JP5527600B2 - エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた電子部品装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた電子部品装置 Download PDF

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Description

本発明は成型材料、積層板又は接着剤の材料として好適なエポキシ樹脂組成物及びその組成物によって接着、成型又は封止して得られる電子部品装置に関する。
エポキシ樹脂は耐熱性、耐湿性、電気特性及び接着性などに優れており、電気絶縁材料、塗料、接着剤など幅広い分野で使用されている。これらエポキシ樹脂製品の多くは製造工程時において、混練、乾燥などの加熱工程での安定性及び放置安定性が必要とされている。一方で、生産性の向上のため硬化時間の短縮が求められており、製造工程や保存時の潜在性と速硬化性の両立が必要とされている。
潜在性と速硬化性の両立という問題を解決するために潜在性硬化促進剤の使用が提案されている。潜在性硬化促進剤の多くは相溶性の無い硬化促進剤をエポキシ樹脂中に分散させ、加熱によってエポキシ樹脂中に溶解することで硬化反応を開始させる方法が一般的である。一例として、マイクロカプセル型、テトラ置換ボレート塩、エポキシ−アミンアダクトなどが挙げられる。
マイクロカプセルや、エポキシ−アミンアダクト等はエポキシ樹脂中に分散状態で使用するため、耐溶剤性や未硬化状態の透明性の低下といった課題がある。また、テトラ置換ボレート塩は均一状態でも使用できるが速硬化性が低く、潜在性と速硬化性が両立できる均一系の硬化促進剤が求められている。
一方で、近年計算化学及びコンピューターの性能向上によって分子の構造や性質が理論計算によってある程度予測できるようになり、計算化学の専門家以外でも簡便に用いることができるようになり、分子設計に活用されるようになった。
特許第1699430号公報 特許第1981639号公報 特開昭62−245925号公報 特開平7−10893号公報 特開平3−139517号公報 特開平3−296525号公報 特開平8−311023号公報
J.Am.Chem.Soc.,Vol.107,3902(1985)
本発明は従来の潜在性と速硬化性の両立という問題点を解決するため種々の検討の結果なされたもので、従来の硬化促進剤と同等の速硬化性を保持しながら潜在性が高い均一系で用いることができる一液型のエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
本発明は以下の通りである。
(1) (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基または酸無水物を有する硬化剤、(C)MOPAC Ver1.01AM1法によって求めたホウ素−窒素結合エネルギーが−35以下かつ−70kJ/mol以上であるトリアリールボラン−アミン錯体、を含有するエポキシ樹脂組成物。
(2) (C)トリアリールボラン−アミン錯体が下記一般式(I)または(II)で表されることを特徴とする(1)記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 0005527600
(式中のR〜Rは同一でも異なっていても良く、水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。Xは水素、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基を示す。)
(3) (C)トリアリールボラン−アミン錯体が総エポキシ樹脂量に対して0.1〜20質量%含まれることを特徴とする(1)または(2)記載のエポキシ樹脂組成物。
(4) (1)〜(3)いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物によって封止または成型または接続された部材を備える電子部品装置。
本発明によればエポキシ−フェノール硬化系においてイミダゾール系硬化促進剤と同等の速硬化性を保持しながら均一系で使用できる潜在性の高いエポキシ樹脂組成物を提供することが出来る。
本発明のエポキシ樹脂組成物における(A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては特に制限無く公知のものを使用することができる。このようなエポキシ樹脂としてはビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、レゾルシノールノボラック等のフェノール類のグリシジルエーテル、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸類のグリシジルエステル、アニリン、イソシアヌール酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したもの等のグリシジル型(メチルグリシジル型も含む)エポキシ樹脂、分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂、ビス(4−ヒドロキシ)チオエーテルのエポキシ化物、パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独であるいは2種類以上混合して用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物における(B)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂は、特に制限無く公知のフェノール樹脂を用いることができる。