JP6730127B2 - クレーンの速度制御装置およびこれを備える車両搭載型クレーン - Google Patents

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Description

本発明は、クレーンの作動速度を制御する速度制御装置に関する。
クレーンは、左右に自在に回転する旋回体の上にコラムを取り付け、そのコラムに、起伏および伸縮動作可能なブームが固定されている。コラムにはウインチが取り付けてある。ウインチからは、繰り出しおよび繰り込み可能にワイヤロープがブームトップに導かれてフックに掛け回され、このフックがブームトップから吊り下げられている。
このようなクレーンでの荷役作業の基本的な動作は、ブームの起伏、ブームの伸縮、左右旋回およびフックの巻上巻下の4動作である。各動作の操作は、遠隔操作器の操作スイッチやクレーン本体に設置されている手動レバー操作によって、複数の操作が同時に又は単独で行なわれる。オペレータは、クレーンでの荷役作業を行うとき、荷振れがしないように注意しながら慎重に上記4動作の操作をする。
ここで、特許文献1に記載の技術では、クレーンは、そのブーム長さ、ブーム起伏角度、ウインチのワイヤロープ繰り出し量およびブーム旋回角度の各動作を行うようになっている。そして、これら各動作に対して、クレーンの物理的衝撃(例えばブーム伸縮動作の最伸時又は最縮時の衝撃、あるいはブーム段数切換時の衝撃)及び自動停止時の衝撃を緩和させるようにクレーンの作動速度を制御している。特許文献1に記載の技術によれば、クレーンを緩やかに動かし始め、また、緩やかに動きを停止させることができる。そのため、荷振れを防止し、安定した荷役作業が可能となる。
特許第5538773号公報 特許第2923094号公報(段落0008)
しかしながら、クレーンのブームは、全周全旋回動作するものなので、特許文献1に記載の技術においても、ブーム旋回作動に限っては、予め定めた停止位置で作動停止する場合であれば、クレーンの作動速度を制御することも可能である。ところが、停止位置を予め定めてクレーンの作動速度を制御する必要があるところ、停止位置を予め定めた使用状態は実際には少ない。そのため、同文献記載の技術を採用するにあたり、前もって停止位置が分からなくては、停止過程で減速するような自動操作が困難である。
これに対し、特許文献2に記載の技術では、旋回作動は、ブーム長検出器によるブーム長さと、ブーム長検出器およびブーム起伏角検出器からの信号に基づいて演算した作業半径との2つの演算結果を比較判定し、コントロールバルブの各スプールを作動させたときに最も作動油流量を少なくする方法を採用して旋回速度の制限処理を行っている。
しかし、特許文献2には、「旋回時には、吊荷の慣性力により荷の振れ量が定まらなくなる」と記載されている。すなわち、特許文献2に記載の技術では、ブーム先端の周速度を最適速度に設定するに際して、ブーム先端から吊荷までのワイヤロープ吊下長さが十分に加味されていない。そのため、振り子の原理より、ワイヤロープ吊下長さが長ければ、その分、荷振れ幅が大きくなるという問題がある。また、ワイヤロープ吊下長さが短い場合は、不必要に速度制限してしまうという問題がある。すなわち、ワイヤロープ吊下長さも判断材料として取り入れなければ、クレーンでは荷ぶれを防止するのに不十分である。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、吊荷が重荷重のような悪条件の場合であっても、随時のブーム長さ、作業半径およびワイヤロープの吊下長さに応じたクレーンの作動速度の制御により、荷ぶれの発生を防止または抑制し得るクレーンの速度制御装置およびこれを備える車両搭載型クレーンを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係るクレーンの速度制御装置は、旋回体と、該旋回体上に取り付けられたコラムと、該コラムに起伏および伸縮動作可能に軸支されたブームと、ブームの先端からフックを吊り下げるワイヤロープの繰り出しおよび繰り込みが可能なウインチとを備えたクレーンの作動速度を制御する速度制御装置であって、前記クレーンのブーム長さ、ブーム起伏角度およびウインチのワイヤロープ繰り出し量を検出する、ブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段と、該各検出手段から前記ブームおよび前記フックの位置情報を取得するコントローラとを備え、前記コントローラは、取得した前記位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する作業状態演算手段と、前記クレーンを遠隔操作する遠隔操作器からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値と、前記ブーム長検出手段から取得したブーム長さと、前記作業状態演算手段で算出した作業半径および吊下長さとに基づいてクレーンの作動速度を制御する速度制御手段とを有し、前記速度制御手段は、ブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力としてクレーンの作動速度のリミッタ値を求めるリミッタ関数によって、現在のブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じたリミッタ値を算出し、前記要求値と、算出したリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用してクレーンの作動速度を制限することを特徴とする。
一方、上記課題を解決するために、本発明の第二の態様に係るクレーンの速度制御装置は、旋回体と、該旋回体上に取り付けられたコラムと、該コラムに起伏および伸縮動作可能に軸支されたブームと、ブームの先端からフックを吊り下げるワイヤロープの繰り出しおよび繰り込みが可能なウインチとを備えたクレーンの作動速度を制御する速度制御装置であって、前記クレーンのブーム長さ、ブーム起伏角度およびウインチのワイヤロープ繰り出し量を検出するブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段と、前記クレーンのフックが吊り下げている吊荷重を検出する吊荷重検出器と、前記ブーム長検出手段、前記ブーム角検出手段、前記ワイヤロープ繰り出し量検出手段および前記吊荷重検出器から前記ブームおよび前記フックの位置情報ならびに前記吊荷重を取得するコントローラとを備え、前記コントローラは、取得した前記位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する作業状態演算手段と、前記クレーンを遠隔操作する遠隔操作器からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値と、前記吊荷重検出器から取得した吊荷重と、前記ブーム長検出手段から取得したブーム長さと、前記作業状態演算手段で算出した作業半径および吊下長さとに基づいてクレーンの作動速度を制御する速度制御手段とを有し、前記速度制御手段は、ブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力として前記クレーンの作動速度のリミッタ値を求めるリミッタ関数であって、吊荷重が大きくなるほどクレーンの作動速度の減少の度合いが大きくなるように設定された複数のリミッタ関数から、ブーム長さ、作業半径および吊下長さのそれぞれに対し、現在の吊荷重に応じたリミッタ関数を選択し、選択したリミッタ関数によって、現在の吊荷重、ブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じたリミッタ値を算出し、前記要求値と、算出したリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用して前記各動作の作動速度を制限することを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の第三の態様に係るクレーンの速度制御装置は、旋回体と、該旋回体上に取り付けられたコラムと、該コラムに起伏および伸縮動作可能に軸支されたブームと、ブームの先端からフックを吊り下げるワイヤロープの繰り出しおよび繰り込みが可能なウインチとを備えたクレーンの作動速度を制御する速度制御装置であって、前記クレーンのブーム長さ、ブーム起伏角度およびウインチのワイヤロープ繰り出し量を検出するブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段と、前記クレーンのフックが吊り下げている吊荷重を検出する吊荷重検出器と、前記ブーム長検出手段、前記ブーム角検出手段、前記ワイヤロープ繰り出し量検出手段および前記吊荷重検出器から前記ブームおよび前記フックの位置情報ならびに前記吊荷重を取得するコントローラとを備え、前記コントローラは、取得した前記位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する作業状態演算手段と、前記クレーンを遠隔操作する遠隔操作器からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値と、前記吊荷重検出器から取得した吊荷重と、前記ブーム長検出手段から取得したブーム長さと、前記作業状態演算手段で算出した作業半径および吊下長さとに基づいてクレーンの作動速度を制御する速度制御手段とを有し、前記速度制御手段は、ブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力として前記クレーンの作動速度のリミッタ値を求めるリミッタ関数によって、現在のブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じたリミッタ値を算出し、現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーンの作動速度の減少の度合いを大きくするように前記リミッタ値を補正し、前記要求値と、補正後のリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用して前記各動作の作動速度を制限することを特徴とする。
