JPH11100376A - 2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体および医薬品の製造方法 - Google Patents

2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体および医薬品の製造方法

Info

Publication number
JPH11100376A
JPH11100376A JP9263538A JP26353897A JPH11100376A JP H11100376 A JPH11100376 A JP H11100376A JP 9263538 A JP9263538 A JP 9263538A JP 26353897 A JP26353897 A JP 26353897A JP H11100376 A JPH11100376 A JP H11100376A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
group
above formula
dihydrobenzo
derivative represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9263538A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Torii
滋 鳥居
Toru Minojima
徹 美濃島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP9263538A priority Critical patent/JPH11100376A/ja
Publication of JPH11100376A publication Critical patent/JPH11100376A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬品として有用な2−(3−シアノフェニ
ル)チアゾール誘導体の工業的に有利な製造法、および
それに用いる合成中間体を提供する。 【解決手段】 1.下記式(I) で表される化合物。 2.下記式(II) で表される化合物を電解ハロゲン化するか、または下記
式(III) で表される化合物を電解アルコキシ化することにより化
合物(I)を製造する方法。 3.化合物(I)から下記式(IV)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2,3−ジヒドロ
ベンゾ(b)フラン誘導体に関する。さらに詳細には、
本発明は、例えば、痛風、高尿酸血症治療剤等のキサン
チンオキシダーゼ(以下「XOD」という)阻害剤とし
て有用な2−(3−シアノフェニル)チアゾール誘導体
の重要合成中間体である2,3−ジヒドロベンゾ(b)
フラン誘導体、および、その2,3−ジヒドロベンゾ
(b)フラン誘導体の製造法、さらに、2,3−ジヒド
ロベンゾ(b)フラン誘導体から2−(3−シアノフェ
ニル)チアゾール誘導体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】痛風は高尿酸血症を基礎疾患とし、発作
の寛解後は高尿酸血症の改善療法が行われる。高尿酸血
症の治療薬は大別して尿酸排泄促進剤と尿酸合成阻害剤
(XOD阻害剤)に分けられ、疾患の態様や程度に応じ
て適宜選択される。
【0003】XOD阻害剤として、2−フェニルチアゾ
ール誘導体が知られている(参考文献:国際公開WO9
2/09279号パンフレット)。2−(4−アルコキ
シ−3−シアノフェニル)チアゾール誘導体の合成法に
関しては、例えば、ホルミル化反応を使って、フェノー
ル誘導体の2位にホルミル基を導入し、そのホルミル基
をシアノ基へ変換する方法が取られている(参考文献:
特開平6−329647号公報)。この方法は、2置換
ベンゼン化合物に新たな置換基(ホルミル基)を導入
し、3置換ベンゼン化合物にする方法である。そのた
め、純粋な目的物を得るには、新たに導入される置換基
の位置や導入される置換基の個数を高度に制御する必要
がある。
【0004】一方、2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラ
ン誘導体を開裂する方法を採る場合には、開裂でサリチ
ルアルデヒドが生成する。そのため、反応基質としてベ
ンゼン環上にはじめから1つの置換基がある2,3−ジ
ヒドロベンゾ(b)フラン誘導体を使って開裂反応をさ
せれば、3置換ベンゼン化合物が制御した形で得られる
ことになる。
【0005】ところで、2,3−ジヒドロ−2,3−ジ
アルコキシベンゾ(b)フランの合成法としては、既に
電気化学的酸化法(Synthesis 1975, 717-718)や、化
学試薬を使った酸化法(J. Am. Chem. Soc. 1973, 95,
3635-3640)が知られている。しかし、2,3−ベンゾ
フランのベンゼン環上にハロゲン原子、水酸基、シアノ
基などの置換基を有する2,3−ベンゾフランに適用し
た例はない。
【0006】また、電子供与基をもった芳香族化合物を
電解酸化反応でハロゲン化させるとハロゲン化体が生成
することが知られており、例えば、インドリン誘導体の
電解臭素化は位置選択的に進み、5−ブロモインドリン
誘導体が得られる(第四版実験化学講座23、有機合成
V、酸化反応 p543)。しかし、2,3−ジヒドロ−
2,3−ジアルコキシベンゾ(b)フランで実施した例
はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上述し
た従来技術に鑑み、XOD阻害剤の製造法の開発を指向
して、2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体を重
要合成中間体とする2−(3−ハロゲン化フェニル)チ
アゾール誘導体の工業的製造法を見出すことを課題とし
て鋭意研究した結果、本発明に到達したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は第一
に、下記式(I)
【0009】
【化9】
【0010】[式中、ふたつのR1は同一または異なっ
て、水素原子または炭素数5以下のアルキル基を表し、
Xはハロゲン原子、水酸基、炭素数7以下のアルカンス
ルホニルオキシ基、またはシアノ基を表す。]で表され
る2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体である。
【0011】本発明は第二に、下記式(II)
【0012】
【化10】
【0013】[式中、R1は上記式(I)における定義
と同じ。]で表されるジヒドロベンゾ(b)フラン誘導
体を電解ハロゲン化することを特徴とする、上記式
(I)で表される2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン
