JP6730127B2 - クレーンの速度制御装置およびこれを備える車両搭載型クレーン - Google Patents
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Description
図1に示すように、第一実施形態に係る車両搭載型クレーン(以下、単に「クレーン」ともいう)1は、アウトリガ2を備えたベース4上にコラム6が旋回自在に設けられ、このコラム6の上端部に伸縮するブーム7が起伏自在に枢支されている。コラム6にはウインチ11が設けられており、このウインチ11からワイヤロープ12をブーム7の先端部7sに導いて、ブーム7の先端部7sの滑車(図示略)を介して吊荷用のフック13に掛回すことにより、フック13をブーム7の先端部7sから吊下している。
そして、これら複数のアクチュエータは、図2に示すように、何れも車両のエンジン15のPTO16に連結して駆動される油圧ポンプ17からコントロールバルブ20を介して圧油を供給することにより作動するようになっている。なお、ポンプポートとタンクポートとの間には、メインリリーフ弁38と、アンロードが必要なときメインリリーフ弁38を開き、ポンプポートとタンクポートとを連通させるアンロード弁39とが設けられている。
そして、各検出器61、62、64からの信号は、上記コントローラ30に読み込まれ、コントローラ30は、各検出器61、62、64からの信号により、ブーム7の先端部7sの位置やフック13の位置等を認識できるようになっている。
ここで、上記課題を解決する手段に記載の「ブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段」には、上記ブーム長検出器61、ブーム角度検出器62、およびウインチドラム回転検出器64がそれぞれ対応している。また、上記課題を解決する手段に記載の「作業状態演算手段」には、コントローラ30の作業半径を演算する処理および吊下長さを演算する処理が対応している。
このコントローラ30は、以下いずれも図示しない、所定の制御プログラムに基づいて、演算およびこの車両搭載型クレーン1のシステム全体を制御するCPUと、所定領域に予めCPUの制御プログラム等を格納しているROMと、ROM等から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAMと、クレーン1の遠隔操作器19等を含めた外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(インターフェイス)とを有して構成されている。これらは、データを転送するための信号線であるバスで相互にかつデータ授受可能に接続されている。遠隔操作器19からは、クレーン1の各アクチュエータを作動させる実行指令となる所定の操作信号が、上記選択スイッチ71、72、73、74および速度レバー75の、オペレータのスイッチ操作およびレバー操作によりコントローラ30に入力される。
なお、遠隔操作器19からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値とは、以下、各実施形態において、各スプールとアクセルシリンダ50のストローク量を指す。
そして、要求値がリミッタ値を超えない場合にはそのまま各ストローク量(要求値)を適用して通常の速度制御を行う。一方、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用することで、各スプールとアクセルシリンダのストローク量を制限してクレーンの作動速度を制限する。そのため、以下詳述するように、吊荷が重荷重のような悪条件の場合であっても、随時のブーム長さ、作業半径およびワイヤロープの吊下長さに応じたクレーンの作動速度の制御により、荷ぶれの発生を防止または抑制可能になっている。
以下、このコントローラ30で実行される速度制限処理について図6〜図10を参照しつつ詳細に説明する。
このコントローラ30では、クレーン1が操作されているときは速度制限処理が実行され、図6に示すように、まず、ステップS1に移行する。ここで、速度制限処理は、クレーン制御のメインルーチン(メインプログラム)において、サブルーチン(サブプログラム)として呼び出されて実行される処理となる。なお、上記課題を解決するための手段に記載の「速度制御手段」には、コントローラ30で実行されるこの速度制限処理が対応している。
ステップS1では、遠隔操作器19が操作されているか否かが随時に監視される。具体的に、上記遠隔操作器19の選択スイッチ71、72、73、74の操作の有無が判定される。
そして、遠隔操作器19が操作されていると判定した場合(YES)は、ステップS2に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、メインルーチンの処理へと戻る。
ステップS3に移行した場合は、速度制限処理のうち、ブーム長さに対する速度制限処理である起伏速度制限処理を実行して、ステップS4に移行する。
一方、ステップS4では、ブーム旋回操作の有無が判定される。つまり、遠隔操作器19の左右旋回選択スイッチ74によるブーム旋回操作がされているか否かが判定される。そして、ブーム旋回操作がされていると判定した場合(YES)は、ステップS5に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、ステップS7に移行する。
