JP2023096998A - ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】硬度を維持ないしは向上しつつ、転がり抵抗とウエットグリップ性能についての背反性能を改善するゴム組成物、及び空気入りタイヤの提供。【解決手段】ジエン系ゴムに、シリカと、窒素含有アルコキシシランと、アルキルアルコキシシランとを含有するゴム組成物であって、パルス法NMR装置ソリッドエコー法により、ジエン系ゴムからなる未加硫試料と、加硫試料のスピン-スピン緩和時間をそれぞれ測定し、未加硫試料の緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を、緩和時間の短い成分(S0)と長い成分(L0)の2成分に分け、加硫試料の緩和曲線を、緩和時間の短い成分(S)と長い成分(L)の2成分に分け、成分(S0)の緩和時間と成分(L0)の緩和時間の加重平均値(T0)と、成分(S)の緩和時間(TS)とが、TS/T0≧0.26を満たし、成分(S)の体積(VS)と成分(L)の体積(VL)とが、VS/VL≧0.26を満たす、ゴム組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
近年、環境に対する配慮が社会的要請となっており、低燃費要求が高まっている。このような現状から、自動車用タイヤ、特に地面と接するタイヤトレッドの材料として、転がり抵抗が小さい材料の開発が求められている。また、車両の安全性を向上させる観点から、湿潤路面での制動性(ウエットグリップ性能)の向上が求められている。
このような課題に対して、例えば、特許文献1には、3種類のゴム成分と2種類のシリカを含み、それぞれのゴム成分におけるシリカの分散割合が所定の範囲内にある場合に、ウェット性能、耐摩耗性及び低転がり抵抗性を高いレベルで両立できることが記載されている。
また、特許文献2には、パルス法NMRで測定されるシリカ及びシランカップリング剤により補強されたゴムの拘束相の比率を示すRsが所定の範囲にある場合、十分な加工性を確保しつつ、優れた低ヒステリシスロス性、ウェットスキッド抵抗性、及び耐摩耗性を発揮できることが記載されている。
このように従来、ウエットグリップ性能や転がり抵抗性能を向上するために様々な提案がされている。しかしながら、ウエットグリップ性能と転がり抵抗性能は、一方が向上すると他方が低下するという背反性能であり、一方の悪化を抑えつつ、他方を向上させること(背反性能の改善)が求められている。
特許文献1に記載のゴム組成物では、シリカ周辺に低Tgのゴム成分を配置している。このような構成にするためには、ゴム成分の変性や、配合する成分の混合方法を手順化する必要があった。さらに、シリカ界面付近のゴム成分はシリカに拘束されており、外部刺激による応力を鋭敏に吸収することができないというおそれがあり、転がり抵抗やウエットグリップ性能の背反性能についてさらなる改善の余地があった。
特許文献2では、ポリマーの緩和時間については言及されておらず、ポリマーの拘束が強すぎる場合は、外部刺激による応力を鋭敏に吸収することができないというおそれがあり、転がり抵抗とウエットグリップ性能の背反性能について改善の余地があった。
特開2020-100677号公報 特開2015-214621号公報
また、転がり抵抗とウエットグリップ性能の背反性能が向上すれば、硬度が低下する傾向にあり、硬度を維持しつつ、転がり抵抗とウエットグリップ性能の背反性能を改善することが求められている。
本発明は、以上の点に鑑み、硬度を維持ないしは向上しつつ、転がり抵抗とウエットグリップ性能についての背反性能を改善するゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係るゴム組成物は、ジエン系ゴムに、シリカと、窒素含有アルコキシシランと、アルキルアルコキシシランとを含有するゴム組成物であって、25℃において、パルス法NMR装置を用いて、ソリッドエコー法により、上記ジエン系ゴムからなる未加硫試料と、上記ゴム組成物を加硫した試料のスピン-スピン緩和時間をそれぞれ測定し、上記未加硫試料から得られた緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を、緩和時間の短い成分(S)と緩和時間の長い成分(L)の2成分に分離し、上記加硫試料から得られた緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を、緩和時間の短い成分(S)と緩和時間の長い成分(L)の2成分に分離し、成分(S)の緩和時間と成分(L)の緩和時間の加重平均値(T)と、成分(S)の緩和時間(T)とが、T/T≧0.26を満たし、成分(S)の体積(V)と成分(L)の体積(V)とが、V/V≧0.26を満たすものとする。
