JP5027175B2 - シリカ配合におけるシランカップリング剤の反応量測定方法 - Google Patents

シリカ配合におけるシランカップリング剤の反応量測定方法 Download PDF

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本発明は、シリカ配合のゴム組成物においてシランカップリング剤の反応量を測定する方法に関する。
ゴム組成物の低発熱化などを図るために、補強性充填剤としてシリカを配合することが知られている。シリカは、表面に存するシラノール基の影響により凝集しやすく、分散性に劣ることから、その性能を十分に発揮させることができないという問題がある。そのため、シリカの分散性を改良するために、シランカップリング剤が併用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
シランカップリング剤は、シリカとともにゴム成分に対して添加し、混合することで、シリカ表面のシラノール基と反応するとともに、ゴム成分のポリマーと反応することで、両者の間を連結して、シリカの分散性を向上させる。シリカの分散性を向上するためには、かかるシランカップリング剤の反応量を高める必要がある。そのため、混合したゴム組成物中におけるシランカップリング剤の反応量を知ることが求められるが、従来、シランカップリング剤の反応量を直接測定する方法は知られていなかった。
下記特許文献2には、シリカとシランカップリング剤との反応量を求める方法として、固体分解能29Si−NMR測定によって得られるゴム組成物中のシリカのスペクトルの帰属から、特定の3つのピークの各ピーク面積を求め、該ピーク面積から反応量を求める方法が開示されている。
特開平11−263878号公報 特開2006−337342号公報
しかしながら、上記固体分解能NMRを用いた測定方法では、反応量の相対比較は可能であるものの、配合したシランカップリング剤のうち何%が反応したのかを求めることは不可能であり、得られる情報が十分とは言えない。また、この方法では、スペクトルの分解能が低いため、ピーク解析における定量精度に問題がある。また、この方法では、測定感度(S/N比)が低く、測定時間が数時間から数十時間と長くなるため、実施が困難であり、シリカ量が少ない場合などは時間をかけても十分な感度が得られず、定量精度に問題がある。
また、従来、シランカップリング剤の反応は高温下でのみ進行し、常温下では反応しないと考えられていたが、今回我々が開発した方法で確認したところ、ミキサーから排出した後の常温下においても反応量が経時的に変化することが判明した。このように反応量は経時的に変化するため、上記固体分解能NMRを用いた測定方法のように測定に長時間を要するものでは、反応量の正確な測定は不可能である。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、シリカ配合において添加されるシランカップリング剤の反応量を測定することができる方法を提供するものである。
本発明に係るシリカ配合におけるシランカップリング剤の反応量測定方法は、
(1)ゴム成分に、シリカと、分子中に硫黄を含むシランカップリング剤を添加し、加硫促進剤と加硫剤を添加せずに混合することにより、加硫剤と加硫促進剤を含まない未加硫のゴム組成物を調製し、
(2)得られたゴム組成物に対し前記ゴム成分が溶解しない溶媒を用いて抽出処理を行うことにより、前記ゴム組成物中に含まれる未反応の前記シランカップリング剤を抽出し、
(3)抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄量を定量することで反応済みのシランカップリング剤の含有量を求め
(4)求めた反応済みのシランカップリング剤の含有量を、前記シランカップリング剤の配合量と比較することによりシランカップリング剤の反応率を求める
ものである。
本発明によれば、ゴム組成物中におけるシランカップリング剤の反応率を求めることができるので、シランカップリング剤の反応量を制御することが可能となる。すなわち、十分な反応率が得られる最適な混合条件を見い出すことができ、低発熱性などのシリカの特性を効果的に発揮させることができる。
ゴム組成物の混合時の排出温度と、シランカップリング剤の反応率及び転がり抵抗の関係を示す実施例1のグラフである。 ゴム組成物の混合後の経過日数とシランカップリング剤の反応率との関係を示す実施例2のグラフである。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
上記のように本発明では、抽出処理により未反応のシランカップリング剤と反応済みのシランカップリング剤とが分離されることを利用するものである。シリカ配合に添加されるシランカップリング剤は液体であり、未反応であれば抽出処理において溶媒により抽出されるが、シリカ表面のシラノール基と反応すると固体となり溶媒に抽出されなくなる。そのため、未反応と反応済みのシランカップリング剤を分離することができる。そして、ゴム配合用のシランカップリング剤は分子中に硫黄を含むため、硫黄量を定量することで、シランカップリング剤の反応率を求めることが可能となる。
