JP5602330B2 - ボリン酸誘導体の製造方法及び新規ボリン酸誘導体 - Google Patents

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Description

本発明は、ボリン酸誘導体を選択的に製造する方法及び新規なボリン酸誘導体に関する。
ボリン酸は、ボロン酸と同様に鈴木カップリング反応に使用可能であることが知られており(例えば、特許文献1〜3参照)、特に電気電子材料及び医薬分野で有用な有機合成中間体である。
ボリン酸を製造する方法としては、芳香族化合物をリチオ化し、ホウ酸トリアルキルと反応させる方法、例えば、2−(1,1−ジメチルエチル)−5−フェニル−2H−テトラゾールを、n−ブチルリチウムを用いてリチオ化し、これをホウ酸トリメチルと反応させ、次いで加水分解反応に付すことで、ビス[2−[2−(1,1−ジメチルエチル)−2H−テトラゾール−5−イル]フェニル]ボリン酸を合成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、芳香族グリニャール試薬をホウ酸トリアルキルと反応させる方法、例えば、3,4−ジクロロフェニルマグネシウムブロミドを、ホウ酸トリメチルと反応させ、次いで酸で処理することで、ビス(3,4−ジクロロフェニル)ボリン酸を合成する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、芳香族グリニャール試薬に対して1.1当量のホウ酸トリアルキルを用いるとボロン酸が生成されるが、0.7当量のホウ酸トリアルキルを用いると高収率でボリン酸が得られる旨が記載されている。
特表2011−515335号公報 特開平6−192240号公報 特表2009−526826号公報
しかしながら、これら先行技術に開示された製造方法を用いても、ボリン酸の収率は45%〜57%と低く、工業的に満足できるものではないという問題があった。本発明の課題は、かかる問題に対して、選択的にかつ高収率でボリン酸誘導体を得ることができる、工業的に利用可能で簡便な製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機金属化合物に対してホウ酸トリt−ブチルを反応させることにより、選択的にかつ高収率でボリン酸が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
すなわち、本発明は、一般式(1):
(式中、Arは、芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基であり、Mは、Li又はMgXであり、そしてXは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である)
で示される化合物と、ホウ酸トリt−ブチルを反応させ、次いで反応物を加水分解させることを特徴とする、
一般式(2):
(式中、Arは、前記と同義である)
で示されるボリン酸誘導体の製造方法に関する。
また、本発明は、一般式(3):
[式中、Ar′は、下記式:
(ここで、mは、0又は1であり、Aは、−O−、−S−又は−NR−であるが、mが0の場合、Aはさらに−C(R−であってもよく、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は芳香族炭化水素環基であり、Rは、同一であっても又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり;
Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基であり、nは、0〜5であり;
は、単結合又は二重結合であり、したがってAを含む環は、飽和又は不飽和であってよく;そして
*は、B(ホウ素)への結合手を示すが、但し、R及び*の置換位置は、それぞれベンゼン環上に限定されない)で示される基である]
で示されるボリン酸誘導体に関する。
本発明の製造方法によれば、特に電気電子材料及び医薬分野で有用な有機合成中間体であるボリン酸誘導体を、選択的にかつ高収率で、簡便に製造することが可能である。したがって本発明の製造方法は、工業的に利用可能であると期待される。また、本発明の製造方法によれば、これまでに全く報告されていない、新規ボリン酸誘導体を提供することができる。
実施例1で得られたビス(4−ジベンゾフラン)ボリン酸の1H-NMRスペクトルデータである。 実施例1で得られたビス(4−ジベンゾフラン)ボリン酸の単結晶X線回折による結晶構造解析の分子構造図(ORTEP図)である。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<ボリン酸誘導体の製造方法>
本発明は、一般式(1):
(式中、Arは、芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基であり、Mは、Li又はMgXであり、そしてXは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である)
で示される化合物と、ホウ酸トリt−ブチルを反応させ、次いで反応物を加水分解させることにより、
一般式(2):
(式中、Arは、前記と同義である)
で示されるボリン酸誘導体を得るものである。
