JP2016148518A - タイヤの検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤの耐クラック性が実用的な時間で精度よく検査できる検査方法の提供。
【解決手段】本発明に係るタイヤの耐クラック性の検査方法は、大気よりも高い濃度のオゾンを含む雰囲気中にタイヤを晒す第一オゾン曝露工程S3、上記の工程よりも、さらに高い濃度のオゾンを含む雰囲気中にタイヤを晒す第二オゾン曝露工程S4、及びタイヤ表面のクラックを観測するクラック観測工程S5を含む。好ましくは、上記第二オゾン曝露工程S4におけるオゾン濃度と上記第一オゾン曝露工程S3におけるオゾン濃度との差は10pphm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤの検査方法に関する。詳細には、本発明は、タイヤの耐クラック性の検査方法に関する。
タイヤは、時間の経過とともに徐々に劣化する。劣化が進行したタイヤでは、その表面にクラックが発生することが起こりうる。特にこのクラックは、トレッドの溝底で発生し易いことが知られている。トレッドの溝底におけるクラックは、トレッドグルーブクラック(TGC)と称される。
タイヤの劣化の主な要因は、大気中のオゾンである。タイヤの表面において、大気中のオゾンがゴム組成物中のポリマーと反応を起こす。これにより、ポリマーの分子結合が切断される。この切断は、時間の経過とともに進行する。これによりタイヤの劣化が進行する。一方、タイヤには、加硫工程後の収縮や、空気の充填による膨張により、歪みが生じている。このタイヤの劣化と引っ張り方向の歪みとにより、タイヤの表面において微少なクラックが発生する。クラックが発生した部分では、さらにオゾンによるポリマーの分子切断が進行する。これにより、クラックは大きくなる。トレッドの溝底では、大きな引っ張り歪みが加わり易いため、TGCが発生し易くなっている。
それぞれのタイヤの種類において、どの程度の時間でクラックが発生するか(耐クラック性)は、タイヤを構成するゴムの組成や、タイヤの形状等により変化する。タイヤの耐クラック性を、精度よく検査することは重要である。しかし、実際にクラックが発生するまでには、長い時間が必要となる。実用的な時間で、タイヤの耐クラック性を検査することが求められている。
耐クラック性の検査方法が、特開2014−24995公報及び特開2011−132472公報に開示されている。これらの検査方法では、ゴムサンプルを、大気よりもオゾン濃度の高い雰囲気中に晒すことで、オゾンによるゴムの劣化を加速している。同時に、このゴムサンプルに引っ張り歪みを与えることで、クラックを発生させている。この状態で一定時間経過させた後に、クラックの発生の程度を観測することで、ゴムサンプルの耐クラック性を検査している。
特開2014−24995公報 特開2011−132472公報
実用的な時間で、さらに精度良くタイヤの耐クラック性の検査をすることが求められている。従来の大気よりもオゾン濃度の高い雰囲気中にタイヤを晒す方法では、オゾンの濃度が高いと、クラックが急激に成長する。このため、同じ種類のタイヤであっても、検査ごとのクラック発生の程度のばらつきが大きくなる。これは、耐クラック性の良否の判別を難しくする。これは、精度の良い耐クラック性検査の妨げとなる。一方、オゾンの濃度が低いと、クラック発生までに長い時間が必要となる。
本発明の目的は、タイヤの耐クラック性が実用的な時間で精度よく検査できる検査方法の提供にある。
本発明に係るタイヤの耐クラック性の検査方法は、
大気よりも高い濃度のオゾンを含む雰囲気中にタイヤを晒す第一オゾン曝露工程、
上記の工程よりも、さらに高い濃度のオゾンを含む雰囲気中にタイヤを晒す第二オゾン曝露工程、
及び
タイヤ表面のクラックを観測するクラック観測工程
を含む。
好ましくは、上記第二オゾン曝露工程におけるオゾン濃度と上記第一オゾン曝露工程におけるオゾン濃度との差は10pphm以上である。
好ましくは、上記第一オゾン曝露工程におけるオゾン濃度は20pphm以上40pphm以下である。
好ましくは、上記第二オゾン曝露工程におけるオゾン濃度は50pphm以上80pphm以下である。
好ましくは、上記第一オゾン曝露工程及び第二オゾン曝露工程における雰囲気の湿度は70%以下である。
