JP2021063733A - タイヤ試験方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】グルーブクラックの成長性を精度高く評価することができるタイヤ試験方法を提供する。【解決手段】タイヤ試験方法は、空気入りタイヤのトレッド部に形成された溝部の溝底にメスカットを加工する加工工程ST101と、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤをオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で空気入りタイヤを所定の走行モードにてテストするテスト工程ST102と、テスト工程ST102後におけるメスカットの長さ方向の成長率からクラック成長性を評価する評価工程ST103とを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤ試験方法に関する。
空気入りタイヤでは、車両走行時のひずみや経時劣化等が原因となって、トレッド部に形成される溝部の溝底にクラックが発生することがある。この溝底に発生するクラックは、いわゆるグルーブクラックであり、グルーブクラックの発生の度合いを評価する試験方法として、従来より様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1、2に記載された試験方法では、試験を行うタイヤをオゾン雰囲気に所定期間放置をした後、回転ドラムにタイヤを押し付けてタイヤに荷重を負荷しながら回転ドラムによる走行試験を行うことにより、市場でのグルーブクラックを再現し、評価を行っている。また、特許文献3に記載された試験方法では、試験を行うタイヤに対して回転ドラムによって荷重を負荷した状態で回転ドラムによる走行試験を行いながら、タイヤにオゾンを噴射することにより、市場でのグルーブクラックを再現し、評価を行っている。
特開2006−84290号公報 特開2014−100977号公報 特開2008−26228号公報
しかしながら、従来の試験方法は、いずれもグルーブクラックの発生の有無を評価するものであるため、試験を行ったタイヤと実際のタイヤとでグルーブクラックの成長状況が大きく異なることがあり、市場再現性が不十分である場合があった。このため、グルーブクラックの成長性(成長度合い)を評価する試験方法が模索されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、グルーブクラックの成長性を精度高く評価することができるタイヤ試験方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るタイヤ試験方法は、空気入りタイヤのトレッド部に形成された溝部の溝底に切り込みを加工する前工程と、所定の温度に調節した雰囲気下で、前記空気入りタイヤをオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で前記空気入りタイヤを所定の走行モードにてテストする中間工程と、前記中間工程後における前記切り込みの長さ方向の成長率からクラック成長性を評価する後工程と、を含むことを特徴とする。
上記タイヤ試験方法において、前記前工程では、加工される前記切り込みは、前記空気入りタイヤの周方向に沿って延在し、該切り込みの長手方向の長さは、2mm以上8mm以下の範囲内であり、該切り込みの深さは、0.1mm以上3.0mm以下の範囲内であることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記前工程では、複数の前記切り込みが前記空気入りタイヤの周方向に等間隔の位置に設けられることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記前工程では、前記切り込みは、前記空気入りタイヤの少なくともショルダー部側の溝部の溝底に加工され、且つ、該ショルダー部側の溝部の溝壁から溝幅の50%以下の範囲内に加工されることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記前工程で前記空気入りタイヤの周方向に延在する一の溝部に複数の前記切り込みが加工される場合、複数の前記切り込みは、一の溝部の溝底における前記空気入りタイヤの周方向、及び、該溝部の幅方向にそれぞれずらした位置に設けられていることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記後工程では、前記切り込みの長さ方向の成長率が所定の閾値以下の場合、前記空気入りタイヤに負荷する荷重を増大させて前記中間工程を再度実行することが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記中間工程は、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤをオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で前記空気入りタイヤを回転させる走行ステップと、所定の温度に調節した雰囲気下で、前記空気入りタイヤを前記オゾンに露出させて荷重を負荷した状態で前記空気入りタイヤの回転を停止する停止ステップと、を含み、前記走行ステップと前記停止ステップとを所定の回数交互に切り替えると共に、前記走行ステップと前記停止ステップとでは、前記雰囲気の温度と、前記空気入りタイヤを露出させる前記オゾンの濃度とのうちの少なくともいずれか一方を変化させることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記中間工程では、前記空気入りタイヤは、内圧が前記空気入りタイヤの最大空気圧の60%以上100%以下の範囲内であり、前記空気入りタイヤに負荷する荷重は、前記空気入りタイヤの最大負荷能力の40%以上100%以下の範囲内であり、前記走行ステップにおける速度は、10km/h以上100km/h以下の範囲内であることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記走行ステップでは、前記空気入りタイヤにスリップ角を付与しながらスラローム走行させることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記走行ステップでは、前記空気入りタイヤにキャンバー角を付与することが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記走行ステップでは、前記空気入りタイヤを露出させる前記オゾンの濃度を前記停止ステップよりも高くすることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記走行ステップでは、前記雰囲気の温度を前記停止ステップよりも低くすることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記走行ステップは、前記停止ステップと交互に切り替える複数回の前記走行ステップにおける、後手順側の前記走行ステップで前記空気入りタイヤを回転させる速度を、前手順側の前記走行ステップで前記空気入りタイヤを回転させる速度より高くすることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記走行ステップは、前記停止ステップと交互に切り替える複数回の前記走行ステップにおける、後手順側の前記走行ステップの時間を、前手順側の前記走行ステップの時間より長くすることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記中間工程では、前記空気入りタイヤを露出させる前記オゾンの濃度は、50pphm以上250pphm以下の範囲内であることが好ましい。
また、上記タイヤ試験方法において、前記中間工程では、前記雰囲気の温度は、30℃以上70℃以下の範囲内であることが好ましい。
本発明に係るタイヤ試験方法は、グルーブクラックの成長性を精度高く評価することができる。従って、グルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
図1は、本実施形態に係るタイヤ試験方法に用いられる空気入りタイヤの一例を示す子午断面図である。 図2は、本実施形態に係るタイヤ試験方法の手順を示すフローチャートである。 図3は、メスカットが加工された主溝を示す部分拡大平面図である。 図4は、メスカットが加工された主溝を示す部分拡大断面図である。 図5は、複数のメスカットがタイヤ周方向に等間隔に設けられている一例を示す模式図である。 図6は、ショルダー主溝に加工されるメスカットの加工領域を示す部分拡大断面図である。 図7は、主溝に加工された複数のメスカットの位置関係の一例を示す図である。 図8は、主溝に加工された複数のメスカットの位置関係の一例を示す図である。 図9は、テスト工程で用いられるタイヤ試験装置の一例を示す構成図である。 図10は、図9のA−A矢視図である。 図11は、図9に示すタイヤ試験装置の機能を示すブロック図である。 図12は、走行モードと停止モードで、温度と湿度とオゾン濃度とを変化させる傾向についての説明図である。 図13は、走行モードと停止モードとを繰り返す際における各巡目ごとの数値のテーブルを示す図表である。 図14は、テスト工程の手順を示すフローチャートである。 図15は、評価工程の手順を示すフローチャートである。 図16は、タイヤ試験方法の評価結果を示す図表である。
以下に、本発明に係るタイヤ試験方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
本実施形態に係るタイヤ試験方法は、市場において空気入りタイヤの溝部に生じ得るグルーブクラック(以下、単にクラックという)の成長度合い(成長しやすいか否か)に着目したものである。このタイヤ試験方法では、市場での空気入りタイヤの使用状態を再現することにより、該空気入りタイヤに対する繰り返し変形などの動的要因によるクラックの成長状況を再現して評価する。まずは、本実施形態に係るタイヤ試験方法に用いられる空気入りタイヤについて説明する。
図1は、本実施形態に係るタイヤ試験方法に用いられる空気入りタイヤの一例を示す子午断面図である。空気入りタイヤ100についての以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ100の回転軸(図示省略)と直交する方向をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、回転軸と平行な方向をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ100の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ100のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ100のタイヤ周方向に沿う線をいう。タイヤ子午断面とは、タイヤ回転軸を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。