誘導体の製造方法である。
【0014】本発明は第三に、下記式(III)
【0015】
【化11】
【0016】[式中、Xは上記式(I)における定義と
同じ。]で表されるベンゾ(b)フラン誘導体を電解ア
ルコキシ化することを特徴とする、上記式(I)で表さ
れる2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体の製造
方法である。
【0017】本発明は第四に、上記式(I)で表される
2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体を出発物質
として、下記工程1、工程2、工程3、および工程4を
順次実施することを特徴とする、下記式(IV)
【0018】
【化12】
【0019】[式中、R2は水素原子、または、無置換
もしくは置換された炭素数10以下の鎖状もしくは環状
のアルキル基を表す。R3は無置換もしくは置換された
炭素数6以下のアルキル基、または、無置換もしくは置
換されたフェニル基を表す。R4は炭素数6以下のアル
コキシ基を表す。]で表される2−(3−シアノフェニ
ル)チアゾール誘導体の製造方法。
【0020】ここにおいて、 A.工程1は上記式(I)で表される2,3−ジヒドロ
ベンゾ(b)フラン誘導体を出発物質とし、置換基Xの
種類に応じて下記工程1−1、工程1−2、工程1−
3、または工程1−4のいずれかを実施することによ
り、下記式(V)
【0021】
【化13】
【0022】[式中、X’はハロゲン原子またはシアノ
基を表す。]で表されるサリチルアルデヒド誘導体を製
造する工程である。
【0023】工程1−1:上記式(I)で表される化合
物において、Xがハロゲン原子の場合2,3−ジヒドロ
ベンゾ(b)フラン環を酸化開裂させ、上記式(V)で
表されるサリチルアルデヒド誘導体(X’がハロゲン原
子であるもの)を得る工程。
【0024】工程1−2:上記式(I)で表される化合
物において、Xが水酸基の場合 該水酸基をアルカンスルホニルオキシに変換した後、金
属シアニドと反応させてシアノ基へ変換し、Xがシアノ
基である上記式(I)で表される化合物を得る。次に、
2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン環を酸化開裂さ
せ、上記式(V)で表されるサリチルアルデヒド誘導体
(X’がシアノ基であるもの)を得る工程。
【0025】工程1−3:上記式(I)で表される化合
物において、Xがアルカンスルホニルオキシ基の場合 該アルカンスルホニルオキシを金属シアニドと反応させ
てシアノ基へ変換し、Xがシアノ基である上記式(I)
で表される化合物を得る。次に、2,3−ジヒドロベン
ゾ(b)フラン環を酸化開裂させ、上記式(V)で表さ
れるサリチルアルデヒド誘導体(X’がシアノ基である
もの)を得る工程。
【0026】工程1−4:上記式(I)で表される化合
物において、Xがシアノ基の場合 2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン環を酸化開裂さ
せ、上記式(V)で表されるサリチルアルデヒド誘導体
(X’がシアノ基であるもの)を得る工程。
【0027】B.工程2は工程1で得られた上記式
(V)で表されるサリチルアルデヒド誘導体を出発物質
とし、置換基X’の種類に応じて下記工程2−1または
工程2−2のいずれかを実施することにより、下記式
(VI)
【0028】
【化14】
【0029】[式中、R2は水素原子、または、無置換
もしくは置換された炭素数10以下の鎖状もしくは環状
のアルキル基を表す。]で表されるサリチルアルデヒド
誘導体を製造する工程である。
【0030】工程2−1:化合物VのX’がハロゲン原
子の場合 工程1における2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン環
の酸化開裂反応で新たに生成した水酸基を、無置換また
は置換された炭素数10以下の鎖状もしくは環状のアル
キルハライドと反応させる。次に、これを金属シアニド
と反応させ、上記式(VI)で表されるサリチルアルデヒ
ド誘導体(R2が無置換もしくは置換された炭素数10
以下の鎖状もしくは環状のアルキル基であるもの)を得
る工程。
【0031】工程2−2:化合物VのX’がシアノ基の
場合 工程1における2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン環
の酸化開裂反応で新たに生成した水酸基を、無置換また
は置換された炭素数10以下の鎖状もしくは環状のアル
キルハライドと反応させることにより、上記式(VI)で
表されるサリチルアルデヒド誘導体(R2が無置換もし
くは置換された炭素数10以下の鎖状もしくは環状のア
ルキル基であるもの)を得る工程、あるいはX’がシア
ノ基である上記式(V)で表される化合物自体を上記式
(VI)で表されるサリチルアルデヒド誘導体(R2が水
素原子であるもの)として工程3に進む。
【0032】C.工程3は、工程2で得られた上記式
(VI)で表されるサリチルアルデヒド誘導体とチオアセ
トアミドを反応させることにより、下記式(VII)
【0033】
【化15】
【0034】[式中、R2は上記式(VI)におけるR2
定義と同じ。]で表されるチオベンズアミド誘導体を製
造する工程である。
【0035】D.工程4は工程3で得られた上記式(VI
I)で表されるチオベンズアミド誘導体と、下記式(VII
I)
【0036】
【化16】
【0037】[式中、R3は無置換もしくは置換された
炭素数6以下のアルキル基、または、無置換もしくは置
換されたフェニル基を表す。R4は炭素数6以下のアル
コキシ基を表し、Yはハロゲン原子を表す。]で表され
る2−ハロゲン化−β−ケトエステル誘導体とを反応さ
せることにより、上記式(IV)で表される2−(3−シ
アノフェニル)チアゾール誘導体を製造する工程であ
る。
【0038】
【発明の実施の形態】上記式(I)および上記式(II)
で表される化合物において、ふたつのR1は同一または
異なって、水素原子または炭素数5以下のアルキル基を
表す。そのような炭素数5以下のアルキル基としては、
鎖状(直鎖もしくは分岐状)または環状のアルキル基を
意味し、その好適な具体例としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネ
オペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチ
ルプロピル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基な
どが挙げられる。これらのなかでもR1としては、水素
原子、メチル基、エチル基が好ましい。
【0039】上記式(IV)、(VI)、および(VII)で
表される化合物において、R2は水素原子、または、無
置換もしくは置換された炭素数10以下の鎖状もしくは
環状のアルキル基を表す。そのような炭素数10以下の
