以下に、本発明に係るタイヤ試験方法及びタイヤ試験装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係るタイヤ試験装置1を示す構成図である。図2は、図1のA-A矢視図である。図1、図2は、タイヤ試験装置1の全体構成を模式的に示したものになっている。なお、以下の説明では、タイヤ試験装置1の通常の使用状態における上下方向を、タイヤ試験装置1においても上下方向として説明し、タイヤ試験装置1の通常の使用状態における水平方向を、タイヤ試験装置1においても水平方向として説明する。
本実施形態に係るタイヤ試験装置1は、車両に装着した空気入りタイヤ100の使用状態を再現することにより、グルーブクラックの発生状況を再現する試験装置に適用される。タイヤ試験装置1は、試験室10と、空調装置20と、オゾン供給装置30と、路面再現装置40と、制御装置70とを備える。試験室10は、空気入りタイヤ100の試験を行う際に、外気から隔てられた空間を形成するための部屋になっている。なお、試験室10は、外気に対して完全に隔離されていなくてもよい。試験室10の内側の雰囲気を、外気に対して概ね隔てることができればよい。
空調装置20は、試験室10の内部に設置されており、試験室10内の温度を所定の温度に調節可能なっている。また、空調装置20は、試験室10内の湿度も所定の湿度に調節可能になっている。オゾン供給装置30は、試験室10の内部に設置されており、オゾンを生成し、生成したオゾンを試験室10内に対して供給可能になっている。
なお、空調装置20とオゾン供給装置30とは、試験室10の外部に設置されていてもよい。空調装置20は、試験室10内の温度や湿度を調整することができ、オゾン供給装置30は、試験室10内にオゾンを供給することができれば、装置自体の設置位置は、試験室10の内部でも外部でもどちらでもよい。
路面再現装置40は、試験室10の内部に設置されており、試験室10内で空気入りタイヤ100に所定の荷重を負荷しつつ、空気入りタイヤ100を回転させることが可能になっている。本実施形態では、路面再現装置40には、空気入りタイヤ100に接触する面が平面によって形成されるフラットベルト試験装置45が用いられている。フラットベルト試験装置45は、タイヤ支持装置50とベルト駆動装置60とを有している。
タイヤ支持装置50は、回転支持部51と昇降装置53とを有しており、試験を行う空気入りタイヤ100を回転可能に支持することが可能になっている。このうち、回転支持部51は、軸線方向が水平方向になる中心軸を中心として回転可能な回転軸52を有しており、空気入りタイヤ100がリム組みされたリムホイール110を回転軸52の一端に取り付けることが可能になっている。これにより、回転支持部51は、空気入りタイヤ100を回転自在に支持することができる。また、昇降装置53は、回転支持部51を支持すると共に、回転支持部51を上下方向に移動させることが可能になっている。
ベルト駆動装置60は、無端ベルト61を有しており、無端ベルト61は、一対のドラム62に掛け回されている。一対のドラム62は、いずれも軸線方向が水平方向になる中心軸を中心として回転可能になっており、上下方向における高さがほぼ同じ高さで、中心軸が互いに平行となる向きで配置されている。一対のドラム62のうち、一方のドラム62は駆動ドラム63として設けられ、他方のドラム62は従動ドラム64として設けられている。
駆動ドラム63には、ドラム回転装置65が接続されており、ドラム回転装置65は、電動モータ(図示省略)等によって駆動力を発生すると共に、発生した駆動力を駆動ドラム63に伝達する。ドラム回転装置65が接続される駆動ドラム63は、ドラム回転装置65から伝達される駆動力により回転可能になっている。無端ベルト61は、駆動ドラム63が回転をした際に、駆動ドラム63の回転に伴って回転可能になっており、従動ドラム64は、駆動ドラム63の回転に伴って回転する無端ベルト61の回転に伴って、回転可能になっている。これにより、無端ベルト61は、駆動ドラム63と従動ドラム64との間に亘って回転可能になっている。
無端ベルト61は、一対のドラム62に掛け回されているため、一対のドラム62の上側に位置する部分と下側に位置する部分とを有しているが、上側に位置する部分の内周面側には、ベルト支持部66が配置されている。ベルト支持部66は、無端ベルト61における上側に位置する部分を内周面側から支持し、無端ベルト61を下側から支持することにより、無端ベルト61におけるベルト支持部66が支持する部分を平坦な状態に維持することができる。
このように形成されるベルト駆動装置60に対して、タイヤ支持装置50は、回転支持部51で支持する空気入りタイヤ100を、回転の中心軸が駆動ドラム63や従動ドラム64の回転の中心軸と平行になる向きで、ベルト駆動装置60の上方から無端ベルト61の上面に押し付けることが可能になっている。
また、ベルト駆動装置60には、タイヤ支持装置50で支持する空気入りタイヤ100と無端ベルト61との接触部分の近傍に、温度センサ21及び湿度センサ22と、オゾン噴射部32が配設されている。温度センサ21は、空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍の温度を検出することが可能になっており、湿度センサ22は、空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍の湿度を検出することが可能になっている。また、オゾン噴射部32は、空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍、即ち、空気入りタイヤ100の接地面の近傍に、オゾンを噴射することが可能になっている。
このうち、オゾン噴射部32は、オゾン供給装置30を構成しており、オゾン供給装置30は、当該オゾン噴射部32と、オゾン供給部31とを有している。オゾン供給部31は、試験室10内に設置されてオゾンを生成し、生成したオゾンをオゾン噴射部32に供給することが可能になっている。オゾン噴射部32は、オゾン供給装置30から供給されたオゾンを、空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する。
さらに、タイヤ試験装置1は、タイヤ試験装置1の各動作の制御や各種の演算処理を行う制御装置70と、オペレータがタイヤ試験装置1への入力操作を行う入力部71と、各種情報を表示する表示部72と有している。このうち、制御装置70は、例えば、所定の解析プログラムをインストールしたPC(Personal Computer)になっている。また、入力部71には、キーボードや、マウス等のポインティングデバイスが用いられており、表示部72には、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置が用いられている。入力部71と表示部72とは、制御装置70に電気的に接続されており、これによりタイヤ試験装置1は、オペレータが表示部72を視認しながら入力部71で入力操作をすることが可能になっている。
また、空調装置20と、オゾン供給装置30と、フラットベルト試験装置45とも、それぞれ電気的に制御装置70に接続されている。これにより、空調装置20と、オゾン供給装置30と、フラットベルト試験装置45とは、制御装置70によって動作を制御することが可能になっている。
図3は、図1に示すタイヤ試験装置1の機能を示すブロック図である。図3は、タイヤ試験装置1の主たる機能を示している。制御装置70には、空調装置20と、温度センサ21と、湿度センサ22と、オゾン供給装置30と、フラットベルト試験装置45が有する昇降装置53とドラム回転装置65とが、電気的に接続されている。これにより、制御装置70は、電気的に接続される各機器との間で、信号のやり取りを行うことが可能になっている。