本発明において、ゴム成分としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)及びブチルゴム(IIR)などの各種ジエン系ゴムが挙げられる。これらのゴムは、単独又は2種類以上ブレンドして用いることができる。
本発明において、シリカとしては、特に限定されず、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。中でも低発熱性の点から湿式シリカが好ましい。シリカの配合量も特に限定されず、好ましくは、ゴム成分100重量部に対して5〜150重量部であり、より好ましくは10〜120重量部である。
本発明において、シランカップリング剤としては、分子中に硫黄を含むものであれば特に限定されず、ゴム組成物においてシリカとともに配合される各種のシランカップリング剤を用いることができる。例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグサ社製「Si69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグサ社製「Si75」)、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランが挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して2〜25重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜15重量部である。
本発明において、加硫剤としては、特に限定するものではないが、通常は硫黄が用いられる。加硫剤としての硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、オイル処理硫黄などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
本発明において、加硫促進剤としては、特に限定されず、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DPBS)などのスルフェンアミド系、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)などのチウラム系、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3−ジ−O−トリルグアニジン(DOTG)などのグアニジン系、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)などのチアゾール系などが挙げられる。
本発明において、ゴム組成物には、上記した成分の他に、カーボンブラックなどの他の補強性充填剤、プロセスオイルなどの軟化剤、可塑剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、樹脂類など、通常ゴム工業で使用される各種添加剤を配合することができる。
次に、反応量測定方法の各ステップについて説明する。
まず、ステップ(1)では、上記ゴム成分に、シリカ、シランカップリング剤、及び、その他の添加剤を添加して混合することにより未加硫のゴム組成物を得る。混合は、ゴム分野において一般に使用される各種混合機、例えば、バンバリーミキサーやロール、ニーダーなどを用いて行うことができる。かかる混合によりゴム組成物は加熱され、これにより、液体のシランカップリング剤はシリカ表面のシラノール基と反応して固体となる。
このステップ(1)において調製されるゴム組成物には、加硫剤と加硫促進剤を含まないことが好ましい。すなわち、ステップ(1)において、ゴム成分に配合するその他の添加剤には加硫剤と加硫促進剤を含めず、加硫剤と加硫促進剤を除くその他の添加剤を全て配合する。ステップ(1)で加硫剤や加硫促進剤を配合すると、混合時の熱により硫黄や加硫促進剤がゴム成分と結合して抽出後も残ってしまうため、シランカップリング剤の硫黄分のみを定量することが困難になるためである。
このようにして未加硫のゴム組成物を調製した後、これをロールなどを用いてシート状に薄く引き伸ばす。シート状とすることで、次のステップ(2)の抽出処理で、未反応のシランカップリング剤が抽出しやすくなる。この場合、厚み1mm以下のシート状とすることが好ましい。
次に、ステップ(2)において、上記で得られたシート状のゴム組成物に対し、溶媒を用いて抽出処理を行う。これにより、ゴム組成物中に含まれる未反応のシランカップリング剤を抽出し、未反応と反応済みのシランカップリング剤を分離することができる。すなわち、液体である未反応のシランカップリング剤は溶媒によって抽出液中に流れ出るが、固体である反応済みのシランカップリング剤はシリカとともにゴム組成物中にとどまり、これにより両者が分離される。
上記溶媒としては、ゴム成分のポリマーは溶解しないが、未反応のシランカップリング剤を含む薬品が溶解する有機溶媒であれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリルなどが挙げられる。
