JP5603357B2 - シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法及びその方法を用いて適正化したゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法及びその方法を用いて適正化したゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法及びその方法を用いて適正化したゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、タイヤ用などのゴム組成物へのシリカの配合が盛んに行われている。そして、シリカを配合したゴム組成物の低燃費性やウェットグリップ性能を更に向上させる目的で、シリカと相互作用するような変性基が導入された変性ポリマーを配合する試みも行われている(例えば、特許文献1)。
最近では、このような試みが盛んに行われるようになってきており、シリカと変性ポリマーを配合したゴム組成物の性能や品質の更なる向上のために、ゴム組成物中でのシリカと変性ポリマーの結合強さを直接測定し、変性ポリマーの結合強さを定量化できる手法が求められているが、このような手法は未だ開発されていない。
一方、カーボンブラックとポリマーの界面を評価する技術は知られている(例えば、非特許文献1)。この技術は、固体高分解能NMRを用いて、カーボンブラックを含むゴム組成物を測定した際に観測されるポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間Tを観測することにより、カーボンブラックとポリマーの近接度を予測するものであった。しかし、この技術を、シリカを含むゴム組成物に応用する試みは行われていなかった。
2010−111753号公報
N.K.Dutta et al. RUBBER CHEMISTRYAND TECHNOLOGY vol.74,260(2001)
本発明は、前記課題を解決し、ゴム組成物中でのシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法及びその方法を用いて適正化したゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、固体NMRを用いてH CPMG(Carr−Purcell−Meiboom−Gill)法により、シリカ及び変性ポリマーを含む未加硫ゴム組成物を測定した際に観測されるポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを測定し、スピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分の観測結果に基づいて、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法に関する。
上記方法は、ポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを測定することにより得られるT緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を緩和時間の異なる複数の成分に分割し、これらの成分のうち、スピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間T2shortに基づいて、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化することが好ましい。
上記方法は、上記ポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを複数の温度で測定し、各温度におけるT2shortから算出したT2shortの平均値に基づいて、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化することが好ましい。
上記変性ポリマーが、ブタジエン成分を含む変性ポリマーであり、上記ポリマー由来のピークが、固体NMRのパルス列H CPMG法、90°パルス幅2μs以下、待ち時間1s以上、積算回数1回以上、MAS回転周波数15kHz以上の測定条件で上記未加硫ゴム組成物を測定した際に5.0ppm付近に観測される1,4−ブタジエン成分由来のピークであることが好ましい。
上記固体NMRが600MHz固体NMRであることが好ましい。
本発明はまた、固体NMRのパルス列H CPMG(Carr−Purcell−Meiboom−Gill)法、90°パルス幅2μs以下、待ち時間1s以上、積算回数1回以上、MAS回転周波数15kHz以上の測定条件で、ブタジエン成分を含む変性ポリマー並びにシリカを含む未加硫ゴム組成物を測定した際に5.0ppm付近に観測される1,4−ブタジエン成分由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを70℃、50℃、30℃で測定し、各温度におけるスピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間T2shortから算出したT2shortの平均値が1.7ms以上である上記未加硫ゴム組成物に含まれる上記変性ポリマーと、シリカと、シランカップリング剤とを配合したゴム組成物に関する。
上記未加硫ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜120質量部含むことが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した部材を有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、固体NMRを用いてH CPMG(Carr−Purcell−Meiboom−Gill)法により、シリカ及び変性ポリマーを含む未加硫ゴム組成物を測定した際に観測されるポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを測定し、スピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分の観測結果に基づいて、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法であるので、ゴム組成物中でのシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化できる。
