JP5549044B2 - 駆動制御装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動制御装置、及び回転体を使用するファクシミリ、プリンタ、複写機等の画像形成装置に係り、さらに詳しくは、像担持体と移動体との対向位置で像担持体上の可視像を移動体側に転写する中間転写体を使用した画像形成装置に関する。
複数の現像ユニット及び中間転写ベルトを有する画像形成装置、特にカラー画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、中間転写ベルトを駆動する駆動ローラの偏心による回転むら、駆動ローラの熱膨張、記録媒体の搬送時における中間転写ベルトへの負荷、感光体ドラムの1次転写バイアスにおける中間転写ベルトへの負荷等、に起因した中間転写ベルトの搬送速度の変動が、カラー画像中の色ずれの原因なることが知られている。この色ずれの原因の一つは、中間転写ベルトに各色を重畳させる時に複数色のトナー像の形成位置が互いにずれてしまうことである。このような色ずれを解消するため、中間転写ベルトの速度変動を減少させる幾つかの方法が提案されている。その1つとして、中間転写ベルトの従動ローラに角速度検知用のロータリエンコーダを設け、このエンコーダを用いて駆動ローラの回転むらを補正する方法がある。この方法に用いられるロータリエンコーダは、例えば、従動ローラの回転軸に同軸に設けられたディスクと、このディスクを間に挟んで互いに対向する透過型のフォトインタラプタとよりなる。ディスクには放射状に多数のスリット孔が設けられており、フォトインタラプタによりスリットを通過する光を検出して生成されるパルス信号のパルス時間を検出する。その検出値に基づいて中間転写ベルトの搬送速度が割り出され、駆動ローラの回転をフィードバック制御する。
上述のようなエンコーダを使用した画像形成装置として例えば特許文献1あるいは2に記載された発明が知られている。特許文献1には、フィルタを用いることなく、ローラの偏心に起因するベルト走行速度変動を解消することを目的とした技術が開示されている。この技術によれば、駆動ローラを定速で回転駆動している状態で、エンコーダからのパルス信号から検知される従動ローラの角速度情報を、駆動ローラの1周期分にわたって第1メモリに記憶する。その記憶した角速度情報の中で、演算回路の演算により駆動ローラの偏心による速度変動成分を相殺することにより、従動ローラの偏心による速度検知誤差成分を抽出し、抽出した速度検知誤差成分を第2メモリに記憶する。画像形成時には、エンコーダからのパルス信号から検知される従動ローラの角速度情報と第2メモリに記憶された速度検知誤差成分との差分を差分回路で求める。そして、その差分データを基に、比較回路がモータドライバに制御信号を出力することにより、ベルト走行速度を制御する。
特許文献2には、物理的に分解能が小さいエンコーダを用いても優秀な制御成績を上げることができる画像形成装置が開示されている。画像形成装置は、露光により感光体上に潜像を形成し、現像、転写、定着することにより記録紙上に画像を形成する形成手段と、転写工程に用いる移動手段と、移動手段を回転駆動する駆動手段とを有する。移動手段の移動距離情報または移動速度情報をエンコーダにより検出する。エンコーダの出力から位置偏差または速度偏差を求め、位置偏差または速度偏差に対し所定の演算を行う。演算で得られた結果をもとに駆動源を制御する。この画像形成装置では、エンコーダの出力区間内で、所定の周期T1にてカウントを行う。
特開2000−047547号公報 特開2004−205717号公報
しかしながら、ロータリエンコーダのスリットの幅を均一にし、またスリットの間隔を等間隔にしないと、スリット幅の誤差やスリット間隔の誤差も中間転写ベルトの速度変化として認識されてしまう。このため、スリット形成の加工精度や位置精度を高く維持する必要があり、製造上コストアップになってしまう。スリット間隔が完全に均一な等間隔となるように精密に加工することは非常に難しい。
また、放射状に設けられたスリット(被検知物)の間隔における誤差量を割り出している間に、様々な中間転写ベルトへの負荷等による速度変動がその誤差量に含まれてしまうことがある。そのため、各々の被検知物の間隔とその誤差量を常に対応させておく必要がある。すなわち、中間転写ベルトが停止したときも、どこの被検知物の間のどの位置で停止したか等を完全に把握しておく必要がある。しかし、ユーザ等が中間転写ユニットを取り外して中間転写ベルトを動かした場合は、その対応関係が狂ってしまう。加えて、中間転写ベルトが回動している時に各々の被検知物の間隔を示す検出信号にノイズが入り、検出を誤ったときには、その対応が取れなくなってしまうおそれもある。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、スリット等の被検知物の間隔を均一な等間隔にする必要はなく、安価に被検知物を形成することができ、そのようなスリットを用いてもより精度良く回転体の駆動を制御することができるようにすることである。