ここで、本発明の第一〜第三の態様のいずれか一の態様に係るクレーンの速度制御装置において、前記速度制御手段は、ブーム長さが長いときほどクレーンの起伏作動速度を遅くするリミッタ値を算出するリミッタ関数を用いてブーム長さに対する起伏速度を制限する起伏速度制限処理を実行し、前記起伏速度制限処理では、ブーム長さが伸長するにつれてクレーンの起伏作動速度を減速する程度が大きくなるように、ブーム長さに対応する前記リミッタ値が設定されることは好ましい。
また、前記速度制御手段は、クレーンの作業半径が大きいときほどクレーンの旋回作動速度を遅くするリミッタ値を算出するリミッタ関数を用いて作業半径に対する旋回速度を制限する第1の旋回速度制限処理を実行し、前記第1の旋回速度制限処理では、作業半径が大きくなるにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、作業半径に対応する前記リミッタ値が設定されることは好ましい。
また、前記速度制御手段は、ワイヤロープの吊下長さが長いときほどクレーンの旋回作動速度を遅くするリミッタ値を算出するリミッタ関数を用いてワイヤロープの吊下長さに対する旋回速度を制限する第2の旋回速度制限処理を実行し、前記第2の旋回速度制限処理では、吊下長さが長くなるにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、ワイヤロープの吊下長さに対応する前記リミッタ値が設定されることは好ましい。
本発明の第一〜第三の態様に係るクレーンの速度制御装置によれば、コントローラが、ブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段から取得したクレーンの各動作の位置情報に基づいて、操作信号で求められている要求値と、現在のブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力としてリミッタ関数によって算出されたリミッタ値とを比較する。そして、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用してクレーンの作動速度を制限する。これによって、急激な動作(操作速度の大きな変化)を抑制し、クレーンの動作が大きくなる状態(ブーム長さが小から大へ伸長方向、作業半径が小から大へ拡大方向、ワイヤロープ吊下長さが小から大へ拡長方向)でのクレーンの作動速度を制限することが可能である。その結果、クレーンの急激な動作を防ぐことで荷振れを防止または抑制することが可能となる。
そして、本発明の第一〜第三の態様に係るクレーンの速度制御装置によれば、コントローラは、まず、操作状態演算手段が、遠隔操作器が操作されたときに、クレーンの各動作の位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する。さらに、速度制御手段が、リミッタ関数によって、ブーム長検出手段から取得した現在のブーム長さと、作業状態演算手段で算出した現在の作業半径および吊下長さとに応じたリミッタ値を算出する。そして、操作信号で求められている要求値と、算出したリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用してクレーンの作動速度を制限する。その結果、随時のブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じて速度を制限させるべき条件に対応させたリミッタ値を算出し、このリミッタ値と操作信号で求められている要求値とを比較して、クレーンの作動速度を適切に制御することが可能となる。そのため、クレーン動作中における速度制限の必要なときに、適切な速度制御を行うことが可能である。
また、本発明の第二および第三の態様に係るクレーンの速度制御装置によれば、コントローラが、ブーム長さ、作業半径および吊下長さに加えて、クレーンのフックが吊り下げている吊荷重をも加味してクレーンの作動速度を制御する。ここで、吊荷重が大きいほどクレーンの急激な動作に対して荷振れ幅が大きくなる。そのため、吊荷重を加味してクレーンの作動速度を制御することで、クレーンの動作が大きくなる状態でのブーム操作速度を制限する上でより適切な速度制御を行うことが可能となる。
ここで、本発明の第一〜第三の態様のいずれか一の態様に係るクレーンの速度制御装置において、前記速度制御手段は、前記遠隔操作器からの起伏操作信号および旋回操作信号を監視して、前記起伏速度制限処理、前記第1の旋回速度制限処理、および前記第2の旋回速度制限処理を実行し、これらの処理結果を比較して、条件の最も悪い結果を選択し、その最も悪い条件に合わせてクレーンの作動速度を制限することは好ましい。このような構成であれば、クレーンの急激な動作をより好適に抑制することが可能となる。
あるいは、本発明の第一〜第三の態様のいずれか一の態様に係るクレーンの速度制御装置において、前記速度制御手段は、前記遠隔操作器からの起伏操作信号および旋回操作信号を監視して、前記起伏速度制限処理、前記第1の旋回速度制限処理、および前記第2の旋回速度制限処理を実行し、前記起伏速度制限処理の処理結果に基づいてクレーンの起伏速度を制限し、前記第1の旋回速度制限処理および前記第2の旋回速度制限処理の処理結果を比較して、条件の悪い方の結果を選択し、その悪い方の条件に合わせてクレーンの旋回速度を制限することは好ましい。このような構成であれば、クレーンの急激な動作をより好適に抑制することが可能となる。
また、本発明の第一〜第三の態様のいずれか一の態様に係るクレーンの速度制御装置において、前記コントローラは、前記クレーンの速度モードとして、前記クレーンが通常に作動する通常モードと、前記クレーンの全作動速度に制限を加える速度制限モードとを備え、前記通常モードおよび前記速度制限モードは、オペレータが選択可能になっており、前記速度制御手段は、前記速度モードが速度制限モードに設定されているときに限ってクレーンの作動速度を制限する処理を実行することは好ましい。
このような構成であれば、例えば、荷役作業において、荷ぶれの影響が大きくて荷ぶれ防止を優先したい場合や、荷ぶれの影響が小さくて作業速度を優先したい場合などに、オペレータが任意に速度制限モードと通常モードとを切り換えることが可能となる。
また、上記課題を解決するために、本発明の第四の態様に係る車両搭載型クレーンは、本発明の第一〜第三の態様のいずれか一の態様に係るクレーンの速度制御装置を備えることを特徴とする。本発明の一態様に係る車両搭載型クレーンによれば、第一〜第三の態様のいずれか一の態様に係るクレーンの速度制御装置を備えるので、吊荷が重荷重のような悪条件であっても、作業半径に沿った作動速度に合わせて、また、ワイヤロープの吊下長さを加味して、荷ぶれの発生を抑制することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、吊荷が重荷重のような悪条件の場合であっても、随時のブーム長さ、作業半径およびワイヤロープの吊下長さに応じたクレーンの作動速度の制御により、荷ぶれの発生を防止または抑制できる。
本発明に係るクレーンの一実施形態としての車両搭載型クレーンを説明する構成図である。 第一実施形態に係るクレーンの制御装置を説明する構成図である。 切換弁の軸線を含む縦断面図である。 アクセルシリンダの軸線を含む縦断面図である。 本発明に係るクレーンの遠隔操作器の説明図であり、同図(a)はその平面図、(b)は正面図である。 図2に示すコントローラで実行される速度制限処理(第一実施形態)のフローチャートである。 第一実施形態の速度制限処理のうち、ブーム長さに対する起伏速度制限処理のフローチャートである。 第一実施形態の速度制限処理のうち、作業半径に対する旋回速度制限処理のフローチャートである。 第一実施形態の速度制限処理のうち、ワイヤロープの吊下長さに対する旋回速度制限処理のフローチャートである。 第一実施形態の速度制限処理の演算において参照されるリミッタ関数(スプールストローク乗算関数)を説明する図である。 本発明に係るクレーンの動作(ブーム起伏時の速度制御の動作)を説明する図である。 本発明に係るクレーンの動作(ブーム旋回時の速度制御の動作)を説明する図である。 本発明に係るクレーンの動作(ブーム旋回時の速度制御の動作)を説明する図である。 第二実施形態に係るクレーンの制御装置を説明する構成図である。 図14に示すコントローラで実行される速度制限処理(第二実施形態での第一から第三構成例)のフローチャートである。 第二実施形態の速度制限処理(第一構成例)のうち、吊荷重に対する速度制限処理のフローチャートである。 第二実施形態の速度制限処理(第一構成例)の演算において参照されるリミッタ関数のリミッタ値が乗算補正される点を説明する図である。 第二実施形態の速度制限処理(第二構成例)のうち、吊荷重に対する速度制限処理のフローチャートである。 第二実施形態の速度制限処理(第二構成例)の演算において参照されるリミッタ関数のリミッタ値が減算補正される点を説明する図である。 第三実施形態の速度制限処理の演算において参照されるリミッタ関数(スプールストローク乗算関数)を説明する図である。 図12または図14に示すコントローラで実行される第三実施形態に係る総合判定処理のフローチャートである。
以下、本発明の第一から第三実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す第一から第三実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
(第一実施形態)
図1に示すように、第一実施形態に係る車両搭載型クレーン(以下、単に「クレーン」ともいう)1は、アウトリガ2を備えたベース4上にコラム6が旋回自在に設けられ、このコラム6の上端部に伸縮するブーム7が起伏自在に枢支されている。コラム6にはウインチ11が設けられており、このウインチ11からワイヤロープ12をブーム7の先端部7sに導いて、ブーム7の先端部7sの滑車(図示略)を介して吊荷用のフック13に掛回すことにより、フック13をブーム7の先端部7sから吊下している。