上記抽出処理方法としては、未反応のシランカップリング剤を抽出することができるものであれば特に限定しないが、シート状のゴム組成物から効率的に抽出を行うことができるという点で、ソックスレー抽出によることが好ましい。
このステップ(2)では、抽出前のシート状ゴム組成物の重量(m)を測定しておき、また、抽出後、真空乾燥などにより乾燥したゴム組成物(すなわち、抽出後のゴム組成物)の重量(m)も測定しておく。
次のステップ(3)では、抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄量を定量する。硫黄量の定量は、サンプル(ここでは、抽出後のゴム組成物)中に含まれる硫黄分(重量%)を測定できるものであれば、公知の種々の硫黄分析装置を用いて行うことができ、例えば、イオンクロマトグラフ法(日本ダイオネクス株式会社製「ICS−1500」)や、酸素気流燃焼−赤外線吸収法(LECOジャパン株式会社製硫黄炭素分析装置「SC−632」)などが挙げられる。これにより、反応済みのシランカップリング剤の含有量を求めることができる。より詳細には、反応済みのシランカップリング剤の含有量として、その硫黄分(重量%)、すなわち、抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄分(重量%)を求め、これをSとする。
このステップ(3)においては、上記に代えて、抽出液に含まれる硫黄量を定量してもよい。この場合の定量も上記の硫黄分析装置を用いて行うことができ、これにより、未反応のシランカップリング剤の含有量を求めることができる。このように抽出液に含まれる硫黄量を定量してもよいが、抽出液にはアロマオイルなど相当量の硫黄分を含む成分が含まれることから測定精度に劣るため、上記のように抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄量を定量することがより好ましい。
次のステップ(4)では、上記で求めた反応済み又は未反応のシランカップリング剤の含有量を、シランカップリング剤の配合量と比較することによりシランカップリング剤の反応率を求める。すなわち、反応済みのシランカップリング剤の含有量が分かれば、これを、ステップ(1)で添加したシランカップリング剤の配合量と比較することにより、シランカップリング剤の反応率を算出できる。あるいはまた、未反応のシランカップリング剤の含有量が分かれば、これを、ステップ(1)で添加したシランカップリング剤の配合量と比較することにより、シランカップリング剤の未反応率を算出できるので、該未反応率から反応率を計算することができる。
より詳細には、例として、シランカップリング剤の反応率は下記式(A)から算出することができる。
反応率(%)={(S−S)/S}×(m/m)×100 …(A)
式中、Sは、上記の通り、抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄分(重量%)であり、ステップ(3)で求められる。
は、シランカップリング剤を除いて同配合のゴム組成物について上記と同様の操作を行うことで測定した抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄分(重量%)である。ゴム組成物中には、例えばカーボンブラックなどのように僅かではあるが硫黄を含むものもあるので、SからSを差し引くことで、これらの他の成分に含まれる硫黄の影響を取り除くことができる。
は、シランカップリング剤の配合量から算出される抽出前のゴム組成物中に含まれるシランカップリング剤による硫黄分(重量%)である。
また、mは、上記の通り、抽出前のシート状ゴム組成物の重量、mは、抽出後のゴム組成物の重量であり、ともにステップ(2)で測定される。
以上よりなる本実施形態の反応量測定方法であると、シリカ配合において添加されるシランカップリング剤の反応率(即ち、反応量の相対比較ではなく、絶対的な反応量)を精度よく測定することができる。シランカップリング剤の反応率は混合段階における混合機からの排出時の温度、混合時間など様々な要因で変化すると言われているが、上記手法により反応率を測定することができるので、反応率が変化する要因を明確にすることができ、よって、シランカップリング剤の反応量を制御することができる。シランカップリング剤の反応率は低発熱性と相関しており、反応率が高いほど低発熱性の良い(即ち、発熱しにくい)ゴム組成物が得られるので、シランカップリング剤の反応率を知ることにより、ゴム組成物の低発熱性を制御することができ、優れた低発熱性を持つゴム組成物の混合条件の最適化を容易に行うことができる。
後述した実施例で示されているように、シランカップリング剤の反応率は、混合物からの排出後の常温下においても経時的に変化していく。そのため、上記ステップ(2)の抽出処理は、未加硫のゴム組成物の混合後(詳細には、混合機からの排出後)、短時間の間、好ましくは1時間以内に開始することが好ましい。