アルキル基としては、鎖状(直鎖もしくは分岐状)また
は環状のアルキル基を意味し、その好適な具体例として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブ
チル基、ペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロ
ピル基、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、2
−エチルブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0040】さらに、置換された炭素数10以下のアル
キル基の置換基としては、本発明の製造方法において用
いられる電解酸化反応やシアノ化反応に支障のあるもの
でない限り、特に限定されないが、例えばハロゲン原
子、水酸基、アルコキシ基、ピペリジノ基、モルホリノ
基などを挙げることができる。そのような置換された炭
素数10以下のアルキル基としては、例えば1,1−ジ
フルオロエチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロピル基、エトキシエチル基、メト
キシエトキシエチル基、ピペリジノエチル基、モルホリ
ノエチル基などが挙げられる。これらのなかでも、R2
が水素原子または炭素数5以下のアルキル基であるもの
が好ましく、なかでもイソブチル基が好ましい。
【0041】上記式(IV)および上記式(VIII)で表さ
れる化合物において、R3は無置換もしくは置換された
炭素数6以下のアルキル基、または、無置換もしくは置
換されたフェニル基を表す。そのような炭素数6以下の
アルキル基としては、鎖状(直鎖もしくは分岐状)また
は環状のアルキル基を意味し、その具体例としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、
ペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、
2,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、2−エチル
ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、メチ
ル基が好ましい。
【0042】上記式(IV)および上記式(VIII)で表さ
れる化合物において、R4は炭素数6以下のアルコキシ
基を表す。このような炭素数6以下のアルコキシ基とし
ては、炭素数6以下の鎖状(直鎖もしくは分岐状)のア
ルキル基を有するものを意味し、その好適な具体例とし
ては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプ
ロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキ
シ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシル
オキシ基などを挙げることができる。これらの中でも、
エトキシ基が好ましい。
【0043】上記式(I)および上記式(III)で表さ
れる化合物において、Xはハロゲン原子、水酸基、炭素
数7以下のアルカンスルホニルオキシ基、またはシアノ
基を表す。また、上記式(V)で表される化合物におい
て、X’はハロゲン原子またはシアノ基を表す。このよ
うなハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原
子、またはヨウ素原子を挙げることができる。また、X
が炭素数7以下のアルカンスルホニルオキシ基である場
合としては、例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフ
ルオロメタンスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホ
ニルオキシ基などが挙げられる。これらの中でも、Xと
しては、臭素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキ
シ基、およびシアノ基が好適なものとして挙げられる。
【0044】上記式(VIII)で表される化合物におい
て、Yはハロゲン原子を表す。このようなハロゲン原子
としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を
表すが、なかでも塩素原子が好ましい。
【0045】本発明の製造方法において、上記式(II)
で表される化合物から上記式(I)で表される化合物へ
の電解ハロゲン化反応は、原則的には公知の電解ハロゲ
ン化反応により実施できる。かかる電解ハロゲン化に用
いられる有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、テ
トラヒドロフラン、アセトニトリルが好ましい。特に、
アセトニトリルが好ましい。さらに、この溶媒に水、メ
タノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert
-ブチルアルコール、フェノールを添加してもよく、特
に、水の添加は反応の進行が円滑になるため好ましい。
【0046】電解ハロゲン化反応に用いられる電解槽と
しては、陽陰極分離型セルでも単一型セルでもよい。陽
陰極分離型セルの場合に使用する隔膜としては、公知の
イオン交換膜、無機材質の多孔性膜等を例示できる。好
ましい電解槽としては単一型セルである。
【0047】電解ハロゲン化反応に用いられる支持電解
質としては、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウ
ムなどのハロゲン化物が使用される。特に、臭化ナトリ
ウムが好ましい。さらに、この支持塩の他に、過塩素酸
塩、ホウ酸塩、リン酸塩などを添加してもよく、添加物
としては、リン酸塩が好ましい。特に、リン酸一ナトリ
ウムは、反応の進行が円滑になるため好ましい。支持電
解質の濃度としては、0.01〜10mol/リットル
が好ましい。
【0048】電解ハロゲン化反応に用いられる陽極、陰
極の電極材料としては、特に限定されず、従来公知の材
料を使用することができる。特に好ましいものとして
は、白金が挙げられる。
【0049】電解ハロゲン化反応での電流密度として
は、1〜1000mA/cm2が好ましい。通電量は理
論的には、2F/molであるが、過剰に通電しても差
し支えない。通常2〜40F/molで実施される。
【0050】電解ハロゲン化反応を実施する反応温度は
0〜100℃の範囲であり、好ましくは、10〜50℃
である。
【0051】反応終了後、抽出やシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーなどの通常の後処理により、上記式
(I)で表される2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン
