以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図11は本発明に係る回転体駆動装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、本発明の回転体駆動装置を画像形成装置である電子写真方式のカラー複合機(以下、複合機という)に適用した場合を示している。
まず、複合機の構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置としての複合機1の構成を示す図である。複合機1は、いわゆるタンデム式の画像形成装置であって、乾式二成分現像剤を用いた乾式二成分現像方式を採用したものである。図1において、複合機1は、画像形成手段としての複合機本体2と、給紙装置3と、スキャナ4と、原稿自動搬送装置5とを備えている。
複合機1は、給紙装置3の上部に複合機本体2が設置され、複合機本体2の上部にスキャナ4が取付けられ、スキャナ4の上部に原稿搬送装置5が取付けられている。
複合機1は、スキャナ4から読取った画像情報である画像データを受け取るか、またはパソコン等の外部機器からの印刷データを受け取り画像形成処理を行う。
複合機本体2は、回転体としての4色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk))の感光体ドラム6Y、6M、6C、6Bkを備えている。この感光体ドラム6Y、6M、6C、6Bkは、被駆動体であり円筒状の潜像担持体である。
また、複合機本体2は、感光体ドラム6Y、6M、6C、6Bkの周りに、電子写真プロセス用部材である帯電器8Y、8M、8C、8Bkと、各色対応の現像装置9Y、9M、9C、9Bkと、クリーニング装置9Y、9M、9C、9Bkと、除電ランプ10Y、10M、10C、10Bkとをプロセス順に備えている。
複合機本体2は、感光体ドラム6Y、6M、6C、6Bkの上方に、光書込装置12を備えている。また、複合機本体2は、感光体ドラム6Y、6M、6C、6Bkの中間転写ベルト7を介して対向する位置に、1次転写手段である1次転写ローラ13Y、13M、13C、13Bkを備えている。
感光体ドラム6Y、6M、6C、6Bkは、駆動ローラを含む回転可能な複数のローラに支持された無端ベルト状の中間転写ベルト7に接触し、中間転写ベルト7の進行方向に沿うように、それぞれ並んで配置されている。
中間転写ベルト7は、支持ローラ14、15、駆動ローラ16およびテンションローラ17に架け渡されており、不図示の駆動源によって回転駆動される駆動ローラ16が回転することにより回転駆動される。
ベルトクリーニング装置18は、支持ローラ15の中間転写ベルト7を介して対向する位置に設けられており、2次転写後に中間転写ベルト7上に残留する残トナーを除去する。
支持ローラ14は、2次転写手段である2次転写ローラ19に対向する2次転写対向ローラである。支持ローラ14と、中間転写ベルト7を介した2次転写ローラ19との間には、2次転写ニップ部が形成される。
転写紙搬送ベルト21は、支持ローラ20a、20bに巻き付けられて2次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側に設けられている。転写紙搬送ベルト21は、トナー像が2次転写された転写紙を定着装置22まで搬送する。
定着装置22は、定着ローラ23a、23bを備えており、定着ローラ23a、23bの当接によって形成される定着ニップ部において、転写紙に熱および圧力を加えることで、未定着のトナー像を転写紙上に定着する。
次に、複合機のコピー動作について説明する。
本実施の形態に係る複合機1でフルカラー画像を形成する場合、まず、ユーザーは、原稿自動搬送装置5の原稿台24に原稿をセットする。または、ユーザーは、原稿自動搬送装置5を開き、スキャナ4のコンタクトガラス25上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置5を閉じて押さえる。
その後、ユーザーがスタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置5に原稿をセットした場合には、原稿が、コンタクトガラス25上に搬送される。原稿がコンタクトガラス25上にセットされると、スキャナ4は、第1走行体26および第2走行体27による走行を開始する。
第1走行体26からの光がコンタクトガラス25上の原稿で反射し、その反射光が第2走行体27のミラーで反射されて、結像レンズ28を通じて読取センサ29に案内されることで、スキャナ4は、原稿の画像情報を読取る。
また、ユーザーによりスタートスイッチが押されると、複合機本体2は、モータ(不図示)を駆動し、駆動ローラ16を回転駆動させることで中間転写ベルト7を回転駆動させる。
また、中間転写ベルト7の回転駆動と同時に、後述する回転体駆動装置としての感光体駆動装置30Y(不図示)は、感光体ドラム6Yを図中矢印の方向に回転駆動しながら帯電器8Yで一様帯電させる。
その後、光書込装置12は、光ビーム31Yを感光体ドラム6Yに照射して、感光体ドラム6Y上にY静電潜像を形成する。このY静電潜像は、現像装置9Yにより、現像剤中のYトナーによって現像される。
現像時には、現像ローラと感光体ドラム6Yとの間に所定の現像バイアスが印加され、現像ローラ上のYトナーは、感光体ドラム6Y上のY静電潜像部分に静電吸着する。
このように現像されて形成されたYトナー像は、感光体ドラム6Yの回転に伴い、感光体ドラム6Yと中間転写ベルト7とが接触する1次転写位置に搬送される。この1次転写位置において、1次転写ローラ13Yは、中間転写ベルト7の裏面に所定のバイアス電圧が印加する。
そして、このバイアス印加によって発生した1次転写電界により、感光体ドラム6Y上のYトナー像は、中間転写ベルト7側に引き寄せられ、中間転写ベルト7上に1次転写される。
以下、同様にして、Mトナー像、Cトナー像およびBkトナー像は、中間転写ベルト7上のYトナー像に順次重ね合うように1次転写される。なお、2次転写後の中間転写ベルト7上に残留した残トナーは、ベルトクリーニング装置18によって除去される。
また、ユーザーによりスタートスイッチが押されると、給紙装置3は、ユーザーが選択した転写紙に応じた給紙ローラ32を回転し、給紙カセット33の1つから転写紙を送り出す。
送り出された転写紙は、分離ローラ34a、34bで1枚に分離して給紙路35に入り込み、搬送ローラ36により複合機本体2内の給紙路37まで搬送される。このようにして搬送された転写紙は、レジストローラ38に突き当たったところで止められる。
また、給紙カセット33にセットされていない転写紙を使用する場合、複合機本体2は、手差しトレイ39にセットされた転写紙を給紙ローラ32により送り出す。送り出された転写紙は、分離ローラ41で1枚に分離した後、手差し給紙路42を通ってレジストローラ38へ搬送される。
中間転写ベルト7上に4色重なり合ったトナー像は、中間転写ベルト7の回転に伴い、2次転写ローラ19と対向する2次転写位置に搬送される。また、レジストローラ38は、中間転写ベルト7上に形成された合成トナー像が2次転写位置に搬送されるタイミングに合わせて回転を開始し、転写紙を2次転写位置に搬送する。