制御装置70は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部80や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部90を備えて構成されている。このように構成される処理部80と記憶部90とは、同一筐体内に設けられていてもよく、異なる筐体内に設けられていてもよく、或いは、複数の記憶部90が双方の形態で設けられていてもよい。
制御装置70が有する処理部80は、温度制御部81と、湿度制御部82と、オゾン濃度制御部83と、荷重制御部84と、速度制御部85とを機能的に有している。このうち、温度制御部81は、空調装置20を制御することにより、試験室10内の温度を制御し、湿度制御部82は、空調装置20を制御することにより、試験室10内の湿度を制御する。また、オゾン濃度制御部83は、オゾン供給装置30を制御することにより、試験室10内のオゾン濃度を制御する。
また、荷重制御部84は、フラットベルト試験装置45のタイヤ支持装置50が有する昇降装置53を制御することにより、タイヤ支持装置50で支持する空気入りタイヤ100の上下方向における位置を調整し、空気入りタイヤ100をベルト駆動装置60の無端ベルト61に接触させる際における荷重を制御する。
また、速度制御部85は、フラットベルト試験装置45のベルト駆動装置60が有するドラム回転装置65を制御することにより、駆動ドラム63の回転速度を調整し、空気入りタイヤ100が接触する無端ベルト61の回転速度を制御する。
タイヤ試験装置1で、本実施形態に係るタイヤ試験方法によって空気入りタイヤ100の試験を行う際における動作手順は、プログラムとして予め記憶部90に記憶されており、空気入りタイヤ100の試験を行う際には、記憶部90に記憶されているプログラムを処理部80で呼び出し、プログラムに沿った動作を処理部80で実行することにより、各機能を実行する。
本実施形態に係るタイヤ試験装置1は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。タイヤ試験装置1によって空気入りタイヤ100の試験を行う際には、空気入りタイヤ100をリムホイール110にリム組みして内圧を充填し、フラットベルト試験装置45が有するタイヤ支持装置50の回転支持部51の回転軸52に、リムホイール110を取り付ける。これにより、空気入りタイヤ100を回転自在に回転支持部51によって支持する。
フラットベルト試験装置45は、回転支持部51で回転自在に支持する空気入りタイヤ100を、ベルト駆動装置60が有する無端ベルト61に対して、回転の中心軸が駆動ドラム63や従動ドラム64の回転の中心軸と平行になる向きで、所定の大きさの荷重を負荷しながら接触させる。フラットベルト試験装置45は、無端ベルト61における空気入りタイヤ100が接触する面、即ち、無端ベルト61の上面が、試験を行う空気入りタイヤ100に対して、路面として再現される面になっている。本実施形態では、無端ベルト61における上側に位置する部分が、内周面側から無端ベルト61によって支持されているため、無端ベルト61における空気入りタイヤ100が接触する部分は、空気入りタイヤ100が接触しても平坦な状態が維持される。これにより、無端ベルト61における、空気入りタイヤ100に対して路面として再現される面は、平面によって再現される。
車両の走行状態を再現する際には、無端ベルト61に空気入りタイヤ100が接触した状態で、制御装置70でベルト駆動装置60のドラム回転装置65を制御し、ドラム回転装置65によって駆動ドラム63を回転させて、駆動ドラム63と従動ドラム64と掛け回される無端ベルト61を回転させる。これにより、無端ベルト61は、空気入りタイヤ100が接触している部分が、一対のドラム62間で移動し、具体的には、無端ベルト61における空気入りタイヤ100が接触している部分は、従動ドラム64側から駆動ドラム63側に向かって移動する。無端ベルト61に接触する空気入りタイヤ100は、無端ベルト61の移動に伴って回転し、走行状態が再現される。
これにより、タイヤ試験装置1は、空気入りタイヤ100の使用状態を再現して、空気入りタイヤ100を実際に使用した際における変化を再現する試験を行うことができる。具体的には、空気入りタイヤ100を実際に使用した際における、トレッド部の溝部101の溝底に発生するグルーブクラックを再現する試験を行うことができる。
また、本実施形態に係るタイヤ試験装置1は、制御装置70で空調装置20を制御し、空調装置20によって試験室10内の温度や湿度を変化させることにより、任意の温度や湿度の環境の中で、空気入りタイヤ100の使用状態を再現する。これにより、タイヤ試験装置1は、空気入りタイヤ100の使用状態をより高い精度で再現して、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるグルーブクラックの発生状況を、より高い精度で再現する。
さらに、本実施形態に係るタイヤ試験装置1は、制御装置70でオゾン供給装置30を制御し、オゾン供給装置30によって試験室10内にオゾンを供給することにより、オゾンに空気入りタイヤ100を露出させた状態で、空気入りタイヤ100の使用状態を再現する。これにより、タイヤ試験装置1は、空気入りタイヤ100の劣化を促進することができ、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるグルーブクラックの発生状況を、短時間で再現することができる。
このように、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるグルーブクラックの発生状況を再現するために、空気入りタイヤ100の使用状態を再現することのできるフラットベルト試験装置45は、走行モードと停止モードとを切り替え可能になっている。走行モードは、オゾン供給装置30によって供給されたオゾンに空気入りタイヤ100を露出させて、荷重を負荷した状態で空気入りタイヤ100を回転させるモードになっている。停止モードは、オゾン供給装置30によって供給されたオゾンに空気入りタイヤ100を露出させて、荷重を負荷した状態で空気入りタイヤ100の回転を停止するモードになっている。
また、フラットベルト試験装置45の走行モードと停止モードとでは、空調装置20とオゾン供給装置30とは、試験室10内の温度と、試験室10内に供給するオゾンの濃度との少なくともいずれか一方を変化させることが可能になっている。これにより、タイヤ試験装置1は、空気入りタイヤ100の回転時と停止時、即ち、車両の走行時と停止時との周囲の環境の変化による影響も含めて、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるグルーブクラックの発生状況を再現することができる。
図4は、走行モードと停止モードで、温度と湿度とオゾン濃度とを変化させる傾向についての説明図である。タイヤ試験装置1では、所定の時間間隔で走行モードと停止モードとを切り替えることにより、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるグルーブクラックの発生状況を、車両の走行時のみでなく停車時も含めた使用態様で再現することができる。また、フラットベルト試験装置45の走行モード時と停止モード時とでは、空調装置20で制御する試験室10内の温度と湿度、及びオゾン供給装置30でオゾンを供給することによる試験室10内のオゾンの濃度を異ならせる。
具体的には、走行モードでは、10km/h以上100km/h以下の範囲内の速度で空気入りタイヤ100を回転させ、試験室10内の温度と湿度は、停止モード時の温度と湿度よりも低くし、試験室10内のオゾンの濃度は、停止モード時のオゾンの濃度よりも高くする。また、停止モードでは、空気入りタイヤ100を回転速度を0km/hにし、試験室10内の温度と湿度は、走行モード時の温度と湿度よりも高くし、試験室10内のオゾンの濃度は、走行モード時のオゾンの濃度よりも低くする。