好ましくは、上記第一オゾン曝露工程及び第二オゾン曝露工程における雰囲気の湿度は50%以下である。
好ましくは、上記第一オゾン曝露工程及び第二オゾン曝露工程における雰囲気の温度は10℃以上25℃以下である。
好ましくは、この検査方法は、上記第一オゾン曝露工程の前に、
上記タイヤ表面を洗浄する表面洗浄工程
をさらに含む。
好ましくは、温度が80℃以上100℃以下の熱湯に上記タイヤを浸漬することで上記タイヤ表面が洗浄される。
好ましくは、上記タイヤのトレッドの溝底はブラシで磨かれる。
好ましくは、この検査方法は、上記第一オゾン曝露工程の前に、
高温の雰囲気中で上記タイヤを保管する高温保管工程
をさらに含む。
好ましくは、この検査方法は、上記表面洗浄工程と上記第一オゾン曝露工程との間に、
高温の雰囲気中で上記タイヤを保管する高温保管工程
をさらに含む。
好ましくは、上記高温保管工程における上記タイヤの温度は70℃以上90℃以下であり、保管期間は5日以上である。
好ましくは、上記タイヤはスペアタイヤである。
本発明に係る検査方法は、第一オゾン曝露工程及び第二オゾン曝露工程を含む。第一オゾン曝露工程では、第二オゾン曝露工程よりもより低いオゾン濃度の雰囲気を使用する。第一オゾン曝露工程では、微細なクラックが発生する。オゾン濃度が低いため、このクラックは急激に成長することが抑えられている。これにより、検査ごとのクラック発生の程度のばらつきが抑えられる。この方法では、耐クラック性の高いタイヤと低いタイヤとの評価結果の差が、これまでの方法より明確にできる。オゾン濃度が高い雰囲気を使用する第二オゾン曝露工程により、短い時間でこのクラックを成長させることができる。この方法では、実用的な時間で、より精度のよい耐クラック性の検査ができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る検査方法が示されたフローチャートである。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る検査方法が示されたフローチャートである。この検査方法は、表面洗浄工程S1、高温保管工程S2、第一オゾン曝露工程S3、第二オゾン曝露工程S4及びクラック観測工程S5を含んでいる。
表面洗浄工程S1では、タイヤの表面が洗浄される。この工程では、タイヤの表面の老化防止材やワックス等の化学物質が除去される。この洗浄には、熱湯が使用される。タイヤは熱湯に浸漬される。このとき、トレッドの溝底の洗浄には、プラスチック製のブラシが使用される。トレッドの溝底は、このブラシにより磨かれる。
高温保管工程S2では、タイヤがリムに取り付けられ、タイヤに空気が充填される。このタイヤは、高温乾燥の雰囲気中で保管される。これにより、タイヤの硬化が促進される。タイヤの内圧、保管温度及び保管期間は、どの程度タイヤを硬化させるかにより決められる。例えば、市場で一定期間使用されたタイヤの硬さを測定し、この硬さと同じ硬さになるように、条件が決められる。一例としては、タイヤは、正規内圧となるように空気が充填され、温度80℃で、7日間保管される。保管には、例えば乾熱オーブンが使用される。例えばこのときの雰囲気の湿度は30%以下である。
図1では、表面洗浄工程S1の後に高温保管工程S2が実施されている。高温保管工程S2が表面洗浄工程S1の前に実施されてもよい。この検査方法が、表面洗浄工程S1を含まなくてもよい。この検査方法が、高温保管工程S2を含まなくてもよい。この検査方法が、表面洗浄工程S1及び高温保管工程S2を含まなくてもよい。
第一オゾン曝露工程S3では、タイヤは大気よりも高い濃度C1のオゾンを含む雰囲気中に晒される。このオゾンの濃度C1は、急激なクラックの発生及び成長が起こらない程度の濃度に設定される。雰囲気の温度は、通常の室温程度に設定される。オゾン濃度C1で室温の雰囲気中でタイヤが保管される。保管期間は、タイヤに微少なクラックが発生する期間に設定される。例えば、この工程では、タイヤはオゾン濃度C1が40pphmの雰囲気中で1日間保管される。