本実施形態に係る空気入りタイヤ100は、図1に示すように、トレッド部101と、トレッド部101のタイヤ幅方向における両側に位置するショルダー部102と、各ショルダー部102から順次連続するサイドウォール部103及びビード部104とを備える。また、この空気入りタイヤ100は、カーカス層105と、ベルト層106とを備えている。
トレッド部101は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ100のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その外周表面が空気入りタイヤ100の輪郭となる。トレッド部101の外周表面は、主に走行時に路面と接触し得る面であって、トレッド面(接地面)110として構成されている。
トレッド部101のトレッド面110には、タイヤ周方向に延在する主溝(溝部)111がタイヤ幅方向に並んで形成され、タイヤ幅方向に延在するラグ溝(溝部:図示省略)がタイヤ周方向に並んで形成されている。トレッド面110には、これらの主溝111やラグ溝等の溝によって、トレッドパターンが形成される。図1の例では、主溝111は4本形成されており、タイヤ赤道面CLを挟むようにタイヤ幅方向の中央に隣接して設けられた2本のセンター主溝112と、各センター主溝112のタイヤ幅方向外側(ショルダー部102側)にそれぞれ設けられたショルダー主溝113と、を有している。以下の説明において、センター主溝112とショルダー主溝113とを区別する必要が無い場合には、単に主溝111と称する。
本実施形態に係るタイヤ試験方法では、空気入りタイヤ100の主溝111の溝底に予め所定の長さのメスカット(切り込み)を加工し、このメスカットを基点(起点とも称す)とするクラックの成長状況を再現して評価する。図2は、本実施形態に係るタイヤ試験方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態に係るタイヤ試験方法は、図2に示すように、空気入りタイヤ100にメスカットを加工する加工工程(前工程)ST101と、メスカットが加工された空気入りタイヤ100に対して使用状態を再現してテストを行うテスト工程(中間工程)ST102と、テスト後のメスカットの長さの変化量からクラックの成長性を評価する評価工程(後工程)ST103とを備えて構成される。
次に加工工程について説明する。図3は、メスカットが加工された主溝を示す部分拡大平面図である。図4は、メスカットが加工された主溝を示す部分拡大断面図である。加工工程ST101では、例えば、メス(刃物)のような工具(図示省略)を用いて、図3及び図4に示すように、ゴム材(トレッドゴム)で形成された主溝111の溝底111Aに所定長さ及び所定深さに規定されたメスカット(切り込み)120を加工する加工操作が行われる。本実施形態では、作業者(オペレータ)がメスを使用して1つ1つメスカット120を加工しているが、これに限るものではない。例えば、これらのメスカット120を、メスを備えた加工装置で加工してもよいし、主溝111の溝底111Aにレーザ光線を照射することにより加工してもよい。
加工されたメスカット120は、図3に示すように、主溝111の延在方向(基準線115の延出方向)に沿って延在している。主溝111は、上記のようにタイヤ周方向に沿って延在しているため、メスカット120の長手方向(加工方向)も同様にタイヤ周方向に沿って延在する。ここで、メスカット120の延在方向は、タイヤ周方向と完全に一致するものだけでなく、図3に示すように、タイヤ周方向に延びる基準線115に対して両側に所定角度α以下で回転した範囲内を含む。この所定角度αの範囲は、例えば±5°であるが、±2°とするのがより好ましい。この場合、基準線115に対して時計回り方向への角度が+(プラス)であり、反時計方向への角度が−(マイナス)である。この構成では、メスカット120がタイヤ周方向に沿って延在するため、空気入りタイヤ100に負荷される応力がメスカット120に効率良く伝達される。このため、メスカット120を基点とした使用環境におけるクラックの成長度合いに近づけることができる。
また、メスカット120は、図3に示すように、長手方向の長さLが2mm以上8mm以下の範囲に規定されている。メスカット120の長さLが2mm未満であれば、このメスカット120を基点としたクラックの成長が生じ難く、クラック成長性を精度高く評価することができないといった問題がある。また、メスカット120の長さLが8mmより長い場合には、このメスカット120を基点とした歪が大きくなりクラックの成長が生じやすく、クラック成長性を精度高く評価することができないといった問題がある。なお、メスカット120の長さLは4mm以上6mm以下とすることがより好ましい。
一方、メスカット120の深さDは、図4に示すように、0.1mm以上3.0mm以下の範囲に規定されている。メスカット120の深さDが0.1mm未満であれば、このメスカット120を基点としたクラックの成長が生じ難く、クラック成長性を精度高く評価することができないといった問題がある。また、メスカット120の深さDが3.0mmより深い場合には、このメスカット120を基点とした歪が大きくなりクラックの成長が生じやすく、またベルト層106など他の部材までクラックが達する虞があり、クラック成長性を精度高く評価することができないといった問題がある。なお、メスカット120の深さDは0.5mm以上1.5mm以下とすることがより好ましい。
本実施形態では、加工されるメスカット120の長さL及び深さDを上記した範囲内とすることにより、使用環境におけるクラックの成長度合いに近づけることができ、該クラックの成長性を精度良く評価することが可能となる。
また、上記した加工工程ST101では、空気入りタイヤ100の主溝111に加工される複数のメスカット120を空気入りタイヤ100のタイヤ周方向における等間隔の位置に設けることが好ましい。図5は、複数のメスカットがタイヤ周方向に等間隔に設けられている一例を示す模式図である。この図5の例では、空気入りタイヤ100の周囲には、複数(8つ)のメスカット120がそれぞれタイヤ周方向に8等分した位置に設けられている。上記した複数(4本)の主溝111(図1)には、それぞれ0〜3つのメスカット120が設けられており、各主溝111に設けられた計8つのメスカット120が全体としてタイヤ周方向に8等分した位置に位置付けられる。
8つのメスカット120をタイヤ周方向に等間隔に設ける場合、各メスカット120は、空気入りタイヤ100の中心Oからトレッド面110に向けてタイヤ径方向にそれぞれ延びる基準線116上に位置する。ここで、メスカット120の加工位置は、タイヤ周方向の等間隔の位置(基準線116)と完全に一致するものだけでなく、図5に示すように、これら基準線116に対して両側に所定角度β以下で回転した範囲内を含む。この所定角度βの範囲は、例えば±5°であるが、±2°とするのがより好ましい。この場合、基準線116に対して時計回り方向への角度が+(プラス)であり、反時計方向への角度が−(マイナス)である。この構成では、複数のメスカット120をタイヤ周方向の等間隔の位置に設けることにより、各メスカット120に均等の応力を負荷することができる。このため、メスカット120を基点として成長するクラックを、車両走行時におけるクラックの成長度合に近づけることができ、該クラックの成長性を精度良く評価することが可能となる。
なお、図5の例では、メスカット120をタイヤ周方向の等間隔の位置に8つ設ける構成について説明したが、メスカット120の数はこれに限るものではないことは勿論である。メスカット120は、該メスカット120の加工位置精度のバラつきや作業効率などを考慮して、空気入りタイヤ100のタイヤ周方向に4〜10程度に等分した位置に設けることができる。
また、上記した加工工程ST101では、メスカット120は、空気入りタイヤ100の少なくともショルダー主溝113に設けることが好ましい。図6は、ショルダー主溝に加工されるメスカットの加工領域を示す部分拡大断面図である。一般に、空気入りタイヤ100では、トレッド部101よりもショルダー部102のひずみが大きい傾向にある。このため、メスカット120をショルダー主溝113の溝底113Aに加工することにより、空気入りタイヤ100のひずみに起因するクラックが成長しやすい環境とすることができる。
具体的には、図6に示すように、メスカット120は、ショルダー主溝113の溝底113Aであり、かつショルダー部102側の溝壁113Bから溝幅Wの50%(1/2W)以下の範囲内に加工される。この構成によれは、メスカット120をひずみの大きなショルダー主溝113の溝底113Aに加工することにより、使用環境におけるクラックの成長度合に近づけることができ、クラック成長性を精度高く評価することができる。なお、メスカット120を加工する位置は、ショルダー部102側の溝底113Aを含めるように、溝壁113Bから溝幅Wの20%以上40%以下(1/5W以上2/5W以下)の範囲内にするのが好ましい。
また、上記した加工工程ST101では、いずれか一の主溝111に複数のメスカット120が加工される場合、これらの複数のメスカット120は同一の主溝111内で相互にオーバーラップしないように設けるようになっている。図7及び図8は、主溝に加工された複数のメスカットの位置関係の一例を示す図である。図7では、主溝111に3つのメスカット120が加工され、図8では、主溝111に2つのメスカット120が加工された状態を示している。上述のように、各主溝111には0〜3つのメスカット120が設けられているため、主溝111に複数のメスカット120が加工される状況が存在する。
この際、複数のメスカット120は、同一の主溝111の溝底111Aにおけるタイヤ周方向、及び、主溝111の幅方向(タイヤ径方向)にそれぞれずらした位置に設けられて、相互にオーバーラップしないようになっている。例えば、複数のメスカット120が主溝111の幅方向に横並びに設けられた場合、メスカット120同士がオーバーラップした部分で各メスカット120に応力が分散してかかる。このため、各メスカット120を基点としたクラックの成長が抑制され、クラックの成長性を正確に評価することが難しいという問題がある。また、例えば、複数のメスカット120がタイヤ周方向の延長線上に加工されると、メスカット120の長手方向に成長したクラック同士が連続する(繋がる)恐れがあり、クラックの成長性を正確に評価することが難しいという問題がある。
本実施形態では、複数のメスカット120は、同一の主溝111の溝底111Aにおけるタイヤ周方向、及び、主溝111の幅方向にそれぞれずらした位置に設けられるため、上記した問題が生じることを防止することができ、メスカット120を基点として成長するクラックの成長性を精度良く評価することができる。
次に、テスト工程について説明する。テスト工程ST102は、上記したメスカット120が加工された空気入りタイヤ100に対して使用状態を再現した走行テストを行う工程である。本実施形態では、テスト工程ST102は、以下のタイヤ試験装置1を用いて実行される。図9は、テスト工程で用いられるタイヤ試験装置の一例を示す構成図である。図10は、図9のA−A矢視図である。図9、図10は、タイヤ試験装置1の全体構成を模式的に示したものになっている。なお、以下の説明では、タイヤ試験装置1の通常の使用状態における上下方向を、タイヤ試験装置1においても上下方向として説明し、タイヤ試験装置1の通常の使用状態における水平方向を、タイヤ試験装置1においても水平方向として説明する。
