JP5576994B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
この発明は、ビード部近傍のサイドゴムの一部に抉りによる凹部を設けて軽量化した、空気入りタイヤに関する。
近年、環境への配慮及び経済性の観点から、自動車の燃費を向上することが求められている。このような背景の下、タイヤにおいては、転がり抵抗を低減することが希求されており、そのために、タイヤの構成部材や各部材の重量を削減することが行われている。
特に、タイヤの重量削減の方途としては、ゴムの使用量を低減することが有効であり、例えば、ビードフィラー高さを低くしたり、ビードフィラーの厚みを薄くすることが提案されている。しかし、ビードフィラーを小さくしてビード部のゴム使用量を低減した場合、ビード部の剛性が極端に低下するため、操縦安定性を確保することが難しくなる。
一方、特許文献1では、ゴム使用量の多いビード部近傍のサイドゴムにつき、そのタイヤの外側面を抉って凹部を設けることによって、凹部の体積分のゴム量を削減し、タイヤ重量を低減することが提案されている。
一方、特許文献1では、ゴム使用量の多いビード部近傍のサイドゴムにつき、そのタイヤの外側面を抉って凹部を設けることによって、凹部の体積分のゴム量を削減し、タイヤ重量を低減することが提案されている。
しかし、かかる構成においても、該凹部近傍の剛性が低下するため、操縦安定性を確保する必要があり、この点、特許文献1に記載の技術では、カーカスの外側にさらに一層以上のコード補強層を配設することでサイド剛性を確保して、良好な操縦安定性を維持しようとしている。しかしながら、かかる方策は、タイヤの軽量化を図るという所期した効果を減じることになり兼ねない。
従って、ビード部近傍のサイドゴムに凹部を設けることによるタイヤの軽量化を享受しつつ、同時に操縦安定性を高い次元で維持することが重要である。
従って、ビード部近傍のサイドゴムに凹部を設けることによるタイヤの軽量化を享受しつつ、同時に操縦安定性を高い次元で維持することが重要である。
従って、本発明の目的は、軽量化、操縦安定性及び耐久性を両立させた空気入りタイヤを提供することにある。
発明者が、ビード部近傍のサイドゴムに凹部を設けた空気入りタイヤにおいて、操縦安定性が阻害される原因を究明したところ、タイヤの横剛性が低下して、タイヤに横力が付与された際に、凹部を起点とするサイドウォール部の倒れ込み変形が発生し易いことが主であることが判明した。
そこで発明者は、ビード部近傍のサイドゴムに凹部を設けた空気入りタイヤにおいて操縦安定性を高い次元で確保するための方途について、上記したサイドウォール部の倒れ込み抑制の観点から、凹部の輪郭を画定する円の曲率に応じてカーカスラインを設定することによって、タイヤの横剛性を確保できるとの知見を得た。すなわち、凹部の曲率に応じてカーカスラインを設定すれば、タイヤに空気を充填した際に、ビード部からサイドウォール部にかけての領域で、タイヤ内部の空気がタイヤ内面を幅方向外側に押す合力が増加し、ビード部からサイドウォール部の剛性が高くなることから、サイドウォール部の倒れ込みが抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
トレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部とを連ねて成り、前記ビード部に埋設された一対のビードコア間にトロイド状に延在するプライ本体部と、該プライ本体部から延びて各ビードコアの周りをタイヤ幅方向内側から外側に巻き回される巻き付け部とからなる少なくとも一枚のプライによるカーカスを備え、さらに、リム離反点から前記サイドウォール部のタイヤ最大幅位置までのタイヤ外表面にタイヤ幅方向内側に凹となる凹部を有する空気入りタイヤであって、
リムに組み付けていない非リム組状態の、タイヤ幅方向断面において、前記凹部を画定する前記タイヤ外表面のタイヤ径方向最内側点から、タイヤ径方向外側に、前記タイヤ外表面のペリフェリに沿ってペリフェリ長さ8mm離間した点までの範囲をタイヤ径方向最内側域とするとき、該タイヤ径方向最内側域をなす曲線を最小二乗法により円弧で近似した際の該円弧の曲率中心Cから前記プライ本体部のタイヤ幅方向外側へ凸となる部分へ引いた法線と該プライ本体部との交点A、そして前記曲率中心Cを通ってタイヤ回転軸と平行な基準線と前記プライ本体部との交点B、の二点を結ぶ直線が前記基準線と成す、交点Aの仰角が40〜60°であり、