第二オゾン曝露工程S4では、タイヤは濃度C2のオゾンを含む雰囲気中に晒される。このオゾンの濃度C2は、第一オゾン曝露工程S3でのオゾン濃度C1よりも高く設定される。雰囲気の温度は、通常の室温程度に設定される。オゾン濃度C2で室温の雰囲気中でタイヤが保管される。これにより、クラックが成長する。保管期間は、要求される耐クラック性や、次のクラック観測工程S5でのクラックの観測容易性等を考慮して決められる。
クラック観測工程S5では、タイヤに発生したクラックが目視にて観測される。発生したクラックの量により、タイヤの耐クラック性が評価される。
図1では、クラック観測工程S5が実施されるとこの検査が終了している。クラック観測工程S5後に再び第二オゾン曝露工程S4が実施されてもよい。例えば、所定の大きさのクラックが観測されるまで、第二オゾン曝露工程S4とクラック観測工程S5とが繰り返されてもよい。
以下、本発明の作用効果が説明される。
耐クラック性の評価では、大気よりもオゾン濃度の高い雰囲気中にタイヤを晒す方法が採られている。この方法では、オゾンの濃度が高いと、クラックが急激に発生し、検査ごとのクラック発生の程度のばらつきが大きくなる。これは、耐クラック性の良否の判別を難しくする。一方、オゾンの濃度が低いと、クラック発生までに長い時間が必要となる。
発明者らは、オゾン濃度とクラック発生との関係について詳細に検討した。その結果、タイヤを微少なクラックが発生するまで低いオゾン濃度の雰囲気中に晒せば、その後に高いオゾン濃度の雰囲気中に晒しても、検査ごとのクラック発生の程度のばらつきが小さくできることを見出した。これにより耐クラック性の高いタイヤと低いタイヤとの評価結果の差を明確にできることを見出した。
本発明に係る検査方法は、第一オゾン曝露工程S3及び第二オゾン曝露工程S4を含む。第一オゾン曝露工程S3では、大気よりも高い濃度C1のオゾンを含む雰囲気中にタイヤが晒される。このオゾンの濃度C1は、急激にクラックが発生及び成長しない程度の濃度に設定される。タイヤは、この濃度C1の雰囲気中で微少なクラックが発生するまで保管される。これにより、クラック発生の程度のばらつきが抑えられる。耐クラック性の高いタイヤと低いタイヤとの評価結果の差が明確にできる。さらに、このタイヤは第二オゾン曝露工程S4において、濃度C2のオゾンを含む雰囲気中に晒される。この濃度C2は濃度C1よりも高く設定される。第二オゾン曝露工程S4により、短い時間でこのクラックを成長させることができる。この方法では、実用的な時間で、より精度のよい耐クラック性の検査ができる。
濃度C1と濃度C2との差は10pphm以上が好ましい。濃度C1と濃度C2との差を10pphm以上とすることで、耐クラック性の高いタイヤと低いタイヤとの評価結果の差が明確化された上で、短時間でのクラック成長が実現されうる。この検査方法によれば、実用的な時間で、より精度のよい耐クラック性の検査ができる。
濃度C1は40pphm以下が好ましい。濃度C1を40pphm以下とすることで、クラック発生の程度のばらつきが効果的に抑えられる。耐クラック性の高いタイヤと低いタイヤとの評価結果の差がより明確にできる。この観点から濃度C1は35pphm以下がより好ましい。濃度C1は20pphm以上が好ましい。濃度C1を20pphm以上とすることで、微少なクラックを発生させるまでの期間が短くできる。この観点から濃度C1は30pphm以上がより好ましい。
濃度C2は50pphm以上が好ましい。濃度C2を50pphm以上とすることで、クラックの成長が効果的に促進される。この検査方法では、実用的な時間で、耐クラック性の検査ができる。この観点から濃度C2は55pphm以上がより好ましい。濃度C2は80pphm以下が好ましい。濃度C2を80pphm以下とすることで、クラックの成長速度が適切な範囲に抑えられる。これにより、クラック発生の程度のばらつきが抑えられる。耐クラック性の高いタイヤと低いタイヤとの評価結果の差が明確にできる。この観点から濃度C2は70pphm以下がより好ましい。
第一オゾン曝露工程S3及び第二オゾン曝露工程S4における雰囲気の湿度は、70%以下が好ましい。雰囲気の湿度を70%以下とすることで、クラックの急激な発生及び成長が抑えられる。クラック発生の程度のばらつきが抑えられる。耐クラック性の高いタイヤと低いタイヤとの評価結果の差が明確にできる。この観点からこの雰囲気の湿度は、50%以下がより好ましい。