例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合あるいは共縮合させて得られる樹脂、ビフェニル骨格型フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、キシリレン変性ナフトール樹脂等が挙げられ、単独であるいは2種類以上混合して用いることができる。
本発明において(A)のエポキシ樹脂と(B)のフェノール樹脂との配合比率はエポキシ樹脂のエポキシ当量に対するフェノール樹脂の水酸基当量の比率が0.5〜2.0の範囲に設定されていることが好ましく、より好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.3である。0.5未満ではエポキシ樹脂の硬化が不十分となり硬化物の耐熱性、強度等が劣りやすい。又2.0を超えるとフェノール樹脂成分が残るため同じく硬化物の耐熱性、強度等が劣りやすい。
本発明のエポキシ樹脂組成物における(C)トリアリールボラン−アミン錯体は、エポキシ樹脂(A)とフェノール樹脂(B)の硬化促進剤として働くものであり、一般的に、ナトリウムテトラフェニルボレート塩と各種アミン化合物を原料に製造される。このような化合物はホウ素−窒素結合が、加熱によって切断されると考えられる。そのため低温では硬化促進作用が低いが、加熱時にはホウ素−窒素結合の切断によってアミンが生成するため速硬化性が発現し、低温時の潜在性と加熱時の速硬化性の両立が可能であると考えられる。
本発明に用いられる(C)トリアリールボラン−アミン錯体のアミン化合物はルイス塩基性を有する化合物であれば特に制限無く公知ものを用いることができる。例えば脂肪族又は芳香族の一級、二級、及び三級アミン、ピリジン、イミダゾール、ピラゾールなどの含窒素複素環化合物等が挙げられる。具体的には、メチルアミン、メチルアミン、エーテルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、カテコールアミン、フェネチルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)、アミノ酸、アマンタジン、スペルミジン、スペルミン等が挙げられる。
特にボラン錯体の熱分解温度及び生成するアミン化合物の硬化促進作用の観点から一般式(I)、(II)に示すイミダゾール化合物が好適に用いることができる。
Figure 0005527600
(式中のR〜Rは同一でも異なっていても良く、水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。Xは水素、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基を示す。)
さらに、一般式(I)、(II)のRが水素原子、メチル基、エチル基といった、立体障害の小さな置換基がより好適に用いることができる。これは一般式(I)、(II)のR〜Rに、フェニル基等のかさ高い置換基が存在するとトリアリールボランとの立体反発によってホウ素−窒素結合が開裂しやすくなることで潜在性が低下するためである。また、一般式(I)のXに塩素原子やフッ素原子のような電子吸引性置換基がより好適に用いることができる。これはホウ素原子のルイス酸性が増加してホウ素−窒素結合が開裂しにくくなることで潜在性がさらに向上するためである。具体的には下記一般式に示す化合物(1)、(2)、(3)が挙げられる。
Figure 0005527600
(式(1)中のRは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、シアノエチル基、Rは水素原子、メチル基またはエチル基、Rは水素原子、メチル基またはエチル基を示す。)
Figure 0005527600
(式(3)中のRは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、シアノエチル基、Rは水素原子、メチル基またはエチル基、Rは水素原子、メチル基またはエチル基を示す。Xは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、塩素原子、フッ素原子を示す。)
さらに、ホウ素−窒素結合の強さは理論計算によって予測することができる。ボラン錯体形成前後の生成熱(Heat of Formation)の差を計算することで、ホウ素−窒素結合エネルギーとすることができる。具体的には下記式(1)によって算出できる。
ホウ素−窒素結合エネルギー=(ボラン錯体生成熱)−((トリアリールボラン生成熱)+アミン化合物生成熱)) ・・・ (1)
