変性に供される前記エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはフェノールボラックと、エピクロルヒドリンとを反応させて得られる。変性に供される前記脂環式エポキシ樹脂は、例えば、シクロペンタジエンオキシドまたはシクロヘキセンオキシドと、エピクロルヒドリンとを反応させて得られる。
ポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、ポリエーテルとエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応によって得られるポリエーテル(メタ)アクリレートが挙げられる。前記ポリエーテルとしては、例えば、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどのエトキシ化・プロポキシ化、1,4−ブタンジオールなどのポリエーテル化、により得られたポリエーテルが挙げられる。
ポリウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソシアネート化合物とポリオール化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。前記イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。前記ポリオール化合物としては、水素化ビスフェノールAとエチレンオキサイドとの付加物、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の水酸基含有アルキルエステルが挙げられる。
本発明で使用する(メタ)アクリレート樹脂(A)としては、中でも、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート〔(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂〕、およびポリウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
塗膜硬度および塗料粘度を考慮すると、(メタ)アクリレート樹脂(A)のガラス転移点(Tg)は通常は−30℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+160℃であり、その数平均分子量(Mn)は通常は500〜200000、好ましくは500〜80000である。(メタ)アクリレート樹脂(A)の25℃における粘度は、通常は500〜100000mPa・s、好ましくは1000〜80000mPa・sである。
上記(メタ)アクリレート樹脂(A)を製造するには、得られる樹脂の分子内に(メタ)アクリル酸由来の成分単位および(メタ)アクリル酸エステル由来の成分単位から選択される少なくとも1種の成分単位が1単位以上含まれ、かつ得られる樹脂の特性が上記範囲となるように、原料モノマーを適宜選択して公知の方法(例:溶液ラジカル重合法)により重合すればよい。
上記原料モノマーとしては、通常使用される(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(該アルキルの炭素数=1〜18)、(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステル(該シクロアルキルの炭素数=3〜8)が挙げられ、具体的には(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル(n−,i−,t−)、ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、デシル、ラウリル、ステアリル、シクロヘキシルなどのエステルが挙げられる。これらの中では、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、(メタ)アクリル酸または上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーも、原料モノマーとして使用できる。このような他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル(該アルコキシアルキルの炭素数=2〜18);N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の水酸基含有アルキルエステルなどが挙げられる。
また、上記のポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレートなどのマクロモノマーを原料モノマーとして使用することもできる。
(B) 単官能(メタ)アクリレートモノマーおよび2官能(メタ)アクリレートモノマーから選ばれた(メタ)アクリレートモノマー
単官能(メタ)アクリレートモノマーおよび2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)はいずれも、光重合により重合体の一部を形成するとともに、光硬化性組成物の調製時には、光硬化性(メタ)アクリレート樹脂(A)の希釈剤としても機能するため、塗工性の向上と塗料の無溶剤化とを図ることができる。
これらの(メタ)アクリレートモノマーは、光硬化性(メタ)アクリレート樹脂(A)との反応性(例:共重合性)が良好で、かつ硬化速度も速いものを使用することが好ましい。また、成分(B)としては、単官能(メタ)アクリレートモノマーまたは2官能(メタ)アクリレートモノマーのいずれかを単独で使用してもよく、または両者を併用してもよい。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルトリグリコール(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、脂肪族ジ(メタ)アクリレート、エーテル結合を有する脂肪族ジ(メタ)アクリレート、脂環式ジ(メタ)アクリレート、芳香族ジ(メタ)アクリレート、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の2官能(メタ)アクリレートモノマーが用いられる。
