JP2021176823A - ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法および新規なジベンゾ[g,p]クリセン誘導体 - Google Patents

ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法および新規なジベンゾ[g,p]クリセン誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】水酸基が位置選択的に4つ導入されたジベンゾ[g,p]クリセンを、異性体の副生成が極めて少なく、選択的かつ簡便に作製できる製造方法、および該製造方法により作製した新規なジベンゾ[g,p]クリセン誘導体を提供する。【解決手段】(1)ジベンゾ[g,p]クリセンを臭素化し、4臭素化物を合成する工程、(2)4臭素化物の臭素原子をシリル化し、シリル化体を合成する工程、および、(3)シリル化体のシリル基を酸化反応により水酸基化し、2,7,10,15位に水酸基を有するテトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンを合成する工程を含むジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法に関する。また、酸素官能基が結合したフルオレノンを二量化して、3、6、11、14位に水酸基を有する新規なテトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法に関する。【選択図】 なし

Description

本発明は、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法および新規なジベンゾ[g,p]クリセン誘導体に関する。
ジベンゾ[g,p]クリセンは、機能性材料として有望な材料である。ジベンゾ[g,p]クリセン構造の最大の特徴は、非平面性の高いパイ共役系構造にあり、多くの興味をひいてきた。ここで、非平面性とは、芳香環がらせん状にねじれていることを意味し、らせん構造が薄膜トランジスターの正孔輸送物質や有機発光ダイオードの発光素子として期待されている。特に光量子物性(量子収率・励起寿命)、電子的特性、耐熱性において潜在的価値が高く、高分子材料へ組み込むことが試みられている。
しかしながら、ジベンゾ[g,p]クリセンは、反応性置換基を有しておらず、機能性材料として使用するために反応性置換基を導入する必要がある。たとえば、ハロゲン、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を導入し、該ヘテロ原子を他の置換基に変換後、末端に、三員環エーテル、メタクリレート基、末端アルケン等の重合可能な置換基を導入して、重合させたり、高分子の側鎖や末端に反応させることにより、機能材料を作製する必要がある。なかでも、ジベンゾ[g,p]クリセンの2、7、10、15位や、3、6、11、14位の4つの位置に選択的に水酸基が導入された化合物は、極めて利用価値が高い。
4つまたは8つの位置に選択的に水酸基が導入された化合物を作製する方法として、多くの工程を要する合成方法や、分離精製に多くの時間を要する方法、極めて厳しい反応条件で行う方法などが知られている。たとえば、特許文献1において、実施例6では、ジベンゾ[g,p]クリセンのジアゾニウム塩を加水分解して、2,7,10,15位に水酸基を有する4置換体が得られたことが開示されている。しかしながら、4水酸化物は、1水酸化物や2酸化物に微量含まれる副生成物にすぎない。また、実施例7では、ジベンゾ[g,p]クリセンを濃硫酸でスルホン化して4置換体を得た後に、該4置換体を400℃で熱溶融した水酸化カリウムに添加して、2,7,10,15位に水酸基を有する4置換体を作製する方法が開示されている。しかしながら、工程数は少ないものの、濃硫酸を多量に使用すること、高温の溶融アルカリ中で反応を行うことが必要であり、極めて危険度が高い。加えて、三置換体も副生するという問題も存在する。
一方、特許文献2には、実施例においてジベンゾ[g,p]クリセンの4水酸化物を使用しているが、具体的な製法は開示されていない。
特開2013−227307号公報 特開2016−125007号公報
本発明は、水酸基が位置選択的に4つ導入されたジベンゾ[g,p]クリセンを、異性体の副生成が極めて少なく、選択的かつ簡便に作製できる製造方法、および該製造方法により作製した新規なジベンゾ[g,p]クリセン誘導体を提供することを目的とする。
本発明は、ジベンゾ[g,p]クリセンへの直接的な四臭素化反応が、完璧に位置選択性をもって行うことができること、および、四臭素化ジベンゾ[g,p]クリセンをフレミング−玉尾酸化を行うことで、フェノール性化合物を得ることができることを見出し、完成した。
すなわち、本発明は、
(1)ジベンゾ[g,p]クリセンを臭素化し、4臭素化物を合成する工程、
(2)4臭素化物の臭素原子をシリル化し、シリル化体を合成する工程、および、
(3)シリル化体のシリル基を酸化反応により水酸基化し、2,7,10,15位に水酸基を有するテトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンを合成する工程
を含むジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法に関する。
工程(1)で使用するジベンゾ[g,p]クリセンが、芳香環上に置換基を有していないことが好ましい。
工程(1)で使用するジベンゾ[g,p]クリセンが、3、6、11、14位に置換基を有することが好ましい。