前記円弧の曲率半径は5〜80mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。
トレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部とを連ねて成り、前記ビード部に埋設された一対のビードコア間にトロイド状に延在するプライ本体部と、該プライ本体部から延びて各ビードコアの周りをタイヤ幅方向内側から外側に巻き回される巻き付け部とからなる少なくとも一枚のプライによるカーカスを備え、さらに、リム離反点から前記サイドウォール部のタイヤ最大幅位置までのタイヤ外表面にタイヤ幅方向内側に凹となる凹部を有する空気入りタイヤであって、
リムに組み付けていない非リム組状態の、タイヤ幅方向断面において、前記凹部を画定する前記タイヤ外表面のタイヤ径方向最内側点から、タイヤ径方向外側に、前記タイヤ外表面のペリフェリに沿ってペリフェリ長さ8mm離間した点までの範囲をタイヤ径方向最内側域とするとき、該タイヤ径方向最内側域をなす曲線を最小二乗法により円弧で近似した際の該円弧の曲率中心Cから前記プライ本体部のタイヤ幅方向外側へ凸となる部分へ引いた法線と該プライ本体部との交点A、そして前記曲率中心Cを通ってタイヤ回転軸と平行な基準線と前記プライ本体部との交点B、の二点を結ぶ直線が前記基準線と成す、交点Aの仰角が40〜60°であり、
前記円弧の曲率半径は5〜80mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。
本発明によれば、ビード部近傍のサイドゴムに凹部を設けて十分な軽量化を実現しつつ、優れた操縦安定性および耐久性を確保した、空気入りタイヤを提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明に従う空気入りタイヤを詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図である。図2は、図1に示した本発明の空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図の半部を示す図である。図3Aは、複数の円弧により凹部を画定した、本発明の空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図の半部を示す図である。図3Bは、複数の円弧により凹部を画定した、本発明の空気入りタイヤのタイヤ幅方向の概略的な部分断面図である。図4は、内圧充填時に、タイヤ内面にかかる、タイヤ内側からタイヤ幅方向外側に向かう空気の合力を示す図であり、図4(a)は本発明の空気入りタイヤの場合を、図4(b)は従来の空気入りタイヤの場合を示す。図5は、本発明の空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
図1は、リムに組み付けていない非リム組状態における、本発明の空気入りタイヤ1(以下、「タイヤ」と呼ぶ)のタイヤ幅方向断面を示す図である。
タイヤ1は、トレッド部2と、一対のサイドウォール部3、3と、一対のビード部4、4を備えている。また、ビード部4、4に埋設された一対のビードコア5、5間にトロイド状に延在するプライ本体部6aと、該プライ本体部6aから延びて各ビードコア5、5の周りをタイヤ幅方向内側から外側に巻き回される巻き付け部6bとからなる、少なくとも一枚のプライによるカーカス6を備えている。
タイヤ1は、トレッド部2と、一対のサイドウォール部3、3と、一対のビード部4、4を備えている。また、ビード部4、4に埋設された一対のビードコア5、5間にトロイド状に延在するプライ本体部6aと、該プライ本体部6aから延びて各ビードコア5、5の周りをタイヤ幅方向内側から外側に巻き回される巻き付け部6bとからなる、少なくとも一枚のプライによるカーカス6を備えている。
