JP5969759B2 - 有機ホウ素化合物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機ホウ素化合物及びその製造方法に関する。
有機化合物は無機化合物に比べて、多様な構造をとることが可能であり、適切な分子設計により様々な機能を有する材料を与える可能性がある。これらの利点から、種々の有機化合物の合成中間体として利用可能な有機ホウ素化合物の材料開発がなされている。
例えば、特許文献1では、有機ホウ素化されたベンゾフラン化合物を材料として合成された発光素子用材料が開示されている。
最終生成物としての医農薬、生理活性物質、又は発光素子用材料等に多様性を持たせるため、その合成中間体として利用可能な有機ホウ素化合物も多様化することが望まれる。また、有機化合物の合成において、目的物をより高純度で簡便に得ることは望ましく、様々な工夫がなされている。その手段として、より安定性があり精製のし易い材料を用いた合成ルートの採用や、副生成物が合成されにくい合成ルートの採用などがあげられる。
また有機化合物の合成は多種多様に可能である反面、複数の合成ステップに及ぶことが少なくない。そのため、それらに費やす材料や時間はその合成方法が複雑になればなるほど多くなる。よって、簡便な合成方法を提案することが望まれている。
特開2008−94777号公報
本発明の一態様は、有機合成の反応剤として有用な新規有機ホウ素化合物を提供することを課題の一とする。
本発明の他の一態様は、上述の有機ホウ素化合物の製造方法を提供することを課題の一とする。
本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物である。
ただし、一般式(G1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基のいずれかを表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成しても良い。また、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。
また、本発明の他の一態様は、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物又はベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン化合物を、アルキルリチウム試薬及びホウ素試薬を用いて有機ホウ素化させることにより、下記一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物を合成する有機ホウ素化合物の製造方法である。
ただし、一般式(G1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基のいずれかを表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成していても良い。また、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G2)で表される有機ホウ素化合物である。
ただし、一般式(G2)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成していても良い。
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G3)で表される有機ホウ素化合物である。
ただし、一般式(G3)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成していても良い。
本発明の一態様によって、新規有機ホウ素化合物及びその製造方法を提供することができる。該有機ホウ素化合物は有機合成の反応剤として有用であり、該ホウ素化合物を合成中間体として様々な有機化合物を合成することができる。
ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フランのNMR測定結果。 PBnf(略称)のX線結晶構造解析結果。
以下、実施の態様について詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る有機ホウ素化合物について説明する。
本発明の一態様に係る有機ホウ素化合物は、下記一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物である。
一般式(G1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基のいずれかを表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成しても良い。また、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。
なお、本明細書等において、一般式(G1)乃至(G3)で表される有機ホウ素化合物としては、ボロン酸も含むものとする。ボロン酸の場合、一般式(G1)乃至(G3)中のR10及びR11は水素を表す。なお、ボロン酸はアルコール又はエチレングリコール等により保護されていても良く、この場合、一般式(G1)乃至(G3)中のR10及びR11は炭素数1乃至6のアルキル基である。
乃至Rの具体的構造としては、それぞれ、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アントリル基、9−アントリル基、ピレン−1−イル基、ピレン−4−イル基、フルオレン−2−イル基等が挙げられる。なお、アリール基であるフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アントリル基、9−アントリル基、ピレン−1−イル基、ピレン−4−イル基、フルオレン−2−イル基は、置換基として炭素数1乃至6のアルキル基又炭素数6乃至16のアリール基又は、炭素数6乃至13のアリール基を有していても良い。
また、R10及びR11の具体的構造としては、それぞれ、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。なお、R10及びR11は、例えば、下記一般式(G1−1)乃至(G1−3)に示すように、互いに結合して環を形成しても良い。
一般式(G1)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。すなわち、一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物は、下記一般式(G2)又は一般式(G3)で表される有機ホウ素化合物である。
ただし、一般式(G2)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成していても良い。
ただし、一般式(G3)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成していても良い。
一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物の具体例としては、構造式(100)乃至構造式(143)、構造式(200)乃至構造式(243)で表される有機ホウ素化合物を挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されない。
一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物の合成方法としては、種々の反応を適用することができる。例えば、以下に示す合成反応を行うことによって、一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物を合成することができる。なお、本発明の一態様である一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物の合成方法は、以下の合成方法に限定されるものではない。
