JP5585988B2 - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、耐熱性、耐湿性、電気特性及び接着性に優れており、電気絶縁材料、塗料、接着剤など幅広い分野で使用されている。エポキシ樹脂を電子部品用途に用いる場合、電気絶縁性及び耐熱性の観点から、フェノール樹脂系の硬化剤が用いられる。
硬化剤として用いられるフェノール樹脂には、耐熱性を向上(ガラス転位温度を向上)するために剛直な骨格を導入するや、熱伝導性を向上するために結晶性や液晶性を示す骨格を導入することが必要とされている。しかし、このような構造を有するフェノール樹脂は、溶融温度が高く溶融粘度が高くなり、溶媒やエポキシ樹脂への溶解性が低下するため、取り扱い難い傾向にある。
そこで、フェノール樹脂に脂溶性置換基を導入することや、フェノール性水酸基を保護して分子間水素結合を抑えることで、フェノール樹脂の溶解性及び溶融粘度を改善することが試みられている。例えば、特許文献1には、フェノール性水酸基の一部がアリルエーテル化されたフェノール系重合体からなるエポキシ樹脂用硬化剤が開示されている。
特開2000−234008号公報
フェノール性水酸基のアリルエーテル化は、クライゼン転位反応によってフェノール性水酸基が無触媒で再生するので、フェノール性水酸基の保護基として有用であるものの、フェノール樹脂のアリルエーテル化物とエポキシ樹脂との反応性が低くなるため、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下する傾向にある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アリルエーテル化されたフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂を硬化剤として用いた場合にも硬化性に十分に優れるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、アリルエーテル化されたフェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤と、特定の硬化促進剤とを組み合わせることで、硬化性に十分に優れるエポキシ樹脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、エポキシ樹脂と、フェノール系硬化剤と、硬化促進剤とを含有し、フェノール系硬化剤は、アリルエーテル化されたフェノール性水酸基を有し、硬化促進剤が、アリールボレート塩及びトリアリールボラン−アミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエポキシ樹脂組成物を提供する。
エポキシ樹脂組成物の硬化性をより向上する観点から、上記アリールボレート塩が下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005585988

[式(I)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R、R、R及びRのうち少なくとも一つはアリール基であり、Mは、アルカリ金属、アルキルアンモニウム塩、イミダゾリウム塩、テトラアリールホスホニウム塩又はテトラアルキルホスホニウム塩を示す。]
また、上記トリアリールボラン−アミン錯体が下記一般式(II)で表される化合物であると、エポキシ樹脂組成物の硬化性をより一層向上することができる。
Figure 0005585988

[式(II)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を示し、Xは窒素原子を有するアミン化合物を示す。]
さらに、フェノール系硬化剤が有するフェノール性水酸基のアリルエーテル化率が50モル%超であると、エポキシ樹脂との相溶性がより向上するため、エポキシ樹脂組成物の取り扱い性が容易となる。
本発明はまた、上記エポキシ樹脂組成物を加熱により硬化して形成される硬化物を提供する。上記硬化物は、耐熱性及び電気絶縁性に十分に優れるため、電子部品装置用の部材として有用である。
本発明によれば、アリルエーテル化されたフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂を硬化剤として用いた場合にも硬化性に十分に優れるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(以下、「(A)成分」という)と、フェノール系硬化剤(以下、「(B)成分」という)と、硬化促進剤(以下、「(C)成分」という)とを含有する。また、本発明に係るフェノール系硬化剤は、アリルエーテル化されたフェノール性水酸基を有する。さらに、本発明に係る硬化促進剤は、アリールボレート塩及びトリアリールボラン−アミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。
<(A)成分:エポキシ樹脂>
(A)成分としては、特に制限は無く、公知のエポキシ樹脂を使用することができる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、レゾルシノールノボラック等のフェノール類のグリシジルエーテル、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテル、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等のカルボン酸類のグリシジルエステル、アニリン、イソシアヌール酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したもの等のグリシジル型(メチルグリシジル型も含む)エポキシ樹脂、分子内のオレフィン結合をエポキシ化して得られるビニルシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂、ビス(4−ヒドロキシ)チオエーテルのエポキシ化物、パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