そして、この2次転写位置において、2次転写ローラ19は、転写紙の裏面に所定のバイアス電圧が印加する。バイアス電圧の印加により発生した2次転写電界および2次転写位置での当接圧により、中間転写ベルト7上のトナー像は、転写紙上に一括して2次転写される。
トナー像が2次転写された転写紙は、転写紙搬送ベルト21により定着装置22に搬送される。ここで、定着装置22は、定着装置22に設けられた定着ローラ23a、23bによって転写紙に定着処理を行う。
そして、定着処理が行われた転写紙は、排紙ローラ43a、43bにより、装置外に設けられた排紙トレイ44上に排出されてスタックされる。
次に、減速機を含む回転駆動装置の構成を説明する。なお、被駆動体である各感光体ドラム6Y、6M、6C、6Bkは、同一構成の感光体駆動装置30Y、30M、30C、30Bkにより回転駆動されているので、以下、各色に対応する符号Y、M、C、Bkを省略して説明する。
また、減速比が非整数比の減速機としては、歯数が非整数比の歯車列を使用した歯車減速機が一般的である。
歯数が非整数比の歯車列を使用した歯車減速機を採用することにより、減速比の選択の幅が広がり、モータの回転数および効率などの出力特性に応じて最適な減速比を設定することができる。
また、歯数が非整数比の歯車列を使用した歯車減速機を採用することにより、各歯車同士で噛み合う歯が回転毎に異なるため、偏摩耗を防止することができる。
本実施の形態に係る感光体駆動装置30においては、歯数が非整数比の歯車列を使用した歯車減速機として、上記利点に加えて、耐久性、小型化、高精度化を図ることができる遊星歯車減速機が用いられている。
図2〜図5は感光体駆動装置30の構成を示す図である。感光体駆動装置30は、駆動源としてのモータ45と、減速機かつ遊星歯車機構としての遊星歯車減速装置46と、ジョイント47と、ドラム軸48とを備えている。
図2、図3に示すように、遊星歯車減速装置46の出力軸50は、ジョイント47によりドラム軸48と連結し固定されている。また、感光体駆動装置30は、ドラム軸48に軸受49が圧入されている。
感光体駆動装置30は、複合機本体2の筐体に固定された前側の本体側板である前側板52に設けられた軸受53に、ドラム軸48の先端近傍が嵌合される。また、感光体駆動装置30は、軸受49を介して複合機本体2の筐体に固定された後ろ側の本体側板である後側板51に設置される。
すなわち、感光体駆動装置30は、ドラム軸48に設けられた軸受53および軸受49を介して、複合機本体2の筐体の一部である前側板52および後側板51に設置されることで支持および位置決め支持される。
本実施の形態に係る遊星歯車減速装置46においては、2K−H型2段構成の遊星歯車機構が用いられている。一般に、遊星歯車機構は、太陽歯車(sun gear)、遊星歯車(planetary gear)、遊星歯車の公転運動を支持する遊星キャリア(planetary carrier)および内歯歯車(outer gear)の4点の部品から構成されている。2K−H型遊星歯車機構においては、太陽歯車の軸と、遊星キャリアの軸と、内歯歯車の軸とがそれぞれ基本軸となる。
2K−H型遊星歯車機構は、太陽歯車の回転、遊星歯車の公転(遊星キャリアの回転)および外輪歯車の回転の3つの要素を有し、3つの要素のうち1つが固定され、1つが入力に接続され、1つが出力に接続される。
2K−H型遊星歯車機構は、3つの要素のいずれかを固定、入力および出力に割り当てるかによって、減速比や回転方向の切り替えが可能であり、1つのユニットで複数の減速比や回転方向の切り替えを実現することができる。
2K−H型2段構成の型遊星歯車機構の減速比は、太陽歯車の歯数をZa、遊星歯車の歯数をZb、内歯歯車の歯数をZcとした場合に、下記の式(1)により求められる。なお、式中の添え字1、2は1段目、2段目を意味している。
本実施の形態に係る2K−H型2段構成の遊星歯車機構は、複合遊星歯車機構(2個以上の2K−H型)に分類され、太陽歯車の軸を入力軸とし、内歯歯車の軸を固定軸とし、遊星キャリアの軸を出力軸としている。
図2において、遊星歯車減速装置46の1段目の遊星歯車機構は、第1太陽歯車55と、内歯歯車57と、第1遊星歯車58と、第1キャリア59と、第1キャリアピン60とを備える。また、内歯歯車57は、2段目の遊星歯車機構の内歯歯車と一体に形成されている。
第1太陽歯車55は、部品点数低減のために、モータ45の駆動軸であるモータ出力軸54に、第1太陽歯車55が直接歯切りされている。
第1遊星歯車58は、第1太陽歯車55およびブラケット56に固定された内歯歯車57に噛み合い、第1キャリア59によって支持されて第1太陽歯車55の外周を公転する。
第1遊星歯車58は、回転バランスとトルク分担のために、同心状に第1キャリア59の周方向に3等分された位置それぞれに配置される。また、各第1遊星歯車58は、第1キャリア59に設けられた第1キャリアピン60に支持されて自転する。
そして、第1遊星歯車58は、第1太陽歯車55と内歯歯車57との噛み合いにより、自転および公転する。これにより、第1遊星歯車58を支持する第1キャリア59が、第1太陽歯車55の回転に対し減速回転するため、1段目の減速比が獲得される。
また、第1キャリア59には回転支持部はなく、第1キャリア59は浮動した状態で回転を行うように構成されている。
遊星歯車減速装置46の2段目の遊星歯車機構は、第2太陽歯車61と、内歯歯車57と、第2遊星歯車62と、第2キャリア63と、第2キャリアピン64と、出力軸50とを備える。
第2太陽歯車61は、部品点数低減のために第1キャリア59の回転中心に、第1キャリア59と一体に設けられており、第2太陽歯車61が2段目の遊星歯車機構の入力となっている。
第2遊星歯車62は、第2太陽歯車61および内歯歯車57に噛み合い、第2キャリア63によって支持されて第2太陽歯車61の外周を公転する。
第2遊星歯車62は、同心状に第2キャリア63の周方向に3等分された位置それぞれに配置される。また、各第2遊星歯車62は、第2キャリア63に設けられた第2キャリアピン64に支持されて自転する。
第2キャリア63は、第2遊星歯車62が、第2太陽歯車61と内歯歯車57との噛み合いにより、自転および公転することで回転する。内歯歯車キャップ65は、内歯歯車57の感光体ドラム6側の端部に各キャリアや各遊星歯車を覆うように設けられており、内部に軸受65aが圧入されている。
出力軸50は、最終段に相当する第2キャリア63の回転中心に設けられており、中空円筒状のジョイント47を介して同じ直径を有するドラム軸48と連結されている。また、出力軸50は、内歯歯車57により位置決めされ、内歯歯車キャップ65に圧入された軸受65aにより支持される構成となっている。
内歯歯車キャップ65は、内歯歯車57の内周に設けられた内歯歯車キャップ65の外径と略同一の径の溝に取付けられることで位置決めされる構成となっている。これにより、遊星歯車減速装置46は、出力軸50と、内歯歯車57の中心軸との同軸度を最小化できる構成となっている。