本実施の形態の有機ホウ素化合物は、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物又はベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン化合物を、アルキルリチウム試薬及びホウ素試薬を用いて有機ホウ素化させることにより製造することができる。以下に、反応例を示す。
合成スキーム(A−1)に示すように、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物又はベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン化合物(a1)をアルキルリチウム試薬とホウ素試薬を用いて有機ホウ素化することにより、一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物を得ることが出来る。なお、合成スキーム(A−1)において、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物又はベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン化合物(a1)の6位が選択的に有機ホウ素化される。
合成スキーム(A−1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基のいずれかを表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成しても良い。また、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。
なお、本明細書等において、合成スキーム(A−1)で示すベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物又はベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン化合物(a1)の有機ホウ素化としては、ボロン酸化も含むものとする。ボロン酸化の場合、一般式(G1)乃至(G3)中のR10及びR11は水素を表す。なお、ボロン酸はエチレングリコール等により保護されていても良く、この場合、一般式(G1)乃至(G3)中のR10及びR11は炭素数1乃至6のアルキル基である。
合成スキーム(A−1)において、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒等を用いることができる。また、アルキルリチウム試薬は、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられる。また、これらのアルキルリチウム試薬に配位性の添加剤を加えることで、反応性を向上させることができる。用いることができる配位性添加剤としては、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)等が挙げられる。また、ホウ素試薬としてはホウ酸トリメチルや、ホウ酸トリイソプロピルなどが挙げられる。
以上によって、一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物を合成することができる。合成スキーム(A−1)で示す反応は、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物又はベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン化合物(a1)の6位を選択的に有機ホウ素化することができるため、副生成物が合成されにくい反応である。また、合成スキーム(A−1)で示す反応は、反応ステップ数が少なく簡便な反応である。よって、目的物である一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物を高純度で合成することができる。
一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物は、有機合成の反応剤として有用であり、該ホウ素化合物を合成中間体として様々な有機化合物を合成することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した有機ホウ素化合物の材料として利用可能なベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物の合成方法について説明する。なお、実施の形態1で示した有機ホウ素化合物の材料として用いるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物の合成方法は、以下の合成方法に限定されるものではない。
<合成法1>
合成スキーム(B−1)で示すように、β−ナフトール誘導体(b1)と、アリール誘導体の有機ホウ素化合物(b2)とを、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦反応によりカップリングすることで、ハロゲン基を有するβ−ナフトール誘導体(b3)を得ることができる。
合成スキーム(B−1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基のいずれかを表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成しても良い。Xは、ハロゲン又はトリフラート基を表し、Xがハロゲンの場合は特に臭素又はヨウ素であるのが好ましい。また、Xはハロゲンを表し、塩素、ヨウ素又は臭素であるのが好ましく、フッ素であるのがより好ましい。
なお、合成スキーム(B−1)において、アリール誘導体の有機ホウ素化合物(b2)としては、ボロン酸も含むものとする。ボロン酸の場合、アリール誘導体の有機ホウ素化合物(b2)中のR10及びR11は水素を表す。なお、ボロン酸はエチレングリコール等により保護されていても良く、この場合、アリール誘導体の有機ホウ素化合物(b2)中のR10及びR11は炭素数1乃至6のアルキル基である。
合成スキーム(B−1)において、用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。また、合成スキーム(B−1)において、用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(オルト−トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。また、用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。また、用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、エタノール等のアルコール、トルエンとエタノール等のアルコールとの混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールとの混合溶媒、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類と水の混合溶媒などが挙げられる。また、トルエンと水、又はトルエンとエタノールと水の混合溶媒がより好ましい。
なお、合成スキーム(B−1)では、β−ナフトール誘導体(b1)のハロゲン基Xと、アリール誘導体の有機ホウ素化合物(b2)のホウ素化合物基とを反応させる場合を示したが、β−ナフトール誘導体(b1)をホウ素化合物、アリール誘導体の有機ホウ素化合物物(b2)をハロゲン化物として鈴木・宮浦反応によりカップリングさせても、ハロゲン基を有するβ−ナフトール誘導体(b3)を得ることができる。
