JP2007017423A - 摩擦試験方法及び摩擦試験機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム試験片の表面に発生する粘着力の高いゴムの変成層の発生の問題を解決し、ドライ時の摩擦係数の安定した測定を行うことが可能な摩擦試験方法及び摩擦試験機を提供する。
【解決手段】荷重負荷手段37により荷重を加えて円盤状のゴム試験片Xをドラム4の外周面4aに設けた摩擦試験面4cに押し付けた後、摩擦試験面4cとゴム試験片Xとの間に粉体供給手段66により所定量の粉体を供給しながら、所定の速度比でゴム試験片XとドラムXとを回転させる。ゴム試験片Xの回転トルクをトルク検出手段18により検出する一方、ゴム試験片Xに加わる荷重を荷重検出手段41により検出し、得られた両検出値を用いて摩擦係数を求める。
【選択図】図1
【解決手段】荷重負荷手段37により荷重を加えて円盤状のゴム試験片Xをドラム4の外周面4aに設けた摩擦試験面4cに押し付けた後、摩擦試験面4cとゴム試験片Xとの間に粉体供給手段66により所定量の粉体を供給しながら、所定の速度比でゴム試験片XとドラムXとを回転させる。ゴム試験片Xの回転トルクをトルク検出手段18により検出する一方、ゴム試験片Xに加わる荷重を荷重検出手段41により検出し、得られた両検出値を用いて摩擦係数を求める。
【選択図】図1
Description
本発明は、ゴムの摩擦係数を測定する摩擦試験方法及び摩擦試験機に関し、更に詳しくは、ドライ時の摩擦係数の安定した測定を行えるようにした摩擦試験方法及び摩擦試験機に関する。
例えば、空気入りタイヤのトレッドに使用されるゴムは、実車走行時の摩擦係数を予測するため、試験片の段階でラボ試験により摩擦係数を調べるようにしている。従来、その試験に用いられる摩擦試験機として、荷重負荷手段により荷重を加えて円盤状のゴム試験片をドラムの外周面に設けた摩擦試験面に押し付け、所定の速度比で押し付けたゴム試験片とドラムとを回転させ、該ゴム試験片の回転トルクをトルク検出手段により検出する一方、ゴム試験片に加わる荷重を荷重検出手段により検出し、得られた両検出値を用いて摩擦係数を求めるようにした摩擦試験機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上述した摩擦試験機は、ゴム試験片とドラムとの間に水張りトレイを備え、この水張りトレイに水を供給することで、ウェット時の摩擦係数を精度良く測定することができるが、水張りトレイに水を張らないドライの状態でドライ時の摩擦係数を測定しようとすると、摩擦により溶けた表面のゴムがゴム試験片の表面に粘着力の高い変成層を形成し、それが時間と共に生成量が増加するため、摩擦力が時間の経過に伴って次第に高くなる傾向にあり、ドライ時の摩擦係数の安定した測定ができないという問題があった。
特開2000−329687号公報
本発明の目的は、ゴム試験片の表面に発生する粘着力の高いゴムの変成層の問題を解決し、ドライ時の摩擦係数の安定した測定を行うことが可能な摩擦試験方法及び摩擦試験機を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の摩擦試験方法は、荷重負荷手段により荷重を加えて円盤状のゴム試験片をドラムの外周面に設けた摩擦試験面に押し付け、該摩擦試験面と前記ゴム試験片との間に粉体供給手段により所定量の粉体を供給しながら、所定の速度比で前記ゴム試験片と前記ドラムとを回転させ、該ゴム試験片の回転トルクをトルク検出手段により検出する一方、前記ゴム試験片に加わる荷重を荷重検出手段により検出し、得られた両検出値を用いて摩擦係数を求めることを特徴とする。