上記のように本実施形態では、未加硫のゴム組成物におけるシランカップリング剤の反応量を測定するが、シランカップリング剤の反応量はその後の加硫工程での加熱により更に上昇するものと考えられる。しかしながら、後述する実施例で示されているように、転がり抵抗(低発熱性)と相関するのは、未加硫のゴム組成物におけるシランカップリング剤の反応率であり、かかる加硫時の反応量の増加は転がり抵抗には寄与しない。これは加硫時にはゴム組成物は攪拌を伴わず静止状態にあるため、シランカップリング剤がシリカ表面に有効に結合できず、またシランカップリング剤同士の縮合反応等も起こるため、シリカの分散性向上に寄与しないためであると考えられる。
このような点より、ゴム組成物を製造する際には、次のように行うことが好ましい。すなわち、ゴム組成物の好ましい製造方法としては、ゴム成分に、シリカと、分子中に硫黄を含むシランカップリング剤を添加し、加硫促進剤と加硫剤を添加せずに混合することにより、上記測定方法で測定したシランカップリング剤の反応率が70〜100%のゴム組成物を調製し、得られたゴム組成物に加硫促進剤と加硫剤を添加して混合することで、加硫剤を含むゴム組成物を調製する方法が挙げられる。このように加硫系を添加する前でのシランカップリング剤の反応率を高く設定することで、シリカの分散性向上に寄与する有効なシランカップリング剤の反応率を高めて、低発熱性などのシリカの性能を十分に引き出すことができる。
このようにして得られたゴム組成物は、所定形状に成形し加硫することで、タイヤ(例えば、トレッドやサイドウォール、ビード部などの各部位)、防振ゴム(例えば、エンジンマウント、ストラットマウント、ボディマウント、サスペンションブッシュなど)、免震ゴム(建築用免震ゴムなど)、コンベアベルトなどのベルトなど、各種ゴム製品に用いることができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記表1に示す配合に従い、硫黄と加硫促進剤を除く成分をバンバリーミキサーで混合し、表1に示すように排出温度の異なるNo.1〜7の7種類の未加硫のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の一部をロールで厚み1mm以下のシート状に延ばしてから重量(m)を測定し、全ての試料をm=1.00gに調整した。
その後、すぐに(即ち、バンバリーミキサーからの排出後1時間以内に)アセトンでソックスレー抽出を8時間行った。抽出後のゴム組成物を30℃で5時間真空乾燥して、重量(m)を測定した。次いで、日本ダイオネクス株式会社製イオンクロマトグラフ「ICS−1500」により、抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄分(硫黄濃度:重量%)を求め、これをSとした。
表1に示す配合においてシランカップリング剤を配合しない以外は同一のゴム組成物を同様の操作により作製し、抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄分(重量%)を求めて、Sとした。
そして、上記式(A)によりシランカップリング剤の反応率を求めた。なお、シランカップリング剤の配合量から算出される抽出前のゴム組成物中に含まれるシランカップリング剤による硫黄分S(重量%)は、
=シランカップリング剤単体中の硫黄分(重量%)×(配合部数/総部数)
=23.0×(6/235)=0.587
である。
上記未加硫のゴム組成物のうち、シート状に延ばさなかった残りのゴム組成物を用い、オープンロールで加硫促進剤と硫黄の混合を行った。これにより得られたゴム組成物を用いて、キャップ/ベース構造のトレッドを有するタイヤのキャップトレッドに適用し、205/65R15 94Hの空気入りラジアルタイヤを常法に従い製造し、下記評価方法により転がり抵抗を評価した。なお、表1中の各成分の詳細は下記の通りである。
・転がり抵抗:使用リムを15×6.5JJとしてタイヤを装着し、空気圧230kPa、荷重450kgfとして、転がり抵抗測定用の1軸ドラム試験機にて23℃で80km/hで走行させたときの転がり抵抗を測定した。結果は、No.1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど、転がり抵抗が小さく、従って燃費性に優れることを示す。
・SBR:スチレンブタジエンゴム、JSR株式会社製「SBR1502」、
・カーボンブラック:東海カーボン株式会社製「シーストSO」、
・シリカ:東ソーシリカ工業株式会社製「ニップシールAQ」、
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社製「Si69」、
・アロマオイル:ジャパンエナジー株式会社製「プロセスX−140」、
・ステアリン酸:花王株式会社製「ルナックS−20」、
・亜鉛華:三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華1号」、
・老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」、
・硫黄:細井化学工業株式会社製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」、
・加硫促進剤:CBS、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ」。