次に、ハロゲン基を有するβ−ナフトール誘導体(b3)をWilliamsonエーテル合成によりエーテル結合を作ることで分子内環化し、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン環を形成することで、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物(b4)を得ることができる。
合成スキーム(B−2)において、用いることができる塩基としては、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基等が挙げられる。又は、ヨウ化ナトリウム等の塩を加えても良い。また、用いることができる溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−ピロリドン(NMP)などの非プロトン性極性溶媒や、シクロヘキサノンや2―ブタノン、アセトンなどのケトン類等を用いることができる。
また、合成法1と異なる本実施の形態のベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物の合成法について以下に合成法2を示す。
〈合成法2〉
合成スキーム(C−1)で示すように、アルコキシド基を有するナフタレン誘導体(c1)と、アリール誘導体の有機ホウ素化合物(c2)とを、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦反応によりカップリングすることで、ナフタレン誘導体のアルコキシド化合物(c3)を得ることができる。
合成スキーム(C−1)において、R12は炭素数1乃至6のアルキル基を示す。また、R13乃至R17はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。また、Xはハロゲン、又は、トリフラート基を表し、Xがハロゲンの場合は特に塩素、臭素又はヨウ素であるのが好ましい。
合成スキーム(C−1)において、用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。また、合成スキーム(C−1)において、用いることができるパラジウム触媒の配位子としては、トリ(オルト−トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。また、用いることができる塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。また、用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、エタノール等のアルコール、トルエンとエタノール等のアルコールとの混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールとの混合溶媒、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類と水の混合溶媒等が挙げられる。また、トルエンと水、又はトルエンとエタノールと水の混合溶媒がより好ましい。
なお、合成スキーム(C−1)では、ナフタレン誘導体(c1)のハロゲン基Xと、アリール誘導体の有機ホウ素化合物(c2)のホウ素化合物基とを反応させる場合を示したが、ナフタレン誘導体(c1)をホウ素化合物、アリール誘導体の有機ホウ素化合物(c2)をハロゲン化物として鈴木・宮浦反応によりカップリングさせても、ナフタレン誘導体のアルコキシド化合物(c3)を得ることができる。
合成スキーム(C−1)に示す反応は、上述の合成スキーム(B−1)におけるβ−ナフトール誘導体(b1)に代えて、アルコキシド基を有するナフタレン誘導体(c1)を用いた反応である。アルコキシド基を有するナフタレン誘導体(c1)を用いることで、β−ナフトール誘導体(b1)におけるヒドロキシル基を保護することができるため、ハロゲン基を有するβ−ナフトール誘導体(b3)への置換基の導入をより容易に行うことが可能となる。
次に、合成スキーム(C−2)に示すように、ナフタレン誘導体のアルコキシド化合物(c3)を、ルイス酸により脱保護することで、ハロゲン基を有するβ−ナフトール誘導体(c4)を得ることができる。
合成スキーム(C−2)において、用いることができるルイス酸としては、R12がメチル基の場合、三臭化ホウ素、トリメチルヨードシラン等が好ましい。またR12がtert−ブチル基の場合、トリフルオロ酢酸、4mol/L塩酸・酢酸エチル溶液等が好ましい。また、用いることができる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒や、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
合成スキーム(C−2)のその後のステップは、上述の合成スキーム(B−2)と同様に行うことができるため詳細な説明は省略する。
以上によって、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物(b4)を合成することができる。本実施の形態で示すベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物(b4)は、実施の形態1で示した有機ホウ素化合物の合成の材料として用いることが可能である。
本実施例では、実施の形態1において構造式(100)で示すベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸を製造する合成例1及び合成例2を示す。
<合成例1>
<ステップ1:1−(2−フルオロフェニル)−2−ナフトールの合成>
1.4g(10mmol)の2−フルオロベンゼンボロン酸と、2.2g(10mmol)の1−ブロモ−2−ナフトールと、153mg(0.5mmol)のトリ(o−トリル)ホスフィンと、25mLのトルエンと、25mLのエタノールと、5mLの2M炭酸カリウム水溶液を200mL三ツ口フラスコへ入れた。この混合物を減圧脱気し、系内を窒素置換した。この混合物を80℃で撹拌し、23mg(0.1mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、約100℃で6.5時間還流した。還流後、この混合物を水で洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出した。得られた抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。この混合物を自然濾過し、得られた濾液を濃縮したところ、褐色油状物を得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)により精製したところ、目的物の褐色油状物を1.6g、収率69%で得た。ステップ1の反応スキームを下記(E1−1)に示す。
<ステップ2:ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フランの合成>
1Lの三口フラスコに15g(63mmol)の1−(2−フルオロフェニル)−2−ナフトールと、300mLのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、18g(130mmol)の炭酸カリウムを入れた。このフラスコを窒素気流下、150℃で6時間攪拌した。攪拌後、この混合物を室温まで放冷し、約500mLの水に加えた。この混合物の水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて水と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾燥後、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮したところ、油状物を得た。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン)で精製したところ、油状物を得た。得られた油状物を減圧乾燥して、目的物の無色透明油状物を11.8g、収率86%で得た。ステップ2の反応スキームを下記(E1−2)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物であるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フランが得られたことを確認した。
