JP5579859B2 - 熱潜在性重合開始剤として用い得る組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱潜在性重合開始剤として用い得る組成物、熱潜在性の重合開始剤、当該熱潜在性重合開始剤を用いた重合方法、および当該熱潜在性重合開始剤を含む硬化性組成物に関するものである。
ルイス酸はルイス塩基から電子対を受け取ることができ、ルイス塩基を陽イオンにしてその反応性を高めることができるため、触媒として利用されている。例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどのルイス酸は、エポキシモノマーやアクリルモノマーなどのモノマーや、それらのオリゴマーであるプレポリマーを重合硬化するための触媒として用いられる。
しかし、かかるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等は、その優れた触媒能ゆえに、モノマーやプレポリマーに接触した時点から反応が開始してしまう。よって、これら触媒とモノマー等を含む混合物を製品として流通させることは、極めて困難である。
そこで、モノマー等との混合物において、常温では触媒活性を示さず、加熱により触媒能を発揮する熱潜在性の重合開始剤が開発されている。
例えば特許文献1には、ルイス酸と、モノアミンまたは複素環式芳香族有機化合物である窒素含有分子を含む硬化触媒が開示されている。しかし、当該特許文献にはモノアミンまたは複素環式芳香族有機化合物と範囲の広い概念的な記載がされているものの、実際に実験で使われているのはN−メチルイミダゾールのみである。また、当該触媒を用いたプレポリマー組成物の硬化開始温度は200℃前後と高い。
その他、エタノールアミン誘導体、ポリオキシアルキレンポリアミンまたはアジリジン化合物と、オルガノボランとを含む重合触媒が、特許文献2〜6に開示されている。また、アンモニウム塩とルイス酸化合物との塩からなる重合触媒が、特許文献7に記載されている。
特表2008−544067号公報 特開2000−504353号公報 特開平11−503729号公報 特開平11−504625号公報 特開平11−510845号公報 特開2001−502689号公報 特開2004−533467号公報
上述したように、温度により触媒能を制御できる熱潜在性の重合開始剤は、既に開発されている。しかし、常温で重合を開始しないながらも、より低温で重合を開始し、且つ優れた触媒能を有する重合開始剤が求められている。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、常温で重合を開始しないながらも、従来の熱潜在性重合開始剤よりも低温で重合を開始し、且つ優れた触媒能を有する熱潜在性重合開始剤として用い得る組成物を提供することにある。また、本発明は、当該組成物からなる熱潜在性重合開始剤、当該熱潜在性重合開始剤を用いた重合方法、および当該熱潜在性重合開始剤を含む硬化性組成物を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとピペリジン構造を有するアミン化合物との混合物は、常温では触媒能を発揮しない一方で比較的低温域の加熱により非常に優れた重合触媒能を発揮することを見出して、本発明を完成した。
本発明に係る組成物は、下記式で表されるピペリジン構造を有するアミン化合物、およびトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランからなることを特徴とする。
[式中、R1〜R5は、独立に水素原子またはC1-6アルキル基を示す]
上記アミン化合物としては、下記式で表されるピペリジン構造を有するものを挙げることができる。
[式中、R1〜R5は上記と同義を示し;Xは、−O−基、−(C=O)−基、−NR7−基(R7は水素原子またはC1-6アルキル基を示す)、−O(C=O)−基、−(C=O)O−基、−NH(C=O)−基または−(C=O)NH−基を示す]
また、上記のピペリジン構造を有するアミン化合物としては、以下のものを例示することができる。
アミン化合物(Ia):
[式中、
1〜R5は上記と同義を示し;
XとZは、独立に−O−基、−(C=O)−基、−NR7−基(R7は水素原子またはC1-6アルキル基を示す)、−O(C=O)−基、−(C=O)O−基、−NH(C=O)−基または−(C=O)NH−基を示し;
Yは置換基を有していてもよいC1-20アルキレン基を示し;
6は、水素原子、C1-6アルキル基または上記ピペリジン構造を示し;
1-20アルキレン基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、C3-10シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基および置換基を有していてもよいC6-14アリール基からなる群より選択される1以上を示し;
6-14アリール基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基およびC1-6アルコキシ基からなる群より選択される1以上を示す]
アミン化合物(Ib):
[式中、R7〜R10のうち少なくとも1は上記ピペリジン構造を示し、残りはC1-20アルキル基を示す]
ポリマーであるアミン化合物。なお、本発明においてポリマーであるアミン化合物とは、2以上の繰り返し単位を有し、上記ピペリジン構造を3以上有する化合物をいうものとする。また、ポリマーであるアミン化合物においては、上記ピペリジン構造の>N−H基の水素原子がピペリジン構造同士の架橋基に置換されていてもよいものとする。
アミン化合物(Ic):
[式中、R1〜R5は上記と同義を示す]