上述の目的を達成するために、本発明の一つの面によれば、回転体の回転速度を制御する駆動制御装置であって、該回転体を駆動する回転駆動体と、前記回転体に設けられた複数の被検知物と、前記回転体の回転に伴って回転する該被検知物を検出し、検出信号を出力する検出器と、該検出信号に基づいて前記回転体の角速度を検出し、前記回転駆動体の回転速度を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記回転駆動体の一周期分の時間に基づいて前記回転体の角速度を検出し、検出した角速度に基づいて前記回転駆動体の回転速度を制御しながら、前記被検知物の間隔の誤差量を、前記回転体の半回転毎に算出し、複数回算出された該誤差量の平均値に基づいて前記回転駆動体の回転速度をさらに制御することを特徴とする駆動制御装置が提供される。
また、本発明の他の面によれば、回転する無端状のベルトであって、トナー像が一次転写像として転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルトを駆動する駆動ローラと、前記中間転写ベルトの移動に伴って回転する従動ローラと、該従動ローラと共に回転する複数の被検知物と、前記被検知物を検知し、検出信号を出力する検出器と、を有し、前記中間転写ベルト上に転写された前記一次転写像を記録媒体上に転写することにより、二次転写像を前記記録媒体上に形成する画像形成装置であって、前記該検出信号に基づいて前記従動ローラの角速度を検出し、該角速度に基づいて前記駆動ローラの回転速度を制御する制御部を更に有し、前記制御部は、前記駆動ローラの一周期分の時間に基づいて前記従動ローラの角速度を検出し、検出した角速度に基づいて前記駆動ローラの回転速度を制御しながら、前記被検知物の間隔の誤差量を、前記駆動ローラの半回転毎に算出し、複数回算出された該誤差量の平均値に基づいて前記駆動ローラの回転速度をさらに制御することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、被検知物の間隔の誤差量を算出し、間隔毎の移動時間を誤差量分だけ補正しながら回転駆動体の回転速度を制御するので、被検知物の間隔を均一な等間隔にする必要はなく、安価に被検知物を形成することができるとともに、回転駆動体の回転速度を精度良く制御することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるフルカラー画像形成装置の中間転写ユニットの概略構成を示す図である。図1に示す中間転写ユニットは、4つの像担持体である感光体ドラム10Y,10C,10M,10Kと、その各感光体ドラム上に形成した潜像を互いに異なる色のトナー像にそれぞれ現像する4個の現像ユニット11Y,11C,11M,11Kと、異なる色のトナー像がそれぞれ重ね合わせ状態に一次転写される矢印A方向に回転する中間転写ベルト12とを備えている。なお、以下の説明において、Y,M,C,Kの各色に共通な構成部品の符号には、色を表すY,M,C,Kの添え字は省略する。
中間転写ベルト12は無端状のベルトであり、本実施形態では、中間転写ベルト12の下部側に、中間転写ベルト12の回転方向に沿って、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの各色用の4個の上述した感光体ドラム10を並列にそれぞれ配置されている。感光体ドラム10の回りには、帯電装置(図示せず)と、上述の現像ユニット11と、一次転写装置を構成する一次転写ローラ13と、クリーニングユニット(図示せず)とが配設されている。
感光体ドラム10の帯電装置により帯電された帯電面には、露光装置7からイエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの各色に対応したレーザ光が照射されて、レーザ光が照射された感光体ドラム10の表面部分に潜像がそれぞれ形成される。感光体ドラム10には、一次転写ローラ13がそれぞれ対向配置されており、一次転写ローラ13と感光体ドラム10との間には中間転写ベルト12が挟まれた状態で回動する。中間転写ベルト12は、駆動ローラ14とテンションローラ15と従動ローラ16とに支持される。回転駆動体としての駆動ローラ14は、駆動モータ4により減速ギア5を介して、矢印A方向に回動する。駆動ローラ14に対向する位置には、中間転写ベルト12を挟んで二次転写ローラ17が配設されている。
