JP5583737B2 - 空気入りタイヤの試験方法 - Google Patents

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Description

本発明は空気入りタイヤの試験方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、空気入りタイヤの劣化を促進させたうえで耐久性を評価する試験方法に関する。
例えば、乗用車用タイヤ等の空気入りタイヤには、市場における損傷の形態として、その長期使用の末に、そのトレッドにTGC(トレッドグルーブクラック)の発生が見られることがある。TGCとは、タイヤトレッドの溝の底部が繰り返し歪みによって疲労することにより、この溝の底部にクラックが発生する現象をいう。このTGCは、主に紫外線や大気中のオゾンによってトレッドの表面が劣化することにより、発生しやすくなる。TGCという損傷は、空気入りタイヤの耐久性に大きな影響を及ぼす。
一方、従来、タイヤの耐久試験として、駆動ドラムを有する台上試験装置を用いた、タイヤの走行試験が実施されている。走行試験に先立ち、供試タイヤには、加熱による劣化処理、オゾンや酸素による劣化処理等が施されることがある。これらの処理は、供試タイヤの劣化を促進することにより、市場におけるタイヤの損傷を再現する意図がある。このような試験により、タイヤの耐久性の評価がなされている。
特開2006−84290号公報には、タイヤのサイド部に生じる亀裂を再現する試験方法が開示されている。この公報に開示された再現試験には、内圧が充填された供試タイヤが、高温の室内に長期間放置されるステップ、及び、高濃度のオゾン雰囲気下で供試タイヤの走行試験が実施されるステップが含まれる。この公報に開示された試験では、試験期間が長くなってしまう。また、走行試験装置をオゾン雰囲気に囲い込む設備が必要となる。目的としたタイヤの部位での損傷の発生より先に、他の部位に損傷が生じる可能性もある。
特開2006−117168号公報には、タイヤのビード部の損傷に対する耐久性を評価する試験方法が開示されている。この公報に開示された耐久試験では、内部に酸素が充填された供試タイヤが、高温の室内に2ヶ月間放置され、次いで、この供試タイヤが、高荷重を負荷された状態で走行試験に供される。この場合、各処理及び走行試験に費やされる期間が長くなる。その結果、劣化の判断に時間がかかりすぎることになる。その結果、目的とした損傷以外の損傷が発生してしまうおそれがある。この場合、目的とした損傷が発生するまでの試験を継続することができなくなる。
特開2006−84290公報 特開2006−117168公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、市場におけるタイヤの、表面劣化を促進し、トレッドグルーブクラック等の表面クラックを再現することにより、タイヤの耐久性を迅速に評価することのできる空気入りタイヤの試験方法を提供することを目的としている。
本発明に係る空気入りタイヤの試験方法は、
内圧が充填された供試タイヤを、高温雰囲気下に保持する熱劣化処理ステップと、
この熱劣化処理が施され且つ内圧が充填された上記供試タイヤを、オゾン雰囲気下に保持するオゾン劣化処理ステップと、
このオゾン劣化処理が施された上記供試タイヤを、台上試験装置により、試験内圧が充填され且つ試験荷重が負荷された状態で回転させる走行ステップとを含んでおり、
上記オゾン劣化処理ステップと走行ステップとが、その順に、1回以上繰り返される。
好ましくは、上記オゾン劣化処理ステップにおいて、供試タイヤの保持温度が16℃以上24℃以下であり、供試タイヤの保持時間が2.0日以上4.0日以下であり、オゾンの濃度が30pphm以上70pphm以下である。
好ましくは、上記熱劣化処理ステップにおいて、供試タイヤの保持温度が65℃以上95℃以下であり、供試タイヤの保持時間が2.0日以上4.0日以下である。
好ましくは、上記走行ステップにおいて、供試タイヤに負荷される試験荷重が、規格荷重の130%以上170%以下であり、供試タイヤの走行速度が85km/h以上115km/h以下であり、供試タイヤの走行距離が800km以上1200km以下である。
好ましくは、上記オゾン劣化処理ステップと走行ステップとの繰り返し回数が、3回以下である。