<(B)成分:フェノール系硬化剤>
(B)成分としては、特に制限は無く、公知のフェノール樹脂の水酸基の少なくとも一部をアリルエーテル化したフェノール系硬化剤を用いることができる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂、ビフェニル骨格型フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂及びキシリレン変性ナフトール樹脂が挙げられる。フェノール系硬化剤は、単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
フェノール樹脂中のフェノール性水酸基のアリルエーテル化率は、50モル%超であることが好ましく、速硬化性の観点から70〜100モル%であることがより好ましく、溶解性、溶融粘度、保存安定性の観点から80〜100モル%であることがさらに好ましい。フェノール性水酸基のアリルエーテル化率が50モル%超であると、(A)成分との相溶性が向上するため、エポキシ樹脂組成物の取り扱い性が容易となる。また、フェノール性水酸基がアリルエーテル化されていることで、保管時におけるフェノール系硬化剤とエポキシ樹脂との反応を抑制することができ、樹脂組成物の劣化や粘度上昇を防ぐことができる。さらに、フェノール性水酸基の酸化による硬化物の着色を抑制することもできる。また、フェノール性水酸基を保護して分子間水素結合を抑えることで、フェノール系硬化剤の融点の低下(更には液状化)、溶融粘度の低下等が可能となり、取り扱い性が向上する。
エポキシ樹脂とフェノール系硬化剤との配合比率は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対するアリルエーテル化される前のフェノール樹脂の水酸基当量の比率が0.5〜2.0の範囲に設定されていることが好ましく、より好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.3である。上記配合比率が0.5未満ではエポキシ樹脂の硬化が不十分となり硬化物の耐熱性、強度等が劣りやすく、2.0を超えるとフェノール樹脂成分が残るため硬化物の耐熱性、強度等が劣りやすい。
<(C)成分:硬化促進剤>
(C)成分である硬化促進剤は、アリールボレート塩及びトリアリールボラン−アミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、(C)成分は、アリルエーテルがクライゼン転位反応を起こす200℃付近まで安定である必要がある。一方、アミン系又はイミダゾール系の硬化促進剤を用いた場合、クライゼン転位が進行する前にエポキシ樹脂が単独で硬化反応を引き起こし易い。また、ホスフィン系の硬化促進剤を用いた場合、エポキシ樹脂の単独硬化は引き起こさないものの、エポキシ樹脂とホスフィンとが反応してクライゼン転位反応が進行する前に触媒活性が失活することがある。これに対し、アリールボレート塩及びトリアリールボラン−アミン錯体は、エポキシ樹脂の単独硬化の触媒活性が低く、かつ、クライゼン転位反応が進行する200℃付近まで触媒活性を失わないため、(B)成分と好適に組み合わせて用いることができる。
アリールボレート塩としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005585988
式(I)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R、R、R及びRのうち少なくとも一つがアリール基である。R、R、R及びRのうち少なくとも3つがアリール基であることが好ましく、R、R、R及びRがアリール基であることがより好ましく、R、R、R及びRがフェニル基であることが更に好ましい。Mは、アルカリ金属、アルキルアンモニウム塩、イミダゾリウム塩、テトラアリールホスホニウム塩又はテトラアルキルホスホニウム塩を示し、入手容易性及びコストの観点からテトラアリールホスホニウム塩又はイミダゾリウム塩であることが好ましい。
アリールボレート塩として、具体的には、ナトリウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート及びリチウムトリフェニル(n−ブチル)ボレートが挙げられる。アリールボレート塩は、単独又は2種類以上混合して用いることができる。
トリアリールボラン−アミン錯体としては、例えば、下記一般式(II)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005585988
式(II)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を示し、フェニル基であることが好ましい。Xは、窒素原子を有するアミン化合物を示す。
トリアリールボラン−アミン錯体を構成するアミン化合物(X)としては、ルイス塩基性を有する化合物であれば特に制限無く公知ものを用いることができる。アミン化合物としては、例えば、脂肪族又は芳香族の一級アミン、二級アミン及び三級アミン化合物、並びに、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール等の含窒素複素環化合物が挙げられる。ボラン錯体の熱分解温度及び生成するアミン化合物の硬化促進作用の観点から、Xは、イミダゾール化合物であること好ましい。
トリアリールボラン−イミダゾール錯体として、具体的には、下記一般式(III)又は下記一般式(IV)で表される錯体を用いることができる。
Figure 0005585988
式中、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はアルコキシ基を示す。Y、Y及びYはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基又はアミノ基を示し、コスト及び入手容易性の観点から、水素原子であることが好ましい。また、保存安定性の観点からハロゲン原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。さらには、溶解性の観点からアルキル基であることが好ましい。