ここで、このクレーン1には、コラム6の旋回、ブーム7の起伏と伸縮、及びウインチ11の巻上巻下の作動を行うための複数のアクチュエータとして、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10、及びアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rを備えている。
そして、これら複数のアクチュエータは、図2に示すように、何れも車両のエンジン15のPTO16に連結して駆動される油圧ポンプ17からコントロールバルブ20を介して圧油を供給することにより作動するようになっている。なお、ポンプポートとタンクポートとの間には、メインリリーフ弁38と、アンロードが必要なときメインリリーフ弁38を開き、ポンプポートとタンクポートとを連通させるアンロード弁39とが設けられている。
ここで、上記コントロールバルブ20は、上記各アクチュエータをそれぞれ制御する複数の切換弁を連結して構成した多連結弁装置である。具体的に、コントロールバルブ20は、図2に示すように、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10の、各アクチュエータにそれぞれ対応する複数の切換弁31、32、33、34を備えて構成されている。さらに、アウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rの、各アクチュエータにそれぞれ対応する複数の切換弁28、29と、各アクチュエータを所望の速度で作動させるためのアクセルシリンダ50とを備えて構成されている。
詳しくは、図3に拡大図示するように、コントロールバルブ20の各切換弁31、32、33、34には、メインスプール36が内蔵されている。このメインスプール36は、左右のスプリング36sで通常は中立位置に保持されている。また、このメインスプール36の一端はリンク18rを介して操作レバー18に連結され、さらに、他端にはパイロットピストン37が連設されており、ピストンロッド22の先端には鉄芯23が設けられている。この鉄芯23は、中空円筒形の差動トランスを備えた位置検出器40内に挿入されている。そして、この位置検出器40は、各メインスプール36の変位を検出してその検出した変位の信号をコントローラ30にフィードバックするようになっている。
また、各切換弁31、32、33、34それぞれには、一対のソレノイド42L、42Rを有する比例ソレノイド(比例電磁式パイロット弁)41が設けられている。各比例ソレノイド41は、油圧ポンプ17から減圧弁35を介してパイロット圧油が供給されるポートEが常時閉、タンク14へ作動油を戻すポートFが常時開となっており、コントローラ30からソレノイド42L、42Rに制御電流が入力されるとパイロットスプール42sが摺動し、入力電流値によってポートEの開口量が制御される。これにより、パイロットピストン37の左右の油室37L、37Rへのパイロット圧油の供給が制御される。
そして、各切換弁31、32、33、34は、パイロットピストン37の油室37R、37Lのいずれか一方にパイロット圧油が供給されると、メインスプール36が左又は右に移動して、サービスポートA、BとポンプポートPとを連通させる。これにより、各切換弁31、32、33、34は、上述した、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、ウインチ用油圧モータ10の各アクチュエータを作動させるようになっている。
ここで、旋回用油圧モータ5、ブーム起伏用油圧シリンダ9、ブーム伸縮用油圧シリンダ8、及びウインチ用油圧モータ10の各アクチュエータは、クレーン1の作業の内容に応じて互いに連動するようにコントローラ30で制御される。例えば、ブーム7の先端部7sとフック13との間の距離を常に一定に保ちながらブーム7を伸長させる場合には、ブーム7の伸長作動に伴ってウインチ11の巻下作動も必要なので、ブーム伸縮用油圧シリンダ8と、ウインチ用油圧モータ10とが連動するようになっている。なお、上記のアウトリガ用油圧シリンダ3L、3Rを駆動するための切換弁28、29についても位置検出器40を有し、各スプールの変位を検出してその検出した変位の信号をコントローラ30にフィードバックするようになっている。
一方、図4に拡大図示するように、アクセルシリンダ50にも比例ソレノイド(比例電磁式パイロット弁)51が設けられている。この比例ソレノイド51についても、パイロット圧油が供給されるポートEが常時閉、タンク14へ作動油を戻すポートFが常時開となっており、コントローラ30から制御電流が入力されるとパイロットスプール51sが摺動し、入力電流値によってポートEの開口量が制御される。これにより、メインスプール52の油室52sへのパイロット圧油の供給が制御される。さらに、アクセルシリンダ50にもそのメインスプール52の変位を検出して制御装置のコントローラ30にフィードバックするため位置検出器53が設けられている。
ここで、図2に示す遠隔操作器19は、図5に示すように、クレーン1の各アクチュエータを動作させるための、ブーム起伏選択スイッチ71、フック巻き上げ巻き下げ選択スイッチ72、ブーム伸縮選択スイッチ73、および左右旋回選択スイッチ74の4つの選択スイッチと、それらの操作量を求めるための速度レバー75とを有し、この速度レバー75の引き量を変化させて上述した各アクチュエータの作動速度を決定するようになっている。なお、4つの選択スイッチのうち複数を選択すると複数のアクチュエータが連動して作動するようになる。
そして、コントローラ30は、遠隔操作器19の4つの選択スイッチ71、72、73、74によるアクチュエータの選択と速度レバー75の操作量等に基づいてアクセル操作量を求め、必要なアクセル制御信号をアクセルシリンダ50の比例ソレノイド51に出力し、アクセルシリンダ50を作動させるようになっている。また、アクセルシリンダ50の位置検出器53は、その検出値をコントローラ30にフィードバックし、コントローラ30は過不足が有れば必要な補正を行う。なお、油圧ポンプ17からの圧油の吐出量は、速度レバー75の操作量等に基づくアクセル操作によってエンジン15の回転速度を上げるほど多くなる。
さらに、図2に示すように、このクレーン1は、上記ブーム7の長さを検出するブーム長検出器61、ブーム7の起伏角度を検出するブーム角度検出器62、並びに、ウインチ11からのワイヤロープ12の繰り出し、および繰り込み量を検出するウインチドラム回転検出器64を備えている。
そして、各検出器61、62、64からの信号は、上記コントローラ30に読み込まれ、コントローラ30は、各検出器61、62、64からの信号により、ブーム7の先端部7sの位置やフック13の位置等を認識できるようになっている。
なお、ワイヤロープ12の繰り出し、繰り込み量を検出する方法は種々考えられるが、本実施形態の例では、ウインチドラムの回転を検出して、繰り出しおよび繰り込み量を計算する方法を採用している。また、厳密には、ブーム7の長さが変化すると先端部7sとフック13間の距離が変わってしまうため、ウインチドラム回転検出器64単独ではブーム7の先端部7sとフック13間の距離を検出することはできない。そこで、ブーム長検出器61とブーム角度検出器62によってブーム長さとブーム起伏角度の変化を同時に検出し、コントローラ30側で、距離の変動分を補正することでブーム7の先端部7sとフック13間の距離を検出可能になっている。
つまり、このクレーン1は、ブーム長検出器61でブーム7の長さを検出することができるので、コントローラ30側ではブーム長さがわかり、同様に、ブーム角度検出器62でブーム7の角度を検出することができるので、コントローラ30側ではブームの起伏角度がわかる。また、ブーム7の長さおよびブーム7の起伏角度から、コントローラ30側ではクレーンの作業半径を演算することができる。また、ウインチドラム回転検出器64でウインチ11からのワイヤロープ12の繰り出し、繰り込み量を検出できるので、コントローラ30側ではブーム7の先端とフック13間の距離、つまり、ワイヤロープの吊下長さを演算することができる。
ここで、上記課題を解決する手段に記載の「ブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段」には、上記ブーム長検出器61、ブーム角度検出器62、およびウインチドラム回転検出器64がそれぞれ対応している。また、上記課題を解決する手段に記載の「作業状態演算手段」には、コントローラ30の作業半径を演算する処理および吊下長さを演算する処理が対応している。
次に、上記コントローラ30についてより詳しく説明する。
このコントローラ30は、以下いずれも図示しない、所定の制御プログラムに基づいて、演算およびこの車両搭載型クレーン1のシステム全体を制御するCPUと、所定領域に予めCPUの制御プログラム等を格納しているROMと、ROM等から読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAMと、クレーン1の遠隔操作器19等を含めた外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(インターフェイス)とを有して構成されている。これらは、データを転送するための信号線であるバスで相互にかつデータ授受可能に接続されている。遠隔操作器19からは、クレーン1の各アクチュエータを作動させる実行指令となる所定の操作信号が、上記選択スイッチ71、72、73、74および速度レバー75の、オペレータのスイッチ操作およびレバー操作によりコントローラ30に入力される。
そして、このコントローラ30は、遠隔操作器19からの所定の操作信号に対して、コントロールバルブ20の各スプールのストローク量とアクセルシリンダ50のストローク量とをフィードバックをとりながら制御するようになっている。そのため、コントローラ30は、外部入力信号に対して各スプールとアクセルシリンダ50のストローク量をフィードバック制御することができる。
さらに、このコントローラ30は、クレーンの物理的な作動速度を制御するための速度制限処理を実行可能に構成されている。これにより、コントローラ30は、遠隔操作器19からの操作信号で求められている各スプールとアクセルシリンダ50のストローク量(要求値)と、各動作の位置情報に対応して算出されたスプールストロークのリミッタ値(後述する)とを比較する。
