JP5576307B2 - 固定用クリップ - Google Patents
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衝撃入力時には、インフレータから高圧ガスが吹き出してエアバッグ袋体が膨張し、エアバッグ袋体の膨張圧により、ピラーガーニッシュを車室内側に移動させる。そして、車体ピラーとピラーガーニッシュとの間に隙間が形成され、その隙間を通してエアバッグ袋体が車室内に展開する。
このように、エアバッグ袋体は、ピラーガーニッシュを車室内側に移動させて展開するため、ピラーガーニッシュは、エアバッグ袋体の展開を阻害しないように車体ピラーに取り付けられる必要がある。
また、ピラーガーニッシュに取り付けられた棒状固定金具は、ピラーガーニッシュとともに車室内方向へ引っ張られて移動する。そして、棒状固定金具の第1フランジ部の縁が、係止孔の周縁に引っ掛かることにより、ピラーガーニッシュが車体ピラーから外れて飛散するのを防止している(例えば、特許文献1の図6参照)。
以下に図10を用いて、せん断応力による固定用クリップ200の破損について具体的に説明をする。なお、以下では、車両の上下方向をX方向とし、車両の前後方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向として説明している。Z方向は、固定用クリップの中心軸Oに沿う方向ある。また、−Z側は車室内側であり、エアバッグ袋体の展開時に不図示のピラーガーニッシュが移動する方向となっている。
このため、エアバッグ袋体の展開中、係合された凸部と凹部との間に、ガーニッシュの移動方向と交差する方向に力が作用すると、凸部の外側壁は張り出し部の傾斜面に当接する。そして、張り出し部の傾斜面は、ガーニッシュの移動方向と交差する方向に向かう力のベクトルを傾斜面に沿う方向に分散させることができる。これにより、エアバッグ袋体の展開中、傾斜面に沿うように凸部と凹部とが相対移動しながら係合が解除されるので、固定用クリップにせん断応力が作用するのを抑制できる。したがって、エアバッグ袋体の展開中における固定用クリップの破損を防止できる。
本発明によれば、凹部と凸部との係合時に、凸部の外側壁に形成された突起部が凹部の内側壁に当接するので、ピン部材とベース部材との間のガタつきを防止できる。これにより、車両走行時に、ピン部材とベース部材との間のガタつきに起因するノイズの発生を防止できる。
このため、エアバッグ袋体の展開中、係合された凸部と凹部との間に、ガーニッシュの移動方向と交差する方向に力が作用すると、凸部の外側壁は張り出し部の傾斜面に当接する。そして、張り出し部の傾斜面は、ガーニッシュの移動方向と交差する方向に向かう力のベクトルを傾斜面に沿う方向に分散させることができる。これにより、エアバッグ袋体の展開中、傾斜面に沿うように凸部と凹部とが相対移動しながら係合が解除されるので、固定用クリップにせん断応力が作用するのを抑制できる。したがって、エアバッグ袋体の展開中における固定用クリップの破損を防止できる。
(サイドカーテンエアバッグ装置を備えた車両)
図1は、本実施形態の車両1を示す斜視図である。なお、以下の説明では、前後方向は車両1の前後方向を示し、左右方向は車両1の左右方向を示し、上下方向は車両1の上下方向を示している。
図1に示すように、車両1のフロントピラー2(車体ピラー)、ルーフサイドレール部3、およびリヤピラー4の車室内側には、前後方向に延在するようにサイドカーテンエアバッグ装置5が設けられている。
なお、以下の説明では、フロントピラー2の延在方向をY方向と定義し、車両前方を+Y方向とし、車両後方を−Y方向としている。また、ガーニッシュ15の移動方向をZ方向と定義し、車室外側を+Z方向とし、車室内側を−Z方向としている。また、Y方向およびZ方向と直交する方向をX方向とし、車両上方を+X方向とし、車両下方を−X方向としている。なお、Z方向は、後述する固定用クリップ20の中心軸Oに沿う方向となっている。以下では、必要に応じてXYZ座標系を用いて説明をする。
フロントピラー2の車室内側には、ピラーインナパネル9およびサイドカーテンエアバッグ装置5のエアバッグ袋体5aを覆うように、ガーニッシュ15が設けられている。なお、ガーニッシュ15は車両1の左右に設けられているが、左右のガーニッシュ15は同様の構成をしている。したがって、以下では、右側のガーニッシュ15についてのみ説明し、左側のガーニッシュ15については説明を省略する。