本実施形態による画像形成装置において、プリント動作が開始されると、各感光体ドラム10が図1で時計回り方向に回転し、その表面が帯電装置により一様に帯電さる。その帯電面に露光装置7からイエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの各色の画像に対応した光が照射されて、そこに潜像がそれぞれ形成される。その各潜像は、それぞれの現像ユニット11により現像されて、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの各色のトナー像となる。その各色のトナー像は、矢印A方向に回動している中間転写ベルト12に、それぞれの一次転写ローラ13により正確に重ね合わせ状態で転写され、それにより中間転写ベルト12にはフルカラーの合成カラー画像(トナー像)が形成される。
感光体ドラム10の下方に配設されている給紙ユニット6から記録媒体である転写紙Pが所定のタイミングで給紙される。給紙された転写紙Pが駆動ローラ14と二次転写ローラ17との間に送り込まれると、中間転写ベルト12に担持されている合成カラー画像が二次転写ローラ17により転写紙Pに転写される。そして、その転写紙P上のトナー像が、定着ユニット8により定着され、排紙トレイ(図示せず)上に排出される。
中間転写ベルト12の回動に伴って従動回転する回転体としての従動ローラ16には、複数の被検知物であるスリット19aが形成された回転板であるディスク19が従動ローラ16に同軸に取り付けられている。なお、図1において、実際は従動ローラ16はディスク19の後ろにあるため図中に現れないが、図示の便宜上、従動ローラ16がディスク19より上方に付き出したように描かれている。
ディスク19の近傍には、一定の距離を置いて光学式センサ18が配設されている。光学式センサ18は、ディスク19に対して測定光を投射し、その反射光/透過光を受光してパルス状の検出信号を出力する。そして、そのパルス状の検出信号の変化点から変化点の時間が計測され、計測された時間から従動ローラ16の角速度、すなわち中間転写ベルト12の搬送速度が検出される。検出された搬送速度に基づいて、中間転写ベルト12の搬送速度が一定になるように制御される。この制御は搬送速度制御手段としての制御装置3により行われる。
なお、被検知物として、ディスク19の全周に渡って概ね等間隔に設けられたスリット19aを用いているが、スリット19aの代わりに、従動ローラ16の端面又は外周面に設けられた溝や切り欠き等を被検知物としてもよい。被検知物は、反射型の光学式センサ18(例えばフォトリフレクタ)を使用する場合には、印刷により形成された放射状の反射部である。透過型の光学式センサ18(例えばフォトインタラプタ)を使用する場合には、被検知物は放射状に形成された貫通長孔(ディスク19のスリット19a)である。なお、光学式センサ18に代えて例えば磁気センサを使用することができる。そのような場合には、例えば被検出物としてホール素子を上述の放射状の反射部と同じ位置に設ければよい。
光学式センサ18は、中間転写ベルト12の搬送速度を決めている駆動ローラ14に近い従動ローラ16に設けられ、実際の速度に近い搬送速度を検出するよう構成されている。駆動ローラ14の外周の長さは、従動ローラ16の外周の長さの偶数倍となっている。以下、駆動ローラ14の外周と従動ローラ16の外周との比は、2:1であるとして説明する。
図2は、従動ローラ16と、ディスク19と、ディスク19に形成された被検知物としてのスリット19aと、透過型センサとしての光学式センサ18の斜視図である。検出器としての光学式センサ18の発光素子からの出射光は、ディスク19のスリット(被検知物)19aを通過して受光素子に入射する。受光素子で発生した電圧は、電圧比較器により2値化され、検出信号としてパルス信号が生成される。
図3は、図1に示す画像形成装置に設けられた制御部である制御装置3のブロック図である。上述のように、従動ローラ16が1回転する毎に8パルスのパルス信号を発生する。制御部としての制御装置3は、パルスの立ち上がりから立ち上がりまで、またはパルスの立ち下がりから立ち下がりまでの間の移動時間を、クロック31から供給されるクロックパルスによりカウントするカウンタ部30を備えている。クロック31は、一定時間間隔の周期的なクロックパルスを、例えば数百KHz〜数MHzといった高い周波数で発生する。本実施形態では、クロック31は水晶発振器で構成されている。また、制御装置3は、移動時間のカウント値を格納するRAM33と、角速度(移動速度)を求め、目標速度との差分を求めて一定速度となるような速度補正量を求める演算部32と、その速度補正量を基にモータドライバ35に現速度より変化させたモータ駆動クロックを出力するモータ駆動部34とを備えている。RAM33には速度補正量を求める際に必要となるフィードバック係数(ここではPID係数)が記憶されている。モータ駆動部34はモータドライバ35を介して駆動モータ4を駆動する。駆動モータ4の駆動力は減速ギア5を介して駆動ローラ14に伝達される。
