JP7194632B2 - 硬化性組成物およびその硬化物 - Google Patents
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Description
[1]式(1):
R1~R4、R7~R12、およびR15~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択され、
R5、R6、R13、およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択され、または、R5若しくはR6およびR13若しくはR14の1つが、-CH2-で表される架橋構造を形成してもよく、
nは、0か1の整数である。]
で表されるエポキシ化合物、並びにルイス酸およびルイス塩基を含有するカチオン重合開始剤を含んでなる、硬化性組成物。
[2]前記ルイス酸がホウ素を含む化合物である、[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記ルイス酸が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、[1]または[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記ルイス塩基がアミン化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5]前記ルイス塩基が、ピペリジン構造を有するアミン化合物である、[1]~[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6]前記カチオン重合開始剤が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとピペリジン構造を有するアミン化合物との錯体である、[1]~[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7]前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物からなる群より選択される1種または2種以上をさらに含む、[1]~[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[8]前記式(1)で表されるエポキシ化合物の含有量が、10~99質量%である、[1]~[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9]前記カチオン重合開始剤が、熱カチオン重合開始剤である、[1]~[8]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[10]前記熱カチオン重合開始剤の含有量が、前記硬化性組成物が、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物のいずれも含まない場合は、前記硬化性組成物に含まれる前記式(1)で表されるエポキシ化合物の100質量部に対し、0.1~15質量部であり、前記硬化性組成物が、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物からなる群より選択される1種または2種以上を含む場合は、前記硬化性組成物に含まれる前記式(1)で表されるエポキシ化合物、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物の総量100質量部に対して、0.1~15質量部である、[9]に記載の硬化性組成物。
[11]前記カチオン重合開始剤が、光カチオン重合開始剤である、[1]~[8]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[12]前記光カチオン重合開始剤の含有量が、前記硬化性組成物が、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物のいずれも含まない場合は、前記硬化性組成物に含まれる前記式(1)で表されるエポキシ化合物の100質量部に対して、0.1~20質量部であり、前記硬化性組成物が、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物からなる群より選択される1種または2種以上を含む場合は、前記硬化性組成物に含まれる前記式(1)で表されるエポキシ化合物、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物の総量100質量部に対して、0.1~20質量部である、[11]に記載の硬化性組成物。
[13]前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物が、グリシジルエーテル型エポキシド、グリシジルエステル型エポキシド、および脂環式エポキシドからなる群から選択される1種または2種以上のエポキシ化合物である、[7]~[12]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[14][1]~[13]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させる工程を含む、硬化物の製造方法。
[15][1]~[13]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物。
本明細書において、配合を示す「部」、「%」等は特に断らない限り質量基準である。 本明細書において、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量で定義される。ここで、m種(mは2以上の整数である)のエポキシ化合物からなる混合物の場合、その混合物のエポキシ当量は、
本発明の硬化性組成物は、下記式(1):
R1~R4、R7~R12、およびR15~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択され、
R5、R6、R13、およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択され、または、R5若しくはR6およびR13若しくはR14の1つが、-CH2-で表される架橋構造を形成してもよく、