置換基がアルコキシ基であることが好ましい。
また、本願発明は、
(4)ジアルコキシフルオレンを二量化して、テトラアルコキシ体を合成する工程、
(5)テトラアルコキシ体のアルキル基を脱アルキル化し、3,6,11,14位に水酸基を有するテトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンを合成する工程を含むジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法に関する。
さらに、本発明は、下記化学式:
Figure 2021176823
Figure 2021176823
Figure 2021176823
Figure 2021176823
Figure 2021176823
Figure 2021176823
、または、
Figure 2021176823
で表されるジベンゾ[g,p]クリセン誘導体に関する。
本発明の製造方法によれば、水酸基が位置選択的に4個または8個導入されたジベンゾ[g,p]クリセンを、異性体の生成が少なく、簡便に作製することができる。また、本発明の製造方法により、新規なジベンゾ[g,p]クリセン誘導体を提供することができる。
本発明の製造方法によれば、ジベンゾ[g,p]クリセンへの直接的な四臭素化反応を、完璧に位置選択性をもって行うことができるため、臭素原子を足掛かりとし、多彩かつ多様な官能基化が可能となる。さらに、クロスカップリング反応やリチウムーハロゲン交換反応による置換反応を行うことで、新規な化合物や合成法を生み出すことが可能となる。
また、本発明の製造方法によれば、四臭素化ジベンゾ[g,p]クリセンをフレミング−玉尾酸化に処すことができ、フェノール性化合物を得ることができるため、得られた化合物は、単一の異性体であって、精製などの工程が不要であり、材料開発において、高い性能を獲得できる。加えて、フェノール性水酸基は様々な化学変換過程に使えるので、ジベンゾ[g,p]クリセンを基軸とした新たな機能性材料を生み出すことも可能となる。
(a)実施例1で合成した2,7,10,15−テトラ(トリメチルシリル)ジベンゾ[g,p]クリセンの化学構造を示す。4つの炭素原子C7、C8、C20、C21から歪角を求めた。(b)X線回折により求めた2,7,10,15−テトラ(トリメチルシリル)ジベンゾ[g,p]クリセンのORTEP図の上面図である。(c)X線回折により求めた2,7,10,15−テトラ(トリメチルシリル)ジベンゾ[g,p]クリセンのRTEP図の側面図である。(d)X線回折により求めた2,7,10,15−テトラ(トリメチルシリル)ジベンゾ[g,p]クリセンのORTEP図の別方向からの側面図である。
本発明の第1のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法は、
(1)ジベンゾ[g,p]クリセンを臭素化し、4臭素化物を合成する工程、
(2)4臭素化物の臭素原子をシリル化し、シリル化体を合成する工程、
(3)シリル化体のシリル基を酸化反応により水酸基化し、2、7、10、15位に水酸基を有するテトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンを合成する工程
を含むことを特徴とする。
ジベンゾ[g,p]クリセンは、下記化学式
Figure 2021176823
で表される化合物であり、2、7、10、15−テトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンは、下記化学式
Figure 2021176823
で表される化合物1である。
工程(1)
ジベンゾ[g,p]クリセンを臭素化する方法は特に限定されず、臭素、ジブロモイソシアヌル酸、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインなどの臭素化剤が挙げられる。ここで、臭素化剤の量は、ジベンゾ[g,p]クリセンに対して10当量以上が好ましく、12当量以上がより好ましく、14当量以上がさらに好ましい。10当量未満では、4臭素化物を得ることが困難になる傾向がある。臭素原子への置換反応は、ジベンゾ[g,p]クリセンの2,7,10,15位で生じ、他の位置には置換反応は生じないため、十分に臭素化させると、4臭素化物のみが得られる。
工程(1)で使用するジベンゾ[g,p]クリセンとしては、芳香環上に置換基を有していない化合物や、置換基を有する化合物を使用することができる。置換基としては特に限定されないが、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アルキルスルフィド基、水酸基などが挙げられる。なかでもアルコキシ基が好ましく、アルコキシ基の中でも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。置換基の置換位置は特に限定されないが、3、6、11、14位が好ましい。臭素化反応は、2、7、10、15位には生じないため、これらの位置に予め水酸基に変換可能な置換基を導入することによって、水酸基が5個以上導入された水酸基化物を作製することができる。3、6、11、14位に置換基を導入しておくと、2、3、6、7、10、11、14、15位に水酸基が導入された八水酸基化物が得られる。なお、3、6、11、14位に置換基を導入したジベンゾ[g,p]クリセンは、後述する方法で作製することができる。
工程(2)
シリル化とは、−SiR、−SiHR、−Si(OR)R、−SiHR、−SiR(OR)などの置換基に変換させる方法である。ただし、工程(3)でフレミング−玉尾酸化反応を行う場合、ケイ素原子の置換基には、反応性の観点から、F、Cl、ORなどのヘテロ原子を有することが好ましいため、−SiRでは、別途、Rをヘテロ原子へ置換させる反応を行うことが好ましい。