本発明において、C1-6アルキル基とは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の一価脂肪族飽和炭化水素基をいう。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。これらのうち、C1-4アルキル基が好ましく、C1-2アルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
1-20アルキレン基とは、炭素数1〜20の直鎖状または分枝鎖状の二価脂肪族飽和炭化水素基をいう。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、2,2−プロピレン基(ジメチルメチレン基)、ブチレン基、ジメチルエチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、2,2−ヘキシレン基(ブチル−メチルメチレン基)、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、エイコシレン基等を挙げることができる。これらのうち、C1-16アルキレン基が好ましく、C1-12アルキレン基がより好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を例示することができ、塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
3-10シクロアルキル基とは、炭素数3〜10の環状一価脂肪族飽和炭化水素基を意味する。例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
1-6アルコキシ基とは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の一価脂肪族飽和炭化水素オキシ基を意味する。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基等を挙げることができる。これらのうち、C1-4アルコキシ基が好ましく、C1-2アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
6-14アリール基とは、炭素数6〜14の一価芳香族炭化水素基をいう。例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基等を挙げることができる。これらのうち、フェニル基がより好ましい。
1-20アルキル基とは、炭素数1〜20の直鎖状または分枝鎖状の一価脂肪族飽和炭化水素基をいう。例えば、C1-6アルキル基での例示に加え、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基等を挙げることができる。
本発明に係る熱潜在性重合開始剤は、上記本発明組成物からなることを特徴とする。
本発明に係る重合体の製造方法は、上記熱潜在性重合開始剤と、エポキシモノマー、カチオン重合性モノマー、並びにエポキシモノマーおよび/またはカチオン重合性モノマーのオリゴマーを一種または二種以上とを混合する工程;および上記混合物を50℃以上に加熱する工程を含むことを特徴とする。本発明に係る熱潜在性重合開始剤の重合開始温度は約50℃以上であり、また、通常、常温で50℃以上ということは考えられない。即ち、本発明に係る熱潜在性重合開始剤は常温でモノマーやプレポリマーを硬化しない一方で、50℃以上という比較的低温度で重合触媒能を発揮するという非常に優れた熱潜在性を示す。
本発明に係る硬化性組成物は、上記熱潜在性重合開始剤と、エポキシモノマー、カチオン重合性モノマー、並びにエポキシモノマーおよび/またはカチオン重合性モノマーのオリゴマーを一種または二種以上とを含むことを特徴とする。
本発明に係る組成物は、常温では重合触媒能を示さない一方で、50℃以上という比較的低温で重合触媒能を発揮できるという非常に優れた熱潜在性を示す。よって本発明に係る組成物は、モノマーやプレポリマーと混合して硬化性組成物とする場合、そのまま製品として流通させることも可能であり、使用時には比較的低温域での加熱により容易に硬化するという特性を示す。従って、本発明に係る組成物は、熱潜在性の重合触媒として、産業上極めて有用である。
本発明に係る組成物は、溶媒中、特定のアミン化合物とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとを混合するのみで、容易に製造できる。より具体的には、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン溶液へ、アミン化合物またはその溶液を滴下してもよいし、アミン化合物またはその溶液へ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン溶液を滴下してもよい。
本発明に係る組成物では、ピペリジン構造中の窒素原子の孤立電子対の一部または全部がトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのホウ素原子に配位して錯体を形成し、その触媒活性を制御していると考えられる。