ステップS6では、速度制限処理のうち、ワイヤロープの吊下長さに対する速度制限処理である第2旋回速度制限処理を実行して、ステップS7に移行する。
ここで、上記ステップS3、S5及びS6では、具体的に、遠隔操作器19からの操作信号に応じたスプールストローク量と、後述するリミッタ関数で演算されるリミッタ値とを比較する。そして、この比較結果に基づき、操作信号に応じたスプールストローク量とリミッタ値とのうちいずれか一方を選択する処理を実行する。
また、リミッタ関数は、例えば、下式(1)に示す関数(L(a))から構成される。
L(a)=Lmax−a ・・・(1)
上式(1)において、Lmaxはフルストローク値であり、aは作業状態情報であり下式(2)から求める。
a=(Lmax−Lc)・(b−St)/(En−St) ・・・(2)
ここで、上記リミッタ関数L(a)によってリミッタ値を算出する際に、作業状態変数bとして、起伏速度制限処理ではブーム長さを用い、第1旋回速度制限処理では作業半径を用い、第2旋回速度制限処理では吊下長さを用いる。
次に、ステップS3で実行される起伏速度制限処理の詳細について説明する。ステップS3において、起伏速度制限処理が実行されると、図7に示すように、まず、ステップS31に移行する。
ステップS31では、ブーム長検出器61が検出したブーム7の長さ(位置)の情報を読み込む。その後、ステップS32に移行する。
ステップS32では、起伏速度制限処理に対応するリミッタ関数(図10参照)を参照し、現在のブーム7の長さに応じたリミッタ値を算出する。その後、ステップS33に移行する。
なお、このリミッタ関数は、図10に示すように、比例的に変化させることもできれば、任意の関数で変化させることも可能である。ここで、ブーム長さに対する起伏速度制限処理では、リミッタ関数は、ブーム7の長さが長いときほどクレーンの起伏作動速度が遅くなる関数になっており、ブーム長さが最縮小状態から最伸長状態に向かうにつれてクレーンの起伏作動速度を減速する程度が大きくなるように、スプールストロークのリミッタ値が設定される。
ステップS34に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうちリミッタ値を選択して、元の処理に戻る。
一方、ステップS35に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、要求値を選択して、元の処理に戻る。
次に、ステップS5で実行される第1旋回速度制限処理の詳細について説明する。ステップS5において、第1旋回速度制限処理が実行されると、図8に示すように、まず、ステップS51に移行する。
ステップS51では、ブーム長検出器61が検出したブーム7の長さ(位置)の情報と、ブーム角度検出器62が検出したブーム7の起伏角度の情報とを読み込む。その後、ステップS52に移行する。
ステップS52では、ステップS51で読み込んだブーム7の長さ(位置)の情報とブーム7の起伏角度の情報とから現在の作業半径を算出して、ステップS53に移行する。
すなわち、ブーム旋回操作時に、クレーン1の作業半径に対応する作業状態変数が、始点となる最小時のSt(最小作業半径時)から終点となる最大時のEn(最大作業半径時)までの間にあるときに、参照したリミッタ関数に基づく演算結果として、現在のクレーン1の作業半径に応じたスプールストロークのリミッタ値を算出する。
なお、このリミッタ関数は、図10に示すように、比例的に変化させることもできれば、任意の関数で変化させることも可能である。ここで、第1旋回速度制限処理では、リミッタ関数は、クレーン1の作業半径が大きいときほどクレーンの旋回作動速度が遅くなる関数になっており、クレーン1の作業半径が最小作業半径から最大作業半径に向かうにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、スプールストロークのリミッタ値が設定される。
ステップS55に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、リミッタ値を選択して、元の処理に戻る。
一方、ステップS56に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、要求値を選択して、元の処理に戻る。
次に、ステップS6で実行される第2旋回速度制限処理の詳細について説明する。ステップS6において、第2旋回速度制限処理が実行されると、図9に示すように、まず、ステップS61に移行する。
ステップS61では、ウインチドラム回転検出器64、ブーム長検出器61およびブーム角度検出器62からの各位置情報を読み込む。さらに、これら各検出器61、62、64から読み込んだ各位置情報に基づいて、現在のブーム7の先端とフック13間の距離をワイヤロープ吊下長さ情報として算出する。その後、ステップS62に移行する。
すなわち、ワイヤロープ12の繰り出し、繰り込み操作時に、ワイヤロープ12の吊下長さに対応する作業状態変数が、始点となる最小時のSt(最小繰り出し時(巻過限界))から終点となる最大時のEn(最大繰り出し時)までの間にあるときに、参照したリミッタ関数に基づく演算結果として、現在のワイヤロープ12の吊下長さに応じたスプールストロークのリミッタ値を算出する。