本発明において、「芳香族炭化水素環基」とは、少なくとも1個の芳香環を含む、炭素数6〜20の単環式又は縮合多環式の1価の基を意味し、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントリル、ピレニル、インデニル、フルオレニル、アセナフチレニル、フェナントリル又はフェナレニルなどが挙げられる。また、これらは、反応に関与しない、一以上の任意の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜20のアリール及び炭素数2〜20のヘテロアリールなどが挙げられる。
本発明において、「芳香族ヘテロ環基」とは、少なくとも1個の芳香族ヘテロ環を含む、炭素数2〜20の単環式又は縮合多環式の1価の基を意味し、具体例としては、フリル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、ピロリル、インドリル、カルバゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、アゼピニル、キノリル、インドリジニル、シンノリニル、プリニル、カルボニリル、フェナントロリニル及びイミダゾピリミジニルなどが挙げられる。また、これらは、反応に関与しない、一以上の任意の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数3〜6のシクロアルキル、炭素数6〜20のアリール及び炭素数2〜20のヘテロアリールなどが挙げられる。
本発明において「炭素数1〜6のアルキル」は、単独でまたは他の用語との組み合わせにおいて、炭素数1〜6の、直鎖状または分岐状の脂肪族飽和炭化水素の一価の基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。したがって、本発明において「炭素数1〜6のアルコキシ」は、基−ORであって、Rが、上記で定義したとおりの炭素数1〜6のアルキルである基を意味する。
本発明において「炭素数3〜6のシクロアルキル」は、単独でまたは他の用語との組み合わせにおいて、炭素数3〜6の、環状の脂肪族飽和炭化水素の一価の基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
また本発明において、「炭素数6〜20のアリール」は、上記「芳香族炭化水素環基」と同義であり、両者は互換可能に使用することができる。同様に「炭素数2〜20のヘテロアリール」は、上記「芳香族ヘテロ環基」と同義であり、両者は互換可能に使用することができる。
本発明の製造方法は、一般式(1)におけるArが、下記式:
(ここで、mは、0又は1であり、Aは、−O−、−S−又は−NR−であるが、mが0の場合、Aはさらに−C(R−であってもよく、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は芳香族炭化水素環基であり、Rは、同一であっても又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり;
Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基であり、nは、0〜5であり;
は、単結合又は二重結合であり、したがってAを含む環は、飽和又は不飽和であってよく;そして
*は、B(ホウ素)への結合手であるが、但し、R及び*の置換位置は、それぞれベンゼン環上に限定されない)で示される基の場合、好適に用いられる。
また、本発明の製造方法は、一般式(1)におけるArが、下記式:
(式中、Aは、−O−、−S−、−NR−又は−C(R−であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、同一であっても又は異なっていてもよく、水素原子又はメチル基であり、そして*は、前記と同義である)で示される基の場合、より好適に用いられる。
本発明の製造方法で用いる、一般式(1)で示される化合物の製法は特に限定されず、公知のいずれかの方法により合成することができる。一般式(1)におけるMがMgXで示される化合物は、一般にグリニャール試薬と称される有機マグネシウムハロゲン化物であり、公知のグリニャール試薬と同様の調製法に従って、具体的には、対応するハロゲノ芳香族化合物(Ar−X:ここで、Ar及びXは、前記と同義である)にマグネシウムを作用させて得ることができる(例えば、特開2002−047292号公報記載の方法を参照)。また、一般式(1)におけるMがLiで示される化合物は、公知のリチオ化反応に従って、具体的には、対応する芳香族化合物(Ar−H又はAr−X:ここで、Ar及びXは、前記と同義である)にn−ブチルリチウムのようなアルキルリチウム試薬を作用させて得ることができる(例えば、特許文献2参照)。あるいは対応するクロロ芳香族化合物(Ar−Cl:ここで、Arは、前記と同義である)にリチウム顆粒を作用させて得ることもできる(例えば、特開2002−308883号公報記載の方法を参照)。一般式(1)におけるMがLiで示される化合物が、より好適に用いられる。
得られた一般式(1)の化合物を本発明の製造方法に用いる場合は、単離して用いてもよく、調製後の溶液をそのまま用いてもよい。安定性の観点から調製後の溶液をそのまま用いることが望ましい。