誘導体が得られる。
【0052】本発明の製造方法うち、上記式(III)で
表される化合物から上記式(I)で表される2,3−ジ
ヒドロベンゾ(b)フラン誘導体への電解アルコキシ化
反応は、原則的には従来公知のジアルコキシ化反応によ
り実施できる。かかる電解ジアルコキシ化反応に用いら
れる有機溶媒としては、アルコキシ化の素となるアルコ
ール溶媒(R1OH)を使用する。特にメタノール、エ
タノールが好ましい。さらに、この溶媒に水、アセトニ
トリル、ジメチルホルムアミド、あるいはテトラヒドロ
フランを添加してもよい。
【0053】電解ジアルコキシ化反応に用いられる電解
槽としては、陽陰極分離型セルでも単一型セルでも使用
できる。陽陰極分離型セルの場合に使用する隔膜として
は、公知のイオン交換膜、無機材質の多孔性膜等を例示
できる。好ましい電解槽としては単一型セルである。
【0054】電解ジアルコキシ化反応に用いられる支持
電解質としては、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、ナトリウムアルコキシド(NaOR1)、過塩素
酸ナトリウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウムなど
が好ましい。特に、硫酸と水酸化ナトリウムが好まし
い。支持電解質の濃度としては、0.01〜10mol
/リットルが好ましい。
【0055】電解ジアルコキシ化反応に用いられる陽極
の電極材料としては、特に限定されず、従来公知の材料
を使用できる。特に好ましいものとしては、白金、炭素
が挙げられる。電解ジアルコキシ化反応に用いられる陰
極の電極材料も、特に限定されず、従来公知の材料を使
用できる。特に好ましいものとしては、白金、ニッケル
が挙げられる。
【0056】電解ジハロゲン化反応での電流密度として
は、1〜1000mA/cm2が好ましい。通電量は理
論的には、2F/molであるが、過剰に通電しても差
し支えない。通常2〜40F/molで実施される。
【0057】電解ジハロゲン化反応を実施する反応温度
は−50〜50℃の範囲であり、好ましくは、−20〜
10℃である。
【0058】反応終了後、抽出やシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーなどの通常の後処理により、上記式
(I)で表される2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン
誘導体が得られる。
【0059】本発明の製造方法において、上記式(I)
で表される化合物から上記式(V)で表される化合物へ
の酸化的開裂反応は、ビス(トリフルオロアセトキシ)
ヨードベンゼン、ビス(アセトキシ)ヨードベンゼン、
ヨードキシルベンゼンなどの有機過ヨウ化物や、四酢酸
鉛などの金属酸化剤、あるいは電気化学的な酸化反応を
使って実施される。なお、開裂反応を円滑に行わせるた
めには、予めエーテルの開裂(ジアセトキシ基をジオー
ルへ変換)をしてから、骨格の開裂反応を実施する。
【0060】酸化開裂反応の溶媒としては、ベンゼン、
アセトン、酢酸、トリフロロ酢酸などを使うことができ
る。さらに、ピリジンなどの塩基、水、メタノール、あ
るいは、酸を添加してもよい。
【0061】酸化開裂反応での反応温度は0〜100℃
の範囲であり、好ましくは、10〜50℃である。
【0062】反応終了後、抽出やシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーなどの通常の後処理により、上記式
(V)で表される化合物が得られる。
【0063】本発明の製造方法において、上記式(V)
で表される化合物から上記式(VI)で表される化合物へ
のシアノ化反応に用いられる有機溶媒としては、ジメチ
ルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、ベンゼン、
1−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサ
メチルホスホリックトリアミドが好ましく、それらを2
種以上混合して用いてもよい。特に溶媒として、ジメチ
ルホルムアミドが好ましい。さらにこれらの溶媒に、
水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、tert-ブチルアルコール、フェノールを添加しても
よい。有機溶媒の使用量は反応を円滑に進行させるのに
十分であればよいが、通常は原料の1〜100倍容量、好ま
しくは1〜20倍容量が用いられる。
【0064】このシアノ化反応には遷移金属触媒が用い
られるが、使用される遷移金属触媒としては、0価また
はII価のニッケル錯体またはパラジウム錯体が挙げられ
る(パラジウム錯体はXが塩素原子や臭素原子のときは
反応性が低く使用できないことがある)。0価の錯体は
そのまま触媒反応に用い、II価の錯体は反応系内で0価
の錯体に還元して使用する。
【0065】かかるニッケル錯体としては、テトラキス
(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、ビス(シ
クロオクタジエン)ニッケル(0)、ニッケル(II)ク
ロライド、ニッケル(II)ブロマイド、ビス(トリフェ
ニルホスフィン)ニッケル(II)クロライド、ビス(ト
リフェニルホスフィン)ニッケル(II)ブロマイド、
[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケ
ル(II)クロライド、[1,3−ビス(ジフェニルホス
フィノ)プロパン]ニッケル(II)クロライド、[1,4
−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]ニッケル(I
I)クロライド、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)フェロセン]ニッケル(II)クロライド、[(R)−
2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1、1’−
ビナフチル]ニッケル(II)クロライド、[(S)−2,
2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1、1’−ビナ
フチル]ニッケル(II)クロライド、ニッケル(II)シ
アニド、ニッケル(II)アセチルアセトネートなどを挙
げることができる。
【0066】また、パラジウム錯体としては、テトラキ
ス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリ
ス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス
(ベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、パラジウ