第一オゾン曝露工程S3及び第二オゾン曝露工程S4における雰囲気の温度は、25℃以下が好ましい。雰囲気の温度を25℃以下とすることで、クラックの発生が効果的に促進されうる。この方法では、実用的な時間で耐クラック性の検査ができる。雰囲気の温度は10℃以上が好ましい。
第一オゾン曝露工程S3における保管期間は1日以上が好ましい。第一オゾン曝露工程S3における保管期間を1日以上とすることで、タイヤに微少なクラックを発生させることが可能となる。第一オゾン曝露工程S3における保管期間は5日以下が好ましい。第一オゾン曝露工程S3における保管期間を5日以下とすることで、効率良く耐クラック性の検査ができる。
オゾンによる劣化の進行を抑制するために、タイヤは老化防止剤及びワックスを含有している。老化防止剤及びワックスは、タイヤの内部から表面に移行して、タイヤ表面を保護する。老化防止材は、タイヤの表面にてタイヤのゴム組成物のポリマーよりも先にオゾンと反応する。老化防止剤がオゾンと反応することにより、ポリマーの分子結合の切断が抑制されている。ワックスは、タイヤ表面に薄い膜を作ることで、ポリマーの分子結合の切断を抑制する。
タイヤ内部からタイヤ表面への老化防止材及びワックスの移行の速度は、温度に依存する。温度が低いと、老化防止材及びワックスの移行は起こりにくい。タイヤが寒冷地で使用されると、老化防止材及びワックスの表面への移行がほとんど起こらない場合がある。このタイヤの状態を再現するために、これまで、寒冷地で使用されるタイヤの耐クラック性の検査は、雰囲気の温度を低温にすることで実施されてきた。しかし、この検査は手間がかかる。特に0℃よりも低い雰囲気下での耐クラック性の検査は困難であった。
本発明に係る検査方法は、タイヤの表面を洗浄する表面洗浄工程S1を含んでいる。この工程では、タイヤの表面の老化防止材やワックス等の化学物質が除去される。この工程により、タイヤ表面への老化防止材及びワックスの移行が起こりにくい寒冷地でのタイヤの状態が再現されうる。この工程によれば、雰囲気温度を低温にする必要はない。この検査方法では、容易に寒冷地でのタイヤの状態が再現された耐クラック性の検査ができる。
さらに、タイヤ表面での化学物質の付着の程度は、タイヤにより異なる。タイヤ表面を洗浄することにより、タイヤ表面の化学物質によるクラック発生の程度のばらつきが抑制される。この方法では、耐クラック性の高いタイヤと低いタイヤとの評価結果の差がより明確にできる。加えて、タイヤ表面の老化防止材やワックスを除去することにより、クラックの発生が促進される。この検査方法では、さらに短い時間で、精度よく耐クラック性の検査ができる。
前述のとおり、タイヤの洗浄には熱湯を使用するのが好ましい。熱湯による洗浄は、有機薬品を使用した洗浄に比べて、タイヤのゴムの物性が変化することが防止されている。この方法によれば、より精度のよい耐クラック性の検査ができる。さらに、トレッドの溝底の洗浄には、プラスチック製のブラシを使用するのが好ましい。ブラシを使用して溝底を磨くことにより溝底での化学物質が効果的に除去できる。この検査方法では、TGC発生のばらつきが抑制される。
洗浄に使用する熱湯の温度WTは80℃以上が好ましい。温度WTを80℃以上とすることで、タイヤ表面の化学物質が効果的に除去できる。この検査方法では、タイヤ表面の化学物質によるクラック発生の程度のばらつきが抑制される。この観点から温度WTは90℃以上がより好ましい。熱湯であるので、この最高温度はほぼ100℃である。
タイヤは時間の経過とともに、硬化していく。タイヤの硬さは、時間の経過とともに大きくなる。タイヤの硬化は、タイヤの耐クラック性に影響を及ぼす。タイヤの耐クラック性を精度よく検査するには、タイヤの硬化を再現させるのが好ましい。
本発明に係る検査方法は、高温保管工程S2を含んでいる。この工程では、タイヤが高温乾燥の雰囲気中で保管される。これにより、タイヤの硬化が促進される。この工程により、タイヤの硬化を再現させた耐クラック性の検査ができる。なお、本願において、硬さは「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。タイヤにこのデュロメータが押し付けられて、硬さが測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。