4臭素化物の臭素原子をシリル化する方法は特に限定されず、リチオ化剤で臭素原子をリチオ化した後に、クロロトリアリキルシランまたはクロロジアルキルヒドロシラン等のモノクロロシリル化合物と反応させる方法、クロロモノアルキルジヒドロシラン、ジクロロジアルキルシラン、ジクロロモノアルキルヒドロシラン等のジクロロシリル化合物と反応させる方法などが挙げられる。ジアルキルヒドロシランと反応させる場合、反応性の観点から、生成したジアルキルヒドロシリル基を、たとえばパラジウム/炭素の存在下でメタノールと反応させてジアルキルアルコキシシリル基に変換して酸化反応を行わせることが好ましい。
リチオ化剤としては、n−BuLi、n−HexLi、sec−BuLi、tert−BuLi、LiN(iPr)などが挙げられる。ここで、リチオ化剤の量は、ジベンゾ[g,p]クリセンに対して4当量以上が好ましく、6当量以上がより好ましい。
クロロトリアリキルシランとしては、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロトリイソプロピルシラン、クロロジメチル−tert−ブチルシラン、クロロジフェニルなどが挙げられる。また、クロロジアルキルヒドロシランとしては、クロロジメチルヒドロシラン、ブロモジメチルヒドロシラン、ヨードジメチルヒドロシランなどが挙げられる。クロロトリアリキルシランまたはクロロジアルキルヒドロシランの量は、ジベンゾ[g,p]クリセンに対して4当量以上が好ましく、6当量以上がより好ましい。
工程(3)
シリル化体のシリル基を水酸基化するフレミング−玉尾酸化反応では、フッ素源および弱塩基の存在下において、過酸化水素によって酸化させる。フッ素源としては、たとえばフッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ素化テトラブチルアンモニウム塩などが挙げられる。フッ素源の量は、ジベンゾ[g,p]クリセンに対して4当量以上が好ましい。弱塩基としては、たとえば炭酸水素カリウム、または炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。弱塩基の量は、ジベンゾ[g,p]クリセンに対して4当量以上が好ましい。過酸化水素の量は、ジベンゾ[g,p]クリセンに対して24当量以上が好ましい。
工程(3)で得られたテトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンは、ヨウ化アルキルなどにより4つの水酸基をアルコキシ化して、不純物を除去することによって、精製することができる。その後、三臭化ホウ素、またはナトリウムエタンチオラートなどにより脱アルキル化し、テトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンを得ることもできる。三臭化ホウ素の量は、ジベンゾ[g,p]クリセンに対して4当量以上が好ましく、6当量以上がより好ましい。
また、本発明の第2のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法は、
(4)ジアルコキシフルオレンを二量化して、テトラアルコキシ体を合成する工程、
(5)テトラアルコキシ体のアルキル基を脱アルキル化し、3,6,11,14位に水酸基を有するテトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンを合成する工程
を含むことを特徴とする。
2、7、10、15−テトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンは、下記化学式
Figure 2021176823
で表される化合物2である。
工程(4)
ジアルコキシフルオレンを二量化する方法は特に限定されないが、亜リン酸トリエチル、または亜リン酸トリメチルなどの還元剤の存在下で加熱する方法が挙げられる。ここで、還元剤の量は、ジベンゾ[g,p]クリセンに対して2当量以上が好ましく、4当量以上がより好ましい。
工程(5)
得られたピナコール体を弱いプロトン供与体であるメタノール溶媒中にて加熱還流させ、転位反応を利用してスピロケトン体を得ることができる。水素化ホウ素ナトリウムを還元剤として用いて、このケトン体を、たとえばトルエンとメタノールの混合溶媒中で還元してアルコール体へと変換することができる。ここで、余剰の水素化ホウ素ナトリウムを全て消費するためにアセトンを加えて安全を確保することが好ましい。得られたスピロアルコール体を触媒量のメタンスルホン酸を用いてカルボカチオンを発生させて、転位反応を惹起し、ジベンゾ[g,p]クリセン骨格を得ることができる。
得られたテトラアルコキシ体は、三臭化ホウ素、またはナトリウムエタンチオラートなどにより脱アルキル化し、3,6,11,14位に水酸基を有する3,6,11,14−テトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンを得ることもできる。三臭化ホウ素の量は、ジベンゾ[g,p]クリセンに対して4当量以上が好ましく、6当量以上がより好ましい。
さらに、本発明のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体は、下記化学式:
Figure 2021176823
Figure 2021176823
Figure 2021176823
Figure 2021176823
Figure 2021176823
Figure 2021176823
、または、