タイヤ1は、さらに、リム離反点Fからサイドウォール部3のタイヤ最大幅位置P1までのタイヤ径方向領域内に、凹部7を有している。ここで、リム離反点Fとは、適用リムにタイヤ1を組付け、タイヤサイズに応じて規定された正規最大内圧を充填し且つ無負荷の状態にした際に、タイヤの外側面がリムフランジとの接触状態から離れる点のことを言う。なお、適用リムとは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本では日本自動車タイヤ協会のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRO(European Tire and Rim Technical Organization)STANDARD MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association Inc.)YEAR BOOK等に、タイヤサイズに応じて規定されたリムのことである。また、サイドウォール部3のタイヤ最大幅位置P1とは、サイドウォール部3における、タイヤ幅方向の最外側端のことを言う。凹部7は、このリム離反点F及びタイヤ最大幅位置P1との間のタイヤ径方向領域のタイヤ外表面に、その全体が含まれるように設けられており、タイヤ幅方向内側に向かって凹となるように、肉抜きされて形成される。すなわち、凹部は、サイドウォール部の外表面より幅方向外側に中心を有し、該中心から見て幅方向内側に凸となる少なくとも1つの円弧により形成されている。
凹部7の形状は、サイドウォール部3を構成するサイドゴムに対し、サイドゴムよりもタイヤ幅方向外側に中心Cを有する、単一の円の円弧又は複数の円の円弧を組み合わせることによって画定されている。
図2は、図1に示したタイヤ1の半部を示す図である。この例では、中心C1を有し、曲率半径r1が50mmである円R1の円弧を形成することによって、凹部7の形状が画定されている。
一方、図3Aに示す例では、中心C2を有し曲率半径r2が30mmである円R2の円弧と、中心C3を有し曲率半径r3が400mmである円R3の円弧の2つの円弧を形成することによって、凹部7の形状が画定されている。
また、図3Bに示す例では、中心C2を有する円R2が、中心C3を有る円R3に内接し、これにより、凹部7の形状は、複数の円の円弧を組み合わせることによって画定されている。
図2は、図1に示したタイヤ1の半部を示す図である。この例では、中心C1を有し、曲率半径r1が50mmである円R1の円弧を形成することによって、凹部7の形状が画定されている。
一方、図3Aに示す例では、中心C2を有し曲率半径r2が30mmである円R2の円弧と、中心C3を有し曲率半径r3が400mmである円R3の円弧の2つの円弧を形成することによって、凹部7の形状が画定されている。
また、図3Bに示す例では、中心C2を有する円R2が、中心C3を有る円R3に内接し、これにより、凹部7の形状は、複数の円の円弧を組み合わせることによって画定されている。
なお、図2及び図3Aでは、リム離反点Fと、それぞれ円R1、円R2により画定形成された凹部7との間は、離間した状態、すなわち、リム離反点Fと円R1又はR2との間にも外表面が存在しており(リム離反点Fと、以下で説明する凹部7のタイヤ径方向最内側端7aとの間に外表面が存在している)、当該外表面がタイヤ内側に向かって彎曲するように描かれているが、本発明では、当該外表面は、凹部7に含まないものとする。
ここで、凹部7のタイヤ径方向最内側点7aから、タイヤ径方向外側に、凹部7のペリフェリに沿ってペリフェリ長さ8mm離間した点までの範囲を該凹部のタイヤ径方向最内側域とする。そして、該凹部7のタイヤ径方向最内側域を画定する曲線を最小二乗法により円弧で近似するとき、本発明のタイヤでは、当該円弧の曲率半径rは、5〜80mmであること肝要である。
曲率半径rを5mm未満とすると、曲率が大きくなり過ぎて、タイヤの撓みにより発生する圧縮応力が集中し易くなり、表面のゴムのシワはクラックの発生を引き起こすおそれがあるからであり、一方で、曲率半径rを80mm超とすると、曲率が小さく、リム離反点Fからタイヤ最大幅位置P1までの領域内においてサイドゴムを十分に抉ることが難しいからである。
曲率半径rを5mm未満とすると、曲率が大きくなり過ぎて、タイヤの撓みにより発生する圧縮応力が集中し易くなり、表面のゴムのシワはクラックの発生を引き起こすおそれがあるからであり、一方で、曲率半径rを80mm超とすると、曲率が小さく、リム離反点Fからタイヤ最大幅位置P1までの領域内においてサイドゴムを十分に抉ることが難しいからである。
このように、リム離反点Fからタイヤ最大幅位置P1のサイドゴム領域に対して凹部7を設けることにより、凹部7の体積分のゴム材を省くことができるため、タイヤの重量が低減され、ひいてはタイヤの転がり抵抗を低減することが可能となる。