なお、遠隔操作器19からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値とは、以下、各実施形態において、各スプールとアクセルシリンダ50のストローク量を指す。
そして、要求値がリミッタ値を超えない場合にはそのまま各ストローク量(要求値)を適用して通常の速度制御を行う。一方、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用することで、各スプールとアクセルシリンダのストローク量を制限してクレーンの作動速度を制限する。そのため、以下詳述するように、吊荷が重荷重のような悪条件の場合であっても、随時のブーム長さ、作業半径およびワイヤロープの吊下長さに応じたクレーンの作動速度の制御により、荷ぶれの発生を防止または抑制可能になっている。
(速度制限処理)
以下、このコントローラ30で実行される速度制限処理について図6〜図10を参照しつつ詳細に説明する。
このコントローラ30では、クレーン1が操作されているときは速度制限処理が実行され、図6に示すように、まず、ステップS1に移行する。ここで、速度制限処理は、クレーン制御のメインルーチン(メインプログラム)において、サブルーチン(サブプログラム)として呼び出されて実行される処理となる。なお、上記課題を解決するための手段に記載の「速度制御手段」には、コントローラ30で実行されるこの速度制限処理が対応している。
ステップS1では、遠隔操作器19が操作されているか否かが随時に監視される。具体的に、上記遠隔操作器19の選択スイッチ71、72、73、74の操作の有無が判定される。
そして、遠隔操作器19が操作されていると判定した場合(YES)は、ステップS2に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、メインルーチンの処理へと戻る。
ステップS2に移行した場合は、ブーム起伏操作の有無が判定される。つまり、遠隔操作器19のブーム起伏選択スイッチ71によるブーム起伏操作がされているか否かが判定される。そして、ブーム起伏操作がされていると判定した場合(YES)は、ステップS3に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、ステップS4に移行する。
ステップS3に移行した場合は、速度制限処理のうち、ブーム長さに対する速度制限処理である起伏速度制限処理を実行して、ステップS4に移行する。
一方、ステップS4では、ブーム旋回操作の有無が判定される。つまり、遠隔操作器19の左右旋回選択スイッチ74によるブーム旋回操作がされているか否かが判定される。そして、ブーム旋回操作がされていると判定した場合(YES)は、ステップS5に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、ステップS7に移行する。
ステップS5に移行した場合は、速度制限処理のうち、作業半径に対する速度制限処理である第1旋回速度制限処理を実行して、ステップS6に移行する。
ステップS6では、速度制限処理のうち、ワイヤロープの吊下長さに対する速度制限処理である第2旋回速度制限処理を実行して、ステップS7に移行する。
ここで、上記ステップS3、S5及びS6では、具体的に、遠隔操作器19からの操作信号に応じたスプールストローク量と、後述するリミッタ関数で演算されるリミッタ値とを比較する。そして、この比較結果に基づき、操作信号に応じたスプールストローク量とリミッタ値とのうちいずれか一方を選択する処理を実行する。
ステップS7では、ステップS3、S5およびS6の各選択結果に基づいて、総合判定処理を実行して最終的なクレーンの作動速度が設定される。つまり、ステップS3、S5及びS6で選択された値に対し、ステップS7にて総合的に比較判断がなされる。具体的に、ステップS3、S5及びS6で選択された値のうち、最も条件の悪い結果を適用してブームの旋回速度および起伏速度を設定する。その後、メインルーチンの処理に戻る。これにより、この設定された値(要求値またはリミッタ値)によりブームの起伏速度および旋回速度が制御される。
ここで、例えば、要求値とリミッタ値とではリミッタ値の方が、条件が悪い結果であり、また、リミッタ値同士であれば、小さい値の方が、条件が悪い結果となる。すなわち、選択結果のなかにリミッタ値が1つだけ含まれる場合は、このリミッタ値が最も条件の悪い結果となり、複数のリミッタ値が含まれる場合は、これらリミッタ値のうち最も小さい値が最も条件の悪い結果となる。
また、リミッタ関数は、例えば、下式(1)に示す関数(L(a))から構成される。
L(a)=Lmax−a ・・・(1)
上式(1)において、Lmaxはフルストローク値であり、aは作業状態情報であり下式(2)から求める。
a=(Lmax−Lc)・(b−St)/(En−St) ・・・(2)
上式(2)において、Lcは任意に設定可能なリミッタ値(固定値)であり、bは作業状態変数(ブーム長さ、作業半径、吊下長さ)であり、Stは各作業状態変数の下限値であり、Enは各作業状態変数の上限値である。すなわち、リミッタ関数L(a)は、フルストローク値Lmaxから、作業状態変数bによって変化する作業状態情報aを減算したものとなる。
ここで、上記リミッタ関数L(a)によってリミッタ値を算出する際に、作業状態変数bとして、起伏速度制限処理ではブーム長さを用い、第1旋回速度制限処理では作業半径を用い、第2旋回速度制限処理では吊下長さを用いる。
(起伏速度制限処理)
次に、ステップS3で実行される起伏速度制限処理の詳細について説明する。ステップS3において、起伏速度制限処理が実行されると、図7に示すように、まず、ステップS31に移行する。
ステップS31では、ブーム長検出器61が検出したブーム7の長さ(位置)の情報を読み込む。その後、ステップS32に移行する。
ステップS32では、起伏速度制限処理に対応するリミッタ関数(図10参照)を参照し、現在のブーム7の長さに応じたリミッタ値を算出する。その後、ステップS33に移行する。
すなわち、起伏速度制限処理において、ブーム伸縮操作時に、ブームの長さ(X軸位置)に対応する作業状態変数が、始点となる最小時のSt(最縮小時)から終点となる最大時のEn(最伸長時)までの間にあるときに、参照したリミッタ関数に基づく演算結果として、現在のブーム7の長さに応じたスプールストロークのリミッタ値を算出する。
なお、このリミッタ関数は、図10に示すように、比例的に変化させることもできれば、任意の関数で変化させることも可能である。ここで、ブーム長さに対する起伏速度制限処理では、リミッタ関数は、ブーム7の長さが長いときほどクレーンの起伏作動速度が遅くなる関数になっており、ブーム長さが最縮小状態から最伸長状態に向かうにつれてクレーンの起伏作動速度を減速する程度が大きくなるように、スプールストロークのリミッタ値が設定される。
ステップS33では、遠隔操作器19の速度レバー75の操作量に応じたスプールのストローク量(要求値)と算出されたスプールストロークのリミッタ値とを比較する。そして、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、その時のブーム長さにおけるスプールストロークのリミッタ値を超えたと判定した場合(YES)は、ステップS34に移行する。一方、超えないと判定した場合(NO)は、ステップS35に移行する。
ステップS34に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうちリミッタ値を選択して、元の処理に戻る。
一方、ステップS35に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、要求値を選択して、元の処理に戻る。
(第1旋回速度制限処理)
次に、ステップS5で実行される第1旋回速度制限処理の詳細について説明する。ステップS5において、第1旋回速度制限処理が実行されると、図8に示すように、まず、ステップS51に移行する。
ステップS51では、ブーム長検出器61が検出したブーム7の長さ(位置)の情報と、ブーム角度検出器62が検出したブーム7の起伏角度の情報とを読み込む。その後、ステップS52に移行する。
ステップS52では、ステップS51で読み込んだブーム7の長さ(位置)の情報とブーム7の起伏角度の情報とから現在の作業半径を算出して、ステップS53に移行する。
ステップS53では、第1旋回速度制限処理に対応するリミッタ関数(図10参照)を参照し、現在のクレーン1の作業半径に応じたリミッタ値を算出する。その後、ステップS54に移行する。
すなわち、ブーム旋回操作時に、クレーン1の作業半径に対応する作業状態変数が、始点となる最小時のSt(最小作業半径時)から終点となる最大時のEn(最大作業半径時)までの間にあるときに、参照したリミッタ関数に基づく演算結果として、現在のクレーン1の作業半径に応じたスプールストロークのリミッタ値を算出する。
なお、このリミッタ関数は、図10に示すように、比例的に変化させることもできれば、任意の関数で変化させることも可能である。ここで、第1旋回速度制限処理では、リミッタ関数は、クレーン1の作業半径が大きいときほどクレーンの旋回作動速度が遅くなる関数になっており、クレーン1の作業半径が最小作業半径から最大作業半径に向かうにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、スプールストロークのリミッタ値が設定される。
ステップS54では、遠隔操作器19の速度レバー75の操作量に応じたスプールのストローク量(要求値)と算出されたスプールストロークのリミッタ値とを比較する。さらに、この比較結果に基づき、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、その時のクレーン1の作業半径におけるスプールストロークのリミッタ値を超えたか否かを判定する。そして、超えたと判定した場合(YES)は、ステップS55に移行し、超えないと判定した場合(NO)は、ステップS56に移行する。
ステップS55に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、リミッタ値を選択して、元の処理に戻る。