ム(II)アセテート、ビス(トリフェニルホスフィン)
パラジウム(II)クロライド、ビス(トリフェニルホス
フィン)パラジウム(II)アセテートなどをあげること
ができる。
【0067】反応を完結させるのに必要な金属錯体の量
を減らすために、反応系中に、ホスフィンなどの配位子
を添加する方がよい場合がある。特に、ニッケル(II)
クロライドやトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラ
ジウム(0)などのように金属錯体にホスフィン配位子
が存在しない場合には、反応系内に配位子を添加して反
応を行った方がよいことが多い。添加する配位子として
は、トリフェニルホスフィン、1,2−(ジフェニルホ
スフィノ)エタン、1,3−(ジフェニルホスフィノ)
プロパン、1,4−(ジフェニルホスフィノ)ブタン、
1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、
(R)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−
1、1’−ビナフチル、(S)−2,2’−ビス(ジフ
ェニルホスフィノ)−1、1’−ビナフチル、トリブチ
ルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリエチルホス
ファイトなどを挙げることができる。
【0068】II価の金属錯体を0価の錯体に還元するの
には、金属亜鉛や、エチルマグネシウムブロマイドなど
のグリニア試薬、ブチルリチウムなどのアルキルリチウ
ム試薬、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化金属試
薬、あるいは電解還元を使うことができる。
【0069】かかる反応に使用する遷移金属錯体の量
は、基質化合物に対して0.01〜100mol%であ
る。配位子を添加する場合の添加量は、遷移金属に対し
て、0.2〜8当量程度である。還元剤を添加する場合
の添加量は、遷移金属に対して、0.1〜10当量程度
である。
【0070】このシアノ化反応に使用される金属シアニ
ドとしては、トリメチルシリルサイアナイド、青酸カリ
ウム、青酸ナトリウムなどが挙げられる。使用される金
属シアニドの量は、原料と同じ当量数以上あればよい
が、好ましくは1〜10当量程度である。
【0071】このシアノ化反応を実施する反応温度は0
〜150℃の範囲であり、好ましくは20〜100℃で
ある。その場合、10分〜3日間程度で反応が完結す
る。
【0072】反応終了後、必要に応じてフロリジルやセ
ライトろ過による金属錯体の除去、抽出、洗浄、再結
晶、カラムクロマトグラフィーなどの操作により反応溶
液から分離、精製される。
【0073】上記のようにしてシアノ化反応は実施され
るが、シアノ化反応に先だって、または、シアノ化反応
後に、必要に応じて、アルキルハライドを用いて、酸化
開裂反応で生成した水酸基をアルコキシ基へ変換され
る。
【0074】本発明の製造方法において、上記式(VI)
で表される化合物から上記式(VII)で表される化合物
へのチオアミド化反応は、硫化水素、または、硫化水素
源として酸性条件下でチオアセトアミドを使用する方法
で行うことができる。上記式(VI)で表される化合物と
硫化水素(または硫化水素源の化合物)は等モル反応で
あるが、通常、硫化水素(または硫化水素源の化合物)
は、上記式(VI)で表される化合物に対して、0.5〜
20倍、好ましくは、1〜5倍使用して行う。
【0075】このチオアミド化反応は、一般に有機溶媒
存在下で行われ、特に、溶媒としてジメチルホルムアミ
ド、または酸としての役目も持つポリリン酸を使うとよ
い。
【0076】かかるチオアミド化反応を実施する反応温
度は、溶液が液状である範囲であればよいが、80〜1
60℃程度で行う。反応時間は、反応温度や硫化水素
(または硫化水素源の化合物)の当量で異なるが、10
分〜24時間程度である。
【0077】反応後、得られた生成物は、通常の手段に
より、反応液から分離・精製される。例えば、抽出、洗
浄、クロマトグラフィー、再結晶、あるいは、これらの
組み合わせにより行われる。
【0078】本発明の製造方法において、上記式(VI
I)で表される化合物から上記式(IV)で表される化合
物へのチアゾール環化反応は、チオアミドからチアゾー
ルを合成する一般的方法で行うことができる。化学量論
的には、上記式(VII)で表される化合物と上記式(VII
I)で表される化合物との等モル反応であるが、通常、
後者を前者に対して、0.1〜10倍、好ましくは、
0.5〜2倍使用して行う。
【0079】このチアゾール環化反応は、通常、有機溶
媒存在下で行われる。好ましい溶媒としては、エタノー
ル、ベンゼンなどを挙げることができる。
【0080】このチアゾール環化反応を実施する反応温
度は、溶液が液状である範囲内であればよいが、通常、
20〜100℃程度で行う。反応時間は反応温度より異
なるが、10分〜24時間程度である。
【0081】反応後、得られた生成物は、通常の手段に
より、反応液から分離・精製される。例えば、抽出、洗
浄、クロマトグラフィー、再結晶、あるいは、これらの
組み合わせにより行われる。
【0082】
【実施例】
[実施例1]2,3−ジメトキシ−5−ブロモ−2,3−ジヒドロベ
ンゾ(b)フランの合成 2,3−ジメトキシ−2,3−ジヒドロベンゾフラン
(メトキシ基のシス・トランス混合物)298mg、臭
素化ナトリウム760mg、リン酸1ナトリウム102
mgを単一型電解セルに入れ、アセトニトリル9mLと
水1mLの混合溶媒に溶解した。そのセルに陽極・陰極
として2枚の白金電極設置し、定電流(20mA/cm
2)で4.3F/mol通電した。
【0083】溶媒のアセトニトリルを減圧下留去した
後、酢酸エチルで抽出した。抽出液は無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した後、減圧下濃縮し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製を実施し、2,3−ジメトキシ
−5−ブロモ−2,3−ジヒドロベンゾ(b)フランを
得た。トランス体は111mg(26%)、シス体は8
9mg(21%)であった。1 H-NMR(δppm, 200 MHz, CDCl3) [トランス体] 3.43 (s, 3H) 3.55 (s, 3H) 4.62 (s, 1H) 5.42 (s, 1H) 6.78 (d, J = 8.8 Hz, 1H) 7.39 (d, J = 6.7 Hz, 1H) 7.49 (s, 1H) [シス体] 3.54 (s, 3H) 3.63 (s, 3H) 4.88 (d, J = 5.1 Hz, 1H) 5.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H) 6.73 (d, J = 8.5 Hz, 1H) 7.35 (d, J = 6.8 Hz, 1H) 7.45 (s, 1H)