高温保管工程S2におけるタイヤの保管温度RTは、70℃以上が好ましい。温度RTを70℃以上とすることで、タイヤの硬化が効果的促進される。この観点から温度RTは80℃以上がより好ましい。温度RTは90℃以下が好ましい。温度RTを90℃以下とすることで、タイヤの表面のみが硬化することが防止される。タイヤ表面において、硬化した部分の深さが不均一になることが防止される。この検査方法では、精度よくタイヤの硬化を再現した耐クラック性の検査ができる。
高温保管工程S2におけるタイヤの保管期間は5日以上が好ましい。保管期間を5日以上とすることで、タイヤの硬化が効果的に促進される。タイヤの保管期間は10日以下が好ましい。保管期間を10日以下とすることで、効率良く耐クラック性の検査ができる。
高温保管工程S2におけるタイヤの内圧は、正規内圧の50%以上200%以下が好ましい。タイヤの内圧を正規内圧の50%以上200%以下とすることで、市場におけるタイヤの硬化を精度よく再現できる。この検査方法では、精度よくタイヤの硬化を再現した耐クラック性の検査ができる。
高温保管工程S2における雰囲気の湿度は、30%以下が好ましい。この湿度を30%以下とすることで、タイヤの硬化が効果的に促進される。この観点からこの湿度は20%以下がより好ましい。
前述のとおり、タイヤのクラック発生の主な原因は、オゾンによるタイヤの劣化とタイヤの引っ張り方向の歪みとである。発明者らの検討により、引っ張り方向の歪みについては、特に溝底における加硫工程後の収縮による残留歪みが大きいことが判明した。この溝底における残留歪みは、タイヤに荷重が負荷されたときは、緩和される方向に力が働く。すなわち、この歪みによる引っ張り力は、タイヤが使用されていない状態で最も大きくなっている。このため、タイヤのクラックは、使用されない状態で長期保管されているスペアタイヤで特に発生し易い。しかもスペアタイヤは、車のマフラーの近くに保管されていることが多い。マフラーの近くは、排気ガスによりオゾン濃度が高くなることが起こりうる。これは、クラック発生までの時間を短くしうる。本発明に係る耐クラック性の検査方法は、スペアタイヤについて特に重要となる。
本明細書において正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[タイヤの準備]
耐クラック性が優れたタイヤ(タイプA)及び耐クラック性がタイプAよりも劣るタイヤ(タイプB)の二種類のタイヤが準備された。これらのタイヤのサイズは、いずれも165/90D18 107Mである。
[実施例1]
図1に示された検査方法で、タイプA及びタイプBのタイヤの検査を実施したのが実施例1である。この検査の条件が表1に示されている。表面洗浄工程では、プラスチック製のブラシで溝底が洗浄された。高温保管工程において、表1に示されていない検査条件は以下の通りである。
使用リム:標準リム(サイズ=4T×18)
空気圧:420kPa(タイヤの正規内圧の100%)
保管温度:80℃
湿度:20%
第一オゾン曝露工程におけるタイヤの保管期間は1日である。第一オゾン曝露工程及び第二オゾン曝露工程において、表1に示されていない検査条件は以下の通りである。
使用リム:標準リム(サイズ=4T×18)
空気圧:420kPa(タイヤの正規内圧の100%)
保管温度:25℃
湿度:50%
クラック観測工程は、第二オゾン曝露工程での保管期間が1日経過するごとに実施された。
[比較例1]
実施例1と同じ検査条件で第二オゾン曝露工程のみを実施したのが、比較例1である。比較例1は、従来の検査方法である。
[実施例2]
表面洗浄工程を実施しないことの他は実施例1と同様にしたのが、実施例2である。
[実施例3]
高温保管工程を実施しないことの他は実施例1と同様にしたのが、実施例3である。
[実施例4]
表面洗浄工程及び高温保管工程を実施しないことの他は実施例1と同様にしたのが、実施例4である。
[比較例2]
第一オゾン曝露工程を実施しないことの他は実施例1と同様にしたのが、比較例2である。
[比較例3]
第一オゾン曝露工程を実施しないこと及び濃度C2を表3の値としたことの他は実施例1と同様にしたのが、比較例3である。
[クラック発生までの保管日数及び標準偏差]