そして本発明においては、上記の構成に加えて、上記凹部7のタイヤ径方向最内側域を画定する曲線を最小二乗法により円弧で近似した際の、当該円弧の曲率中心Cから、プライ本体部6aのタイヤ幅方向外側へ凸となる部分へ引いた法線mとプライ本体部6aとの交点Aと、曲率中心Cを通ってタイヤ回転軸と平行な基準線nとプライ本体部6aとの交点Bとした場合に、これら二点の交点A、Bを結ぶ直線qが基準線nと成す交点Aの仰角αが、40〜60°であることが肝要である。
ここで、上記曲率中心Cとは、図2に示す例では、円R1の中心C1のことを、図3Aに示す例では、円R2の中心C2のことを言う。
ここで、上記曲率中心Cとは、図2に示す例では、円R1の中心C1のことを、図3Aに示す例では、円R2の中心C2のことを言う。
前述の通り、リム離反点Fからタイヤ最大幅位置P1のサイドゴムに凹部7を設けた場合、タイヤの軽量化を図ることはできるが、反面、タイヤの横剛性が低下し、操縦安定性の低下を伴う。すなわち、凹部7を形成することによって、ビード部からサイドウォール部にかけての剛性が低下するため、特に横力が付与されると、タイヤ形状が変化し易く、その結果、タイヤ幅方向のバランスが崩れて、操縦安定性の低下に繋がるのである。
そこで本発明は、ビード部近傍のサイドゴムに凹部を有する空気入りタイヤにおいて、曲率中心Cから計測した、二点の交点A、Bを結ぶ直線qが基準線nと成す交点Aの仰角αを40〜60°に設定することにより、タイヤの横剛性を向上させて、良好な操縦安定性を実現しようとするものである。図4(a)に示すように、ビード部4からサイドウォール部3に延びるカーカスのプライ本体6aは、図4(b)に示す従来の空気入りタイヤ11におけるカーカスのプライ本体16aよりも、タイヤ回転軸からの立ち上がり角度が大きく、ビード部からサイドウォール部にかけてのカーカスラインの曲率が小さくなっている。つまり、タイヤ1に空気を充填した際、ビード部からサイドウォール部にかけての領域での内圧の、タイヤ幅方向外側向きの成分の割合が従来よりも多くなり、タイヤ内の空気が、タイヤ内面をタイヤ幅方向外側に押す合力が増加するため、タイヤのサイド剛性が高まる。その結果、サイドゴムに凹部7を設けてもなお、タイヤ1のサイドウォール部3の倒れ込み変形を抑制し、総じて良好な操縦安定性を確保することが可能となる。
そして、仰角αを決定するにあたり、上記曲率中心Cを基準にすることが肝要である。軽量化のためにビード部に凹部を設けた場合、サイドウォール部の倒れ込みは、交点Aを含むビード部分が、交点Bを中心として曲率中心Cに向かうように変形するからである。
そこで本発明は、ビード部近傍のサイドゴムに凹部を有する空気入りタイヤにおいて、曲率中心Cから計測した、二点の交点A、Bを結ぶ直線qが基準線nと成す交点Aの仰角αを40〜60°に設定することにより、タイヤの横剛性を向上させて、良好な操縦安定性を実現しようとするものである。図4(a)に示すように、ビード部4からサイドウォール部3に延びるカーカスのプライ本体6aは、図4(b)に示す従来の空気入りタイヤ11におけるカーカスのプライ本体16aよりも、タイヤ回転軸からの立ち上がり角度が大きく、ビード部からサイドウォール部にかけてのカーカスラインの曲率が小さくなっている。つまり、タイヤ1に空気を充填した際、ビード部からサイドウォール部にかけての領域での内圧の、タイヤ幅方向外側向きの成分の割合が従来よりも多くなり、タイヤ内の空気が、タイヤ内面をタイヤ幅方向外側に押す合力が増加するため、タイヤのサイド剛性が高まる。その結果、サイドゴムに凹部7を設けてもなお、タイヤ1のサイドウォール部3の倒れ込み変形を抑制し、総じて良好な操縦安定性を確保することが可能となる。
そして、仰角αを決定するにあたり、上記曲率中心Cを基準にすることが肝要である。軽量化のためにビード部に凹部を設けた場合、サイドウォール部の倒れ込みは、交点Aを含むビード部分が、交点Bを中心として曲率中心Cに向かうように変形するからである。