そして、この方法を用いて適正化したゴム組成物は、低燃費性に非常に優れ、該ゴム組成物をタイヤに用いることにより、低燃費性に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
(a)は、1成分系の自由誘導減衰曲線の対数をとったグラフである。(b)は、3成分系の自由誘導減衰曲線の対数をとったグラフである。 各未加硫ゴム組成物におけるシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量的に示した図である。 実施例2で測定した13C−NMRのスペクトルを示す図である。 シリカと変性ポリマーの界面結合の強さと、シランカップリング剤の反応量との関係を示す図である。
本発明のシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法は、固体NMRを用いてH CPMG(Carr−Purcell−Meiboom−Gill)法により、シリカ及び変性ポリマーを含む未加硫ゴム組成物を測定した際に観測されるポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを測定し、スピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分の観測結果に基づいて、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法である。
上述のように、カーボンブラックとポリマーの界面を評価する技術として、固体高分解能NMRを用いて、カーボンブラックを含むゴム組成物を測定した際に観測されるポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間Tを観測することにより、カーボンブラックとポリマーの近接度を予測する技術が知られている。この場合、ポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間Tは、カーボンブラックとポリマーの距離により決まると考えられている。一方、シリカの場合には、ポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間Tは、ポリマーの分子運動により決まると考えられる。
そこで、本発明者らは、シリカ及び変性ポリマーを含む未加硫ゴム組成物を固体NMRにより測定した際に、ポリマーの分子運動が活発なら、シリカと変性ポリマーの界面結合は弱く、ポリマーの分子運動が不活発なら、シリカと変性ポリマーの界面は強く結合していると考え、上記未加硫ゴム組成物を固体NMRにより測定した際に観測されるポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを測定し、その中でスピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間Tを観測することで、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化できると考え、本発明を完成させた。
一般的に、H スピン−スピン緩和時間Tの測定方法として、スピン・エコー法が知られている。スピン・エコー法は、パルス列がシンプルで測定が容易であるという利点があるが、スピン・エコー法で測定したスピン−スピン緩和時間Tの値は分子拡散の影響を受けてしまう。ゴム分子はミクロブラウン運動をしていることが知られており、たとえシリカ/変性ポリマー界面の分子運動がバルクゴムにより拘束されているとしても、測定結果の信頼性については疑問の余地がある。一方、本発明では、H CPMG(Carr−Purcell−Meiboom−Gill)法を採用したため、分子拡散の影響を排除でき、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを正確に定量化できる。なお、CPMG法(90°−τ−(180°−2τ)n−180°パルス法)についての詳細は、H.Y.Carr,E.M.Purcell Phys.Rev.94,630(1954)やS.Meiboom,D.Gill Rev.Sci.Instrum.29,688(1958)等に記載されている。
なお、本発明では、固体NMRを用いて未加硫ゴム組成物を分析する。これは、固体NMRを用いて加硫ゴム組成物を分析した場合、加硫ゴム組成物に含まれるポリマーは、加硫反応により拘束されているため、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを正確に評価できないおそれがあるためである。
また、未加硫ゴム組成物には、シランカップリング剤が含まれていないことが好ましい。未加硫ゴム組成物にシランカップリング剤が含まれていると、シランカップリング剤がシリカやポリマーと反応するため、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを正確に評価できないおそれがあるためである。
本発明において使用できる固体NMRとしては、固体高分解能H−NMRであれば特に限定されないが、より優れた分解能が得られ、より正確に定量化できるという理由から、NMRの共鳴周波数は、好ましくは400MHz以上、より好ましくは500MHz以上、更に好ましくは600MHz以上である。本発明では、例えば、600MHz固体NMRを好適に使用できる。
固体NMR(固体高分解能H−NMR)の測定条件は、例えば、以下のように設定できる。
(固体高分解能H−NMR測定条件)
装置 600MHz固体高分解能NMR(BRUKER社製のAvance III 600)
使用プローブ 4mm MAS BB WB WVTプローブ
共鳴周波数 600MHz
MAS回転周波数 15kHz(±1Hz)
測定モード DD/MAS
パルス列 H CPMG法
90°パルス幅 2μs
待ち時間 1s
積算回数 1回
観測温度 343、323、310K
外部基準物質 シリコーンゴム(化学シフト値は0.12ppm)
MAS回転周波数は、H同士の双極子相互作用を消失するという理由から、共鳴周波数600MHzの場合、15kHz以上が好ましく、20kHz以上がより好ましい。また、MAS回転周波数の上限は、特に限定されない。
また、90°パルス幅は、(1)矩形パルスの不完全性の抑制と、(2)H T緩和時間が短い領域を観測するという理由から、共鳴周波数600MHzの場合、2μs以下が好ましく、1.5μs以下がより好ましい。また、90°パルス幅の上限は、特に限定されない。