本発明における半経験的分子軌道計算によって求めたホウ素−窒素結合エネルギーの値は、−35〜−70kJ/molであり、好ましくは−40〜−65kJ/molであり、より好ましくは−45〜55kJ/molである。ホウ素−窒素結合エネルギーの値が−35kJ/molより大きいと結合が弱いため溶液中や長期保管中に一部分解し、−70kJ/mol未満では結合が強すぎて触媒活性が得られない。また−40kJ/molより大きいと十分な潜在性を得ることができず、−65kJ/mol未満では十分な速硬化性を得ることができない。さらに−40〜−65kJ/molの範囲内では潜在性と速硬化性のバランスが良く、より好ましい。
計算方法は非経験的分子軌道法(ab initio分子軌道法)が計算精度は高いが計算時間が長く、ソフトウエアが高価であるなど使いこなしの上で不便な点が多い。一方、半経験的分子軌道法は計算精度が落ちるものの簡便に使うことができる。検討の結果、本発明においては、半経験的分子軌道法程度の精度でも十分に、ホウ素−窒素結合の強さの指標をすることができる。本発明ではMOPACのAM1計算法で計算を行った。
より計算精度を上げるため、ab initio分子軌道法や、より精度の高い他の半経験的分子軌道法を適用することができる。そのとき結合エネルギーの絶対値は計算方法によって変わるため、最適なホウ素−窒素結合エネルギーのしきい値は計算方法によって設定しなおす必要がある。
構造最適化計算後の分子構造及びエネルギーは最適化計算前の初期構造によって変わることがある。そのため複数の初期構造から最適化計算を行い最も安定な構造を最安定構造とすることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物における(C)トリアリールボラン−アミン錯体の添加量は、総エポキシ樹脂量に対して通常0.1〜20質量%であり、好ましくは1〜15質量%であり、さらに好ましくは2〜8質量%である。添加量が0.1質量%未満では硬化促進剤としての作用が得ることができず、20質量%を超えるとエポキシ樹脂と相分離を引き起こすおそれがある。また、添加量が1質量%未満では十分な速硬化性を得ることができない可能性があり、15質量%を超えると十分な潜在性を得ることができない可能性がある。さらに添加量が2〜8質量%の範囲内であると特に潜在性と速硬化性の両立が容易である。
これらのトリアリールボラン−アミン錯体は単独で用いる他に、2種以上の化合物を混合して用いても良い。その際、その他公知の硬化促進剤と混合して用いても良い。
トリアリールボラン−アミン錯体の合成(製造)の際に用いる有機溶媒は、原料もしくは反応生成物を溶解することが望ましいが、分散状態でも構わない。また、使用する有機溶媒はトリアリールボラン−アミン錯体、及び生成物であるトリアリールボランやアミンと反応性を持たないものが好ましい。具体的には、トルエン、キシレン及びメシチレン等の芳香族炭化水素化合物、N、N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノンなどのアミド系化合物、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のポリエーテル系化合物が好ましいが、これに限定されるものではない。また沸点及び溶解性を調節する目的で複数の有機溶媒を混合しても良い。
また、生成するトリアリールボランは酸素に不安定であるため、窒素またはアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物にフィルム形成性及び架橋密度調整を目的に熱可塑性樹脂を併用しても良い。具体的には、ポリイミド、ポリアミド、フェノキシ樹脂類、ポリ(メタ)アクリレート類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリエステルウレタン類、ポリビニルブチラール類など特に制限無く公知のものを使用することができる。これらは単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、応力緩和及び接着性向上を目的に、ゴム成分を併用しても良い。具体的には、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、カルボキシル基末端1,2−ポリブタジエン、水酸基末端1,2−ポリブタジエン、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水酸基末端スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基またはモルホリン基をポリマ末端に含有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトンが挙げられる。これらの化合物は単独で用いる他に、2種以上の化合物を混合して用いても良い。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、粘度調整、線膨張率の低減、熱伝導性の向上を目的に無機充填材を併用しても良い。