【0084】[実施例2]5−ブロモ−2−イソブチロキシベンズアルデヒドの合
5−ブロモサリチルアルデヒド4.02g、炭酸カリウ
ム13.8g、ヨウ化カリウム1.66gをジメチルホ
ルムアミド50mlで懸濁液とし、70℃に加熱した
後、1−ブロモ−2−メチルプロパン10.9mlを滴
下した。滴下後、反応溶液を、70℃のまま4時間攪拌
した。
【0085】反応溶液を熱いまま、ガラスフィルターで
ろ過し、不溶物を除いた後、溶媒を留去した。その濃縮
液に水30mlを加えた後、tert-ブチルエーテルで抽
出した。その抽出液は飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネ
シウムで乾燥した。その後、減圧濃縮したものを、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで精製を実施し、5−
ブロモ−2−イソブチロキシベンズアルデヒドを3.7
3g(73%)得た。1 H-NMR(δppm, 200 MHz, CDCl3) 1.06 (d, J = 6.6 Hz, 6H) 2.0 - 2.3 (m, 1H) 3.83 (d, J = 6.4 Hz, 2H) 6.88 (d, J = 8.9 Hz, 1H) 7.61 (dd, J = 2.7 & 9.0 Hz, 1H) 7.93 (d, J = 2.6 Hz, 1H) 10.45 (s, 1H)
【0086】[実施例3]5−シアノ−2−イソブチロキシベンズアルデヒドの合
青酸カリウム1.30g、[1,1’−ビス(ジフェニ
ルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)クロライド
684mg、亜鉛(粉末)196mgをDMF40ml
に溶解して室温で30分間攪拌した。そこに、5−ブロ
モ−2−イソブチロキシベンズアルデヒド2.57gの
DMF(25ml)溶液を加えた。その反応溶液を80
℃に加熱して、16時間攪拌した。
【0087】反応液を室温まで冷却した後、反応液にメ
チルtert-ブチルエーテルと水を加え分液した。水層は
メチルtert-ブチルエーテルで抽出し、有機層と合わせ
た。その有機溶液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシ
ウムで乾燥した。その後、減圧濃縮したものを、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーで精製を実施し、5−シ
アノ−2−イソブチロキシベンズアルデヒドを0.50
g(37%)得た。1 H-NMR(δppm, 200 MHz, CDCl3) 1.09 (d, J = 6.8 Hz, 6H) 2.1 - 2.3 (m, 1H) 3.93 (d, J = 6.4 Hz, 2H) 7.07 (d, J = 8.8 Hz, 1H) 7.79 (dd, J = 2.2 & 8.8 Hz, 1H) 8.12 (d, J = 2.3 Hz, 1H) 10.48 (s, 1H)
【0088】[実施例4]3−ホルミル−4−イソブチロキシチオベンズアミドの
合成 105%ポリリン酸2.2g、チオアセトアミド370
mgを90℃に加熱し、内容物を溶解させた。そこに5
−シアノ−2−イソブチロキシベンズアルデヒド500
mgを入れた。そのままの温度で、4時間攪拌をした。
反応液を少し冷やした(内温が50〜70℃)後、フラ
スコに酢酸エチルと水を加えた。さらに、その混合溶液
を水冷して室温まで冷やし、酢酸エチルと水を追加し、
その懸濁液を室温で20分攪拌した。
【0089】不溶物を濾紙でろ別した後、ろ液を分液ロ
ートに移し、分液し水層を除いた。有機層は水で洗浄
後、硫酸マグネシウムで乾燥した。そして減圧濃縮した
ものを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製
し、3−ホルミル−4−イソブチロキシチオベンズアミ
ドを140mg(24%)得た。1 H-NMR(δppm, 200 MHz, CDCl3) 1.08 (d, J = 6.7 Hz, 6H) 2.0 - 2.4 (m, 1H) 3.93 (d, J = 6.5 Hz, 2H) 7.03 (d, J = 8.9 Hz, 1H) 7.19 (d, J = 2.6 Hz, 1H) 8.43 (d, J = 2.6 & 8.9 Hz, 1H) 10.51 (s, 1H)
【0090】[実施例5]2−(3−ホルミル−4−イソブチロキシフェニル)−
5−メチルチアゾールカルボン酸エチルの合成 3−ホルミル−4−イソブチロキシチオベンズアミド1
40mgをエタノール10mlに溶解し、その溶液に2
−クロロアセト酢酸エチル180μlを入れ、6時間還
流させた。反応液が室温になるまで冷やした後、濃縮
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2
−(3−ホルミル−4−イソブチロキシフェニル)−5
−メチルチアゾールカルボン酸エチルを143mg(7
0%)得た。1 H-NMR(δppm, 200 MHz, CDCl) 1.09 (d, J = 6.7 Hz, 6H) 1.39 (t, J = 7.1 Hz, 3H) 2.0 − 2.4 (m, 1H) 2.78 (s, 3H) 3.93 (d, J = 6.4 Hz, 2H) 4.35 (q, J = 7.3 Hz, 2H) 7.06 (d, J = 9.0 Hz, 1H) 8.23 (dd, J = 2.5 & 8.8 H
z, 1H) 8.36 (d, J = 2.4 Hz, 1H) 10.54 (s, 1H)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 [式中、ふたつのR1は同一または異なって、水素原子
    または炭素数5以下のアルキル基を表し、Xはハロゲン
    原子、水酸基、炭素数7以下のアルカンスルホニルオキ
    シ基、またはシアノ基を表す。]で表される2,3−ジ
    ヒドロベンゾ(b)フラン誘導体。
  2. 【請求項2】 下記式(II) 【化2】 [式中、R1は上記式(I)における定義と同じ。]で
    表されるジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体を電解ハロ
    ゲン化することを特徴とする、上記式(I)で表される
    2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 下記式(III) 【化3】 [式中、Xは上記式(I)における定義と同じ。]で表
    されるベンゾ(b)フラン誘導体を電解アルコキシ化す
    ることを特徴とする、上記式(I)で表される2,3−
    ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記式(I)で表される2,3−ジヒド