nは、0か1の整数である。]
で表されるエポキシ化合物、並びにルイス酸およびルイス塩基を含有するカチオン重合開始剤を含んでなることを特徴とする。式(1)で表されるエポキシ化合物並びにルイス酸およびルイス塩基を含有するカチオン重合開始剤を硬化性組成物に含有させることにより、耐熱性および低アウトガス性に優れた硬化物を製造することができる。
で表される化合物である。
で表される化合物である。
R1~R4、R7~R12、およびR15~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択され、
R5、R6、R13、およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択され、または、R5若しくはR6およびR13若しくはR14の1つが、-CH2-で表される架橋構造を形成してもよく、
nは、0か1の整数である。]
で表されるオレフィン化合物と、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸等の過酸とを反応させることにより、合成することができる。また、国際公開第2014年175129号および、国際公開第2017年164238号に記載された方法によっても合成することができる。
本発明の硬化性組成物に含まれるカチオン重合開始剤は、ルイス酸とルイス塩基を含有するものである。かかるルイス酸とルイス塩基は塩または錯体を形成しているものであってもよい。式(1)で表されるエポキシ化合物と、ルイス酸およびルイス塩基を含有するカチオン重合開始剤とを組み合わせることにより、耐熱性および低アウトガス性に優れた硬化物を製造することができる。
前記ルイス酸としては電子対を受容する性質を有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、ホウ素、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズ、ガリウム、インジウム、タリウム、スカンジウム、イッテルビウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、銅等の原子を含む化合物が挙げられる。なかでも入手性の観点からホウ素、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズを含む化合物が好ましく、ホウ素を含む化合物であることがより好ましい。
Rは、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭化水素基を表し、
hは、1~5の整数であり、それぞれ独立して、芳香環に結合しているフッ素原子の数を表し、
kは、1~3の整数である。]
で表される化合物等が挙げられる。なかでも、式(4)で表される化合物が好ましい。
上記ルイス塩基は、上記ルイス酸に配位することができるもの、例えば、上記ルイス酸が有するホウ素原子等と配位結合を形成できるものであれば限定されず、ルイス塩基として通常用いられるものを用いることができるが、非共有電子対を有する原子を有する化合物が好適である。具体的には、窒素原子、リン原子又は硫黄原子を有する化合物であることが好適である。この場合、ルイス塩基は、窒素原子、リン原子、硫黄原子が有する非共有電子対を上記ルイス酸のホウ素原子等に供与することにより、配位結合を形成することとなる。また、窒素原子又はリン原子を有する化合物がより好ましい。
R1N~R5Nは上記式(5)と同義を示し;
XNは、-O-基、-(C=O)-基、-NR7N-基(R7Nは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示す)、-O(C=O)-基、-(C=O)O-基、-NH(C=O)-基、または-(C=O)NH-基を示す。]
R1N~R5Nは、上記式(5)と同義を示し;
XNとZNは、それぞれ独立して、-O-基、-(C=O)-基、-NR7N-基(R7Nは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示す)、-O(C=O)-基、-(C=O)O-基、-NH(C=O)-基または-(C=O)NH-基を示し;
YNは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキレン基を示し;
R6Nは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基または上記ピペリジン構造を示し;
炭素数1~20のアルキレン基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基および置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基からなる群より選択される1以上を示し;
炭素数6~14のアリール基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基および炭素数1~6のアルコキシ基からなる群より選択される1以上を示す。]
なお、本発明においてポリマーであるアミン化合物とは、2以上の繰り返し単位を有し、上記ピペリジン構造を3以上有する化合物をいうものとする。また、ポリマーであるアミン化合物においては、上記ピペリジン構造の>N-H基の水素原子がピペリジン構造同士の架橋基に置換されていてもよいものとする。
本発明の硬化性組成物に含まれるカチオン重合開始剤の好ましい実施態様としては、ルイス酸とルイス塩基の錯体が挙げられる。当該錯体としては例えば、3フッ化ホウ素とピペリジン等のアミン化合物との錯体及びトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとピペリジン等のアミン化合物との錯体が好ましい。また、国際公開2012年036164号に記載のホウ素を含む化合物とアミン化合物の錯体を好ましく用いることができる。国際公開2012年036164号の明細書および/または図面に記載される内容は参照により本明細書に組み込まれる。