なお、このリミッタ関数は、図10に示すように、比例的に変化させることもできれば、任意の関数で変化させることも可能である。ここで、第2旋回速度制限処理では、リミッタ関数は、ワイヤロープ12の吊下長さが長いときほどクレーンの旋回作動速度が遅くなる関数になっており、吊下長さが最短状態から最長状態に向かうにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、スプールストロークのリミッタ値が設定される。
ステップS64に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、リミッタ値を選択して、元の処理に戻る。
一方、ステップS65に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、要求値を選択して、元の処理に戻る。
次に、このクレーン1のコントローラ30に装備された速度制御装置の動作、および作用効果について説明する。
第一実施形態では、コントローラ30は、遠隔操作器19による操作状況に合わせて、上述したステップS3、S5及びS6の順に速度制限処理を直列的に処理する。そして、ステップS7にて、最終的に、選択された値のうち条件の最も悪いものを設定し、この設定値に基づきクレーンの作動速度を制限する。ステップS3、S5及びS6の各々の処理は、各々の処理用のリミッタ関数のテーブルにて処理される。特に、このコントローラ30は、旋回速度の規制だけでなく、ブーム長さに対するブーム起伏速度も規制し、クレーン作動の荷ぶれに関する総合的な速度制御を行っている。
図11に示すように、ブーム長さが短くて(同図(a))、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、そのときのブーム長さにおけるスプールストロークのリミッタ値である第1のリミッタ値を超えなかったとする。この場合に、コントローラ30で実行される起伏速度制限処理では、遠隔操作器19による要求値が選択される。ここでは、第1及び第2旋回速度制限処理が実行されないため、コントローラ30で実行される総合判定処理(ステップS7)では、遠隔操作器19の要求値が設定される。その結果、この要求値に応じた通常の起伏速度でブームの起伏が行われる。なお、図11(a)に示す矢印Knは、遠隔操作器19による要求値に応じた起伏速度でブームの起伏が行われているイメージを示している。
図12に示すように、作業半径が小さくて(同図(a))、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、そのときの作業半径におけるスプールストロークのリミッタ値である第2のリミッタ値を超えなかったとする。この場合に、コントローラ30で実行される第1旋回速度制限処理では、遠隔操作器19の要求値が選択される。
さらに、図13に示すように、ワイヤロープ12の吊下長さが短くて(同図(a))、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、その時のワイヤロープ12の吊下長さにおけるスプールストロークのリミッタ値である第3のリミッタ値を超えなかったとする。この場合に、コントローラ30で実行される第2旋回速度制限処理では、遠隔操作器19の要求値が選択される。
ここでは、起伏速度制限処理が実行されないため、コントローラ30で実行される総合判定処理(ステップS7)では、遠隔操作器19の要求値がそのまま設定される。その結果、遠隔操作器19の要求値に応じた通常の旋回速度でブームの旋回が行われる。なお、図12(a)及び図13(a)に示す矢印Rnは、遠隔操作器19の要求値に応じた旋回速度でブームの旋回が行われているイメージを示している。
さらに、図13(b)に示すように、ワイヤロープ12の吊下長さが長くて、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、第3のリミッタ値を超えたとする。この場合に、第2旋回速度制限処理では、第3のリミッタ値が選択される。この第3のリミッタ値は、そのときのワイヤロープ12の吊下長さにおけるブーム旋回操作時の速度を制限する上で適切な値となるようにリミッタ関数によって設定されたものである。
一方、第2のリミッタ値よりも第3のリミッタ値の方が小さい場合は、第3のリミッタ値が設定される。その結果、設定された第3のリミッタ値に応じた旋回速度でブームの旋回が行われる。なお、図13(b)に示す矢印Rsは、ブームの旋回速度を第3のリミッタ値に応じた旋回速度へと制限してブームの旋回を行っているイメージを示している。
すなわち、第2のリミッタ値又は第3のリミッタ値のうち、旋回速度がより低速に制限される方のリミッタ値によって旋回速度の速度制御が行われるので、そのときの旋回半径および吊下長さの状態に対して、旋回時の荷ぶれの発生を適切に防止または抑制することが可能となる。
まず、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、そのときのブーム長さに対応する第1のリミッタ値を超えていたとする。この場合に、起伏速度制限処理では、第1のリミッタ値が選択される。
次に、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、そのときの作業半径に対応する第2のリミッタ値を超えなかったとする。この場合に、第1旋回速度制限処理では、遠隔操作器19の要求値が選択される。