本発明の製造方法に用いるホウ酸トリt−ブチルは、シグマアルドリッチジャパン(株)などの供給業者から入手することができる。あるいは、ホウ酸トリt−ブチルは、公知の方法(例えば、Journal of the Chemical Society, 78, 3613; 1956)に従って調製することもできる。
本発明の製造方法で用いるホウ酸トリt−ブチルの使用量は、特に限定されないが、一般式(1)で示される化合物1モルに対して、0.1モル〜2.0モルであることが好ましく、0.3モル〜1.05モルであることがより好ましく、反応率の観点から0.3モル〜0.7モルであることがさらに好ましい。
本発明の製造方法では、溶媒を使用してもよい。使用する溶媒は、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、所望する反応温度に応じて適宣選択される。単独又は2種類以上の溶媒を任意の割合で混合して用いてもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサンのようなエーテル系溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン系溶媒が使用できる。また、一般式(1)で示される化合物の調製における溶媒を使用することもできる。溶媒の使用量は、一般式(1)の化合物1gに対して、0.5〜20倍量(重量基準)、好ましくは1〜10倍量である。
本発明の製造方法における式(1)で示される化合物とホウ酸トリt−ブチルとの反応温度は、−80〜80℃の範囲であることが好ましく、収率の観点から−80〜40℃の範囲であることがより好ましい。
本発明の製造方法における式(1)で示される化合物とホウ酸トリt−ブチルとの反応時間は、使用する出発物質の量や種類、溶媒の有無やその種類、反応温度などの条件によって適宜設定することができる。通常、10分〜24時間であることが好ましく、作業性の観点から10分〜6時間であることがより好ましい。
前記反応により、一般式(4):
(式中、Arは前記と同義であり、M′は、Li又はMg2+であり、M′がLiである場合、pは1であり、M′がMg2+である場合、pは2である)
で示されるジアリールジ(t−ブトキシ)ボレート塩が生成する。得られた反応物(ボレート塩)を、一般的な方法により加水分解することで、一般式(2):
(式中、Arは、前記と同義である)
で示されるボリン酸誘導体を容易に得ることができる。具体的には、ボレート塩への反応終了後、塩酸、硫酸、燐酸などの鉱酸の水溶液を添加する方法(特開2007−297297号公報記載の方法を参照)により加水分解することができる。
前記加水分解に用いる酸の使用量は、一般式(1)の化合物1gに対して、0.1〜100倍量(重量基準)であることが好ましく、作業効率の観点から0.2〜4倍量であることがより好ましい。
前記加水分解における温度は、−80〜80℃の範囲であることが好ましく、−80〜40℃の範囲であることがより好ましい。
前記加水分解により得られた一般式(2)で示されるボリン酸誘導体は、例えば、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等による、一般的な方法によりさらに分離・精製してもよい。
<新規ボリン酸誘導体>
本発明は、一般式(3):
[式中、Ar′は、下記式:
(ここで、mは、0又は1であり、Aは、−O−、−S−又は−NR−であるが、mが0の場合、Aはさらに−C(R−であってもよく、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は芳香族炭化水素環基であり、Rは、同一であっても又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり;
Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基であり、nは、0〜5であり;
は、単結合又は二重結合であり、したがってAを含む環は、飽和又は不飽和であってよく;そして
*は、B(ホウ素)への結合手であるが、但し、R及び*の置換位置は、それぞれベンゼン環上に限定されない)で示される基である]
で示される新規ボリン酸誘導体を提供する。
特に、Ar′が、下記式:
(式中、Aは、−O−、−S−、−NR−又は−C(R−であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、同一であっても又は異なっていてもよく、水素原子又はメチル基であり、そして*は、前記と同義である)で示される基である、一般式(3)で示される新規ボリン酸誘導体を提供する。
一般式(3)で示される化合物は、特に限定されないが、ビス(ベンゾフラン−2−イル)ボリン酸、ビス(ベンゾチオフェン−2−イル)ボリン酸、ビス(1−メチルインドール−2−イル)ボリン酸、ビス(1−メチルインドール−3−イル)ボリン酸、ビス(1−メチルインドール−5−イル)ボリン酸、ビス(キノリン−4−イル)ボリン酸、ビス(キノリン−5−イル)ボリン酸、ビス(キノリン−6−イル)ボリン酸、ビス(2−メチルキノリン−6−イル)ボリン酸などの2環系化合物;ビス(ジベンゾフラン−2−イル)ボリン酸、ビス(ジベンゾフラン−4−イル)ボリン酸、ビス(ジベンゾチオフェン−2−イル)ボリン酸、ビス(ジベンゾチオフェン−4−イル)ボリン酸、ビス(9H−カルバゾール−1−イル)ボリン酸、ビス(9H−カルバゾール−3−イル)ボリン酸、ビス(9H−フルオレン−9−イル)ボリン酸、ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)ボリン酸、ビス(9,9−ジエチル−9H−フルオレン−2−イル)ボリン酸、ビス(9,9−ジプロピル−9H−フルオレン−2−イル)ボリン酸、ビス(9,9−ジブチル−9H−フルオレン−2−イル)ボリン酸、ビス(9,9−ジペンチル−9H−フルオレン−2−イル)ボリン酸、ビス(9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン−2−イル)ボリン酸などの3環系化合物が挙げられる。これらの化合物は、これまでに報告された例がなく、新規の化合物である。