脂肪族ジ(メタ)アクリレートとしては、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BDDA、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDA)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(HPNDA)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(HDDA、1,6−ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート)などが挙げられる。
エーテル結合を有する脂肪族ジ(メタ)アクリレートとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(DEGDA)、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(TEGDA)、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート(PEG400DA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGDA)などが挙げられる。
脂環式ジ(メタ)アクリレートとしては、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。上記芳香族ジ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
成分(B)としては、これらの中でも、単官能(メタ)アクリレートモノマー、脂肪族ジ(メタ)アクリレート、およびエーテル結合を有する脂肪族ジ(メタ)アクリレートが好ましい。
(C) 3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)とは、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイロキシ基などの重合性不飽和基を一分子中に3個以上、好ましくは3〜6個有する(メタ)アクリレートモノマーである。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー(C)は、例えば、分子内に3個以上のヒドロキシル基を有する化合物1モルに対して、(メタ)アクリル酸またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を3モル以上反応させることにより得られる。
3官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(PETA)、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート(GPTA)などが挙げられる。
(D) 光重合開始剤
光重合開始剤(D)としては公知のものを使用できる。好ましい光重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、α−アクリルベンゾイン、ベンジル、ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、1−クロルアントラキノン、2−クロルアントラキノン、チオキサントン、クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−[4−(メチル)チオフェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノンなどが挙げられる。
(E) ベンゾトリアゾール系防錆剤
ベンゾトリアゾール系防錆剤(E)としては、エチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールブチルエステル、ベンゾトリアゾールメチルエステル、クロロベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾールなどが挙げられる。これらの中でも、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾールが防錆効果および塗料適性の点で好ましい。
(F) 防錆顔料
本発明の光硬化性組成物はリン酸系防錆顔料およびカルシウムイオン交換シリカから選ばれた防錆顔料(F)を含有する。
リン酸系防錆顔料としては、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸またはリンモリブデン酸の、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩または亜鉛塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。カルシウムイオン交換シリカとは、微細な多孔構造をもつシリカ担体にカルシウムイオンをイオン交換によって導入した無毒性の防錆顔料である。リン酸系防錆顔料とカルシウムイオン交換シリカはいずれかを単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。
リン酸系防錆顔料およびカルシウムイオン交換シリカから選ばれた防錆顔料(F)の平均一次粒径は、塗料中への分散性と塗膜の外観・透明性への影響などとの観点から、1μm以上、10μm以下であることが好ましい。この平均一次粒径は電気抵抗法によって測定されうる。