使用する溶媒は、アミン化合物とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの錯体形成を阻害せず、且つこれら適度に溶解できるものであれば、特に制限されない。例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒;n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒;アセトンなどのケトン系溶媒;メタノールなどのアルコール系溶媒;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;酢酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトニトリルなどのニトリル系溶媒;クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶媒;エチレンカーボネートなどの炭酸エステル系溶媒、およびこれら2種以上の混合溶媒を使用することができる。なお、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン溶液とアミン化合物溶液の溶媒は、同一としてもよいし、異なるものとしてもよい。
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン溶液の濃度は適宜調整すればよいが、通常は0.1質量%以上、90質量%以下程度とすることができる。
アミン化合物は、液体であればそのまま滴下してもよいし、溶媒に溶解した上で滴下してもよい。溶液とする場合の濃度は適宜調整すればよいが、通常は0.1質量%以上、90質量%以下程度とすることができる。
アミン化合物は、市販のものがあればそれを利用すればよいし、市販のものが無い場合であっても、当業者であれば容易に合成することができる。例えば、アミン化合物(Ia)はシンプルな構造を有しており、市販されているか、或いは市販化合物から容易に合成することができる。また、アミン化合物(Ib)は、その構造中にエステル基などを有しているため、通常のエステル化反応やエステル交換反応などにより容易に合成することができる。
アミン化合物(Ia)の具体例を、以下に示す。
アミン化合物(Ib)の具体例を、以下に示す。
ポリマーであるアミン化合物の具体例を、以下に示す。
アミン化合物(Ic)の具体例を、以下に示す。
本発明に係る組成物においては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランに対するアミン化合物中のピペリジン構造のモル比を0.9以上とすることが好ましく、1.0以上がより好ましい。本発明に係る組成物では、ピペリジン構造中の窒素原子の孤立電子対の一部または全部がトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのホウ素原子に配位して錯体を形成し、その触媒活性を制御していると考えられるので、かかる配位を十分にすることによって、熱潜在性が高められる可能性がある。一方、当該モル比が大き過ぎると、組成物中におけるアミン化合物に対するトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの量が少なくなり過ぎ、重合阻害により重合触媒能が十分に発揮されなくなるおそれがあり得るので、当該モル比は20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましい。なお、アミン化合物中のピペリジン構造のモル数は、アミン化合物のモル数×アミン化合物中のピペリジン構造の数をいうものとする。
アミン化合物とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの混合条件は特に制限されず、適宜調整すればよい。例えば、アミン化合物またはその溶液は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン溶液を攪拌しつつ滴下することが好ましいが、その逆でも構わない。反応温度は常温とすることができ、より好適には20℃以上、40℃以下とすることができる。反応時間も特に制限されず、アミン化合物またはその溶液の滴下により速やかに錯体が形成されるため、滴下後、さらに反応を進める必要もない。但し、滴下後、そのまま30分間以上、5時間以下程度、反応混合物の攪拌を継続してもよい。
反応後処理は、常法に従って行えばよい。例えば、アミン化合物またはその溶液の滴下中に組成物が不溶化または結晶化して析出した場合、析出物を濾別し、n−へキサンなどの貧溶媒で洗浄すればよい。その後、好ましくは減圧下、乾燥すればよい。
本発明に係る組成物は、熱潜在性の重合触媒として用いることができる。
本発明の組成物は、特に、エポキシモノマー、カチオン重合性モノマー、並びにエポキシモノマーおよび/またはカチオン重合性モノマーのオリゴマーであるプレポリマーの重合触媒として非常に有用である。
かかるエポキシモノマーとしては、グリシジルフェニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、エポキシ官能性ポリオルガノシロキサン等を挙げることができる。また、カチオン重合性モノマーとしては、イソブテン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルエーテル化合物、N−ビニルカルバゾール等を挙げることができる。
本発明においてオリゴマーとは、特に制限されないが、通常は2以上、100以下のモノマーが重合したものをいう。オリゴマーの重合数としては、5以上が好ましく、また、90以下が好ましく、70以下がより好ましい。
本発明に係る熱潜在性重合開始剤をプレポリマー等と混合して硬化性組成物とする場合、熱潜在性重合開始剤は、プレポリマー等に対して、0.01質量%以上、50質量%以下程度とすることができる。当該割合としては、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましく、また、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