一般式(3)で示される新規ボリン酸誘導体は、一般式(1)で示される化合物とホウ酸トリt−ブチルの反応により得られた一般式(4)で示される化合物を、一般的な方法により加水分解することで得られる。その反応条件、定義及び好適な態様は、上述の<ボリン酸誘導体の製造方法>の記載に準じるものである。
<ボレート塩誘導体の製造方法>
本発明者らは、本発明のボリン酸誘導体の製造方法を精査し、その中間体として、4配位アート型錯体であるボレート塩が得られることも見出した。ホウ素化合物の4配位アート型錯体は、近年、金属触媒反応における新たなホウ素試薬として注目されており(例えば、Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 928-931)、新規ボレート塩誘導体は、新たなホウ素試薬として期待される。したがって、本発明は、一般式(1):
(式中、Arは、芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基であり、Mは、Li又はMgXであり、そしてXは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である)
で示される化合物と、ホウ酸トリt−ブチルを反応させて、
一般式(4):
(式中、Arは前記と同義であり、M′は、Li又はMg2+であり、M′がLiである場合、pは1であり、M′がMg2+である場合、pは2である)
で示されるボレート塩誘導体を得るものでもある。
本発明のボレート塩の製造方法は、式(1)で示される化合物とホウ酸トリt−ブチルを反応させたのち、加水分解せずに、生成した一般式(4)で示されるボレート塩誘導体を得るものである。その反応条件、定義及び好適な態様は、加水分解工程を除き、上述の<ボリン酸誘導体の製造方法>の記載に準じるものである。
<新規ボレート塩誘導体>
また、本発明は、一般式(5):
[式中、Ar′は、下記式:
(ここで、mは、0又は1であり、Aは、−O−、−S−又は−NR−であるが、mが0の場合、Aはさらに−C(R−であってもよく、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は芳香族炭化水素環基であり、Rは、同一であっても又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり;
Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基であり、nは、0〜5であり;
は、単結合又は二重結合であり、したがってAを含む環は、飽和又は不飽和であってよく;そして
*は、B(ホウ素)への結合手であるが、但し、R及び*の置換位置は、それぞれベンゼン環上に限定されない)で示される基であり;そして
M′は、Li又はMg2+であり、M′がLiである場合、p′は1であり、M′がMg2+である場合、p′は2である]
で示される新規ボレート塩誘導体を提供するものでもある。
特に、Ar′が、下記式:
(式中、Aは、−O−、−S−、−NR−又は−C(R−であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、同一であっても又は異なっていてもよく、水素原子又はメチル基であり、そして*は、前記と同義である)で示される基である、一般式(5)で示される新規ボレート塩誘導体を提供する。
また特に、M′がLiである、一般式(5)で示される新規ボレート塩誘導体を提供する。
一般式(5)で示される新規ボレート塩誘導体は、一般式(1)で示される化合物とホウ酸トリt−ブチルの反応により得られる。その反応条件、定義及び好適な態様は、上述の<ボリン酸誘導体の製造方法>の記載に準じるものである。
以下に、本発明の様態を明らかにするために実施例を示すが、本発明はここに示す実施例の内容のみに限定されるわけではない。
実施例で得られた化合物の純度、融点及びNMRスペクトルの測定方法は以下の通りである。
<純度>
高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
試料調製 : 試料1.0mgをアセトニトリル0.5mLに溶解
検出器 : SPD-20A(株式会社島津製作所製)
オーブン : CTO-20A(株式会社島津製作所製)
ポンプ : LC-20AD(株式会社島津製作所製)
カラム : ODS-80TM(東ソー株式会社製)
カラム温度 : 40℃
溶離液A : アセトニトリル:リン酸=1000:0.5
溶離液B : 水:リン酸=1000:0.5
グラジエント : A40%(0〜15min.)→A80%(20〜35min.)