Figure 2021176823
で表されることを特徴とする。
化合物2は、本発明の第2のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法により、合成することができる。化合物5は、前述したように、2、7、10、15−テトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンをリチオ化した後に、クロロトリメチルシランと反応させることにより合成することができる。化合物6は、前述したように、2、7、10、15−テトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンをリチオ化した後に、クロロジメチルシランと反応させ、メタノール中でPd/Cで還元することにより合成することができる。化合物10は、前述したように、3,6,11,14−テトラメトキシジベンゾ[g,p]クリセンを臭素化することにより合成することができる。化合物11は、前述したように、化合物10をリチオ化した後に、クロロジメチルシランと反応させ、メタノール中でPd/Cで還元することにより合成することができる。化合物12は、前述したように、化合物11をフレミング−玉尾酸化反応により合成することができる。
本発明の化合物は、高分子材料、光機能性材料、電子材料の分野に適用される。具体的には、リソグラフィー用材料、有機EL用材料、接着剤等の樹脂用材料、スーパーエンジニアリングプラスティック用材料等が挙げられる。特に、薄膜トランジスターの正孔輸送物質や有機発光ダイオードの発光素子や、その前駆体の化合物として応用可能である。また、本発明のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法によれば、本発明の化合物を異性体の副生成が極めて少なく、選択的かつ簡便に作製することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
実施例において、禁水反応はアルゴンまたは窒素雰囲気下で行なっており、特に断りのない限り実験は禁水条件で実施した。購入した無水溶媒・試薬は、改めて精製して純度を向上させることなく使用した。薄層クロマトグラフィーとしてMerck silica 60F254を使用し、カラムクロマトグラフィーとしてシリカゲル60N(関東化学(株)製)を用いた。高分解能質量測定(HRMS)として飛行時間型質量分析法(MALDI−TOFまたはLCMS−IT−TOF)または直接質量分析法(DART−MS)のいずれかを用いた。
H、13C−NMRスペクトルについては、5mmのQNPプローブを用い、それぞれ400MHz、100MHzで測定した。化学シフト値はδ(ppm)で示しており、それぞれの溶媒中での基準値はH−NMR:CHCl(7.26),CHCl(5.32)、DMSO(2.50);13C−NMR:CDCl(77.0)、DMSO(39.5)としている。分裂のパターンは、s:単一線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線、br:幅広線で示す。
合成例1(ジベンゾ[g,p]クリセンの合成)
1Lフラスコに9−フルオレノン(80g,444mmol)と亜リン酸トリエチル(153mL,888mmol)を加え、175℃で撹拌した。24時間後、反応溶液を60℃まで放冷し、水(160mL,8.88mmol)を10分かけて加え、80℃に昇温し、残っている亜リン酸トリエチルを加水分解させた。さらに12時間撹拌後、反応溶液を濾取し、メタノール(500mL)で洗浄した。得られた固体をメタノール(252mL, 6.21mol)中で1時間還流し、再度メタノール(400mL)を用いて濾取操作を行なった。得られたサンプルをロータリーエバポレーターで乾燥させ(70℃、30分)、スピロケトン体を49.7g(収率65%)の黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.20(dd,J=7.8,1.2Hz, 1H),8.10(dd,J=7.8,1.2Hz,1H),7.99(dd,J=7.8,1.2 Hz,1H),7.81−7.77(m,3H),7.45(ddd,J= 7.8,7.8,1.2Hz,1H),7.41−7.35(m,3H),7.18(ddd,J=7.6,7.6,1.2Hz,1H),7.18(ddd,J=7.8,7.8,1.2Hz,1H),7.08(ddd,J=7.8,7.8,1.2Hz,1H),7.04(ddd,J=7.8,7.8,1.2Hz,2H),6.61(dd,J=7.8,1.2Hz,1H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)197.6,147.4(two peaks are overlapped),142.0,138.4,135.2,130.9,130.4,129.6,128.9,128.7(two peaks are overlapped),128.6,128.4,128.3(two peaks are overlapped),125.1(two peaks are overlapped),124.5,123.6,120.9(two peaks are overlapped),69.0ppm
MS(DART−TOF)m/z:345[MH]
IR(neat):3068,1686(C=O),1603,1478,1447,1256,1132,746,718cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C2617O:345.1279, Found;345.1276.