図4は、図3に示すカウンタ部30の一動作のタイミングチャートである。カウンタ部30により光学式センサ18からの検出信号の立ち下がりでカウントが開始されると、クッロク31からのカウントクロックの例えば立ち上がりでカウント値が次々とアップカウントされる。そして、次の検出信号の立ち下がりが入力されると割込が発生し、その時点のカウント値(図ではE000h)が、演算部32のレジスタに転送されると同時にカウント値がクリアされ、演算部32での所定の演算処理が開始される。そして、さらに次のカウントが開始される。ここで、割込とは、カウンタをクリアしてカウントアップを再度始めることを意味する。
演算部32は、その割込をトリガにし、適宜そのレジスタからカウント値をリードし、後述する所定の演算処理を行う。検出信号の変化点間のカウント値は、従動ローラ16の角速度に応じて変化する。具体的には、従動ローラ16の角速度が速くなると、カウント値は小さくなり、逆に遅くなるとカウント値は大きくなる。中間転写ベルト12の搬送速度が一定で且つスリット19aが均一な等間隔であるならば、カウント値はいつも同じ値である。またスリット19aが均一な等間隔であるならば、カウント値の変化量は中間転写ベルト12の搬送速度のみに比例する。しかしながら、スリット19aは物理的に完全に均一な等間隔にすることは不可能であり、少なからず間隔に誤差が生じている。そこで、後述する方法で、その誤差量を求める。
図5は、誤差量を割り出している期間の演算部32の動作を説明するための図である。光学式センサ18から出力される検出信号におけるパルスの一つをn番目とすると、まずRAM33に記憶されているカウント値より、従動ローラ16の1/8回転の移動時間の現求めたカウント値を含めて過去16回分のカウント値を積算し、その積算値から角速度(移動速度)を求める。そして、その角速度と目標速度との差分を求めて一定速度なるような速度補正量を求め、これに基づいて速度制御を行う。次に、n+1番目のパルスについても同様な処理を行い、n+2番目のパルス、n+3番目のパルス、についても順次同様な処理を行う。このように駆動ローラ14の1回転周期から速度補正量を求めることにより、駆動ローラ14の偏心の影響を受けずに、制御を行うことができる。また、制御をパルス毎に行うことにより、細かい時間で制御を行うことができる。すなわち、中間転写ベルト12の搬送速度は、駆動ローラ14の偏心成分の速度変動のみが残り、他の速度成分は一定になるように制御される。
図6は、駆動ローラ14の偏心による速度変動とその速度成分の相殺方法を示す図である。ここで、駆動ローラ14の偏心とは、駆動ローラ14の断面形状が真円ではなく、例えばその直径が一方向に長くなったような長円であることを意味する。偏心は駆動ローラの成形工程で発生する形状誤差のようなものであり、偏心の全くないローラを形成することは非常に難しい。一般的に、ローラの偏心運動はその周期に応じて図6に示すように変化する。したがって、駆動ローラ14の偏心に起因する速度変動は検出誤差として検出されてしまう。そのため、駆動ローラ14の少なくとも1回転毎(図では1回転毎)の積分時間、すなわち1回転毎のカウント値を基に移動時間を求めることにより、その速度変動による検出誤差をキャンセルすることができる。ここで、駆動ローラ14の外周を従動ローラ16の外周の偶数倍とすることにより、後述する誤差量を割り出す時に、次に述べる方法で駆動ローラ14の偏心に起因した速度成分を相殺させることが可能となる。
まず、駆動ローラ14の1回転の周期に対して、その半周期が従動ローラ16の1回転に相当し、その外周は1:2の関係となっている。さらに、光学式センサ18から出力される検出信号のある一つのパルスをn番目とし、従動ローラ16の回転周期に対しそのサンプリング間隔を8回とする。その各々のサンプリング間隔は、被検知物であるスリット19aの物理的な間隔誤差に応じて僅かに異なっている。今、n番目のパルスにおける従動ローラ16の1/8回転の移動時間と次の駆動ローラ14の半周期後、すなわちn+8番目のパルスにおける従動ローラ16の1/8回転の移動時間は(図6における斜線の部分)、駆動ローラ14の偏心成分の符号が異なるだけで、その移動時間の絶対値は等しい。よって、n番目のパルスのカウント値とn+8番目のパルスのカウント値を加算して2で割り、スリット19aが完全に均一な等間隔である時の理想カウント値の差からスリット19aのm=1番目の誤差量を求めることができる。同様に、n+1番目とn+9番目からm=2番目の誤差量を求め、(n+2,n+10),・・・,(n+7,n+15)においても続けて求め、全てのスリット19aである計8個、すなわちm=1〜m=8番目の誤差量が割り出される。そして、同様な方法で、次の駆動ローラ14の何周かでm=1〜m=8の誤差量の割り出しを何回か行い、求めた誤差量を平均することにより、より精度良く誤差量を求めることができる。