感光体駆動装置30は、ドラム軸48と出力軸50とを連結部材であるジョイント47で同軸になるように連結して一体化している。ここで、ジョイント47は、図4に示すように構成されている。
図4に示すように、ジョイント47は、中空円筒形状であり、ドラム軸48側では、ドラム軸48に圧入される構成となっている。また、ジョイント47は、出力軸50側では、出力軸50とすきま嵌めとなっており、段付きねじ66により出力軸50と連結し固定される構成となっている。
また、ジョイント47は、図5に示すように構成されてもよい。図5に示すジョイント47は、中空円筒形状の中央部にスリット47aを有している。出力軸50は、ねじ67により押し曲げられたジョイント47との摩擦力により連結し固定される構成となっている。
本実施の形態のジョイント47は、図4、図5のいずれの構成もジョイント部分によるドラム軸48と出力軸50の中心軸のずれを最小化して、駆動伝達できる構成にすることが好ましい。
なお、図5(a)は、出力軸50とドラム軸48をジョイント47で連結し固定する方法を示す図であり、図5(b)は、ジョイント47を出力軸50の中心軸方向から見た正面図である。
図3に示すように、モータ45は、ブラケット56により支持されている。また、内歯歯車57は、ブラケット56に対してねじ68で固定されている。このように、ブラケット56は、モータ45および内歯歯車57の固定、保持を行っている。
駆動側板69には、ブラケット56がねじによって固定されている。また、駆動側板69は、後側板51にかしめられたスタッド70により支持および位置決めされている。
また、内歯歯車57のモータ45側には、内歯歯車57の中心軸上に中空円筒形状のボスが設けられており、モータ45は、モータ45側に設けられた軸受の外径と略同一の径のボスの内周に嵌合されることで位置決めされる。
また、内歯歯車57は、ブラケット56に形成されたボスの外径と略同一の径の孔にボスの外周が嵌合されることで位置決めされる構成となっている。
このような構成により、遊星歯車減速装置46は、内歯歯車57を基準として、モータ出力軸54と、ブラケット56と、出力軸50の中心軸とを全て同軸上に配置することができる。また、本構成により、遊星歯車減速装置46は、モータ出力軸54、ブラケット56および出力軸50のそれぞれの部品寸法のばらつきによる同軸度を最小化することができる。
なお、本実施の形態の感光体駆動装置30は、第1太陽歯車55、第1遊星歯車58、第2太陽歯車61および第2遊星歯車62が歯車を構成する。なお、本実施の形態では、内歯歯車57を固定にしているが、他の回転要素が固定される場合には、内歯歯車57が歯車を構成する。
また、本実施の形態の感光体駆動装置30は、第1太陽歯車55および第2太陽歯車61が太陽歯車を構成し、第1遊星歯車58および第2遊星歯車62が遊星歯車を構成し、第1キャリア59および第2キャリア63がキャリアを構成する。
感光体ドラム6は、筒状のドラム71と、ドラムフランジ72a、72bとにより構成される。ドラム71は、その両端に設けられたドラムフランジ72a、72bを介してドラム軸48に位置決めされる構成となっている。
ドラムフランジ72a、72bは、それぞれドラム71の中心軸位置にドラム軸48と略同一の径の孔が設けられており、その孔でドラム軸48に取付けられることで位置決めされる。これにより、被駆動体である感光体ドラム6は、ドラム軸48を介して複合機本体2の筐体に対して支持および位置決めされる。
また、ドラム軸48には、ドラム71に駆動力を伝達するためにジョイント73が圧入されている。ドラム71は、ドラム軸48の回転によりジョイント73が回転し、ジョイント73と連結しているドラムフランジ72aを介して駆動される構成となっている。
また、出力軸50には、パルス信号生成部としてのロータリエンコーダ74が設けられており、このロータリエンコーダ74は、エンコーダ用円板74aと、2つのセンサ74bとを備える回転速度検知手段である。
エンコーダ用円板74aは、内歯歯車57、モータ出力軸54、ブラケット56および出力軸50の中心軸の同軸上に位置するように出力軸50に取付けられている。また、エンコーダ用円板74aは、出力軸50のジョイント47よりも駆動力伝達方向の上流側に設けられている。
エンコーダ用円板74aは、周方向に等間隔でスリットが形成されており、センサ74bのそれぞれは、エンコーダ用円板74aのスリットを光学的に検知して後述するコントローラ75に検知信号を出力する。
また、2つのセンサ74bは、エンコーダ用円板74aのスリットを180°位相ずれした位置でそれぞれ検知するようになっており、エンコーダ用円板74aが出力軸50に対して偏心して取付けられたとしても、2つのセンサ74bの検出データをコントローラ75により平均化することで、出力軸50の回転角速度を高精度に検知することが可能となっている。
なお、ロータリエンコーダ74は、光学エンコーダに代えて、磁性体からなる円盤の同心円上に付された磁気マークを、磁気ヘッドで検出する磁気エンコーダを採用してもよい。また、公知のタコジェネレータでもよい。
上述したように、感光体駆動装置30は、遊星歯車減速装置46を用いているため、大口径ギアを設けたり、駆動源としてダイレクトドライブモータを設けたりすることなく、感光体ドラム6の回転むらを抑制することが可能である。
また、本実施の形態に係る感光体駆動装置30は、モータ出力軸54および一体に構成された第1太陽歯車55と、内歯歯車57と、第1キャリア59および一体に構成された第2太陽歯車61と、第2キャリア63および一体に構成された出力軸50と、ドラム軸48と、感光体ドラム6を構成するドラム71の中心軸と、エンコーダ用円板74aとを全て同一軸上に配置することができる。
これにより、感光体駆動装置30は、各部品寸法のばらつきによる同軸度を最小化することができる。
また、感光体駆動装置30は、第1キャリア59が内歯歯車57に対して浮動した状態で支持されている。
これにより、感光体駆動装置30は、第1キャリア59が浮動した状態で支持されることによる調心作用により第1キャリア59と内歯歯車57との同心誤差が抑えられ、感光体ドラム6の回転むらをより抑制することができる。
また、感光体駆動装置30は、ロータリエンコーダ74を備えているため、モータ45をフィードバック制御(以下、FB制御という)することで、取付け誤差等により生じる同心誤差に起因した感光体ドラム6の回転むらをさらに抑制することもできる。
これにより、感光体ドラム6の回転むらがさらに抑制された、高精度な回転駆動の可能な感光体駆動装置30を提供することができる。
遊星歯車減速装置46を構成する第1太陽歯車55、第1キャリアピン60、第2キャリア63および第2キャリアピン64は、金属材料、例えば、ステンレス、炭素鋼などから構成されている。
また、第1遊星歯車58、第1キャリア59、第1キャリア59に一体で構成された第2太陽歯車61、第2遊星歯車62およびハウジングケースに一体で構成された内歯歯車57は、樹脂材料、例えば、ポリアセタールなどの成型品で構成されている。