得られたスピロケトン体はこれ以上精製することなく、次の反応に用いた。500mLフラスコにスピロケトン(30g,87.1mmol)、トルエン(132mL)、メタノール(24mL)を加え、45℃に昇温した。フラスコにゆっくりと水素化ホウ素ナトリウム(1.32g,34.8mmol)を30分かけて加え(189mgずつ7回に分けて5分ごとに加える)、1時間攪拌した。アセトン(0.64mL,8.4mmol)を用いて反応を停止させ、さらに30分撹拌した。水(100mL×3)を用いて有機層を洗浄後、500mLフラスコに移し120℃に昇温し水の共沸除去を行った。そこにメタンスルホン酸(0.06mL,0.87mmol)を加え、1時間撹拌後、二度目の水の共沸除去を反応溶媒であるトルエンを利用して行い、反応溶液を室温まで降温させると結晶が析出した。その結晶がジベンゾ[g,p]クリセンであり、23.5g(収率82%)の黄色結晶として得た。この化合物の物理データは、東京化成工業株式会社の当該商品と完全に一致した。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.72(dd,J=8.0,1.3Hz,4H)、8.71(dd,J=8.0,1.3Hz,4H),7.69(ddd,J=8.0,8.0,1.3Hz,4H),7.64(ddd,J=8.0,8.0,1.3Hz,4H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)130.8,129.2,128.9,127.4,126.5(two peaks are overlapped),123.6ppm
Figure 2021176823
実施例1(2,7,10,15−テトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンの合成)
工程(1)臭素化反応
テトラブロモ体4
合成例1で合成したジベンゾ[g,p]クリセン(2.63g,8.0mmol)の無水塩化メチレン(24mL)曇状液に、臭素(6.6mL、128mmol、5.7M塩化メチレン溶液)を10分かけて滴下した。室温で2時間撹拌後、反応溶液を濾取し、メタノールで洗浄し、真空乾燥後、粗成生物を得た。トルエンで再結晶(350−140=210mL/g)を行い、テトラブロモ体4を3.72g(収率72%)の白色固体として得た。なお、臭素化反応は30程度で完結した。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.73(d,J=1.8Hz,4H),8.41(d,J=8.8Hz,4H),7.75(dd,J=8.8,1.8Hz,4H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)131.6,130.9,130.5,128.0,127.0,122.0ppm
MS(DART−TOF m/z:640[M]+
IR(neat):3076,1587,1514,1475,1408,1085,1021,894,858,806,567cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C2612Br:639.7673 [M]+,Found639.7683
Anal.Calcd for C2612Br:C,48.49;H,1.88.Found:C,48.26; H,1.79
Figure 2021176823
なお、臭素を12当量で反応させると、四置換臭素化体を得ることができたが、反応が完結するまでに24時間を要した。臭素を8当量、4.8当量で反応させると、反応は完結せず、複数の化合物の混合物しか得られなかった。
工程(2)トリメチルシリル化反応
テトラトリメチルシリル体5
アルゴン雰囲気下、工程(1)で得たテトラブロモ体4(515mg,0.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(16mL)懸濁液にノルマルブチルリチウム(3.1mL, 4.8mmol,1.6Mヘキサン溶液)を−78℃で5分かけて滴下した。30分撹拌後、クロロトリメチルシラン(0.9mL,7.2mmol)を1分かけて加え、室温まで昇温後、2時間撹拌した。0℃でメタノール(10mL)を用いて反応を停止し、除媒濃縮後、黄色固体の粗成生物を521mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)を行い、テトラトリメチルシリル体5を365mg(収率74%)の白色固体として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.89(s,4H),8.66(d,J=8.2Hz,4H),7.76(d,J=8.2Hz,4H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)138.9,131.4,130.3,129.9,128.9,128.4,128.3,−0.62ppm
MS(DART−TOF)m/z:616[M]+
IR(neat):2952,1391,1249,1105,814,659,583 cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C3848Si:616.2833[M+,Found616.2846
Anal.Calcd for C3848Si:C,73.87;H,7.83.Found:C,73.96;H,7.84
トリメチルシリル化体5の単結晶を作製し、X線結晶構造解析を行ったところ、図1に示すORTEP図が得られた。四つの置換基がジベンゾ[g,p]クリセンの2位、7位、10位、15位に所在していることがわかった。なお、この化合物のねじれ角は、41.4°であった。
Figure 2021176823
テトラケイ素化体6
アルゴン雰囲気下、工程(1)で得たテトラブロモ体4(1.03g,1.6mmol)の無水テトラヒドロフラン(32mL)懸濁液に、ノルマルブチルリチウム(6.0mL,1.59Mヘキサン溶液)を−78℃で、5分かけて滴下した。30分撹拌後、クロロジメチルシラン(1.0mL,14.4mmol)を5秒で加え、室温まで昇温、2時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液20mL)を用いて反応を停止した。反応溶液をトルエンに溶解させ、水層に対してトルエンで抽出操作(15mL×3)を行なった。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し(30mL)、芒硝乾燥、真空乾燥後、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン)で精製し、テトラケイ素化体6を674mg(収率75%)の白色固体として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.93(s,4H),8.66(d,J=8.1Hz,4H),7.78(d,J=8.1Hz,4H),4.69(sept,J=3.8Hz,4H),0.53(d,J=3.8Hz,24H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)136.0,131.8,130.3,130.1,129.8,128.4,128.3,−3.3ppm
MS(DART−TOF)m/z:560[M]+