このように、二点の交点A、Bを結ぶ直線qが基準線nと成す交点Aの仰角αを40〜60°とするのは、40°以上にすることで、リム離反点Fからサイドウォール部3のタイヤ最大幅位置P1までの領域におけるタイヤ内面の曲率が小さくなり、タイヤ内側から該領域を幅方向外側に押す合力を十分に大きくして、サイド剛性を高めることができるからである。一方、仰角αを60°超とすると、ビード部が発熱することにより耐久性への影響が生じるおそれがあるからである。さらに、仰角を60°超とすると、内圧充填時にサイドウォール部の倒れ込み抑制に効く断面形状を確保するために、ベルト端下近傍のカーカスの曲率半径を大きくする必要があるが、そうすると、カーカスとベルトとの接触部分がタイヤ中心付近のみとなり、横力の入力が繰り返されることで、当該部分からセパレーションが発生するおそれがあるからである。
また本発明において、カーカス6は、ビードコア5、5の周りをタイヤ幅方向内側から外側に巻き回わされて、巻き付け部6b、6bを有することが肝要である。
このようにカーカス6をビードコア5の周りに巻き付けることで、曲率中心Cによって描かれる円弧の開始位置をリム離反点Fに近づけることができ、ゴムの使用低減に大きく寄与し、かつカーカス6の引き抜けを生じ難くすることができる。
このようにカーカス6をビードコア5の周りに巻き付けることで、曲率中心Cによって描かれる円弧の開始位置をリム離反点Fに近づけることができ、ゴムの使用低減に大きく寄与し、かつカーカス6の引き抜けを生じ難くすることができる。
なお、直線qが基準線nと成す交点Aの仰角αは、50〜60°であることがさらに好ましい。
上記数値範囲にすることで、タイヤ内の空気が、リム離反点Fからサイドウォール部3のタイヤ最大幅位置P1までの領域をタイヤ内側から幅方向外側に押す合力が十分に大きくなるため、横剛性を向上することができる。その結果、さらに良好な操縦安定性を実現することができるからである。
上記数値範囲にすることで、タイヤ内の空気が、リム離反点Fからサイドウォール部3のタイヤ最大幅位置P1までの領域をタイヤ内側から幅方向外側に押す合力が十分に大きくなるため、横剛性を向上することができる。その結果、さらに良好な操縦安定性を実現することができるからである。
また、図5に示すように、カーカス6のタイヤ幅方向最大幅W6は、一対のビードヒール8、8間のビードヒール間距離W8の115〜135%であり、カーカスのタイヤ幅方向最外側端P2は、カーカス6のタイヤ径方向最内側端P3からカーカス高さHの45%タイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置と、カーカス6のタイヤ径方向最内側端P3からカーカス高さHの60%タイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置との間のタイヤ径方向領域S内に在ることが好ましい。
W6がW8の135%超であると、ビード部のリムフランジへの乗上げが大きくなり、ビード耐久性が悪化するおそれがあり、W6がW8の115%未満だとタイヤのエアボリュームが減り、タイヤとしての負荷能力が減ることに繋がりタイヤ全ての耐久性に問題が生じるおそれがあるからである。
ここで、カーカス6のタイヤ幅方向最大幅W6とは、プライ本体6a、6aのタイヤ幅方向最外側端P2、P2間のタイヤ幅方向距離のことである。また、ビードヒール間距離W8とは、一対のビード部4、4のビードヒール8、8間の、タイヤ幅方向距離のことであり、前述のJATMA等の規格に記載された適用リムの幅に相当する。また、カーカス高さHとは、タイヤ径方向最内側端P3を通るタイヤ回転軸に平行な直線及びタイヤ径方向最外側端P4を通るタイヤ回転軸に平行な直線の間の、タイヤ径方向距離のことである。
W6がW8の135%超であると、ビード部のリムフランジへの乗上げが大きくなり、ビード耐久性が悪化するおそれがあり、W6がW8の115%未満だとタイヤのエアボリュームが減り、タイヤとしての負荷能力が減ることに繋がりタイヤ全ての耐久性に問題が生じるおそれがあるからである。
ここで、カーカス6のタイヤ幅方向最大幅W6とは、プライ本体6a、6aのタイヤ幅方向最外側端P2、P2間のタイヤ幅方向距離のことである。また、ビードヒール間距離W8とは、一対のビード部4、4のビードヒール8、8間の、タイヤ幅方向距離のことであり、前述のJATMA等の規格に記載された適用リムの幅に相当する。また、カーカス高さHとは、タイヤ径方向最内側端P3を通るタイヤ回転軸に平行な直線及びタイヤ径方向最外側端P4を通るタイヤ回転軸に平行な直線の間の、タイヤ径方向距離のことである。
なお、図5は、カーカス6が一枚のプライからなる例を示しているが、カーカスにより規定される寸法は、特に断りのない限り、カーカスのプライ本体部のコード中心から計測したものである。