流速 : 1.0mL/min
波長 : 254nm
<融点>
融点測定装置B-545(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて、毎分5℃で50〜280℃まで昇温することで測定した。
<NMRスペクトル>
化合物と重DMSO(Cambrige Isotope Laboratories, Inc.製 DMSO-d6 0.05%TMS含有)とを混合した溶液を調整し、NMR(日本電子株式会社製、JNM-AL400)にて、1H−NMR、11B-NMRを測定した。なお、1H-NMRスペクトルの測定では、テトラメチルシランを標準物質とし、11B-NMRスペクトルの測定では、三フッ化ホウ素のテトラヒドロフラン錯体を標準物質とした。
<X線回折による結晶構造解析>
単結晶X線回折装置(株式会社リガク製、VariMax Saturn CCD724 HG)を用いて測定した(X線源:Mo)
[実施例1]
ビス(ジベンゾフラン−4−イル)ボリン酸の合成
攪拌装置、温度計、U字管、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた300mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、THF80mL及びジベンゾフラン(東京化成工業(株)製)15g(0.09mol)を加え、室温下で攪拌しながら、ジベンゾフランを溶解させた。溶解後、内温−10〜0℃まで冷却し、2.3mol/L n−ブチルリチウム シクロヘキサン溶液28.6g(0.09mol)を滴下し、同温度で、1時間反応させた。反応液をサンプリングし、1H-NMRにより確認したところ、4−ジベンゾフラニルリチウムの反応収率は90%であった。さらに、同温度で、ホウ酸トリt−ブチル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)10.3g(0.05mol)を滴下し、1時間反応させた。反応終了後の純度を表1に示す。
反応終了後に析出した結晶をろ取することで、ビス(ジベンゾフラン−4−イル)ジ(t−ブトキシ)ボレートリチウム塩21gを得た。外観:白色粉末;1H−NMR (ppm): δ1.10 (s, 18H), 7.07 (t, 2H, J=7.2 and 7.6Hz), 7.24 (t, 2H, J=7.6 and 7.2Hz), 7.34〜7.38 (m, 2H), 7.56 (d, 2H, J=8.4Hz), 7.61(dd, 2H, J=0.8 and 6.8Hz), 7.64 (dd, 2H, J=1.6 and 7.6Hz), 7.95 (d, 2H, J=7.2Hz) ;11B-NMR (ppm): δ3.28 (s).
前記ボレート塩をTHF80mLに溶解し、35重量%塩酸29.1g(0.28mol)、水36mLを加えて加水分解を行った。次いで、分液により有機層を分離した。得られた有機層を10重量%食塩水で洗浄し、有機層から減圧下で溶媒を留去した後、得られた固体残留物にイソプロピルアルコール40mL、水20mLを加え、内温約60〜70℃で加熱洗浄を1時間行った。次いで、室温まで冷却させて濾過し、乾燥させて、純度99%のビス(4−ジベンゾフラン)ボリン酸12.4gを得た(ジベンゾフランからの収率76.8%、4−ジベンゾフラニルリチウムからの収率85.3%)。外観:白色粉末;m.p.:159〜160℃;1H−NMR (ppm):δ 7.34 (t, 2H, J=7.6 and 7.2Hz), 7.35 (t, 2H, J=7.6 and 7.2Hz), 7.44 (t, 2H, J=7.6 and 7.8Hz), 7.54 (d, 2H, J=8.0Hz), 7.63 (dd, 2H, J=1.2 and 7.2Hz), 8.12 (d, 4H, J=6.8Hz), 8.27 (s, 1H) ;11B-NMR (ppm):δ 30.43 (s).
得られたビス(4−ジベンゾフラン)ボリン酸の一部をTHF/ヘキサンより再結晶させ、単結晶を得、これを単結晶X線回折による結晶構造解析に付し、図2の分子構造図(ORTEP図)を得た。
[比較例1〜6]
ホウ酸トリt−ブチルエステルを表1に記載のホウ酸エステルに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、反応液を得た。反応終了後の純度を表1に示す。なお、実施例1及び比較例1〜6では、加水分解前のボレート塩をサンプリングしたが、高速液体クロマトグラフィー測定用試料の調製により加水分解が起こるため、表1における反応終了後の純度は、加水分解後のボリン酸/ボロン酸を意味する。
[実施例2]
ビス(ジベンゾチオフェン−4−イル)ボリン酸の合成
攪拌装置、温度計、U字管、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた300mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、THF58mL及びジベンゾチオフェン(東京化成工業(株)製)10g(0.05mol)を加え、室温下で攪拌しながら、ジベンゾチオフェンを溶解させた。溶解後、内温−10〜0℃まで冷却し、2.6mol/L n−ブチルリチウム ヘキサン溶液21mL(0.05mol)を滴下し、同温度で、1時間反応させた。反応液をサンプリングし、1H-NMRにより確認したところ、4−ジベンゾチエニルリチウムの反応収率は49%であった。さらに、同温度で、ホウ酸トリt−ブチル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)10.3g(0.05mol)を滴下し、1時間反応させた。
反応終了後に析出した結晶をろ取することで、ビス(ジベンゾチオフェン−4−イル)ジ(t−ブトキシ)ボレートリチウム塩7.1gを得た。外観:白色粉末;1H−NMR (ppm): δ1.11 (s, 18H), 7.16 (t, 2H, J=7.6 and 7.2Hz), 7.28〜7.31 (m, 4H), 7.80〜7.83 (m, 6H), 8.08〜8.10 (m, 2H).