また、待ち時間は、H T緩和時間の5倍以上という理由から、1〜10Sが好ましく、3〜10Sがより好ましい。
また、積算回数は、より正確に定量化できるという理由から、1回以上が好ましく、4回以上がより好ましく、8回以上が更に好ましい。
以下において、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法を具体的に説明する。上記測定条件で、固体NMRにより、シリカ及び変性ポリマーを含む未加硫ゴム組成物を分析すると、NMRスペクトルが得られ、このスペクトル中にポリマー由来のピークが検出される。
例えば、変性ポリマーが、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)や変性ブタジエンゴム(変性BR)のようなブタジエン成分を含む変性ポリマーの場合、上記測定条件(特に、固体NMRのパルス列H CPMG法、90°パルス幅2μs以下、待ち時間1s以上、積算回数1回以上、MAS回転周波数15kHz以上の測定条件)では、1,4−ブタジエン成分由来のピークが5.0ppm付近に観測される。
そして、このポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを測定することによりT緩和曲線(自由誘導減衰(FID)曲線)が得られる。
測定物質が単一の分子運動性を有する1成分系のFID曲線は、M=Mexp(−t/T)(M:磁場の強さ(FID強度)、M:t=0時の磁場の強さ、t:時間)の式で表わされる。この式の対数をとると、図1(a)に示すような直線となり、lnM=lnM−(1/T)tの式で表わされる。このようにFIDを測定してFID曲線を得ることによって、スピン−スピン緩和時間Tを求めることができる。
一方、ゴムは複数の分子運動性を有する要素を有する複数成分系であり、複数成分系の場合にはFID曲線は複数の変曲点を有し、この変曲点を境にして複数の成分i(i=1,2,3,…n)に分けることができる。例えば3成分系のFID曲線は、2点の変曲点により3成分に分けることができる。このFID曲線の対数をとったものが図1(b)であり、図1(b)において点線は各成分のFID曲線の対数を延長したものである。そして成分1のFID曲線の対数はlnM=lnM(1)−(1/T(1))t(M(1):成分1のM、T(1):成分1のT成分)
成分2のFID曲線の対数はlnM=lnM(2)−(1/T(2))t(M(2):成分2のM、T(2):成分2のT成分)
成分3のFID曲線の対数はlnM=lnM(3)−(1/T(3))t(M(3):成分3のM、T(3):成分3のT成分)
の式で表わされる。
このように、T緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を緩和時間の異なる複数の成分に分割し、これらの成分のうち、スピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間T2shortを決定する。そして、決定したT2shortに基づいて、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化すればよい。例えば、決定したT2shortを、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを示す相対値とすることにより、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化できる。
また、本発明では、より正確に定量化できるという理由から、ポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを複数の温度で測定し、各温度におけるT2shortを決定することが好ましい。そして、各温度において決定したT2shortから、T2shortの平均値を算出し、このT2shortの平均値に基づいて、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化することにより、より正確にシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化できる。例えば、決定したT2shortの平均値を、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを示す相対値とすることにより、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さをより正確に定量化できる。
この手法により、複数の未加硫ゴム組成物のT2short(又はT2shortの平均値)を決定し、この決定したT2short(又はT2shortの平均値)を比較することにより、各未加硫ゴム組成物に含まれる変性ポリマーが、シリカとの相互作用が強いポリマーであるのか、シリカとの相互作用が弱いポリマーであるのかを判断できる。
測定した未加硫ゴム組成物のT2short(又はT2shortの平均値)が小さい場合、ポリマーの分子運動が不活発であることを示し、シリカと変性ポリマーが、界面において強く結合していることを意味し、該未加硫ゴム組成物に含まれる変性ポリマーは、シリカとの相互作用が強いポリマーであることを意味する。一方、測定した未加硫ゴム組成物のT2short(又はT2shortの平均値)が大きい場合、ポリマーの分子運動が活発であることを示し、シリカと変性ポリマーが、界面において弱く結合していることを意味し、該未加硫ゴム組成物に含まれる変性ポリマーは、シリカとの相互作用が弱いポリマーであることを意味する。
以上の説明のように、本発明のシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法により、シリカ及び変性ポリマーを含む未加硫ゴム組成物を測定して評価することにより、当該未加硫ゴム組成物に含まれる変性ポリマーが、シリカとの相互作用が強いポリマーであるのか、シリカとの相互作用が弱いポリマーであるのかを定量的に明らかにすることができる。そのため、例えば、良好な加工性と低燃費性を両立可能なゴム組成物の配合、混練条件、加硫条件等の最適条件を検討する際に、有効かつ重要な分析手法となる。また、シランカップリング剤を配合する場合には、一般的に高価なシランカップリング剤を効率よく反応させることができるゴム組成物の配合、混練条件、加硫条件等の最適条件を検討する際に、有効かつ重要な分析手法となる。