このような選択結果の場合、総合判定処理では、第1のリミッタ値を最も条件の悪い結果と判定し、第1のリミッタ値を設定する。その結果、ブームの起伏速度が第1のリミッタ値に応じた起伏速度に制限された状態でブームの起伏が行われ、ブームの旋回速度が第1のリミッタ値に応じた旋回速度に制限された状態でブームの旋回が行われる。すなわち、要求値よりも低速に制限される第1のリミッタ値によって起伏速度および旋回速度の速度制御が行われるので、荷ぶれの発生を適切に防止または抑制することが可能となる。
一方、別の組合せとして、例えば、起伏速度制限処理で第1のリミッタ値が選択され、第1旋回速度制限処理で第2のリミッタ値が選択され、第2旋回速度制限処理で第3のリミッタ値が選択されたとする。
また、上記コントローラ30においては、速度制限処理で使用されるセンサ(ブーム長検出器61、ブーム角度検出器62)は、モーメントリミッタなどで使用される既存センサを併用できる。そのため、速度制限処理のためのコストアップを抑え、機器故障率の増加を招くこともない。
そして、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用することで、コントロールバルブ20の各スプールとアクセルシリンダ50のストローク量を制限する。さらに、この制限したストローク量に基づき、随時のブーム長さ、作業半径およびワイヤロープの吊下長さに応じてクレーン1の作動速度を制限する。
すなわち、動作条件に応じたリミッタ値と操作信号で求められている要求値とを比較して、最も小さい値を選択することで、最低でもリミッタ値を越えないようにクレーン1の作動速度を制限することが可能である。そのため、随時のクレーン1の種々の作業状態に応じてクレーン1の作動速度を適切に設定できるため、クレーン動作中における速度制限を行うことが必要なときに、最も適切な設定に基づいたきめ細かい速度制限が可能である。
例えば、上記第一実施形態では、遠隔操作器19の操作モードについて特に言及しなかったが、本発明の速度制御装置は、操作モードに応じた設定とすることもできる。例えば、遠隔操作器19は、クレーン1の速度モードとして、操作信号で求められている要求値のみを適用してクレーン1の作動速度に制限を加えない通常モードと、リミッタ関数を用いてクレーン1の全ての作動速度に制限を加える速度制限モードとをオペレータが選択可能に構成する。
このような構成であれば、例えば、荷役作業において、荷ぶれの影響が大きくて荷ぶれ防止を優先したい場合や、荷ぶれの影響が小さくて作業速度を優先したい場合などに、オペレータが任意に速度制限モードと通常モードとを切り換えることが可能となる。
上記第一実施形態では、吊荷重を加味せずに、各作業状態(ブーム長さ、作業半径、吊下長さ)のみに基づいて、簡易な構成で速度制限処理を効率良く実行する例を示したが、これに限定されず、更に、吊荷重をも考慮した種々の制御を備えることができる。以下、第二実施形態では、吊荷重をも考慮して、一層精度の高い制御を行う複数の構成例(第一から第三構成例)について説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。
次に、第二実施形態の速度制限処理について説明する。
コントローラ30で、速度制限処理が実行されると、図15に示すように、まず、ステップS101に移行する。ここで、速度制限処理は、クレーン制御のメインルーチン(メインプログラム)において、サブルーチン(サブプログラム)として呼び出されて実行される処理となる。
ステップS101では、上記遠隔操作器19の選択スイッチ71、72、73、74の操作の有無が判定される。そして、遠隔操作器19が操作されていると判定した場合(YES)は、ステップS102に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、メインルーチンの処理へと戻る。
ステップS102に移行した場合は、吊荷重に対する速度制限処理を実行して、ステップS103に移行する。
以降のステップS103〜S108の処理は、上記第1実施形態のステップS2〜S7と同様の処理となるので説明を省略する。
ここで、上記速度制限処理は、ステップS102の速度制限処理の内容が異なるのみで、以下に説明する第一から第三構成例において共通の処理となる。
この第一構成例では、吊荷重に対する速度制限処理として、現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするようにリミッタ値を乗算補正する第1のリミッタ関数補正処理を実行する。具体的に、第一構成例では、下式(3)に従ってリミッタ関数を乗算補正する。
L1(a)=γ1・L0(a) ・・・(3)
上式(2)において、L0(a)は、吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数である(ここでは上式(1)のリミッタ関数と同じ)。また、L1(a)は、乗算補正後のリミッタ関数である。また、γ1は、第1補正用係数であり、「0<γ1≦1」の範囲の値となる。
上式(3)に示すように、乗算補正後のリミッタ関数L1(a)は、上記吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数L0(a)に、第1補正用係数γ1を乗算したものとなる。
γ1=(1−w/wmax) ・・・(4)