また、試験室10内における空気入りタイヤ100の周囲の雰囲気の温度は、走行モード時と停止モード時に関わらず、30℃以上70℃以下の範囲内にし、試験室10内で空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度は、走行モード時と停止モード時に関わらず、50pphm以上250pphm以下の範囲内にする。なお、試験室10内における空気入りタイヤ100の周囲の雰囲気の温度は、40℃以上60℃以下の範囲内であるのが好ましく、試験室10内で空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度は、120pphm以上180pphm以下の範囲内であるのが好ましい。
また、本実施形態に係るタイヤ試験方法では、フラットベルト試験装置45の走行モードと停止モードとを複数回繰り返す。その際に、連続する1組の走行モードと停止モードとを1つの巡目とした場合における各巡目ごとに、試験室10内の温度や湿度、オゾン濃度、各モードの時間、走行モードの速度を異ならせる。
図5は、走行モードと停止モードとを繰り返す際における各巡目ごとの数値のテーブルを示す図表である。試験室10内の温度や湿度、オゾン濃度、各モードの時間、走行モードの速度は、各巡目ごとに予め設定され、制御装置70の記憶部90に記憶されている。つまり、走行モードの速度Vrは、10km/h以上100km/h以下の範囲内で各巡目ごとに予め設定され、試験室10内の温度Tr、Tsは、30℃以上70℃以下の範囲内で各巡目ごとに予め設定され、オゾン濃度Cr、Csは、50pphm以上250pphm以下の範囲内で各巡目ごとに予め設定されて、それぞれ制御装置70の記憶部90に記憶されている。
なお、走行モードの速度Vrは、後の巡目になるに従って高く設定されるのが好ましく、走行モードの時間Mrは、後の巡目になるに従って長く設定されるのが好ましい。また、いずれに巡目においても、走行モードにおける試験室10内の温度Trと湿度Hrは、停止モードにおける温度Tsと湿度Hsよりも低くなっており、走行モードにおけるオゾン濃度Crは、停止モードにおけるオゾン濃度Csよりも高くなっている。
次に、本実施形態に係るタイヤ試験方法について説明する。本実施形態に係るタイヤ試験方法は、走行モードと停止モードとを有するタイヤ試験装置1を用いることにより、走行ステップと停止ステップとを含み、走行ステップと停止ステップとを所定の回数交互に切り替える試験になっている。つまり、タイヤ試験装置1の走行モードは、タイヤ試験方法における走行ステップに対応し、タイヤ試験装置1の停止モードは、タイヤ試験方法における停止ステップに対応している。このため、本実施形態に係るタイヤ試験方法の走行ステップは、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で空気入りタイヤ100を回転させる。また、本実施形態に係るタイヤ試験方法の停止ステップは、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で空気入りタイヤ100の回転を停止する。また、これらの走行ステップと停止ステップとでは、雰囲気の温度と、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度とのうちの少なくともいずれか一方を変化させる。
図6は、実施形態に係るタイヤ試験方法で試験を行う際の手順を示すフロー図である。タイヤ試験装置1を用いて本実施形態に係るタイヤ試験方法で空気入りタイヤ100の試験を行う際には、空気入りタイヤ100をリムホイール110にリム組みし、所定の内圧・荷重で走行準備をする(ステップST1)。試験を行う際の空気入りタイヤ100の内圧は、空気入りタイヤ100の最大空気圧の60%以上100%以下の範囲内にする。また、試験を行う際の空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、空気入りタイヤ100の最大負荷能力の40%以上100%以下の範囲内にする。なお、空気入りタイヤ100の内圧は、空気入りタイヤ100の最大空気圧の80%以上100%以下の範囲内であるのが好ましく、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、空気入りタイヤ100の最大負荷能力の50%以上70%以下の範囲内であるのが好ましい。
ここでいう最大空気圧は、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、最大負荷能力は、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、或いはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
つまり、リムホイール110にリム組みして所定の内圧にした空気入りタイヤ100を、タイヤ試験装置1のフラットベルト試験装置45が有する回転支持部51の回転軸52に取り付ける。その後、制御装置70によってフラットベルト試験装置45の昇降装置53を作動させることにより、所定の荷重を空気入りタイヤ100に負荷する。即ち、制御装置70の処理部80が有する荷重制御部84が、昇降装置53を作動させることにより、回転支持部51を上下方向に移動させ、回転支持部51に取り付けられている空気入りタイヤ100が無端ベルト61に接触する際における荷重を、所定の大きさの荷重にする。
空気入りタイヤ100に負荷する荷重の大きさは、試験を行う空気入りタイヤ100のサイズに応じた荷重が予め制御装置70の記憶部90に記憶され、オペレータが空気入りタイヤ100のサイズを入力部71によって入力することにより、試験を行う空気入りタイヤ100のサイズに適した荷重が選択される。なお、記憶部90に記憶される荷重は、空気入りタイヤ100の1つのサイズで複数の大きさの荷重が用意され、その中からオペレータが選択してもよく、または、空気入りタイヤ100に負荷する荷重の大きさを、入力部71を用いて直接入力してもよい。
空気入りタイヤ100を、所定の大きさの荷重で無端ベルト61に接触させたら、次に、予備走行を行う(ステップST2)。予備走行は、予備走行を行わせる旨の指示を、フラットベルト試験装置45の入力部71を用いてオペレータが入力操作を行い、フラットベルト試験装置45が予備走行用の動作を行うことにより、空気入りタイヤ100に対して行う。
予備走行では、オゾン供給装置30による試験室10内へのオゾンの供給は行わずに、フラットベルト試験装置45のベルト駆動装置60を駆動させることにより、空気入りタイヤ100を走行させる。制御装置70の記憶部90には、予備走行用の温度のデータと速度のデータが予め記憶されており、また、予備走行を行う時間も記憶されている。
予備走行の入力指示が行われたら、タイヤ試験装置1は、制御装置70の処理部80が有する温度制御部81が、記憶部90に記憶されている予備走行用の温度のデータに基づいて空調装置20を制御し、速度制御部85が、記憶部90に記憶されている予備走行用の速度のデータに基づいてドラム回転装置65を制御する。これにより、温度制御部81は、試験室10内の雰囲気の温度が予備走行に適した温度になるように空調装置20を制御し、速度制御部85は、空気入りタイヤ100の速度が予備走行に適した速度になるようにドラム回転装置65を制御する。
なお、予備走行用の雰囲気の温度は、35℃以上45℃以下の範囲内であるのが好ましく、予備走行用の空気入りタイヤ100の速度は、75km/h以上85km/h以下の範囲内であるのが好ましい。