以下に、シランカップリング剤を効率よく反応させることができ、低燃費性に非常に優れたゴム組成物の配合を決定する(適正化する)手法について、変性ポリマーが変性スチレンブタジエンゴムの場合を例にして説明する。
固体NMRのパルス列H CPMG法、90°パルス幅2μs以下、待ち時間1s以上、積算回数1回以上、MAS回転周波数15kHz以上の測定条件で、シリカ及び変性スチレンブタジエンゴムを含む未加硫ゴム組成物を分析すると、NMRスペクトルが得られる。そして、得られたスペクトル中にポリマー由来のピークである、1,4−ブタジエン成分由来のピークが5.0ppm付近に検出される。
そして、この1,4−ブタジエン成分由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを70℃、50℃、30℃で測定することにより、各温度におけるT緩和曲線(自由誘導減衰(FID)曲線)が得られる。得られた各T緩和曲線を、上述の方法により、緩和時間の異なる複数の成分に分割し、これらの成分のうち、スピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間T2shortを各温度において決定する。そして、各温度において決定したT2shortから、T2shortの平均値を算出する。そして、算出したT2shortの平均値を、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを示す相対値とする。
具体的には、算出したT2shortの平均値が1.7ms以上(好ましくは2.0ms以上、より好ましくは2.5ms以上)である未加硫ゴム組成物に含まれる変性スチレンブタジエンゴムを、シリカとシランカップリング剤と共にゴム組成物に配合することにより、シランカップリング剤の反応率を向上できるため、ゴム組成物のtanδを低くでき、低燃費性に優れたゴム組成物が得られる。このように、本発明のシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法を用いてゴム組成物の配合を適正化することができ、低燃費性に優れたゴム組成物が得られる。
なお、この手法は、変性ポリマーが、変性スチレンブタジエンゴムの場合に限定されず、変性スチレンブタジエンゴム以外にも変性ブタジエンゴムのようなブタジエン成分を含む変性ポリマー全般に渡って適用することができる。さらに、着目するポリマー由来のピークを変性ポリマーの構成成分に応じて適宜変更することにより、ブタジエン成分を含まない変性ポリマーにおいても適用できる。
上記未加硫ゴム組成物に含まれる上記変性ポリマーとしては、シリカとの相互作用を有する変性ポリマー(特に、変性ジエン系ゴム)であれば特に限定されず、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、シリカと相互作用する官能基(好ましくは、窒素、酸素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基)を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴムや、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えばアミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等があげられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、低燃費性、ウェットグリップ性能の向上効果が高いという理由から、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシシリル基)、水酸基、エポキシ基が好ましい。
上記官能基が導入されるジエン系ゴム(上記変性ジエン系ゴムの骨格を構成するポリマー)としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。なかでも、IR、BR、SBRが好ましく、BR、SBRがより好ましい。
上記未加硫ゴム組成物における変性ポリマーの含有量は、特に限定されないが、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さをより正確に評価できるという理由から、ゴム成分100質量%中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。
変性ポリマー以外に上記未加硫ゴム組成物に配合できるゴム成分としては、例えば、上記ジエン系ゴムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記未加硫ゴム組成物に含まれるシリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)、コロイダルシリカ等が挙げられる。上記未加硫ゴム組成物におけるシリカの含有量は、特に限定されないが、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さをより正確に評価できるという理由から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5〜120質量部、より好ましくは30〜90質量部である。
上記未加硫ゴム組成物には、上記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、オイル、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。しかし、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さをより正確に評価できるという理由から、上記未加硫ゴム組成物には、変性ポリマーを含むゴム成分と、シリカのみを配合し、これら以外の成分を配合しないことが好ましい。特に、上述のように、シランカップリング剤は上記未加硫ゴム組成物に配合しないことが好ましい。
なお、上記未加硫ゴム組成物として、上記未加硫ゴム組成物をトルエン等有機溶剤に浸して作成したシリカゲルを使用してもよい。
一方、本発明のゴム組成物は、上述の方法により算出したT2shortの平均値が1.7ms以上(好ましくは2.0ms以上、より好ましくは2.5ms以上)である未加硫ゴム組成物に含まれるブタジエン成分を含む変性ポリマーと、シリカと、シランカップリング剤とを含む。