タイヤ試験装置1は、図9及び図10に示すように、試験室10と、空調装置20と、オゾン供給装置30と、路面再現装置40と、制御装置70とを備える。試験室10は、空気入りタイヤ100の試験を行う際に、外気から隔てられた空間を形成するための部屋になっている。空調装置20は、試験室10の内部に設置されており、試験室10内の温度を所定の温度に調節可能なっている。また、空調装置20は、試験室10内の湿度も所定の湿度に調節可能になっている。オゾン供給装置30は、試験室10の内部に設置されており、オゾンを生成し、生成したオゾンを試験室10内に対して供給可能になっている。
路面再現装置40は、試験室10の内部に設置されており、試験室10内で空気入りタイヤ100に所定の荷重を負荷しつつ、空気入りタイヤ100を回転させることが可能になっている。本実施形態では、路面再現装置40には、空気入りタイヤ100に接触する面が平面によって形成されるフラットベルト試験装置45が用いられている。フラットベルト試験装置45は、タイヤ支持装置50とベルト駆動装置60とを有している。
タイヤ支持装置50は、回転支持部51と昇降装置53とを有しており、試験を行う空気入りタイヤ100を回転可能に支持することが可能になっている。このうち、回転支持部51は、軸線方向が水平方向になる中心軸を中心として回転可能な回転軸52を有しており、空気入りタイヤ100がリム組みされたリムホイール130を回転軸52の一端に取り付けることが可能になっている。これにより、回転支持部51は、空気入りタイヤ100を回転自在に支持することができる。また、昇降装置53は、回転支持部51を支持すると共に、回転支持部51を上下方向に移動させることが可能になっている。
ベルト駆動装置60は、無端ベルト61を有しており、無端ベルト61は、一対のドラム62に掛け回されている。一対のドラム62は、いずれも軸線方向が水平方向になる中心軸を中心として回転可能になっており、上下方向における高さがほぼ同じ高さで、中心軸が互いに平行となる向きで配置されている。一対のドラム62のうち、一方のドラム62は駆動ドラム63として設けられ、他方のドラム62は従動ドラム64として設けられている。
駆動ドラム63には、ドラム回転装置65が接続されており、ドラム回転装置65は、電動モータ(図示省略)等によって駆動力を発生すると共に、発生した駆動力を駆動ドラム63に伝達する。ドラム回転装置65が接続される駆動ドラム63は、ドラム回転装置65から伝達される駆動力により回転可能になっている。無端ベルト61は、駆動ドラム63が回転をした際に、駆動ドラム63の回転に伴って回転可能になっており、従動ドラム64は、駆動ドラム63の回転に伴って回転する無端ベルト61の回転に伴って、回転可能になっている。これにより、無端ベルト61は、駆動ドラム63と従動ドラム64との間に亘って回転可能になっている。
無端ベルト61は、一対のドラム62に掛け回されているため、一対のドラム62の上側に位置する部分と下側に位置する部分とを有しているが、上側に位置する部分の内周面側には、ベルト支持部66が配置されている。ベルト支持部66は、無端ベルト61における上側に位置する部分を内周面側から支持し、無端ベルト61を下側から支持することにより、無端ベルト61におけるベルト支持部66が支持する部分を平坦な状態に維持することができる。
このように形成されるベルト駆動装置60に対して、タイヤ支持装置50は、回転支持部51で支持する空気入りタイヤ100を、回転の中心軸が駆動ドラム63や従動ドラム64の回転の中心軸と平行になる向きで、ベルト駆動装置60の上方から無端ベルト61の上面に押し付けることが可能になっている。
また、ベルト駆動装置60には、タイヤ支持装置50で支持する空気入りタイヤ100と無端ベルト61との接触部分の近傍に、温度センサ21及び湿度センサ22と、オゾン噴射部32が配設されている。温度センサ21は、空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍の温度を検出することが可能になっており、湿度センサ22は、空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍の湿度を検出することが可能になっている。また、オゾン噴射部32は、空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍、即ち、空気入りタイヤ100の接地面の近傍に、オゾンを噴射することが可能になっている。
このうち、オゾン噴射部32は、オゾン供給装置30を構成しており、オゾン供給装置30は、当該オゾン噴射部32と、オゾン供給部31とを有している。オゾン供給部31は、試験室10内に設置されてオゾンを生成し、生成したオゾンをオゾン噴射部32に供給することが可能になっている。オゾン噴射部32は、オゾン供給装置30から供給されたオゾンを、空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する。
さらに、タイヤ試験装置1は、タイヤ試験装置1の各動作の制御や各種の演算処理を行う制御装置70と、オペレータがタイヤ試験装置1への入力操作を行う入力部71と、各種情報を表示する表示部72と有している。このうち、制御装置70は、例えば、所定の解析プログラムをインストールしたPC(Personal Computer)になっている。また、入力部71には、キーボードや、マウス等のポインティングデバイスが用いられており、表示部72には、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置が用いられている。入力部71と表示部72とは、制御装置70に電気的に接続されており、これによりタイヤ試験装置1は、オペレータが表示部72を視認しながら入力部71で入力操作をすることが可能になっている。
また、空調装置20と、オゾン供給装置30と、フラットベルト試験装置45とも、それぞれ電気的に制御装置70に接続されている。これにより、空調装置20と、オゾン供給装置30と、フラットベルト試験装置45とは、制御装置70によって動作を制御することが可能になっている。
図11は、図9に示すタイヤ試験装置1の機能を示すブロック図である。制御装置70には、空調装置20と、温度センサ21と、湿度センサ22と、オゾン供給装置30と、フラットベルト試験装置45が有する昇降装置53とドラム回転装置65とが、電気的に接続されている。これにより、制御装置70は、電気的に接続される各機器との間で、信号のやり取りを行うことが可能になっている。
制御装置70は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部80や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部90を備えて構成されている。このように構成される処理部80と記憶部90とは、同一筐体内に設けられていてもよく、異なる筐体内に設けられていてもよく、或いは、複数の記憶部90が双方の形態で設けられていてもよい。
制御装置70が有する処理部80は、温度制御部81と、湿度制御部82と、オゾン濃度制御部83と、荷重制御部84と、速度制御部85とを機能的に有している。このうち、温度制御部81は、空調装置20を制御することにより、試験室10内の温度を制御し、湿度制御部82は、空調装置20を制御することにより、試験室10内の湿度を制御する。また、オゾン濃度制御部83は、オゾン供給装置30を制御することにより、試験室10内のオゾン濃度を制御する。
また、荷重制御部84は、フラットベルト試験装置45のタイヤ支持装置50が有する昇降装置53を制御することにより、タイヤ支持装置50で支持する空気入りタイヤ100の上下方向における位置を調整し、空気入りタイヤ100をベルト駆動装置60の無端ベルト61に接触させる際における荷重を制御する。
また、速度制御部85は、フラットベルト試験装置45のベルト駆動装置60が有するドラム回転装置65を制御することにより、駆動ドラム63の回転速度を調整し、空気入りタイヤ100が接触する無端ベルト61の回転速度を制御する。
タイヤ試験装置1において、テスト工程ST102を実行する際の動作手順は、プログラムとして予め記憶部90に記憶されており、テスト工程ST102を行う際には、記憶部90に記憶されているプログラムを処理部80で呼び出し、プログラムに沿った動作を処理部80で実行することにより、各機能を実行する。
次に、タイヤ試験装置1の作用について説明する。タイヤ試験装置1を用いてテスト工程ST102を実行する際には、空気入りタイヤ100をリムホイール130にリム組みして内圧を充填し、フラットベルト試験装置45が有するタイヤ支持装置50の回転支持部51の回転軸52に、リムホイール130を取り付ける。これにより、空気入りタイヤ100を回転自在に回転支持部51によって支持する。
フラットベルト試験装置45は、回転支持部51で回転自在に支持する空気入りタイヤ100を、ベルト駆動装置60が有する無端ベルト61に対して、回転の中心軸が駆動ドラム63や従動ドラム64の回転の中心軸と平行になる向きで、所定の大きさの荷重を負荷しながら接触させる。フラットベルト試験装置45は、無端ベルト61における空気入りタイヤ100が接触する面、即ち、無端ベルト61の上面が、試験を行う空気入りタイヤ100に対して、路面として再現される面になっている。本実施形態では、無端ベルト61における上側に位置する部分が、内周面側から無端ベルト61によって支持されているため、無端ベルト61における空気入りタイヤ100が接触する部分は、空気入りタイヤ100が接触しても平坦な状態が維持される。これにより、無端ベルト61における、空気入りタイヤ100に対して路面として再現される面は、平面によって再現される。
車両の走行状態を再現する際には、無端ベルト61に空気入りタイヤ100が接触した状態で、制御装置70でベルト駆動装置60のドラム回転装置65を制御し、ドラム回転装置65によって駆動ドラム63を回転させて、駆動ドラム63と従動ドラム64と掛け回される無端ベルト61を回転させる。これにより、無端ベルト61は、空気入りタイヤ100が接触している部分が、一対のドラム62間で移動し、具体的には、無端ベルト61における空気入りタイヤ100が接触している部分は、従動ドラム64側から駆動ドラム63側に向かって移動する。無端ベルト61に接触する空気入りタイヤ100は、無端ベルト61の移動に伴って回転し、走行状態が再現される。
これにより、タイヤ試験装置1は、空気入りタイヤ100の使用状態を再現した走行試験を行うことができる。具体的には、空気入りタイヤ100を実際に使用した際における、トレッド部101の主溝111の溝底111A(図4)に加工したメスカット120を基点としてクラックの成長を再現する試験を行うことができる。