上式(4)において、wは、クレーン1の吊荷重[t]であり、wmaxは、クレーン1の最大吊荷重[t]である。上式(4)に示すように、第1補正用係数γ1は、クレーン1の吊荷重wを、クレーン1の最大吊荷重wmaxで除算した結果を、1から減算したものとなる。
すなわち、第一構成例では、クレーン1の吊荷重wが大きいほど小さい値となる第1補正用係数γ1を、上記吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数L0(a)に乗算する。このようにして、吊荷重wが大きいほどリミッタ値が小さくなるようにリミッタ関数を乗算補正する。
次に、第一構成例において、上記ステップS102で実行される第1のリミッタ関数補正処理の詳細について説明する。ステップS102において、第1のリミッタ関数補正処理が実行されると、図16に示すように、まず、ステップS1011に移行する。
ステップS1011では、ロードセルにより取得した吊荷重wの情報を読み込んで、ステップS1012に移行する。
ステップS1012では、上式(4)に従って、読み込んだ吊荷重wに基づき第1補正用係数γ1を算出して、ステップS1013に移行する。
具体的に、第一構成例では、図17に示すように、リミッタ関数L0(a)により算出したリミッタ値のテーブル(図17中の直線Nを参照)が予め用意されており、このテーブルを構成する各リミッタ値に対して、第1補正用係数γ1を乗算する。このようにして、リミッタ関数L0(a)のテーブルを、現在の吊荷重wに対応したテーブルへと乗算補正する。
また、読み込まれた吊荷重wがβ[t]の場合(但し、α<β)には、吊荷重wがα[t]の場合よりもクレーン1の作動速度の減少の度合いがより大きくなるようにリミッタ値のテーブルが乗算補正される(図17中の直線CBを参照)。
以上説明したように、第一構成例であれば、コントローラ30は、現在の吊荷重wに応じて、吊荷重wが大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするリミッタ関数を各作業状態それぞれに対して設定できる。つまり、第一構成例によれば、重い荷を吊っている程、クレーン1の各作業状態それぞれに対して作動速度をより遅くすることが可能となり、クレーン1の急激な動作を抑制する上で好適である。
この第二構成例では、吊荷重に対する速度制限処理として、現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするようにリミッタ値を減算補正する第2のリミッタ関数補正処理を実行する。具体的に、第二構成例では、下式(5)に従ってリミッタ関数を減算補正する。
L2(a)=L0(a)−γ2 ・・・(5)
上式(5)において、L2(a)は、減算補正後のリミッタ関数である。また、γ2は、第2補正用係数である。
上式(5)に示すように、減算補正後のリミッタ関数L2(a)は、吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数L0(a)から、第2補正用係数γ2を減算したものとなる。
γ2=L・(w/wmax) ・・・(6)
上式(6)において、Lは、「0<L≦Lmax」の範囲の任意の値である。なお、γ2は、「0<γ2≦L」の範囲の値となる。
上式(6)に示すように、第2補正用係数γ2は、クレーン1の吊荷重wを、クレーン1の最大吊荷重wmaxで除算した結果に、任意の値Lを乗算したものとなる。
すなわち、第二構成例では、クレーン1の吊荷重wが大きいほど大きい値となる第2補正用係数γ2を、上記吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数L0(a)から減算する。これにより、吊荷重wが大きいほどリミッタ値が小さくなるようにリミッタ関数を減算補正する。
次に、第二構成例において、ステップS102で実行される第2のリミッタ関数補正処理の詳細について説明する。ステップS102において、第2のリミッタ関数補正処理が実行されると、図18に示すように、まず、ステップS1021に移行する。
ステップS1021では、ロードセルにより取得した吊荷重wの情報を読み込んで、ステップS1022に移行する。
ステップS1022では、上式(6)に従って、読み込んだ吊荷重wに基づき第2補正用係数γ2を算出して、ステップS1023に移行する。
具体的に、第二構成例では、図19に示すように、リミッタ関数L0(a)により算出したリミッタ値のテーブル(図19中の直線Nを参照)が予め用意されており、このテーブルを構成する各リミッタ値から、第2補正用係数γ2を減算する。このようにして、リミッタ関数L0(a)のテーブルを、現在の吊荷重wに対応したテーブルへと減算補正する。
また、読み込まれた吊荷重wがβ[t]の場合(但し、α<β)には、吊荷重wがα[t]の場合よりもクレーン1の作動速度の減少の度合いがより大きくなるようにリミッタ値のテーブルが減算補正される(図19中の直線CBを参照)。
以上説明したように、第二構成例であれば、コントローラ30は、現在の吊荷重wに応じて、吊荷重wが大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするリミッタ関数を各作業状態それぞれに対して設定できる。つまり、第二構成例によれば、重い荷を吊っている程、クレーン1の各作業状態それぞれに対して作動速度をより遅くすることが可能となり、クレーン1の急激な動作を抑制する上で好適である。