予備走行の開始後、予備走行を行う時間が経過したら、連続する1組の走行ステップと停止ステップを1つの巡目とする際における巡目を示す変数nに1を入力する(ステップST3)。この場合における連続する1組の走行ステップと停止ステップからなる1つの巡目は、タイヤ試験装置1における、連続する1組の走行モードと停止モードとからなる1つの巡目に対応している。巡目を示す変数nは、記憶部90に記憶され、フラットベルト試験装置45で空気入りタイヤ100の試験を行う際に、適宜書き換えられたり読み込まれたりする。
次に、n巡目の走行ステップでの速度Vrn、温度Trn、オゾン濃度Crn、時間Mrnを読み込む(ステップST4)。つまり、制御装置70の記憶部90には、走行ステップと停止ステップと繰り返す際における各巡目ごとの数値が記憶されているため(図5参照)、処理部80は、n巡目の走行ステップの各数値、即ち、n巡目の走行モードの各数値を読み取る。
次に、試験室10内の温度をTrnに調整し、オゾン濃度をCrnに調整する(ステップST5)。つまり、制御装置70の処理部80が有する温度制御部81は、記憶部90から読み込んだn巡目の走行ステップの温度Trnになるように空調装置20を制御し、オゾン濃度制御部83は、記憶部90から読み込んだn巡目の走行ステップのオゾン濃度Crnになるようにオゾン供給装置30を制御する。具体的には、温度制御部81は、温度センサ21で検出する試験室10の温度を取得し、温度センサ21で検出した温度と、n巡目の温度Trnとを比較して、温度センサ21で検出する試験室10内の温度が、n巡目の走行ステップの温度Trnに近付くように空調装置20を制御する。
その際に、制御装置70の記憶部90に記憶されている走行モードにおける試験室10内の雰囲気の温度Trは、停止モードにおける試験室10内の雰囲気の温度Tsよりも低くなっている。このため、走行ステップでは、試験室10内の雰囲気の温度Trを、停止ステップにおける試験室10内の雰囲気の温度Tsよりも低くする。具体的には、走行ステップにおける試験室10内の温度Trは、停止ステップにおける試験室10内の温度Tsに対して、5℃以上15℃以下の範囲内で低いのが好ましい。また、走行ステップにおける試験室10内の温度Trは、35℃以上45℃以下の範囲内であるのが好ましく、停止ステップにおける試験室10内の温度Tsは、45℃以上55℃以下の範囲内であるのが好ましい。
また、オゾン濃度制御部83は、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度を、n巡目の走行ステップのオゾン濃度Crnにすることのできる量のオゾンを試験室10内に供給できるように、オゾン供給装置30を制御する。これにより、オゾン供給装置30のオゾン供給部31は、オゾン供給部31で生成したオゾンをオゾン噴射部32に供給し、オゾン噴射部32は、オゾン供給部31から供給されたオゾンを、試験室10内における空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍に噴射する。
その際に、制御装置70の記憶部90に記憶されている走行モードにおけるオゾン濃度Crは、停止モードにおけるオゾン濃度Csよりも高くなっている。このため、走行ステップでは、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度Crを、停止ステップのオゾンの濃度Csよりも高くする。具体的には、走行ステップにおけるオゾンの濃度Crは、停止ステップにおけるオゾンの濃度Csに対して、45pphm以上55pphm以下の範囲内で高いのが好ましい。また、走行ステップにおけるオゾンの濃度Crは、140pphm以上160pphm以下の範囲内であるのが好ましく、停止ステップにおけるオゾンの濃度Csは、90pphm以上110pphm以下の範囲内であるのが好ましい。
次に、フラットベルト試験装置45のベルト駆動装置60を作動させて、空気入りタイヤ100の速度をVrnにする(ステップST6)。つまり、制御装置70の処理部80が有する速度制御部85は、空気入りタイヤ100の回転速度が、記憶部90から読み込んだn巡目の速度Vrnになるように、フラットベルト試験装置45のドラム回転装置65を制御する。これにより、無端ベルト61の回転速度を、n巡目の速度Vrnに応じた回転速度にし、空気入りタイヤ100の速度Vrを、n巡目の速度Vrnにする。その際に、記憶部90に記憶されている走行モードの速度Vrは、10km/h以上100km/h以下の範囲内で設定されているため、走行ステップにおける空気入りタイヤ100の速度Vrは、10km/h以上100km/h以下の範囲内になっている。
なお、制御装置70の記憶部90に記憶されている走行モードの空気入りタイヤ100の速度Vrは、後の巡目になるに従って高くなっている。このため、走行ステップでは、停止ステップと交互に切り替える複数回の走行ステップにおける、後手順側の走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度Vrを、前手順側の走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度Vrより高くする。つまり、走行ステップでは、巡目を示す変数nが大きくなるに従って、空気入りタイヤ100を回転させる速度Vrを高くする。
また、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は変化させないため、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、ステップST1で負荷した荷重が維持される。つまり、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、走行ステップにおいても、停止ステップにおいても、空気入りタイヤ100の最大負荷能力の40%以上100%以下の範囲内になっており、1回の試験においては、荷重はこの範囲内で一定になっている。
次に、走行時間Mr≧Mrnであるか否かを判定する(ステップST7)。つまり、ベルト駆動装置60を作動させて、空気入りタイヤ100の走行を開始してからの経過時間が、ステップST4で取得した、現在の巡目の時間Mrnを経過したか否かを、制御装置70の処理部80で判定する。この判定により、空気入りタイヤ100の走行を開始してからの走行時間Mrが、現在の巡目の時間Mrnを経過していないと判定した場合(ステップST7、No判定)は、空気入りタイヤ100の走行を継続したまま、走行時間Mr≧Mrnであるか否かの判定を繰り返す。
これに対し、空気入りタイヤ100の走行を開始してからの走行時間Mrが、現在の巡目の時間Mrnを経過したと判定した場合(ステップST7、Yes判定)は、走行時間Mrを0にする(ステップST8)。つまり、走行時間Mrをリセットする。
なお、走行ステップでの走行時間Mrについて説明すると、制御装置70の記憶部90に記憶されている走行モードの時間Mrは、後の巡目になるに従って長くなっている。このため、走行ステップでは、停止ステップと交互に切り替える複数回の走行ステップにおける、後手順側の走行ステップの時間Mrを、前手順側の走行ステップの時間Mrより長くして走行させる。つまり、走行ステップでは、巡目を示す変数nが大きくなるに従って、空気入りタイヤ100の走行時間Mrを長くして走行させる。
次に、n巡目の停止ステップでの温度Tsn、オゾン濃度Csn、時間Msnを読み込む(ステップST9)。つまり、制御装置70の記憶部90には、走行ステップと停止ステップと繰り返す際における各巡目ごとの数値が記憶されているため(図5参照)、処理部80は、n巡目の停止ステップの各数値、即ち、n巡目の停止モードの各数値を読み取る。
