JP5543741B2 - クレーンの転倒防止装置 - Google Patents
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Description
しかし、吊荷や作業半径が過大になると、バランスが崩れてクレーンが転倒するおそれがある。ここで、クレーンが転倒しようとするときには、転倒する側とは反対側のアウトリガの接地反力が小さくなる。
前記算出された反力率が接地基準値に応答する割合を越えていれば、前記コントロールバルブの各スプールのストローク量に前記算出された反力率を乗算して出力値を求め、求められた出力値によって前記コントロールバルブをフィードバック制御して、反力値が小さいときには大きいときに比べて前記コントロールバルブのスプール移動量を少なくしてクレーン速度を無段階で減速させることを特徴としている。
但し、「反力率」とは、アウトリガからの反力値に最大値を設け、その最大値を100%とするときに、アウトリガから入力された反力値を、0〜100%の割合で表したものである。
図1に示すように、この車両搭載型クレーン(以下、単に「クレーン」ともいう)1は、アウトリガ2を備えたベース4上にコラム6が旋回自在に設けられ、このコラム6の上端部に伸縮するブーム7が起伏自在に枢支されている。コラム6にはウインチ11が設けられており、このウインチ11からワイヤロープ12をブーム7の先端部7sに導いて、ブーム7の先端部7sの滑車(図示略)を介して吊荷用のフック13に掛回すことにより、フック13をブーム7の先端部7sから吊下している。
そして、これらの旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10、及びアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rは、図2に示すように、何れも車両のエンジン15のPTO16に連結して駆動される油圧ポンプ17からコントロールバルブ20を介して圧油を供給することにより作動するようになっている。
また、上記アウトリガ2には、左右の各アウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rに、アウトリガの反力を検出可能な反力検出器66がそれぞれ付設されている。そして、各反力検出器66によって検出されたアウトリガの反力は、コントローラ30に反力値として入力されるようになっている。
一方、図4に拡大図示するように、アクセルシリンダ50にも比例ソレノイド(比例電磁式パイロット弁)51が設けられている。この比例ソレノイド51についても、パイロット圧油が供給されるポートEが常時閉、タンク14へ作動油を戻すポートFが常時開となっており、コントローラ30から制御電流が入力されるとパイロットスプール51sが摺動し、入力電流値によってポートEの開口量が制御される。これにより、メインスプール52の油室52sへのパイロット圧油の供給が制御される。
このコントローラ30は、以下いずれも図示しない、所定の制御プログラムに基づいて、演算およびこの車両搭載型クレーン1のシステム全体を制御するCPUと、所定領域に予めCPUの制御プログラム等を格納しているROMと、ROM等から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAMと、クレーン1の遠隔操作器19等を含めた外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(インターフェイス)とを有して構成されている。これらは、データを転送するための信号線であるバスで相互にかつデータ授受可能に接続されている。そして、遠隔操作器19またはクレーン1本体の手動レバー18からは、上述したクレーン1の各アクチュエータを作動させる実行指令となる所定の操作信号が、オペレータによるスイッチ操作またはレバー操作により入力されるようになっている。
この反力感応型速度制御処理は、コントローラ30で実行されると、図5に示すように、まず、ステップS11に移行してクレーンが操作中(操作レバー18ないし遠隔操作器19が操作中)か否かを判定し、操作中であれば(Yes)ステップS12に移行し、そうでなければ(No)処理を戻す。ステップS12では、各アウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rに付設されている反力検出器66から各アウトリガの反力を読み込み、続くステップS13では、反力率を算出してステップS14に移行する。ここで、この「反力率」とは、アウトリガからの反力値に最大値を設けており、その最大値を100%とするときに、アウトリガから入力された反力値を、0〜100%の割合で表したものである。
このように、このコントローラ30は、遠隔操作器19等からの操作信号に対し、コントロールバルブ20の各スプールとアクセルシリンダ50のストローク量を、フィードバックをとりながら演算して制御しているため、遠隔操作器19の操作に対してクレーンの速度を変化させることが可能であり、さらに、この反力感応型速度制御処理は、遠隔操作器19からの操作信号に対して、そのときの求められたアウトリガ2の反力値に対する反力率を各スプールストローク量に乗算することで、図6の関数F1に示すように、アウトリガの反力値に対応させつつ各スプールストローク量を無段階で変化させることができるようになっている。つまり、アウトリガ2の反力値の変動に対してクレーン速度を無段階で対応させるように変化させることができる。
例えば、同図に例示する関数F1は、上記反力率に対して一律比例の関係で減速させているが、同図に例示する関数F2のように、反力率が100%付近のときは急激に減速し、0%付近のときはゆるやかに減速するような関数を用いたり、あるいは、関数F3に示すように、反力率が100%付近のときはゆるやかに減速し、0%付近のときは急激に減速するような関数を用いたり、といったさまざまな減速特性を設定することが可能である。つまり、いずれの例においても、反力検出器66から得られた反力値の大きさに応じて、反力値が小さいときには大きいときに比べてコントロールバルブ20のスプール移動量を少なくしてクレーン速度を無段階で減速させるものである。