この第三構成例では、吊荷重に対する速度制限処理として、現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いが大きくなるように予め設定されたリミッタ関数を選択する処理を実行する。そして、クレーン1の各作業状態に応じて、その選択したリミッタ関数によってクレーン1の現在の作業状態に応じて算出されたリミッタ値を設定する。
つまり、第三構成例において、ステップS102で実行される速度制限処理では、ロードセルにより取得した吊荷重wの情報を読み込み、予め設定された選択可能な複数のリミッタ関数のうちから、その吊荷重に対応するリミッタ関数が、各作業状態それぞれに対して設定される。
すなわち、第三構成例は、例えば、予め設定された吊荷重範囲について、所定荷重毎(例えば、10[kg]毎)に、上記第一構成例または第二構成例に示す方法で補正された複数のリミッタ関数が予め用意されている。そして、これら用意された複数のリミッタ関数から現在の吊荷重wに対応するリミッタ関数を選択する構成となる。
一方、読み込まれた吊荷重がα[t]の場合には、図17又は図19中の直線CAで示すリミッタ関数が各作業状態それぞれに対して選択される。また、読み込まれた吊荷重がβ[t]の場合には、図17又は図19中の直線CBで示すリミッタ関数が各作業状態それぞれに対して選択される。
以上説明したように、第三構成例であれば、コントローラ30は、現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするリミッタ関数を各作業状態それぞれに対して設定できる。つまり、第三構成例によれば、重い荷を吊っている程、クレーン1の各作業状態それぞれに対して作動速度をより遅くするので、クレーン1の急激な動作を抑制する上で好適である。
上記第一および第二実施形態では、総合判定処理によって各作業状態に対して共通のリミッタ値を求める例を示したが、これに限定されず、各操作(ここでは、起伏操作、旋回操作)に対して個別にリミッタ値を求める構成としてもよい。以下、第三実施形態では、各操作に対して個別にリミッタ値を求める構成について説明する。なお、上記第一および第二実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。
一方、遠隔操作器19からの旋回操作による操作信号が入力されると、例えば、図20(b)中の直線Nrで示す作業半径に対応するリミッタ関数を用いて、作業半径に対する第1の旋回速度制限処理を行う。これにより、現在の作業半径に応じた適切なブーム旋回用のスプールのストローク量を求める。引き続き、例えば、図20(c)中の直線Neで示す吊下長さに対応するリミッタ関数を用いて、ワイヤロープの吊下長さに対する第2の旋回速度制限処理を行う。これにより、現在の吊下長さに応じた適切なブーム旋回用のスプールのストローク量を求める。そして、これら求めたストローク量のうち条件の悪い方のストローク量に基づき旋回速度の制御を行う。
次に、第三実施形態の総合判定処理について説明する。ステップS7またはS108において、総合判定処理が実行されると、図21に示すように、まず、ステップS201に移行する。
ステップS201では、起伏速度制限処理においてブーム長さに対応する第1のリミッタ値が選択されたか否かを判定する。そして、選択されたと判定した場合(YES)は、ステップS202に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、ステップS203に移行する。
ステップS203に移行した場合は、起伏速度の制御に対するスプールストローク量として、遠隔操作器19の速度レバー75の操作量に応じた要求値を設定する。その後、ステップS204に移行する。
ステップS204では、第1旋回速度制限処理において作業半径に対応する第2のリミッタ値が選択されたか否かを判定する。そして、選択されたと判定した場合(YES)は、ステップS205に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、ステップS208に移行する。
ステップS206に移行した場合は、旋回速度の制御に対するスプールストローク量として、第2のリミッタ値および第3のリミッタ値のうち条件の悪い方の値を設定する。その後、元の処理に戻る。
ここで、上記第2のリミッタ値および第3のリミッタ値のうち条件の悪い方の値とは、より小さい方の値である。
なお、本発明に係るクレーンの速度制御装置は、上記第三実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
例えば、上記第三実施形態において、各操作状態に対応するリミッタ関数を、上記第二実施形態の第一構成例および第二構成例のように、読み込んだ吊荷重wに応じて補正する構成としてもよい。また、上記第二実施形態の第三構成例のように、各操作状態に対応するリミッタ関数について、所定荷重毎に補正されたリミッタ関数を予め複数用意する構成としてもよい。
2 アウトリガ
3L、3R アウトリガ用油圧シリンダ
4 ベース
5 旋回用油圧モータ(アクチュエータ)
6 コラム
7 ブーム
8 ブーム伸縮用油圧シリンダ(アクチュエータ)
9 ブーム起伏用油圧シリンダ(アクチュエータ)
10 ウインチ用油圧モータ(アクチュエータ)