図7は、駆動モータ4の起動直後、カウンタ部30のカウント開始からの制御装置3の駆動ローラ14に対する制御を示すタイムチャートである。
駆動ローラ14の1回転周期分の移動速度(角速度)を基にフィードバック制御(1)を行うために、カウント開始からn=16まではその1回転周期分を待つので無制御となる。フィードバック制御(1)とは、駆動ローラ14の熱膨張等に起因したゆるやかな速度変動による誤差を補正するための制御である。n=16になった時、初めて駆動ローラ14の1回転周期分の移動速度(角速度)が求められ、ここからフィードバック制御(1)が行われる。同時に、n=17〜24までの駆動ローラ14の半周期とn=25〜32までの駆動ローラ14の半周期におけるカウント値から、上述したようにm=1〜8に対する誤差量を割り出す(1回目)。また、n=25〜32の半周期とn=33〜40の半周期におけるカウント値から、誤差量を割り出す(2回目)。さらに、n=33〜40の半周期とn=41〜48の半周期におけるカウント値から、誤差量を割り出す(3回目)。それらの誤差量を平均化(ここでは3で平均化)する。n=49から駆動ローラ4の立ち下げまでは、スリット19aによるカウントの割込毎に、先に求めた誤差量を順序良く補正しながらフィードバック制御(2)が行われる。フィードバック制御(2)は、上述の駆動ローラ14の偏心に起因した速度変動による誤差を補正するための制御である。n=48以後は上述のフィードバック制御(1)とフィードバック制御(2)が同時に行われることとなる。
以上のように、上述の制御では、駆動ローラの最初の1回転では制御は行われず、2回転目から3回転目においてフィードバック制御(1)を行いながら誤差量の割り出しを行い、4回転目以降においてフィードバック制御(1)及びフィードバック制御(2)を同時に行うこととなる。誤差量の割り出しは、3回の平均とすることに限られず、少なくとも1回目に割り出した誤差量を用いることでもよい。また、誤差量の割り出しを半周期毎に行うことにより、1周期毎に誤差量を割り出す場合に比較して、半分の時間で誤差量の割り出しを同じ回数行うことができる。
図8は、本実施形態における制御装置3の制御動作の一例を示すフローチャートである。
この制御動作では、まず、プリント動作等において駆動モータ4が起動され一定速度に安定すると(ステップS10)、クロック31のカウントクロックによるカウント値をゼロにクリアし、カウンタ部30からの割込許可と共にカウント開始をONに設定する(ステップS11)。最初の割込におけるカウント値はカウント動作ONと検出信号の変化が同期しておらず、正確な値ではないので、1回目の割込における制御を無視し(ステップS12)、割込カウント数nを0にクリア(n=0)する(ステップS13)。
そして、カウンタ部30からの割込を待ち(ステップS14)、割込が発生すると、割込カウントを1インクリメント、すなわち、割込カウントをn=n+1とし(ステップS15)、カウンタ部30からレジスタに転送されたn番目におけるカウント値Tcをリードすると共に、RAM33にその値を格納する(ステップS16)。次に、割込カウント数nをチェックし、n=16になるまでステップS14に戻ってステップS17までの処理を繰り返す。すなわち、駆動ローラ14が1回転するまではS14に戻りS14〜S17の処理を繰り返す。割込カウント数nが16に達すると(n≧16になると)、割込カウント数nが16≦n≦24の範囲か判断する(ステップS18)。
この判定で、16≦n≦24の範囲である場合はステップS19に進み、ステップS16でリードしたカウント値Tcから角速度Vp1n[mm/s]を算出する。ここで、カウント値Tcは従動ローラ16の1/8回転毎(駆動ローラ14の1/16回転毎)のカウント値であるため、駆動ローラ14の1周期分のカウント値TCは、現リードしたカウント値を含めて過去16回のカウント値を積算し、
TC=Tcn−15+Tcn−14+Tcn−13+・・・+Tcn−2+Tcn−1+Tc
ただし、n=16,17,・・・,47,48
で求められる。
カウントクロックの最小カウント時間(サンプリング時間)をΔt[ms]とすると、駆動ローラ14の1周期分のカウント値TCにおけるカウント時間:T1[ms]は、