本発明の摩擦試験機は、荷重負荷手段により荷重を加えて円盤状のゴム試験片をドラムの外周面に設けた摩擦試験面に押し付け、所定の速度比で前記ゴム試験片と前記ドラムとを回転させ、該ゴム試験片の回転トルクをトルク検出手段により検出する一方、前記ゴム試験片に加わる荷重を荷重検出手段により検出し、得られた両検出値を用いて摩擦係数を求めるようにした摩擦試験機において、前記ドラムの摩擦試験面と該摩擦試験面に押し付けたゴム試験片との間に所定量の粉体を供給可能な粉体供給手段を具備することを特徴とする。
上述した本発明によれば、摩擦試験面とその摩擦試験面に押し付けられたゴム試験片との間に粉体供給手段により所定量の粉体を供給しながら、ゴム試験片とドラムとを回転させるようにしたので、摩擦試験面との摩擦により溶けたゴム試験片の表面のゴムが粉体を巻き込んでゴム試験片の表面から脱落するようになるため、粘着力の高い変成層がゴム試験片の表面に形成されるのを回避することができ、ドライ時の摩擦係数の安定した測定が可能になる。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図6は、本発明の摩擦試験機の一実施形態を示し、ケーシング1内に立設された支持フレーム2の中間部に前後方向(図2の左右方向)に水平に延びるドラム回転軸3が回転自在に支持され、そのドラム回転軸3の先端部にアルミなどの金属からなる直径1〜5mのドラム4が設けられている。ドラム回転軸3の後方の支持フレーム2上には、ドラム用の過負荷保護装置5と減速機6とが設置されている。減速機6に隣接して設置されたブレーキ機能を具備する駆動モータ7と減速機6とがベルト8を介して接続されている。
図1〜図6は、本発明の摩擦試験機の一実施形態を示し、ケーシング1内に立設された支持フレーム2の中間部に前後方向(図2の左右方向)に水平に延びるドラム回転軸3が回転自在に支持され、そのドラム回転軸3の先端部にアルミなどの金属からなる直径1〜5mのドラム4が設けられている。ドラム回転軸3の後方の支持フレーム2上には、ドラム用の過負荷保護装置5と減速機6とが設置されている。減速機6に隣接して設置されたブレーキ機能を具備する駆動モータ7と減速機6とがベルト8を介して接続されている。
駆動モータ7の作動により、減速機6、過負荷保護装置5、ドラム回転軸3を介して、ドラム4が回転可能になっている。コントローラ(不図示)により駆動モータ7と減速機6が制御され、それによりドラム4の回転速度を自在に制御できるようになっている。この減速機6と駆動モータ7及び不図示のコントローラがドラム回転制御手段を構成している。
ドラム4の外周面4aには、エメリーペーパー等の研摩紙4bが着脱自在に張りつけられ、摩擦試験面4cが形成されている(図3)。摩擦試験面4cを形成する研摩紙4bは、実路面に応じた粗さを持つものを使用するのが好ましく、エメリーペーパーとしては粗さが#80〜#800のものから適宜選択するのがよい。
ドラム4はその前後幅が幅広に形成され、外周面4aにはゴム試験片Xが走行する複数(例えば10)のレーンを持つ摩擦試験面4cが形成できるようになっている。このように複数のレーンを有する摩擦試験面4cの形成により、研摩紙を張り替えることなく試験を連続して行うことができ、またゴム試験片Xの予備ずり(モールド表面に付いている油がゴム試験片に付着した際に、本試験前にゴム試験片Xを摩擦試験面4c上を転動させてその油を除去するなど)にも用いることができる。
支持フレーム2の上端部に横設された水平板9上には、前後に延びるガイドレール10が固設され、このガイドレール10に板状の移動体11が摺動自在に係合している。移動体11の一側方の水平板9上には、図4に示すようにガイドレール10と平行に延びるボールネジ12が配設され、このボールネジ12に移動体11の一側に突設された係合部11aが螺合している。ボールネジ12の後端に連結されたモータ12aの駆動により、ボールネジ12が回転すると、移動体11がガイドレール10に沿って前後にドラム4の軸方向と平行に移動するようになっている。