また、図示はしていないが、カーカス6が複数枚のプライからなる場合には、上記の規定は、最もタイヤ幅方向内側のカーカスのプライ本体部のコード中心線と、最もタイヤ幅方向外側のカーカスのプライ本体部のコード中心線との幅方向中央を通る線である、仮想カーカス中心線上の寸法を言うものとする。
また、図示はしていないが、カーカス6が複数枚のプライからなる場合には、上記の規定は、最もタイヤ幅方向内側のカーカスのプライ本体部のコード中心線と、最もタイヤ幅方向外側のカーカスのプライ本体部のコード中心線との幅方向中央を通る線である、仮想カーカス中心線上の寸法を言うものとする。
このように、ビード部4からサイドウォール部3に延びるカーカスのプライ本体6aの、タイヤ回転軸と平行な線からの立ち上がり角度を大きくすることで、上述の通り、タイヤの横剛性を向上させて、良好な操縦安定性を確保することができる。
上記観点より、本発明に従う空気入りタイヤ1の偏平率は、60〜80であることが好ましい。また、適用リムにタイヤを組付けて、最高空気圧を充填した状態において、タイヤ幅方向最外側端P2におけるカーカス6aの輪郭形状は、曲率半径r4が50〜120mmの円弧によって画定されることが好ましい。
また、図5に示すように、カーカスのタイヤ径方向最内側端P3からカーカス高さHの45%タイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置と、カーカスのタイヤ径方向最内側端P3からカーカス高さHの60%タイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置との間のタイヤ径方向領域Sにおいて、サイドウォール部3の厚さxは一定であり、当該領域S内において、サイドウォール部3の厚さxは3.0〜5.0mmであることが好ましい。
ここで、サイドウォール部の厚さxとは、サイドウォール部3におけるプライ本体部6aのコード中心から、タイヤ外表面までの最短距離のことを言う。具体的に図5を用いて説明すれば、カーカスのプライ本体部6aのタイヤ幅方向最外側端P2から、プライ本体部6aの法線とタイヤ外表面との交点まで、ここではタイヤ最大幅位置P1までの距離のことである。
本発明のタイヤでは、図4(a)を用いて説明したように、内圧のタイヤ幅方向外側向きの成分の割合が従来のタイヤよりも多くなる。従って、領域Sでのサイドウォール部を一定の厚みにすることで、タイヤ幅方向外側向きの力を均等に受けることができ、その結果、より良好な操縦安定性を実現することが可能となる。なお、内圧による力を安定的に受けるため及び外部からの損傷、発熱による耐久性の低下を考慮した場合、領域Sでのサイドウォール部3の厚さxは3.0〜5.0mmであることが好ましい。
ここで、サイドウォール部の厚さxとは、サイドウォール部3におけるプライ本体部6aのコード中心から、タイヤ外表面までの最短距離のことを言う。具体的に図5を用いて説明すれば、カーカスのプライ本体部6aのタイヤ幅方向最外側端P2から、プライ本体部6aの法線とタイヤ外表面との交点まで、ここではタイヤ最大幅位置P1までの距離のことである。
本発明のタイヤでは、図4(a)を用いて説明したように、内圧のタイヤ幅方向外側向きの成分の割合が従来のタイヤよりも多くなる。従って、領域Sでのサイドウォール部を一定の厚みにすることで、タイヤ幅方向外側向きの力を均等に受けることができ、その結果、より良好な操縦安定性を実現することが可能となる。なお、内圧による力を安定的に受けるため及び外部からの損傷、発熱による耐久性の低下を考慮した場合、領域Sでのサイドウォール部3の厚さxは3.0〜5.0mmであることが好ましい。
また、凹部7のタイヤ径方向最内側端7aは、リム離反点Fのタイヤ径方向位置と、リム離反点Fから10mmタイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置との間のタイヤ径方向領域内に在ることが好ましい。
リム離反点Fからタイヤ径方向外側に0〜10mmの範囲内にすることで、ビード周りのゴム使用量を充分に低減することができるため、適度なタイヤ剛性を維持しつつ、軽量化を図ることができるからである。
リム離反点Fからタイヤ径方向外側に0〜10mmの範囲内にすることで、ビード周りのゴム使用量を充分に低減することができるため、適度なタイヤ剛性を維持しつつ、軽量化を図ることができるからである。