得られた化合物のH NMRの測定データを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.44−7.57(m,3H),7.68−7.78(m,3H),7.93(d,J=9.3Hz,1H),8.03(d,J=7.8Hz,1H),8.37−8.43(m,1H),8.62(d,J=8.4Hz,1H)
また、H NMRチャートを図1(A)、(B)に示す。なお,図1(B)は,図1(A)における7.2ppmから8.7ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
<ステップ3:ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸の合成>
500mL三口フラスコを窒素置換してから、5.8g(50mmol)のテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)と、180mLのテトラヒドロフラン(THF)を加えて、この溶液を−80℃に冷却した。この溶液に50mL(50mmol)のsec−ブチルリチウム(1.0mol/Lシクロヘキサン、n−ヘキサン溶液)を、シリンジにより滴下して加えた。滴下後、この溶液を同温度で30分間攪拌した。攪拌後、この溶液に70mLのTHFに溶解した10g(45mmol)のベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フランを滴下ロートにより滴下して加えた。滴下後、この溶液を同温度で2時間攪拌した。滴下後、この溶液に11mL(100mmol)のホウ酸トリメチルを加え、室温に戻しながら2日間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾燥後、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮したところ、白色固体を得た。得られた固体にトルエンとヘキサンの混合溶媒を加えて超音波を照射し、固体を吸引ろ過により回収した所、目的物の白色粉末を9.2g、収率78%で得た。ステップ3の反応スキームを下記(E1−3)に示す。
以上によって、構造式(100)で示されるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸を合成することができる。
〈合成例2〉
本合成例は、上記合成例1とは異なるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸の合成例を示す。
<ステップ1:1−(2−フルオロフェニル)−2−メトキシナフタレンの合成>
500mL三口フラスコに8.7g(35mmol)の1−ブロモ−2−メトキシナフタレンと、5.0g(35mmol)の2−フルオロフェニルボロン酸を入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、120mLのトルエンと、60mLのエタノールと、40mLの炭酸ナトリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に2.0g(1.7mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え、窒素気流下、80℃で8時間攪拌した。得られた混合物の水層をトルエンで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物を約30mLのトルエンに溶解し、この溶液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物を減圧乾燥したところ、目的物の淡黄色油状物を5.3g、収率60%で得た。ステップ1の反応スキームを下記(E2−1)に示す。
<ステップ2:1−(2−フルオロフェニル)−2−ナフトールの合成>
500mL三口フラスコに5.3g(21mmol)の1−(2−フルオロフェニル)−2−メトキシナフタレンと、150mLのジクロロメタンを入れた。この溶液に窒素気流下、0℃で45mL(45mmol)の三臭化ホウ素(1M ジクロロメタン溶液)を、滴下ロートを用いて滴下した。滴下後、同温度で6時間攪拌した。攪拌後、この溶液を室温で2日間攪拌した。攪拌後、この溶液に約100mLの水を入れて1時間攪拌した。攪拌後、約100mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて1時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層をジクロロメタンで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、水と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾燥後この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮したところ、油状物を得た。得られた油状物を減圧乾燥したところ、目的物の褐色固体を4.8g、収率97%で得た。ステップ2の反応スキームを下記(E2−2)に示す。
得られた1−(2−フルオロフェニル)−2−ナフトールを用いて、合成例1で示した反応スキーム(E1−2)及び反応スキーム(E1−3)と同様の反応を行うことで、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸を合成することができる。詳細は、合成例1を参酌することが可能である。
(参考例1)
本参考例では、合成例1及び合成例2で中間物質として合成されたベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フランが、上述の反応スキーム(E1−3)においてボロン酸化された位置を特定した。具体的には、反応スキーム(E1−3)で合成された化合物を用いて6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:PBnf)を合成し、そのX線結晶構造解析を行った。
<6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:PBnf)の合成>
200mL三口フラスコに0.90g(5.7mmol)のブロモベンゼンと、1.5g(5.7mol)のベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸を入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に20mLのトルエンと、10mLのエタノールと、6.0mLの炭酸ナトリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に0.33g(0.28mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え、窒素気流下、80℃で2時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層をトルエンにより抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=19:1)で精製したところ、白色固体を得た。得られた固体をトルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物の白色針状結晶を0.95g、収率56%で得た。反応スキームを下記(R−1)に示す。