移動体11の一側部には、前後(ドラム4の軸方向)に延びる支持壁13が垂直に立設されている。支持壁13の側面には、上下に延びるガイド部材14が前後2か所に固定され、これらガイド部材14,14に板状の昇降体15が上下に摺動自在に係合している。昇降体15の側部に突設された前後のブラケット16,17には、回転するゴム試験片Xの回転トルクを検出するトルクメータ(トルク検出手段)18とブレーキ機能を具備した駆動モータ19が取り付けられている。
駆動モータ19の回転軸19aにカップリングZとクラッチ20を介してトルクメータ18の後部回転軸18aが接続され、このトルクメータ18の前部回転軸18bに円盤状のゴム試験片Xを保持する保持手段21の回転軸22が接続されている。この保持手段21は移動体11の移動に伴ってドラム4の軸方向に往復移動可能になっている。
駆動モータ19はコントローラ(不図示)による周波数制御で回転速度を可変にでき、それによりゴム試験片Xの回転速度を所望の速度に変更できるようにしている。駆動モータ19及び不図示のコントラーラがゴム試験片Xの回転速度を制御する試験片回転制御手段を構成している。
保持手段21は、図5に示すように、横設された円筒体23内に軸受24を介して支持された回転軸22の先端部22aにゴム試験片Xを着脱自在に保持可能な保持部25を備えている。この保持部25は、回転軸22の先端部22aに嵌着されたフランジ27を有する保持筒26と、保持筒26の外周側に嵌合する芯金28と、芯金28を押さえる押さえ板29及び押さえキャップ31とを備えている。
芯金28は外周面が周方向に凹凸状に形成され、その外周面に内周面を周方向に凹凸状に形成して嵌合するようにしたゴム試験片Xが装着されるようになっている。芯金28にゴム試験片Xを取り付け、その芯金28を保持筒26に嵌合させた後、芯金回り止めピン30を挿入し、押さえ板29と押さえキャップ31とを保持筒26の先端側からセットしてボルト31Aで固定することにより、保持部25にゴム試験片Xを保持する。この保持部25は、ドラム4の上方に対設された位置となり、駆動モータ19の作動により回転する。
支持壁13の前側上部側部にはブラケット32が突設され、このブラケット32に上方に突出する2本のロッド33aを伸縮自在に備えたシリンダ33の側部が固定されている。昇降体15の前側上部側部に水平に突設されたブラケット34には2本の支持棒35が垂直に立設固定され、この支持棒35の上端に固定されたプレート部材36の後部下面に上記ロッド33aの先端(上端)が固定されている。
シリンダ33の作動によりロッド33aが縮小状態になると、図3に示すように、ゴム試験片Xがドラム4の摩擦試験面4cに当接するように保持部25を試験位置に移動させ、ロッド33aが伸長状態になると、ゴム試験片Xがドラム4の摩擦試験面4cから離間するように保持部25を上方の待機位置に移動させる。
プレート部材36の前部下面には、ゴム試験片Xに荷重を負荷する荷重シリンダ(荷重負荷手段)37が取り付けられ、その下方に突出するロッド37aの先端(下端)に押圧パッド37bが設けられている。
円筒体23の先端部上部には荷重用部材40が上方に突設され、その前方に突出する水平板部40a上に、荷重シリンダ37が負荷した荷重を検出するロードセル(荷重検出手段)41が設置されている。このロードセル41の上方に上記荷重シリンダ37が位置し、ロッド37aを伸長して押圧パット37bによりロードセル41に荷重を加えることにより、荷重用部材40、円筒体23を介して、保持部25に装着されたゴム試験片Xに荷重を負荷し、ゴム試験片Xをドラム4の摩擦試験面4cに押し付けるようになっている。
