JP6096485B2 - 空気入りタイヤの試験方法 - Google Patents

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Description

本発明は空気入りタイヤの試験方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、空気入りタイヤの劣化を促進させたうえで耐久性を評価する試験方法に関する。
例えば、ライトトラック用タイヤには、市場における損傷として、その使用期間の末期に、ブレーカ(ベルト)とカーカスプライとの剥離(B/Pセパレーション)、ブレーカ同士の剥離(B/Bセパレーション)等という内部損傷が発生することがある。タイヤは、長期間の使用により、その内部構成部材が酸素や熱によって劣化し、ベルトとカーカスプライとの間の剥離抗力、ベルト同士の間の剥離抗力等が低下する。B/BセパレーションやB/Pセパレーションは、剥離抗力が低下したタイヤに衝撃力が加わったときに発生しやすい。これらの損傷は、ライトトラック用タイヤの耐久性に大きな影響を及ぼす。
一方、従来、駆動ドラムを有する台上試験装置により、タイヤの耐久試験が実施されている。この試験は、例えば、JIS D4230の規定に準拠して実施されることがある。JIS D4230では、供試タイヤを、その内部に所定の空気圧を充填し、所定の荷重を負荷したうえで走行させる。しかしながら、JIS D4230に規定された試験方法には、市場におけるタイヤの経時劣化が考慮されていない。
前述したB/Bセパレーションは、タイヤの使用期間の末期において見られるものである。通常の台上試験装置による耐久試験において、市場でのB/Bセパレーションを再現するためには、長期間の走行が必要とされる。しかし、台上試験装置による耐久試験においてB/Bセパレーションが発生する前に、上記タイヤ外部に近い部分の損傷が発生する。この場合、B/Bセパレーションの再現が不可能になってしまう。
特開2003−161674公報には、タイヤの経年劣化に対する耐久性の評価を行うための試験方法が提案されている。このタイヤの耐久性評価試験は、供試タイヤを予め劣化させた上で、駆動ドラムを有する台上試験装置上で走行させるものである。供試タイヤの劣化には、タイヤに対する酸素の注入及び加熱がなされる。しかしながら、上記公報に開示された試験条件からすれば、この耐久試験は、タイヤの特定の内部劣化の再現を目的とした試験でないと考えられる。この条件下における試験では、タイヤのクラック等の外部損傷が発生しうる。このため、タイヤの内部損傷が再現し得ないこととなる。
特開2003−161674公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、市場におけるタイヤの、内部劣化を促進し、ベルト同士の剥離(B/Bセパレーション)という内部損傷を再現することにより、タイヤの耐久性を迅速に評価することのできる空気入りタイヤの試験方法を提供することを目的としている。
本発明に係る空気入りタイヤの試験方法は、
この供試タイヤに、酸素を含む気体を充填することにより内圧を加える酸素充填ステップと、
酸素が充填された供試タイヤを、65℃以上75℃以下の範囲の環境温度条件下で、14日間以上26日間以下の間保持されるゴム劣化ステップと、
ゴム劣化処理がなされた上記供試タイヤを、台上試験装置において、試験内圧及び試験荷重が負荷された状態で回転させる走行ステップとを含んでおり、
上記酸素充填ステップにおいて、充填される気体の酸素濃度が、気体の全圧に対する酸素の分圧の割合で表されて、70%以上100%以下であり、
上記走行ステップにおいて、供試タイヤに、1.2°以上1.8°以下のスリップ角が設定されている。
好ましくは、上記酸素充填ステップにおいて、上記充填される気体の酸素濃度が、90%以上100%以下である。
好ましくは、上記ゴム劣化ステップにおいて、供試タイヤが、上記環境温度条件下に16日間以上24日間以下の間保持される。