それぞれの実施例及び比較例について、5本のタイプAのタイヤ及び5本のタイプBのタイヤが検査された。それぞれのタイヤについて、タイヤ表面に長さ1mm以上のクラックが発生するまでの第二オゾン曝露工程での保管日数が計測された。タイプAのタイヤについてのこの日数の平均及び標準偏差と、タイプBのタイヤについてのこの日数の平均及び標準偏差とが表1−3に示されている。タイヤAのクラック発生までの保管日数とタイヤBのクラック発生までの保管日数との差が大きいほど、好ましい。また標準偏差が小さいほど、好ましい。
[トレッド硬さの差]
製造後2年経過したタイプAのタイヤについて、トレッドの硬さが測定された。また、この実施例及び比較例の検査が終了した後のタイプAのタイヤについて、トレッドの硬さが測定された。この検査終了後のタイヤのトレッドの硬さと、製造後2年経過したタイヤのトレッドの硬さとの差が、表1−3に示されている。この差がマイナスであることは、検査終了後のタイヤのトレッドの硬さが、製造後2年経過したタイヤのトレッドの硬さより低いことを表す。この差が小さいほど、タイヤの硬化を再現した検査ができている。この差が小さいほど好ましい。
Figure 2016148518
Figure 2016148518
Figure 2016148518
表1−3に示されるように、実施例の検査方法では、従来の検査方法に比べて良好な結果が得られている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された方法は、種々のタイヤの検査に用いられうる。

Claims (14)

  1. 大気よりも高い濃度のオゾンを含む雰囲気中にタイヤを晒す第一オゾン曝露工程、
    上記の工程よりも、さらに高い濃度のオゾンを含む雰囲気中にタイヤを晒す第二オゾン曝露工程、
    及び
    タイヤ表面のクラックを観測するクラック観測工程
    を含むタイヤの耐クラック性の検査方法。
  2. 上記第二オゾン曝露工程におけるオゾン濃度と上記第一オゾン曝露工程におけるオゾン濃度との差が10pphm以上である請求項1に記載の耐クラック性の検査方法。
  3. 上記第一オゾン曝露工程におけるオゾン濃度が20pphm以上40pphm以下である請求項1又は2に記載の耐クラック性の検査方法。
  4. 上記第二オゾン曝露工程におけるオゾン濃度が50pphm以上80pphm以下である請求項1から3のいずれかに記載の耐クラック性の検査方法。
  5. 上記第一オゾン曝露工程及び第二オゾン曝露工程における雰囲気の湿度が70%以下である請求項1から4のいずれかに記載の耐クラック性の検査方法。
  6. 上記第一オゾン曝露工程及び第二オゾン曝露工程における雰囲気の湿度が50%以下である請求項5に記載の耐クラック性の検査方法。
  7. 上記第一オゾン曝露工程及び第二オゾン曝露工程における雰囲気の温度が10℃以上25℃以下である請求項1から6のいずれかに記載の耐クラック性の検査方法。
  8. 上記第一オゾン曝露工程の前に、
    上記タイヤ表面を洗浄する表面洗浄工程
    をさらに含む請求項1から7のいずれかに記載の耐クラック性の検査方法。
  9. 温度が80℃以上100℃以下の熱湯に上記タイヤを浸漬することで上記タイヤ表面が洗浄される請求項8に記載の耐クラック性の検査方法。
  10. 上記タイヤのトレッドの溝底がブラシで磨かれる請求項9に記載の耐クラック性の検査方法。
  11. 上記第一オゾン曝露工程の前に、
    高温の雰囲気中で上記タイヤを保管する高温保管工程
    をさらに含む請求項1から10のいずれかに記載の耐クラック性の検査方法。
  12. 上記表面洗浄工程と上記第一オゾン曝露工程との間に、
    高温の雰囲気中で上記タイヤを保管する高温保管工程
    をさらに含む請求項8から10に記載の耐クラック性の検査方法。
  13. 上記高温保管工程における上記タイヤの温度が70℃以上90℃以下であり、保管期間が5日以上である請求項11又は12に記載の耐クラック性の検査方法。
  14. 上記タイヤがスペアタイヤである請求項1から13のいずれかに記載の耐クラック性の検査方法。
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