得られた白色針状結晶をX線結晶構造解析した結果を図2に示す。図2は分子投影図(Oak Ridge Thermal Ellipsoid Plot(ORTEP図))である。図2より、目的物であるPBnfが得られたことが確認された。したがって、反応スキーム(E1−3)において、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フランの6位が選択的にボロン酸化され、目的物であるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸が合成されたことが示された。
(参考例2)
本参考例では、実施例1で合成したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸を材料として下記構造式(300)で表される6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:2mBnfPPA)を合成する例を示す。
<6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:2mBnfPPA)の合成>
50mL三口フラスコに1.1g(2.4mmol)の2−(3−ブロモフェニル)−9,10−ジフェニルアントラセンと、0.63g(2.4mmol)のベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸を入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に10mLのトルエンと、4.0mLのエタノールと、3.0mLの炭酸ナトリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に0.14g(0.12mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え、窒素気流下、80℃で3時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層をトルエンにより抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然濾過した。得られた濾液を濃縮して得た油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=5:1)で精製したところ、油状物を得た。得られた油状物をトルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物の淡黄色粉末を1.0g、収率66%で得た。
得られた淡黄色粉末状固体1.0gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.2Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、290℃で淡黄色粉末状固体を加熱した。昇華精製後、2mBnfPPAの淡黄色固体を0.91g、回収率91%で得た。上述の合成スキームを下記(R−2)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:2mBnfPPA)であることを確認した。
得られた化合物のH NMRの測定データを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.33(d,J=3.0Hz,1H),7.35(d,J=3.0Hz,1H),7.49−7.75(m,20H),7.83(d,J=9.3z,1H),7.94(d,J=7.5Hz,1H),8.01−8.07(m,3H),8.14(s,1H),8.43−8.47(m,1H),8.66(d,J=8.4Hz,1H)
以上より、一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物(より具体的には、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸)を他の有機化合物の合成中間体として適用可能であることが確認された。
(参考例3)
本参考例では、実施例1で合成したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸を材料として、下記構造式(301)で示す6−[3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:mBnfPA)を合成する例を示す。
<6−[3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:mBnfPA)の合成>
50mL三口フラスコに1.5g(3.8mmol)の9−(3−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンと、1.0g(3.8mmol)のベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸と、0.29g(0.95mmol)のトリ(オルト−トリル)ホスフィンを入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に15mLのトルエンと、5.0mLのエタノールと、4.0mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に43mg(0.19mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80℃で4時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層をトルエンにより抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然濾過した。得られた濾液を濃縮して得た油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=5:1)で精製したところ、油状物を得た。得られた油状物をトルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物の白色粉末を1.4g、収率67%で得た。
得られた白色粉末状固体1.1gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.2Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、270℃でmBnfPAを加熱した。昇華精製後、mBnfPAの淡黄色固体を1.0g、回収率90%で得た。上述の合成スキームを下記(R−3)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である6−[3−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:mBnfPA)であることを確認した。
得られた化合物のH NMRの測定データを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.34−7.44(m,4H),7.48−7.63(m,9H),7.69−7.74(m,4H),7.83(t,J=7.5Hz,1H),7.96(dd,J=1.8Hz,J=7.8Hz,2H),8.04(d,J=7.8Hz,1H),8.13(s,1H),8.15(t,J=1.5Hz,1H),8.26(d,J=7.8Hz,1H),8.43−8.46(m,1H),8.66(d,J=7.8Hz,1H)