硬化促進剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、特に潜在性及び速硬化性の両立が容易となる。一方、硬化促進剤の配合量が0.1質量部未満では十分な硬化促進作用を得ることができ難く、20質量部を超えるとエポキシ樹脂と相分離を引き起こし易くなる。硬化促進剤は、単独で又は2種類以上の化合物を混合して用いてもよい。また、アリールボレート塩及びトリアリールボラン−アミン錯体以外の公知の硬化促進剤を併用することもできる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、フィルム形成性及び架橋密度調整を目的に熱可塑性樹脂を配合することができる。熱可塑性樹脂として、具体的には、ポリイミド、ポリアミド、フェノキシ樹脂類、ポリ(メタ)アクリレート類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリエステルウレタン類、ポリビニルブチラール類等を使用することができる。これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、応力緩和及び接着性の向上を目的に、ゴム成分を併用してもよい。ゴム成分として、具体的には、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、カルボキシル基末端1,2−ポリブタジエン、水酸基末端1,2−ポリブタジエン、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水酸基末端スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基又はモルホリン基をポリマ末端に含有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトンが挙げられる。ゴム成分は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、粘度調整、線膨張率の低減、熱伝導性の向上を目的に無機充填材を併用してもよい。無機充填材として、具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化ホウ素、黒鉛等、特に制限無く公知のものを用いることができる。無機充填材は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、アリルエーテル化されたフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂を硬化剤として用いた場合にも硬化性に十分に優れるものとなる。上記エポキシ樹脂組成物を加熱により硬化することで、耐熱性及び電気絶縁性に優れる硬化物を形成することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、電気絶縁材料、塗料、成型材料、積層板材料、接着剤等として用いることができ、一般的な電子部品装置に好適に使用される。本発明のエポキシ樹脂組成物によって、封止、成型又は接続された硬化物を備える電子部品装置が作製される。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(フェノール樹脂1の合成)
三口フラスコに、ヒドロキノン(和光純薬工業株式会社、特級試薬)110g(1.0mol)、ホルマリン(和光純薬工業株式会社、特級試薬)50g、水(和光純薬工業株式会社、特級試薬)50g及びシュウ酸(和光純薬工業株式会社、特級試薬)0.6gを加え、90℃還流下で2時間加熱した後、150℃、200Paで2時間減圧蒸留を行ういフェノール樹脂1を収率50%で得た。
(フェノール樹脂2の合成)
上記フェノール樹脂1を50g、臭化アリル120g(1.0mol)及び炭酸カリウム140g(1.0mol)をエタノール200gに溶解し80℃で2時間加熱還流した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去して反応混合物を得た。上記反応混合物をブタノンに溶解し水洗いを3回行った後、150℃、200Paで2時間減圧乾燥を行い、ヒドロキノンノボラックのアリルエーテル化物であるフェノール樹脂2を収率50%で得た。フェノール樹脂2のアリルエーテル化率は100モル%であった。
(ボラン錯体1の合成)
三口フラスコに、テトラフェニルホウ酸ナトリウム塩(北興化学工業株式会社製、製品名:ホクボロンNa)3.4g(10mmol)、テトラヒドロフラン10g(和光純薬工業株式会社、特級試薬)及びトルエン5g(和光純薬工業株式会社、特級試薬)を加えて溶解した。次いで、上記三口フラスコに三方コック及び滴下ロートを取り付け、ダイヤフラムポンプ(株式会社アルバック、製品名:DTU−20)を用い減圧(到達圧力200Pa)と窒素置換とを4回繰り返すことで、フラスコ内の溶存酸素の脱気及び窒素置換を行った。次に、滴下ロートに10%塩酸水溶液3.7g(10mmol)を加えて25℃で1時間かけて滴下し、25℃で2時間撹拌した。さらに、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、製品名:2E4MZ)1.1g(10mmol)をトルエン10gで希釈した溶液を30分間かけて25℃で滴下した。滴下後、25℃で2時間撹拌した後、反応溶液をトルエンで抽出し、4回水洗いを行った。トルエン相を回収し、ロータリーエバポレータで濃縮乾燥し、得られた白色固体を少量のトルエンで洗浄することでトリフェニルボラン−イミダゾール錯体であるボラン錯体1を収率58%で得た。
<エポキシ樹脂組成物の作製>
表1に示す配合割合で、実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物を作製した。