このキャリブレーション処理は、例えばクレーン1の起動時等における、アウトリガが張出し又は格納操作がされるときに自動実行され、コントローラ30で実行されると、図7に示すように、まず、ステップS31に移行して、各アウトリガ2のアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rに付設されている反力検出器66から各アウトリガの反力を読み込み、その反力値がいずれも調整基準値(例えば300N)未満か否かを判定する。つまり、調整基準値未満であれば(Yes)ステップS32に移行し、そうでなければ(No)キャリブレーションを行うことなく処理を戻す。
ステップS33では、タイマTをリセットし、続くステップS34では、反力検出器66から随時に読み込まれる反力値の変動の程度が、予め設定された基準値(幅)以内か否かを監視する。つまり、反力値の変動の程度が基準値以内に納まっていれば(Yes)ステップS35に移行し、そうでなければ(No)キャリブレーションを行うことなく処理を戻す。
このクレーンの転倒防止装置は、コントローラ30が、上述した反力感応型速度制御処理を実行することによって、反力検出器66からの反力値を読み込み、その反力値の大きさに応じて、図6にも例示したように、反力値が小さいときには大きいときに比べてコントロールバルブ20のスプール移動量を少なくしてクレーン速度を無段階で減速させるので、クレーン速度が、アウトリガ反力が小さくなるにつれて減速していく。そのため、
例えば図8(a)に示すように、吊荷Wによるモーメント荷重が小さいときは、同図左右のアウトリガ2における反力Pが十分に大きくなっており、クレーン速度を遅くすることなく、クレーン操作を行うことができる。そして、例えば同図(b)に示すように、ブームを伸長して吊荷Wによるモーメント荷重が大きくなったときには、これにより、いずれかのアウトリガ2の反力が小さくなるが、その小さくなるにつれてクレーン速度を遅くすることができるため、オペレータによるクレーンの操作状態に影響を受けることなく、オペレータが急激にクレーン速度を上げようと操作しても(又は誤作動で急激に操作したとしても)、転倒限界の十分手前からアウトリガの反力の大きさに応じてクレーンの動作速度を自動で無段階に減速してクレーンをなめらかに停止させることができる。したがって、オペレータによるクレーンの操作に対し、常に同じ動作でクレーンを減速、停止させつつも、荷振れやオーバーランをすることなく、目的とする場所で停止させることができ、クレーンの転倒を確実に防止することができる。
そして、上述のように、このクレーンの転倒防止装置によれば、0点調整の条件を、アウトリガが張出し又は格納操作され且つ一定時間Tが継続中に、予め設定しておいた基準値以内で反力値に変動がない場合(微少の値変動は考慮する)に、そのときの負荷状態を0N(零ニュートン)と設定しているので、より正確な0点調整を行うことが可能となっている。
2 アウトリガ
3L、3R アウトリガ用油圧シリンダ
4 ベース
5 旋回用油圧モータ(アクチュエータ)
6 コラム
7 ブーム
8 ブーム伸縮用油圧シリンダ(アクチュエータ)
9 ブーム起伏用油圧シリンダ(アクチュエータ)
10 ウインチ用油圧モータ(アクチュエータ)
11 ウインチ
12 ワイヤロープ
13 フック
14 タンク
15 エンジン
16 PTO
17 油圧ポンプ
18 操作レバー
19 遠隔操作器
20 コントロールバルブ
22 ピストンロッド
23 鉄芯
28、29 (アウトリガ用)切換弁
30 コントローラ
31、32、33、34 切換弁
35 減圧弁
36 メインスプール
37 パイロットピストン
37L、37R 油室
38 メインリリーフ弁
39 アンロード弁
40 位置検出器
41 比例ソレノイド
42L、42R ソレノイド
50 アクセルシリンダ
51 比例ソレノイド
52 メインスプール
66 反力検出器(反力検出手段)
Claims (2)
- トラック等の車両に搭載されてアウトリガを備えるクレーンの転倒を防止するための転倒防止装置であって、
前記アウトリガに付設されてその反力値を出力可能な反力検出器と、前記クレーンのコントロールバルブを制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記反力検出器からの反力値を読み込み、その反力値の大きさに応じた反力率を算出し、
前記反力検出器からの反力値の大きさに基づいて、前記アウトリガが接地されているかどうかを判断し、前記算出された反力率が予め設定された接地基準値に応答する割合以下であれば、前記アウトリガが接地されていないと判断して、クレーン操作ができないようにするブームインターロックを実行し、
前記算出された反力率が接地基準値に応答する割合を越えていれば、前記コントロールバルブの各スプールのストローク量に前記算出された反力率を乗算して出力値を求め、求められた出力値によって前記コントロールバルブをフィードバック制御して、反力値が小さいときには大きいときに比べて前記コントロールバルブのスプール移動量を少なくしてクレーン速度を無段階で減速させることを特徴とするクレーンの転倒防止装置。
但し、「反力率」とは、アウトリガからの反力値に最大値を設け、その最大値を100%とするときに、アウトリガから入力された反力値を、0〜100%の割合で表したものである。 - 前記コントローラは、前記反力検出器からの反力値の大きさに基づいて、前記アウトリガの張出又は格納操作中に、その反力値の大きさが予め設定された調整基準値以内で且つ一定時間に変化がないときには、そのときの反力値を0点としてリセットするキャリブレーション手段を有することを特徴とする請求項1に記載のクレーンの転倒防止装置。
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