本発明の光硬化性組成物では、防錆成分として、ベンゾトリアゾール系防錆剤(E)とリン酸系防錆顔料およびカルシウムイオン交換シリカから選ばれた防錆顔料(F)とを併用する。それにより、ベンゾトリアゾール系防錆剤(E)のキレート作用と、リン酸系防錆顔料(F)の犠牲陽極作用および/またはカルシウムイオン交換シリカ(F)のイオン交換作用によって、コンパウンドグリスやストレージ用グリスに匹敵するような優れた耐食性を示す光硬化被膜を形成することができる。
(G)リン酸エステル
本発明の光硬化性組成物は、特に形成された光硬化被膜の基材に対する密着性を高めるためにリン酸エステル(G)を含有する。
光硬化被膜の基材への高い密着性を長期保持するという点から、リン酸エステル(G)は光硬化性を有することが好ましく、一分子中に一個以上のエチレン性不飽和結合を有することがより好ましい。リン酸エステル(G)としては、一分子中に一個以上のエチレン性不飽和結合を有するリン酸アルキルエステル、一分子中に一個以上のエチレン性不飽和結合を有するリン酸アラルキルエステル、リン酸アリルエステル、分子内にリン酸基を有する(メタ)アクリレート(以下「リン酸(メタ)アクリレート」ともいう)などが挙げられる。
これらの中でも、リン酸(メタ)アクリレートが好ましい。リン酸(メタ)アクリレートとしては、下記式(1)または(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005606802
上記式(1)および(2)中、RはCH2=CR1−COO−R2−O−を示し、R1はHまたはCH3を示し、R2は炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキレン基を示す。式(1)中、2つのRは互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(1)または(2)で表されるリン酸(メタ)アクリレートを用いることにより、リン酸基と基材(金属)表面との反応によって光硬化被膜の基材への密着性が向上する。
リン酸(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートホスフェート〔別称:2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート〕、(メタ)アクリロイロキシエチルホスホリルフェニル、EO(ethylene oxide)変性リン酸(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシリン酸(メタ)アクリレート、EO変性ブトキシ化リン酸(メタ)アクリレート、EO変性オクトキシ化リン酸(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
各種添加剤
本発明の光硬化性組成物は、上述した必須成分(A)〜(G)に加えて、任意成分として塗料の分野において慣用される各種添加剤を含有していてもよい。そのような添加剤の例としては、(H)潤滑剤、および(I)蛍光増白剤が挙げられる。
潤滑剤(H)としては、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、カルナウバワックスなどのワックス類;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの固体潤滑剤などが挙げられる。これらの中でも、長期的な潤滑性の面・コスト面などから、ポリエチレンワックスが好ましい。
本発明の光硬化性組成物は、潤滑剤(H)を含有していなくても、十分な潤滑性能を示す光硬化被膜を形成することができるが、潤滑剤(H)を配合すると、光硬化被膜の潤滑性能(すべり性)がさらに一層向上する。従って、光硬化被膜に要求される潤滑性に応じて、必要により潤滑剤(H)を光硬化性組成物に配合する。例えば、基材が鋼管ねじ継手である場合には、潤滑剤(H)を配合することによりねじ継手の潤滑性をより一層向上させることができる。
蛍光増白剤(I)は、形成された光硬化被膜の視認性を高めるために必要に応じて光硬化性組成物に配合しうる。蛍光増白剤(I)としては、ベンゾオキサゾール系、オキサゾール系、スチルベン系、クマリン系、ピラゾリン系、イミダゾール系、ナフタルイミド系、ビスベンゾオキサゾール系、ビススチリルビフェニル系の化合物;ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体などが挙げられる。これらの中でも、ビスベンゾオキサゾール系の化合物が好ましく、下記式(3)で表される化合物である2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)がより好ましい。
Figure 0005606802
光硬化性組成物中の各成分の割合
本発明の光硬化性組成物は、質量部で、上記必須成分(A)〜(G)の合計を100部として、各成分を下記範囲内の割合で含有することが好ましい:
成分(A)を5〜50部、
成分(B)を5〜50部、
成分(C)を5〜30部、
成分(D)を1〜15部、
成分(E)を0.1〜5部、
成分(F)を1〜10部、および
成分(G)を1〜5部。
光硬化性組成物の各成分の割合は、溶剤不含の固形分基準で示す。(A)〜(G)の各成分の含有量が上記範囲にあると、基材への密着性と耐食性とのバランスが良好である。
各成分のより好ましい割合は下記の範囲内である:
成分(A)を20〜40部、
成分(B)を20〜40部、
成分(C)を10〜25部、
成分(D)を3〜10部、
成分(E)を0.3〜3部、
成分(F)を3〜8部、および
成分(G)を2〜4部。
また、質量部で、上記成分(C)1部に対する他の成分の含有量が下記の範囲内にあることが、基材への密着性と耐食性とのバランスの観点から好ましい:
成分(A)が0.8〜4部、
成分(B)が0.8〜4部、
成分(D)が0.1〜1部、
成分(E)が0.02〜0.3部、
成分(F)が0.12〜0.8部、および
成分(G)が0.08〜0.4部。
光硬化性組成物が潤滑剤(H)を含有する場合、潤滑剤(H)の光硬化性組成物全体における含有量が0.1〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。また、光硬化性組成物中の上記成分(A)〜(G)の合計100質量部に対して、潤滑剤(H)は、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の量で用いられる。潤滑剤(H)の含有量が少なすぎると、この光硬化性組成物を鋼管ねじ継手に塗布・硬化して防錆用被膜を形成した場合に、ねじ継手のさらなる潤滑性能(すべり性)の向上につながらないことがある。また、潤滑剤(H)の含有量が多すぎると、硬化性不良や被膜と基材との密着性の低下につながることがある。
蛍光増白剤(I)を用いる場合、光硬化性組成物全体に対して、その含有量は0.1〜3質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。また、光硬化性組成物中の上記成分(A)〜(G)の合計100質量部に対して、蛍光増白剤(I)は、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部の量で用いられる。蛍光増白剤(I)の含有量が少なすぎると、蛍光増白剤(I)の意図した効果が充分に発揮されないことがある。一方、その含有量が多すぎると、硬化性不良や被膜と基材との密着性の低下につながることがある。
〔鋼管ねじ継手の防錆用被膜の形成〕
本発明の光硬化性組成物は、鋼管ねじ継手の防錆用被膜の形成材料(以下、単に「被膜形成材料」ともいう)として好適に使用できる。この被膜形成材料を用いることにより、耐食性および鋼管ねじ継手の基材に対する密着性に優れた防錆用被膜を形成できる。
この場合、上記光硬化性組成物は、本発明の目的・効果を著しく損なわない限り、上記各成分の他に、任意成分として塗料の分野において従来公知の添加剤を少量(例、合計で組成物全体の10質量%以下)含有していてもよい。それにより被膜形成材料としての性能・品質がさらに向上することが期待される。
使用可能な添加剤としては、アミン系もしくはキノン系の光重合開始助剤、熱重合禁止剤、無機充填剤、有機充填材、接着付与剤、チクソ付与剤、可塑剤、非反応性ポリマー、着色顔料、沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤などが挙げられる。
また、所望する場合には、ベンゾトリアゾール系防錆剤(E)およびリン酸系防錆顔料およびカルシウムイオン交換シリカから選ばれる防錆顔料(F)以外の防錆材料を、濁度が著しく上昇せず、かつ被膜硬化性が著しく低下しない範囲で配合することができる。そのような防錆材料としては、モリブデン酸のカルシウム塩またはアルミニウム塩、ホウ酸のバリウム塩またはカルシウム塩、珪酸カルシウム、ホウ珪酸カルシウムなどが挙げられる。
〔光硬化性組成物または被膜形成材料の製造方法〕
本発明の光硬化性組成物および被膜形成材料は、常法に従って調製することができる。例えば、上記各成分をそれぞれ上述したような所定量秤量して、ボールミル、ビーズミル、3本ロールミルなどの分散機、またはディスパーミキサー(高速分散機)などの混合攪拌機を用いて分散・混合することにより、上記光硬化性組成物または被膜形成材料を調製することができる。
本発明の光硬化性組成物および被膜形成材料は、従来の鋼管ねじ継手の防錆用被膜の形成材料に大量に含まれていた亜鉛・鉛・銅などの重金属粉を実質的に含有せず、またその含有を必要としない。このため、光硬化被膜の形成時および光硬化被膜の運用時において、これらの粉末による環境や人体への悪影響を避けることが出来る。
〔被覆対象である基材〕
本発明の光硬化性組成物および被膜形成材料の塗布対象である基材としては、板、線、棒、管その他の種々の金属基材(造形材)が挙げられる。前記基材を構成する金属材料としては、鉄、炭素鋼、銅、亜鉛、錫、アルミニウムなどの各種金属;該各種金属の合金;該各種金属または該合金によるメッキ材などが挙げられる。本発明の光硬化性組成物および被膜形成材料は耐食性に優れた被膜を形成できるため、炭素鋼およびCr含有量20質量%以下の合金鋼に特に有効である。また、本発明の光硬化性組成物および被膜形成材料は、前記種々の金属基材(造形材)に塗装され、防錆用塗料以外の用途にも用いることができる。
これらの中でも、本発明の光硬化性組成物および被膜形成材料は、鋼管ねじ継手、特に鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの防錆目的または防錆および潤滑目的での被膜形成材料として好適に用いることができる。
〔光硬化被膜、光硬化被膜付き基材および光硬化被膜付き鋼管ねじ継手〕
本発明の光硬化被膜は、上記光硬化性組成物から形成される。前記光硬化被膜は、通常は、上記基材(例:鋼管ねじ継手の接触表面)上に形成される。その形成方法は後述するとおりである。
本発明の光硬化被膜付き基材は、金属基材の表面上に上記光硬化被膜を有する。
本発明の光硬化被膜付き鋼管ねじ継手は、鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの表面上に上記光硬化被膜を有することを特徴とする。この光硬化被膜は、耐食性および基材の鋼管ねじ継手に対する密着性に優れる。
本発明の光硬化被膜の膜厚は、通常は1〜100μmである。防錆コスト、耐食性、ねじ締結性および光硬化性組成物の硬化効率などを考慮すると、その膜厚は好ましくは5〜30μmである。