遊星歯車減速装置46は、上述の通り金属と樹脂のハイブリッドの構成であることから、第2キャリア63に金属製の出力軸50を一体に設けることができる。
このように、出力軸50および第2キャリア63を金属製することで、出力軸50および第2キャリア63は、主な構成部品の全てが樹脂で構成されている遊星歯車変速装置よりも、感光体ドラム6の高い負荷に耐えることができる。
したがって、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置46は、軽量化および省資源化に対応でき、また主な構成部品の全てが樹脂で構成されている遊星歯車変速装置よりも、感光体ドラム6の高い負荷に耐えることができる。
感光体駆動装置30は、ドラム軸48が軸受49を介して後側板51にラジアル方向の位置を固定されるとともに回転可能に支持される。また、感光体駆動装置30は、遊星歯車減速装置46の内歯歯車57も、ブラケット56とスタッド70を介して後側板51に固定されている。
このため、感光体駆動装置30を複合機本体2に組み付ける場合に、ドラム軸48と遊星歯車減速装置46の出力軸50との間に軸ずれが生じると、この軸ずれに起因した回転むらが生じてしまう恐れがある。
そこで、遊星歯車減速装置46においては、内歯歯車57、第1遊星歯車58、第2遊星歯車62、第1キャリア59および第2キャリア63に一体に構成された第2太陽歯車61を樹脂製とし、それぞれラジアル方向に弾性変形できる構成となっている。
また、感光体駆動装置30を弾性変形が可能な構成にすることにより、ドラム軸48および出力軸50間に軸ずれが生じた場合であっても、弾性変形ができるように構成された各構成部品の弾性変形により調心することができる。これにより、感光体駆動装置30は、高精度に感光体ドラム6を回転駆動することができる。
また、弾性変形ができるように構成された感光体駆動装置30の各構成部品は、調心する際に弾性変形量を分散させることができるため、感光体駆動装置30の耐久性を向上させることもできる。
また、感光体駆動装置30は、金属製の出力軸50を設けることで、ドラム軸48と出力軸50との連結に、両軸間の中心軸のずれを最小化して、駆動力を伝達することができるジョイント47を用いることができる。
一般に、主な構成部品が全て樹脂で構成された感光体駆動装置においては、被駆動体軸と遊星減速機構の出力部との連結にガタのあるスプライン継手等の構成が用いられる。
しかし、本実施の形態に係る感光体駆動装置30においては、ドラム軸48と出力軸50とを連結して一体化するためにジョイント47が用いられるため、ガタのある構成により生じる回転むらを排除できる。
また、感光体駆動装置30においては、ジョイント47を設けることでドラム軸48と出力軸50との間に回転むらが生じないことから、ロータリエンコーダ74を設ける位置がジョイント47の駆動力伝達方向の下流側に限定されない。
よって、ロータリエンコーダ74は、出力軸50のジョイント47よりも駆動力伝達方向の上流側、すなわち、遊星歯車減速装置46に設けることもできる。
このように、ロータリエンコーダ74は、遊星歯車減速装置46側に設けられることで、感光体駆動装置30の組立性を悪化させることなく、感光体駆動装置30への実装を実現することができる。
ロータリエンコーダ74を感光体駆動装置30に実装する場合には、例えば、ロータリエンコーダ74のエンコーダ用円板74aが、モータ45とともにブラケット56に固定された遊星歯車減速装置46の出力軸50に取付けられる。
そして、ロータリエンコーダ74のセンサ74bが、内歯歯車57が一体に構成されたハウジングケースに取付けられ、エンコーダ用円板74aおよびセンサ74bそれぞれの位置調整および固定が行われる。
次に、出力軸50が、ドラム軸48にジョイント47によって連結して一体化される。そして、感光体駆動装置30は、後側板51の孔へドラム軸48を、駆動側板69の孔へ遊星歯車減速装置46を差し込んで、それぞれ位置調整および固定が行われることで実装される。
このようにしてロータリエンコーダ74を感光体駆動装置30に実装することで、感光体駆動装置30は、ロータリエンコーダ74を用いたFB制御による感光体ドラム6の高精度な回転駆動が可能となる。
また、感光体駆動装置30は、上記構成により、軽量化となる省資源化と、感光体ドラム6の高精度な回転駆動を両立することができる。
本実施の形態に係る複合機本体2において、感光体ドラム6の直径を60mmとすると、感光体ドラム6の表面移動速度および中間転写ベルト7の搬送速度は350mm/sであることから、感光体ドラム6の回転数は112rpmとなる。なお、感光体ドラム6の直径は、これに限定されるものではない。
感光体ドラム6は高精度な定速性能が要求されるため、モータ45には、DCサーボモータやステッピングモータのように回転速度を制御できるものが採用されている。本実施の形態に係るモータ45は、安定した回転特性、消費電力で優れたアウターロータ型DCブラシレスモータから構成されている。
感光体ドラム6の駆動や各転写ベルトの駆動のために約20〜30W程度を出力するアウターロータ型DCブラシレスモータを効率よく回転させるためには、2400〜3600rpm程度の回転数で駆動することが望ましい。
そのため、遊星歯車減速装置46には、出力軸50の回転数がモータ出力軸54の1/20〜1/30の回転数となるよう減速することが要求される。
また、感光体駆動装置30の配置においては、感光体ドラム6の周りの現像駆動装置やトナー供給ユニットとの干渉制約をなくし、感光体ドラム6の側板近くに駆動装置を設置することで省スペース化を図ることができる。
このため、感光体駆動装置30は、感光体ドラム6の直径よりも小さな外径にすることが好ましい。
ここで、感光体ドラム6の径よりも大幅に大きい、例えば、大径歯車を用いた減速装置を採用した場合、減速装置は、現像駆動装置との干渉回避のため、大径歯車または現像駆動装置のどちらかを感光体ドラム6の軸方向に移動して設置する必要がある。
また、大径歯車の周りに活用不可能な領域(デッドスペース)が大きく存在することになる。これにより、装置全体が大型化し、高コストとなってしまう。
したがって、本実施の形態に係る感光体駆動装置30では、減速比20〜30および外径60mmという上記要求を実現するために、減速装置として2K−H型2段構造の遊星歯車減速装置46を採用した。
図6は、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置46の歯車諸元を示す図である。遊星歯車減速装置46は、駆動源であるモータ45側の初段減速部が入力側であり、駆動対象である感光体ドラム6側の2段減速部が出力側である。
遊星歯車減速装置46は、入力側の減速比が7.08、出力側の減速比が4.16であり、合計で29.4の減速比となっている。また、遊星歯車減速装置46は、内歯歯車57の歯底円径を33.3mm程度とし、外径が50mm以下になるように構成されている。