    ロベンゾ(b)フラン誘導体を出発物質として、下記工
    程1、工程2、工程3、および工程4を順次実施するこ
    とを特徴とする、下記式(IV) 【化4】 [式中、R2は水素原子、または、無置換もしくは置換
    された炭素数10以下の鎖状もしくは環状のアルキル基
    を表す。R3は無置換もしくは置換された炭素数6以下
    のアルキル基、または、無置換もしくは置換されたフェ
    ニル基を表す。R4は炭素数6以下のアルコキシ基を表
    す。]で表される2−(3−シアノフェニル)チアゾー
    ル誘導体の製造方法。 A.工程1 上記式(I)で表される2,3−ジヒドロベンゾ(b)
    フラン誘導体を出発物質とし、置換基Xの種類に応じて
    下記工程1−1、工程1−2、工程1−3、または工程
    1−4のいずれかを実施することにより、下記式(V) 【化5】 [式中、X’はハロゲン原子またはシアノ基を表す。]
    で表されるサリチルアルデヒド誘導体を製造する工程。工程1−1:上記式(I)で表される化合物において、
    Xがハロゲン原子の場合 2,3−ジヒドロベンゾ(b)
    フラン環を酸化開裂させ、上記式(V)で表されるサリ
    チルアルデヒド誘導体(X’がハロゲン原子であるも
    の)を得る工程。工程1−2:上記式(I)で表される化合物において、
    Xが水酸基の場合 該水酸基をアルカンスルホニルオキシに変換した後、金
    属シアニドと反応させてシアノ基へ変換し、Xがシアノ
    基である上記式(I)で表される化合物を得る。次に、
    2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン環を酸化開裂さ
    せ、上記式(V)で表されるサリチルアルデヒド誘導体
    (X’がシアノ基であるもの)を得る工程。工程1−3:上記式(I)で表される化合物において、
    Xがアルカンスルホニルオキシ基の場合 該アルカンスルホニルオキシを金属シアニドと反応させ
    てシアノ基へ変換し、Xがシアノ基である上記式(I)
    で表される化合物を得る。次に、2,3−ジヒドロベン
    ゾ(b)フラン環を酸化開裂させ、上記式(V)で表さ
    れるサリチルアルデヒド誘導体(X’がシアノ基である
    もの)を得る工程。工程1−4:上記式(I)で表される化合物において、
    Xがシアノ基の場合 2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン環を酸化開裂さ
    せ、上記式(V)で表されるサリチルアルデヒド誘導体
    (X’がシアノ基であるもの)を得る工程。 B.工程2 工程1で得られた上記式(V)で表されるサリチルアル
    デヒド誘導体を出発物質とし、置換基X’の種類に応じ
    て下記工程2−1または工程2−2のいずれかを実施す
    ることにより、下記式(VI) 【化6】 [式中、R2は水素原子、または、無置換もしくは置換
    された炭素数10以下の鎖状もしくは環状のアルキル基
    を表す。]で表されるサリチルアルデヒド誘導体を製造
    する工程。工程2−1:化合物VのX’がハロゲン原子の場合 工程1における2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン環
    の酸化開裂反応で新たに生成した水酸基を、無置換また
    は置換された炭素数10以下の鎖状もしくは環状のアル
    キルハライドと反応させる。次に、これを金属シアニド
    と反応させ、上記式(VI)で表されるサリチルアルデヒ
    ド誘導体(R2が無置換もしくは置換された炭素数10
    以下の鎖状もしくは環状のアルキル基であるもの)を得
    る工程。工程2−2:化合物VのX’がシアノ基の場合 工程1における2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン環
    の酸化開裂反応で新たに生成した水酸基を、無置換また
    は置換された炭素数10以下の鎖状もしくは環状のアル
    キルハライドと反応させることにより、上記式(VI)で
    表されるサリチルアルデヒド誘導体(R2が無置換もし
    くは置換された炭素数10以下の鎖状もしくは環状のア
    ルキル基であるもの)を得る工程、あるいはX’がシア
    ノ基である上記式(V)で表される化合物自体を上記式
    (VI)で表されるサリチルアルデヒド誘導体(R2が水
    素原子であるもの)として工程3に進む。 C.工程3 工程2で得られた上記式(VI)で表されるサリチルアル
    デヒド誘導体とチオアセトアミドを反応させることによ
    り、下記式(VII) 【化7】 [式中、R2は上記式(VI)におけるR2の定義と同
    じ。]で表されるチオベンズアミド誘導体を製造する工
    程。 D.工程4 工程3で得られた上記式(VII)で表されるチオベンズ
    アミド誘導体と、下記式(VIII) 【化8】 [式中、R3は無置換もしくは置換された炭素数6以下
    のアルキル基、または、無置換もしくは置換されたフェ
    ニル基を表す。R4は炭素数6以下のアルコキシ基を表
    し、Yはハロゲン原子を表す。]で表される2−ハロゲ
    ン化−β−ケトエステル誘導体とを反応させることによ
    り、上記式(IV)で表される2−(3−シアノフェニ
    ル)チアゾール誘導体を製造する工程。
  5. 【請求項5】 上記式(I)において、Xが臭素原子で
    ある請求項1記載の2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラ
    ン誘導体。
  6. 【請求項6】 上記式(I)において、Xがシアノ基で
    ある請求項1記載の2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラ
    ン誘導体。
  7. 【請求項7】 電解ハロゲン化が電解臭素化である請求
    項2記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記式(III)において、Xがシアノ基
    である請求項3記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記式(I)においてXが臭素原子であ
    る2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体を出発物
    質とする、請求項4記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記式(I)においてXがシアノ基で
    ある2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体を出発