支持壁13の中央部上部側面には、所定の角度だけ回動自在な回動体42が突設され、この回動体42の前端部にはワイヤ43が吊設されている。他方、昇降体15の中央部上端にはフック44が突設され、このフック44にワイヤ43の下端部が取り付けられている。また、回動体42の後端に後方に向けて突設されたアーム部材45には、重量体46がアーム部材45の長手方向に沿って摺動可能に取り付けられている。
これら回動体42、ワイヤ43、フック44、アーム部材45及び重量体46は、ゴム試験片Xに対して、荷重シリンダ37以外から加わる負荷荷重を相殺するカウンターバランス47(荷重均衡手段)を構成している。即ち、カウンターバランス47は重量体46の重量に基づいて回動体42を矢印eの方向の回転させ、ワイヤ43を介して昇降体15を上方に引き上げるように作用するが、アーム部材45の長手方向に対する重量体46の位置を適切に調整することにより、ゴム試験片Xに対して負荷荷重を0の状態にする。そのため、荷重シリンダ37から与えられる荷重のみがゴム試験片Xに加わる荷重となり、それをロードセル41が検出する。
上記保持手段21とドラム4とは、断熱部材50で囲まれた恒温槽51内に配設されている。保持手段21とドラム4とは、保持部25に装着されたゴム試験片Xがドラム4と接触する部分に開口部を形成した仕切り板52により仕切られている。その仕切り板52には多数の貫通孔53が形成されている。
恒温槽51は、仕切り板52により区切られた上部恒温槽51aと下部恒温槽51bとから構成され、ドラム4の上側に位置し保持手段21が配置された上部恒温槽51aの壁面には、エアの供給口54が設けられている。この供給口54は不図示の配管を介してケーシング1の右側後部に設置されたエア供給源55に接続されている。
エア供給源55では、ヒータにより外部から取り入れたエアを加熱し、また冷凍機により冷却し、エアを2℃〜60℃の範囲で温度調整でき、その温度調整されたエアを供給口54から上部恒温槽51aに供給できるようになっている。供給口54から上部恒温槽51aに供給されたエアは、仕切り板52の貫通孔53を通って下部恒温槽51bの壁面に形成された排出口56から不図示のフィルターを介して外部に放出される。このように槽内の雰囲気温度を調整可能な上部恒温槽51aにゴム試験片Xを収容できるようにし、ゴム試験片Xの温度条件を異ならせて摩擦測定を行えるようにしている。
ドラム4とその上方の保持部25との間には、水張りトレイ60が設けられている。この水張りトレイ60は保持部25と共に前後に往復移動可能になっている。水張りトレイ60の底部中央部には、図6に示すように開口部60aが形成され、その開口部60aを介してドラム4の摩擦試験面4cと保持部25に保持されたゴム試験片Xが接触可能になっている。開口部60aとドラム4の摩擦試験面4cとの隙間sから水張りトレイ60に張られた水が下方に排出される。
水張りトレイ60の上方には水を供給する給水部62が設けられている。この給水部62はケーシング1の左側後部に設置された水供給源63に接続されている。水供給源63では水温コントローラ(不図示)により水を2℃〜60℃の範囲で温度調整できるようになっている。水供給源63から供給される水の量を調整することで、水張りトレイ60に張られた水の深さ(水膜厚さ)を調整可能にしている。給水部62と水供給源63は、水張りトレイ60に所定の温度の水を供給可能な水供給手段を構成している。
下部恒温槽51bの傾斜面に形成された床面51xには排出口64が形成され、この排出口64は水供給源63に接続されている。ドラム4の下方の床面51x上方には床面全面を覆うようにフィルター65が配設されている。水張りトレイ60の隙間sから流れ出た水は、フィルター65を介して排出口64から水供給源63に戻るようになっている。