前記ボレート塩を実施例1と同様の方法で加水分解、単離することにより、純度96%のビス(ジベンゾチオフェン−4−イル)ボリン酸4.5gを得た(ジベンゾチオフェンからの収率42.1%、4−ジベンゾチエニルリチウムからの収率86.5%)。外観:微黄白色粉末; 1H−NMR (ppm): δ7.38〜7.42 (m, 6H), 7.76 (d, 2H, J=7.2Hz), 7.86〜7.88 (m, 2H), 8.18 (d, 2H, J=8.0Hz), 8.24〜8.26 (m, 2H);11B-NMR (ppm): δ20.67(s).
[実施例3]
ビス(ベンゾフラン−2−イル)ボリン酸の合成
攪拌装置、温度計、U字管、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた100mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、THF40mL及びベンゾフラン(東京化成工業(株)製)4.4g(0.04mol)を加えた。撹拌しながら内温−10〜0℃まで冷却し、2.6mol/L n−ブチルリチウム ヘキサン溶液14.3mL(0.04mol)を滴下し、同温度で、1時間反応させた。反応液をサンプリングし、1H-NMRにより確認したところ、2−ベンゾフラニルリチウムの反応収率は94%であった。さらに、同温度で、ホウ酸トリt−ブチル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)4.3g(0.02mol)を滴下し、1時間反応させた。
反応終了後に析出した結晶をろ取することで、ビス(ベンゾフラン−2−イル)ジ(t−ブトキシ)ボレートリチウム塩6.9gを得た。外観:微黄白色粉末;1H−NMR (ppm): δ1.10 (s, 18H), 6.42 (s, 2H), 6.95〜7.00 (m, 4H),7.29〜7.31 (m, 2H), 7.34〜7.36 (m, 2H).
前記ボレート塩を実施例1と同様の方法で加水分解、単離することにより、純度99%のビス(ベンゾフラン−2−イル)ボリン酸4.2gを得た(ベンゾフランからの収率86.2%、2−ベンゾフラニルリチウムからの収率91.9%)。外観:微黄白色粉末;1H−NMR (ppm): δ 6.97 (s, 2H), 7.12〜7.21 (m, 4H), 7.5 (d, 2H, J=7.2Hz), 7.56 (d, 2H, J=7.2Hz);11B-NMR (ppm): δ10.89(s).
[実施例4]
ビス(ベンゾチオフェン−2−イル)ボリン酸の合成
攪拌装置、温度計、U字管、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた100mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、THF40mL及びベンゾチオフェン(東京化成工業(株)製)5.0g(0.04mol)を加えた。撹拌しながら内温−10〜0℃まで冷却し、2.6mol/L n−ブチルリチウム ヘキサン溶液14.3mL(0.04mol)を滴下し、同温度で、1時間反応させた。反応液をサンプリングし、1H-NMRにより確認したところ、2−ベンゾチエニルリチウムの反応収率は98%であった。さらに、同温度で、ホウ酸トリt−ブチル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)4.3g(0.02mol)を滴下し、1時間反応させた。
反応終了後に析出した結晶をろ取することで、ビス(ベンゾチオフェン−2−イル)ジ(t−ブトキシ)ボレートリチウム塩8.0gを得た。外観:白色粉末;1H−NMR (ppm): δ1.10 (s, 18H), 6.99〜7.03 (m, 4H), 7.08〜7.12 (m, 2H), 7.52 (d, 2H, J=8.4Hz), 7.68 (d, 2H, J=8.0Hz).
前記ボレート塩を実施例1と同様の方法で加水分解、単離することにより、純度99%のビス(ベンゾチオフェン−2−イル)ボリン酸4.5gを得た(ベンゾチオフェンからの収率82.7%、2−ベンゾチエニルリチウムからの収率83.3%)。外観:黄白色粉末;1H−NMR (ppm): δ7.22〜7.29 (m, 4H), 7.50 (s, 2H), 7.78 (d, 2H, J=8.0Hz), 7.87 (d, 2H, J=7.6Hz);11B-NMR (ppm): δ14.41(s).