次に、タイヤのサイズが275/80R22.5であり、図1に示すように、リム離反点からタイヤ最大幅位置までの領域内に凹部を有し、交点Aの仰角が40〜60°である発明例タイヤ1〜3を試作した。各諸元は、表1に示す通りである。
また、発明例タイヤ1と同様に凹部を有し、表1に示す諸元を有する比較例タイヤ1〜6も試作した。なお、タイヤ重量低減量(kg)とは、凹部を有していないタイヤからの低減量であり、すなわち凹部のゴム重量(kg)を表している。
また、発明例タイヤ1と同様に凹部を有し、表1に示す諸元を有する比較例タイヤ1〜6も試作した。なお、タイヤ重量低減量(kg)とは、凹部を有していないタイヤからの低減量であり、すなわち凹部のゴム重量(kg)を表している。
そして、これらの発明例タイヤ1〜3、比較例タイヤ1〜6のそれぞれを、リムサイズ8.25×22.5、リム幅8.25インチ(21.0cm)のリムに組付け、内圧を900kPaとして車両に装着し、以下の試験を行うことにより、操縦安定性及び耐久性の評価を行った。
<操縦安定性評価>
上記のタイヤを装着した車両によって晴天時のテストコースを走行した際の、テストドライバーによる制動性、加速性、直進性及びコーナリング性を総合的にフィーリング評価することによって行った。評価結果は、表2に示す通りである。表2中の評価は、比較例タイヤ1の結果を100として指数で表したものであり、数値が大きいほど操縦安定性が良好であることを示す。
上記のタイヤを装着した車両によって晴天時のテストコースを走行した際の、テストドライバーによる制動性、加速性、直進性及びコーナリング性を総合的にフィーリング評価することによって行った。評価結果は、表2に示す通りである。表2中の評価は、比較例タイヤ1の結果を100として指数で表したものであり、数値が大きいほど操縦安定性が良好であることを示す。
<耐久性評価>
タイヤ内に酸素充填(酸素濃度90%以上)し上記サイズのリムに組付けた状態で、60℃の恒温庫にて60日間保管することにより経年変化したタイヤをドラム試験機上に取り付けた。そして、JATMAによる規格荷重の110%(3575kg)、試験速度60km/hにて、サイドフォースが0.3G(975kg)となるようにスリップ角を付与した状態で、直径1.7mのドラム試験機上を繰り返し転動させた。表1に示す耐久性評価の結果は、繰り返し転動の過程において、凹部からの亀裂の発生及び進展に至るまでの走行距離を計測することにより、これを指数化して表したものである。表2中の評価は、比較例タイヤ1の結果を100としたものであり、数値が大きいほど、耐久性が良いことを示している。
タイヤ内に酸素充填(酸素濃度90%以上)し上記サイズのリムに組付けた状態で、60℃の恒温庫にて60日間保管することにより経年変化したタイヤをドラム試験機上に取り付けた。そして、JATMAによる規格荷重の110%(3575kg)、試験速度60km/hにて、サイドフォースが0.3G(975kg)となるようにスリップ角を付与した状態で、直径1.7mのドラム試験機上を繰り返し転動させた。表1に示す耐久性評価の結果は、繰り返し転動の過程において、凹部からの亀裂の発生及び進展に至るまでの走行距離を計測することにより、これを指数化して表したものである。表2中の評価は、比較例タイヤ1の結果を100としたものであり、数値が大きいほど、耐久性が良いことを示している。
表2の結果から、リム離反点からタイヤ最大幅位置までの領域内に凹部を有する空気入りタイヤにおいて、交点Aの仰角αが40〜60°である場合に、良好な操縦安定性を実現できることが分かった。また、交点Aの仰角αを60°超にすると、ビードフィラーが割れる故障が発生することが分かった。さらに、サイドウォール部の幅方向厚さxを3.0〜5.0mmにすることで、耐外傷性も確保出来ることが分かった。
この発明によれば、十分な軽量化を実現しつつ、優れた操縦安定性および耐久性を確保した、空気入りタイヤを提供することが可能となった。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6a プライ本体部
6b 巻き付け部
7 凹部
7a 凹部7のタイヤ径方向最内側端
8 ビードヒール
A 法線mとプライ本体部6aとの交点
B 基準線nとプライ本体部6aとの交点
C 曲率中心
F リム離反点
W6 カーカス6のタイヤ幅方向最大幅
W8 ビードヒール8のタイヤ幅方向幅
H カーカス高さ