具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化ホウ素、黒鉛等特に制限無く公知のものを用いることができる。これらの化合物は単独で用いる他に、2種以上の化合物を混合して用いても良い。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、一般的な電子部品装置に好適に使用される。例えば、電気絶縁材料、塗料、成型材料、積層板、接着剤等の分野で使用され、前記電子部品装置は、本発明のエポキシ樹脂組成物によって封止または成型または接続された部材を備えていればよい。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、トリアリールボラン−アミン錯体は、ボラン錯体と略す。
(合成法)
(ボラン錯体1の合成)
三口フラスコにテトラフェニルホウ酸ナトリウム塩(製品名:ホクボロンNa、北興化学工業株式会社製)3.4g(10mmol)にテトラヒドロフラン10g(和光純薬工業株式会社、特級試薬)とトルエン5g(和光純薬工業株式会社、特級試薬)を加えて溶解した。3方コックと滴下ロートを取り付け、ダイヤフラムポンプ(株式会社アルバック、DTU−20)を用い減圧(到達圧力200Pa)と窒素置換を4回繰り返すことで溶存酸素の脱気と窒素置換を行った。滴下ロートに10%塩酸水溶液3.7g(10mmol)を加えて25℃で1時間かけて滴下し、さらに25℃で2時間撹拌した。イミダゾール化合物(製品名:2PZ(2−フェニルイミダゾール)、四国化成工業株式会社)1.1g(10mmol)をトルエン10gで希釈した溶液を30分間かけて25℃で滴下した。滴下後さらに25℃で2時間撹拌した後、反応溶液をトルエンで抽出し、4回水洗いを行った。トルエン相を回収し、ロータリーエバポレータで濃縮乾燥したのち、得られた白色固体を少量のトルエンで洗浄することでボラン錯体1を収率58%で得た。
合成したボラン錯体1は、前記一般式(I)で示される構造であって、Xは水素原子であり、Rは水素原子であり、Rはフェニル基であり、Rは水素原子であり、Rは水素原子である。
(ボラン錯体2の合成)
イミダゾール化合物として2PZに代えて、2PZ−CN(四国化成工業株式会社)1.2g(10mmol)を用いた以外は、ボラン錯体1の合成法に従い合成した。ボラン錯体2の収率は75%であった。
合成したボラン錯体2は、前記一般式(I)で示される構造であって、Xは水素原子であり、Rは2−シアノエチル基であり、Rはフェニル基であり、Rは水素原子であり、Rは水素原子である。
(ボラン錯体3の合成)
イミダゾール化合物として2PZに代えて、2E4MZ(四国化成工業株式会社)1.2g(10mmol)を用い、ボレートとしてテトラキス(4−メトキシフェニル)ボレートナトリウム塩(和光純薬工業株式会社)を用いた以外は、ボラン錯体1の合成法に従い合成した。ボラン錯体3の収率は45%であった。
(ボラン錯体4の合成)
イミダゾール化合物として2PZに代えて、ベンジルアミン(和光純薬工業株式会社)1.2g(10mmol)を用い、ボレートとしてテトラキス(4−フルオロフェニル)ボレートナトリウム塩(和光純薬工業株式会社)を用いた以外は、ボラン錯体1の合成法に従い合成した。ボラン錯体4の収率は94%であった。
(ボラン錯体5の合成)
イミダゾール化合物として2PZに代えて、2E4MZ(四国化成工業株式会社)1.2g(10mmol)を用いた以外は、ボラン錯体1の合成法に従い合成した。ボラン錯体2の収率は81%であった。
合成したボラン錯体5は、前記一般式(I)で示される構造であって、Xは水素原子であり、Rは水素原子であり、Rはエチル基であり、Rは水素原子であり、Rはメチル基である。
(ボラン錯体6の合成)
イミダゾール化合物として2PZに代えて、1−ブチルイミダゾール(東京化成工業株式会社)1.2g(10mmol)を用いた以外は、ボラン錯体1の合成法に従い合成した。ボラン錯体2の収率は84%であった。
合成したボラン錯体6は、前記一般式(I)で示される構造であって、Xは水素原子であり、Rはn−ブチル基であり、Rは水素原子であり、Rは水素原子であり、Rは水素原子である。
(ボラン錯体7の合成)
イミダゾール化合物として2PZに代えて、2E4MZ(四国化成工業株式会社)1.2g(10mmol)を用い、ボレートとしてテトラキス(4−フルオロフェニル)ボレートナトリウム塩(和光純薬工業株式会社)を用いた以外は、ボラン錯体1の合成法に従い合成した。ボラン錯体7の収率は64%であった。
合成したボラン錯体7は、前記一般式(I)で示される構造であって、Xはフッ素原子であり、Rは水素原子であり、Rはエチル基であり、Rは水素原子であり、Rはメチル基である。
(エポキシ樹脂組成物の作製)
エポキシ樹脂として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(製品名;YDF−8170C、東都化成株式会社製)を用いた。フェノール樹脂はビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂(製品名;LF4871C、DIC株式会社製、固形分60質量%MEK溶液)を用いた。アクリルゴムはブチルアクリレート、エチルアクリレート及びアクリロニトリルの共重合体(製品名;WS−023、ナガセケムテックス株式会社製、固形分23質量%トルエン/酢酸エチル溶液)を用いた。硬化促進剤は上記合成法によって合成したボラン錯体1〜7、イミダゾール化合物(製品名:2E4MZ、四国化成工業株式会社製)を用いた。