以上より、一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物(より具体的には、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−ボロン酸)を他の有機化合物の合成中間体として適用可能であることが確認された。
本実施例では、実施の形態1において構造式(200)で示すベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−6−ボロン酸を製造する合成例を示す。
100mL三口フラスコに1.0g(4.2mmol)のベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェンを入れて、フラスコ内を窒素置換した。このフラスコに20mLのテトラヒドロフラン(THF)を加え、この混合物を−80℃に冷却した。この混合物に3.0mL(4.8mmol)のn−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液)を、シリンジにより滴下して加えた。滴下終了後、この混合物を室温まで昇温しながら、2時間攪拌した。攪拌後、この混合物を再び−80℃まで冷却し、この混合物に1.1mL(10mmol)のホウ酸トリメチルを加え、室温に戻しながら18時間攪拌した。攪拌後、この混合物に約50mLの希塩酸(1.0mol/L)を加えて、1時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾燥後、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮したところ、固体を得た。得られた固体にトルエンを加えて超音波を照射し、固体を吸引ろ過により回収した所、目的物の白色粉末を0.57g、収率49%で得た。上述の反応スキームを下記(E3)に示す。
以上によって、構造式(200)で示されるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−6−ボロン酸を合成することができる。
(参考例4)
本参考例では、実施例2で合成したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−6−ボロン酸を材料として下記構造式(400)で表される6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン(略称:2mBntPPA)を合成する例を示す。
50mL三口フラスコに1.0g(2.0mmol)の2−(3−ブロモフェニル)−9,10−ジフェニルアントラセンと、0.57g(2.0mmol)のベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−6−ボロン酸を入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に7.0mLのトルエンと、3.0mLのエタノールと、2.0mLの炭酸ナトリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に0.11g(0.10mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え、窒素気流下、80℃で14時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層をトルエンにより抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮して油状物を得た。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=5:1)で精製したところ、油状物を得た。得られた油状物をヘキサンにより再結晶したところ、目的物の黄色粉末を0.83g、収率64%で得た。
得られた黄色粉末状固体0.83gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.8Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、290℃で2mBntPPAを加熱した。昇華精製後、2mBntPPAの淡黄色固体を0.33g、収率40%で得た。上述の反応スキームを下記(R−4)に示す。
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン(略称:2mBntPPA)であることを確認した。
得られた化合物のH NMRの測定データを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.34(dd,J=7.2,3.0Hz,2H),7.45−8.07(m,26H),8.93(d,J=8.1Hz,1H),9.08(d,J=8.7Hz,1H)
以上より、実施例2で合成された一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物(より具体的には、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−6−ボロン酸)を他の有機化合物の合成中間体として適用可能であることが確認された。

Claims (6)

  1. 下記一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物。

    (ただし、一般式(G1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基のいずれかを表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成しても良い。また、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。)
  2. 下記一般式(a1)で表される化合物を、アルキルリチウム試薬及びホウ素試薬を用いて有機ホウ素化させることにより、下記一般式(G1)で表される有機ホウ素化合物を合成する有機ホウ素化合物の製造方法。


    (ただし、一般式(a1)において、R 乃至R はそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。Xは、酸素原子又は硫黄原子である。また、一般式(G1)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基のいずれかを表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成していても良い。また、Xは、酸素原子又は硫黄原子である。)
  3. 下記一般式(G2)で表される有機ホウ素化合物。

    (ただし、一般式(G2)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成していても良い。)
  4. 下記一般式(G3)で表される有機ホウ素化合物。

    (ただし、一般式(G3)において、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1乃至6のアルキル基又は炭素数6乃至16のアリール基のいずれかを表す。R10及びR11はそれぞれ独立に、水素又は炭素数1乃至6のアルキル基を表し、R10及びR11は互いに結合して環を形成していても良い。)
  5. 下記構造式(100)で表される有機ホウ素化合物。
  6. 下記構造式(200)で表される有機ホウ素化合物。
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