また、タイヤ試験装置1の制御装置70は、空調装置20を制御し、空調装置20によって試験室10内の温度や湿度を変化させることにより、任意の温度や湿度の環境の中で、空気入りタイヤ100の使用状態を再現する。これにより、タイヤ試験装置1は、空気入りタイヤ100の使用状態をより高い精度で再現して、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるクラックの成長状況をより高い精度で再現する。
さらに、タイヤ試験装置1の制御装置70は、オゾン供給装置30を制御し、オゾン供給装置30によって試験室10内にオゾンを供給することにより、オゾンに空気入りタイヤ100を露出させた状態で、空気入りタイヤ100の使用状態を再現する。これにより、タイヤ試験装置1は、空気入りタイヤ100の劣化を促進することができ、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるクラックの成長状況を、短時間で再現することができる。
このように、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるクラックの成長状況を再現するために、空気入りタイヤ100の使用状態を再現することのできるフラットベルト試験装置45は、走行モードと停止モードとを切り替え可能になっている。走行モードは、オゾン供給装置30によって供給されたオゾンに空気入りタイヤ100を露出させて、荷重を負荷した状態で空気入りタイヤ100を回転させるモードになっている。停止モードは、オゾン供給装置30によって供給されたオゾンに空気入りタイヤ100を露出させて、荷重を負荷した状態で空気入りタイヤ100の回転を停止するモードになっている。
また、フラットベルト試験装置45の走行モードと停止モードとでは、空調装置20とオゾン供給装置30とは、試験室10内の温度と、試験室10内に供給するオゾンの濃度との少なくともいずれか一方を変化させることが可能になっている。これにより、タイヤ試験装置1は、空気入りタイヤ100の回転時と停止時、即ち、車両の走行時と停止時との周囲の環境の変化による影響も含めて、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるクラックの成長状況を再現することができる。
図12は、走行モードと停止モードで、温度と湿度とオゾン濃度とを変化させる傾向についての説明図である。タイヤ試験装置1では、所定の時間間隔で走行モードと停止モードとを切り替えることにより、空気入りタイヤ100を実際に使用した際におけるクラックの成長状況を、車両の走行時のみでなく停車時も含めた使用態様で再現することができる。また、フラットベルト試験装置45の走行モード時と停止モード時とでは、空調装置20で制御する試験室10内の温度と湿度、及びオゾン供給装置30でオゾンを供給することによる試験室10内のオゾンの濃度を異ならせる。
具体的には、走行モードでは、10km/h以上100km/h以下の範囲内の速度で空気入りタイヤ100を回転させ、試験室10内の温度と湿度は、停止モード時の温度と湿度よりも低くし、試験室10内のオゾンの濃度は、停止モード時のオゾンの濃度よりも高くする。また、停止モードでは、空気入りタイヤ100の回転速度を0km/hにし、試験室10内の温度と湿度は、走行モード時の温度と湿度よりも高くし、試験室10内のオゾンの濃度は、走行モード時のオゾンの濃度よりも低くする。
また、試験室10内における空気入りタイヤ100の周囲の雰囲気の温度は、走行モード時と停止モード時に関わらず、30℃以上70℃以下の範囲内にし、試験室10内で空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度は、走行モード時と停止モード時に関わらず、50pphm以上250pphm以下の範囲内にする。なお、試験室10内における空気入りタイヤ100の周囲の雰囲気の温度は、40℃以上60℃以下の範囲内であるのが好ましく、試験室10内で空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度は、120pphm以上180pphm以下の範囲内であるのが好ましい。
また、本実施形態に係るタイヤ試験方法では、フラットベルト試験装置45の走行モードと停止モードとを複数回繰り返す。その際に、連続する1組の走行モードと停止モードとを1つの巡目とした場合における各巡目ごとに、試験室10内の温度や湿度、オゾン濃度、各モードの時間、走行モードの速度を異ならせる。
図13は、走行モードと停止モードとを繰り返す際における各巡目ごとの数値のテーブルを示す図表である。試験室10内の温度や湿度、オゾン濃度、各モードの時間、走行モードの速度は、各巡目ごとに予め設定され、制御装置70の記憶部90に記憶されている。つまり、走行モードの速度Vrは、10km/h以上100km/h以下の範囲内で各巡目ごとに予め設定され、試験室10内の温度Tr、Tsは、30℃以上70℃以下の範囲内で各巡目ごとに予め設定され、オゾン濃度Cr、Csは、50pphm以上250pphm以下の範囲内で各巡目ごとに予め設定されて、それぞれ制御装置70の記憶部90に記憶されている。
なお、走行モードの速度Vrは、後の巡目になるに従って高く設定されるのが好ましく、走行モードの時間Mrは、後の巡目になるに従って長く設定されるのが好ましい。また、いずれに巡目においても、走行モードにおける試験室10内の温度Trと湿度Hrは、停止モードにおける温度Tsと湿度Hsよりも低くなっており、走行モードにおけるオゾン濃度Crは、停止モードにおけるオゾン濃度Csよりも高くなっている。
次に、テスト工程ST102の動作について説明する。本実施形態では、テスト工程ST102は、走行モードと停止モードとを有するタイヤ試験装置1を用いることにより、走行ステップと停止ステップとを含み、走行ステップと停止ステップとを所定の回数交互に切り替える試験になっている。つまり、タイヤ試験装置1の走行モードは、テスト工程ST102における走行ステップに対応し、タイヤ試験装置1の停止モードは、テスト工程ST102における停止ステップに対応している。このため、テスト工程ST102の走行ステップは、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で空気入りタイヤ100を回転させる。また、テスト工程ST102の停止ステップは、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で空気入りタイヤ100の回転を停止する。また、これらの走行ステップと停止ステップとでは、雰囲気の温度と、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度とのうちの少なくともいずれか一方を変化させる。
図14は、テスト工程の手順を示すフローチャートである。タイヤ試験装置1を用いて、本実施形態に係るタイヤ試験方法のテスト工程ST102を行う際には、空気入りタイヤ100をリムホイール130にリム組みし、所定の内圧・荷重で走行準備をする(ステップST1)。テスト工程ST102を行う際の空気入りタイヤ100の内圧は、空気入りタイヤ100の最大空気圧の60%以上100%以下の範囲内にする。また、試験を行う際の空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、空気入りタイヤ100の最大負荷能力の40%以上100%以下の範囲内にする。なお、空気入りタイヤ100の内圧は、空気入りタイヤ100の最大空気圧の80%以上100%以下の範囲内であるのが好ましく、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、空気入りタイヤ100の最大負荷能力の50%以上70%以下の範囲内であるのが好ましい。
ここでいう最大空気圧は、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、最大負荷能力は、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、或いはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
つまり、リムホイール130にリム組みして所定の内圧にした空気入りタイヤ100を、タイヤ試験装置1のフラットベルト試験装置45が有する回転支持部51の回転軸52に取り付ける。その後、制御装置70によってフラットベルト試験装置45の昇降装置53を作動させることにより、所定の荷重を空気入りタイヤ100に負荷する。即ち、制御装置70の処理部80が有する荷重制御部84が、昇降装置53を作動させることにより、回転支持部51を上下方向に移動させ、回転支持部51に取り付けられている空気入りタイヤ100が無端ベルト61に接触する際における荷重を、所定の大きさの荷重にする。
空気入りタイヤ100に負荷する荷重の大きさは、テスト工程ST102を行う空気入りタイヤ100のサイズに応じた荷重が予め制御装置70の記憶部90に記憶され、オペレータが空気入りタイヤ100のサイズを入力部71によって入力することにより、テスト工程ST102を行う空気入りタイヤ100のサイズに適した荷重が選択される。なお、記憶部90に記憶される荷重は、空気入りタイヤ100の1つのサイズで複数の大きさの荷重が用意され、その中からオペレータが選択してもよく、または、空気入りタイヤ100に負荷する荷重の大きさを、入力部71を用いて直接入力してもよい。
空気入りタイヤ100を、所定の大きさの荷重で無端ベルト61に接触させたら、次に、予備走行を行う(ステップST2)。予備走行は、予備走行を行わせる旨の指示を、フラットベルト試験装置45の入力部71を用いてオペレータが入力操作を行い、フラットベルト試験装置45が予備走行用の動作を行うことにより、空気入りタイヤ100に対して行う。
予備走行では、オゾン供給装置30による試験室10内へのオゾンの供給は行わずに、フラットベルト試験装置45のベルト駆動装置60を駆動させることにより、空気入りタイヤ100を走行させる。制御装置70の記憶部90には、予備走行用の温度のデータと速度のデータが予め記憶されており、また、予備走行を行う時間も記憶されている。
予備走行の入力指示が行われたら、タイヤ試験装置1は、制御装置70の処理部80が有する温度制御部81が、記憶部90に記憶されている予備走行用の温度のデータに基づいて空調装置20を制御し、速度制御部85が、記憶部90に記憶されている予備走行用の速度のデータに基づいてドラム回転装置65を制御する。これにより、温度制御部81は、試験室10内の雰囲気の温度が予備走行に適した温度になるように空調装置20を制御し、速度制御部85は、空気入りタイヤ100の速度が予備走行に適した速度になるようにドラム回転装置65を制御する。
なお、予備走行用の雰囲気の温度は、35℃以上45℃以下の範囲内であるのが好ましく、予備走行用の空気入りタイヤ100の速度は、75km/h以上85km/h以下の範囲内であるのが好ましい。