上記硬化性組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒を用いれば、熱潜在性重合開始剤とプレポリマー等の混合が容易になる。ここで用い得る溶媒は、本発明に係るアミン化合物とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとを適度に溶解できるものであれば特に制限されない。例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒;n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒;アセトンなどのケトン系溶媒;メタノールなどのアルコール系溶媒;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;酢酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトニトリルなどのニトリル系溶媒;クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶媒;エチレンカーボネートなどの炭酸エステル系溶媒を挙げることができる。
その他、本発明に係る硬化性組成物には、帯電防止剤、硬化剤、難燃剤、抗菌剤、酸化防止剤、顔料などの添加剤を配合してもよい。
本発明に係る硬化性組成物は、重合触媒である本発明に係る熱潜在性重合開始剤の作用により、常温では硬化しない。しかし、加熱することにより本発明に係る熱潜在性重合開始剤が重合触媒能を発揮し、硬化する。
硬化のための加熱温度としては、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。一方、温度が高過ぎると硬化物が分解するおそれがあり得るので、加熱温度は500℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましく、200℃以下がさらに好ましい。なお、本発明に係る熱潜在性重合開始剤による硬化開始温度としては、50℃以上が好ましい。硬化開始温度が50℃以上であれば、常温で硬化が開始することはまずないことによる。当該硬化開始温度としては、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましく、80℃以上がさらに好ましく、90℃以上がさらに好ましく、また、500℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましく、200℃以下がさらに好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
(1) 本発明に係る熱潜在性重合開始剤の調製
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.928g,1.813mmol,以下、「TPB」と略記する)をアセトン(0.301g)に溶解した。当該溶液を攪拌しながら、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(0.301g,2.130mmol)を常温で滴下した。滴下途中から白色結晶が析出した。得られたスラリーを吸引濾過し、n−ヘキサンで洗浄した。得られたケーキを40℃で減圧乾燥した後、白色結晶である熱潜在性重合開始剤を0.533g得た。この熱潜在性重合開始剤をLCで分析した結果、TPB含有率は78.0%、TPBに対するピペリジン構造の比率は1.02であった。
1H-NMR(CDCl3)ppm:δ1.25(12H,s),1.58(4H,m),1.74(2H,m)
19F-NMR(CDCl3)ppm:δ-89.3(6F,m),-84.7(3F,m),-60.0(6F,d)
(2) 硬化試験
上記熱潜在性重合開始剤1質量部をγ−ブチロラクトン1質量部に溶解した。二官能性エポキシモノマーである水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、当該熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、79.7℃から発熱が開始され、129.2℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は428mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
実施例2
(1) 本発明に係る熱潜在性重合開始剤の調製
TPB(0.1713g,0.335mmol)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(BASF社製,TINUVIN770DF,化学構造を表1に示す,0.0781g,0.162mmol)およびγ−ブチロラクトン(0.2427g)を攪拌混合し、TPB含有率68.7%、TPBに対するピペリジン構造の比率が0.97の熱潜在性重合開始剤を50wt%含むγ−ブチロラクトン溶液を調製した。
(2) 硬化試験
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、上記熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、64.4℃から発熱が開始され、111.1℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は446mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
実施例3
(1) 本発明に係る熱潜在性重合開始剤の調製