上記シリカの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して5~150質量部であり、上記窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランの合計の含有量は、シリカの含有量に対して、3~15質量%であり、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランの合計の含有量のうち、窒素含有アルコキシシランの含有割合が、10~80モル%であるものとすることができる。
上記窒素含有アルコキシシランは、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、シアノ基、アジ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有するものとすることができる。
上記アルキルアルコキシシランは、式(1)で表される化合物であるものとすることができる。
Figure 2023096998000002
ただし、式(1)において、Rは炭素数3~20のアルキル基を示す。
本発明に係る空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて作製したものとする。
本発明のゴム組成物によれば、硬度を維持ないしは向上しつつ、転がり抵抗とウエットグリップ性能についての背反性能を改善することができる。
実施例1におけるゴムのT2緩和曲線、及びそれをフィッティングして分離した結果を示すグラフ。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係るゴム組成物は、ジエン系ゴムに、シリカと、窒素含有アルコキシシランと、アルキルアルコキシシランとを含有するものとする。
本実施形態に係るジエン系ゴムは、特に限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。なお、ジエン系ゴムには、必要に応じて末端や主鎖を変性したもの(例えば、末端変性SBR)や、所望の特性を付与するべく改質したもの(例えば、改質NR)も、その概念に包含される。
一実施形態において、ジエン系ゴムは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、及びブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。より好ましくは、ジエン系ゴムは、スチレンブタジエンゴムを含むことである。例えば、ジエン系ゴム100質量部は、スチレンブタジエンゴムを50質量部以上含むことが好ましく、より好ましくはスチレンブタジエンゴムを70質量部以上含むことであり、スチレンブタジエンゴム単独でもよい。
スチレンブタジエンゴムとしては、例えば、溶液重合スチレンブタジエンゴム(SSBR)でもよく、乳化重合スチレンブタジエンゴム(ESBR)でもよい。スチレンブタジエンゴムとしては、必要に応じて末端や主鎖が変性された変性スチレンブタジエンゴム(例えば、アミン変性SBRやスズ変性SBR)が用いられてもよい。
本実施形態に係るシリカとしては、特に限定されないが、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカが好ましく用いられる。シリカの含有量は特に限定されないが、ジエン系ゴム100質量部に対して、5~150質量部であることが好ましく、30~100質量部であることがより好ましい。
本実施形態に係る窒素含有アルコキシシランは、分子中に窒素を含むアルコキシシランである。窒素含有アルコキシシランとしては、例えば、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、シアノ基、アジ基、及びアミド基からなる群から選択された官能基と、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を有する化合物が挙げられ、一般にシランカップリング剤と呼ばれているもののうち分子中に窒素原子を有するものが挙げられる。
窒素含有アルコキシシランの具体例としては、3-アミノプロピルアルコキシシラン(例えば3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルアルコキシシラン(例えば3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン)などのアミノアルコキシシラン; 3-ウレイドプロピルアルコキシシラン(例えば3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン)、2-ウレイドエチルアルコキシシラン(例えば2-ウレイドエチルトリメトキシシラン、2-ウレイドエチルトリエトキシシラン、2-ウレイドエチルメチルジメトキシシラン)、ウレイドメチルアルコキシシラン(例えばウレイドメチルトリメトキシシラン、ウレイドメチルメチルジメトキシシラン、ウレイドメチルトリエトキシシラン、ウレイドメチルメチルジエトキシシラン)などのウレイドアルコキシシラン; 