上記光硬化被膜の基材(例:鋼管ねじ継手の接触表面)への密着性は良好である。例えば、搬送・ハンドリング時の外的衝撃およびロールスキッドなどとの接触があったとしても、上記光硬化被膜は基材から剥離しない。また、上記光硬化被膜は耐食性(防錆性)にも優れている。
本発明の光硬化被膜は高い透明性を有するため、被膜の上から目視でねじ継手ねじ部の損傷検査が可能である。具体的には、本発明の光硬化被膜の濁度は40%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。濁度が高くなると透明性が低くなるため、ねじ部の損傷の有無を確認しにくくなる場合がある。なお、光硬化被膜の濁度は小さい程好ましいが、その下限値は通常は0.1%である。濁度の測定方法は後述する実施例に記載のとおりである。
光硬化被膜の濁度は、防錆顔料(例:リン酸系防錆顔料およびカルシウムイオン交換シリカから選ばれた防錆顔料(F))などの顔料成分や潤滑剤(H)などの配合割合で調整が可能である。その配合割合を増加させると濁度は上昇する。
〔鋼管ねじ継手の防錆方法および光硬化被膜付き鋼管ねじ継手の製造方法〕
本発明の鋼管ねじ継手の防錆方法(防錆用の表面処理方法)は、鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの表面上に上記光硬化性組成物を塗布した後、当該塗布面に活性エネルギー線を照射して該組成物を硬化させて光硬化被膜を形成する工程を含む。
また、本発明の光硬化被膜付き鋼管ねじ継手の製造方法は、鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの表面上に上記光硬化性組成物を塗布した後、当該塗布面に活性エネルギー線を照射して該組成物を硬化させて光硬化被膜を形成する工程を含む。
鋼管ねじ継手の接触表面(ねじ継手のピンおよび/またはボックスのねじ部およびねじ無し金属接触部の表面)に上記光硬化性組成物を塗布して直ちに活性エネルギー線を照射すると、該組成物全体が光重合反応により急速に硬化し、架橋度が一様な被膜を形成することができる。この均一な被膜は鋼管表面への密着性が良好であり、かつ錆の発生を有効に防止することができる。
上記光硬化性組成物の塗布に先立って、鋼管表面上に例えば蓚酸塩化成処理、リン酸塩化成処理などの従来公知の化成処理により下地被膜を形成して防錆補助効果および密着性向上の方策を講じても良い。また、ショットブラスト、ショットピーニングなどの従来公知の粗面化処理を施して密着性向上の方策を講じても良い。更には、上記光硬化性組成物の塗布に先立って、鋼管表面上に残存する水分および油脂分を充分に除去することが好ましい。また、本発明の目的・効果を損なわない範囲で、上記光硬化被膜の上に、従来公知の潤滑剤を塗布してもよく、あるいは従来公知の潤滑被膜または防食被膜を形成してもよい。
上記光硬化性組成物、および鋼管ねじ継手の防錆用被膜の形成材料の塗装手段としてはスプレー、シャワー、ディッピング、ロールなどが使用できる。
活性エネルギー線の照射源としては、(超)高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線発生装置を使用するのが便利であるが、他に電子線加速器、コバルト60のγ線源なども使用できる。ローラーで搬送される鋼管に対して上記光硬化性組成物の塗布および活性エネルギー線照射を連続して行う「鋼管ねじ継手の防錆用被膜の連続塗装システム」を使用すれば効率的である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例および比較例において、「部」とは、特にその趣旨に反しない限り、「質量部」の意味である。
〔光硬化性(メタ)アクリレート樹脂のTg、Mn、粘度の測定方法〕
・Tg:JIS K7121に準じ、示差走査熱量計(DSC)にて測定した。
・Mn:ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて測定した。
・粘度:JIS K7117-2に準じ、ブルックフィールド型粘度計(B型粘度計)にて測定した。
[実施例1]
表1に示す配合組成に従って、
・光硬化性アクリレート樹脂(日本合成化学工業社製:紫光TMUV3200B)20部、
・光硬化性アクリレート樹脂(昭和高分子社製:リポキシTMVR−77−80TPA)20部、
・単官能アクリレートモノマー(日立化成工業社製:ファンクリルTMFA−512A)8部、
・2官能アクリレートモノマー(ダイセル・サイテック社製:TPGDA)13部、
・2官能アクリレートモノマー(大阪有機化学工業社製:ビスコートTM#215)5部、
・3官能アクリレートモノマー(第一工業製薬社製:ニューフロンティアTMTMPT)15部、
・光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製:IRGACURETM184)7部、
・光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製:IRGACURETM651)3部、
・ベンゾトリアゾール系防錆剤(城北化学工業社製:BT-LX)1部、
・リン酸系防錆顔料(東邦顔料社製:EXPERTTMNP-1102)5部、
・リン酸エステル(共栄社化学社製:ライトエステルTM P−2M)3部、
(以上、合計100部)を適当な順序で加えてディスパーミキサーで攪拌し、均一混合物にして光硬化性組成物を得た。この光硬化性組成物を用いて、下記評価1〜4を行った。結果を表2に示す。
[実施例2〜10、比較例1〜6]
表1に示す成分および量を使用した外は、実施例1と同様にして、光硬化性組成物を調製した。得られた光硬化性組成物を用いて下記評価1〜4を行った。結果を表2に示す。
なお、表1に記載の各成分の詳細は下記のとおりである。
成分(A):光硬化性(メタ)アクリレート樹脂
・A−1:ポリウレタンアクリレート−日本合成化学社製:紫光TM UV3200B、Tg=−8℃、Mn=10000、粘度=50000mPa・s(25℃)、