TPB(1.613g,3.151mmol)をトルエン(8.74g)とn−ヘキサン(75.07g)の混合溶媒に溶解した。当該溶液を攪拌しながら、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(BASF社製,TINUVIN770DF,化学構造を表1に示す,1.514g,3.150mmol)をn−ヘキサン(31.99g)に溶解した溶液を常温で滴下した。滴下途中から白色結晶が析出した。得られたスラリーを吸引ろ過し、n−ヘキサンで洗浄した。得られたケーキを常温で減圧乾燥した後、白色結晶である熱潜在性重合開始剤を2.244g得た。この錯体をLCで分析した結果、TPB含有率は56.2%、TPBに対するピペリジン構造の比率は1.66であった。
1H-NMR(acetone-d6)ppm:δ1.20-1.70(42H,m),2.10(4H,dd),2.31(4H,t),5.24(2H,m)
19F-NMR(acetone-d6)ppm:δ-90.9(6F,m),-87.3(3F,m),-58.9(6F,d)
(2) 硬化試験
上記熱潜在性重合開始剤1質量部をγ−ブチロラクトン1質量部に溶解した。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、当該熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、82.5℃から発熱が開始され、124.5℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は429mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
実施例4
(1) 本発明に係る熱潜在性重合開始剤の調製
TPB(0.1004g,0.196mmol)、TINUVIN765(BASF社製,化学構造を表1に示す,0.0744g,0.146mmol)およびγ−ブチロラクトン(0.1786g)を攪拌混合し、TPB含有率57.4%、TPBに対するピペリジン構造の比率が1.49の熱潜在性重合開始剤を50wt%含むγ−ブチロラクトン溶液を調製した。
(2) 硬化試験
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、上記熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、74.8℃から発熱が開始され、119.0℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は426mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
実施例5
(1) 本発明に係る熱潜在性重合開始剤の調製
TPB(0.0430g,0.0840mmol)、TINUVIN765(BASF社製,化学構造を表1に示す,0.0419g,0.0824mmol)およびγ−ブチロラクトン(0.0857g)を攪拌混合し、TPB含有率50.7%、TPBに対するピペリジン構造の比率が1.96の熱潜在性重合開始剤を50wt%含むγ−ブチロラクトン溶液を調製した。
(2) 硬化試験
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、上記熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、85.0℃から発熱が開始され、122.9℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は455mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
実施例6
(1) 本発明に係る熱潜在性重合開始剤の調製
TPB(3.242g,6.332mmol)をトルエン(47.00g)とメチルシクロヘキサン(278.24g)の混合溶媒に溶解した。当該溶液を撹拌しながら、CHIMASSORB2020FDL(BASF社製,2.898g,化学構造を表1に示す)をメチルシクロヘキサン(61.38g)に溶解した溶液を、常温で滴下した。滴下途中から白色結晶が析出した。得られたスラリーを吸引ろ過し、n−ヘキサンで洗浄した。得られたケーキを常温で減圧乾燥した後、白色結晶である熱潜在性重合開始剤を4.258g得た。この錯体をLCで分析した結果、TPB含有率は59.9%、TPBに対するピペリジン構造の比率は2.01であった。
1H-NMR(acetone-d6)ppm:δ0.80-0.96(2nH,m),1.2-2.0(22nH,m),2.8-3.8(22nH,m),5.3-5.6(nH,m)
19F-NMR(acetone-d6)ppm:δ-90.3(6F,m),-86.6(3F,dd),-58.7(6F,d)
(2) 硬化試験
上記熱潜在性重合開始剤1質量部をγ−ブチロラクトン1質量部に溶解した。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、当該熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、69.5℃から発熱が開始され、110.5℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は437mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
実施例7
(1) 本発明に係る熱潜在性重合開始剤の調製
TPB(0.0881g,0.172mmol)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンエステル(アデカ社製,アデカスタブLA57,化学構造を表1に示す,0.0438g,0.055mmol)およびγ−ブチロラクトン(0.1368g)を攪拌混合し、TPB含有率66.8%、TPBに対するピペリジン構造の比率が1.29の熱潜在性重合開始剤を50wt%含むγ−ブチロラクトン溶液を調製した。