3-イソシアネートプロピルアルコキシシラン(例えば3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリプロポキシシラン)、2-イソシアネートエチルアルコキシシラン(例えば2-イソシアネートエチルトリメトキシシラン、2-イソシアネートエチルトリエトキシシシラン)、イソシアネートメチルアルコキシシラン(例えば、イソシアネートメチルトリメトキシシラン、イソシアネートメチルトリエトキシシラン)などのイソシアネートアルコキシシラン、シアノアルコキシシラン(例えば3-シアノプロピルトリメトキシシラン、3-シアノプロピルトリエトキシシラン)、アジドアルキルシラン(例えば3-アジドプロピルトリエトキシシラン、3-アジドプロピルトリメトキシシラン、11-アジドウンデシルトリメトキシシラン)、アルキルシリルアミド酸(例えばトリエトキシシリルプロピルマレインアミド酸)が挙げられる。これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るアルキルアルコキシシランとしては、アルキルジアルコキシシランでもよいが、アルキルトリアルコキシシランが好ましい。アルキルアルコキシシランとしては、炭素数が3~20であるアルキル基を持つものが好ましく、具体的には、下記式(1)で表されるアルキルトリエトキシシランが好ましく用いられる。式(1)中、Rは炭素数3~20のアルキル基を示し、好ましくは炭素数6~20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数10~20のアルキル基である。
Figure 2023096998000003
窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランの合計の含有量は、シリカの含有量に対して、3~15質量%であることが好ましく、3~10質量%であることがより好ましく、3~8質量%であることがさらに好ましい。すなわち、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランの合計量がシリカ100質量部に対して3~15質量部であることが好ましく、3~10質量部であることがより好ましく、3~8質量部であることがさらに好ましい。
窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランの合計の含有量における、窒素含有アルコキシシランの含有割合は、10~80質量%であることが好ましく、10~60質量%であることがより好ましく、20~50質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されている補強性充填剤、プロセスオイル、軟化剤、可塑剤、ワックス、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤などの配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。なお、シリカを配合する場合に通常配合される硫黄含有シランカップリング剤については、配合してもよいが、一実施形態において、硫黄含有シランカップリング剤は配合しないことが好ましい。
補強性充填剤としては、シリカに加えて、カーボンブラックを配合するものであってもよい。すなわち、補強性充填剤は、シリカ単独でも、カーボンブラックとシリカの併用でもよい。補強性充填剤の含有量は、特に限定されず、例えばジエン系ゴム100質量部に対して5~150質量部であることが好ましく、より好ましくは30~100質量部であり、さらに好ましくは30~80質量部である。好ましくは、充填剤はシリカを主成分とすることであり、カーボンブラックの含有量はジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以下である。
本実施形態に係るゴム組成物は、通常用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。第一混合段階で、ジエン系ゴムに対し、加硫剤と加硫促進剤を除く他の添加剤を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階として加硫剤と加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製することができる。
本実施形態に係るゴム組成物は、25℃において、パルス法NMR装置を用いて、ソリッドエコー法により、上記ジエン系ゴムからなる未加硫試料と、上記ゴム組成物を加硫した試料のスピン-スピン緩和時間をそれぞれ測定し、上記未加硫試料から得られた緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を、緩和時間の短い成分(S)と緩和時間の長い成分(L)の2成分に分離し、上記加硫試料から得られた緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を、緩和時間の短い成分(S)と緩和時間の長い成分(L)の2成分に分離し、成分(S)の緩和時間と成分(L)の緩和時間の加重平均値(T)と、成分(S)の緩和時間(T)とが、T/T≧0.26を満たし、成分(S)の体積(V)と成分(L)の体積(V)とが、V/V≧0.26を満たすものとする。