本発明に係る空気入りタイヤの試験方法によれば、市場において発生するタイヤのトレッドグルーブクラック等の表面クラックを短期間で再現することができ、これにより、タイヤの耐久性を迅速に評価することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る試験方法の実行に供されるタイヤの一例を概略的に示す部分断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る試験方法の実行に用いられる試験装置の一例を概略的に示す斜視図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
[供試タイヤ]
図1には、耐久性の評価対象となりうる空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面に垂直な方向が周方向である。図1に示された空気入りタイヤ2は、一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。図1には主要部材のみが示されている。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10及びベルト12を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着されうる。
トレッド4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4の外周面は、路面と接地するトレッド面18を構成する。トレッド面18には、溝20が刻まれている。この溝20により、トレッドパターンが形成されている。市場においては、タイヤ2の長期使用に伴う劣化のため、この溝20の底部にクラック(TGC)が発生することがある。
ビード8は、コア14と、このコア14から半径方向外向きに延びるエイペックス16とを備えている。
カーカス10はカーカスプライ22からなる。カーカスプライ22は、並列された図示しない多数のコードとトッピングゴムとからなる。カーカスプライ22は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ22は、コア14の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
ベルト12は、カーカス10の半径方向外側に積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。このタイヤ2では、ベルト12は二層構造を有している。ベルト12は、二層構造には限定されず、一層でもよく、三層以上でもよい。
[タイヤ表面の劣化処理]
上記タイヤ2は耐久性評価のための走行試験に供せられる。この走行試験に先立って、供試タイヤ2には、外部クラックの発生を促進するための劣化処理が施される。この劣化処理は、供試タイヤ2の特性を、市場において表面劣化したタイヤの特性に、短期間で近づけるためのものである。この走行前の処理工程は、供試タイヤ2を加熱することによる熱劣化処理のステップ、及び、供試タイヤ2をオゾン雰囲気下に保持することによるオゾン劣化処理のステップを含む。以下、単に「劣化処理」という場合には、上記熱劣化処理及びオゾン劣化処理のいずれをも含むものとする。この前処理工程により、特に、タイヤ2のトレッド4等の表面が劣化させられる。この表面の劣化により、前述したタイヤ2のトレッドグルーブクラック等の表面クラックの発生が促進されうる。上記熱劣化処理のステップ及びオゾン劣化処理のステップが終了すると、次に走行試験が行われる。その後、後述するように、オゾン劣化処理と走行試験とがその順に、少なくとも1回繰り返して実施される。ドラム走行試験において損傷が効果的に進むのはタイヤの表面付近であるため、この繰り返しが大変有効である。
以下、上記劣化処理ステップのうちの熱劣化処理における、タイヤ2の処理内容が説明される。まず、タイヤ2が試験用のリムに組み込まれる。このタイヤ2の内部に、空気が充填される。このタイヤ2が、所定温度に維持されている乾熱オーブンの中に、所定の時間保持される。空気の充填により、タイヤ2の内圧は、180kPa以上250kPa以下とされるのが好ましい。タイヤ内圧が、180kPa未満では、タイヤの表面歪みが狙いより小さくなり、劣化の促進効果が低くなるため、次工程のドラム走行試験において損傷が発生しにくくなるおそれがある。一方、タイヤ内圧が、250kPaを超えると、タイヤ歪みの分布が変化するおそれがある。この場合、ドラム走行試験において、狙いの損傷であるTGC以外の損傷(例えば、後述するビードルース等)が発生する可能性がある。