[実施例5]
ビス(1−メチルインドール−2−イル)ジ(t−ブトキシ)ボレートリチウム塩の合成
攪拌装置、温度計、U字管、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた100mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、THF40mL及び1−メチルインドール(東京化成工業(株)製)4.9g(0.04mol)を加えた。撹拌しながら内温−10〜0℃まで冷却し、2.6mol/L n−ブチルリチウム ヘキサン溶液14.3mL(0.04mol)を滴下し、同温度で、1時間反応させた。反応液をサンプリングし、1H-NMRにより確認したところ、1−メチル−2−インドリルリチウムの反応収率は76%であった。さらに、同温度で、ホウ酸トリt−ブチル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)4.3g(0.02mol)を滴下し、1時間反応させた。
反応終了後に析出した結晶をろ取することで、ビス(1−メチルインドール−2−イル)ジ(t−ブトキシ)ボレートリチウム塩2.4gを得た(1−メチルインドールからの収率29.6%、1−メチル−2−インドリルリチウムからの収率38.9%)。外観:黄白色粉末;1H−NMR (ppm): δ1.09 (s, 18H), 3.76 (s, 6H), 6.19 (s, 2H), 6.75〜6.83 (m, 4H), 7.09 (d, 2H, J=8.0Hz), 7.27 (d, 2H, J=6.8Hz);11B-NMR (ppm): δ0.2(s).
[実施例6]
ビス(1−ナフチル)ボリン酸の合成
攪拌装置、温度計、U字管、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた100mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、THF30mL及び1−ブロモナフタレン(マナック(株)製)5.0g(0.02mol)を加えた。撹拌しながら内温−10〜0℃まで冷却し、2.6mol/L n−ブチルリチウム ヘキサン溶液9.3mL(0.02mol)を滴下し、同温度で、1時間反応させた。さらに、同温度で、ホウ酸トリt−ブチル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)2.7g(0.01mol)を滴下し、1時間反応させた。
得られた反応液を実施例1と同様の方法で加水分解後、分液することで有機層を得た。得られた有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘプタン;1/16)にて精製すると、純度99%のビス(1−ナフチル)ボリン酸2.7gを得た(1−ブロモナフタレンからの収率は、81%であった。)。外観:白色粉末;1H−NMR (ppm): δ7.42〜7.51(m, 6H), 7.56(dd, 2H, J=1.2Hz、6.8Hz), 7.94〜7.99 (m, 4H), 8.29 (d, 2H,J=8.4Hz), 10.9 (s, 1H);11B-NMR (ppm): δ47.0(s).
[実施例7]
ジフェニルボリン酸の合成
攪拌装置、温度計、U字管、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた100mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、THF10mLを加えた。撹拌しながら内温−10〜0℃まで冷却し、1.08mol/L フェニルリチウム ジエチルエーテル・シクロヘキサン溶液5mL(5.4mmol)(関東化学(株)製)を加えた。さらに、同温度で、ホウ酸トリt−ブチル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)0.6g(2.7mmol)を滴下し、1時間反応させた。
得られた反応液を実施例1と同様の方法で加水分解後、分液することで有機層を得た。得られた有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘプタン;1/10)にて精製すると、純度98%のジフェニルボリン酸0.46gを得た(フェニルリチウムからの収率93%)。外観:白色粉末;1H−NMR (ppm): δ7.40 (t, 4H, J=7.2 and 8.0Hz), 7.45〜7.48 (m, 2H), 7.68 (d, 4H, J=8.0Hz), 9.95 (s, 1H;11B-NMR (ppm): δ20.28(s).