次に、フラットベルト試験装置45のベルト駆動装置60を停止させ、試験室10内の温度をTsnに調整し、オゾン濃度をCsnに調整する(ステップST10)。つまり、制御装置70の処理部80が有する速度制御部85は、フラットベルト試験装置45のドラム回転装置65を制御し、ドラム回転装置65を停止させることにより、無端ベルト61を停止させる。これにより、空気入りタイヤ100の走行を停止させる。
また、制御装置70の処理部80が有する温度制御部81は、記憶部90から読み込んだn巡目の停止ステップの温度Tsnになるように空調装置20を制御し、オゾン濃度制御部83は、記憶部90から読み込んだn巡目の停止ステップのオゾン濃度Csnになるようにオゾン供給装置30を制御する。具体的には、温度制御部81は、温度センサ21で検出する試験室10の温度を取得し、温度センサ21で検出した温度と、n巡目の温度Tsnとを比較して、温度センサ21で検出する試験室10内の温度が、n巡目の停止ステップの温度Tsnに近付くように空調装置20を制御する。
その際に、制御装置70の記憶部90に記憶されている停止モードにおける試験室10内の雰囲気の温度Tsは、走行モードにおける試験室10内の雰囲気の温度Trよりも高くなっている。このため、停止ステップでは、試験室10内の雰囲気の温度Tsを、走行ステップにおける試験室10内の雰囲気の温度Trよりも高くする。
また、オゾン濃度制御部83は、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度を、n巡目の停止ステップのオゾン濃度Csnにすることのできる量のオゾンを試験室10内に供給できるように、オゾン供給装置30を制御する。これにより、オゾン供給装置30のオゾン供給部31は、オゾン供給部31で生成したオゾンをオゾン噴射部32に供給し、オゾン噴射部32は、オゾン供給部31から供給されたオゾンを、試験室10内における空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍に噴射する。
その際に、制御装置70の記憶部90に記憶されている停止モードにおけるオゾン濃度Csは、走行モードにおけるオゾン濃度Crよりも低くなっている。このため、停止ステップでは、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度Csを、走行ステップのオゾンの濃度Crよりも低くする。
次に、停止時間Ms≧Msnであるか否かを判定する(ステップST11)。つまり、ベルト駆動装置60を停止させて、空気入りタイヤ100の走行を停止させてからの経過時間が、ステップST9で取得した、現在の巡目の時間Msnを経過したか否かを、制御装置70の処理部80で判定する。この判定により、空気入りタイヤ100を停止させてからの停止時間Msが、現在の巡目の時間Msnを経過していないと判定した場合(ステップST11、No判定)は、空気入りタイヤ100を停止させたまま、停止時間Ms≧Msnであるか否かの判定を繰り返す。
これに対し、空気入りタイヤ100を停止させてからの停止時間Msが、現在の巡目の時間Msnを経過したと判定した場合(ステップST11、Yes判定)は、停止時間Msを0にする(ステップST12)。つまり、停止時間Msをリセットする。
なお、停止ステップにおける停止時間Msは、走行ステップでの走行時間Mrとは異なり、一定の時間になっている。このため、停止ステップでの停止時間Msは、巡目に関わらず一定になっている。
次に、巡目を示す変数nが、設定回数であるか否かを判定する(ステップST13)。この場合における設定回数は、予め定められた回数が記憶部90に記憶されている。制御装置70の処理部80は、現在の変数nが、設定回数であるか否かを判定する。
なお、変数nに対する設定回数は、一定の回数であってもよく、試験を行う空気入りタイヤ100のサイズに応じて設定された回数であってもよい。または、設定回数は、空気入りタイヤ100のサイズやその他の条件に応じて回数が異なる複数の設定回数が用意され、その中からオペレータが選択してもよく、または、入力部71を用いて設定回数を直接入力してもよい。このように定められる設定回数は、5回以上20回以下の範囲内であるのが好ましい。
処理部80での判定により、現在の変数nが、設定回数ではないと判定された場合(ステップST13、No判定)は、変数nに対して1を加算する(ステップST14)。変数nに対して1を加算し、n=n+1を実行したら、ステップST4に戻り、変数nに1が加算された後の巡目、即ち、次の巡目の走行ステップに関する制御を実行する。
これに対し、制御装置70の処理部80での判定により、現在の変数n=設定回数であると判定された場合(ステップST13、Yes)は、空気入りタイヤ100をフラットベルト試験装置45から取り外し、グルーブクラックの発生状況を観察し(ステップST15)、試験を終了する。つまり、走行ステップと停止ステップとを所定の回数交互に切り替えたら、空気入りタイヤ100をフラットベルト試験装置45から取り外し、グルーブクラックの発生状況を目視等で観察する。
以上の実施形態に係るタイヤ試験方法は、走行ステップと停止ステップとが所定の回数交互に切り替えられるため、車両に装着された空気入りタイヤ100の実際の使用態様を再現して試験を行うことができる。つまり、空気入りタイヤ100が装着された車両は、走行や停止を繰り返し、さらに、長時間の駐車も行われる。この場合、空気入りタイヤ100には、一定の荷重が継続して負荷されるため、荷重が負荷された状態で、空気入りタイヤ100は回転したり停止したりする。このため、空気入りタイヤ100の使用状態を再現する際に、空気入りタイヤ100に一定の荷重を継続して負荷しながら、走行ステップと停止ステップとを交互に切り替えることにより、実際の使用状態に近付けて再現することができる。
また、走行ステップと停止ステップでは、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させながら試験を行うため、空気入りタイヤ100の劣化を早めることができる。これにより、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化を短時間で再現することができ、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、短時間で再現することができる。
さらに、走行ステップと停止ステップとでは、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させながら試験を行うが、走行ステップと停止ステップとでは、雰囲気の温度と、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度とのうちの少なくともいずれか一方を変化させるため、より確実に、実際の使用状態に近付けて再現することができる。つまり、車両に装着された空気入りタイヤ100は、車両の走行時と停止時とで空気の当たり方が変わり、温度も変化する。このため、空気入りタイヤ100の試験においても、走行ステップと停止ステップとで、雰囲気の温度とオゾンの濃度との少なくともいずれか一方を変化させることにより、より確実に実際の使用状態に近付けて再現することができる。従って、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、高い精度で再現することができる。この結果、グルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、試験を行う際には、空気入りタイヤ100の内圧を最大空気圧の60%以上100%以下の範囲内にし、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、空気入りタイヤ100の最大負荷能力の40%以上100%以下の範囲内であるため、空気入りタイヤ100の実際の使用時の状態により近付けて試験を行うことができる。