本発明に係る空気入りタイヤの試験方法によれば、市場において発生するタイヤのB/Bセパレーションという内部損傷を再現することができ、これにより、タイヤの内部劣化に対する耐久性を迅速に評価することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る試験方法の実行に供されるタイヤの一例を示す部分断面図である。 図2(a)は、タイヤのベルト同士の間の剥離抗力を測定するためのサンプル切り出し部位を概略的に示す斜視図であり、図2(b)は、上記サンプルから切り出されたテストピースを概略的に示す斜視図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る試験方法の実行に用いられる試験装置の一例を概略的に示す斜視図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
[供試タイヤ]
図1には、耐久性の評価対象となりうるライトトラック用空気入りタイヤ1が示されている。このタイヤ1は、トレッド2、サイドウォール3、ビード4、クリンチ部5、カーカス6、ベルト7、バンド8、インナーライナー9及びチェーファー10を備えている。このタイヤ1は、チューブレスタイプである。このタイヤ1は、ライトトラック等の商用車に装着されうる。
図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面に対して垂直な方向が周方向である。このタイヤ1は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を有する。この一点鎖線CLは、タイヤ1の赤道面を表す。トレッド2は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド2は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド2の外周面は、路面と接地するトレッド面11を構成する。トレッド面11には、溝12が刻まれている。この溝12により、トレッドパターンが形成されている。
サイドウォール3は、トレッド2の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール3は、架橋ゴムからなる。サイドウォール3は、カーカス6の外傷を防止する。
ビード4は、サイドウォール3の半径方向内側に位置している。ビード4は、コア13と、このコア13から半径方向外向きに延びるビードエイペックス14とを備えている。コア13はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。ビードエイペックス14は、半径方向外向きに先細りである。ビードエイペックス14は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス6は、第一プライ15、第二プライ16及び第三プライ17からなる。カーカスプライ6は、並列された図示しない多数のコードとトッピングゴムとからなる。第一プライ15、第二プライ16及び第三プライ17は、両側のビード4の間に架け渡されており、トレッド2及びサイドウォール3に沿っている。第一プライ15及び第二プライ16は、コア13の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第一プライ15及び第二プライ16には、それぞれ、折り返し部18、19が形成されている。
ベルト7は、カーカス6の半径方向外側に積層されている。ベルト7は、カーカス6を補強する。このタイヤ1では、ベルト7は、第一層7a及び第二層7bからなる。ベルト7は、二層構造には限定されず、一層でもよく、三層以上でもよい。しかし、B/Bセパレーションの再現を目的とした評価対象のタイヤにとしては、二層以上のベルト構造が必要である。図示されていないが、第一層7a及び第二層7bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、スチールからなる。コードに、有機繊維が用いられてもよい。このコードは、赤道面に対して傾斜している。
バンド8は、ベルト7の半径方向外側に位置している。図示されていないが、このバンド8は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド8は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。このコードによりベルト7が拘束されるので、ベルト7のリフティングが抑制される。ベルト7及びバンド8は、補強層を構成している。ベルト7のみから、補強層が構成されてもよい。
[ゴム劣化処理]
