JP5585988B2 - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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[式(I)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも一つはアリール基であり、Mは、アルカリ金属、アルキルアンモニウム塩、イミダゾリウム塩、テトラアリールホスホニウム塩又はテトラアルキルホスホニウム塩を示す。]
(A)成分としては、特に制限は無く、公知のエポキシ樹脂を使用することができる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、レゾルシノールノボラック等のフェノール類のグリシジルエーテル、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸類のグリシジルエステル、アニリン、イソシアヌール酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したもの等のグリシジル型(メチルグリシジル型も含む)エポキシ樹脂、分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂、ビス(4−ヒドロキシ)チオエーテルのエポキシ化物、パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
(B)成分としては、特に制限は無く、公知のフェノール樹脂の水酸基の少なくとも一部をアリルエーテル化したフェノール系硬化剤を用いることができる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂、ビフェニル骨格型フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂及びキシリレン変性ナフトール樹脂が挙げられる。フェノール系硬化剤は、単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
(C)成分である硬化促進剤は、アリールボレート塩及びトリアリールボラン−アミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。
三口フラスコに、ヒドロキノン(和光純薬工業株式会社、特級試薬)110g(1.0mol)、ホルマリン(和光純薬工業株式会社、特級試薬)50g、水(和光純薬工業株式会社、特級試薬)50g及びシュウ酸(和光純薬工業株式会社、特級試薬)0.6gを加え、90℃還流下で2時間加熱した後、150℃、200Paで2時間減圧蒸留を行ういフェノール樹脂1を収率50%で得た。
上記フェノール樹脂1を50g、臭化アリル120g(1.0mol)及び炭酸カリウム140g(1.0mol)をエタノール200gに溶解し80℃で2時間加熱還流した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去して反応混合物を得た。上記反応混合物をブタノンに溶解し水洗いを3回行った後、150℃、200Paで2時間減圧乾燥を行い、ヒドロキノンノボラックのアリルエーテル化物であるフェノール樹脂2を収率50%で得た。フェノール樹脂2のアリルエーテル化率は100モル%であった。
三口フラスコに、テトラフェニルホウ酸ナトリウム塩(北興化学工業株式会社製、製品名:ホクボロンNa)3.4g(10mmol)、テトラヒドロフラン10g(和光純薬工業株式会社、特級試薬)及びトルエン5g(和光純薬工業株式会社、特級試薬)を加えて溶解した。次いで、上記三口フラスコに三方コック及び滴下ロートを取り付け、ダイヤフラムポンプ(株式会社アルバック、製品名:DTU−20)を用い減圧(到達圧力200Pa)と窒素置換とを4回繰り返すことで、フラスコ内の溶存酸素の脱気及び窒素置換を行った。次に、滴下ロートに10%塩酸水溶液3.7g(10mmol)を加えて25℃で1時間かけて滴下し、25℃で2時間撹拌した。さらに、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、製品名:2E4MZ)1.1g(10mmol)をトルエン10gで希釈した溶液を30分間かけて25℃で滴下した。滴下後、25℃で2時間撹拌した後、反応溶液をトルエンで抽出し、4回水洗いを行った。トルエン相を回収し、ロータリーエバポレータで濃縮乾燥し、得られた白色固体を少量のトルエンで洗浄することでトリフェニルボラン−イミダゾール錯体であるボラン錯体1を収率58%で得た。
表1に示す配合割合で、実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物を作製した。
エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、製品名:YL−6121、エポキシ当量160g/eq.)、フェノール系硬化剤としてフェノール樹脂及び硬化促進剤としてテトラフェニルボレート塩(北興化学工業株式会社製、製品名:EMZ−K、)を混合し、乳鉢ですりつぶして粉末状のエポキシ樹脂組成物を作製した。
硬化促進剤をテトラフェニルボレート塩(北興化学工業株式会社製、製品名:TPPMK)に変更した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を作製した。
硬化促進剤をボラン錯体1に変更した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を作製した。
エポキシ樹脂及び硬化促進剤を配合せずに、フェノール樹脂2のみを用いた。
硬化促進剤をトリフェニルホスフィン(北興化学工業株式会社製、製品名:TPP)に変更した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を作製した。
硬化促進剤をイミダゾール化合物(四国化成工業株式会社製、製品名:2PZ−CN)に変更した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を作製した。
エポキシ樹脂組成物の熱的特性を、示差走査熱量計(PERKIN ELMER社製、商品名:DSC7)を用い窒素下で昇温速度10℃/分で測定し、発熱ピーク温度を反応温度、発熱量を反応熱とした。
本発明に係るエポキシ樹脂組成物の反応熱には、エポキシ樹脂の硬化反応熱と、アリルエーテルのクライゼン転位の反応熱とが存在する。そこで、比較例1におけるフェノール樹脂2単独の反応熱及び反応温度の測定結果から、アリルエーテルの転位反応の反応熱ΔH2(J/g)及び反応温度を算出した。次いで、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂の硬化由来の反応熱ΔH(J/g)を、エポキシ樹脂組成物全体の反応熱ΔH1(J/g)、フェノール樹脂2の反応熱ΔH2(J/g)及び樹脂組成物中のフェノール樹脂2の配合率(質量%)から式(2)によって算出した。
ΔH=ΔH1−ΔH2×w/100・・・(2)
α=ΔH/ΔH3×100・・・(3)
Claims (5)
- エポキシ樹脂と、フェノール系硬化剤と、硬化促進剤と、を含有し、
前記フェノール系硬化剤は、アリルエーテル化されたフェノール性水酸基を有し、
前記硬化促進剤が、アリールボレート塩及びトリアリールボラン−アミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、エポキシ樹脂組成物。 - 前記フェノール性水酸基のアリルエーテル化率が50モル%超である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を加熱により硬化して形成される硬化物。
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