(2) 硬化試験
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、上記熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、76.8℃から発熱が開始され、115.5℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は438mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
比較例1
(1) TPB−DBU混合物の調製
TPB(1.63g)をトルエン(8.88g)とn−ヘキサン(76.31g)の混合溶液に溶解した。当該溶液を攪拌しながら、ジアザビシクロウンデセン(0.530g,DBU)を滴下すると白色固体が析出した。得られた固体を濾別し、n−ヘキサンで洗浄した。これを乾燥することにより、白色固体であるTPB−DBU混合物を0.61g得た。この混合物のTPB含有率は42.9%、TPBに対する窒素原子の比率は8.95であった。
(2) 硬化試験
上記TPB−DBU混合物1質量部をγ−ブチロラクトン1質量部に溶解した。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、当該混合物溶液1質量部(TPB−DBU混合物としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行ったが、発熱反応を示すピークは得られなかった。測定後においても、樹脂は硬化していなかった。
以上の結果を、表1にまとめる。なお、表1中、比較例1におけるTPBとアミン化合物との比率は、TPB1モルに対する窒素原子のモル数で表す。
上記結果のとおり、本発明に係るピペリジン構造を有さないDBUとTPBとの混合物では、加熱しても硬化は進行しなかった。
一方、本発明に係るピペリジン構造を有するアミン化合物とTPBとの混合物、即ち、本発明に係る熱潜在性重合開始剤を用いた場合、常温では硬化が進行しないのに対して、50℃以上という比較的低温で硬化が開始された。その上、総発熱量が400mJ/mg以上と、重合反応が十分に進行していることが分かった。このように、本発明に係る熱潜在性重合開始剤は、熱潜在性の重合触媒として極めて高い特性を有するものであることが実証された。
実施例8
(1) 本発明に係る熱潜在性重合開始剤の調製
TPB(0.1709g,0.334mmol)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンエステル(アデカ社製,アデカスタブLA57,化学構造を表2に示す,0.0671g,0.085mmol)およびγ−ブチロラクトン(0.2352g)を攪拌混合し、TPB含有率71.8%、TPBに対するピペリジン構造の比率が1.02の熱潜在性重合開始剤を50wt%含むγ−ブチロラクトン溶液を調製した。
(2) 硬化試験
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、上記熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、68.3℃から発熱が開始され、113.6℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は426mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
実施例9
脂肪族環状エポキシ樹脂(ダイセル社製,セロキサイド2021P)99部に、実施例8(1)の熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、69.2℃から発熱が開始され、123.1℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は565mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
実施例10
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)75部と、高分子水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8040)25部を予め混合しておいたエポキシ樹脂に、実施例8(1)の熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、75.2℃から発熱が開始され、120.6℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は356mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
実施例11
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)60部とオキセタン樹脂(東亞合成社製、アロンオキセタン OXT−221)40部に、実施例8(1)の熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、51.6℃から発熱が開始され、102.5℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は415mJ/mgであった。測定後、樹脂は完全に硬化していた。
比較例2