・A−2:ポリエステルアクリレート−DIC社製:UNIDICTM V3021、Mn=500、粘度=7000mPa・s(25℃)、
・A−3:ポリエステルアクリレート−ダイセル・サイテック社製:EBECRYLTM 525、Mn=1000、粘度=40000mPa・s(25℃)、
・A−4:ポリエステルアクリレート−ダイセル・サイテック社製:EBECRYLTM 811、粘度=1850mPa・s(60℃)、
・A−5:エポキシアクリレート−DIC社製:UNIDICTM V5502、Tg=100〜140℃、Mn=1300、粘度=2000mPa・s(25℃)、
・A−6:エポキシアクリレート−昭和高分子社製:リポキシTM VR−77−80TPA、Mn=500、粘度=40000mPa・s(25℃);
成分(B):単官能または2官能(メタ)アクリレートモノマー
・B−1:単官能アクリレートモノマー:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート−日立化成工業社製:ファンクリルTMFA−512A、
・B−2:単官能アクリレートモノマー:フェノキシエチルアクリレート−第一工業製薬社製:ニューフロンティアTMPHE、
・B−3:2官能アクリレートモノマー:トリプロピレングリコールジアクリレート−ダイセル・サイテック社製:TPGDA、
・B−4:2官能アクリレートモノマー:ネオペンチルグリコールジアクリレート−大阪有機化学工業社製:ビスコートTM#215、
・B−5:2官能アクリレートモノマー:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート−第一工業製薬社製:ニューフロンティアTMHDDA;
成分(C):3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー
・C−1:3官能アクリレートモノマー:トリメチルロールプロパントリアクリレート−第一工業製薬社製:ニューフロンティアTMTMPT)、
・C−2:3官能アクリレートモノマー:ペンタエリスリトールトリアクリレート−第一工業製薬社製:ニューフロンティアTMPET-3;
成分(D):光重合開始剤
・D−1:1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン−チバ・スペシャリティケミカルズ社製:IRGACURETM 184、
・D−2:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン−チバ・スペシャリティケミカルズ社製:IRGACURETM651;
成分(E):ベンゾトリアゾール系防錆剤
・E−1:1−[N,N−ビス(2−エチルへキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール−城北化学工業社製:BT-LX;
成分(F):防錆顔料
・F−1:リン酸系防錆顔料:亜リン酸アルミニウム−東邦顔料社製:EXPERTTM NP-1102、
・F−2:カルシウムイオン交換シリカ(非晶質二酸化ケイ素、水酸化カルシウム)−富士シリシア化学社製:サイロマスクTM55;
成分(G):リン酸エステル
・G−1:2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート−共栄社化学社製:ライトエステルTMP−2M;
成分(H):潤滑剤
・H−1:マイクロナイズドポリエチレンワックス−BYK Chemie社製:CERAFLOURTM 991;
成分(I):蛍光増白剤
・I−1:2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール−チバ・スペシャリティケミカルズ社製:TINOPALTM OB。
Figure 0005606802
〔評価試験方法〕
1. 耐食性の評価(塩水噴霧試験)
実施例および比較例で得られた光硬化性組成物について、JIS Z2371記載の塩水噴霧試験に準拠して、耐食性の評価を以下のように行った。
先ず、上記光硬化性組成物を光硬化被膜の膜厚が20μm±1μmになるよう鋼板上にスプレー塗布した後、紫外線を照射して当該塗膜を硬化させ、光硬化被膜付き鋼板を得た。鋼板としては株式会社パルテック製のリン酸亜鉛処理(膜厚:約1μm)を施した炭素鋼板(SPCC−SD材、150mm×70mm×0.8mm;以下「リン酸亜鉛処理鋼板」という)を用いた。スプレー装置として、ノードソン株式会社製のエアスプレーを用いた。紫外線硬化には、アイグラフィックス株式会社製の紫外線照射装置を用い、1000mJ/cm2の条件(TOPCON社製の積算照度計で測定)で紫外線照射を行った。光硬化被膜の膜厚は、株式会社ケツト科学研究所製の電磁膜厚計で確認した。
このようにして得られた光硬化被膜付き鋼板(試験片1)に対し、塩水噴霧試験を行った。塩水噴霧試験にはスガ試験機株式会社製の試験機を用い、100時間、200時間、500時間、750時間、1000時間経過時に試験片1を取り出して錆発生の有無を調べた。なお、錆発生の有無の基準は、点状錆が1つでも認められた場合に錆有りと判定し、750時間経過時に錆の発生が無い試験片(下記評価基準でAまたはB)のみを合格とした。
耐食性の評価基準:
A:1000時間経過時に錆無し、
B:750時間経過時に錆無し、
C:500時間経過時に錆無し、
D:500時間経過時までに錆発生。
2. 低高温繰り返し試験前後における光硬化被膜の基材への密着性の評価
鋼板として、上記リン酸亜鉛処理鋼板と、Cr含有量13質量%のステンレス鋼板の研削仕上げ材(150mm×70mm×2mm)とを用いた。実施例または比較例で得られた光硬化性組成物をこれらの鋼板上にスプレー塗布した後、紫外線を照射して当該塗膜を硬化させ、光硬化被膜付き鋼板を得た。塗布および硬化の条件は上記1(耐食性の評価)の条件と同一である。前記光硬化被膜にカッターナイフで長さ20mmの切り目を鋼板素地に達する深さで入れ、剥離が進みやすい状態とした。