ガーニッシュ15の車室外側の内面15aには、固定用クリップ20を固定するためのクリップ取付部40が、ガーニッシュ15の延在方向に沿って複数個形成されている。クリップ取付部40は、ガーニッシュ15の車室外側の内面15aからピラーインナパネル9側へ向かって突出されて形成されている。クリップ取付部40の先端側は、平坦に形成された台座部41となっている。台座部41には、ピラーインナパネル9のピン部材挿入孔9aと対向する位置に、固定用クリップ20のベース部材31が挿入されて係止されるベース部材挿入孔41aが形成されている。
ガーニッシュ15は、固定用クリップ20を介して、ピラーインナパネル9に固定されている。
図3は、車室内側から見た固定用クリップ20の斜視図である。
図4は、車室外側から見た固定用クリップ20の斜視図である。
図5は、図3におけるB−B線に沿った断面図である。
図3、図4および図5に示すように、固定用クリップ20は、ピラーインナパネル9に係止される樹脂からなるピン部材21と、ガーニッシュ15に係止される樹脂からなるベース部材31と、の2部材により形成されている。
図6に示すように、ピン部材21は、略四角筒状に形成された中空のピン本体部21aと、ピン本体部21aの−Z側端面から延設されたストローク部21bと、を備えている。
ピン部材21は、+Z側にピン本体部21aを配置し、−Z側にストローク部21bを配置して、ピラーインナパネル9に取り付けられている(図2参照)。
挿入部22は、−Z側から+Z側に向かって端部の外形が小さくなるように、略テーパ状に形成されている。このように挿入部22を形成することにより、ピラーインナパネル9のピン部材挿入孔9a(図2参照)にピン部材21を挿入する際の挿入荷重が軽減され、ピラーインナパネル9にピン部材21を容易に挿入できる。
図5に示すように、係止爪24aは、ピン本体部21aの+Z側から−Z側に向かって外形が大きくなるように、略テーパ状に形成されている。
図7に示すように、ベース部材31は樹脂からなる部材であり、Z方向平面視で略矩形状に形成されている。
ベース部材31は、ガーニッシュ15に形成されたクリップ取付部40に取り付けられており、ベース部材31の外側面37の+X側壁37aおよび−X側壁37bには、ガーニッシュ15に係止される第2係止部39が形成されている。
ストローク規制爪部36は、ベース部材31の外側に向かって可撓性を有するように形成されている。ストローク規制爪部36が外側に撓むことにより、ストローク部21b先端のストローク規制部28を貫通孔35に挿通できる。また、ストローク部21b先端のストローク規制部28が貫通孔35に挿通した後は、ストローク規制爪部36はもとの位に戻るようになっている。
このため、エアバッグ袋体5aの展開中にベース部材31がガーニッシュ15とともに−Z側(車室内側)へ移動したときには、ベース部材31のストローク規制爪部36がストローク規制部28に引っ掛かり、ベース部材31およびガーニッシュ15の移動が規制される。
突起部27の突出高さをこのように設定することで、ベース部材31の凹部32とピン部材21の凸部25とを係合したとき、凹部32の内側壁33における+X側面33aおよび−X側面33cに、突起部27の先端が当接する。これにより、ピン部材21とベース部材31とが位置決めされるので、ピン部材21とベース部材31との間のガタつきを防止できる。したがって、車両走行時に、ピン部材21とベース部材31との間のガタつきに起因するノイズの発生を防止できる。
張り出し部38の張り出し高さは、ベース部材31の凹部32とピン部材21の凸部25(図6参照)とを係合したときの、凹部32の+X側面33aと凸部25の+X側面23a(図6参照)との離間距離、および凹部32の−X側面33cと凸部25の−X側面23c(図6参照)との離間距離よりも若干低くなるように形成されている。
また、一対の張り出し部38の先端面は、傾斜面38aとなっている。傾斜面38aは、凹部32の底部32bから開口32aに向かって、漸次外側に傾斜するように形成されている。
続いて、張り出し部38の傾斜面38aの作用について、図面を参照しながら説明する。