予備走行の開始後、予備走行を行う時間が経過したら、連続する1組の走行ステップと停止ステップを1つの巡目とする際における巡目を示す変数nに1を入力する(ステップST3)。この場合における連続する1組の走行ステップと停止ステップからなる1つの巡目は、タイヤ試験装置1における、連続する1組の走行モードと停止モードとからなる1つの巡目に対応している。巡目を示す変数nは、記憶部90に記憶され、フラットベルト試験装置45で空気入りタイヤ100の試験を行う際に、適宜書き換えられたり読み込まれたりする。
次に、n巡目の走行ステップでの速度Vrn、温度Trn、オゾン濃度Crn、時間Mrnを読み込む(ステップST4)。つまり、制御装置70の記憶部90には、走行ステップと停止ステップと繰り返す際における各巡目ごとの数値が記憶されているため(図12参照)、処理部80は、n巡目の走行ステップの各数値、即ち、n巡目の走行モードの各数値を読み取る。
次に、試験室10内の温度をTrnに調整し、オゾン濃度をCrnに調整する(ステップST5)。つまり、制御装置70の処理部80が有する温度制御部81は、記憶部90から読み込んだn巡目の走行ステップの温度Trnになるように空調装置20を制御し、オゾン濃度制御部83は、記憶部90から読み込んだn巡目の走行ステップのオゾン濃度Crnになるようにオゾン供給装置30を制御する。具体的には、温度制御部81は、温度センサ21で検出する試験室10の温度を取得し、温度センサ21で検出した温度と、n巡目の温度Trnとを比較して、温度センサ21で検出する試験室10内の温度が、n巡目の走行ステップの温度Trnに近付くように空調装置20を制御する。
その際に、制御装置70の記憶部90に記憶されている走行モードにおける試験室10内の雰囲気の温度Trは、停止モードにおける試験室10内の雰囲気の温度Tsよりも低くなっている。このため、走行ステップでは、試験室10内の雰囲気の温度Trを、停止ステップにおける試験室10内の雰囲気の温度Tsよりも低くする。具体的には、走行ステップにおける試験室10内の温度Trは、停止ステップにおける試験室10内の温度Tsに対して、5℃以上15℃以下の範囲内で低いのが好ましい。また、走行ステップにおける試験室10内の温度Trは、35℃以上45℃以下の範囲内であるのが好ましく、停止ステップにおける試験室10内の温度Tsは、45℃以上55℃以下の範囲内であるのが好ましい。
また、オゾン濃度制御部83は、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度を、n巡目の走行ステップのオゾン濃度Crnにすることのできる量のオゾンを試験室10内に供給できるように、オゾン供給装置30を制御する。これにより、オゾン供給装置30のオゾン供給部31は、オゾン供給部31で生成したオゾンをオゾン噴射部32に供給し、オゾン噴射部32は、オゾン供給部31から供給されたオゾンを、試験室10内における空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍に噴射する。
その際に、制御装置70の記憶部90に記憶されている走行モードにおけるオゾン濃度Crは、停止モードにおけるオゾン濃度Csよりも高くなっている。このため、走行ステップでは、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度Crを、停止ステップのオゾンの濃度Csよりも高くする。具体的には、走行ステップにおけるオゾンの濃度Crは、停止ステップにおけるオゾンの濃度Csに対して、45pphm以上55pphm以下の範囲内で高いのが好ましい。また、走行ステップにおけるオゾンの濃度Crは、140pphm以上160pphm以下の範囲内であるのが好ましく、停止ステップにおけるオゾンの濃度Csは、90pphm以上110pphm以下の範囲内であるのが好ましい。
次に、フラットベルト試験装置45のベルト駆動装置60を作動させて、空気入りタイヤ100の速度をVrnにする(ステップST6)。つまり、制御装置70の処理部80が有する速度制御部85は、空気入りタイヤ100の回転速度が、記憶部90から読み込んだn巡目の速度Vrnになるように、フラットベルト試験装置45のドラム回転装置65を制御する。これにより、無端ベルト61の回転速度を、n巡目の速度Vrnに応じた回転速度にし、空気入りタイヤ100の速度Vrを、n巡目の速度Vrnにする。その際に、記憶部90に記憶されている走行モードの速度Vrは、10km/h以上100km/h以下の範囲内で設定されているため、走行ステップにおける空気入りタイヤ100の速度Vrは、10km/h以上100km/h以下の範囲内になっている。
なお、制御装置70の記憶部90に記憶されている走行モードの空気入りタイヤ100の速度Vrは、後の巡目になるに従って高くなっている。このため、走行ステップでは、停止ステップと交互に切り替える複数回の走行ステップにおける、後手順側の走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度Vrを、前手順側の走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度Vrより高くする。つまり、走行ステップでは、巡目を示す変数nが大きくなるに従って、空気入りタイヤ100を回転させる速度Vrを高くする。
また、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は変化させないため、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、ステップST1で負荷した荷重が維持される。つまり、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、走行ステップにおいても、停止ステップにおいても、空気入りタイヤ100の最大負荷能力の40%以上100%以下の範囲内になっており、1回の試験においては、荷重はこの範囲内で一定(例えば、60%)になっている。
次に、走行時間Mr≧Mrnであるか否かを判定する(ステップST7)。つまり、ベルト駆動装置60を作動させて、空気入りタイヤ100の走行を開始してからの経過時間が、ステップST4で取得した、現在の巡目の時間Mrnを経過したか否かを、制御装置70の処理部80で判定する。この判定により、空気入りタイヤ100の走行を開始してからの走行時間Mrが、現在の巡目の時間Mrnを経過していないと判定した場合(ステップST7、No判定)は、空気入りタイヤ100の走行を継続したまま、走行時間Mr≧Mrnであるか否かの判定を繰り返す。
これに対し、空気入りタイヤ100の走行を開始してからの走行時間Mrが、現在の巡目の時間Mrnを経過したと判定した場合(ステップST7、Yes判定)は、走行時間Mrを0にする(ステップST8)。つまり、走行時間Mrをリセットする。
なお、走行ステップでの走行時間Mrについて説明すると、制御装置70の記憶部90に記憶されている走行モードの時間Mrは、後の巡目になるに従って長くなっている。このため、走行ステップでは、停止ステップと交互に切り替える複数回の走行ステップにおける、後手順側の走行ステップの時間Mrを、前手順側の走行ステップの時間Mrより長くして走行させる。つまり、走行ステップでは、巡目を示す変数nが大きくなるに従って、空気入りタイヤ100の走行時間Mrを長くして走行させる。
次に、n巡目の停止ステップでの温度Tsn、オゾン濃度Csn、時間Msnを読み込む(ステップST9)。つまり、制御装置70の記憶部90には、走行ステップと停止ステップと繰り返す際における各巡目ごとの数値が記憶されているため(図13参照)、処理部80は、n巡目の停止ステップの各数値、即ち、n巡目の停止モードの各数値を読み取る。
次に、フラットベルト試験装置45のベルト駆動装置60を停止させ、試験室10内の温度をTsnに調整し、オゾン濃度をCsnに調整する(ステップST10)。つまり、制御装置70の処理部80が有する速度制御部85は、フラットベルト試験装置45のドラム回転装置65を制御し、ドラム回転装置65を停止させることにより、無端ベルト61を停止させる。これにより、空気入りタイヤ100の走行を停止させる。
また、制御装置70の処理部80が有する温度制御部81は、記憶部90から読み込んだn巡目の停止ステップの温度Tsnになるように空調装置20を制御し、オゾン濃度制御部83は、記憶部90から読み込んだn巡目の停止ステップのオゾン濃度Csnになるようにオゾン供給装置30を制御する。具体的には、温度制御部81は、温度センサ21で検出する試験室10の温度を取得し、温度センサ21で検出した温度と、n巡目の温度Tsnとを比較して、温度センサ21で検出する試験室10内の温度が、n巡目の停止ステップの温度Tsnに近付くように空調装置20を制御する。
その際に、制御装置70の記憶部90に記憶されている停止モードにおける試験室10内の雰囲気の温度Tsは、走行モードにおける試験室10内の雰囲気の温度Trよりも高くなっている。このため、停止ステップでは、試験室10内の雰囲気の温度Tsを、走行ステップにおける試験室10内の雰囲気の温度Trよりも高くする。
また、オゾン濃度制御部83は、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度を、n巡目の停止ステップのオゾン濃度Csnにすることのできる量のオゾンを試験室10内に供給できるように、オゾン供給装置30を制御する。これにより、オゾン供給装置30のオゾン供給部31は、オゾン供給部31で生成したオゾンをオゾン噴射部32に供給し、オゾン噴射部32は、オゾン供給部31から供給されたオゾンを、試験室10内における空気入りタイヤ100と無端ベルト61とが接触する部分の近傍に噴射する。
その際に、制御装置70の記憶部90に記憶されている停止モードにおけるオゾン濃度Csは、走行モードにおけるオゾン濃度Crよりも低くなっている。このため、停止ステップでは、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度Csを、走行ステップのオゾンの濃度Crよりも低くする。
次に、停止時間Ms≧Msnであるか否かを判定する(ステップST11)。つまり、ベルト駆動装置60を停止させて、空気入りタイヤ100の走行を停止させてからの経過時間が、ステップST9で取得した、現在の巡目の時間Msnを経過したか否かを、制御装置70の処理部80で判定する。この判定により、空気入りタイヤ100を停止させてからの停止時間Msが、現在の巡目の時間Msnを経過していないと判定した場合(ステップST11、No判定)は、空気入りタイヤ100を停止させたまま、停止時間Ms≧Msnであるか否かの判定を繰り返す。
これに対し、空気入りタイヤ100を停止させてからの停止時間Msが、現在の巡目の時間Msnを経過したと判定した場合(ステップST11、Yes判定)は、停止時間Msを0にする(ステップST12)。つまり、停止時間Msをリセットする。
なお、停止ステップにおける停止時間Msは、走行ステップでの走行時間Mrとは異なり、一定の時間になっている。このため、停止ステップでの停止時間Msは、巡目に関わらず一定になっている。
次に、巡目を示す変数nが、設定回数であるか否かを判定する(ステップST13)。この場合における設定回数は、予め定められた回数が記憶部90に記憶されている。制御装置70の処理部80は、現在の変数nが、設定回数であるか否かを判定する。