上記摩擦試験機は、更にドラム4の摩擦試験面4cとその摩擦試験面4cに押し付けられたゴム試験片Xとの間に所定量の粉体を供給可能な粉体供給手段66を備えている。粉体供給手段66は、図1,6に示すように、ケーシング1上に設置された粉体供給源67とこの粉体供給源67に接続された粉体供給部68を有している。粉体供給部68は、ゴム試験片Xを収容する上部恒温槽51a内に配設され、粉体を上部恒温槽51a内に位置する摩擦試験面4cの部分とその摩擦試験面4cの部分に押し付けられたゴム試験片Xとの間に供給する構成になっている。
また、摩擦試験機は、ドラム4を加熱及び冷却可能なドラム温度調節手段80を具備している。このドラム温度調節手段80は、図1,2に示すように、ドラム4の内側に、外周面4aに沿って延設された金属製の放熱配管81を備えている。放熱配管81は温度調節された、水や油などの媒体(2℃〜60℃)を供給する媒体供給源(不図示)に接続され、この媒体供給源から供給された所定の温度の媒体を放熱配管81内に循環させることで、ドラム4の外周面4aの温度を所望の温度に加熱及び冷却できるようにしている。ドラム温度調節手段80は、この構成に限定されず、例えば、加熱を電気ヒーター、冷却を冷凍機で冷却したエアを吹きつけることにより行うような構成にしてもよい。
ドラム4の内側に位置する支持フレーム2の部分には、ドラム4の外周部4xの温度を検出する非接触式の温度センサー82が設けられている。温度センサー82で検知した温度に基づいて、媒体供給源から供給される媒体の温度を調節し、ドラム4の外周面4aの温度を所望する温度に一層近づけることができるようになっている。
図中、70は試験片交換用ドア、71は研摩紙張替え用治具、72は研摩紙張替え用ドア、73は操作パネルである。
以下、上述した摩擦試験機によりドライ時のゴム試験片Xの摩擦係数を測定する摩擦試験方法について説明する。
待機位置で保持部25にゴム試験片Xを装着した後、シリンダ33を作動させ、そのロッド33aを縮小した状態にする。それにより、昇降体15が降下して、保持部25に保持されているゴム試験片Xがドラム4の摩擦試験面4cに当接した状態になる(図3)。
次いで、供給口54からエアを供給し、上部恒温槽51a内を所定の試験温度にする一方、媒体を放熱配管81内に循環させ、ドラム4の外周部4xを上部恒温室51aと同じ所定の試験温度にする。次いで、荷重シリンダ37の作動によりゴム試験片Xに所定の負荷を付与し、ゴム試験片Xを摩擦試験面4cに押し付ける。
駆動モータ7,19の回転速度をそれぞれ制御し、ドラム4を一定の回転速度に保持する一方で、ゴム試験片Xの周速度とドラム4の周速度とが所定の速度比となるようにして、保持部25(ゴム試験片X)を回転させる。
他方、ドラム4の回転と同時に、粉体供給手段66が粉体供給部68から摩擦試験面4cとそれに押し付けられたゴム試験片Xとの間に粉体の供給を開始する。ドラム4の回転中、所定量の粉体を連続的に摩擦試験面4cとゴム試験片Xとの間に供給する。この粉体の供給により、摩擦により溶けたゴム試験片Xの表面のゴムが粉体を巻き込んでゴム試験片Xの表面から脱落する。そのため、粘着力の高い変成層がゴム試験片Xの表面に発生することがない。
所定量の粉体を供給しながら、所定の速度比でゴム試験片Xとドラム4とを回転させた時に発生するゴム試験片Xの回転トルクをトルクメータ18で検出する一方、ロードセル41でゴム試験片Xに加わる荷重を検出する。検出信号はそれぞれコンピュータ(不図示)に入力され、コンピュータが得られた両検出値を用いてプログラムに従って摩擦係数を算出する。