上記カチオン重合開始剤を熱カチオン重合開始剤として使用する場合において、本発明の硬化性組成物における熱カチオン重合開始剤の含有量は、硬化性組成物が、後述する上記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、後述するオキセタン化合物および後述するビニルエーテル化合物のいずれも含まない場合は、硬化性組成物に含まれる上記式(1)で表されるジエポキシ化合物の100質量部に対し、0.1~15質量部であることが好ましく、0.3~7質量部であることがより好ましい。また、硬化性組成物が、上記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物からなる群より選択される1種または2種以上を含む場合は、本発明の硬化性組成物における熱カチオン重合開始剤の含有量は、硬化性組成物に含まれる上記式(1)で表されるジエポキシ化合物、上記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物の総量100質量部に対して、0.1~15質量部であることが好ましく、0.3~7質量部であることがより好ましい。熱カチオン重合開始剤の含有量を上記数値範囲とすることにより、耐熱性および低アウトガス性に優れた硬化物を製造できる。
上記カチオン重合開始剤を光カチオン重合開始剤として使用する場合において、本発明の硬化性組成物における光カチオン重合開始剤の含有量は、硬化性組成物が、後述する上記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、後述するオキセタン化合物、および後述するビニルエーテル化合物のいずれも含まない場合は、硬化性組成物に含まれる上記式(1)で表されるジエポキシ化合物の100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましく、0.3~15質量部であることがより好ましい。また、硬化性組成物が、上記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物からなる群より選択される1種または2種以上を含む場合は、本発明の硬化性組成物における光カチオン重合開始剤の含有量は、硬化性組成物に含まれる上記式(1)で表されるジエポキシ化合物、上記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物の総量100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましく、0.3~15質量部であることがより好ましい。光カチオン重合開始剤の含有量を上記数値範囲とすることにより、耐熱性および低アウトガスに優れた硬化物を製造できる。
本発明の硬化性組成物は、用途に応じて上記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物(本明細書において、「その他のエポキシ化合物」と呼称することがある)を含んでいてもよい。例えば、グリシジルエーテル型エポキシド、グリシジルエステル型エポキシド、グリシジルアミン型エポキシドおよび脂環式エポキシド等、並びにそれらのオリゴマーおよびポリマーが挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、低粘度化のために、反応性希釈剤をさらに含んでいてもよい。反応性希釈剤としては、例えば、国際公開第2017年159637号に記載された方法により製造されたモノエポキシ化合物、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12-13混合アルコールのグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。硬化性組成物は、上記したような反応性希釈剤を1種または2種以上含んでいてもよい。反応性希釈剤の混合比率は、反応性希釈剤を含む硬化性組成物が所望の粘度となるように、適宜調整すればよい。
本発明の硬化性組成物は、オキセタン化合物を含んでいてもよい。オキセタン化合物としては、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]エーテル、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタン-3-イル)]メトキシベンゼン、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4’-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコール(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパンプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、フェノールノボラック型オキセタン等が挙げられる。本発明の硬化性組成物は、上記したようなオキセタン化合物を1種または2種以上含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は、ビニルエーテル化合物を含んでいてもよい。ビニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどの単官能ビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、9-ヒドロキシノニルビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールモノビニルエーテル、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリシクロデカンジオールモノビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールモノビニルエーテル等の水酸基を有するビニルエーテル化合物およびアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル等の異種の官能基を有するビニルエーテル等が挙げられる。本発明の硬化性組成物は、上記したようなビニルエーテル化合物を1種または2種以上含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は、水酸基を有する化合物をさらに含んでいてもよい。