11 ウインチ
12 ワイヤロープ
13 フック
14 タンク
15 エンジン
16 PTO
17 油圧ポンプ
18 操作レバー
19 遠隔操作器
20 コントロールバルブ
22 ピストンロッド
23 鉄芯
28、29 (アウトリガ用)切換弁
30 コントローラ
31、32、33、34 切換弁
35 減圧弁
36 メインスプール
37 パイロットピストン
37L、37R 油室
38 メインリリーフ弁
39 アンロード弁
40 位置検出器
41 比例ソレノイド
42L、42R ソレノイド
50 アクセルシリンダ
51 比例ソレノイド
52 メインスプール
53 位置検出器
61 ブーム長検出器
62 ブーム角度検出器
63 吊荷重検出器
64 ウインチドラム回転検出器
71 ブーム起伏選択スイッチ
72 フック巻き上げ巻き下げ選択スイッチ
73 ブーム伸縮選択スイッチ
74 左右旋回選択スイッチ
75 速度レバー
Claims (10)
- 旋回体と、該旋回体上に取り付けられたコラムと、該コラムに起伏および伸縮動作可能に軸支されたブームと、ブームの先端からフックを吊り下げるワイヤロープの繰り出しおよび繰り込みが可能なウインチとを備えたクレーンの作動速度を制御する速度制御装置であって、
前記クレーンのブーム長さ、ブーム起伏角度およびウインチのワイヤロープ繰り出し量を検出するブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段と、該各検出手段から前記ブームおよび前記フックの位置情報を取得するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
取得した前記位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する作業状態演算手段と、
前記クレーンを遠隔操作する遠隔操作器からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値と、前記ブーム長検出手段から取得したブーム長さと、前記作業状態演算手段で算出した作業半径および吊下長さとに基づいてクレーンの作動速度を制御する速度制御手段とを有し、
前記速度制御手段は、
ブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力としてクレーンの作動速度のリミッタ値を求めるリミッタ関数によって、現在のブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じたリミッタ値を算出し、
前記要求値と、算出したリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用してクレーンの作動速度を制限することを特徴とするクレーンの速度制御装置。 - 旋回体と、該旋回体上に取り付けられたコラムと、該コラムに起伏および伸縮動作可能に軸支されたブームと、ブームの先端からフックを吊り下げるワイヤロープの繰り出しおよび繰り込みが可能なウインチとを備えたクレーンの作動速度を制御する速度制御装置であって、
前記クレーンのブーム長さ、ブーム起伏角度およびウインチのワイヤロープ繰り出し量を検出するブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段と、前記クレーンのフックが吊り下げている吊荷重を検出する吊荷重検出器と、前記ブーム長検出手段、前記ブーム角検出手段、前記ワイヤロープ繰り出し量検出手段および前記吊荷重検出器から前記ブームおよび前記フックの位置情報ならびに前記吊荷重を取得するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
取得した前記位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する作業状態演算手段と、
前記クレーンを遠隔操作する遠隔操作器からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値と、前記吊荷重検出器から取得した吊荷重と、前記ブーム長検出手段から取得したブーム長さと、前記作業状態演算手段で算出した作業半径および吊下長さとに基づいてクレーンの作動速度を制御する速度制御手段とを有し、
前記速度制御手段は、
ブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力として前記クレーンの作動速度のリミッタ値を求めるリミッタ関数であって、吊荷重が大きくなるほどクレーンの作動速度の減少の度合いが大きくなるように設定された複数のリミッタ関数から、ブーム長さ、作業半径および吊下長さのそれぞれに対し、現在の吊荷重に応じたリミッタ関数を選択し、選択したリミッタ関数によって、現在の吊荷重、ブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じたリミッタ値を算出し、
前記要求値と、算出したリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用して前記各動作の作動速度を制限することを特徴とするクレーンの速度制御装置。 - 旋回体と、該旋回体上に取り付けられたコラムと、該コラムに起伏および伸縮動作可能に軸支されたブームと、ブームの先端からフックを吊り下げるワイヤロープの繰り出しおよび繰り込みが可能なウインチとを備えたクレーンの作動速度を制御する速度制御装置であって、