上記試験終了後、昇降体15を引き上げてゴム試験片Xを装着した保持部25を待機位置に移動させる。別のゴム試験片Xを続けて試験する場合には、保持部25のゴム試験片Xを交換し、モータ12aの作動によりボールネジ12を回転させ、移動体11をガイドレール10に沿って移動させて、保持部25のゴム試験片Xを次の摩擦試験面(レーン)4c上に移動させた後、上記と同様にして試験を行う。
ウェット時の摩擦係数を測定する場合には、粉体供給手段66から粉体を供給する工程に代えて、ドラム4とゴム試験片Xを回転させる前に、水張りトレイ60に給水部62から所定の試験温度の水を供給し、所定の水深となるように水を張る他は、上記と同様である。
上述した本発明では、ドラム4の摩擦試験面4cとその摩擦試験面4cに押し付けられたゴム試験片Xとの間に粉体を供給可能な粉体供給手段66を設置し、摩擦試験面4cとゴム試験片Xとの間に粉体供給手段66により所定量の粉体を供給しながら、ゴム試験片Xとドラム4とを回転させるようにしたので、摩擦試験面4cとの摩擦により溶けたゴム試験片Xの表面のゴムが粉体を巻き込んでゴム試験片Xの表面から脱落するため、粘着力の高い変成層が発生するのを回避することができる。そのため、ドライ時の摩擦係数測定時に時間の経過に伴って次第に摩擦力が高くなるのを防ぎ、安定した測定が可能になる。
また、ドラム4を直接加熱及び冷却可能なドラム温度調節手段80を設けることにより、ドラム4も所望の試験温度にすることができるようになるので、各温度で安定した摩擦係数(摩擦力)の測定が可能になり、それにより、従来、安定した測定が困難であったゴム、特にタイヤ用ゴムのドライ摩擦力の温度依存性の測定が可能になる。そのため、タイヤの開発速度を促進することができると共に、地域別、用途別のゴムコンパウンドの開発が可能になる。
また、実際のタイヤを用いて行う摩擦試験において、試験を行うタイヤの個数を大幅に低減することが可能になる。
本発明において、上記粉体供給手段66に使用する粉体としては、例えば、カーボランダム砥粒、タルク、酸化アルミ粉末などの無機粉体を好ましく挙げることができる。無機粉体の中でも、特にタルクが好ましい。
粉体にタルクを使用する場合、粉体供給手段66が供給する量としては、ゴム試験片Xの幅(厚さ)10mm当たり毎分20cm3 以上にするのが、粘着力の高い変成層の発生を効果的に回避する上でよい。上限値としては、摩擦試験面4cとゴム試験片Xとの間の滑りを抑える点から、ゴム試験片幅10mm当たり毎分40cm3 以下にするのがよい。ゴム試験片Xの幅としては、10〜20mmが好適である。
図7に、粉体としてタルクを使用してドライ時の摩擦係数を測定した時の結果を示すグラフ図を示す。ゴム試験片幅10mm当たり、実線1は毎分15cm3 、実線2は毎分20cm3 、実線3は毎分30cm3 、実線4は毎分40cm3 、実線5は毎分60cm3 でタルクを供給した場合であり、点線はタルクを使用しない場合である。
ゴム試験片Xには、スチレンブタジエンゴム(SBR)100重量部、カーボンブラック(HAF)80重量部、オイル30重量部、ステアリン酸2重量部、酸化亜鉛3重量部、老化防止剤2重量部、加硫促進剤2重量部、硫黄2.5重量部を有するゴム組成物を加硫して使用した。ゴム試験片Xの直径は100mm、幅は20mmである。
タルクには、比重2.69のタルクを使用した。試験温度は20℃、ゴム試験片Xの回転速度(周速度)は27km/h、ドラムの回転速度(周速度)は30km/hでスリップ率は10%である。また、負荷荷重は300kPaであり、#240の研摩紙により摩擦試験面4cを形成した。