一般に、遊星歯車機構においては、外径が同じであれば、減速比が小さい方が、歯車の噛み合い部に係る荷重トルクが低くなる。そのため、入力側と出力側の減速比は、荷重トルクが大きくかかる出力側の減速比を小さく、入力側の減速比を大きくすることが、遊星歯車機構の耐久性向上において望ましい。
遊星歯車減速装置46において、内歯歯車57は、コスト低減のため入力側と出力側で共通の一体成型の歯車を採用している。したがって、遊星歯車減速装置46においては、入力側の減速比を大きくするため、第1太陽歯車55の歯数を、出力側の第2太陽歯車61の歯数25歯よりも少ない13歯とした。
一般に、遊星歯車装置において、遊星歯車は2個以上が均等に配置される。遊星歯車減速装置46は、第1遊星歯車58および第2遊星歯車62を、それぞれ3個ずつ備えている。
また、太陽歯車の歯数は、遊星歯車の個数の非整数倍とすることが回転精度向上において望ましい。
よって、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置46においては、第1太陽歯車55の歯数を13とし、第2太陽歯車61の歯数を25とすることで、第1遊星歯車58および第2遊星歯車62の個数(それぞれ3個ずつ)の非整数倍となる構成となっている。
これにより、第1太陽歯車55および第2太陽歯車61が噛み合うそれぞれ3個の第1遊星歯車58および第2遊星歯車62の各個において、噛み合うタイミングがずれるため、噛み合い部の歯ピッチで発生する噛み合い振動は、各第1遊星歯車58および第2遊星歯車62で位相差を生じ、振動が低減する効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係る第1遊星歯車58および第2遊星歯車62は、それぞれ歯数を奇数(第1遊星歯車58の歯数は13、第2遊星歯車62の歯数は25)にしている。
これにより、第1遊星歯車58は、第1太陽歯車55との噛み合い部の歯ピッチで発生する噛み合い振動と、内歯歯車57の噛み合い部の歯ピッチで発生する噛み合い振動とに位相差を生じ、振動が低減する効果を得ることができる。
このため、第1遊星歯車58は、回転精度が向上する。また、第2遊星歯車62においても、同様の効果を得ることができ、回転精度が向上する。
なお、遊星歯車減速装置46の各歯車は、各歯車の噛み合い部の歯ピッチで発生する噛み合い振動自体をさらに低くするために、はす歯歯車を採用し、噛み合い率が3以上となるように、歯幅およびねじれ角が設定されている。
以上により、遊星歯車減速装置46は、図6に示す各歯車の歯数によって決定される減速比は、入力側および出力側ともに非整数でかつ無限小数の減速比となっている。
なお、一般に、遊星歯車機構においては、このような歯数を選択せず減速比が整数比であっても、遊星歯車の回転周期は、出力軸であるキャリア回転周期に対して非整数比となってしまう設計例が多く存在する。
図7は、感光体ドラム6を1Hzで駆動した場合において、遊星歯車減速装置46を構成する各部品を回転速度の変動要因とし、回転速度の変動要因に起因して周期的に発生する主な変動成分の発生周波数を示す図である。
なお、以下の説明において、遊星歯車減速装置46を構成する各部品を回転変動要因とし、回転変動要因に起因して周期的に発生する主な変動成分を回転変動成分とする。
遊星歯車減速装置46の回転変動要因としては、第1太陽歯車55、第2太陽歯車61、第1遊星歯車58、第2遊星歯車62、第1キャリア59、第2キャリア63のそれぞれの1歯噛み合いが挙げられ、それぞれ1段目および2段目の双方に存在している。
1段目の第1太陽歯車55の回転周期で発生する回転変動成分は、モータ45自体の回転変動や、モータ出力軸54に歯切りした第1太陽歯車55の歯車精度に起因して発生する。
1段目の第1遊星歯車58の回転周期で発生する回転変動成分は、第1遊星歯車58の歯車精度に起因して発生する。
1段目の出力となる第1キャリア59の回転周期で発生する回転変動成分は、第1キャリア59の部品精度や第1キャリア59に一体成形された第2太陽歯車61の歯車精度に起因して発生する。
2段目の第2太陽歯車61の回転周期で発生する回転変動成分は、第1キャリア59の部品精度や第1キャリア59一体成形された第2太陽歯車61の歯車精度に起因して発生する。
2段目の第2遊星歯車62の回転周期で発生する回転変動成分は、第2遊星歯車62の歯車精度に起因して発生する。
2段目の出力となる第2キャリア63の回転周期で発生する回転変動成分は、第2キャリア63の部品精度に起因して発生する。
また、各段の1歯噛み合い周期で発生する回転変動成分は、各歯車の歯形制度に起因して発生する。
画像形成装置では、高い回転精度が求められるため、これらの回転変動要因の全てにおいて、変動を抑制する対応が必要である。
そこで、本実施の形態に係る感光体駆動装置30では、図7中、太字で示す50Hz以下の低周波帯の変動である各段の各歯車およびキャリアの回転変動成分を、モータ45の回転制御であるフィードフォワード制御(以下、FF制御という)により抑制する。
また、本実施の形態に係る感光体駆動装置30では、図7中、細字で示す50Hz以上の高周波帯の変動である1歯噛み合いの周期で発生する変動成分については、歯車の歯数選択によって低減する。
モータ45の回転制御による抑制が困難な1歯噛み合いの周期で発生する変動成分については、図6に示すように、第1太陽歯車55および第2太陽歯車61のそれぞれの歯数を、第1遊星歯車58および第2遊星歯車62の個数の非整数倍とし、各遊星歯車の歯数を奇数にすることで抑制する。
これにより、1歯噛み合いの周期で発生する変動成分については低減するが、FF制御の対象である各回転変動要因の変動は、ドラム軸48の回転周期(第2キャリア63の回転周期)に対して非整数比でかつ無限小数比となる。
そのため、感光体駆動装置30は、ドラム軸48にホームポジションを設置して、事前に検知した変動量に応じて、FF制御を実施することができない。
そこで、本実施の形態に係る感光体駆動装置30は、ホームポジションを用いずに、ロータリエンコーダ74のパルス累積カウントを基にFF制御を行うことで、各回転変動要因の変動を抑制する。
図8は、本実施の形態に係る感光体駆動装置30の制御システムの概要である。図8において、モータ45、遊星歯車減速装置46およびロータリエンコーダ74については、上述した通りの構成である。
ロータリエンコーダ74は、遊星歯車減速装置46の出力軸の回転量に応じたパルス信号をパルス数記憶部、速度変動記憶部としてのコントローラ75に送信する。
コントローラ75は、ロータリエンコーダ74から送信されるパルス信号の時間間隔を計測して、現在の出力軸50の回転速度を算出し、出力軸50の回転速度が目標値となるようにモータ45の回転速度を制御するFB制御を実行する。
また、コントローラ75は、パルス信号の時間間隔が周期的に変動する回転変動成分を事前に検知しておき、所定のタイミングでFF制御を実行する。
そして、モータドライバ76は、コントローラ75から送信されるモータ速度指令値に応じてモータ45を駆動する。
図9は、コントローラ75の制御系について説明するブロック図である。