一方、ステップS56に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、要求値を選択して、元の処理に戻る。
(第2旋回速度制限処理)
次に、ステップS6で実行される第2旋回速度制限処理の詳細について説明する。ステップS6において、第2旋回速度制限処理が実行されると、図9に示すように、まず、ステップS61に移行する。
ステップS61では、ウインチドラム回転検出器64、ブーム長検出器61およびブーム角度検出器62からの各位置情報を読み込む。さらに、これら各検出器61、62、64から読み込んだ各位置情報に基づいて、現在のブーム7の先端とフック13間の距離をワイヤロープ吊下長さ情報として算出する。その後、ステップS62に移行する。
ステップS62では、第2旋回速度制限処理に対応するリミッタ関数(図10参照)を参照し、現在のワイヤロープ吊下長さに応じたリミッタ値を算出する。その後、ステップS63に移行する。
すなわち、ワイヤロープ12の繰り出し、繰り込み操作時に、ワイヤロープ12の吊下長さに対応する作業状態変数が、始点となる最小時のSt(最小繰り出し時(巻過限界))から終点となる最大時のEn(最大繰り出し時)までの間にあるときに、参照したリミッタ関数に基づく演算結果として、現在のワイヤロープ12の吊下長さに応じたスプールストロークのリミッタ値を算出する。
なお、このリミッタ関数は、図10に示すように、比例的に変化させることもできれば、任意の関数で変化させることも可能である。ここで、第2旋回速度制限処理では、リミッタ関数は、ワイヤロープ12の吊下長さが長いときほどクレーンの旋回作動速度が遅くなる関数になっており、吊下長さが最短状態から最長状態に向かうにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、スプールストロークのリミッタ値が設定される。
ステップS63では、遠隔操作器19の速度レバー75の操作量に応じたスプールのストローク量(要求値)と算出されたスプールストロークのリミッタ値とを比較する。さらに、この比較結果に基づき、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、その時のワイヤロープ12の吊下長さにおけるスプールストロークのリミッタ値を超えたか否かを判定する。そして、超えたと判定した場合(YES)は、ステップS64に移行し、超えないと判定した場合(NO)は、ステップS65に移行する。
ステップS64に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、リミッタ値を選択して、元の処理に戻る。
一方、ステップS65に移行した場合は、要求値及びリミッタ値のうち、要求値を選択して、元の処理に戻る。
(動作、および作用効果)
次に、このクレーン1のコントローラ30に装備された速度制御装置の動作、および作用効果について説明する。
第一実施形態では、コントローラ30は、遠隔操作器19による操作状況に合わせて、上述したステップS3、S5及びS6の順に速度制限処理を直列的に処理する。そして、ステップS7にて、最終的に、選択された値のうち条件の最も悪いものを設定し、この設定値に基づきクレーンの作動速度を制限する。ステップS3、S5及びS6の各々の処理は、各々の処理用のリミッタ関数のテーブルにて処理される。特に、このコントローラ30は、旋回速度の規制だけでなく、ブーム長さに対するブーム起伏速度も規制し、クレーン作動の荷ぶれに関する総合的な速度制御を行っている。
すなわち、コントローラ30は、ブーム長検出器61、ブーム角検出器62およびウインチドラム回転検出器64から取得したクレーン1の各動作の位置情報に基づいて、クレーン1の作動速度を所定速度に制限する速度制限処理を実行する。これにより、随時のブーム長さ、作業半径およびワイヤロープ12の吊下長さに応じてクレーン1の作動速度を制御することが可能となり、荷ぶれの発生を防止または抑制することができる。そのため、安定した荷役作業をすることができ、また、クレーン本体の作動速度が所定速度に制限されるため、クレーン1の長寿命化を図ることができる。
具体的に、上記コントローラ30で実行される速度制限処理は、遠隔操作器19での操作がされている場合に(ステップS1)、ブーム起伏選択スイッチ71が操作されているときには(ステップS2のYES)、起伏速度制限処理(ステップS3)により、随時のブーム長さに応じて、要求値とリミッタ値とを比較し、要求値及びリミッタ値のうちいずれか一方を選択する(ステップS21〜S25)。
以下、ブーム起伏選択スイッチ71が操作され、左右旋回選択スイッチ74が操作されていない場合の動作を説明する。
図11に示すように、ブーム長さが短くて(同図(a))、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、そのときのブーム長さにおけるスプールストロークのリミッタ値である第1のリミッタ値を超えなかったとする。この場合に、コントローラ30で実行される起伏速度制限処理では、遠隔操作器19による要求値が選択される。ここでは、第1及び第2旋回速度制限処理が実行されないため、コントローラ30で実行される総合判定処理(ステップS7)では、遠隔操作器19の要求値が設定される。その結果、この要求値に応じた通常の起伏速度でブームの起伏が行われる。なお、図11(a)に示す矢印Knは、遠隔操作器19による要求値に応じた起伏速度でブームの起伏が行われているイメージを示している。
一方、図11(b)に示すように、ブーム長さが長くて、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、第1のリミッタ値を超えたとする。この場合に、起伏速度制限処理では、第1のリミッタ値が選択される。そして、総合判定処理では、この第1のリミッタ値が設定される。この第1のリミッタ値は、そのときのブーム長さにおけるブーム起伏操作時の速度を制限する上で適切な値となるようにリミッタ関数によって設定されたものである。その結果、設定された第1のリミッタ値に応じた起伏速度制御を行うことが可能となる。なお、図11(a)に示す矢印Ksは、ブームの起伏速度を第1のリミッタ値に応じた起伏速度に制限してブームの起伏が行われているイメージを示している。すなわち、そのときのブームの伸縮長の状態に対して適切に設定された第1のリミッタ値によって起伏速度の速度制御が行われるので、ブーム起伏時の荷ぶれの発生を適切に防止または抑制することが可能となる。
また、左右旋回選択スイッチ74によりブーム旋回操作がされているときには(ステップS4)、作業半径に対する第1旋回速度制限処理(ステップS5)、およびワイヤロープ12の吊下長さに対する第2旋回速度制限処理(ステップS6)を順に実行する。そして、随時の作業半径およびワイヤロープ12の吊下長さに応じて、要求値とリミッタ値とを比較し、要求値及びリミッタ値のうちいずれか一方を選択する(ステップS51〜S56、およびステップS61〜S65)。
以下、左右旋回選択スイッチ74が操作され、ブーム起伏選択スイッチ71が操作されていない場合の動作を説明する。
図12に示すように、作業半径が小さくて(同図(a))、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、そのときの作業半径におけるスプールストロークのリミッタ値である第2のリミッタ値を超えなかったとする。この場合に、コントローラ30で実行される第1旋回速度制限処理では、遠隔操作器19の要求値が選択される。
さらに、図13に示すように、ワイヤロープ12の吊下長さが短くて(同図(a))、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、その時のワイヤロープ12の吊下長さにおけるスプールストロークのリミッタ値である第3のリミッタ値を超えなかったとする。この場合に、コントローラ30で実行される第2旋回速度制限処理では、遠隔操作器19の要求値が選択される。
ここでは、起伏速度制限処理が実行されないため、コントローラ30で実行される総合判定処理(ステップS7)では、遠隔操作器19の要求値がそのまま設定される。その結果、遠隔操作器19の要求値に応じた通常の旋回速度でブームの旋回が行われる。なお、図12(a)及び図13(a)に示す矢印Rnは、遠隔操作器19の要求値に応じた旋回速度でブームの旋回が行われているイメージを示している。
一方、図12(b)に示すように、作業半径が大きくて、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、第2のリミッタ値を超えたとする。この場合に、第1旋回速度制限処理では、第2のリミッタ値が選択される。この第2のリミッタ値は、そのときの作業半径におけるブーム旋回操作時の速度を制限する上で適切な値となるようにリミッタ関数によって設定されたものである。
さらに、図13(b)に示すように、ワイヤロープ12の吊下長さが長くて、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、第3のリミッタ値を超えたとする。この場合に、第2旋回速度制限処理では、第3のリミッタ値が選択される。この第3のリミッタ値は、そのときのワイヤロープ12の吊下長さにおけるブーム旋回操作時の速度を制限する上で適切な値となるようにリミッタ関数によって設定されたものである。
このような選択結果の場合、総合判定処理では、第2及び第3のリミッタ値のうち小さい方のリミッタ値を、最も条件の悪い結果と判定して、小さい方のリミッタ値を設定する。例えば、第2のリミッタ値の方が小さい場合は、第2のリミッタ値が設定される。その結果、設定された第2のリミッタ値に応じた旋回速度でブームの旋回が行われる。なお、図12(b)に示す矢印Rsは、ブームの旋回速度を第2のリミッタ値に応じた旋回速度へと制限してブームの旋回が行われているイメージを示している。
一方、第2のリミッタ値よりも第3のリミッタ値の方が小さい場合は、第3のリミッタ値が設定される。その結果、設定された第3のリミッタ値に応じた旋回速度でブームの旋回が行われる。なお、図13(b)に示す矢印Rsは、ブームの旋回速度を第3のリミッタ値に応じた旋回速度へと制限してブームの旋回を行っているイメージを示している。