前記クレーンのブーム長さ、ブーム起伏角度およびウインチのワイヤロープ繰り出し量を検出するブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段と、前記クレーンのフックが吊り下げている吊荷重を検出する吊荷重検出器と、前記ブーム長検出手段、前記ブーム角検出手段、前記ワイヤロープ繰り出し量検出手段および前記吊荷重検出器から前記ブームおよび前記フックの位置情報ならびに前記吊荷重を取得するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
取得した前記位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する作業状態演算手段と、
前記クレーンを遠隔操作する遠隔操作器からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値と、前記吊荷重検出器から取得した吊荷重と、前記ブーム長検出手段から取得したブーム長さと、前記作業状態演算手段で算出した作業半径および吊下長さとに基づいてクレーンの作動速度を制御する速度制御手段とを有し、
前記速度制御手段は、
ブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力として前記クレーンの作動速度のリミッタ値を求めるリミッタ関数によって、現在のブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じたリミッタ値を算出し、
現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーンの作動速度の減少の度合いを大きくするように前記リミッタ値を補正し、
前記要求値と、補正後のリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用して前記各動作の作動速度を制限することを特徴とするクレーンの速度制御装置。 - 前記速度制御手段は、ブーム長さが長いときほどクレーンの起伏作動速度を遅くするリミッタ値を算出するリミッタ関数を用いてブーム長さに対する起伏速度を制限する起伏速度制限処理を実行し、
前記起伏速度制限処理では、ブーム長さが伸長するにつれてクレーンの起伏作動速度を減速する程度が大きくなるように、ブーム長さに対応する前記リミッタ値が設定される請求項1〜3のいずれか一項に記載のクレーンの速度制御装置。 - 前記速度制御手段は、クレーンの作業半径が大きいときほどクレーンの旋回作動速度を遅くするリミッタ値を算出するリミッタ関数を用いて作業半径に対する旋回速度を制限する第1の旋回速度制限処理を実行し、
前記第1の旋回速度制限処理では、作業半径が大きくなるにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、作業半径に対応する前記リミッタ値が設定される請求項4に記載のクレーンの速度制御装置。 - 前記速度制御手段は、ワイヤロープの吊下長さが長いときほどクレーンの旋回作動速度を遅くするリミッタ値を算出するリミッタ関数を用いてワイヤロープの吊下長さに対する旋回速度を制限する第2の旋回速度制限処理を実行し、
前記第2の旋回速度制限処理では、吊下長さが長くなるにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、ワイヤロープの吊下長さに対応する前記リミッタ値が設定される請求項5に記載のクレーンの速度制御装置。 - 前記速度制御手段は、前記遠隔操作器からの起伏操作信号および旋回操作信号を監視して、前記起伏速度制限処理、前記第1の旋回速度制限処理、および前記第2の旋回速度制限処理を実行し、これらの処理結果を比較して、最も作動速度が減速される一の処理結果を選択し、その処理結果を他の操作信号にも適用して最終的な前記各動作の作動速度を設定する請求項6に記載のクレーンの速度制御装置。
- 前記速度制御手段は、前記遠隔操作器からの起伏操作信号および旋回操作信号を監視して、前記起伏速度制限処理、前記第1の旋回速度制限処理、および前記第2の旋回速度制限処理を実行し、前記起伏速度制限処理の処理結果に基づいてクレーンの起伏速度を制限し、前記第1の旋回速度制限処理および前記第2の旋回速度制限処理の処理結果を比較して、前記旋回速度が最も減速される方の処理結果を選択し、その処理結果に基づいてクレーンの旋回速度を制限する請求項6に記載のクレーンの速度制御装置。
- 前記コントローラは、前記クレーンの速度モードとして、前記クレーンが通常に作動する通常モードと、前記クレーンの全作動速度に制限を加える速度制限モードとを備え、
前記通常モードおよび前記速度制限モードは、オペレータが選択可能になっており、
前記速度制御手段は、前記速度モードが速度制限モードに設定されているときに限ってクレーンの作動速度を制限する処理を実行する請求項1〜8のいずれか一項に記載のクレーンの速度制御装置。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載のクレーンの速度制御装置を備えることを特徴とする車両搭載型クレーン。
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