上記タイヤ1は耐久性評価のための走行試験に供せられる。この走行試験に先立って、供試タイヤ1には、内部損傷の発生を促進するためのゴム劣化処理が施される。この走行前の処理により、特に、タイヤ1のベルト7及びカーカスプライ14のトッピングゴムの物性が変化させられる。この前処理工程は、供試タイヤ1に対する酸素充填及び加熱による、内部コンポーネントであるゴムの劣化ステップである。換言すれば、この前処理はゴムの熱劣化処理である。このステップは、供試タイヤ1のベルト7同士の間の剥離抗力を低下させることを目的とする。この剥離抗力が低下することにより、前述したタイヤ1のB/Bセパレーションの発生が促進される。
上記ゴムの熱劣化処理は、供試タイヤの特性を、市場において内部劣化したタイヤの特性に、短期間で近づけるためのものである。市場におけるタイヤの経時劣化の調査として、市場でB/Bセパレーションが発生した多数の古品タイヤに対し、そのBB間の隔離抗力及びBP間の剥離抗力の検査がなされた。その結果によると、上記古品タイヤ同一仕様のタイヤの新品時におけるBB間及びBP間の剥離抗力の指数をそれぞれ100とすると、これら古品タイヤのBB間の剥離抗力の指数は、30から60の範囲に低下していることが判った。また、この古品タイヤのBP間の剥離抗力の指数は、50から70の範囲に低下していることが判った。そこで、当該タイヤ1のBB間剥離抗力及びBP間剥離抗力が上記範囲となるように、以下のゴム劣化処理が行われる。
以下、上記ゴム劣化ステップにおけるタイヤ1の処理内容が説明される。まず、タイヤ1が試験用のリムに組み込まれる。このタイヤ1の内部に、大量の酸素を含有した空気が充填される。酸素を含有した窒素等でもよい。タイヤ1に充填される空気の酸素含有率(酸素濃度)X(%)は、下式によって算出される。
X(%)= (Po/Pt)×100
ここで、Ptは、酸素を含む気体の全圧である。Poは、上記全圧に対する酸素の分圧である。この酸素濃度Xは、70%以上100%以下とされる。
100%とあるように、酸素のみが充填されてもよい。一方、酸素濃度が70%未満であれば、タイヤ内部の劣化の進行が遅くなる。ゴム劣化ステップの時間を長くせざるを得なくなる。その結果、他の構成部材が酸素劣化する可能性がある。この場合、ベルト7同士の間の剥離が生じるより先に、破壊してしまうという事態を招きうる。内部劣化に対する耐久試験を継続することができなくなる。かかる観点からすれば、酸素濃度Xは、90%以上100%以下であるのが好ましい。
上記酸素含有空気の充填により、タイヤ1の内圧は、規格に規定された最大荷重時内圧の80%以上100%以下とされるのが好ましい。規格に規定された最大荷重時内圧とは、例えば、JATMAの「空気圧−負荷能力対応表」に規定された圧力値である。タイヤ内圧が、最大荷重時内圧の80%未満では、インナーライナー8を透過してカーカス6及びベルト7に至る酸素の量が少なくなり、タイヤ内部の劣化の進行が遅くなる。その結果、上記したと同様の結果となり、カーカス6及びベルト7以外の構成部材が破壊するという事態を招きうる。
タイヤ1は、リムに装着され且つ上記内圧が維持された状態で加熱される。タイヤ1は内部温度が65℃以上75℃以下のオーブン内に、14日間以上26日間以下の時間保持される。タイヤのオーブン投入時間は、インナーライナー8の材質(ブチルゴムの比率等)及び厚さによって調節されうる。ライトトラック等の商用車用タイヤの場合、65℃未満又は14日間未満では、タイヤ内部の劣化の進行が遅くなる。75℃を超えるか又は26日間を超えて加熱されると、多くの構成部材が熱劣化するおそれがある。その結果、ベルト7同士の間の剥離剥離が生じるより先に、破壊するという事態を招きうる。この場合、内部劣化に対する耐久試験を継続することができなくなる。かかる観点から、オーブン内への保持時間は、18日間以上24日間以下とするのが好ましい。
[剥離試験]
以上のごとくしてゴム劣化処理が施されたタイヤ1は、そのベルト7同士の間の剥離抗力、及び、カーカス6とベルト7との間の剥離抗力の測定(剥離試験)が行われる。剥離試験については以下に説明される。
図2を参照しつつ、以下に、ベルト7の第一層7aと第二層7bとの間の剥離抗力の測定要領が説明される。上記したゴム劣化ステップにおける処理が終了したタイヤ1について、上記剥離抗力が測定される。図2(a)に示されるように、同一条件下でゴム劣化ステップの処理が施された複数個のタイヤ1のうちの1個から、剥離抗力測定対象のサンプル31が1個だけ採取される。このサンプル31から、図2(b)に示されるテストピース32が切り出される。テストピース32は、ベルト7の第一層7aと第二層7bとを含んでいる。このテストピース32に対する測定結果が、上記複数個のうちの他のタイヤの剥離抗力をも示しているとされる。