硬化性組成物が、水酸基を有する化合物を含むことにより、硬化反応を緩やかに進行させることができる。水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。本発明の硬化性組成物は、上記したような水酸基を有する化合物を1種または2種以上含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は、溶剤をさらに含んでいてもよい。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、メタノールおよびエタノール等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物の製造においては、当業者に広く知られた技術常識に従い、硬化性組成物にさらに含有させる成分、および硬化性組成物の調製方法を適宜選択することができる。
(1)硬化の条件
本発明の硬化物は、上述した本発明の硬化性組成物を硬化させることにより得られる。硬化性組成物の硬化方法は特に限定されるものではないが、加熱または光照射により適宜行うことができる。
本発明の硬化性組成物および硬化物の用途としては、具体的には、金属、樹脂フィルム、ガラス、紙、木材等の基材上に塗布する塗料、半導体素子や有機薄膜素子(例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子や有機薄膜太陽電池素子)の表面保護膜、ハードコート剤、防汚膜および反射防止膜等のコーティング剤、接着剤、粘着剤、レンズ、プリズム、フィルター、画像表示材料、レンズアレイ、光半導体素子の封止材やリフレクター材料、半導体素子の封止材、光導波路、導光板、光拡散板、回折素子および光学用接着剤等の各種光学部材、注型材料、層間絶縁体、プリント配線基板用保護絶縁膜および繊維強化複合材料等の材料等が挙げられる。
温度計、攪拌機、還流管、滴下装置を備えた反応容器に、クロロホルム23.5kg、上記式(3)を満たす、下記式(10)で表される化合物1.6kgを投入し、0℃で攪拌しながらメタクロロ過安息香酸4.5kgを滴下した。室温まで昇温し、12時間反応を行った。次いで、ろ過により副生したメタクロロ安息香酸を除去した後、ろ液を1N水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過により硫酸マグネシウムを除去してろ液を濃縮し、粗体を得た。粗体にトルエン2kgを加え、室温で溶解した。これにヘプタン6kgを滴下し、晶析した。5℃で1時間熟成した。晶析物をろ取し、ヘキサンにより洗浄した。24時間減圧乾燥し、1.4kgの白色固体として、下記式(11)で表され、上記式(1)を満たすエポキシ化合物(A-2)を得た。このようにして得られたエポキシ化合物(A-2)のエポキシ当量をJIS K7236に準じて測定したところ、122g/eqであった。得られたエポキシ化合物(A-2)の構造を13C-NMR測定し、目的とするエポキシ化合物(A-2)が得られていることを確認した。
(1)実施例1-1
硬化性組成物の製造
市販のエポキシ化合物(A-1)およびルイス酸およびルイス塩基を含有するカチオン重合開始剤(B-1)を下記の組成となるように混合し、硬化性組成物を得た。
<硬化性組成物の組成>
・エポキシ化合物(A-1) 100質量部
・カチオン重合開始剤(B-1) 1質量部
ここで、上記組成の各成分は、以下の通りである。
・エポキシ化合物(A-1):テトラヒドロインデンジエポキシド、JXTGエネルギー製、商品名:THI-DE
・カチオン重合開始剤(B-1):日本触媒製、商品名:FX-TP-BC-PC-AD-57130
なお、カチオン重合開始剤(B-1)は、ルイス酸およびルイス塩基を含有するカチオン重合開始剤である。
硬化性組成物の組成を、以下の成分を用いて表2に示されるように変更した以外は、実施例1-1と同様にして、硬化性組成物を得た。
ここで、比較例1-1の組成の各成分は、以下の通りである。
・エポキシ化合物(A-1):テトラヒドロインデンジエポキシド、JXTGエネルギー製、商品名:THI-DE
・エポキシ化合物(A-2):調製例1に記載された方法により得られた
・その他のエポキシ化合物:3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ダイセル社製、商品名:セロキサイド2021P
・カチオン重合開始剤(B-1):日本触媒製、商品名:FX-TP-BC-PC-AD-57130
・カチオン重合開始剤(B-2):日本触媒製、商品名:FX-TP-BC-PC-AD-57110
・カチオン重合開始剤(B-3):日本触媒製、商品名:FX-TP-BC-PC-AD-57103
・カチオン重合開始剤(C-1):4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、三新化学工業製、商品名:SI-150L
・カチオン重合開始剤(C-2):4-ヒドロキシフェニル(α-ナフチルメチル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート 1-ナフチルメチルメチルp-ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート、三新化学工業製、商品名:SI-360
・カチオン重合開始剤(C-3):4-ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、三新化学工業製、商品名:SI-B3
なお、カチオン重合開始剤(B-1)~(B-3)は、ルイス酸およびルイス塩基を含有するカチオン重合開始剤である。また、カチオン重合開始剤(C-1)~(C-3)は、オニウム塩型のカチオン重合開始剤である。
実施例1-1~1-6および比較例1-1~1-4で得られた硬化性組成物を、以下の硬化条件で加熱し、硬化物を得た。
(a)実施例1-1
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、40℃にて2時間、50℃にて1時間、60℃にて1時間、180℃にて2時間加熱し、硬化物を得た。
(b)実施例1-2