本制御系には、すでに説明した、モータドライバ76、ロータリエンコーダ74を含む制御対象77に対し設計されたFB制御系がある。
また、本制御系には、FB制御系のほかに、FB制御系の出力部(モータ速度指令値)にFF制御値を加算するFF制御系が追加されている。ここで、FF制御値とは、FF制御系より出力されるモータ速度指令値のことである。
FB制御系は、感光体ドラム6に当接する様々な部品によって、ドラム軸48に発生する不定周期の負荷変動に起因する回転変動を抑制する制御を実行する。
FB制御系において、コントローラ75は、ロータリエンコーダ74の出力信号から速度情報を得る。そして、コントローラ75は、速度情報と、目標速度指令部78から得られる目標速度情報とを用いて、比較器79において速度情報と目標速度情報の差である速度偏差情報を算出する。
次いで、コントローラ75は、比較器79で算出された速度偏差情報から、PID演算部80においてモータ速度指令値を算出する。
次いで、コントローラ75は、PID制御部80で算出されたモータ速度指令値に対してフィルタ処理部81においてフィルタ処理を行う。このフィルタ処理は、FB制御系の制御領域を保ちながら、FB制御系を安定化させるために行う。
本実施の形態に係る感光体駆動装置30は、モータ45と感光体ドラム6のそれぞれが慣性体となる2慣性系システムであり、共振点での振動が発生し易くなっている。
そのため、フィルタ処理部81には、FB制御系のモータ駆動による共振振動の励起を防止するため、ローパスフィルタとして4次のバターワースフィルタが採用されている。
コントローラ75は、このFB制御系を制御周期1msecで実行することで、様々な外乱変動を抑制し、感光体ドラム6を目標速度で一定となるように制御する。
図9において、FF制御系は、変動成分検出部83と、スイッチ84と、FF制御値算出部85とで構成されており、FF制御系での算出結果をFB制御系に追加するようになっている。
FB制御系が制御周期1msecで実行されるのに対し、FF制御系では、変動成分検出部83とスイッチ84の動作が数秒周期で実行される。そして、FF制御値算出部85は、FB制御系の制御周期の2〜3倍周期で数値算出されるマルチサンプリングで実行する。
次に、FF制御系におけるコントローラ75の動作を説明する。
まず、コントローラ75は、スイッチ84がOFFの状態で、変動成分検出部83にロータリエンコーダ74が送信するパルス信号から第1遊星歯車58、第2遊星歯車62、第1キャリア59および第2キャリア63の回転変動成分に含まれる速度変動情報としての変動情報を検出させる。ここで、変動情報は、回転変動成分の振幅および位相によって構成されるデータである。
次いで、コントローラ75は、スイッチ84をONにして、変動成分検出部83が検出した変動情報をFF制御値算出部85に転送する。そして、コントローラ75は、変動情報の転送後にスイッチ84をOFFにし、FF制御値算出部85において、変動情報と現在のドラム回転位相を基に変動相殺するFF制御値を算出させる。
次いで、コントローラ75は、スイッチ84をOFFの状態のまま、加算器82にて、FF制御値算出部85が算出したFF制御値をFB制御系の制御出力に足し合わせる。
これにより、コントローラ75は、FB制御系の閉ループ特性を乱さずに、目的の周期変動による外乱のみをFF制御の形で補償することができる。
本実施の形態に係る遊星歯車減速装置46は、歯車減速機であるため、各歯車の回転周期の関係は変化しない。抑制したい回転変動要因の変動は、ロータリエンコーダが取付けられた出力軸50の回転に対し、図7に示したように既定の周期で発生する。
そこで、この周期変動が正弦波状であると想定して外乱推定オブザーバを予め構成し、変動成分検出部83では、このオブザーバを用いて定期的に外乱推定、すなわち各回転変動成分の変動情報の検知が行われる。
スイッチ84では、スイッチ84がOFFされることにより、変動成分検出部83にて外乱推定中に、FF制御値算出部85で用いている変動情報が更新され、推定中の外乱が変化するのを防止する。
これにより、コントローラ75は、変動成分検出部83が外乱推定中にFF制御値算出部85の変動情報が更新され、変動成分検出部83での推定値が変動してしまい、FF制御精度が大幅に低下することを避けることができる。
FF制御値算出部85では、制御入力からエンコーダ信号出力までの伝達関数(入力外乱に対する感度関数)を考慮して、変動相殺のFF制御値がFB制御系の制御周期に近い周期で算出される。
なお、本実施の形態に係る感光体駆動装置30においては、変動成分検出部83、スイッチ84およびFF制御値算出部85が更新速度変動記憶部を構成する。
図10は、図9においてブロック図で示したFF制御系の動作を各主要ステップのフローチャートで示した図である。
図10において、ステップS11〜S14は、変動成分検出部83で実行されるステップ、ステップS15は、スイッチ84がONされることで、FF制御値算出部85で実行されるステップ、ステップS16は、続いてFF制御値算出部85で実行されるステップである。
FF制御を実施するには、回転変動を検出する学習動作と、感光体ドラム6の位相管理とが必要である。そして、これらを用いることで、FF制御値算出部85は、検出された周期変動に対し振幅値が反転、位相が一致の正弦波形状のFF制御値を算出し、FF制御を実行することができる。
そこで、感光体ドラム6の位相を管理するために、コントローラ75は、ロータリエンコーダ74から送信されるパルス数を累積カウントする位相管理用のパルスカウンタを備えている。
パルスカウンタは、モータ45の起動時よりカウントを開始する。
変動成分検出部83は、モータ45起動完了後に、1回目のFF制御系の動作として、エンコーダ速度データサンプル(以下、ENC速度データサンプルという)を開始する(ステップS11)。ENC速度データサンプル開始時に、コントローラ75は、位相管理用パルスカウンタ値C1を記憶しておく。
次いで、変動成分検出部83は、ステップS11で記憶したサンプルデータに対し、移動平均処理を実行し、検出したい周期変動の成分よりも高周波帯のノイズ成分を除去する(ステップS12)。ここで、移動平均処理とは、記憶したサンプルデータのそれぞれを足し合わせ、その総和をサンプルデータの個数で除する処理である。
次いで、変動成分検出部83は、ステップS12の出力10回につき1回程度の頻度でメモリに格納するダウンサンプルを行う(ステップS13)。ステップS13により、変動成分検出部83は、この後に実行する回転変動成分の推定処理の演算負荷を下げることができる。
ダウンサンプルしたデータ格納の完了後、変動成分検出部83は、ダウンサンプルしたデータに含まれる第1太陽歯車55、第2太陽歯車61の回転変動成分、第1遊星歯車58、第2遊星歯車62の回転変動成分の推定処理を実行する(ステップS14)。ここで、推定処理とは、各回転変動成分から変動推定データを算出するこという。