タイヤ2は、リムに装着され且つ上記内圧が維持された状態で加熱される。タイヤ2は、内部温度が65℃以上95℃以下の乾熱オーブン内に、2.0日間以上4.0日間以下の時間保持されるのが好ましい。タイヤ2の保持温度が65℃未満か、又は、保持時間が2.0日間未満であると、タイヤの劣化が進まず、ドラム走行試験において損傷が発生しにくくなるおそれがある。一方、タイヤ2の保持温度が95℃を超えるか、又は、保持時間が4.0日間を超えると、タイヤの劣化が進みすぎ、ドラム走行試験において損傷の程度の差を検知することが容易ではなくなるおそれがある。
以上の熱劣化処理が施されたタイヤ2に対し、前述したオゾン劣化処理が施される。この熱劣化処理とオゾン劣化処理とを順に実施することにより、タイヤ表面に存在しているいわゆる老化防止剤を析出させ、分解することができる。この老化防止剤の分解により、タイヤ表面の劣化促進、及び、走行試験でのクラック発生が容易となる。オゾン劣化処理工程では、タイヤ2の内部に、空気が充填される。このタイヤ2が、所定温度に維持され、且つ、所定濃度に維持されたオゾン雰囲気の密閉室内に、所定の時間保持される。タイヤ2の内圧は、上記熱劣化処理におけると同じで、180kPa以上250kPa以下とされるのが好ましい。タイヤ内圧が、180kPa未満では、タイヤの表面歪みが狙いより小さくなり、劣化の促進効果が低くなるため、ドラム走行試験において損傷が発生しにくくなるおそれがある。一方、タイヤ内圧が、250kPaを超えると、タイヤ歪みの分布が変化するおそれがある。この場合、ドラム走行試験において、狙いの損傷であるTGC以外の損傷が発生する可能性がある。
上記オゾン濃度は、30pphm以上70pphm以下であるのが好ましい。オゾン濃度が、30pphm未満では、タイヤの劣化が進まず、ドラム走行試験においてクラックの発生の頻度が著しく低下するおそれがある。一方、オゾン濃度が、70pphmを超えると、クラックの発生の頻度が高くなりすぎ、ドラム走行試験において損傷の程度の差を検知することが容易ではなくなるおそれがある。
上記保持温度は、16℃以上24℃以下であるのが好ましい。上記保持時間は、2.0日間以上4.0日間以下であるのが好ましい。タイヤ2の保持温度が16℃未満であるか、又は、保持時間が2.0日間未満であると、タイヤの劣化の促進効果が低くなり、ドラム走行試験において損傷が発生しにくくなるおそれがある。一方、タイヤ2の保持温度が24℃を超えるか、又は、保持時間が、4.0日間を超えると、タイヤの劣化が進みすぎ、ドラム走行試験において損傷の程度の差を検知することが容易ではなくなるおそれがある。
以上の劣化処理工程により、市場におけるタイヤの表面劣化が、供試タイヤ2に再現されうる。このタイヤ2は、表面損傷、特にTGCに対する耐久性能を評価するための走行試験に供される。
[走行試験装置]
図2が参照されつつ、以下に、上記タイヤ2の表面損傷、特にTGCに対する耐久性能を評価するための試験方法(以下、評価方法ともいう)が説明される。図2には、本実施形態に係る評価方法の実行に用いられる試験装置32が示されている。この試験装置32は、タイヤ2の走行試験を行うための装置である。この試験装置32は、供試タイヤ2が装着される試験用の規定リム34、このリム34を支持する支持装置36、及び、供試タイヤ2を回転駆動する駆動ドラム38を備えている。
リム34は、支持装置36の回転軸40に、回転可能に支持される。支持装置36は、図示しない回転駆動装置及びブレーキ機構を備えている。支持装置36は、この回転軸40を、回転自在にすること、駆動ドラム38に依らずに回転駆動すること、及び、拘束する(ブレーキをかける)ことが可能である。支持装置36のこれらの作用により、供試タイヤ2の、加速、減速及び回転停止が可能となる。支持装置36及び駆動ドラム38は試験架台32aに設置されている。駆動ドラム38は、図示しない電動モータによって回転させられる。支持装置36は、図示しない流体圧シリンダ等の昇降装置により、タイヤ2を上下動させうる。その結果、タイヤ2は、駆動ドラム38に対して離間及び接近することができる。リム34に装着された供試タイヤ2は、上記昇降装置により、駆動ドラム38に押圧させられ、所定荷重が負荷される。供試タイヤ2は、この状態で、駆動ドラム38によって回転駆動されうる。
[走行試験]
走行試験には、上記試験装置32が用いられる。この走行試験は台上試験とも呼ばれる。この走行試験は、上記劣化処理が施されたタイヤ2に対して行われる。この試験は、タイヤ2の走行ステップである。タイヤ2が装着された試験用のリム34は、支持装置36の回転軸40に取り付けられる。タイヤ2に所定の試験内圧が充填された上で、走行試験が開始される。タイヤ2は、支持装置36により、駆動ドラム38の外周面に、所定の試験荷重で押圧される。タイヤ2は、この状態で、後述する所定速度(走行試験速度)で走行させられる。走行の終了後、このタイヤ2の損傷状態が確認される。