すなわち、第2のリミッタ値又は第3のリミッタ値のうち、旋回速度がより低速に制限される方のリミッタ値によって旋回速度の速度制御が行われるので、そのときの旋回半径および吊下長さの状態に対して、旋回時の荷ぶれの発生を適切に防止または抑制することが可能となる。
次に、ブーム起伏選択スイッチ71および左右旋回選択スイッチ74が同時に操作されている場合の動作を説明する。
まず、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、そのときのブーム長さに対応する第1のリミッタ値を超えていたとする。この場合に、起伏速度制限処理では、第1のリミッタ値が選択される。
次に、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、そのときの作業半径に対応する第2のリミッタ値を超えなかったとする。この場合に、第1旋回速度制限処理では、遠隔操作器19の要求値が選択される。
続いて、遠隔操作器19から求められているスプールのストローク量が、その時のワイヤロープ12の吊下長さにおけるスプールストロークのリミッタ値である第3のリミッタ値を超えなかったとする。この場合に、第2旋回速度制限処理では、遠隔操作器19の要求値が選択される。
このような選択結果の場合、総合判定処理では、第1のリミッタ値を最も条件の悪い結果と判定し、第1のリミッタ値を設定する。その結果、ブームの起伏速度が第1のリミッタ値に応じた起伏速度に制限された状態でブームの起伏が行われ、ブームの旋回速度が第1のリミッタ値に応じた旋回速度に制限された状態でブームの旋回が行われる。すなわち、要求値よりも低速に制限される第1のリミッタ値によって起伏速度および旋回速度の速度制御が行われるので、荷ぶれの発生を適切に防止または抑制することが可能となる。
一方、別の組合せとして、例えば、起伏速度制限処理で第1のリミッタ値が選択され、第1旋回速度制限処理で第2のリミッタ値が選択され、第2旋回速度制限処理で第3のリミッタ値が選択されたとする。
このような選択結果の場合、総合判定処理では、第1〜第3のリミッタ値のうち最も小さい値のものを、最も条件の悪い結果と判定して、そのリミッタ値を設定する。ここでは、第3のリミッタ値が最も小さい値であったとして、第3のリミッタ値が設定されたとする。その結果、ブームの起伏速度が第3のリミッタ値に応じた起伏速度に制限された状態でブームの起伏が行われ、ブームの旋回速度が第3のリミッタ値に応じた旋回速度に制限された状態でブームの旋回が行われる。すなわち、最も小さいリミッタ値によって起伏速度および旋回速度の速度制御が行われるので、荷ぶれの発生を適切に防止または抑制することが可能となる。
また、上記コントローラ30においては、速度制限処理で使用されるセンサ(ブーム長検出器61、ブーム角度検出器62)は、モーメントリミッタなどで使用される既存センサを併用できる。そのため、速度制限処理のためのコストアップを抑え、機器故障率の増加を招くこともない。
さらに、このコントローラ30は、クレーンの遠隔操作器19からの所定の操作信号に対し、クレーン1のコントロールバルブ20の各スプールのストローク量とアクセルシリンダ50のストローク量とをフィードバックをとりながら制御する。加えて、上述した速度制限処理において、操作信号で求められている要求値と、クレーン1の各作業状態(ブーム長さ、作業半径、吊下長さ)に対応するリミッタ関数を参照して算出されたリミッタ値とを比較する。
そして、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用することで、コントロールバルブ20の各スプールとアクセルシリンダ50のストローク量を制限する。さらに、この制限したストローク量に基づき、随時のブーム長さ、作業半径およびワイヤロープの吊下長さに応じてクレーン1の作動速度を制限する。
すなわち、動作条件に応じたリミッタ値と操作信号で求められている要求値とを比較して、最も小さい値を選択することで、最低でもリミッタ値を越えないようにクレーン1の作動速度を制限することが可能である。そのため、随時のクレーン1の種々の作業状態に応じてクレーン1の作動速度を適切に設定できるため、クレーン動作中における速度制限を行うことが必要なときに、最も適切な設定に基づいたきめ細かい速度制限が可能である。
以上説明したように、このクレーン1のコントローラ30によれば、吊荷が重荷重のような悪条件であっても、随時のブーム長さ、作業半径およびワイヤロープの吊下長さに応じたクレーン1の適切な速度制御により、荷ぶれの発生を防止または抑制することが可能となる。また、クレーン1の動作全体において作動速度が所定速度に制限されるため、クレーン本体の長寿命化を図ることが可能となる。
ここで、「背景技術」で示した特許文献1に記載の技術と、本実施形態のコントローラ30が実行する速度制限処理との違いについて説明する。要すれば、特許文献1記載の技術は、衝撃緩和装置(ショックレス)であって、動作限界での停止時、あるいは自動停止時における衝撃緩和を目的とし、緩停止機能を奏するものである。そのため、衝撃緩和装置では、動作限界点(伸縮、起伏等の限界、巻過)、あるいはブーム段数切換点のみで作動する。
これに対し、第一実施形態のコントローラ30が実行する速度制限処理は、急激な動作(操作速度の大きな変化)の抑制を目的としている。加えて、クレーンの動作が大きくなる状態(例えば、ブーム伸長時、作業半径拡大時、ワイヤロープ吊下長さ拡長時)でのブームの作動速度の制限を目的としている。すなわち、クレーン1のブームの動作領域全域において速度制限機能を奏するものである。これにより、ブームの動作領域全域で急激な動作を防ぐことで、より安定して荷振れを抑止できるのである。
なお、本発明に係るクレーンの速度制御装置は、上記第一実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
例えば、上記第一実施形態では、遠隔操作器19の操作モードについて特に言及しなかったが、本発明の速度制御装置は、操作モードに応じた設定とすることもできる。例えば、遠隔操作器19は、クレーン1の速度モードとして、操作信号で求められている要求値のみを適用してクレーン1の作動速度に制限を加えない通常モードと、リミッタ関数を用いてクレーン1の全ての作動速度に制限を加える速度制限モードとをオペレータが選択可能に構成する。
そして、コントローラ30は、速度モードが通常モードか速度制限モードかを判断し、速度モードが速度制限モード(低速モードあるいは逆に高速モード)に設定されているときに限って速度制限処理を実行する構成としてもよい。
このような構成であれば、例えば、荷役作業において、荷ぶれの影響が大きくて荷ぶれ防止を優先したい場合や、荷ぶれの影響が小さくて作業速度を優先したい場合などに、オペレータが任意に速度制限モードと通常モードとを切り換えることが可能となる。
(第二実施形態)
上記第一実施形態では、吊荷重を加味せずに、各作業状態(ブーム長さ、作業半径、吊下長さ)のみに基づいて、簡易な構成で速度制限処理を効率良く実行する例を示したが、これに限定されず、更に、吊荷重をも考慮した種々の制御を備えることができる。以下、第二実施形態では、吊荷重をも考慮して、一層精度の高い制御を行う複数の構成例(第一から第三構成例)について説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。
第二実施形態では、図14に示すように、吊荷重検出器63を更に有する点が上記第一実施形態と異なっている。なお、吊荷重を検出するセンサとして油圧シリンダの内圧検知(例えば特許2771449号公報参照)を用いて吊荷重を検出しても良いが、より精度の高い荷重値を検出するため、ロードセル(例えば特許第5935997号公報参照)を用いて吊荷重を検出している。
(第二実施形態の速度制限処理)
次に、第二実施形態の速度制限処理について説明する。
コントローラ30で、速度制限処理が実行されると、図15に示すように、まず、ステップS101に移行する。ここで、速度制限処理は、クレーン制御のメインルーチン(メインプログラム)において、サブルーチン(サブプログラム)として呼び出されて実行される処理となる。
ステップS101では、上記遠隔操作器19の選択スイッチ71、72、73、74の操作の有無が判定される。そして、遠隔操作器19が操作されていると判定した場合(YES)は、ステップS102に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、メインルーチンの処理へと戻る。
ステップS102に移行した場合は、吊荷重に対する速度制限処理を実行して、ステップS103に移行する。
以降のステップS103〜S108の処理は、上記第1実施形態のステップS2〜S7と同様の処理となるので説明を省略する。
ここで、上記速度制限処理は、ステップS102の速度制限処理の内容が異なるのみで、以下に説明する第一から第三構成例において共通の処理となる。
[第一構成例]
この第一構成例では、吊荷重に対する速度制限処理として、現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするようにリミッタ値を乗算補正する第1のリミッタ関数補正処理を実行する。具体的に、第一構成例では、下式(3)に従ってリミッタ関数を乗算補正する。
(a)=γ・L(a) ・・・(3)
上式(2)において、L(a)は、吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数である(ここでは上式(1)のリミッタ関数と同じ)。また、L(a)は、乗算補正後のリミッタ関数である。また、γは、第1補正用係数であり、「0<γ≦1」の範囲の値となる。
上式(3)に示すように、乗算補正後のリミッタ関数L(a)は、上記吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数L(a)に、第1補正用係数γを乗算したものとなる。
また、第1補正用係数γは、下式(4)から求める。
γ=(1−w/wmax) ・・・(4)