IR(neat):2956,2109(Si−H),1388,1240,1109,862,814cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C3440Si:560.2207[M]+,Found:560.2223
テトラメトキシケイ素体7
アルゴン雰囲気下、テトラケイ素化体6(1.12g,2.0mmol)のトルエン、メタノール(それぞれ16mL)溶液に10wt%パラジウム/炭素(416mg,0.4mmol)を室温で加え、30分撹拌した。セライト濾過(溶媒:トルエン)、除媒濃縮後、粗生成物(テトラメトキシ体7)1.28gを白色固体として得た。この化合物はこれ以上精製することなく次の反応に用いた。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.99(s,4H),8.70(d,J=8.2Hz,4H),7.83(d,J=8.2Hz,12H),3.57(s,12H),0.56(s,24H)ppm
工程(3)フレミング−玉井酸化反応
テトラメトキシ化体8
テトラメトキシケイ素化体7のテトラヒドロフラン、メタノール(それぞれ5mL)溶液に炭酸水素カリウム(200mg,2.0mmol)を加え、30%過酸化水素水(1.4mL,12mmol)を3分かけて滴下後、フッ化カリウム(116mg,2.0mmol)を加え、4時間撹拌した。1M塩酸水溶液(40mL)を用いて反応を停止した。水層に対して酢酸エチルで抽出操作(20mL×3)を行い、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、芒硝乾燥、真空乾燥後、暗緑色の粗成生物を295mg得た。粗生成物をクロロホルムで洗浄後、シリカゲル濾過カラム精製(展開溶媒:テトラヒドロフラン)を行った。得られた暗緑色化合物(153mg)には化合物1が認められたが、不純物も含まれていたので、この化合物をテトラメトキシ化体8に変換した後に精製を行った。
この化合物にN,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)、炭酸カリウム(525mg, 3.8mmol)、ヨウ化メチル(0.47mL,7.6mmol)を加え、55℃で10時間撹拌し、薄層クロマトグラフィーで出発原料の消失を確認した。反応溶液をトルエンに溶解させ、セライト濾過後、除媒濃縮した。得られたサンプルをトルエンに溶かし、水洗(40mL)し、水層に対してトルエンで抽出操作(30mL×3)を行った。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄(20L)し、芒硝乾燥、除媒濃縮後、暗緑色の粗生成物を180mg得た。シリカゲル濾過カラム精製(展開溶媒、トルエン)を行い、テトラメトキシ化体8を65mgの橙色固体として得た。この2工程を経ての合計収率は30%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.55(d,J=9.0Hz,4H),8.00(d,J=2.4Hz,4H),7.23(dd,J=9.0,2.4Hz,4H), 4.05(s,12H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)158.1,131.8,130.6,124.8,124.3,115.4,106.4,55.9ppm
MS(DART−TOF)m/z:449[MH]+
IR(neat):2928,2829,1606,1451,1419,1224,1034,826,778cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C3025:449.1753[MH]+,Found:449.1734
Anal.Calcd for C3024:C,80.34;H,5.39.Found:C,80.19;H,5.39
テトラオール1
アルゴン雰囲気下、テトラメトキシ化体8の無水塩化メチレン(2mL)溶液に三臭化ホウ素(1.2mL,1M塩化メチレン溶液)を0℃で3分かけて滴下した。室温で4時間撹拌後、0℃で水(2mL)を用いて反応を停止し、反応溶液を濾取し水洗(20mL)した。除媒濃縮後、テトラオール1を63mg(81%収率)の青色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)9.91(s,4H),8.34(d,J=7.2Hz,4H),7.80(d,J=1.9Hz,4H),7.12(dd,J=7.2,1.9Hz,4H)ppm
13C−NMR(100MHz,DMSO−d)155.8,131.0,129.9,123.2,122.1,116.6,107.6ppm
MS(DART−TOF)m/z:393[MH]+
IR(neat):3180(O−H),1606,1436,1340,1200,1165,965,802cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C2617:393.1121[MH]+,Found:393.1112
Figure 2021176823
実施例2(3,6,11,14−テトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンの合成)
テトラメトキシ化体9
1Lフラスコに2,7−ジメトキシ−9−フルオレノン(80g,333mmol)、亜リン酸トリエチル(115mL,666mmol)を加え、175℃で撹拌した。24時間撹拌後、60℃まで降温し、ゆっくりと水(120mL)を加え80℃まで昇温し、残っている亜リン酸トリエチルを加水分解させた。12時間撹拌後、反応溶液を濾取し、メタノール(450mL)で洗浄した。得られた固体にメタノール(189mL,4.66mol)を加え、1時間還流させ、再度濾取後、メタノール(400mL)で洗浄した。ロータリーエバポレーターを用いて、得られたサンプルを乾燥後(70℃、30分)、目的物を57.7g(収率75%)の黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)7.99(d,J=8.9Hz,1H),7.92(d,J=8.9Hz,1H),7.58(d,J=8.4Hz,2H),7.44 (d,J=2.8Hz,1H),7.30(dd,J=8.9,2.8Hz,1H),6.89(dd,J=8.4,2.3Hz,2H),6.87(dd,J=8.9,2.8Hz,1H),6.57(d,J=2.3Hz,2H),6.15(d,J=2.8Hz, 1H),3.85(s,3H),3.68(s,6H),3.60(s,3H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)197.4,159.7,159.3,159.1,148.6,140.7,134.7,131.9,130.4,125.2,124.6,123.8,123.4,120.7,114.1,113.9,113.5, 110.9,110.7,69.0,55.8,55.7,55.4ppm
MS(DART−TOF)m/z:465[MH]
IR(neat):2936,2833,1683,1604,1469,1427,1215,1041,809,783cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C3025:465.1702,Found;465.1690.