図7から、供給量がゴム試験片幅10mm当たり毎分15mm3 では粉量が不足して粘着力の高い変成層が除去できないので測定が安定せず、また毎分60cm3 では過剰なタルクが試験片に付着して摩擦係数が大きく下がり正確な摩擦係数の測定が困難になり、供給量を毎分20〜40cm3 の範囲にするのがよいことがわかる。なお、図7のグラフにおいて、縦軸は、同じゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに使用して実車測定した時の摩擦係数を100とする指数値であり、横軸はドラムの回転を開始してから15秒後を試験開始時間(0)として表した試験時間(秒)である。
4 ドラム
4a 外周面
4c 摩擦試験面
6 減速機
7 駆動モータ
18 トルクメータ(トルク検出手段)
19 駆動モータ
37 荷重シリンダ(荷重負荷手段)
41 ロードセル(荷重検出手段)
51 恒温槽
51a 上部恒温槽
60 水張りトレイ
62 給水部(水供給手段)
63 水供給源(水供給手段)
66 粉体供給手段
80 ドラム温度調節手段
X ゴム試験片
4a 外周面
4c 摩擦試験面
6 減速機
7 駆動モータ
18 トルクメータ(トルク検出手段)
19 駆動モータ
37 荷重シリンダ(荷重負荷手段)
41 ロードセル(荷重検出手段)
51 恒温槽
51a 上部恒温槽
60 水張りトレイ
62 給水部(水供給手段)
63 水供給源(水供給手段)
66 粉体供給手段
80 ドラム温度調節手段
X ゴム試験片
Claims (10)
- 荷重負荷手段により荷重を加えて円盤状のゴム試験片をドラムの外周面に設けた摩擦試験面に押し付け、該摩擦試験面と前記ゴム試験片との間に粉体供給手段により所定量の粉体を供給しながら、所定の速度比で前記ゴム試験片と前記ドラムとを回転させ、該ゴム試験片の回転トルクをトルク検出手段により検出する一方、前記ゴム試験片に加わる荷重を荷重検出手段により検出し、得られた両検出値を用いて摩擦係数を求める摩擦試験方法。
- 前記粉体が無機粉体である請求項1に記載の摩擦試験方法。
- 前記無機粉体がタルクであり、前記粉体供給手段がタルクをゴム試験片幅10mm当たり毎分20〜40cm3 供給する請求項2に記載の摩擦試験方法。
- 荷重負荷手段により荷重を加えて円盤状のゴム試験片をドラムの外周面に設けた摩擦試験面に押し付け、所定の速度比で前記ゴム試験片と前記ドラムとを回転させ、該ゴム試験片の回転トルクをトルク検出手段により検出する一方、前記ゴム試験片に加わる荷重を荷重検出手段により検出し、得られた両検出値を用いて摩擦係数を求めるようにした摩擦試験機において、前記ドラムの摩擦試験面と該摩擦試験面に押し付けたゴム試験片との間に所定量の粉体を供給可能な粉体供給手段を具備する摩擦試験機。
- 前記粉体が無機粉体である請求項4に記載の摩擦試験機。
- 前記無機粉体がタルクであり、前記粉体供給手段がタルクをゴム試験片幅10mm当たり毎分20〜40cm3 供給可能である請求項5に記載の摩擦試験機。
- 前記ゴム試験片を収容する、槽内の雰囲気温度を調整可能な恒温槽を有し、前記粉体供給手段が粉体を前記恒温槽内の摩擦試験面と該摩擦試験面に押し付けたゴム試験片との間に供給する構成である請求項4,5または6に記載の摩擦試験機。
- 前記ドラムの上側に前記恒温槽を設置し、該恒温槽内に取り付けたゴム試験片と前記ドラムとの間に開口部を有する水張りトレイを設け、該水張りトレイの開口部を介して前記ドラムの摩耗試験面と該摩耗試験面に押し付けたゴム試験片とを接触可能にし、前記水張りトレイに所定の温度の水を供給可能な水供給手段を設置した請求項7に記載の摩擦試験機。
- 前記ドラムを加熱及び冷却可能なドラム温度調節手段を具備する請求項4乃至8のいずれか1項に記載の摩擦試験機。
- 前記ドラムが金属からなる請求項9に記載の摩擦試験機。
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