上式(4)において、wは、クレーン1の吊荷重[t]であり、wmaxは、クレーン1の最大吊荷重[t]である。上式(4)に示すように、第1補正用係数γは、クレーン1の吊荷重wを、クレーン1の最大吊荷重wmaxで除算した結果を、1から減算したものとなる。
すなわち、第一構成例では、クレーン1の吊荷重wが大きいほど小さい値となる第1補正用係数γを、上記吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数L(a)に乗算する。このようにして、吊荷重wが大きいほどリミッタ値が小さくなるようにリミッタ関数を乗算補正する。
(第1のリミッタ関数補正処理)
次に、第一構成例において、上記ステップS102で実行される第1のリミッタ関数補正処理の詳細について説明する。ステップS102において、第1のリミッタ関数補正処理が実行されると、図16に示すように、まず、ステップS1011に移行する。
ステップS1011では、ロードセルにより取得した吊荷重wの情報を読み込んで、ステップS1012に移行する。
ステップS1012では、上式(4)に従って、読み込んだ吊荷重wに基づき第1補正用係数γを算出して、ステップS1013に移行する。
ステップS1013では、上式(3)に従って、ステップS1012で算出した第1補正用係数γを、リミッタ関数L(a)に乗算する。その後、元の処理に戻る。
具体的に、第一構成例では、図17に示すように、リミッタ関数L(a)により算出したリミッタ値のテーブル(図17中の直線Nを参照)が予め用意されており、このテーブルを構成する各リミッタ値に対して、第1補正用係数γを乗算する。このようにして、リミッタ関数L(a)のテーブルを、現在の吊荷重wに対応したテーブルへと乗算補正する。
すなわち、図17に示すように、読み込まれた吊荷重wがα[t]の場合には、吊荷重が0[t]の場合よりもクレーン1の作動速度の減少の度合いが大きくなるようにリミッタ値のテーブルが乗算補正される(図17中の直線CAを参照)。
また、読み込まれた吊荷重wがβ[t]の場合(但し、α<β)には、吊荷重wがα[t]の場合よりもクレーン1の作動速度の減少の度合いがより大きくなるようにリミッタ値のテーブルが乗算補正される(図17中の直線CBを参照)。
以上説明したように、第一構成例であれば、コントローラ30は、現在の吊荷重wに応じて、吊荷重wが大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするリミッタ関数を各作業状態それぞれに対して設定できる。つまり、第一構成例によれば、重い荷を吊っている程、クレーン1の各作業状態それぞれに対して作動速度をより遅くすることが可能となり、クレーン1の急激な動作を抑制する上で好適である。
[第二構成例]
この第二構成例では、吊荷重に対する速度制限処理として、現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするようにリミッタ値を減算補正する第2のリミッタ関数補正処理を実行する。具体的に、第二構成例では、下式(5)に従ってリミッタ関数を減算補正する。
(a)=L(a)−γ ・・・(5)
上式(5)において、L(a)は、減算補正後のリミッタ関数である。また、γは、第2補正用係数である。
上式(5)に示すように、減算補正後のリミッタ関数L(a)は、吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数L(a)から、第2補正用係数γを減算したものとなる。
また、第2補正用係数γは、下式(6)から求める。
γ=L・(w/wmax) ・・・(6)
上式(6)において、Lは、「0<L≦Lmax」の範囲の任意の値である。なお、γは、「0<γ≦L」の範囲の値となる。
上式(6)に示すように、第2補正用係数γは、クレーン1の吊荷重wを、クレーン1の最大吊荷重wmaxで除算した結果に、任意の値Lを乗算したものとなる。
すなわち、第二構成例では、クレーン1の吊荷重wが大きいほど大きい値となる第2補正用係数γを、上記吊荷重0[t]に対応するリミッタ関数L(a)から減算する。これにより、吊荷重wが大きいほどリミッタ値が小さくなるようにリミッタ関数を減算補正する。
(第2のリミッタ関数補正処理)
次に、第二構成例において、ステップS102で実行される第2のリミッタ関数補正処理の詳細について説明する。ステップS102において、第2のリミッタ関数補正処理が実行されると、図18に示すように、まず、ステップS1021に移行する。
ステップS1021では、ロードセルにより取得した吊荷重wの情報を読み込んで、ステップS1022に移行する。
ステップS1022では、上式(6)に従って、読み込んだ吊荷重wに基づき第2補正用係数γを算出して、ステップS1023に移行する。
ステップS1023では、上式(5)に従って、ステップS1022で算出した第2補正用係数γを、リミッタ関数L(a)から減算する。その後、元の処理に戻る。
具体的に、第二構成例では、図19に示すように、リミッタ関数L(a)により算出したリミッタ値のテーブル(図19中の直線Nを参照)が予め用意されており、このテーブルを構成する各リミッタ値から、第2補正用係数γを減算する。このようにして、リミッタ関数L(a)のテーブルを、現在の吊荷重wに対応したテーブルへと減算補正する。
すなわち、図19に示すように、読み込まれた吊荷重wがα[t]の場合には、吊荷重が0[t]の場合よりもクレーン1の作動速度の減少の度合いが大きくなるようにリミッタ値のテーブルが減算補正される(図19中の直線CAを参照)。
また、読み込まれた吊荷重wがβ[t]の場合(但し、α<β)には、吊荷重wがα[t]の場合よりもクレーン1の作動速度の減少の度合いがより大きくなるようにリミッタ値のテーブルが減算補正される(図19中の直線CBを参照)。
以上説明したように、第二構成例であれば、コントローラ30は、現在の吊荷重wに応じて、吊荷重wが大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするリミッタ関数を各作業状態それぞれに対して設定できる。つまり、第二構成例によれば、重い荷を吊っている程、クレーン1の各作業状態それぞれに対して作動速度をより遅くすることが可能となり、クレーン1の急激な動作を抑制する上で好適である。
[第三構成例]
この第三構成例では、吊荷重に対する速度制限処理として、現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いが大きくなるように予め設定されたリミッタ関数を選択する処理を実行する。そして、クレーン1の各作業状態に応じて、その選択したリミッタ関数によってクレーン1の現在の作業状態に応じて算出されたリミッタ値を設定する。
つまり、第三構成例において、ステップS102で実行される速度制限処理では、ロードセルにより取得した吊荷重wの情報を読み込み、予め設定された選択可能な複数のリミッタ関数のうちから、その吊荷重に対応するリミッタ関数が、各作業状態それぞれに対して設定される。
すなわち、第三構成例は、例えば、予め設定された吊荷重範囲について、所定荷重毎(例えば、10[kg]毎)に、上記第一構成例または第二構成例に示す方法で補正された複数のリミッタ関数が予め用意されている。そして、これら用意された複数のリミッタ関数から現在の吊荷重wに対応するリミッタ関数を選択する構成となる。
例えば、図17又は図19中の直線N、CAおよびCBで示すリミッタ関数を含む、各吊荷重wに応じたリミッタ関数が予め用意されているとする。この場合に、読み込まれた吊荷重が0[t]の場合であれば、図17又は図19中の直線Nで示すリミッタ関数が、各作業状態それぞれに対して選択される。
一方、読み込まれた吊荷重がα[t]の場合には、図17又は図19中の直線CAで示すリミッタ関数が各作業状態それぞれに対して選択される。また、読み込まれた吊荷重がβ[t]の場合には、図17又は図19中の直線CBで示すリミッタ関数が各作業状態それぞれに対して選択される。
以上説明したように、第三構成例であれば、コントローラ30は、現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーン1の作動速度の減少の度合いを大きくするリミッタ関数を各作業状態それぞれに対して設定できる。つまり、第三構成例によれば、重い荷を吊っている程、クレーン1の各作業状態それぞれに対して作動速度をより遅くするので、クレーン1の急激な動作を抑制する上で好適である。
(第三実施形態)
上記第一および第二実施形態では、総合判定処理によって各作業状態に対して共通のリミッタ値を求める例を示したが、これに限定されず、各操作(ここでは、起伏操作、旋回操作)に対して個別にリミッタ値を求める構成としてもよい。以下、第三実施形態では、各操作に対して個別にリミッタ値を求める構成について説明する。なお、上記第一および第二実施形態と同様の構成については適宜説明を省略する。
第三実施形態のコントローラ30は、遠隔操作器19からのブーム起伏操作による操作信号が入力されると、例えば、図20(a)中の直線Nbで示すブーム長さに対応するリミッタ関数を用いて、ブーム長さに対する起伏速度制限処理を行う。これにより、現在のブーム長に応じた適切なブーム起伏用のスプールのストローク量を求める。そして、このストローク量に基づき起伏速度の制御を行う。
一方、遠隔操作器19からの旋回操作による操作信号が入力されると、例えば、図20(b)中の直線Nrで示す作業半径に対応するリミッタ関数を用いて、作業半径に対する第1の旋回速度制限処理を行う。これにより、現在の作業半径に応じた適切なブーム旋回用のスプールのストローク量を求める。引き続き、例えば、図20(c)中の直線Neで示す吊下長さに対応するリミッタ関数を用いて、ワイヤロープの吊下長さに対する第2の旋回速度制限処理を行う。これにより、現在の吊下長さに応じた適切なブーム旋回用のスプールのストローク量を求める。そして、これら求めたストローク量のうち条件の悪い方のストローク量に基づき旋回速度の制御を行う。
(第三実施形態の総合判定処理)
次に、第三実施形態の総合判定処理について説明する。ステップS7またはS108において、総合判定処理が実行されると、図21に示すように、まず、ステップS201に移行する。