テトラメトキシ化体9
得られたスピロケトン体は精製せずに次の反応に用いた。500mLフラスコにスピロケトン(30g,65mmol)、トルエン(122mL)、メタノール(24mL)を加え、45℃に昇温した。フラスコにゆっくりと水素化ホウ素ナトリウム(977mg,26mmol)を30分かけて加え(140mgずつ7回に分けて、5分ごとに加える)、1時間攪拌した。アセトン(0.5mL,6.5mmol)で反応を停止後、30分撹拌した。有機層を水洗(100mL×3)後、500mLフラスコに移して120℃に昇温し水の共沸除去を行なった。そこに、メタンスルホン酸(0.04mL,0.65mmol)を加え、1時間撹拌後、反応溶液を室温まで降温、除媒濃縮後、塩化メチレン/エタノール(4/1v/v,25mL/g−7mL/g=18mL/g)で再結晶し、テトラメトキシ化体9を17.8g(収率61%)の黄色結晶として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.51(d,J=9.0Hz,4H),8.23(d,J=2.6Hz,4H),7.28(dd,J=9.0,2.6Hz,4H), 0.94(s,12H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)157.8,129.9,128.8,125.3,124.9,116.4,110.3,55.7ppm
MS(DART−TOF)m/z:449[MH]+
IR(neat):2825,1603,1479,1466,1427,1238,1214,1008,798cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C3025:449.1747[MH]+,Found:449.1771
Anal.Calcd for C3024:C,80.34;H,5.39;O,14.27.Found:C,80.34;H,5.18
テトラオール体2
アルゴン雰囲気下、テトラメトキシ化体9(428mg,0.95mmol)の無水塩化メチレン(10mL)溶液に、0℃で三臭化ホウ素(5.7mL,1MCHCl溶液)を4分かけて滴下した。室温下4時間撹拌後、水(10mL)を用いて、0℃で反応停止した。濾取、水洗(40mL)、除媒濃縮後、テトラオール体2を354mg(収率96%)の緑色固体として得た。
HNMR(400MHz,CDCl)9.72(s,4H),8.49(d,J=8.9Hz,4H),8.00(d,J=2.4Hz,4H),7.15(dd,J=8.9, 2.4Hz,4H)ppm
13CNMR(100MHz,CDCl)155.3,129.1,127.3,124.7,123.6,116.7,112.0ppm
MS(DART−TOF)m/z:393[MH]+
IR(neat):3240(O−H),1610,1578,1447,1244,1169,782,452,cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C2617:393.1122 MH]+,Found:393.1131
Figure 2021176823
実施例3(2,3,5,6,10,11,13,14−オクタヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンの合成)
テトラブロモ体10
アルゴン雰囲気下、テトラオール9(897mg,2.0mmol)の無水塩化メチレン溶液に、室温で臭素(1.6mL、32mmol、5.7M塩化メチレン溶液)を3分かけて滴下した。室温下2時間撹拌後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加えて反応を停止した。水層に対して塩化メチレンで抽出操作(10mL×3)を行い、合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、芒硝乾燥、除媒濃縮後、1.58gの粗成生物を得た。シリカゲルを用いた濾過カラム精製(展開溶媒:塩化メチレンのみ)を行い、1.42gの橙色固体を得た。再沈殿操作(クロロホルム/メタノール=1/8v/v)を行い、1.24gの白黄色固体を得た後、トルエン再結晶操作(63−26=37mL/g)を行い、テトラブロモ体10を758mg(収率50%)の黄白色固体として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.66(s,4H),8.09(s,4H),3.99(s,12H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)154.4,128.9,128.5,128.1,125.0,113.3,109.4,56.7ppm
MS(DART−TOF)m/z:764[MH]+
IR(neat):2952,2928,2832,1595,1475,1464,1395,1249,1161,1057,1025,866cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C3020Br:763.8054[M]+,Found:763.8074
Anal.Calcd for C3020Br:C,47.16;H,2.64.Found:C,47.12;H,2.77
テトラケイ素化体11
アルゴン雰囲気下、テトラブロモ体10(760mg,1.0mmol)の無水テトラヒドロフラン(20mL)溶液に、−78℃下でノルマルブチルリチウム(3.8mL,6.0mmol、1.6Mヘキサン溶液)を3分かけて滴下した。30分撹拌後、クロロジメチルシラン(0.62mL,9mmol)を5秒で加え、室温下、1時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)で反応を停止し、水層に対してトルエンで抽出操作(20mL×3)を行った。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、芒硝乾燥、除媒濃縮後、黄色固体の粗成生物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=1/1)を行い、テトラケイ素化体11を513mg(収率75%)の黄色固体として得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.74(s,4H),8.14(s,4H), 4.65−4.62(sept,J=3.7Hz,4H),3.95(s,12H),0.50(d,J=3.7Hz,24H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)162.4,131.8,131.4,129.6,127.1,125.0,107.2,55.9,−3.2ppm
MS(DART−TOF)m/z: 681[MH]+