推定処理が実行される回転変動成分は、第1太陽歯車55、第1遊星歯車58、第1キャリア59と一体に構成されている第2太陽歯車61および第2遊星歯車62で発生する回転変動成分がある。これらの変動成分は、試作機評価などで既に発生が予測されることから推定処理の対象に設定されている。
なお、第2キャリア63の回転変動成分は、FB制御系の制御効果が十分に見込まれることから、FF制御系による制定処理の対象から除外されている。
回転変動成分の推定処理において、変動成分検出部83は、各回転変動成分に対して、事前に設定した変動推定係数行列を用いて行列演算を実施し、各回転変動成分の同相成分(I成分)と直交成分(Q成分)をそれぞれ算出する。
回転変動成分の推定処理が完了すると、変動成分検出部83は、回転変動成分の推定処理により作成された変動推定データから変動情報を算出する。そして、スイッチ84がONされ、変動情報が送信されたFF制御値算出部85は、変動情報の同相成分および直交成分を用いて、FF制御値算出部85に保存されている変動情報を更新する(ステップS15)。
次いで、FF制御値算出部85は、更新された変動情報と、位相管理用パルスカウンタのENC速度データサンプル開始時のパルスカウンタ値C1と、現在のパルスカウンタ値とから各回転変動成分の位相値を算出する。そして、FF制御値算出部85は、FF制御値の算出を開始する(ステップS16)。
なお、位相管理に用いられるパルスカウンタは、累積カウンタであるためオーバーフローが懸念される。オーバーフローを回避するために累積カウンタをリセットするタイミングとしては、FF制御値算出部85の位相変更のみで済むENC速度データサンプル開始時を採用することが好ましい。
コントローラ75は、FF制御精度の向上と、遊星歯車減速装置46を構成する各要素の経時変化の対応と、パルスカウンタのカウントミスによる位相管理誤差の補正とを行うために、図10に示す制御モードを繰り返し実行する。この繰り返し行われる制御モードのことを、以下、常時学習型という。
常時学習型により、変動情報は常に最新の変動情報に更新され、FF制御値算出部85は、その更新された変動情報を基にFF制御値を算出する。
図11は、常時学習型における、スイッチ84がONされた後に、FF制御値算出部85で実行される図10のステップS15およびS16の処理を詳細に示す図である。
コントローラ75がFF制御動作を実行することにより、実行動作に従いスイッチ84がON、OFFを繰り返す毎に、FF制御値算出部85は、学習値として変動情報を獲得する。ここで、学習値は、以下に示す値が獲得される。
例えば、1回目のFF制御動作により獲得される1回目学習値は、モータ45を定速で駆動した時に獲得される変動情報である。
また、2回目のFF制御動作により獲得される2回目学習値は、モータ45を1回目学習値より算出されたFF制御値を用いて駆動した時に獲得される変動情報である。
以下、FF制御値算出部85は、コントローラ75によりFF制御動作が行われる都度、スイッチ84のON動作で学習値を獲得する。すなわち、N回目のFF制御動作により獲得されるN回目学習値は、モータ45をN−1回目学習値より算出されたFF制御値を用いて駆動した時に獲得される変動情報となる。したがって、変動情報の更新は、N回目に獲得された変動情報と、N−1回目に更新された変動情報を基に更新される。
図11のステップS21において、N回目に学習値を獲得したタイミング(各回転変動成分の位相)と、N−1回目に学習値を獲得したタイミングとは異なることから、FF制御値算出部85が位相補正を行う。
ここで、位相補正とは、ステップS14で算出した各回転変動成分の同相成分、直交成分をステップS22で扱うのに適した値に補正する処理である。
これにより、N−1回目の変動情報は、N−1回目とN回目それぞれのパルスカウンタ値の差分値を基に、N回目の学習タイミングと同じ位相に変換される。
次いで、FF制御値算出部85は、変動情報を更新する(ステップS22)。更新値算出式は、下記の式(2)となる。
[数2]
N回目変動情報(更新値)=N−1回目変動情報(過去の更新値)−N回目変動情報(N回目学習値)...(2)
N−1回目変動情報からN回目変動情報を減算することで、N回目で検出した回転変動成分に対し反転した逆位相の成分が、FF制御値の算出パラメータとして、N−1回目変動情報に加算されることになる。
次いで、FF制御値算出部85は、ステップS12の移動平均処理による各回転変動成分の振幅の減衰(平滑化)と位相遅れを補正する(ステップS23)。そして、FF制御値算出部85は、各回転変動成分の減衰率と位相遅れ量に基づき、N回目変動情報(更新値)の変換処理を行う。
次いで、FF制御値算出部85は、N回目変動情報の更新で導出された変動情報からFF制御値を算出する。FF制御値算出部85は、位相管理用パルスカウンタのENC速度データサンプル開始時のパルスカウンタ値C1を基準に、現在のパルスカウント値から現在の位相を算出してFF制御値を算出する(ステップS24)。
このように、常時学習型を採用すると、コントローラ75は、FF制御およびFB制御の特性も併用することができる。このため、常時学習型の制御周期である図10および図11に示す処理が短い周期で行われると、コントローラ75には、常時学習型と既存のFB制御との相互干渉が発生してしまう。
そこで、FF制御の常時学習型の制御周期は、FB制御の制御周期に対して十分長周期である必要があり、100倍以上離すことが望ましい。本実施の形態に係るコントローラ75においては、FB制御は1msecの制御周期で行われるのに対し、FF制御の常時学習型の制御周期、すなわち、変動情報の更新周期は0.5〜3sec周期で実行される。
図12は、感光体ドラム6の回転速度変動率をFFT(Fast Fourier Transform)解析することで、本実施の形態のFF制御とFB制御による回転変動の抑制効果について検証した結果を示す図である。
図12において、感光体ドラム6は1.8Hzで駆動しており、また、変動成分は、いずれも1次成分を表示している。
図12(a)は、モータ出力軸54に搭載された回転検出器出力(モータFG信号)を用いて、モータ45が定速となるように制御した場合の、各回転変動要因による回転速度変動率を示した図である。
図12(a)より、感光体駆動装置30では、出力軸50(図中、出力軸1次)および第1遊星歯車58(図中、第1遊星1次)の回転周期でそれぞれ回転速度の変動が発生していることが確認される。また、感光体駆動装置30では、第2遊星歯車62(図中、第2遊星1次)および第1太陽歯車55(図中、第1太陽1次)の回転周期でそれぞれ回転速度の変動が発生していることが確認される。
図12(b)は、出力軸50に設置されたロータリエンコーダ74の出力を用いてFB制御系を設計し、モータ45の駆動をFB制御した場合の、各回転変動要因による回転速度変動率を示した図である。
図12(b)より、感光体駆動装置30では、FB制御を行うことにより、10Hz以下の低周波帯に属する出力軸50および第2遊星歯車62の回転周期で発生する回転速度の変動が抑制されていることが確認される。