なお、変数nに対する設定回数は、一定の回数であってもよく、試験を行う空気入りタイヤ100のサイズに応じて設定された回数であってもよい。または、設定回数は、空気入りタイヤ100のサイズやその他の条件に応じて回数が異なる複数の設定回数が用意され、その中からオペレータが選択してもよく、または、入力部71を用いて設定回数を直接入力してもよい。このように定められる設定回数は、5回以上20回以下の範囲内であるのが好ましい。
処理部80での判定により、現在の変数nが、設定回数ではないと判定された場合(ステップST13、No判定)は、変数nに対して1を加算する(ステップST14)。変数nに対して1を加算し、n=n+1を実行したら、ステップST4に戻り、変数nに1が加算された後の巡目、即ち、次の巡目の走行ステップに関する制御を実行する。
これに対し、制御装置70の処理部80での判定により、現在の変数n=設定回数であると判定された場合(ステップST13、Yes)は、空気入りタイヤ100をフラットベルト試験装置45から取り外してテスト工程ST102を終了する。
次に、評価工程ST103について説明する。図15は、評価工程の手順を示すフローチャートである。評価工程ST103は、テスト工程ST102の後のメスカット120の長手方向の変化量からメスカット120を基点としたクラックの成長度合いを評価する。まず、テスト工程ST102後にメスカット120の長さを測定する(ステップST21)。具体的には、タイヤ周方向に複数加工されたメスカット120の長手方向の長さをそれぞれ測定して記録する。本実施形態では、上記したようにタイヤ周方向に加工されたすべてのメスカット120は、同一長さ及び深さに設定されている。このため、テスト工程ST102の後のメスカット120の長さと該メスカット120の位置から、車両を長期間停車させた際に該メスカット120を基点として成長するクラックの成長度合い(成長しやすさ)を評価できる。
続いて、測定した各メスカット120の成長率IMを算出する(ステップST22)。この成長率IMは、以下の算定式を用いて算出される。
成長率IM(%)=(テスト後長さTL−元長さOL)/元長さOL×100
この算定式において、テスト後長さTLは、ステップST21にて測定した各メスカット120の長手方向の長さである。また、元長さOLは、加工工程ST101にて加工した各メスカット120の加工時の長手方向の長さである。上記した算定式に基づいて、メスカット120の成長率IMを算出することにより、該メスカット120を基点としたクラック成長性を評価することができる。
次に、算出したメスカット120の成長率IMが所定の閾値以上であるかを判別する(ステップS23)。この場合、成長率が最も大きなメスカットを判別の対象としてもよいし、タイヤ周方向における特定の位置のメスカットであってもよい。複数のメスカット120の成長率の平均値であってもよい。この判別において、メスカット120の成長率IMがクラック成長性を評価するに十分な所定の閾値以上である(ステップST23;Yes)場合には、成長率IMに基づいてクラック成長性を評価する(ステップST24)。この場合には、タイヤ幅方向におけるクラックが成長しやすい主溝111の位置や、負荷された荷重とクラック成長性との関係などを評価することができる。本実施形態では、メスカット120を基点としたクラック成長性を評価することにより、既存の評価と比べてより実際のクラックリスクに近づけて評価を行うことができる。このため、実際に空気入りタイヤ100を使用した際に発生するクラックリスクを、高い精度で再現することができ、この結果、クラック成長性を精度高く評価することができる。
一方、上記判別において、メスカット120の成長率IMが所定の閾値以上でない(ステップST23;No)場合には、空気入りタイヤ100に負荷する荷重を増大させて上記したテスト工程ST102を再度実行するように指示して評価工程を終了する(ステップST25)。メスカット120の成長率IMが所定の閾値以上でない、即ちクラックの成長が十分でない場合には、空気入りタイヤ100の素材がクラックの成長しにくいものであることや、空気入りタイヤ100に負荷される荷重が十分でなかったなどの理由が考えられる。このため、テスト工程ST102で負荷される荷重を増大(例えば、空気入りタイヤ100の最大負荷能力の60%から70%の値)に設定して、再度テスト工程ST102を実行する。これにより、評価工程ST103にて、再度、メスカット120の成長率IMを評価することにより、該空気入りタイヤ100のクラック成長性を精度高く評価することができる。
以上、本実施形態に係るタイヤ試験方法は、空気入りタイヤ100のトレッド部101に形成された主溝111の溝底111Aにメスカット120を加工する加工工程ST101と、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で空気入りタイヤ100を所定の走行モードにてテストするテスト工程ST102と、テスト工程ST102後におけるメスカット120の長さ方向の成長率からクラック成長性を評価する評価工程ST103とを含む。この構成によれば、予め加工したメスカット120が基点となり、負荷された荷重による一定方向の歪によってタイヤ周上にクラックを成長させることができるため、車両に装着された空気入りタイヤ100の実際の使用態様を再現してクラックを成長させる試験を行うことができる。具体的には、メスカット120が加工された空気入りタイヤ100に対して、所定の走行モードを実施することにより、空気入りタイヤ100が装着された車両が実際の走行した際におけるメスカット120を基点としたクラック成長に対する影響を、試験によって再現することができる。
走行する車両に搭載された空気入りタイヤ100には、回転する際の同じ方向の荷重が長期間断続して作用するため、これにより、何らかの原因により生じた傷がクラックとして成長することがある。この構成では、主溝111の溝底111Aに予めメスカット120を加工した状態で所定の走行モードを実施するため、車両に装着された空気入りタイヤ100の実際の使用状態に近づけて試験を行うことができる。従って、実際の使用時におけるクラックの形態に近づけることができ、クラック成長性を精度高く評価することができる。
また、空気入りタイヤ100に回転させて試験を行う際には、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させながら行うため、空気入りタイヤ100の劣化を早めることができる。これにより、空気入りタイヤ100を装着した車両を長期間停車した状態における空気入りタイヤ100の変化を短時間で再現することができ、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に主溝111で成長するクラックを、短時間で再現することができる。この結果、クラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、加工されるメスカット120は、空気入りタイヤ100のタイヤ周方向に沿って延在し、該メスカット120の長手方向の長さは、2mm以上8mm以下の範囲内であり、該切り込みの深さは、0.1mm以上3.0mm以下の範囲内であるため、市場において、空気入りタイヤ100の主溝111に生じうる損傷を再現することができる。このため、このメスカット120を基点としたクラック成長を市場で再現することができる。
また、メスカット120は、空気入りタイヤ100の少なくともショルダー部102側のショルダー主溝113の溝底113Aに加工され、且つ、該ショルダー主溝113の溝壁113Bから溝幅の50%以下の範囲内に加工されるため、メスカット120をショルダー主溝113の溝底113Aに加工することにより、空気入りタイヤ100のひずみに起因するクラックが成長しやすい環境とすることができる。従って、空気入りタイヤ100を実際に使用した際にショルダー主溝113で成長するクラックを再現することができる。この結果、クラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、空気入りタイヤ100のタイヤ周方向に延在する一の主溝111に複数のメスカット120が加工される場合、複数のメスカット120は、一の主溝111の溝底111Aにおけるタイヤ周方向、及び、該主溝111の幅方向にそれぞれずらした位置に設けられるため、空気入りタイヤ100への荷重を各メスカット120にそれぞれ集中させることができるため、メスカット120を基点としたクラックの成長を促し、クラックの成長性を正確に評価することできる。また、複数のメスカット120が長手方向に成長してタイヤ周方向に連続する(繋がる)ことを防止でき、クラックの成長性を正確に評価することができる。
また、評価工程ST103にて、メスカット120の長手方向の成長率が所定の閾値以下の場合、記空気入りタイヤ100に負荷する荷重を増大させてテスト工程ST102を再度実行するため、メスカット120の成長率IMが所定の閾値以上でない原因が、空気入りタイヤ100の素材がクラックの成長しにくいものであることや、空気入りタイヤ100に負荷される荷重が十分でなかったなどに選別することができる。
また、テスト工程ST102では、走行ステップと停止ステップとが所定の回数交互に切り替えられるため、車両に装着された空気入りタイヤ100の実際の使用態様を再現して試験を行うことができる。つまり、空気入りタイヤ100が装着された車両は、走行や停止を繰り返し、さらに、長時間の駐車も行われる。この場合、空気入りタイヤ100には、一定の荷重が継続して負荷されるため、荷重が負荷された状態で、空気入りタイヤ100は回転したり停止したりする。このため、空気入りタイヤ100の使用状態を再現する際に、空気入りタイヤ100に一定の荷重を継続して負荷しながら、走行ステップと停止ステップとを交互に切り替えることにより、実際の使用状態に近づけて再現することができる。
また、テスト工程ST102において、走行ステップと停止ステップとでは、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させながら試験を行うが、走行ステップと停止ステップとでは、雰囲気の温度と、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度とのうちの少なくともいずれか一方を変化させるため、より確実に、実際の使用状態に近付けて再現することができる。つまり、車両に装着された空気入りタイヤ100は、車両の走行時と停止時とで空気の当たり方が変わり、温度も変化する。このため、空気入りタイヤ100の試験においても、走行ステップと停止ステップとで、雰囲気の温度とオゾンの濃度との少なくともいずれか一方を変化させることにより、より確実に実際の使用状態に近づけて再現することができる。従って、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に成長するクラックを、高い精度で再現することができる。この結果、クラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。