図8は、エアバッグ袋体5a(図2参照)の展開中における固定用クリップ20およびガーニッシュ15の説明図である。
図9は、エアバッグ袋体5aの展開後における固定用クリップ20およびガーニッシュ15の説明図である。
側面衝突やロールオーバー等により、図1に示す車両1に衝撃が入力され、所定以上の加速度が検出されると、インフレータ6から高圧ガスが吹き出し、図2に示すエアバッグ袋体5aが膨張する。これにより、図2に示すように、ガーニッシュ15の下壁15bは、エアバッグ袋体5aの膨張圧により車室外側から車室内側に向かって、下方(図2における白抜き矢印の方向)に押圧される。
そして、図8に示すように、この力によりベース部材31は、ガーニッシュ15とともに車室外側から車室内側および下方に向かって移動し、固定用クリップ20におけるピン部材21の凸部25とベース部材31の凹部32との係合が解除される。
本実施形態によれば、ベース部材31の凹部32は、ガーニッシュ15の移動方向に沿う方向に開口32aを有し、凹部32の内側壁33の+X側面33aおよび−X側面33cに、ピン部材21の凸部25における外側壁23の+X側面23aおよび−X側面23cに向かって張り出し部38が形成されている。また、この張り出し部38の先端面は、凹部32の底部32bから開口32aに向かって漸次外側に傾斜する傾斜面38aとなっている。
このため、エアバッグ袋体5aの展開中、係合された凸部25と凹部32との間に、ガーニッシュ15の移動方向と交差する方向に向かって力Fsが作用すると、凸部25の外側壁23の+X側面23aは、張り出し部38の傾斜面38aに当接する。そして、張り出し部38の傾斜面38aは、凸部25に作用するガーニッシュ15の移動方向と交差する方向に向かう力Fsのベクトルを、傾斜面38aに沿う方向に力Fbと、力Fbと直交する方向に向かって凹部32に対して作用する力Faとに分散させることができる。これにより、エアバッグ袋体5aの展開中、傾斜面38aに沿うように凸部25と凹部32とが相対移動しながら係合が解除される際、固定用クリップ20にせん断応力が作用するのを抑制できる。したがって、エアバッグ袋体5aの展開中における固定用クリップ20の破損を防止できる。
本実施形態の固定用クリップ20は、ベース部材31に凹部32が形成され、ピン部材21に凸部25が形成されていたが、ベース部材31に凸部が形成され、ピン部材21に凹部が形成されてもよい。
また、凹部32の+X側面33aおよび−X側面33cに形成された張り出し部38の個数や形成位置等は、本実施形態に限られない。これと同様に、凸部25の+X側面23aおよび−X側面23cに形成された突起部27の個数や形成位置等は、本実施形態に限られない。
Claims (2)
- 車体ピラーと、前記車体ピラーの車室内側に設けられたエアバッグ袋体を覆い前記エアバッグ袋体の展開中に前記車室内側に移動するガーニッシュと、に取り付けられる固定用クリップであって、
前記車体ピラーに係止される第1係止部を有するピン部材と、
前記ガーニッシュに係止される第2係止部を有するベース部材と、
前記ピン部材および前記ベース部材のいずれか一方に設けられ、前記ガーニッシュの移動方向に沿う方向に開口を有する凹部と、
前記ピン部材および前記ベース部材のいずれか他方に設けられ、前記凹部と係合する凸部と、
を備え、
前記エアバッグ袋体の展開中には、前記ガーニッシュとともに前記ベース部材が前記車室内側に移動して、前記凹部と前記凸部との係合が解除される固定用クリップであって、
前記凹部の内側壁の少なくとも一部に、前記凸部の外側壁に向かって張り出し部が形成されており、前記張り出し部の先端面が前記凹部の底部から前記開口に向かって漸次外側に傾斜する傾斜面となっており、
前記張り出し部の張り出し高さは、前記張り出し部が形成された前記凹部の前記内側壁と、前記張り出し部と対向する前記凸部の前記外側壁との離間距離よりも低いことを特徴とする固定用クリップ。 - 前記凸部の前記外側壁には、前記凹部と前記凸部との係合時に、前記凹部の前記内側壁に当接する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固定用クリップ。
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