また、走行ステップにおける速度は、10km/h以上100km/h以下の範囲内であるため、走行ステップにおける速度を、空気入りタイヤ100を装着する車両の走行時における速度に近付けることができ、より確実に、空気入りタイヤ100の実際の使用時の状態に近付けて試験を行うことができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度は、50pphm以上250pphm以下の範囲内であるため、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化の再現性を確保しつつ、より効率的に劣化を促進させて短時間で評価を行うことができる。つまり、オゾン濃度が50pphmである場合は、オゾン濃度が低過ぎるため、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させても劣化が発生し難くなる虞がある。この場合、劣化を促進させることによって短時間で評価を行う、劣化促進評価の効率が悪くなり易くなる虞がある。また、オゾン濃度が250pphmを超える場合は、オゾン濃度が高過ぎるため、空気入りタイヤ100の通常の使用時における自然劣化との相関性が低下し、試験時における空気入りタイヤ100の変化が、空気入りタイヤ100を実際に使用した際における変化から乖離し易くなる虞がある。
これに対し、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度が、50pphm以上250pphm以下の範囲内である場合は、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化の再現性を確保しつつ、効率的に劣化を促進させて劣化促進評価を行うことができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、試験室10内の雰囲気の温度は、30℃以上70℃以下の範囲内であるため、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化の再現性を確保しつつ、より効率的に劣化を促進させて短時間で評価を行うことができる。つまり、試験室10内の雰囲気の温度が30℃未満である場合は、温度が低過ぎるため、空気入りタイヤ100のオゾン反応性が低下し易くなり、劣化促進評価の効率が悪くなり易くなる虞がある。また、試験室10内の雰囲気の温度が70℃を超える場合は、温度が高過ぎるため、空気入りタイヤ100の熱老化現象が顕著になり、試験時における空気入りタイヤ100の変化が、空気入りタイヤ100を実際に使用した際における変化から乖離し易くなる虞がある。
これに対し、試験室10内の雰囲気の温度が、30℃以上70℃以下の範囲内である場合は、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化の再現性を確保しつつ、効率的に劣化を促進させて劣化促進評価を行うことができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、走行ステップでは、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度を停止ステップよりも高くするため、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。つまり、車両に走行時には、空気入りタイヤ100には新たな空気が順次流れるため、空気中のオゾンも順次流れ易くなる。このため、車両に走行時には、空気入りタイヤ100は次々に流れるオゾンによって劣化が発生し易くなり、車両の走行時は、停止時と比較して劣化し易くなる。従って、走行ステップで空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度を、停止ステップよりも高くすることにより、走行ステップと停止ステップとの劣化速度の変化の仕方を、空気入りタイヤ100が装着された車両の走行時と停止時の劣化速度の変化の仕方に近付けることができる。これにより、車両に空気入りタイヤ100を装着して実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、走行ステップでは、試験室10内の雰囲気の温度を停止ステップよりも低くするため、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。つまり、車両に走行時には、空気入りタイヤ100には新たな空気が順次流れるため、空気入りタイヤ100は、この空気によって冷却され易くなる。空気入りタイヤ100の劣化速度は、温度によっても変化するため、走行ステップでの雰囲気の温度を停止ステップよりも低くすることにより、走行ステップと停止ステップの劣化速度の変化の仕方を、空気入りタイヤ100が装着された車両の走行時と停止時の劣化速度の変化の仕方に近付けることができる。これにより、車両に空気入りタイヤ100を装着して実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、複数回の走行ステップにおける、後手順側の走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度を、前手順側の走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度より高くするため、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。つまり、車両に走行時には、走行する道路や混雑の状況等に応じて、様々な速度で走行をするため、異なる走行ステップで、空気入りタイヤ100を回転させる速度を異ならせることにより、空気入りタイヤ100の使用状態を、より確実に実際の使用状態に近付けて再現することができる。さらに、異なる走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度を異ならせる際に、後手順側の走行ステップでの速度を、前手順側の走行ステップでの速度より高くすることにより、空気入りタイヤ100が劣化し始めた際における高速走行時のグルーブクラックの発生状況も再現することができる。これにより、車両に空気入りタイヤ100を装着して実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、複数回の走行ステップにおける、後手順側の走行ステップの時間を、前手順側の走行ステップの時間より長くするため、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。つまり、車両に走行時には、走行する道路や目的地までの距離等に応じて、連続走行の時間が様々な長さになるため、異なる走行ステップで、走行ステップの時間を異ならせることにより、空気入りタイヤ100の使用状態を、より確実に実際の使用状態に近付けて再現することができる。さらに、異なる走行ステップで時間を異ならせる際に、後手順側の走行ステップの時間を、前手順側の走行ステップの時間より長くすることにより、空気入りタイヤ100が劣化し始めた際における長時間走行時のグルーブクラックの発生状況も再現することができる。これにより、車両に空気入りタイヤ100を装着して実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、走行ステップを行う前に、オゾンの供給は行わない状態で予備走行を行うため、グルーブクラックを再現する試験を行う際における気温等の環境条件に関わらず、走行ステップを開始する段階での空気入りタイヤ100の状態を一定の状態にすることができる。これにより、複数の空気入りタイヤ100で、グルーブクラックを再現する試験を行う際に、空気入りタイヤ100の状態が一定の状態から走行ステップと停止ステップとを繰り返すことにより、複数の空気入りタイヤ100の相互間の差異を、高い精度で再現することができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、以上の実施形態に係るタイヤ試験装置1は、空調装置20と、オゾン供給装置30と、路面再現装置40とを備え、路面再現装置40は、走行モードと停止モードとを切り替え可能になっているため、車両に装着された空気入りタイヤ100の実際の使用態様を再現して試験を行うことができる。つまり、空気入りタイヤ100の使用状態を再現する際に、実際に車両に装着された空気入りタイヤ100と同様に、空気入りタイヤ100に一定の荷重を継続して負荷しながら走行モードと停止モードとを交互に切り替えることにより、実際の使用状態に近付けて再現することができる。