また、テスト工程ST102を行う際には、空気入りタイヤ100の内圧を最大空気圧の60%以上100%以下の範囲内にし、空気入りタイヤ100に負荷する荷重は、空気入りタイヤ100の最大負荷能力の40%以上100%以下の範囲内であるため、空気入りタイヤ100の実際の使用時の状態により近づけて試験を行うことができる。また、走行ステップにおける速度は、10km/h以上100km/h以下の範囲内であるため、走行ステップにおける速度を、空気入りタイヤ100を装着する車両の走行時における速度に近づけることができ、より確実に、空気入りタイヤ100の実際の使用時の状態に近づけて試験を行うことができる。この結果、より確実にクラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。
また、テスト工程ST102では、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度は、50pphm以上250pphm以下の範囲内であるため、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化の再現性を確保しつつ、より効率的に劣化を促進させて短時間で評価を行うことができる。つまり、オゾン濃度が50pphmである場合は、オゾン濃度が低過ぎるため、空気入りタイヤ100をオゾンに露出させても劣化が発生し難くなる虞がある。この場合、劣化を促進させることによって短時間で評価を行う、劣化促進評価の効率が悪くなり易くなる虞がある。また、オゾン濃度が250pphmを超える場合は、オゾン濃度が高過ぎるため、空気入りタイヤ100の通常の使用時における自然劣化との相関性が低下し、試験時における空気入りタイヤ100の変化が、空気入りタイヤ100を実際に使用した際における変化から乖離し易くなる虞がある。
これに対し、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度が、50pphm以上250pphm以下の範囲内である場合は、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化の再現性を確保しつつ、効率的に劣化を促進させて劣化促進評価を行うことができる。この結果、より確実にクラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。
また、テスト工程ST102では、試験室10内の雰囲気の温度は、30℃以上70℃以下の範囲内であるため、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化の再現性を確保しつつ、より効率的に劣化を促進させて短時間で評価を行うことができる。つまり、試験室10内の雰囲気の温度が30℃未満である場合は、温度が低過ぎるため、空気入りタイヤ100のオゾン反応性が低下し易くなり、劣化促進評価の効率が悪くなり易くなる虞がある。また、試験室10内の雰囲気の温度が70℃を超える場合は、温度が高過ぎるため、空気入りタイヤ100の熱老化現象が顕著になり、試験時における空気入りタイヤ100の変化が、空気入りタイヤ100を実際に使用した際における変化から乖離し易くなる虞がある。
これに対し、試験室10内の雰囲気の温度が、30℃以上70℃以下の範囲内である場合は、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化の再現性を確保しつつ、効率的に劣化を促進させて劣化促進評価を行うことができる。この結果、より確実にクラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。
また、走行ステップでは、空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度を停止ステップよりも高くするため、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。つまり、車両に走行時には、空気入りタイヤ100には新たな空気が順次流れるため、空気中のオゾンも順次流れ易くなる。このため、車両に走行時には、空気入りタイヤ100は次々に流れるオゾンによって劣化が発生し易くなり、車両の走行時は、停止時と比較して劣化し易くなる。従って、走行ステップで空気入りタイヤ100を露出させるオゾンの濃度を、停止ステップよりも高くすることにより、走行ステップと停止ステップとの劣化速度の変化の仕方を、空気入りタイヤ100が装着された車両の走行時と停止時の劣化速度の変化の仕方に近づけることができる。これにより、車両に空気入りタイヤ100を装着して実際に使用した際に成長するクラックを、より高い精度で再現することができる。この結果、より確実にクラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。
また、走行ステップでは、試験室10内の雰囲気の温度を停止ステップよりも低くするため、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に成長するクラックを、より高い精度で再現することができる。つまり、車両に走行時には、空気入りタイヤ100には新たな空気が順次流れるため、空気入りタイヤ100は、この空気によって冷却され易くなる。空気入りタイヤ100の劣化速度は、温度によっても変化するため、走行ステップでの雰囲気の温度を停止ステップよりも低くすることにより、走行ステップと停止ステップの劣化速度の変化の仕方を、空気入りタイヤ100が装着された車両の走行時と停止時の劣化速度の変化の仕方に近づけることができる。これにより、車両に空気入りタイヤ100を装着して実際に使用した際に成長するクラックを、より高い精度で再現することができる。この結果、より確実にクラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。
また、複数回の走行ステップにおける、後手順側の走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度を、前手順側の走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度より高くするため、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に成長するグルーブクラックを、より高い精度で再現することができる。つまり、車両に走行時には、走行する道路や混雑の状況等に応じて、様々な速度で走行をするため、異なる走行ステップで、空気入りタイヤ100を回転させる速度を異ならせることにより、空気入りタイヤ100の使用状態を、より確実に実際の使用状態に近づけて再現することができる。さらに、異なる走行ステップで空気入りタイヤ100を回転させる速度を異ならせる際に、後手順側の走行ステップでの速度を、前手順側の走行ステップでの速度より高くすることにより、空気入りタイヤ100が劣化し始めた際における高速走行時のクラックの成長状況も再現することができる。これにより、車両に空気入りタイヤ100を装着して実際に使用した際に成長するクラックを、より高い精度で再現することができる。この結果、より確実にクラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。
また、複数回の走行ステップにおける、後手順側の走行ステップの時間を、前手順側の走行ステップの時間より長くするため、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に成長するクラックを、より高い精度で再現することができる。つまり、車両に走行時には、走行する道路や目的地までの距離等に応じて、連続走行の時間が様々な長さになるため、異なる走行ステップで、走行ステップの時間を異ならせることにより、空気入りタイヤ100の使用状態を、より確実に実際の使用状態に近づけて再現することができる。さらに、異なる走行ステップで時間を異ならせる際に、後手順側の走行ステップの時間を、前手順側の走行ステップの時間より長くすることにより、空気入りタイヤ100が劣化し始めた際における長時間走行時のクラックの成長状況も再現することができる。これにより、車両に空気入りタイヤ100を装着して実際に使用した際に成長するクラックを、より高い精度で再現することができる。この結果、より確実にクラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。
また、走行ステップを行う前に、オゾンの供給は行わない状態で予備走行を行うため、グルーブクラックを再現する試験を行う際における気温等の環境条件に関わらず、走行ステップを開始する段階での空気入りタイヤ100の状態を一定の状態にすることができる。これにより、複数の空気入りタイヤ100で、グルーブクラックを再現する試験を行う際に、空気入りタイヤ100の状態が一定の状態から走行ステップと停止ステップとを繰り返すことにより、複数の空気入りタイヤ100の相互間の差異を、高い精度で再現することができる。この結果、より確実にグルーブクラックについての市場再現性を向上させることができる。
また、以上の実施形態に係るタイヤ試験装置1は、空調装置20と、オゾン供給装置30と、路面再現装置40とを備え、路面再現装置40は、走行モードと停止モードとを切り替え可能になっているため、車両に装着された空気入りタイヤ100の実際の使用態様を再現して試験を行うことができる。つまり、空気入りタイヤ100の使用状態を再現する際に、実際に車両に装着された空気入りタイヤ100と同様に、空気入りタイヤ100に一定の荷重を継続して負荷しながら走行モードと停止モードとを交互に切り替えることにより、実際の使用状態に近付けて再現することができる。
また、走行モードと停止モードとの双方で、オゾン供給装置30によって供給されたオゾンに空気入りタイヤ100を露出させるため、空気入りタイヤ100の劣化を早めることができる。これにより、空気入りタイヤ100の実際の使用状態における変化を短時間で再現することができ、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に発生するグルーブクラックを、短時間で再現することができる。
さらに、走行モードと停止モードとでは、試験室10内の温度とオゾンの濃度とのうちの少なくともいずれか一方を変化させるため、より確実に、実際の使用状態に近づけて再現することができる。つまり、車両に装着された空気入りタイヤ100は、車両の走行時と停止時とで空気の当たり方が変わり、温度も変化するため、走行モードと停止モードとで、試験室10内の温度とオゾンの濃度との少なくともいずれか一方を変化させることにより、より確実に実際の使用状態に近づけて再現することができる。従って、空気入りタイヤ100を実際に使用した際に成長するクラックを、高い精度で再現することができる。この結果、クラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。
[実施例]