ブタジエン成分を含む変性ポリマーとしては、上記変性ジエン系ゴムの骨格を構成するポリマーが、BR、SBR、SIBR、NBR等である変性ポリマーが挙げられる。なかでも、骨格を構成するポリマーがBR、SBRであること、すなわち、上記変性ポリマーが変性スチレンブタジエンゴム、変性ブタジエンゴムであることが好ましい。
本発明のゴム組成物において、ブタジエン成分を含む変性ポリマーの含有量は、特に限定されないが、低燃費性に優れたゴム組成物が得られるという理由から、ゴム成分100質量%中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。
本発明のゴム組成物において、ブタジエン成分を含む変性ポリマー以外に使用できるゴム成分としては、例えば、ブタジエン成分を含まない変性ポリマーや上記ジエン系ゴムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。シリカの含有量は、特に限定されないが、低燃費性に優れたゴム組成物が得られるという理由から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5〜120質量部、より好ましくは30〜90質量部である。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。なかでも、良好な低燃費性が得られるという理由から、メルカプト系シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、低燃費性に優れたゴム組成物が得られるという理由から、シリカ100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは4〜12質量部である。
本発明では、補強用充填剤として、シリカ以外にも、カーボンブラック、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、クレー、マイカ等を使用してもよい。補強用充填剤の合計含有量は、特に限定されないが、低燃費性に優れたゴム組成物が得られるという理由から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部、より好ましくは30〜90質量部である。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、オイル、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明のゴム組成物は、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォールなどのタイヤ部材に好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤ部材(特に、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォール)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例1で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
変性SBR1:住友化学(株)製のSE0202
変性SBR2:JSR(株)製のHPR850
変性SBR3:旭化成(株)製のY031
変性SBR4:旭化成(株)製のN209
BR:ランクセス(株)製のCB24(Nd系触媒を用いて合成したBR、シス含量:96質量%、ビニル含量:0.7質量%、ML1+4(100℃):45、Mw/Mn:2.69、Mw:50万、Mn:18.6万)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3
(実施例1)
ゴム成分(変性SBR70質量部、BR30質量部)100質量部に対して、シリカ75質量部を混練り配合し、未加硫ゴム組成物を得た。なお、変性SBRとして、変性SBR1〜4を用いて得られた未加硫ゴム組成物をそれぞれ未加硫ゴム組成物V、未加硫ゴム組成物A、未加硫ゴム組成物B、未加硫ゴム組成物Cとした。
次に、下記の測定条件で、得られた未加硫ゴム組成物V、未加硫ゴム組成物A、未加硫ゴム組成物B、未加硫ゴム組成物Cを分析すると、NMRスペクトルが得られた。得られたスペクトルを確認したところ、ポリマー由来のピークである、1,4−ブタジエン成分由来のピークが5.0ppm付近に検出された。
(固体高分解能H−NMR測定条件)
装置 600MHz固体高分解能NMR(BRUKER社製のAvance III 600)
使用プローブ 4mm MAS BB WB WVTプローブ
共鳴周波数 600MHz
MAS回転周波数 15kHz(±1Hz)
測定モード DD/MAS
パルス列 H CPMG法
90°パルス幅 2μs
待ち時間 3s
積算回数 4回
観測温度 343、323、310K
外部基準物質 シリコーンゴム(化学シフト値は0.12ppm)
次に、この1,4−ブタジエン成分由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを70℃、50℃、30℃で測定し、各温度におけるT緩和曲線を得た。そして、得られた各T緩和曲線を、上述の方法により、緩和時間の異なる複数の成分に分割し、これらの成分のうち、スピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間T2shortを各温度において決定した。さらに、各温度において決定したT2shortから、T2shortの平均値を算出した。
算出したT2shortの平均値を、各未加硫ゴム組成物におけるシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを示す相対値として図2に示した。図2より、未加硫ゴム組成物に含まれる変性SBRの種類により、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さが異なることが分かった。また、未加硫ゴム組成物V、未加硫ゴム組成物AのT2shortの平均値が1.7msよりも大きかった。
次に、T2shortの平均値が大きい未加硫ゴム組成物に含まれる変性スチレンブタジエンゴムを、シリカ、シランカップリング剤と共にゴム組成物に配合することにより、シランカップリング剤の反応率が高くなり、ゴム組成物のtanδを低くできることを実施例2において示す。