また、走行モードと停止モードとの双方で、オゾン供給装置30によって供給されたオゾンに空気入りタイヤ100を露出させるため、空気入りタイヤ100の劣化を早めることができる。これにより、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化を短時間で再現することができ、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、短時間で再現することができる。
さらに、走行モードと停止モードとでは、試験室10内の温度とオゾンの濃度とのうちの少なくともいずれか一方を変化させるため、より確実に、実際の使用状態に近付けて再現することができる。つまり、車両に装着された空気入りタイヤ100は、車両の走行時と停止時とで空気の当たり方が変わり、温度も変化するため、走行モードと停止モードとで、試験室10内の温度とオゾンの濃度との少なくともいずれか一方を変化させることにより、より確実に実際の使用状態に近付けて再現することができる。従って、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、高い精度で再現することができる。この結果、グルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、路面再現装置40は、空気入りタイヤ100に接触する面が平面によって形成されるフラットベルト試験装置45であるため、空気入りタイヤ100の接地形状や接地圧分布を、実路面での接地形状や接地圧分布に近付けることができる。これにより、ドラム試験機を用いて試験を行う場合のように、空気入りタイヤ100との接触面積が小さくなって荷重が局所的に作用することを抑制することができ、空気入りタイヤ100が実際の路面に接地している際における動的特性と同じ状況を再現することができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、オゾン供給装置30は、空気入りタイヤ100の接地面の近傍にオゾンを噴射するオゾン噴射部32を有しているため、オゾンを用いた劣化促進評価を、効果的に行うことができる。つまり、オゾン噴射部32は、空気入りタイヤ100の接地面の近傍にオゾンを集中的に噴射するため、流速が速いオゾン気流を空気入りタイヤ100に噴射することができ、オゾンが消費されて反応性が低くなった空気を、流速が速いオゾンで除去することができる。このため、空気入りタイヤ100に対して新しい活性のオゾン分子が衝突する確率を増大させることができ、オゾンによって劣化を促進させる際における反応性を向上させることができる。これにより、オゾンによって効率的に劣化を促進させて、劣化促進評価を効果的に行うことができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、オゾン供給装置30は、オゾン噴射部32から空気入りタイヤ100の接地面の近傍にオゾンを噴射することにより、空気入りタイヤ100のサイドウォール部に発生するクラックであるサイドクラックも再現し易くすることができる。つまり、空気入りタイヤ100のサイドウォール部のうち、車両の幅方向における外側に位置するサイドウォール部は、太陽光が当たるため、紫外線も照射され易く、紫外線によって劣化し易くなっている。このため、この劣化に伴ってサイドクラックが発生し易くなっているが、オゾン噴射部32から空気入りタイヤ100の接地面の近傍にオゾンを噴射することにより、サイドウォール部における接地面の近傍の部分もオゾンに曝され易くなる。これにより、サイドウォール部も、オゾンによって劣化を促進させることができ、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するサイドクラックも、短時間で再現することができる。この結果、サイドクラックについての市場再現性も向上させることができる。
[変形例]
なお、上述した実施形態では、オゾン供給装置30は、空気入りタイヤ100の接地面の近傍にオゾンを噴射しているが、オゾンは、空気入りタイヤ100の接地面の近傍以外に位置に噴射してもよい。即ち、オゾン供給装置30は、試験室10内における空気入りタイヤ100から離れた位置から試験室10内にオゾンを供給し、試験室10内のオゾンの濃度が一定のオゾン雰囲気下で試験を行ってもよい。この場合、空気入りタイヤ100の近傍に、オゾンの濃度を検出するオゾン濃度センサ(図示省略)を配置し、オゾン濃度センサでの検出結果に基づいて、試験室10内のオゾンの濃度を調整するのが好ましい。試験室10内をオゾン雰囲気にすることにより、空気入りタイヤ100の部位に関わらず、空気入りタイヤ100全体をオゾンに露出させることができ、オゾンによる劣化を均等に促進させることができる。
また、上述した実施形態では、タイヤ試験方法で試験を行う際における手順のフローでは、試験室10内の湿度の調整は行っていないが、試験室10内の温度と同様に、走行ステップと停止ステップとで、それぞれ空調装置20によって湿度の調整を行ってもよい。この場合、走行ステップにおける試験室10内の湿度Hrと、停止ステップにおける試験室10内の湿度Hsとでは、走行ステップにおける湿度Hrを、停止ステップにおける湿度Hsよりも低くする。具体的には、走行ステップにおける試験室10内の湿度Hrは、停止ステップにおける試験室10内の湿度Hsに対して、5%以上15%以下の範囲内で低いのが好ましい。また、走行ステップにおける試験室10内の湿度Hrは、35%以上45%以下の範囲内であるのが好ましく、停止ステップにおける試験室10内の湿度Hsは、45%以上55%以下の範囲内であるのが好ましい。
また、上述した実施形態では、停止ステップにおける停止時間Msは一定の時間になっているが、停止時間Msは、走行ステップでの走行時間Mrと同様に、巡目に応じて変化させてもよい。空気入りタイヤ100を装着した車両は、停車時間も様々であるため、停止ステップにおける停止時間Msを変化させることにより、より確実に、車両に装着された空気入りタイヤ100の実際の使用態様を再現して試験を行うことができる。これにより、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。
また、上述した実施形態では、走行ステップでは、試験室10内の温度とオゾン濃度とを調整した後に、ベルト駆動装置60を作動させて空気入りタイヤ100を回転させているが、試験室10内の温度やオゾン濃度の調整と、ベルト駆動装置60の作動の開始は、同じタイミングで行ってもよい。走行ステップでは、所定の高さの温度や湿度の雰囲気下で、所定の速度で所定の時間、空気入りタイヤ100を走行させることができれば、空調装置20やオゾン供給装置30、路面再現装置40の動作の開始のタイミングは、タイミングが異なっていても同じであってもよい。