このようにして得られた試験片2を用いて、(1)低高温繰り返し試験前における光硬化被膜の基材への密着性、(2)低高温繰り返し試験後における光硬化被膜の基材への密着性の評価を以下のように行った。
(1)低高温繰り返し試験前:一般的なJIS K5600に準拠したテープ剥離試験で、密着性を評価した。JIS K5600記載の判定基準に従い、判定が1および0(下記評価基準ではAまたはB)の試験片のみを合格とした。
低高温繰り返し試験前の密着性の評価基準:
A:JIS K5600のテープ剥離試験の判定で0、
B:JIS K5600のテープ剥離試験の判定で1、
C:JIS K5600のテープ剥離試験の判定で2、
D:JIS K5600のテープ剥離試験の判定で3以上。
(2)低高温繰り返し試験後:低高温繰り返し試験として、上記試験片2を恒温槽に入れ、温度80℃、湿度30%の環境下で16時間保持した後、温度−45℃の環境下で8時間保持する過程を20回繰り返した。この低高温繰り返し試験後の光硬化被膜の剥離面積率を測定し、切り目からの剥離面積率が5%未満(下記評価基準ではAまたはB)の試験片のみを合格とした。
低高温繰り返し試験後の密着性の評価基準:
A:低高温繰り返し試験後、切り目からの剥離無し、
B:低高温繰り返し試験後、切り目からの剥離面積率5%未満、
C:低高温繰り返し試験後、切り目からの剥離面積率5%以上10%未満、
D:低高温繰り返し試験後、切り目からの剥離面積率10%以上。
3. 濁度の測定方法
実施例または比較例で得られた光硬化性組成物を、2軸延伸PET(Polyethylene Terephthalate)フィルム上にフィルムアプリケーターを用いて硬化後の膜厚が25μmになるように塗布した後、当該塗膜に紫外線を照射して光硬化被膜を形成した。この光硬化被膜を有するコートフィルムの濁度を、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH 2000、光源:定格5V9Wのハロゲンランプ(入射開口径20mm))を用いて測定した。
4. 滑り性(摩擦係数)の評価
被膜表面の滑り性(摩擦係数)の評価には、市販のバウデン式摩擦試験機(神鋼造機株式会社製)を用いた。バウデン式摩擦試験では、鋼板上に形成された被膜に対して、荷重をかけながら鋼球を直線的に往復摺動させ、その時の摩擦力と押し付け荷重とから摩擦係数を測定する。
具体的な手順は次の通りである。先ず、実施例または比較例で得られた光硬化性組成物を光硬化被膜の膜厚が20μm±1μmになるようバーコーターで上記リン酸亜鉛処理鋼板上に塗布した後、紫外線を照射して当該塗膜を硬化させ、光硬化被膜付き鋼板を得た。硬化の条件は上記1(耐食性の評価)の条件と同一である。このようにして得られた試験片を100mm×20mmに切断して、バウデン式摩擦試験に供した。バウデン式摩擦試験に用いる鋼球として、市販のSUJ2鋼、外径3/16インチ(株式会社天辻鋼球製作所製)の剛球を充分に脱脂して用いた。押し付け荷重:1kgf、摺動速度:4mm/sec、往復摺動幅:10mmの条件にて、剛球を30回往復摺動させ、その際の平均の摩擦係数を求めた。なお、滑り性の評価は、摩擦係数0.2を基準とし、摩擦係数がそれ以下の場合を滑り性が良好であると判断した。
Figure 0005606802
表2に示すように、実施例1〜10では何れも塩水噴霧試験において750時間以上錆が発生せず、耐食性が合格と判定された。テープ剥離試験で評価した基材への密着性もJISの判定基準で0または1となり、低高温繰り返し試験前の基材への密着性は合格と判定された。さらに、低高温繰り返し試験後の基材への密着性も切り目からの剥離面積率は何れも5%未満であり、低高温繰り返し試験後の基材への密着性も合格と判定された。また、実施例1〜10では何れもバウデン式摩擦試験において摩擦係数が0.2以下となり、滑り性の評価も合格と判定された。
一方、比較例1〜6では何れも塩水噴霧試験において500時間または750時間経過時までに錆が発生し、耐食性が不合格と判定された。テープ剥離試験で評価した基材への密着性と低高温繰り返し試験後の基材への密着性は、基材がリン酸亜鉛処理鋼板である比較例4、5を除いて不合格の判定であった。特に、ステンレス鋼板への密着性は著しく悪い結果となった。また、比較例1〜6では何れもバウデン式摩擦試験において摩擦係数が0.2を上回り、滑り性の評価も不合格と判定された。
5. 実性能試験
(5−1)本発明の光硬化被膜の性能を実際の鋼管ねじ継手で確認するため、実施例5および実施例10で得られた光硬化性組成物を用いて、外径13インチ3/8のVAMTOP(登録商標)の油井管用炭素鋼管の管端外面に形成された雄ねじを含むねじ継手表面に以下のようにして被膜処理を行った。
予めリン酸亜鉛被膜(リン酸亜鉛化成処理液:日本パーカライジング株式会社製パルボンド181Xを使用、膜厚8μm)を前記鋼管の雄ねじを含む管端外面(ピン)の表面上に形成した後、前記鋼管をターニングローラーで回転させながらノズルを軸方向にずらしつつ、前記光硬化性組成物からなる塗料をスプレー塗布した。その後、前記鋼管を回転させながら紫外線を照射して当該塗膜を硬化させた。その際に、ねじ部付近に小さな鋼板を貼り付けてねじ部と該鋼板とを同時に塗装し、該鋼板上の光硬化被膜が25μmになるよう塗布条件を調整した。硬化条件は、上記1(耐食性の評価)の試験片作成時の条件と同様に、積算照度で1000mJ/cm2となるようにし、その他は下記5−2に記載した通りであった。
このようにして得られた光硬化被膜を有する鋼管を、高温多湿となる赤道直下地域の海岸付近の屋外に夏場3ヶ月以上、さらには冬季に極寒となる北欧地域の海岸付近の屋外に冬場3ヶ月以上放置した。そして、何れも錆や被膜の剥離が無いことを確認した。