T1[ms]=TC×Δt ただし、n=16,17,・・・,47,48
より求められる。従動ローラ16の径+中間転写ベルト12の膜厚をr[mm]とすると、従動ローラ16の角速度Vp1[mm/s]は、
Vp1[mm/s]=r×π×2/T1×1000
ただし、n=16,17,・・・,47,48
より求められる。
ステップS18で12≦n≦20の範囲でないと判断された場合は、ステップS20に進み25≦n≦32の範囲か否かを判断する。25≦n≦32の範囲である場合はステップS21に進み、ステップS19と同様に角速度Vp1[mm/s]を算出すると共に、ステップS16でリードしたTcから誤差量1:ΔI1
ΔI1=Tc−(Tcn−8+Tc)/2
ただし、n=25,26,・・・,31,32
m=1,2,・・・,7,8
から算出する。
Tcは理想カウント値であり、中間転写ベルト12が基準速度で等速で且つ各々のスリット19aの間隔が完全に均一な場合の従動ローラ16の1/8回転におけるカウント値であり、
Tc=r×π/V/Δt/8×1000
r[mm]:従動ローラ16の径+中間転写ベルト12の膜厚
Vs[mm/s]:基準速度
Δt[ms]:カウントクロックの最小カウント時間
である。ステップS20にて25≦n≦32の範囲でないと判断された場合は、ステップS22に進み33≦n≦40の範囲か否かを判断する。33≦n≦40の範囲である場合はステップS23に進み、ステップS19と同様に角速度:Vp1[mm/s]を算出すると共に、ステップS16でリードしたTcnから誤差量2:ΔI2
ΔI2=Tc−(Tcn−8+Tc)/2
ただし、n=33,34,・・・,39,40
m=1,2,・・・,7,8
により算出する。
ステップS22にて33≦n≦40の範囲でないと判断された場合は、ステップS24に進み41≦n≦48の範囲か否かを判断する。41≦n≦48の範囲である場合はステップS25に進み、ステップS19と同様に角速度:Vp1[mm/s]を算出すると共に、ステップS16でリードしたTcから誤差量3:ΔI3を、
ΔI3=Tc−(Tcn−8+Tc)/2
ただし、n=41,42,・・・,47,48
m=1,2,・・・,7,8
により算出する。また、これまで求めた誤差量1,2,3:ΔI1,ΔI2,ΔI3より、誤差量:ΔI
ΔI=(ΔI1+ΔI2+ΔI3)/3
ただし、m=1,2,・・・,7,8
により算出する。
次に、ステップS26に進み、ノイズ等による誤りカウントを排除する。誤りカウントの場合はステップS13に戻り初めからやり直す。ステップS26では、Vp1が基準速度Vs[mm/s]の±1%の範囲内か否かとして判断している。OKの場合はステップS27で、操作速度:V1[mm/s]を算出する。算出は例えば以下のようにして行われる。まず、基準速度:Vs[mm/s]との差分値(偏差):Ve1[mm/s]を求める。
Ve1[mm/s]=Vs−Vp1
ただし、n=16,17,・・・,47,48
一方、その差分値に対する積分速度Vei1[mm/s]を求める。
Vei1[mm/s]=Ve1+Ve1n−1
ただし、n=16,17,・・・,47,48
このとき、差分値Ve1及び差分値に対する積分速度Vei1はRAM33に格納される。以上より、操作速度:V1[mm/s]は、
V1[mm/s]=Kp1×Ve1+Ki1×Vei1
Kd1×(Ve1−Ve1n−1)+Vs
ただし、Kp1は比例係数、Ki1は積分係数、Kd1は微分係数
n=16,17,・・・,47,48
より求まる。Kp1,Ki1,Kd1は、予めRAM33に格納されている。
一方、ステップS24にて41≦n≦48の範囲でないと判断された場合、すなわちn≧49の場合は、ステップS28に進み、ステップS16でリードしたTcから角速度:Vp2[mm/s]を算出する。Vp2の算出は例えば以下のように行われる。
すなわち、まず、TcをステップS25で求めたΔImで順序良く補正する。
Tcc=Tc+ΔI
ただし、n=49,50,・・・
m=1,2,・・・,7,8,1,2,・・・
カウントクロックの最小カウント時間(サンプリング時間)はΔt[ms]であるため、Tccにおけるカウント時間:T2[ms]は、
T2[ms]=Tcc×Δt
ただし、n=49,50,・・・
で求められる。従動ローラ16の径+中間転写ベルト厚膜をr[mm]とすると、従動ローラ16の角速度:Vp2[mm/s]は、
Vp2[mm/s]=r×π/16×T2×1000
ただし、n=49,50,・・・
より求まる。
次に、ステップS29に進み、ステップS26と同様にノイズ等による誤りカウントを排除する。誤りカウントの場合はステップS13に戻り初めからやり直す。ここでは、その判断を、ステップS26と同様に基準速度Vs[mm/s]の±1%の範囲としている。OKの場合はステップS30に進み、操作速度:V2[mm/s]を算出する。V2の算出はステップS27と同様で以下の通りである。