r 曲率半径
m 曲率中心Cから、プライ本体部6aのタイヤ幅方向外側へ凸となる部分へ引いた法線
n 曲率中心Cを通ってタイヤ回転軸と平行な基準線
q 二点の交点A、Bを結ぶ直線
α 直線qと基準線nとが成す交点Aの仰角
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6a プライ本体部
6b 巻き付け部
7 凹部
7a 凹部7のタイヤ径方向最内側端
8 ビードヒール
A 法線mとプライ本体部6aとの交点
B 基準線nとプライ本体部6aとの交点
C 曲率中心
F リム離反点
W6 カーカス6のタイヤ幅方向最大幅
W8 ビードヒール8のタイヤ幅方向幅
H カーカス高さ
r 曲率半径
m 曲率中心Cから、プライ本体部6aのタイヤ幅方向外側へ凸となる部分へ引いた法線
n 曲率中心Cを通ってタイヤ回転軸と平行な基準線
q 二点の交点A、Bを結ぶ直線
α 直線qと基準線nとが成す交点Aの仰角
Claims (4)
- トレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部とを連ねて成り、前記ビード部に埋設された一対のビードコア間にトロイド状に延在するプライ本体部と、該プライ本体部から延びて各ビードコアの周りをタイヤ幅方向内側から外側に巻き回される巻き付け部とからなる少なくとも一枚のプライによるカーカスを備え、さらに、リム離反点から前記サイドウォール部のタイヤ最大幅位置までのタイヤ外表面にタイヤ幅方向内側に凹となる凹部を有する空気入りタイヤであって、
リムに組み付けていない非リム組状態の、タイヤ幅方向断面において、前記凹部を画定する前記タイヤ外表面のタイヤ径方向最内側点から、タイヤ径方向外側に、前記タイヤ外表面のペリフェリに沿ってペリフェリ長さ8mm離間した点までの範囲をタイヤ径方向最内側域とするとき、該タイヤ径方向最内側域をなす曲線を最小二乗法により円弧で近似した際の該円弧の曲率中心Cから前記プライ本体部のタイヤ幅方向外側へ凸となる部分へ引いた法線と該プライ本体部との交点A、そして前記曲率中心Cを通ってタイヤ回転軸と平行な基準線と前記プライ本体部との交点B、の二点を結ぶ直線が前記基準線と成す、交点Aの仰角が40〜60°であり、
前記円弧の曲率半径は5〜80mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記非リム組状態において、前記カーカスのタイヤ幅方向最大幅は、一対のビードヒール間距離の115〜135%であり、前記カーカスのタイヤ幅方向最外側端は、前記カーカスのタイヤ径方向最内側端からカーカス高さの45%タイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置と、前記カーカスのタイヤ径方向最内側端からカーカス高さの60%タイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置との間のタイヤ径方向領域内に在る、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記非リム組状態において、前記凹部のタイヤ径方向最内側端は、前記リム離反点のタイヤ径方向位置と、該リム離反点から10mmタイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置との間のタイヤ径方向領域内に在る、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイドウォール部におけるプライ本体部のコード中心からタイヤ外表面までの最短距離をサイドウォール部の厚さとしたとき、前記非リム組状態における、前記カーカスのタイヤ径方向最内側端から前記カーカス高さの45%タイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置と、前記カーカスのタイヤ径方向最内側端から前記カーカス高さの60%タイヤ径方向外側寄りのタイヤ径方向位置との間のタイヤ径方向領域において、前記サイドウォール部の厚さは一定であり、該領域内において、前記サイドウォール部の厚さは3.0〜5.0mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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