IR(neat):2949,2900,2821,2113(Si−H),1599, 1459,1395,1236,1081,862,834cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C3849Si:681.2702[MH]+,Found:681.2724
Anal.Calcd for C3848Si:C,67.01;H,7.10.Found:C,67.00;H,7.14
テトラメトキシ化体12
アルゴン雰囲気下、テトラケイ素化体11(905mg,1.3mmol)のトルエン、メタノール(それぞれ12mL)溶液に、10wt%パラジウム/炭素(277mg,0.26mmol) を室温で加えた。30分撹拌後、セライト濾過(展開溶媒、トルエン)、除媒濃縮後、白色固体1.09gの粗成生物を得た。得られた粗成生物(320mg)にテトラヒドロフラン、メタノール(それぞれ4mL)、炭酸水素カリウム(160mg,1.6mmol)を加え、30%過酸化水素水(1.0mL,9.6mmol)を3分かけて滴下後、フッ化カリウム(93mg,1.6mmol)を加えた。17時間撹拌後、1M塩酸水溶液(8mL)で反応停止、水層に対して酢酸エチルで抽出操作(20mL×2)を行った。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、芒硝乾燥、除媒濃縮後、暗緑色固体の粗成生物(236mg)を得た。シリカゲルを用いた濾過カラム精製(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/2)を行い、テトラメトキシ化体12を80mgの暗緑色固体として得た。この2工程における合計収率は39%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl)8.14(s,4H),8.00(s,4H), 5.89(s,4H),4.01(s,12H)ppm
13C−NMR(100MHz,CDCl)146.2,145.4,125.6,125.5,123.5,108.9,56.3ppm
MS(DARTTOF)m/z:513[MH]+
IR(neat):3307(O−H),2933,2829,1503,1249,1141,1034,858cm−1
HRMS(DART TOF)calcd for C3025:513.1544[MH]+,Found:513.1562
オクタオール体3
アルゴン雰囲気下、テトラメトキシ化体12(80mg,0.16mmol)の無水塩化メチレン(2mL)溶液に、0℃で三臭化ホウ素(0.96mL,1M塩化メチレン溶液)を3分かけて滴下した。室温下20時間撹拌後、水(3mL)を用いて0℃下で反応を停止した。反応溶液を濾取し、水洗(40mL)、除媒濃縮後、オクタオール体3を定量的に(73mg)青色固体として得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)9.47(s,4H),9.28(s,4H),7.94(s,4H),7.67(s,4H)ppm
13C−NMR(100MHz,DMSO−d)145.4,144.6,123.4, 123.3,122.2,113.0,107.8ppm
MS(DART−TOF)m/z:457[MH]+
IR(neat):3295(O−H),1515,1272,1225,1129,846cm−1
HRMS(DART−TOF)calcd for C2617:457.0918[MH]+,Found:457.0904
Figure 2021176823
本発明のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法は、薄膜トランジスターの正孔輸送物質や有機発光ダイオードの発光素子として有用なジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法として適用可能である。また、本発明のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体は、薄膜トランジスターの正孔輸送物質や有機発光ダイオードの発光素子に適用可能である。

Claims (6)

  1. (1)ジベンゾ[g,p]クリセンを臭素化し、4臭素化物を合成する工程、
    (2)4臭素化物の臭素原子をシリル化し、シリル化体を合成する工程、および、
    (3)シリル化体のシリル基をフレミング−玉尾酸化反応により水酸基化し、2,7,10,15位に水酸基を有するテトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンを合成する工程
    を含むジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法。
  2. 工程(1)で使用するジベンゾ[g,p]クリセンが、芳香環上に置換基を有していない請求項1に記載のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法。
  3. 工程(1)で使用するジベンゾ[g,p]クリセンが、3、6、11、14位に置換基を有する請求項1に記載のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法。
  4. 置換基がアルコキシ基である請求項3に記載のジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法。
  5. (4)ジアルコキシフルオレンを二量化して、テトラアルコキシ体を合成する工程、
    (5)テトラアルコキシ体のアルキル基を脱アルキル化し、3,6,11,14位に水酸基を有するテトラヒドロキシジベンゾ[g,p]クリセンを合成する工程を含むジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法。
  6. 下記化学式:
    Figure 2021176823
    Figure 2021176823
    Figure 2021176823
    Figure 2021176823
    Figure 2021176823
    Figure 2021176823
    、または、
    Figure 2021176823
    で表されるジベンゾ[g,p]クリセン誘導体。

JP2020082081A 2020-05-07 2020-05-07 ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法および新規なジベンゾ[g,p]クリセン誘導体 Pending JP2021176823A (ja)

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