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、25℃にて1時間、30℃にて1時間、35℃にて1時間、50℃にて1時間、180℃にて2時間加熱し、硬化物を得た。
(c)実施例1-3
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、25℃にて2時間、30℃にて1時間、35℃にて1時間、50℃にて1時間、180℃にて2時間加熱し、硬化物を得た。
(d)実施例1-4
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、100℃にて1時間、180℃にて2時間加熱し、硬化物を得た。
(e)実施例1-5
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、80℃にて1時間、180℃にて2時間加熱し、硬化物を得た。
(f)実施例1-6
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、80℃にて1時間、180℃にて2時間加熱し、硬化物を得た。
(a')比較例1-1
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、85℃にて3時間、90℃にて1時間、120℃にて1時間、150℃にて1時間、210℃にて2時間加熱し、硬化物を得た。
(b')比較例1-2
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、35℃にて2時間、40℃にて2時間、45℃にて1時間、80℃にて1時間、180℃にて6時間加熱し、硬化物を得た。
(c')比較例1-3
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、60℃にて2時間、70℃にて1時間、90℃にて1時間、160℃にて2時間加熱し、硬化物を得た。
(d')比較例1-4
上記のようにして得られた硬化性組成物を、熱風循環オーブンにより、100℃にて1時間、110℃にて1時間、120℃にて1時間、140℃にて1時間、220℃にて2時間加熱し、硬化物を得た。
エチルベンゼン換算によるアウトガス発生量の計算式
アウトガス発生量(ppm)=アウトガスに由来するピーク面積×エチルベンゼンの量(μg)/(エチルベンゼンのピーク面積×硬化物の重量(g))
Claims (13)
- 前記ルイス塩基がアミン化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記ルイス塩基が、ピペリジン構造を有するアミン化合物である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- 前記カチオン重合開始剤が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとピペリジン構造を有するアミン化合物との錯体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物からなる群より選択される1種または2種以上をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記式(1)で表されるエポキシ化合物の含有量が、10~99質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記カチオン重合開始剤が、熱カチオン重合開始剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記熱カチオン重合開始剤の含有量が、前記硬化性組成物が、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物のいずれも含まない場合は、前記硬化性組成物に含まれる前記式(1)で表されるエポキシ化合物の100質量部に対し、0.1~15質量部であり、前記硬化性組成物が、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物からなる群より選択される1種または2種以上を含む場合は、前記硬化性組成物に含まれる前記式(1)で表されるエポキシ化合物、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物の総量100質量部に対して、0.1~15質量部である、請求項7に記載の硬化性組成物。
- 前記カチオン重合開始剤が、光カチオン重合開始剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 前記光カチオン重合開始剤の含有量が、前記硬化性組成物が、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物のいずれも含まない場合は、前記硬化性組成物に含まれる前記式(1)で表されるエポキシ化合物の100質量部に対して、0.1~20質量部であり、前記硬化性組成物が、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物からなる群より選択される1種または2種以上を含む場合は、前記硬化性組成物に含まれる前記式(1)で表されるエポキシ化合物、前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物の総量100質量部に対して、0.1~20質量部である、請求項9に記載の硬化性組成物。
- 前記式(1)で表される化合物以外のエポキシ化合物が、グリシジルエーテル型エポキシド、グリシジルエステル型エポキシド、および脂環式エポキシドからなる群から選択される1種または2種以上のエポキシ化合物である、請求項5~10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1~11のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させる工程を含む、硬化物の製造方法。
- 請求項1~11のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
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