剥離抗力は、JIS K6256−1の規定に準じて測定されてもよい。この測定に際して、テストピース32中の第一層7aが第二層7bから剥離される。第二層7bが第一層7aから剥離されてもよい。剥離される第一層7aの部分(以下、剥離層という)7asの幅Wは25.0±0.5mmであり、剥離される長さLは少なくとも100mmである。剥離層7asの剥離幅Wが変化しないように、予め、第一層7aにおける剥離層7asの両側端に、剥離方向に沿って切り込み33を形成するのが好ましい。さらに、剥離層7asの両側端の外側に近接した部位から、コード34を一本ずつ抜き取っておくのが好ましい。剥離層7asの前後の一方の端部35が、図示しない試験機による掴み代として、予め剥離される。
テストピース32が図示しない剥離試験機に固定される。上記掴み代の部分35が、試験機の掴み具によって掴まれる。剥離層7asが、掴み具によって引っ張られて、第二層7bから剥離される。剥離速度は50.0±2.5mm/分とされる。剥離力と剥離距離とが測定され、両者の関係を示すグラフが作成される。測定された剥離力は、25mmの幅Wに対する力である。一般的に、剥離の進行の過程で剥離力は変動する。この変動した測定値は、JIS K6274の規定に基づいて解析され、平均値が算出されてもよい。
以上の剥離抗力測定の説明は、ベルト7の第一層7aと第二層7bとの間の剥離抗力を例にとった。しかし、ベルト7とカーカス6との間の剥離抗力、すなわち、ベルト7の第一層7aとカーカス6の第三プライ17との間の剥離抗力についても、同様の方法によって測定されうる。
以上の剥離試験により、市場におけるタイヤの内部劣化が、供試タイヤ1に再現されうることが確認されうる。これは、後述する実施例により明らかとなる。内部劣化の再現が確認されたタイヤ1は、内部劣化に対する耐久性能を評価するための走行試験に供される。
[走行試験装置]
図3が参照されつつ、以下に、上記タイヤ1の内部劣化に対する耐久性能を評価するための試験方法(以下、評価方法ともいう)が説明される。図3には、本実施形態に係る評価方法の実行に用いられる試験装置21が示されている。この試験装置21は、タイヤ1の走行試験を行うための装置である。この試験装置21は、供試タイヤ1が装着される試験用の規定リム22、このリム22を支持する支持装置23、及び、供試タイヤ1を回転駆動する駆動ドラム24を備えている。
リム22は、支持装置23の回転軸25に、回転可能に支持される。支持装置23は、図示しない回転駆動装置及びブレーキ機構を備えている。支持装置23は、この回転軸25を、回転自在にすること、駆動ドラム24に依らずに回転駆動すること、及び、拘束する(ブレーキをかける)ことが可能である。支持装置23のこれらの作用により、リム22(供試タイヤ1)の、加速、減速及び回転停止が可能となる。支持装置23及び駆動ドラム24は試験架台21aに設置されている。駆動ドラム24は、図示しない電動モータによって回転させられる。支持装置23は、図示しない流体圧シリンダ等の昇降装置により、タイヤ1を上下動させうる。その結果、タイヤ1は、駆動ドラム24に対して離間及び接近することができる。リム22に装着された供試タイヤ1は、上記昇降装置により、所定荷重が負荷されて駆動ドラム24に押圧させられる。供試タイヤ1は、この状態で、駆動ドラム24によって回転駆動されうる。
[走行試験]
走行試験には、上記試験装置21が用いられる。この走行試験は、上記ゴム劣化処理が施されたタイヤ1に対して行われる。この試験は、タイヤ1の走行ステップである。タイヤ1が装着された試験用のリム22は、支持装置23の回転軸25に取り付けられる。タイヤ1に所定の試験内圧が充填された上で、走行試験が開始される。タイヤ1は、支持装置23により、駆動ドラム24の外周面に、所定の試験荷重で押圧される。この走行試験は台上試験とも呼ばれる。市場での走行モードが考慮され、タイヤ1にはスリップ角が設定される。タイヤ1は、この状態で、後述する所定速度(走行試験速度)で走行させられる。走行の終了後、このタイヤ1の損傷状態が確認される。