ショート相において、シリカからの拘束が強いゴム成分ほど緩和時間が短く、拘束が弱いゴム成分ほど緩和時間が長くなる特徴があり、この比率(T/T)により、ゴム組成物の分子運動性を評価することができる。すなわち、ゴム組成物が比率T/T≧0.26を満たし、ショート層において、シリカによる拘束が弱いゴム成分が一定量存在することで、外部刺激に対して、鋭敏に応力吸収することができ、転がり抵抗とウエットグリップ性能についての背反性能を改善しやすい。
また、ゴム組成物が比率V/V≧0.26を満たし、ゴム組成物中のシリカに拘束されたゴム成分が一定量存在することで、ゴム組成物全体として、転がり抵抗とウエットグリップ性能についての背反性能を改善しやすい。
パルスNMRを測定する際のゴム組成物の条件、測定条件及び、ショート相分率(Short相分率)、ロング相分率(Long相分率)の算出方法は後述する実施例に記載する。
このようにして得られたゴム組成物は、乗用車用タイヤ、トラックやバスの大型タイヤなど、各種用途・各種サイズの空気入りタイヤのトレッド、サイドウォールなどタイヤの各部位に適用することができる。すなわち、該ゴム組成物は、常法に従い、例えば、押出加工によって所定の形状に成形され、他の部品と組み合わせてグリーンタイヤを作製した後、例えば140℃~180℃でグリーンタイヤを加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。これらの中でも、タイヤのトレッド用配合として用いることが特に好ましい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1,2に記載の配合(質量部)に従い、ダイハン製ラボミキサー(300cc)を用いて、ゴム成分を30秒間、素練りした後、シリカ、硫黄含有シランカップリング剤、窒素含有アルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、酸化亜鉛、ステアリン酸を投入し、240秒間混練した後に排出した。次に、排出されたゴム組成物をラボミキサーに投入し180秒間混練した後に排出した。さらに、排出されたゴム組成物と硫黄と加硫促進剤をラボミキサーに投入し60秒間混練し排出した。2本ロールを用いて、得られた未加硫ゴム組成物の厚さが2mmになるようにシーティングを行った後に、160℃で20分間加硫プレスを行い、加硫サンプルを得た。
表1,2中の各成分の詳細は以下の通りである。
・S-SBR:JSR(株)製「SL563」、末端スズ変性
・シリカ:東ソー(株)製「ニップシールAQ」
・硫黄含有シランカップリング剤:エボニックジャパン(株)製「Si75」
・窒素含有アルコキシシラン1:アミノ基含有、東京化成(株)製「3-アミノプロピルトリエトキシシラン」
・窒素含有アルコキシシラン2:ウレイド基含有、東京化成(株)製「3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン」、40~52質量%メタノール溶液
・窒素含有アルコキシシラン3:イソシアネート基含有、東京化成(株)製「3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン」
・アルキルアルコキシシラン1:東京化成(株)製「ヘキシルトリエトキシシラン」
・アルキルアルコキシシラン2:東京化成(株)製「オクタデシルトリエトキシシラン」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛3号」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS-20」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤1:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
なお、表1,2における「シラン化合物の合計量における窒素含有アルコキシシランの割合(モル比率(%))」は、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランの合計の含有量における窒素含有アルコキシシランの含有割合(モル%)である。表1の窒素含有アルコキシシラン2の配合量は、製品中のメタノールも含めた量である。
得られた加硫サンプルについて、パルスNMRの測定を行った。具体的には、JEOL製JNM-MU25Aを使用し、測定温度25℃において、10mmΦガラス管に1mm角に切断した試料を1g程度投入してソリッドエコー法にて緩和時間T2を測定した。得られた緩和曲線M(t)を以下に示す式を用いて近似することで緩和時間をショート相(S)とロング相(L)の2成分に分離し、各相のT2緩和時間(T・T)、及び成分分率(V・V)を算出した。なお、下記式においてワイブル係数(W)は1として計算した。