固形質量比で表1、表2に示すように配合し、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置(装置名:SNC−S3.0、康井精機株式会社製)を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥によって接着剤層の厚みが20μmの実施例1〜9及び比較例1〜15のフィルム状エポキシ樹脂組成物を作製した。
Figure 0005527600
Figure 0005527600
実施例、比較例で得られたエポキシ樹脂組成物について次の特性評価を行った。結果を表3に示す。
(1)硬化温度
エポキシ樹脂組成物を、示差走査熱量計(DSC7 PERKIN ELMER社製)を用い窒素下で昇温速度10℃/minで測定し、発熱ピーク温度を硬化温度とした。
(2)エポキシ反応率
エポキシ反応率αをエポキシ樹脂組成物作製直後の反応熱ΔH1(J/g)と40℃で5日間放置した後の反応熱ΔH2(J/g)から式(2)によって算出した。
α=(1−ΔH2/ΔH1)×100 ・・・ (2)
エポキシ樹脂組成物の反応熱は示差走査熱量計(DSC7 PERKIN ELMER社製)を用い窒素下で昇温速度10℃/minで測定し、発熱ピーク面積から算出し、エポキシ樹脂組成物1g当りの発熱量(J/g)とした。
(3)フィルム外観
フィルム状のエポキシ樹脂組成物に関して(実施例1〜9、比較例1〜15)40℃で5日間放置後のエポキシ樹脂組成物フィルムを25℃で折り曲げ可能ならば○、脆く割れたら×とした。
なお、エポキシ反応率が小さいほど、保存安定性は良好である。
(4)窒素ホウ素結合エネルギー
MOPAC2002 Ver1.01を用い、イミダゾールボラン錯体、イミダゾール化合物、トリアリールボラン化合物をそれぞれAM1計算で構造最適化して得られた生成熱(Final Heat of Formation)を用い、下記式(3)によってホウ素−窒素結合エネルギーを算出した。
Figure 0005527600
Figure 0005527600
イミダゾール化合物をボラン錯体化した場合(比較例4〜12、実施例1〜9)の40℃5日放置後の保存安定性は、ボラン錯体化していない場合(比較例1〜3)と比較して、エポキシ反応率が小さいなど、向上した。
しかしながら、ホウ素−窒素結合エネルギーが弱いボラン錯体の場合(比較例4〜12)、添加量を増やして硬化温度を低温化させるとエポキシ反応率が増加し、保存安定性が低下した(比較例6〜9、比較例12)。
一方、ホウ素−窒素結合エネルギーが強いボラン錯体の場合(比較例4〜12)添加量を増量して硬化温度を低温化させてもエポキシ反応率の増加が少ない。またホウ素−窒素結合エネルギーが著しく強いボラン錯体の場合(比較例13〜15)硬化温度が非常に高く触媒活性がほとんど見られない。
また、ホウ素−窒素結合エネルギーが弱いボラン錯体と同等の硬化温度で比較した場合(実施例2、比較例6)、(実施例2、比較例12)、(実施例6、比較例8)、(実施例8、比較例6)、(実施例8、比較例12)、ボラン錯体化することで、対応するイミダゾール化合物と同等の速硬化性を維持しながら保存安定性のみが向上した。また、エポキシ反応率が同等でもホウ素−窒素結合エネルギーが強いボラン錯体の場合の方が放置後のフィルムの外観変化が少なく保存安定性に優れている(実施例6、比較例5)。

Claims (4)

  1. (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基または酸無水物を有する硬化剤、(C)MOPAC Ver1.01AM1法によって求めたホウ素−窒素結合エネルギーが−35以下かつ−70kJ/mol以上であるトリアリールボラン−アミン錯体、を含有するエポキシ樹脂組成物。
  2. (C)トリアリールボラン−アミン錯体が下記一般式(I)または(II)で表されることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0005527600
    (式中のR〜Rは同一でも異なっていても良く、水素、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。Xは水素、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基を示す。)
  3. (C)トリアリールボラン−アミン錯体が総エポキシ樹脂量に対して0.1〜20質量%含まれることを特徴とする請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載のエポキシ樹脂組成物によって封止または成型または接続された部材を備える電子部品装置。
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