以下、実施例2で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
変性SBR1:住友化学(株)製のSE0202
変性SBR2:JSR(株)製のHPR850
変性SBR3:旭化成(株)製のY031
変性SBR4:旭化成(株)製のN209
NR:TSR
BR:宇部興産(株)製のBR710
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3
シランカップリング剤:モメンティブ社製のNXT−Z45(メルカプト系シランカップリング剤)
ステアリン酸:日油(株)製の桐
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
オイル:出光興産(株)製のPS−32
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
硫黄:鶴見化学工業(株)製の5%オイル硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
(実施例2)
ゴム成分(NR25質量部、BR30質量部、変性SBR45質量部)100質量部に対して、シリカ50質量部、シランカップリング剤6質量部、ステアリン酸2.2質量部、酸化亜鉛3.35質量部、オイル28質量部、老化防止剤2質量部、及びワックス2.5質量部を混練り配合し、混練物を得た(ベース練り工程)。次に、この混練物に、硫黄1.5質量部及び加硫促進剤1.5質量部を混練り配合し、未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。なお、変性SBRとして、変性SBR1〜4を用いて得られた未加硫ゴム組成物をそれぞれ未加硫ゴム組成物V、未加硫ゴム組成物A、未加硫ゴム組成物B、未加硫ゴム組成物Cとした。
未加硫ゴム組成物V、未加硫ゴム組成物A、未加硫ゴム組成物B、未加硫ゴム組成物Cについて下記の条件で固体13C−NMRを測定し、図3に示す13C−NMRスペクトルを得た。なお、未加硫ゴム組成物V、未加硫ゴム組成物A、未加硫ゴム組成物B、未加硫ゴム組成物Cは、アセトンで12時間ソックスレー抽出を行った後、60℃真空で1時間以上乾燥させてから測定を行った。
装置 Bruker社製Avance400
使用プローブ Bruker社製7mm MAS BB WB WVTプローブ
共鳴周波数 400MHz
MAS回転周波数 5kHz(±1Hz)
測定モード DD/MAS
パルス列 プロトンデカップル付きハーンエコー法
90°パルス幅 4.5μ秒
待ち時間 6秒
積算回数 12000回
観測温度 333K
外部基準物質 アダマンタン(化学シフト値は29.5ppm)
図3に示す各13C−NMRスペクトルにおいて、シランカップリング剤であるNXT−Z45由来のピークが検出されたが、ピーク強度に違いがあった。130.1ppm付近で観測されたブタジエン部の二重結合炭素ピーク強度を200としたときのNXT−Z45由来のピーク強度の値を算出し、図3に示した。該ピーク強度の値は、シランカップリング剤の反応量の指標となり、ピーク強度の値が大きいほど、シランカップリング剤の反応量が多いことを示す。
次に、未加硫ゴム組成物V、未加硫ゴム組成物A、未加硫ゴム組成物B、未加硫ゴム組成物Cを170℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム組成物V、加硫ゴム組成物A、加硫ゴム組成物B、加硫ゴム組成物Cを得た。得られた加硫ゴム組成物について、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度60℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、tanδを測定した。tanδが小さいほど、低燃費性に優れることを示す。
次に、実施例1で測定したT2shortの平均値と、実施例1でT2shortを測定した未加硫ゴム組成物に含まれる変性SBR1〜4とシリカ等とを配合したゴム組成物について実施例2で測定したNXT−Z45由来のピーク強度との関係を図4に示した。また、併せて、各加硫ゴム組成物のtanδの測定結果も示した。
図4から、T2shortの平均値が大きい(T2shortの平均値が1.7ms以上である)未加硫ゴム組成物に含まれる変性スチレンブタジエンゴムを、シリカとシランカップリング剤と共にゴム組成物に配合することにより、シランカップリング剤の反応率が高くなり、ゴム組成物のtanδを低くできることが分かった。

Claims (3)

  1. 固体NMRを用いてH CPMG(Carr−Purcell−Meiboom−Gill)法により、シリカ及び変性ポリマーを含む未加硫ゴム組成物を測定した際に観測されるポリマー由来のピークのスピン−スピン緩和時間Tを測定し、該スピン−スピン緩和時間Tを測定することにより得られるT緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を緩和時間の異なる複数の成分に分割し、これらの成分のうち、スピン−スピン緩和時間Tが最も短い成分のスピン−スピン緩和時間T2shortを、複数の温度で前記スピン−スピン緩和時間Tを測定することにより各温度において決定し、各温度において決定したT2shortから算出したT2shortの平均値に基づいて、シリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法。
  2. 前記変性ポリマーが、ブタジエン成分を含む変性ポリマーであり、
    前記ポリマー由来のピークが、固体NMRのパルス列H CPMG法、90°パルス幅2μs以下、待ち時間1s以上、積算回数1回以上、MAS回転周波数15kHz以上の測定条件で前記未加硫ゴム組成物を測定した際に5.0ppm付近に観測される1,4−ブタジエン成分由来のピークである請求項1記載のシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法。
  3. 前記固体NMRが600MHz固体NMRである請求項1又は2に記載のシリカと変性ポリマーの界面結合の強さを定量化する方法。
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