Figure 2023096998000004
また、各ゴム組成物において用いたゴム成分単体(ここでは、S-SBR単体)について未加硫状態での緩和時間を測定した。上記と同様に得られた緩和曲線M(t)から緩和時間をショート相(S)とロング相(L)の2成分に分離し、各相のT2緩和時間(T・T)、及び成分分率(V・V)を算出した。2成分の緩和時間について以下の式を用いて加重平均を算出し、Tとした。算出したTと上記加硫サンプルのショート相の緩和時間との比率(T/T)を算出した。
Figure 2023096998000005
また、得られた加硫サンプルについて、転がり抵抗と、ウエットグリップ性能と、硬度を評価し、転がり抵抗とウエットグリップ性能との比を求め、結果を表1,2に示した。各評価の測定方法は次に示す通りである。
・転がり抵抗(RR):上島製作所製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、静歪10%、動歪1%、温度60℃で損失係数tanδを測定し、表1においては比較例1-1の値を、表2においては比較例2-1の値を100とした指数で表した。指数が小さいほど、転がり抵抗に優れていることを示す。
・ウエットグリップ性能(wet):上島製作所製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、静歪10%、動歪1%、温度0℃で損失係数tanδを測定し、表1においては比較例1-1の値を、表2においては比較例2-1の値を100とした指数で表した。指数が大きいほどウエットグリップ性能に優れていることを示す。
・転がり抵抗とウエットグリップ性能との比(wet/RR):ウエットグリップ性能である0℃におけるtanδの値を、転がり抵抗性能である60℃におけるtanδの値で割った。得られた値の指数を表1,2に示した。各表における指数については、表1においては比較例1の値を100とした指数で表し、表2においては比較例2-1の値を100とした指数で表した。値が大きいほど、転がり抵抗とウエットグリップ性能についての背反性能が改善されたことを示す。
・硬度:JIS K6253に準拠したタイプAデュロメータを使用し、23℃で測定し、表1においては比較例1-1の値を、表2においては比較例2-1の値を100とした指数で示した。値が大きいほど硬いゴムであることを示す。
Figure 2023096998000006
Figure 2023096998000007
結果は、表1,2に示す通りであり、比較例1-1は、アルキルアルコキシシランと窒素含有アルコキシシランを配合せずに、硫黄含有シランカップリング剤を配合した例であり、パルスNMRで測定したT/Tの値が所定範囲外である。比較例1-2は、硫黄含有シランカップリング剤とアルキルアルコキシシランを配合せずに、窒素含有アルコキシシランを配合した例である。比較例1-2は、比較例1-1と比較し、転がり抵抗とウエットグリップ性能との背反性能が悪化した。
比較例1-3は、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランとを併用した例であるが、パルスNMRで測定したV/Vの値が所定範囲外である。比較例1-3は、比較例1-1と比較して、転がり抵抗とウエットグリップ性能との背反性能が悪化した。
比較例1-4は、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランとを併用した例であるが、パルスNMRで測定したV/Vの値が所定範囲外である。比較例1-4は、比較例1-1と比較して、硬度が悪化した。
比較例1-5は、硫黄含有シランカップリング剤と窒素含有アルコキシシランを配合せずに、アルキルアルコキシシランを配合した例であり、パルスNMRで測定したV/Vの値が所定範囲外である。比較例1-5は、比較例1-1と比較して、硬度が悪化した。
比較例1-6は、硫黄含有シランカップリング剤と窒素含有アルコキシシランとを配合せずに、アルキルアルコキシシランを配合した例であり、パルスNMRで測定したV/Vの値が所定範囲外である。比較例1-6は、比較例1-1と比較し、転がり抵抗とウエットグリップ性能との背反性能が悪化した。
比較例1-7,1-8は、硫黄含有シランカップリング剤とアルキルアルコキシシランを配合せずに、窒素含有アルコキシシランを配合した例であり、パルスNMRで測定したT/Tの値が所定範囲外である。比較例1-7,1-8は、比較例1-1と比較し、転がり抵抗とウエットグリップ性能との背反性能が悪化した。
一方、実施例1-1~1~8は、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランとを併用した例であり、パルスNMRで測定したT/Tの値と、V/Vの値が所定範囲内である。これらの実施例は、比較例1-1と比較し、硬度を維持ないしは向上しつつ、比較例1-1よりも転がり抵抗とウエットグリップ性能との背反性能が改善した。