走行ステップでは、試験内圧及び試験荷重が負荷され、スリップ角が設定された状態のタイヤ1が、試験装置21上で回転させられる。タイヤ1に供給される試験内圧は、規格に規定された最大荷重時内圧とされる。規格に規定された最大荷重時内圧とは、例えば、JATMAの「空気圧−負荷能力対応表」に規定された圧力値である。
走行試験において、タイヤ1が駆動ドラム24の外周面に押圧される試験荷重は、規格に規定された最大内圧時の最大荷重の120%とされる。規格に規定された最大内圧時の最大荷重とは、例えば、JATMAの「空気圧−負荷能力対応表」に規定された荷重値である。
走行試験において、支持装置23に取り付けられたタイヤ1には、前述のとおりスリップ角が設定される。スリップ角は、1.2°以上1.8°以下の範囲内で設定される。スリップ角が1.2°未満であると、タイヤに加わる横力が十分ではなく、B/Bセパレーション等が再現され得ないおそれがある。一方、スリップ角が1.8°を超えると、タイヤ1のトレッドショルダー部に過度の摩耗が発生するおそれがある。トレッドショルダー部に完全摩耗が生じた場合、ベルト7や図示しないバンドが露出して、タイヤの走行が不可能になってしまう。
個別具体的な供試タイヤのスリップ角は、供試タイヤのサイズ、プロファイル、成形構造、市場における使用条件等に基づいて予備試験を行うこと等により、上記範囲内において好ましい値が選択される。タイヤ1は、スリップ角が設定された状態で、駆動ドラム24によって回転走行させられる。この走行試験におけるタイヤ1の走行速度は、80km/hとされる。
上記走行試験での、走行距離は、最長で20000kmである。走行距離20000kmに至るまでに供試タイヤ1に損傷が発生したとき、検出器がこれを検知する。このとき、その走行が中止される。この走行試験が終了した後のタイヤ1に対して、その表面及び内部における損傷の状況が目視検査によって確認され、その結果が記録される。これらの記録から、タイヤ1の内部劣化に対する耐久性能が比較、評価される。また、市場におけるタイヤの内部損傷が、供試タイヤ1に再現されているか否かが確認される。これは、以下の実施例により明らかである。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
同一条件下でゴム劣化処理が施された2個のタイヤが実施例1とされた。タイヤ1は前述したライトトラック用タイヤであり、そのサイズは215/75R16である。ゴム劣化処理の要領は前述したとおりである。この実施例1のタイヤに対する酸素及び熱による劣化処理の各条件(酸素濃度、保持温度、保持時間)が表1に示される。上記2個のうちの1個に対して前述した剥離試験が行われた。剥離試験の結果であるBB間剥離抗力の平均値及びBP間剥離抗力の平均値は、いずれも指数として表1に示される。この指数は、同一仕様のタイヤの新品時の剥離抗力を100としたものである。上記2個のうちの1個に対して前述した走行試験が行われた。試験用リムは、規定の16x5.5Kである。最長の試験走行距離は20000kmである。タイヤに設定されたスリップ角は表1に示されるとおりである。走行試験の結果である走行距離及び確認された損傷は、いずれも表1に示される。
[実施例2−8]
実施例2から8は、そのいずれもが、同一条件下でゴム劣化処理が施された2個のタイヤである。各実施例のタイヤに対する酸素及び熱による劣化処理の各条件(酸素濃度、保持温度、保持時間)が表1及び表2に示される。各実施例のタイヤの上記2個のうちの1個に対して前述した剥離試験が行われた。剥離試験の結果であるBB間剥離抗力の平均値及びBP間剥離抗力の平均値は、いずれも指数として表1及び表2に示される。その他の処理要領、タイヤの仕様及び構造、並びに、指数の算出方法は、上記実施例1と同じである。各実施例の上記2個のうちの1個に対して前述した走行試験が行われた。タイヤに設定されたスリップ角は表1及び表2に示されるとおりである。その他の走行試験要領は実施例1と同じである。走行試験の結果である走行距離及び確認された損傷は、いずれも表1及び表2に示される。
[比較例1−8]