まず、基準速度:Vs[mm/s]との差分値(偏差):Ve2[mm/s]を、
Ve2[mm/s]=Vs−Vp2
ただし、n=49,50,・・・
により求める。
その差分値に対する積分速度Vei2n[mm/s]を、
Vei2n[mm/s]=Ve2n+Ve2n−1 n=49,50,・・・
により求める。
このとき、Ve2,Vei2はRAM33に格納する。以上より、操作速度:V2[mm/s]は、
V2[mm/s]=Kp2×Ve2+Ki2×Vei2
Kd2×(Ve2−Ve2n−1)+Vs
ただし、Kp2は比例係数、Ki2は積分係数、Kd2は微分係数
n=49,50,・・・
より求まる。Kp2,Ki2,Kd2は、予めRAM33に格納されている。
ステップS31では、ステップS27およびステップS30にて求めた操作速度に従い、モータ駆動部34に対して現速度より変化させたモータ駆動クロックを出力するようにモータ駆動部34に対して指令を出し、中間転写ベルト12の速度制御が行われる。ステップS32にてプリント動作等が終了か判断し駆動モータ4の停止と判断されると、ステップS33に進み、駆動モータ4を停止して今回の処理を終了する。
以上のように、本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1)各々のスリット(被検知物)の間隔における誤差量を割り出し、該各々のスリットの間隔毎の移動時間を該誤差量分補正しながら求め制御するので、各々のスリットの間隔を均一な等間隔にする必要はなく、安価にスリットを有するディスクを形成することができるとともに、駆動ローラ(回転駆動体)の回転速度を精度良く制御することができる。
2)角速度を駆動ローラの1周期分の積分時間より求め、それを各々のスリット(被検知物)の間隔毎に順次割り出し、各々のスリットの間隔毎に制御するので、各々のスリットの間隔の誤差量を割り出している間に、様々な中間転写ベルトへの負荷等による速度変動を減少させることが可能となり、各々のスリットの間隔の誤差量を含まず、より正確な誤差量を割り出すことができる。
3)駆動ローラが起動した直後に誤差量の割り出しを毎回行うことにより、中間転写ベルトが停止した時にどこのスリット(被検知物)の間隔で停止したか等を完全に把握しておく必要がなくなり、中間転写ユニットを取り外してユーザ等が中間転写ベルトを動かしても何も問題もなく、また中間転写ベルトが回動している時に各々のスリットの間隔を示す検出信号にノイズが入り検出が誤ったとしても、やり直しが簡単に行える。
4)何回か誤差量を割り出し、それらを平均とすることにより、様々な中間転写ベルトへの負荷等による速度変動が残ったとしても平滑化でき、さらに駆動ローラの1回転以内で発生するような速度変動に対しても平滑化することができるので、より正確な誤差量を割り出すことができる。
5)誤差量を割り出す際に、駆動ローラの外周を従動ローラの外周の偶数倍とし、駆動ローラの半周期分とさらに半周期分から駆動ローラの偏心による速度成分を相殺することにより、駆動ローラの偏心による速度変動を誤差量から排除することができるので、さらに正確な誤差量を割り出すことができる。
本発明の一実施形態によるフルカラー画像形成装置の中間転写ユニットの概略構成を示す図である。 図1に示す従動ローラとディスクと光学式センサの斜視図である。 図1に示す制御装置のブロック図である。 図3に示すカウンタ部の一動作のタイミングチャートである。 誤差量を割り出している期間の演算部の一動作を示す説明図である。 駆動ローラの偏心による速度変動とその速度成分の相殺方法を説明するための図である。 駆動モータ立ち上げ直後、カウンタ部のカウント開始からの制御装置の駆動ローラに対する制御の一例を示すタイミングチャートである。 制御装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
3 制御装置
30 カウンタ部
31 クロック
32 演算部
33 RAM
34 モータ駆動部
35 モータドライバ
4 駆動モータ
5 減速ギア
10Y,10C,10M,10K 感光体ドラム
11Y,11C,11M,11K 現像ユニット
12 中間転写ベルト
13 一次転写ローラ
14 駆動ローラ
15 テンションローラ
16 従動ローラ
17 二次転写ローラ
18 光学式センサ
19 ディスク
19a スリット

Claims (10)

  1. 回転体の回転速度を制御する駆動制御装置であって、
    該回転体を駆動する回転駆動体と、
    前記回転体に設けられた複数の被検知物と、