    物質とする、請求項4記載の製造方法。
JP9263538A 1997-09-29 1997-09-29 2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体および医薬品の製造方法 Withdrawn JPH11100376A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9263538A JPH11100376A (ja) 1997-09-29 1997-09-29 2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体および医薬品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9263538A JPH11100376A (ja) 1997-09-29 1997-09-29 2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体および医薬品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11100376A true JPH11100376A (ja) 1999-04-13

Family

ID=17390943

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9263538A Withdrawn JPH11100376A (ja) 1997-09-29 1997-09-29 2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体および医薬品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11100376A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103880775A (zh) * 2012-12-21 2014-06-25 安徽省庆云医药化工有限公司 化合物2-(3-醛基-4-异丁氧基苯基)-4-甲基噻唑-5-甲酸乙酯及非布索坦的制备方法
CN111020622A (zh) * 2019-11-01 2020-04-17 五邑大学 一种含C(sp2)-Br键化合物的制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103880775A (zh) * 2012-12-21 2014-06-25 安徽省庆云医药化工有限公司 化合物2-(3-醛基-4-异丁氧基苯基)-4-甲基噻唑-5-甲酸乙酯及非布索坦的制备方法
CN111020622A (zh) * 2019-11-01 2020-04-17 五邑大学 一种含C(sp2)-Br键化合物的制备方法
CN111020622B (zh) * 2019-11-01 2020-10-27 五邑大学 一种含C(sp2)-Br键化合物的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7179928B2 (en) Synthesis of triphenylphosphonium quinols and quinones
US4834846A (en) Process for deblocking N-substituted β-lactams
CN105772094A (zh) 一种手性氮杂环卡宾类催化剂及其应用
EP0065368B1 (en) A process for preparing chromans
CN112500339B (zh) 一种8-酰基喹啉衍生物的合成方法
JPH11100376A (ja) 2,3−ジヒドロベンゾ(b)フラン誘導体および医薬品の製造方法
JPH0632780A (ja) 不斉還元方法
JP2021176823A (ja) ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体の製造方法および新規なジベンゾ[g,p]クリセン誘導体
JP6598573B2 (ja) 新規なベンゾインデノフルオレノピラン類及びその製造方法
JP2010064976A (ja) 新規シロール化合物及びその製造方法
Toyota et al. Unexpected formation of 4, 7-dihalobenzo [b] thiophenes using Ohira-Bestmann reagent and reactivity of the halogen-substituted benzo [b] thiophenes in Suzuki-Miyaura coupling with phenylboronic acid
CN114539197B (zh) 一种3-位氟烷基取代色酮衍生物的合成方法
RU2221805C1 (ru) Способ получения трифенилфосфина
Sugimoto et al. Hydrobromic acid‐dimethyl sulfoxide reagent for dealkylation of 5, 10‐dialkyl‐5, 10‐dihydrophenazines: Synthesis of 10‐alkyl‐2 (10H)‐phenazinones
JP4902247B2 (ja) 2−(1−ベンゾチオフェン−5−イル)エタノールの新規製造法およびその中間体
JP2002145842A (ja) 光学活性コバルト(ii)、及びコバルト(iii)錯体、その製造中間体
EP0915073B1 (en) Process for producing optically active isomers of tricyclic compounds
JP7194404B1 (ja) D-ルシフェリン及びd-ルシフェリン誘導体、並びにこれら化合物の前駆体、並びにこれらの製造方法
CN117702140A (zh) 一种四取代烯烃类化合物合成方法
JP3817478B2 (ja) 3,3−ジフェニル−2,3−エポキシプロピオン酸エステルのエナンチオ選択的製造方法
JP4605321B2 (ja) 光学活性オキサゾリン化合物及び該化合物を用いる光学活性アリルアルコール誘導体の製造法
JPH0561355B2 (ja)
KR101519011B1 (ko) 비스무트 촉매를 이용한 피라노쿠마린 유도체의 제조방법
JPH0680658A (ja) 置換ペンタアルキルクロメンの製造方法
CN116715646A (zh) 一种银催化三组分串联制备3-有机硒功能化色酮类化合物的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040428

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20070115