走行ステップでは、試験内圧及び試験荷重が負荷された状態のタイヤ2が、試験装置32上で回転させられる。タイヤ2に供給される試験内圧は、220kPa以上300kPa以下とされるのが好ましい。タイヤ内圧が、220kPa未満では、タイヤ歪みの分布が変化するおそれがある。この場合、狙いの損傷であるTGC以外の損傷(例えば、後述するSWC等)が発生する可能性がある。一方、タイヤ内圧が、300kPaを超えると、タイヤ表面の歪みが高くなりすぎるおそれがある。この場合、供試タイヤ同士の仕様の差より、上記表面歪みによる損傷の発生の方が支配的となり、タイヤの仕様の差に基づく損傷の差を検知することが容易ではなくなる。
走行試験において、タイヤ2が駆動ドラム38の外周面に押圧される試験荷重は、規格に規定された最大内圧時の最大荷重の130%以上170%以下とされるのが好ましい。規格に規定された最大内圧時の最大荷重とは、例えば、JATMAの「空気圧−負荷能力対応表」に規定された荷重値である。試験荷重が、最大内圧時の最大荷重の130%未満では、走行によるタイヤの表面歪みの変化が小さくなり、タイヤに損傷が発生しにくくなるおそれがある。一方、試験荷重が、最大内圧時の最大荷重の170%を超えると、走行によるタイヤの表面歪みの変化が大きくなりすぎ、タイヤの仕様の差に基づく損傷の差を検知することが容易ではなくなる。
この走行試験におけるタイヤ2の走行速度は、85km/h以上115km/h以下とされるのが好ましい。走行速度が、85km/h未満では、走行によるタイヤの表面歪みの変化が小さくなり、タイヤに損傷が発生しにくくなるおそれがある。一方、走行速度が、115km/hを超えると、走行によるタイヤの表面歪みの変化が大きくなりすぎ、タイヤの仕様の差に基づく損傷の差を検知することが容易ではなくなる。
この走行試験におけるタイヤ2の走行距離は、800km以上1200km以下とされるのが好ましい。走行距離が、800km未満では、回転によってタイヤに生じる歪みの変化の回数が少なく、損傷の個数が少なくなるおそれがある。この場合、得られたデータの信頼性が低くなる。一方、走行速度が、1200kmを超えると、回転によってタイヤに加わる歪みの変化の回数が多くなりすぎるおそれがある。この場合、タイヤの仕様の差に基づく損傷の差を検知することが容易ではなくなる。走行試験時の雰囲気温度は、25℃から35℃の範囲であるのが好ましい。
上記走行試験が終了すると、その供試バルブ2に対して、再び、前述のオゾン劣化処理と上記走行試験とが、その順に繰り返して実施される。繰り返されるオゾン劣化処理の処理条件、及び、繰り返される走行試験の試験条件は、いずれも前述した各条件と同じである。前述した劣化処理により、タイヤ表面に存在している老化防止剤が析出され、分解されうる。その結果、タイヤ2の劣化が促進され、次のステップである走行試験において、タイヤ表面のクラックの発生が容易となる。しかし、このクラックは、タイヤ表面の分解された老化防止剤の層を通過した後、内部への進行が鈍化する。このタイヤ2に、上記オゾン劣化処理が繰り返して行われることにより、クラックの底部の老化防止剤が析出し、分解される。この繰り返し実施が、上記劣化の促進、走行試験でのクラックの進行を容易にする。
上記オゾン劣化処理及び走行試験の繰り返し回数は、1回以上3回以下が好ましい。返し回数が、3回を超えると、タイヤの損傷の発生が過度となり、タイヤの仕様の差に基づく損傷の差を検知することが容易ではなくなる。
繰り返された走行試験が終了した後の供試タイヤ2に対して、その損傷の状況が、目視検査及び寸法検査によって確認され、その結果が記録される。これらの記録から、タイヤ2の表面クラックに対する耐久性能が比較、評価される。また、市場におけるタイヤの表面クラックであるTGCが、供試タイヤ2に再現されているか否かが確認される。これは、以下の実施例により明らかである。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