    前記回転体の回転に伴って回転する該被検知物を検出し、検出信号を出力する検出器と、
    該検出信号に基づいて前記回転体の角速度を検出し、前記回転駆動体の回転速度を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記回転駆動体の一周期分の時間に基づいて前記回転体の角速度を検出し、検出した角速度に基づいて前記回転駆動体の回転速度を制御しながら、前記被検知物の間隔の誤差量を、前記回転体の半回転毎に算出し、複数回算出された該誤差量の平均値に基づいて前記回転駆動体の回転速度をさらに制御することを特徴とする駆動制御装置。
  2. 請求項1記載の駆動制御装置であって、
    前記制御部は、前記各々の間隔に対応する時間間隔を前記誤差量分だけ補正しながら前記回転駆動体の回転速度を制御することを特徴とする駆動制御装置。
  3. 請求項1記載の駆動制御装置であって、
    前記制御部は、前記誤差量を算出している間は、前記角速度を前記回転体の1回転分の積分時間から求め、前記角速度を前記各々の被検知物の間隔毎に順次割り出し、前記各々の被検知物の間隔毎に制御することを特徴とする駆動制御装置。
  4. 請求項1記載の駆動制御装置であって、
    前記制御部は、前記誤差量の算出を、前記回転体の回転の立ち上がり直後に行うことを特徴とする駆動制御装置。
  5. 請求項1記載の駆動制御装置であって、
    前記制御部は、前記誤差量の算出を、前記回転体の回転が立ち上る度に毎回実行することを特徴とする駆動制御装置。
  6. 請求項1記載の駆動制御装置であって、
    前記回転体は、感光体に形成された画像を中間転写体を介して記録媒体上転写する画像形成装置の該中間転写体の回転に従動して回転する従動ローラであり、前記回転駆動体は、前記中間転写体を駆動する駆動ローラであることを特徴とする駆動制御装置。
  7. 請求項記載の駆動制御装置であって、
    前記駆動ローラの外周の長さは、前記従動ローラの外周の長さの偶数倍であることを特徴とする駆動制御装置。
  8. 請求項記載の駆動制御装置であって、
    前記駆動ローラの外周の長さは、前記従動ローラの外周の長さの2倍であり、前記制御部は、前記誤差量を算出する際に、前記駆動ローラの半回転分と次の半回転分から前記駆動ローラの偏心に起因した速度変動成分を相殺することを特徴とする駆動制御装置。
  9. 感光体に形成された画像を中間転写体を介して記録媒体上転写する画像形成装置の該中間転写体の回転に従動して回転する従動ローラの回転速度を制御する駆動制御装置であって、
    外周の長さが前記従動ローラの外周の長さの2倍であり、前記中間転写体を駆動する駆動ローラと、
    前記従動ローラに設けられた複数の被検知物と、
    前記従動ローラの回転に伴って回転する該被検知物を検出し、検出信号を出力する検出器と、
    該検出信号に基づいて前記従動ローラの角速度を検出し、前記駆動ローラの回転速度を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記駆動ローラの一周期分の時間に基づいて前記従動ローラの角速度を検出し、検出した角速度に基づいて前記駆動ローラの回転速度を制御しながら、前記被検知物の間隔の誤差量を、前記駆動ローラの半回転分と次の半回転分から前記駆動ローラの偏心に起因した速度変動成分を相殺して算出し、該誤差量に基づいて前記駆動ローラの回転速度をさらに制御することを特徴とする駆動制御装置。
  10. 回転する無端状のベルトであって、トナー像が一次転写像として転写される中間転写ベルトと、
    該中間転写ベルトを駆動する駆動ローラと、
    前記中間転写ベルトの移動に伴って回転する従動ローラと、
    該従動ローラと共に回転する複数の被検知物と、
    前記被検知物を検知し、検出信号を出力する検出器と、
    を有し、
    前記中間転写ベルト上に転写された前記一次転写像を記録媒体上に転写することにより、二次転写像を前記記録媒体上に形成する画像形成装置であって、
    前記該検出信号に基づいて前記従動ローラの角速度を検出し、該角速度に基づいて前記駆動ローラの回転速度を制御する制御部を更に有し、
    前記制御部は、前記駆動ローラの一周期分の時間に基づいて前記従動ローラの角速度を検出し、検出した角速度に基づいて前記駆動ローラの回転速度を制御しながら、前記被検知物の間隔の誤差量を、前記駆動ローラの半回転毎に算出し、複数回算出された該誤差量の平均値に基づいて前記駆動ローラの回転速度をさらに制御することを特徴とする画像形成装置。
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