(実施例1)
エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、製品名:YL−6121、エポキシ当量160g/eq.)、フェノール系硬化剤としてフェノール樹脂及び硬化促進剤としてテトラフェニルボレート塩(北興化学工業株式会社製、製品名:EMZ−K、)を混合し、乳鉢ですりつぶして粉末状のエポキシ樹脂組成物を作製した。
(実施例2)
硬化促進剤をテトラフェニルボレート塩(北興化学工業株式会社製、製品名:TPPMK)に変更した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を作製した。
(実施例3)
硬化促進剤をボラン錯体1に変更した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を作製した。
(比較例1)
エポキシ樹脂及び硬化促進剤を配合せずに、フェノール樹脂2のみを用いた。
(比較例2)
硬化促進剤をトリフェニルホスフィン(北興化学工業株式会社製、製品名:TPP)に変更した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を作製した。
(比較例3)
硬化促進剤をイミダゾール化合物(四国化成工業株式会社製、製品名:2PZ−CN)に変更した以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を作製した。
Figure 0005585988
上記エポキシ樹脂組成物を用いて、下記評価を行った。結果を表2に示す。
(1)反応温度及び反応熱
エポキシ樹脂組成物の熱的特性を、示差走査熱量計(PERKIN ELMER社製、商品名:DSC7)を用い窒素下で昇温速度10℃/分で測定し、発熱ピーク温度を反応温度、発熱量を反応熱とした。
(2)エポキシ樹脂の反応率
本発明に係るエポキシ樹脂組成物の反応熱には、エポキシ樹脂の硬化反応熱と、アリルエーテルのクライゼン転位の反応熱とが存在する。そこで、比較例1におけるフェノール樹脂2単独の反応熱及び反応温度の測定結果から、アリルエーテルの転位反応の反応熱ΔH2(J/g)及び反応温度を算出した。次いで、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂の硬化由来の反応熱ΔH(J/g)を、エポキシ樹脂組成物全体の反応熱ΔH1(J/g)、フェノール樹脂2の反応熱ΔH2(J/g)及び樹脂組成物中のフェノール樹脂2の配合率(質量%)から式(2)によって算出した。
ΔH=ΔH1−ΔH2×w/100・・・(2)
また、公知の一般的なエポキシ−フェノール硬化系の反応熱から算出されるΔH3=230J/gという値を用いてエポキシ反応率αを式(3)によって算出した。
α=ΔH/ΔH3×100・・・(3)
Figure 0005585988
フェノール樹脂2のみを用いた比較例1では、236℃付近でクライゼン転位に伴う発熱が観察された。この時の発熱量471J/gから、比較例2、3及び実施例1〜3におけるクライゼン転位由来の発熱量を161J/gと算出した。また、ホスフィン化合物を硬化促進剤として用いた比較例2では、クライゼン転位由来の発熱量とほぼ同等の発熱量を示しており、エポキシ樹脂の硬化反応はほとんど進行しなかった。さらに、イミダゾール化合物を硬化促進剤として用いた比較例2では、237℃付近でのクライゼン転位由来の発熱とは別に、161℃付近でエポキシ樹脂の硬化由来の発熱を示しており、クライゼン転位前にエポキシ樹脂が硬化していることから、アリルエーテル化フェノール樹脂は硬化に関与せずエポキシ樹脂単独での硬化が進行していた。
これに対し、アリールボレート塩又はトリアリールボラン−アミン錯体を硬化促進剤として用いた実施例1〜3では、クライゼン転位由来の発熱量よりも高い発熱量を示し、クライゼン転位反応と同時にエポキシ樹脂の硬化反応が進行しており、良好なエポキシ硬化率を示した。
以上のことから、本発明のエポキシ樹脂組成物は、アリルエーテル化されたフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂を硬化剤として用いた場合にも硬化性に十分に優れることが確認された。

Claims (5)

  1. エポキシ樹脂と、フェノール系硬化剤と、硬化促進剤と、を含有し、
    前記フェノール系硬化剤は、アリルエーテル化されたフェノール性水酸基を有し、
    前記硬化促進剤が、アリールボレート塩及びトリアリールボラン−アミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記アリールボレート塩が下記一般式(I)で表される化合物である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0005585988

    [式(I)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R、R、R及びRのうち少なくとも一つはアリール基であり、Mは、アルカリ金属、アルキルアンモニウム塩、イミダゾリウム塩、テトラアリールホスホニウム塩又はテトラアルキルホスホニウム塩を示す。]
  3. 前記トリアリールボラン−アミン錯体が下記一般式(II)で表される化合物である、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0005585988

    [式(II)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を示し、Xは窒素原子を有するアミン化合物を示す。]
  4. 前記フェノール性水酸基のアリルエーテル化率が50モル%超である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を加熱により硬化して形成される硬化物。
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