TPB(0.1714g,0.335mmol)、N−メチルイミダゾール(0.0282g,0.343mmol)およびγ−ブチロラクトン(0.2032g)を攪拌混合し、TPB含有率85.9%、TPBに対する窒素原子の比率が2.05の熱潜在性重合開始剤を50wt%含むγ−ブチロラクトン溶液を調製した。
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、上記熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。得られた溶液(10mg)について、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/minにて示差走査熱量測定を行った。その結果、67.2℃から発熱が開始され、87.9℃にて発熱ピークを迎えた。総発熱量は4.6mJ/mgであった。測定後、樹脂は硬化していなかった。
比較例3
TPB(0.1709g,0.334mmol)、N−メチルイミダゾール(0.0154g,0.188mmol)およびγ−ブチロラクトン(0.1898g)を攪拌混合し、TPB含有率91.7%、TPBに対する窒素原子の比率が1.12の熱潜在性重合開始剤を50wt%含むγ−ブチロラクトン溶液を調製した。
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製,YX−8000)99部に、上記熱潜在性重合開始剤溶液1質量部(TPB錯体としては0.5質量部)を混合した。この樹脂組成物は保存安定性が低く、しばらくすると室温下で硬化した。
以上の結果を表2にまとめる。
上記結果のとおり、本発明に係るピペリジン構造を有さないイミダゾール誘導体とTPBとの混合物では、混合物の量が少ない場合には常温でも効果が進行してしまい、また、量を増やしても硬化は十分に進行しなかった。
一方、本発明に係るピペリジン構造を有するアミン化合物とTPBとの混合物、即ち、本発明に係る熱潜在性重合開始剤を用いた場合、常温では硬化が進行しないのに対して、50℃以上という比較的低温で硬化が開始された。その上、総発熱量が400mJ/mg以上と、重合反応が十分に進行していることが分かった。このように、本発明に係る熱潜在性重合開始剤は、熱潜在性の重合触媒として極めて高い特性を有するものであることが実証された。

Claims (8)

  1. 下記式で表されるピペリジン構造を有するアミン化合物、およびトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランからなり、
    上記トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランに対する上記アミン化合物中の上記ピペリジン構造のモル比が0.9以上、5以下であることを特徴とする熱潜在性重合開始剤。
    [式中、R1は、水素原子またはC1-6アルキル基を示し、R2〜R5は、C1-6アルキル基を示す]
  2. 上記アミン化合物が下記式で表されるピペリジン構造を有する請求項1に記載の熱潜在性重合開始剤。
    [式中、R1〜R5は上記と同義を示し;Xは、−O−基、−(C=O)−基、−NR7−基(R7は水素原子またはC1-6アルキル基を示す)、−O(C=O)−基、−(C=O)O−基、−NH(C=O)−基または−(C=O)NH−基を示す]
  3. 上記アミン化合物が、下記式(Ia)で表されるものである請求項1に記載の熱潜在性重合開始剤。
    [式中、
    1〜R5は上記と同義を示し;
    XとZは、独立に−O−基、−(C=O)−基、−NR7−基(R7は水素原子またはC1-6アルキル基を示す)、−O(C=O)−基、−(C=O)O−基、−NH(C=O)−基または−(C=O)NH−基を示し;
    Yは置換基を有していてもよいC1-20アルキレン基を示し;
    6は、水素原子、C1-6アルキル基または上記ピペリジン構造を示し;
    1-20アルキレン基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、C3-10シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基および置換基を有していてもよいC6-14アリール基からなる群より選択される1以上を示し;
    6-14アリール基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基およびC1-6アルコキシ基からなる群より選択される1以上を示す]
  4. 上記アミン化合物が、下記式(Ib)で表されるものである請求項1に記載の熱潜在性重合開始剤。
    [式中、R7〜R10のうち少なくとも1は上記ピペリジン構造を示し、残りはC1-20アルキル基を示す]
  5. 上記アミン化合物がポリマーである請求項1に記載の熱潜在性重合開始剤。
  6. 上記アミン化合物が、下記式(Ic)で表されるものである請求項1に記載の熱潜在性重合開始剤。
    [式中、R1〜R5は上記と同義を示す]
  7. 重合体を製造するための方法であって、
    請求項1〜の何れかに記載の熱潜在性重合開始剤と、エポキシモノマー、カチオン重合性モノマー、並びにエポキシモノマーおよび/またはカチオン重合性モノマーのオリゴマーを一種または二種以上とを混合する工程;および
    上記混合物を50℃以上に加熱する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  8. 請求項1〜の何れかに記載の熱潜在性重合開始剤と、エポキシモノマー、カチオン重合性モノマー、並びにエポキシモノマーおよび/またはカチオン重合性モノマーのオリゴマーを一種または二種以上とを含むことを特徴とする硬化性組成物。
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