(5−2)油井管用の鋼管ねじ継手の締付け・緩め戻し試験を実施した。鋼管管端の外面に形成されたねじ継手のピンの雄ねじを含む表面上に光硬化被膜を形成し、このねじ継手の相手側ボックス(カップリングの内面に形成)の雌ねじを含む表面上に固体潤滑被膜を形成した。油井管用鋼管として、外径3インチ1/2、7インチ、9インチ5/8または13インチ3/8の炭素鋼製および13Cr鋼製の鋼管を用いた。ねじ形状はVAMTOP(登録商標)である。
炭素鋼の場合、以下のようにして被膜形成を行った。
ピンの雄ねじを含む表面上に、75〜85℃のリン酸亜鉛化成処理液(上記5−1で使用したものと同じ)中への浸漬により厚さ8μmのリン酸亜鉛被膜を形成した。このリン酸亜鉛被膜上に、実施例5または実施例10で得られた光硬化性組成物からなる塗料を、前記5−1と同様にスプレー塗布した後、紫外線を照射して当該塗膜を硬化させて、膜厚25μmの光硬化被膜を形成した。硬化条件は、積算照度:1000mJ/cm2、UVランプ:空冷水銀ランプ、UVランプ出力:4kW、紫外線波長:260nmであった。
ボックスの雌ねじを含む表面には、電気めっきにより先ずNiストライクめっき、次にCu−Sn−Zn合金めっきを施して、合計厚さ8μmのめっき被膜を形成した。下記組成を有する固体潤滑被膜形成用組成物を120℃に加熱して溶融状態とし、同じく120℃に予熱されたボックスの前記めっき被膜上に、溶融状態の該組成物をスプレー塗布した。厚さ50μmの固体潤滑被膜がボックス表面に形成された。
固体潤滑被膜形成用組成物の組成(質量%基準)は、以下の通りである。
・ポリエチレンホモポリマー(CLARIANT社製LICOWAXTM PE 520):9%、
・カルナウバワックス:15%、
・ステアリン酸亜鉛:15%、
・液状ポリアルキルメタクリレート(ROHMAX社製VISCOPLEXTM 6-950):5%、
・腐食抑制剤(King Industries, Inc.のNA-SULTM Ca/W1935):40%、
・ふっ素化黒鉛:3.5%、
・酸化亜鉛:1%、
・二酸化チタン:5%、
・三酸化ビスマス:5%、
・シリコーン(ポリジメチルシロキサン):1%、ならびに
・酸化防止剤(Ciba-Geigy社製)
IRGANOXTM L150:0.3%、および
IRGAFOSTM 168:0.2%。
13Cr鋼の場合、ピンの雄ねじを含む表面上に、リン酸亜鉛被膜を形成することなく、光硬化被膜を形成した。その他の条件は、炭素鋼の場合と同じである。
ピンおよびボックスが上記のように表面処理されたねじ継手を用いて、繰り返しの締付け・緩め戻しを10回行った。その結果、締結初期において、クロススレッドによるねじ部の傷などが生じないことを確認した。また、10回の締付け・緩め戻しにおいて、焼付きが発生せず、潤滑性能が低下しないことを確認した。

Claims (12)

  1. 下記成分(A)〜(G)の合計100質量部として、質量部で、成分(A)を5〜50部、成分(B)を5〜50部、成分(C)を5〜30部、成分(D)を1〜15部、成分(E)を0.1〜5部、成分(F)を1〜10部、および成分(G)を1〜5部の範囲で含有することを特徴とする光硬化性組成物:
    (A)光硬化性(メタ)アクリレート樹脂、
    (B)単官能(メタ)アクリレートモノマーおよび2官能(メタ)アクリレートモノマーから選ばれた(メタ)アクリレートモノマー、
    (C)3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー、
    (D)光重合開始剤、
    (E)ベンゾトリアゾール系防錆剤、
    (F)リン酸系防錆顔料およびカルシウムイオン交換シリカから選ばれた防錆顔料、ならびに
    (G)リン酸エステル。
  2. 前記リン酸エステル(G)が、分子内にリン酸基を有する(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の光硬化性組成物。
  3. 前記光硬化性(メタ)アクリレート樹脂(A)が、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートおよびポリウレタン(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の光硬化性組成物。
  4. (H)潤滑剤をさらに含有する、請求項1〜の何れか1項に記載の光硬化性組成物。
  5. (I)蛍光増白剤をさらに含有する請求項1〜の何れか1項に記載の光硬化性組成物。
  6. 鋼管ねじ継手の防錆用被膜の形成材料としての請求項1〜の何れか1項に記載の光硬化性組成物の使用。
  7. 請求項1〜の何れか1項に記載の光硬化性組成物から形成された光硬化被膜。
  8. 濁度が40%以下である請求項に記載の光硬化被膜。
  9. 金属基材の表面上に請求項またはに記載の光硬化被膜を有する光硬化被膜付き金属基材。
  10. 鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの表面上に請求項またはに記載の光硬化被膜を有する光硬化被膜付き鋼管ねじ継手。
  11. 鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの表面上に請求項1〜の何れか1項に記載の光硬化性組成物を塗布した後、当該塗布面に活性エネルギー線を照射して該組成物を硬化させて光硬化被膜を形成する工程を含む、鋼管ねじ継手の防錆方法。
  12. 鋼管ねじ継手のピンおよび/またはボックスの表面上に請求項1〜の何れか1項に記載の光硬化性組成物を塗布した後、当該塗布面に活性エネルギー線を照射して該組成物を硬化させて光硬化被膜を形成する工程を含む、光硬化被膜付き鋼管ねじ継手の製造方法。
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