また、走行ステップでは、空気入りタイヤ100にスリップ角を付与しながらスラローム走行させてもよい。即ち、フラットベルト試験装置45のタイヤ支持装置50に、無端ベルト61の走行方向に対する空気入りタイヤ100の角度であるスリップ角を、走行ステップ中に変化させることができる機構を設け、走行ステップ中に、スリップ角を変化させることによりスラローム走行をさせてもよい。空気入りタイヤ100を装着した実際の車両では、走行時にはコーナリングや車線変更を行うため、走行ステップで空気入りタイヤ100にスリップ角を付与しながらスラローム走行させることにより、車両使用条件に合わせることができる。これにより、より確実に実際の使用状態に近付けて、グルーブクラックを再現する試験を行うことができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。なお、この場合におけるスリップ角は、左右に0.5°以上3.0°以下の範囲内であるのが好ましい。
また、空気入りタイヤ100には、キャンバー角を付与してもよい。即ち、無端ベルト61における空気入りタイヤ100が接触する面に対する垂線に対して、空気入りタイヤ100を無端ベルト61の幅方向に傾斜させてもよい。空気入りタイヤ100は、キャンバー角が0°以外の状態で車両に装着されることもあるため、空気入りタイヤ100に0°以外のキャンバー角を付与した状態で、走行ステップや停止ステップを行うことにより、車両使用条件に合わせることができる。これにより、より確実に実際の使用状態に近付けて、グルーブクラックを再現する試験を行うことができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。なお、この場合におけるキャンバー角は、0.5°以上3.0°以下の範囲内であるのが好ましい。
また、上述した実施形態では、路面再現装置40にはフラットベルト試験装置45が用いられているが、路面再現装置40は、フラットベルト試験装置45以外であってもよい。路面再現装置40は、例えば、ドラムの直径が大きめのドラム試験機(図示省略)を用いてもよい。路面再現装置40にドラム試験機を用いる場合は、ドラムの直径は3500mm以上であるのが好ましい。路面再現装置40にドラム試験機を用いる場合でも、ドラムの直径が大きめのものを用いることにより、空気入りタイヤ100に接触する面が平面に近くなるため、空気入りタイヤ100の接地形状や接地圧分布を、実路面での接地形状や接地圧分布に近付けることができる。これにより、空気入りタイヤ100が実際の路面に接地している際における動的特性と同じ状況を再現することができ、グルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、上述した実施形態では、フラットベルト試験装置45は、ベルト駆動装置60の無端ベルト61を回転させることにより、無端ベルト61に接触する空気入りタイヤ100を回転させているが、空気入りタイヤ100側を回転させてもよい。つまり、空気入りタイヤ100を支持する回転支持部51に、空気入りタイヤ100を回転させる機構を設け、空気入りタイヤ100を回転させることにより、空気入りタイヤ100の走行試験を行ってもよい。空気入りタイヤ100側を回転させることにより、車両の駆動輪として用いられる空気入りタイヤ100の実際の使用状態を再現することができ、空気入りタイヤ100を駆動輪として用いる場合における、グルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、上述した実施形態に係るタイヤ試験方法は、他の試験と共に行ってもよい。例えば、上述した実施形態に係るタイヤ試験方法の前、または後に、オゾンは噴射せず、常温の走行試験を行ってもよい。常温の走行試験を追加で行うことにより、長期間使用する空気入りタイヤ100に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。
または、上述した実施形態に係るタイヤ試験方法の前、または後に、オゾンは噴射せず、高温の雰囲気化に空気入りタイヤ100を放置する試験を行ってもよい。高温の雰囲気下に空気入りタイヤ100を放置する試験を追加で行うことにより、高温によってゴムが硬化することの影響も再現することができ、高温の環境で使用する空気入りタイヤ100に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。これらの結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
[実施例]
図7は、タイヤ試験方法の評価結果を示す図表である。以下、上述したタイヤ試験方法について、本発明に係るタイヤ試験方法と、本発明に係るタイヤ試験方法と比較する比較例のタイヤ試験方法とについて行なった評価試験について説明する。
評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが225/65R17サイズの空気入りタイヤ100を、JATMA標準のリムホイール110にリム組みし、空気圧は最大空気圧の90%、荷重は最大負荷能力の60%に調整し、試験室10内は、オゾン濃度が150pphmのオゾン雰囲気で、温度を50℃に調整して行った。
評価方法は、それぞれのタイヤ試験方法での試験の完了後、最終的に発生したグルーブクラックの数を数え、グルーブクラックの数を、後述する実車例のグルーブクラックの数を100とする指数で表すことにより評価した。詳しくは、グルーブクラックは、グルーブクラックの長さを各溝部101で測定し、長さが1mm以上の肉眼で確認できるグルーブクラックを全て数えて、後述する実車例のグルーブクラックの数を100とする指数で表すことにより評価した。この評価は、指数が大きいほどグルーブクラックの数が多いことを示していると共に、100に近いほど、発生したグルーブクラックの数が実車例に近く、グルーブクラックの再現性に優れていることを示している。
なお、グルーブクラックは、グルーブクラックの長さに応じて、大(25mm以上)、中(5mm以上25mm未満)、小(5mm未満)の3つに分類し、大、中、小の割合を評価してもよい。または、グルーブクラックの長さに関わらず、発生したグルーブクラックの数に応じて、L(無数)、M(多数)、S(少数)の3種類に分類し、空気入りタイヤ100ごとにL、M、Sによって評価を行ってもよい。
評価試験は、本発明に係るタイヤ試験方法の一例である実施例と、本発明に係るタイヤ試験方法と比較するタイヤ試験方法である比較例1、2との3種類を、空気入りタイヤ100を実際に車両に装着して使用した実車例と比較することにより行った。
このうち、比較例1、2は、いずれも試験機タイプはドラム試験機になっており、比較例1は、空気入りタイヤ100のオゾンへの露出は行うものの、走行ステップと停止ステップとは繰り返さない。また、比較例2は、走行ステップと停止ステップとを繰り返し行うものの、空気入りタイヤ100のオゾンへの露出は行わない。比較例1、2は、これらの手法で、空気入りタイヤ100を6200km走行させる走行試験を行った。
これに対し、本発明に係るタイヤ試験方法の一例である実施例は、試験機タイプは上述したフラットベルト試験装置45になっており、空気入りタイヤ100のオゾンへの露出を行うと共に、走行ステップと停止ステップとを繰り返し行い、空気入りタイヤ100を6200km走行させる走行試験を行った。
これらのように、タイヤ試験方法の評価試験を行った結果、図7に示すように、実施例に係るタイヤ試験方法は、比較例1、2と比較して、グルーブクラックの指数が実車例に近くなっており、グルーブクラックの発生数が、実車例に近くなることが分かった。つまり、実施例に係るタイヤ試験方法は、グルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。