結果は、表1に示す通りであり、上記方法により未加硫のゴム組成物におけるシランカップリング剤の反応率を求めることができた。また、図1にも示したように、このシランカップリング剤の反応率と転がり抵抗との間には相関があり、反応率が高いほど転がり抵抗の低いゴムが得られた。
Figure 0005027175
(実施例2)
上記表1に示す配合に従い、実施例1と同様にして、下記表2に示す排出温度の異なるゴム組成物を得た。得られたゴム組成物について、実施例1と同様にして、混合直後(即ち、経過日数:0日)におけるシランカップリング剤の反応率を求めた。上記ゴム組成物を常温で放置しながら、経過日数:1日、2日、4日、7日のそれぞれについて、同様の操作でシランカップリング剤の反応率を求めた。
結果は、表2及び図2に示す通りであり、シランカップリング剤の反応率は、常温下でも経時的に変化していた。このことから、混合後のゴム組成物におけるシランカップリング剤の反応率をより正確に測定するためには(即ち、転がり抵抗に寄与する有効なシランカップリング剤の反応率を測定するためには)、混合後できるだけすぐに抽出処理を行って反応率を測定することが望ましいことが分かる。
Figure 0005027175
本発明は、シリカを配合する各種ゴム組成物において、シランカップリング剤の反応量を求め、これによりシリカの性能を十分に引き出す製造条件を見い出すために好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. (1)ゴム成分に、シリカと、分子中に硫黄を含むシランカップリング剤を添加し、加硫促進剤と加硫剤を添加せずに混合することにより、加硫剤と加硫促進剤を含まない未加硫のゴム組成物を調製し、
    (2)得られたゴム組成物に対し前記ゴム成分が溶解しない溶媒を用いて抽出処理を行うことにより、前記ゴム組成物中に含まれる未反応の前記シランカップリング剤を抽出し、
    (3)抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄量を定量することで反応済みのシランカップリング剤の含有量を求め
    (4)求めた反応済みのシランカップリング剤の含有量を、前記シランカップリング剤の配合量と比較することによりシランカップリング剤の反応率を求める
    ことを特徴とするシリカ配合におけるシランカップリング剤の反応量測定方法。
  2. 前記(2)における抽出処理がソックスレー抽出である、
    請求項記載のシランカップリング剤の反応量測定方法。
  3. 前記(1)において未加硫のゴム組成物をシート状に延ばし、前記(2)において該シート状のゴム組成物に対して抽出処理を行う、
    請求項1又は2記載のシランカップリング剤の反応量測定方法。
  4. 前記(2)において、抽出前のゴム組成物の重量mを測定するとともに、抽出後のゴム組成物の重量mを測定し、
    前記(3)において、前記反応済みのシランカップリング剤の含有量として、抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄分S(重量%)を求め、
    前記(4)において、下記式(A)からシランカップリング剤の反応率を求める、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のシランカップリング剤の反応量測定方法。
    反応率(%)={(S−S)/S}×(m/m)×100 …(A)
    (式中、Sは、前記シランカップリング剤を除いて同配合のゴム組成物について測定した抽出後のゴム組成物に含まれる硫黄分(重量%)である。また、Sは、前記シランカップリング剤の配合量から算出される抽出前のゴム組成物中に含まれるシランカップリング剤による硫黄分(重量%)である。)
  5. 前記未加硫のゴム組成物の混合後、1時間以内に前記抽出処理を開始する、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のシランカップリング剤の反応量測定方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応量測定方法を含み、
    前記(1)で調製した未加硫のゴム組成物の一部を用いて前記(2)、(3)及び(4)によりシランカップリング剤の反応率を求め、
    前記(1)で調製した未加硫のゴム組成物のうち前記抽出処理を行っていないゴム組成物に加硫促進剤と加硫剤を添加して混合することで、加硫剤を含むゴム組成物を調製する
    ことを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  7. 前記(4)で求めたシランカップリング剤の反応率が70〜100%である未加硫のゴム組成物について、該未加硫のゴム組成物のうち前記抽出処理を行っていないゴム組成物に加硫促進剤と加硫剤を添加して混合することを特徴とする請求項6記載のゴム組成物の製造方法。
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