比較例1から8は、そのいずれもが、同一条件下でゴム劣化処理が施された2個のタイヤである。各比較例のタイヤに対する酸素及び熱による劣化処理の各条件(酸素濃度、保持温度、保持時間)が表2及び表3に示される。各比較例のタイヤの上記2個のうちの1個に対して前述した剥離試験が行われた。剥離試験の結果であるBB間剥離抗力の平均値及びBP間剥離抗力の平均値は、いずれも指数として表2及び表3に示される。その他の処理要領、タイヤの仕様及び構造、並びに、指数の算出方法は、上記実施例1と同じである。各比較例の上記2個のうちの1個に対して前述した走行試験が行われた。タイヤに設定されたスリップ角は表2及び表3に示されるとおりである。その他の走行試験要領は実施例1と同じである。走行試験の結果である走行距離及び確認された損傷は、いずれも表2及び表3に示される。
Figure 0006096485
Figure 0006096485
Figure 0006096485
[剥離試験結果の評価]
評価の基準は、前述した、市場においてB/Bセパレーションが発生した古品タイヤの剥離抗力である。すなわち、新品時のBB間剥離抗力の指数を100とした、上記古品タイヤのBB間剥離抗力指数(30以上60以下)である。また、新品時のBP間剥離抗力の指数を100とした、上記古品タイヤのBP間剥離抗力指数(50以上70以下)である。実施例1から8のいずれも、BB間剥離抗力及びBP間剥離抗力ともに、市場での実勢を再現しているといえる。一方、比較例1から6のいずれも、BB間剥離抗力及びBP間剥離抗力のうち、少なくとも一方が、市場における実勢を再現し得ていない。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
[走行試験結果の評価]
評価の基準は、前述した、市場においてB/Bセパレーションが発生した古品タイヤの内部損傷の状況である。表1から表3に示されるように、実施例1から8には、B/Bセパレーションが発生している。実施例1から8のいずれも、市場での内部損傷を再現し得ている。一方、比較例1から8のいずれにも、B/Bセパレーションは発生していない。比較例には、B/Pセパレーションが発生しているものがある。また、比較例では、トレッドショルダー部の摩耗により、走行不能となったものがある。その他の比較例には、損傷は発生していない。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係る空気入りタイヤの試験方法は、特にタイヤの内部損傷に対する耐久性評価に好適である。
1・・・タイヤ
2・・・トレッド
3・・・サイドウォール
4・・・ビード
5・・・クリンチ部
6・・・カーカス
7・・・ベルト
8・・・バンド
9・・・インナーライナー
10・・・チェーファー
11・・・トレッド面
12・・・溝
13・・・コア
14・・・ビードエイペックス
15・・・第一プライ
16・・・第二プライ
17・・・第三プライ
18・・・(第一プライの)折り返し部
19・・・(第二プライの)折り返し部
21・・・試験装置
22・・・リム
23・・・支持装置
24・・・駆動ドラム
25・・・(支持装置の)回転軸
31・・・サンプル
32・・・テストピース

Claims (3)

  1. カーカスとこのカーカスに積層された複数層のベルトとを有する供試タイヤに、酸素を含む気体を充填することにより内圧を加える酸素充填ステップと、
    酸素が充填された供試タイヤを、65℃以上75℃以下の範囲の環境温度条件下で、14日間以上26日間以下の間保持されるゴム劣化ステップと、
    ゴム劣化処理がなされた上記供試タイヤを、台上試験装置において、試験内圧及び試験荷重が負荷された状態で回転させる走行ステップと
    上記ベルト同士の剥離を確認する評価ステップとを含んでおり、
    上記酸素充填ステップにおいて、充填される気体の酸素濃度が、気体の全圧に対する酸素の分圧の割合で表されて、70%以上100%以下であり、
    上記走行ステップにおいて、供試タイヤに、1.2°以上1.8°以下のスリップ角が設定されている空気入りタイヤの内部損傷に対する耐久性評価試験方法。
  2. 上記酸素充填ステップにおいて、上記充填される気体の酸素濃度が、90%以上100%以下である請求項1に記載の空気入りタイヤの内部損傷に対する耐久性評価試験方法。
  3. 上記ゴム劣化ステップにおいて、供試タイヤが、上記環境温度条件下に16日間以上24日間以下の間保持される請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの内部損傷に対する耐久性評価試験方法。
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