実施例1としての乗用車用ラジアルタイヤに対し、前述した熱劣化処理及びオゾン劣化処理が施された。この実施例1のタイヤのサイズは195/65R15である。劣化処理の要領は前述したとおりである。この実施例1のタイヤに対する熱劣化処理の条件(保持温度、タイヤ内圧、保持時間)、及び、オゾン劣化処理の条件(保持温度、タイヤ内圧、オゾン濃度、保持時間)は表1に示される。表には、オゾンがOと表示されている。これら劣化処理が終了した実施例1のタイヤに対し、前述した走行試験が行われた。試験用リムは、規定の15x6Jである。走行試験条件(試験荷重、タイヤ内圧、走行速度、雰囲気温度、走行距離)は表1に示される。ここで、試験荷重である規格に規定された最大内圧時の最大荷重の例えば150%は、8.15kNとなる。走行試験が終了した実施例1のタイヤに、上記オゾン劣化処理及び走行試験が、その順に、2回繰り返して実施された。繰り返されたオゾン劣化処理の処理条件、及び、繰り返された走行試験の試験条件は、表1に記載された条件と同じである。この繰り返しのオゾン劣化処理及び走行試験が終了した実施例1のタイヤに対し、その損傷が、目視検査及び寸法検査によって確認された。確認された損傷の種類が表1に示される。また、損傷(クラック)の長さが、指標によって表1に示される。この指標とは、基準となるTGC対策済みのサンプルタイヤに発生した亀裂の長さを1としたときの、供試タイヤ(ここでは実施例1)に発生した亀裂の長さの逆数×100である。従って、指数が100に近いほど、上記対策済みサンプルタイヤに近いということになる。すなわち、指数が100に近いほど、タイヤの劣化は無いか又は軽いものであり、市場の再現ができていないと判断できる。調査によれば、市場においてTGCが発生したタイヤの亀裂長の逆数×100(指数)は、80以下である。また、上記亀裂の長さとは、1mm以上である複数のクラックの長さの合計をいう。
[実施例2−9]
実施例2から9としての各タイヤに対し、前述した熱劣化処理、オゾン劣化処理及び走行試験が実施された。この走行試験後には、オゾン劣化処理及び走行試験がその順に繰り返し実施された。熱劣化処理の条件、オゾン劣化処理の条件、走行試験の条件、並びに、上記オゾン劣化処理及び走行試験の繰り返し回数は表1及び表2に示されるとおりである。その他の試験要領、タイヤのサイズ、及び、損傷の確認検査要領は、前述した実施例1におけると同じである。各実施例についての損傷の種類、及び、クラックの長さ(指標)は表1及び表2に示される。
[比較例1]
比較例1としてのタイヤに対し、前述した熱劣化処理、オゾン劣化処理及び走行試験が実施された。この比較例1に対しては、オゾン劣化処理及び走行試験の繰り返し実施は行われなかった。熱劣化処理の条件、オゾン劣化処理の条件及び走行試験の条件は表3に示されるとおりである。その他の試験要領、タイヤのサイズ、及び、損傷の確認検査要領は、前述した実施例1におけると同じである。損傷の種類、及び、クラックの長さ(指標)は表3に示される。
[比較例2]
比較例2としてのタイヤに対し、前述した熱劣化処理及び走行試験が実施された。この比較例2に対しては、オゾン劣化処理は実施されなかった。オゾン劣化処理及び走行試験の繰り返し実施も行われなかった。熱劣化処理の条件及び走行試験の条件は表3に示されるとおりである。その他の試験要領、タイヤのサイズ、及び、損傷の確認検査要領は、前述した実施例1におけると同じである。損傷の種類、及び、クラックの長さ(指標)は表3に示される。
[比較例3]
比較例3としてのタイヤに対し、前述したオゾン劣化処理及び走行試験が実施された。この比較例3に対しては、熱劣化処理は実施されなかった。オゾン劣化処理及び走行試験の繰り返し実施も行われなかった。オゾン劣化処理の条件及び走行試験の条件は表3に示されるとおりである。その他の試験要領、タイヤのサイズ、及び、損傷の確認検査要領は、前述した実施例1におけると同じである。損傷の種類、及び、クラックの長さ(指標)は表3に示される。
[比較例4]
比較例4としてのタイヤに対しては、前述した走行試験のみが実施された。この比較例4に対しては、熱劣化処理及びオゾン劣化処理ともに実施されなかった。オゾン劣化処理及び走行試験の繰り返し実施も行われなかった。走行試験の条件は表3に示されるとおりである。その他の試験要領、タイヤのサイズ、及び、損傷の確認検査要領は、前述した実施例1におけると同じである。損傷の種類、及び、クラックの長さ(指標)は表3に示される。
[比較例5]