[実施例8]
ビス(2−チエニル)ボリン酸の合成
攪拌装置、温度計、U字管、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた100mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、THF40mL及びチオフェン(和光純薬工業(株)製)3.1g(0.04mol)を加えた。撹拌しながら内温−10〜0℃まで冷却し、2.6mol/L n−ブチルリチウム ヘキサン溶液14.3mL(0.04mol)を滴下し、同温度で、1時間反応させた。反応液をサンプリングし、1H-NMRにより確認したところ、2−チエニルリチウムの反応収率は99%であった。さらに、同温度で、ホウ酸トリt−ブチル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)4.3g(0.02mol)を滴下し、1時間反応させた。
反応終了後に析出した結晶をろ取することで、ビス(2−チオフェン)ジ(t−ブトキシ)ボレートリチウム塩5.6gを得た。外観:白色粉末;1H−NMR (ppm): δ1.10 (s, 18H), 6.75 (d, 2H, J=2.8Hz), 6.79〜6.81 (m, 2H), 7.05 (d, 2H, J=4.8Hz)
前記ボレート塩を実施例1と同様の方法で加水分解、単離することにより、純度99%のビス(2−チオフェン)ボリン酸2.5gを得た(チオフェンからの収率70.5%、2−チエニルリチウムからの収率71.2%)。外観:白色粉末;1H−NMR (ppm): δ7.30〜7.32(m,2H), 7.87(dd, 2H, J=0.8 and 3.6Hz), 7.96 (dd, 2H, J=0.8 and 4.8Hz), 9.90 (s, 1H);11B-NMR (ppm): δ35.90(s).
[実施例9]
ビス(4−メトキシフェニル)ボリン酸の合成
撹拌装置、温度計、U字管、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた100mLのガラス製フラスコに、アルゴン雰囲気下、THF20mL、マグネシウム0.56g(0.02mol)を加え、内温50〜60℃まで加熱した。加熱後、4−ブロモアニソール4.2g(0.02mol)をTHF3mLで希釈した溶液をゆっくり滴下し、同温度で1時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、ホウ酸トリt−ブチル0.5g(0.002mol)(シグマアルドリッチジャパン(株)製)を滴下し、同温度で24時間反応させた。反応後、35重量%塩酸水溶液4.5g、水10mLを加え、有機層を分離した。水層は、塩化メチレン20mLで抽出し、先に分離した有機層と混合した。
得られた溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘプタン;1/10)にて精製を行い、純度99%のビス(4−メトキシフェニル)ボリン酸0.26gを得た(ホウ酸トリt−ブチルからの収率は、50%であった)。外観:白色粉末;1H−NMR (ppm): δ3.80 (s, 6H), 6.84 (d, 4H, J=8.4Hz), 7.66 (d, 4H, J=8.8Hz), 9.57 (s, 1H); 11B−NMR(ppm): δ43.27(s).
実施例の結果からも明らかなように、ホウ酸トリアルキルとして、ホウ酸トリt−ブチルを使用することにより、ボロン酸に対するボリン酸の選択性やボリン酸の収率が著しく向上した。ホウ酸トリアルキルのアルキル鎖の相違により選択性や収率が向上するという知見は、これまでに知られていない。このように本発明の製造方法により、ボリン酸誘導体を、選択的にかつ高収率で、簡便に製造することが可能となった。したがって本発明の製造方法は、工業的に利用可能であると期待される。また本発明の製造方法により、鈴木カップリング反応に使用可能な、電気電子材料及び医薬分野などで有用な有機合成中間体である新規なボリン酸誘導体を提供することができる。さらに、本発明の製造方法によれば、ジアリールジ(t−ブトキシ)ボレート塩を製造することも可能である。ホウ素化合物の4配位アート型錯体は、近年、鈴木カップリング反応を含む金属触媒反応における新たなホウ素試薬として注目されており、したがって本発明の製造方法は、ボレート塩誘導体の簡便な製造方法及び新規ボレート塩誘導体の提供を可能とするものとしても期待される。

Claims (5)

  1. 一般式(1):

    (式中、Arは、芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基であり、Mは、Li又はMgXであり、そしてXは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である)
    で示される化合物と、ホウ酸トリt−ブチルを反応させ、次いで反応物を加水分解させることを特徴とする、
    一般式(2):

    (式中、Arは、前記と同義である)
    で示されるボリン酸誘導体の製造方法。
  2. 一般式(1)中のMがLiである、請求項1に記載の製造方法。
  3. ホウ酸トリt−ブチルを、一般式(1)で示される化合物1モルに対して、0.1モル〜2.0モルの範囲で使用することを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. ホウ酸トリt−ブチルとの反応を、−80℃〜80℃の範囲の温度で実施することを特徴とする、請求項1〜3いずれか一項記載の製造方法。
  5. 一般式(1):

    (式中、Arは、芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基であり、Mは、Liである)
    で示される化合物と、ホウ酸トリt−ブチルを反応させることを特徴とする、
    一般式(4):

    (式中、Arは、前記と同義であり、M′は、Li あり、pは1である
    で示されるボレート塩の製造方法。
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