図16は、タイヤ試験方法の評価結果を示す図表である。以下、上述したタイヤ試験方法について、本発明に係るタイヤ試験方法と、本発明に係るタイヤ試験方法と比較する比較例のタイヤ試験方法とについて行なった評価試験について説明する。
評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが225/65R17サイズの空気入りタイヤ100を、JATMA標準のリムホイール130にリム組みし、空気圧は最大空気圧の90%、荷重は最大負荷能力の60%に調整し、試験室10内は、オゾン濃度が150pphmのオゾン雰囲気で、温度を50℃に調整して行った。このような環境下において、上記したテスト工程ST102の走行モードにて走行させる試験を行った。
評価試験は、本発明に係るタイヤ試験方法の一例である実施例と、本発明に係るタイヤ試験方法と比較するタイヤ試験方法である比較例との2種類を、空気入りタイヤ100を実際に車両に装着して使用した実車例と比較することにより行った。この実車例は、市場において実際にクラックの発生が見られた空気入りタイヤである。
このうち、比較例は、タイヤ周方向に延在する主溝111の溝底111Aにはメスカットを加工しない。これに対し、本発明に係るタイヤ試験方法の一例である実施例は、タイヤ周方向に延在する主溝111の溝底111Aに所定長さのメスカット120を加工する。メスカット120の加工の有無以外はすべて同一の試験条件とした。
比較例の評価方法は、テスト工程での試験の完了後、最終的に発生したクラックの数を数え、このクラックの数を、後述する実車例のクラックの数を基準値(100)とする指数で表すことにより評価した。詳しくは、クラックは、クラックの長さを各主溝111で測定し、長さが1mm以上の肉眼で確認できるクラックをすべて数えて、後述する実車例のクラックの数を100とする指数で表すことにより評価した。この評価は、指数が大きいほどクラックの数が多いことを示していると共に、100に近いほど、発生したクラックの数が実車例に近く、クラックの市場再現性に優れていることを示している。ここでは、実車例の基準値との差が0〜10を「○」、11〜20を「△」、21以上を「×」で示した。
一方、実施例の評価方法は、テスト工程での試験の完了後、最終的に成長したメスカット120(クラック)の長さを測定し、テスト工程後のメスカット120の長さと、加工したメスカット120の元の長さとからメスカット120の成長率IMを算出してクラックの成長性を評価した。この評価は、数値が大きいほど市場でのクラックリスクが高い(クラックが成長しやすい)ことを示している。ここでは、成長率IMが90以下を「低」、91〜124を「中」、124以上を「高」と示した。また、このクラックリスクと実車例との相関関係で市場再現性を「○」、「△」、「×」で示した。
タイヤ試験方法の評価を行った結果、図16に示すように、実施例に係るタイヤ試験方法は、メスカット成長率(クラックリスク)が高く、実車例に対して、比較例よりもクラックの市場再現性が優れていることが分かった。つまり、実施例に係るタイヤ試験方法は、クラックの成長についての市場再現性を向上させることができる。
上述した実施形態では、所定の走行モードとして、走行ステップと停止ステップとを所定の回数交互に切り替えるものを例示したが、走行モードはこれに限るものではない。例えば、走行モードとして、加速・減速の直線走行ステップ、一定速の転がり走行ステップ、旋回の曲線走行ステップ、制動・駆動の制駆動走行ステップ、進行・停止の間欠走行ステップのいずれかを含むものであってもよい。また、上記した走行モードは1つでなく、複数の走行モードを組み合わせてもよい。
また、走行ステップでは、空気入りタイヤ100にスリップ角を付与しながらスラローム走行させてもよい。例えば、フラットベルト試験装置45のタイヤ支持装置50に、無端ベルト61の走行方向に対する空気入りタイヤ100の角度であるスリップ角を、走行ステップ中に変化させることができる機構を設け、走行ステップ中に、スリップ角を変化させることによりスラローム走行をさせてもよい。空気入りタイヤ100を装着した実際の車両では、走行時にはコーナリングや車線変更を行うため、走行ステップで空気入りタイヤ100にスリップ角を付与しながらスラローム走行させることにより、車両使用条件に合わせることができる。これにより、より確実に実際の使用状態に近づけて、クラックを再現する試験を行うことができる。この結果、より確実にクラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。なお、この場合におけるスリップ角は、左右に0.5°以上3.0°以下の範囲内であるのが好ましい。
また、空気入りタイヤ100には、キャンバー角を付与してもよい。例えば、無端ベルト61における空気入りタイヤ100が接触する面に対する垂線に対して、空気入りタイヤ100を無端ベルト61の幅方向に傾斜させてもよい。空気入りタイヤ100は、キャンバー角が0°以外の状態で車両に装着されることもあるため、空気入りタイヤ100に0°以外のキャンバー角を付与した状態で、走行ステップや停止ステップを行うことにより、車両使用条件に合わせることができる。これにより、より確実に実際の使用状態に近づけて、クラックを再現する試験を行うことができる。この結果、より確実にクラックの成長性についての市場再現性を向上させることができる。なお、この場合におけるキャンバー角は、0.5°以上3.0°以下の範囲内であるのが好ましい。
100 空気入りタイヤ
101 トレッド部
102 ショルダー部
110 トレッド面
111 主溝(溝部)
111A 溝底
112 センター主溝(溝部)
113 ショルダー主溝(溝部;ショルダー部側の溝部)
113A 溝底
113B 溝壁
120 メスカット(切り込み)
130 リムホイール
ST101 加工工程
ST102 テスト工程
ST103 評価工程

Claims (16)

  1. 空気入りタイヤのトレッド部に形成された溝部の溝底に切り込みを加工する前工程と、
    所定の温度に調節した雰囲気下で、前記空気入りタイヤをオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で前記空気入りタイヤを所定の走行モードにてテストする中間工程と、
    前記中間工程後における前記切り込みの長さ方向の成長率からクラック成長性を評価する後工程と、
    を含むことを特徴とするタイヤ試験方法。
  2. 前記前工程では、加工される前記切り込みは、前記空気入りタイヤの周方向に沿って延在し、該切り込みの長手方向の長さは、2mm以上8mm以下の範囲内であり、該切り込みの深さは、0.1mm以上3.0mm以下の範囲内である請求項1に記載のタイヤ試験方法。
  3. 前記前工程では、複数の前記切り込みが前記空気入りタイヤの周方向に等間隔の位置に設けられる請求項1または2に記載のタイヤ試験方法。
  4. 前記前工程では、前記切り込みは、前記空気入りタイヤの少なくともショルダー部側の溝部の溝底に加工され、且つ、該ショルダー部側の溝部の溝壁から溝幅の50%以下の範囲内に加工される請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  5. 前記前工程において、前記空気入りタイヤの周方向に延在する一の溝部に複数の前記切り込みが加工される場合、
    複数の前記切り込みは、一の溝部の溝底における前記空気入りタイヤの周方向、及び、該溝部の幅方向にそれぞれずらした位置に設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  6. 前記後工程では、前記切り込みの長さ方向の成長率が所定の閾値以下の場合、
    前記空気入りタイヤに負荷する荷重を増大させて前記中間工程を再度実行する請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  7. 前記中間工程は、所定の温度に調節した雰囲気下で、空気入りタイヤをオゾンに露出させて荷重を負荷した状態で前記空気入りタイヤを回転させる走行ステップと、
    所定の温度に調節した雰囲気下で、前記空気入りタイヤを前記オゾンに露出させて荷重を負荷した状態で前記空気入りタイヤの回転を停止する停止ステップと、を含み、
    前記走行ステップと前記停止ステップとを所定の回数交互に切り替えると共に、前記走行ステップと前記停止ステップとでは、前記雰囲気の温度と、前記空気入りタイヤを露出させる前記オゾンの濃度とのうちの少なくともいずれか一方を変化させる請求項1から6のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  8. 前記中間工程では、前記空気入りタイヤは、内圧が前記空気入りタイヤの最大空気圧の60%以上100%以下の範囲内であり、
    前記空気入りタイヤに負荷する荷重は、前記空気入りタイヤの最大負荷能力の40%以上100%以下の範囲内であり、
    前記走行ステップにおける速度は、10km/h以上100km/h以下の範囲内である請求項7に記載のタイヤ試験方法。
  9. 前記走行ステップでは、前記空気入りタイヤにスリップ角を付与しながらスラローム走行させる請求項7または8に記載のタイヤ試験方法。
  10. 前記走行ステップでは、前記空気入りタイヤにキャンバー角を付与する請求項7から9のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  11. 前記走行ステップでは、前記空気入りタイヤを露出させる前記オゾンの濃度を前記停止ステップよりも高くする請求項7から10のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  12. 前記走行ステップでは、前記雰囲気の温度を前記停止ステップよりも低くする請求項7から11のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  13. 前記走行ステップは、前記停止ステップと交互に切り替える複数回の前記走行ステップにおける、後手順側の前記走行ステップで前記空気入りタイヤを回転させる速度を、前手順側の前記走行ステップで前記空気入りタイヤを回転させる速度より高くする請求項7から12のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  14. 前記走行ステップは、前記停止ステップと交互に切り替える複数回の前記走行ステップにおける、後手順側の前記走行ステップの時間を、前手順側の前記走行ステップの時間より長くする請求項7から13のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  15. 前記中間工程では、前記空気入りタイヤを露出させる前記オゾンの濃度は、50pphm以上250pphm以下の範囲内である請求項1から14のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
  16. 前記中間工程では、前記雰囲気の温度は、30℃以上70℃以下の範囲内である請求項1から15のいずれか一項に記載のタイヤ試験方法。
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