比較例5としてのタイヤに対し、前述した熱劣化処理、オゾン劣化処理及び走行試験が実施された。この比較例5に対しては、オゾン劣化処理及び走行試験の繰り返し実施は行われなかった。熱劣化処理の条件、オゾン劣化処理の条件及び走行試験の条件は表3に示されるとおりである。熱劣化処理の条件は実施例1のそれと同じである。オゾン劣化処理の条件は、その保持時間を除いて実施例1のそれと同じである。オゾン劣化処理における保持時間は、9.0日間であり、実施例1の3.0日間の3倍である。実施例1では、オゾン劣化処理が2回繰り返される。従って、比較例5の保持時間は、実施例1の累積保持時間と実質的に同じとなる。走行試験の条件は、その走行距離を除いて実施例1のそれと同じである。走行距離は、3000kmであり、実施例1の1000kmの3倍である。実施例1では、走行試験が2回繰り返される。従って、比較例5の走行距離は、実施例1の累積走行距離と実質的に同じとなる。その他の試験要領、タイヤのサイズ、及び、損傷の確認検査要領は、前述した実施例1におけると同じである。損傷の種類、及び、クラックの長さ(指標)が表3に示される。
Figure 0005583737
Figure 0005583737
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[走行試験結果の評価]
損傷形態の評価の基準は、市場におけるタイヤのTGCのみの再現がなされているか否かである。TGC以外の損傷が発生すれば、TGC再現のために走行試験を継続することが不可能になることがある。亀裂長さの評価の基準は、前述した、市場においてTGCが発生したタイヤの指数の範囲、すなわち、80以下である。指数が80以下の例については、市場におけるTGCが再現されていると判断しうる。表1及び表2に示されるように、実施例1から9の全てに、TGCのみが発生している。亀裂長さの指数は、実施例1から9の全てについて80以下である。一方、表3に示されるように、比較例1及び5では、TGCの亀裂長さの評価基準を大きく超えている。また、比較例2では、SWC(サイドウォール表面のクラック)のみが発生している。比較例3では、TGCに加えてSWCが発生している。比較例4では、ビード部の内部のゴム層が剥離することによってその表面部分が膨出する、という損傷であるビードルースのみが発生しているものがある。このように、比較例1から5のいずれも、市場におけるTGCが再現されていないと判断しうる。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係る空気入りタイヤの試験方法は、特にタイヤのトレッドグルーブクラックに対する耐久性評価に好適である。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・コア
16・・・ビードエイペックス
18・・・トレッド面
20・・・溝
22・・・カーカスプライ
32・・・試験装置
34・・・リム
36・・・支持装置
38・・・駆動ドラム
40・・・(支持装置の)回転軸

Claims (5)

  1. 内圧が充填された供試タイヤを、高温雰囲気下に保持する熱劣化処理ステップと、
    この熱劣化処理が施され且つ内圧が充填された上記供試タイヤを、オゾン雰囲気下に保持するオゾン劣化処理ステップと、
    このオゾン劣化処理が施された上記供試タイヤを、台上試験装置により、試験内圧が充填され且つ試験荷重が負荷された状態で回転させる走行ステップとを含んでおり、
    上記オゾン劣化処理ステップと走行ステップとが、その順に、1回以上繰り返される空気入りタイヤの試験方法。
  2. 上記オゾン劣化処理ステップにおいて、供試タイヤの保持温度が16℃以上24℃以下であり、供試タイヤの保持時間が2.0日以上4.0日以下であり、オゾンの濃度が30pphm以上70pphm以下である請求項1に記載の空気入りタイヤの試験方法。
  3. 上記熱劣化処理ステップにおいて、供試タイヤの保持温度が65℃以上95℃以下であり、供試タイヤの保持時間が2.0日以上4.0日以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの試験方法。
  4. 上記走行ステップにおいて、供試タイヤに負荷される試験荷重が、規格荷重の130%以上170%以下であり、供試タイヤの走行速度が85km/h以上115km/h以下であり、供試タイヤの走行距離が800km以上1200km以下である請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤの試験方法。
  5. 上記オゾン劣化処理ステップと走行ステップとの繰り返し回数が、3回以下である請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤの試験方法。
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