図12(c)は、本実施の形態に係る感光体駆動装置30の制御形態である、FB制御系にFF制御系を追加した制御を実施した場合の、各回転変動要因による回転速度変動率を示した図である。
図12(c)より、感光体駆動装置30では、FF制御を行うことにより、10Hz以上の高周波帯に属する第1遊星歯車58や第1太陽歯車55の回転周期で発生する回転速度の変動が抑制されていることが確認される。
以上のように本実施の形態の感光体駆動装置30は、感光体ドラム6と、感光体ドラム6を回転駆動する駆動力を発生するモータ45と、感光体ドラム6に接続される出力軸50および出力軸50の回転周期に対し非整数比の回転周期で回転する第1太陽歯車55、第1遊星歯車58、第2太陽歯車61および第2遊星歯車62を有し、モータ45の回転速度を遊星歯車減速装置46で減速して出力軸50を介して感光体ドラム6に駆動力を伝達する遊星歯車減速装置46を有する。
また、本実施の形態の感光体駆動装置30は、出力軸50の回転数に応じたパルス信号を生成するロータリエンコーダ74と、ロータリエンコーダ74によって生成されたパルス信号数を累積して記憶するとともに、第1太陽歯車55、第1遊星歯車58、第2太陽歯車61および第2遊星歯車62の回転周期毎に発生する出力軸50の回転速度変動を、パルス信号数と対応した変動情報として記憶し、モータ45の回転速度を制御するコントローラ75とを備えている。
そして、コントローラ75が、累積したパルス信号数に基づいてこのパルス信号数に対応する変動情報を検出し、変動情報を用いて出力軸50の回転速度変動を相殺するようにモータ45を駆動するFF制御を実行するように構成されている。
このため、感光体駆動装置30は、各歯車にホームポジションセンサを用いることなく、FF制御により遊星歯車減速装置46の各歯車の回転に起因する周期的な出力軸50の回転変動を抑制することができる。
また、本実施の形態の感光体駆動装置30は、第1太陽歯車55および第2太陽歯車61の歯数が、第1遊星歯車58および第2遊星歯車62それぞれの数に対して非整数倍の歯数に構成されている。
このため、感光体駆動装置30は、第1太陽歯車55と噛み合う3個の第1遊星歯車58および第2太陽歯車61と噛み合う3個の第2遊星歯車62において、噛み合うタイミングをずらすことができる。したがって、噛み合い部の歯ピッチで発生する噛み合い振動は、各遊星歯車で位相差が生じるので、感光体駆動装置30の振動を低減させることができる。
また、本実施の形態の感光体駆動装置30は、第1遊星歯車58および第2遊星歯車62の歯数を奇数に設定している。
このため、第1遊星歯車58は、第1太陽歯車55との噛み合い部の歯ピッチで発生する噛み合い振動と、内歯歯車57の噛み合い部の歯ピッチで発生する噛み合い振動とに位相差を生じさせることができ、振動を低減させることができる。
したがって、第1遊星歯車58の回転精度を向上させることができる。また、第2遊星歯車62においても、同様の効果を得ることができ、第2の遊星歯車62の回転精度を向上させることができる。
また、本実施の形態の感光体駆動装置30は、コントローラ75が、FF制御の実行中に、ロータリエンコーダ74から検出されたパルス信号に基づいて、第1太陽歯車55、第1遊星歯車58、第2太陽歯車61および第2遊星歯車62の回転周期毎に発生する出力軸50の回転速度変動を検出して、回転速度変動を、変動情報として変動成分検出部83、スイッチ84およびFF制御値算出部85に記憶している。
そして、コントローラ75が、前回のFF制御の実行中に変動成分検出部83、スイッチ84およびFF制御値算出部85に記憶された変動情報と、今回のFF制御の実行中に変動成分検出部83、スイッチ84およびFF制御値算出部85に記憶された変動情報とに基づいて、変動成分検出部83、スイッチ84およびFF制御値算出部85に記憶される変動情報を更新し、変動成分検出部83、スイッチ84およびFF制御値算出部85に記憶された変動情報を用いて回転速度変動を相殺するようにモータ45を駆動するFF制御を実行している。
このため、コントローラ75は、FF制御精度の向上と、遊星歯車減速装置46を構成する各要素の経時変化の対応と、パルスカウンタのカウントミスによる位相管理誤差の補正とを繰り返し実行することができる。
また、本実施の形態の感光体駆動装置30は、コントローラ75が、ロータリエンコーダ74から送信されるパルス信号に基づき、1msecの制御周期でモータ45の回転速度を制御するFB制御を行う構成となっている。
このため、コントローラ75は、感光体ドラム6に当接する様々な部品によって、ドラム軸48に発生する不定周期の負荷変動に起因する回転変動を抑制することができる。
また、本実施の形態の感光体駆動装置30は、コントローラ75が、変動成分検出部83、スイッチ84およびFF制御値算出部85に記憶される変動情報の更新後に再度出力軸50の回転速度変動を検出している。
このため、コントローラ75は、変動成分検出部83が外乱推定中にFF制御値算出部85の変動情報を更新することができ、変動成分検出部83での推定値が変動してFF制御精度が大幅に低下するのを防止することができる。
また、本実施の形態の感光体駆動装置30は、コントローラ75が、1msecの制御周期の100倍以上の周期で変動成分検出部83、スイッチ84およびFF制御値算出部85に記憶される変動情報の更新を行うようになっている。
このため、コントローラ75は、FB制御の特性を持つ常時学習型と既存のFB制御との相互干渉を防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、感光体駆動装置30を感光体ドラム6の駆動軸に採用しているが、これに限らず、駆動ローラ12のローラ駆動装置や、2次転写駆動部および定着駆動部等の各駆動ローラの回転駆動装置に用いてもよい。
また、本実施の形態では、第1遊星歯車58および第2遊星歯車62の個数はそれぞれ3個ずつであるが、これに限らず、遊星歯車の数は2個以上であればよい。
遊星歯車機構では、外径と減速比が同じであれば、遊星歯車数が多い方が、歯車の噛み合い部にかかる荷重トルクが低くなる。よって、遊星歯車の数は、例えば、コスト増加を抑えつつ、より耐久性を向上させるために、入力側を2個、出力側を4個としてもよい。
また、本実施の形態では、感光体ドラム6と遊星歯車減速装置46はそれぞれ別の構成であるが、これに限られず、感光体ドラム6内に、遊星歯車減速装置46の一部、または全部を納める構成でもよい。
また、本実施の形態では、第1太陽歯車55と、第1キャリアピン60と、第2キャリア63と、第2キャリアピン64とを金属製とし、他の遊星歯車減速装置46を構成する部品を樹脂製としているが、これに限定されるものではない。
例えば、内歯歯車57を樹脂製とし、必要に応じて他の第1遊星歯車58、第2遊星歯車62、第1キャリアおよび一体で構成された第2太陽歯車61を金属製としてもよい。
このようにしても、遊星歯車変速装置46の主な構成部品の全てを金属製にする場合よりも遊星歯車減速装置46を軽量化できるとともに、主な構成部品の全てを樹脂製とする場合よりも、遊星歯車減速装置46が感光体ドラム6の高い負荷に耐えることができる。