比較例2-1は、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランを配合せずに、硫黄含有シランカップリング剤を配合した例であり、パルスNMRで測定したV/Vの値の値が所定範囲外である。比較例2-2は、硫黄含有シランカップリング剤とアルキルアルコキシシランを配合せずに、窒素含有アルコキシシランを配合した例であり、V/Vの値が所定範囲外である。比較例2-2は、比較例2-1と比較し、転がり抵抗とウエットグリップ性能との背反性能が悪化した。
比較例2-3は、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランとを併用した例であるが、パルスNMRで測定したV/Vの値の値が所定範囲外である。比較例2-3は、比較例2-1と比較し、転がり抵抗とウエットグリップ性能との背反性能が悪化した。
比較例2-4は、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランとを併用した例であるが、パルスNMRで測定したV/Vの値の値が所定範囲外である。比較例2-4は、比較例2-1と比較し、硬度が悪化した。
比較例2-5は、硫黄含有シランカップリング剤と窒素含有アルコキシシランを配合せずに、アルキルアルコキシシランを配合した例であり、パルスNMRで測定したV/Vの値の値が所定範囲外である。比較例2-5は、比較例2-1と比較し、硬度が悪化した。
比較例2-6は、硫黄含有シランカップリング剤と窒素含有アルコキシシランを配合せずに、アルキルアルコキシシランを配合した例であり、パルスNMRで測定したV/Vの値の値が所定範囲外である。比較例2-6は、比較例2-1と比較し、転がり抵抗とウエットグリップ性能との背反性能が悪化した。
一方、実施例2-1~2~6は、窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランとを併用した例であり、パルスNMRで測定したT/Tの値と、V/Vの値が所定範囲内である。これらの実施例は、比較例2-1と比較し、硬度を維持ないしは向上しつつ、比較例2-1よりも転がり抵抗とウエットグリップ性能との背反性能が改善した。
本発明のゴム組成物は、乗用車用タイヤやトラック・バス用などの大型タイヤのトレッド、サイドウォール、ベルト、カーカスなどに使用することができる。

Claims (5)

  1. ジエン系ゴムに、シリカと、窒素含有アルコキシシランと、アルキルアルコキシシランとを含有するゴム組成物であって、
    25℃において、パルス法NMR装置を用いて、ソリッドエコー法により、前記ジエン系ゴムからなる未加硫試料と、前記ゴム組成物を加硫した試料のスピン-スピン緩和時間をそれぞれ測定し、
    前記未加硫試料から得られた緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を、緩和時間の短い成分(S)と緩和時間の長い成分(L)の2成分に分離し、
    前記加硫試料から得られた緩和曲線(自由誘導減衰曲線)を、緩和時間の短い成分(S)と緩和時間の長い成分(L)の2成分に分離し、
    成分(S)の緩和時間と成分(L)の緩和時間の加重平均値(T)と、成分(S)の緩和時間(T)とが、T/T≧0.26を満たし、
    成分(S)の体積(V)と成分(L)の体積(V)とが、V/V≧0.26を満たす、ゴム組成物。
  2. 前記シリカの含有量が、ジエン系ゴム100質量部に対して5~150質量部であり、
    前記窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランの合計の含有量が、シリカの含有量に対して、3~15質量%であり、
    前記窒素含有アルコキシシランとアルキルアルコキシシランの合計の含有量のうち、窒素含有アルコキシシランの含有割合が、10~80質量%である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記窒素含有アルコキシシランが、アミン基、ウレイド基、イソシアネート基、シアノ基、アジ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記アルキルアルコキシシランが、式(1)で表される化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
    Figure 2023096998000008
    ただし、式(1)において、Rは炭素数3~20のアルキル基を示す。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて作製した、空気入りタイヤ。
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