ステップS201では、起伏速度制限処理においてブーム長さに対応する第1のリミッタ値が選択されたか否かを判定する。そして、選択されたと判定した場合(YES)は、ステップS202に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、ステップS203に移行する。
ステップS202に移行した場合は、起伏速度の制御に対するスプールストローク量として第1のリミッタ値を設定する。その後、ステップS203に移行する。
ステップS203に移行した場合は、起伏速度の制御に対するスプールストローク量として、遠隔操作器19の速度レバー75の操作量に応じた要求値を設定する。その後、ステップS204に移行する。
ステップS204では、第1旋回速度制限処理において作業半径に対応する第2のリミッタ値が選択されたか否かを判定する。そして、選択されたと判定した場合(YES)は、ステップS205に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、ステップS208に移行する。
ステップS205に移行した場合は、第2旋回速度制限処理において吊下長さに対応する第3のリミッタ値が選択されたか否かを判定する。そして、選択されたと判定した場合(YES)は、ステップS206に移行し、そうでないと判定した場合(NO)は、ステップS207に移行する。
ステップS206に移行した場合は、旋回速度の制御に対するスプールストローク量として、第2のリミッタ値および第3のリミッタ値のうち条件の悪い方の値を設定する。その後、元の処理に戻る。
ここで、上記第2のリミッタ値および第3のリミッタ値のうち条件の悪い方の値とは、より小さい方の値である。
以上説明したように、第三実施形態のクレーン1のコントローラ30によれば、各操作内容に対して荷ぶれへの影響を考慮したリミッタ関数を個別に設定することで、各操作内容に対して適切なリミッタ値を算出することが可能となる。その結果、随時のブーム長さ、作業半径およびワイヤロープの吊下長さに応じたクレーン1のより適切な速度制御により、荷ぶれの発生をより適切に防止または抑制することが可能となる。
なお、本発明に係るクレーンの速度制御装置は、上記第三実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
例えば、上記第三実施形態において、各操作状態に対応するリミッタ関数を、上記第二実施形態の第一構成例および第二構成例のように、読み込んだ吊荷重wに応じて補正する構成としてもよい。また、上記第二実施形態の第三構成例のように、各操作状態に対応するリミッタ関数について、所定荷重毎に補正されたリミッタ関数を予め複数用意する構成としてもよい。
1 車両搭載型クレーン(クレーン)
2 アウトリガ
3L、3R アウトリガ用油圧シリンダ
4 ベース
5 旋回用油圧モータ(アクチュエータ)
6 コラム
7 ブーム
8 ブーム伸縮用油圧シリンダ(アクチュエータ)
9 ブーム起伏用油圧シリンダ(アクチュエータ)
10 ウインチ用油圧モータ(アクチュエータ)
11 ウインチ
12 ワイヤロープ
13 フック
14 タンク
15 エンジン
16 PTO
17 油圧ポンプ
18 操作レバー
19 遠隔操作器
20 コントロールバルブ
22 ピストンロッド
23 鉄芯
28、29 (アウトリガ用)切換弁
30 コントローラ
31、32、33、34 切換弁
35 減圧弁
36 メインスプール
37 パイロットピストン
37L、37R 油室
38 メインリリーフ弁
39 アンロード弁
40 位置検出器
41 比例ソレノイド
42L、42R ソレノイド
50 アクセルシリンダ
51 比例ソレノイド
52 メインスプール
53 位置検出器
61 ブーム長検出器
62 ブーム角度検出器
63 吊荷重検出器
64 ウインチドラム回転検出器
71 ブーム起伏選択スイッチ
72 フック巻き上げ巻き下げ選択スイッチ
73 ブーム伸縮選択スイッチ
74 左右旋回選択スイッチ
75 速度レバー

Claims (10)

  1. 旋回体と、該旋回体上に取り付けられたコラムと、該コラムに起伏および伸縮動作可能に軸支されたブームと、ブームの先端からフックを吊り下げるワイヤロープの繰り出しおよび繰り込みが可能なウインチとを備えたクレーンの作動速度を制御する速度制御装置であって、
    前記クレーンのブーム長さ、ブーム起伏角度およびウインチのワイヤロープ繰り出し量を検出するブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段と、該各検出手段から前記ブームおよび前記フックの位置情報を取得するコントローラとを備え、
    前記コントローラは、
    取得した前記位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する作業状態演算手段と、
    前記クレーンを遠隔操作する遠隔操作器からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値と、前記ブーム長検出手段から取得したブーム長さと、前記作業状態演算手段で算出した作業半径および吊下長さとに基づいてクレーンの作動速度を制御する速度制御手段とを有し、
    前記速度制御手段は、
    ブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力としてクレーンの作動速度のリミッタ値を求めるリミッタ関数によって、現在のブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じたリミッタ値を算出し、
    前記要求値と、算出したリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用してクレーンの作動速度を制限することを特徴とするクレーンの速度制御装置。
  2. 旋回体と、該旋回体上に取り付けられたコラムと、該コラムに起伏および伸縮動作可能に軸支されたブームと、ブームの先端からフックを吊り下げるワイヤロープの繰り出しおよび繰り込みが可能なウインチとを備えたクレーンの作動速度を制御する速度制御装置であって、
    前記クレーンのブーム長さ、ブーム起伏角度およびウインチのワイヤロープ繰り出し量を検出するブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段と、前記クレーンのフックが吊り下げている吊荷重を検出する吊荷重検出器と、前記ブーム長検出手段、前記ブーム角検出手段、前記ワイヤロープ繰り出し量検出手段および前記吊荷重検出器から前記ブームおよび前記フックの位置情報ならびに前記吊荷重を取得するコントローラとを備え、
    前記コントローラは、
    取得した前記位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する作業状態演算手段と、
    前記クレーンを遠隔操作する遠隔操作器からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値と、前記吊荷重検出器から取得した吊荷重と、前記ブーム長検出手段から取得したブーム長さと、前記作業状態演算手段で算出した作業半径および吊下長さとに基づいてクレーンの作動速度を制御する速度制御手段とを有し、
    前記速度制御手段は、
    ブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力として前記クレーンの作動速度のリミッタ値を求めるリミッタ関数であって、吊荷重が大きくなるほどクレーンの作動速度の減少の度合いが大きくなるように設定された複数のリミッタ関数から、ブーム長さ、作業半径および吊下長さのそれぞれに対し、現在の吊荷重に応じたリミッタ関数を選択し、選択したリミッタ関数によって、現在の吊荷重、ブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じたリミッタ値を算出し、
    前記要求値と、算出したリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用して前記各動作の作動速度を制限することを特徴とするクレーンの速度制御装置。
  3. 旋回体と、該旋回体上に取り付けられたコラムと、該コラムに起伏および伸縮動作可能に軸支されたブームと、ブームの先端からフックを吊り下げるワイヤロープの繰り出しおよび繰り込みが可能なウインチとを備えたクレーンの作動速度を制御する速度制御装置であって、
    前記クレーンのブーム長さ、ブーム起伏角度およびウインチのワイヤロープ繰り出し量を検出するブーム長検出手段、ブーム角検出手段およびワイヤロープ繰り出し量検出手段と、前記クレーンのフックが吊り下げている吊荷重を検出する吊荷重検出器と、前記ブーム長検出手段、前記ブーム角検出手段、前記ワイヤロープ繰り出し量検出手段および前記吊荷重検出器から前記ブームおよび前記フックの位置情報ならびに前記吊荷重を取得するコントローラとを備え、
    前記コントローラは、
    取得した前記位置情報に基づいてクレーンの作業半径およびブームの先端とフックとの間の距離であるワイヤロープの吊下長さを算出する作業状態演算手段と、
    前記クレーンを遠隔操作する遠隔操作器からの所定の操作信号に応じて、該操作信号で求められるクレーンの作動速度に係る要求値と、前記吊荷重検出器から取得した吊荷重と、前記ブーム長検出手段から取得したブーム長さと、前記作業状態演算手段で算出した作業半径および吊下長さとに基づいてクレーンの作動速度を制御する速度制御手段とを有し、
    前記速度制御手段は、
    ブーム長さ、作業半径および吊下長さを入力として前記クレーンの作動速度のリミッタ値を求めるリミッタ関数によって、現在のブーム長さ、作業半径および吊下長さに応じたリミッタ値を算出し、
    現在の吊荷重に応じて、吊荷重が大きくなるほどクレーンの作動速度の減少の度合いを大きくするように前記リミッタ値を補正し、
    前記要求値と、補正後のリミッタ値とを比較して、要求値がリミッタ値を超えない場合には要求値を適用して通常の速度制御を行い、要求値がリミッタ値を超えた場合にはリミッタ値を適用して前記各動作の作動速度を制限することを特徴とするクレーンの速度制御装置。
  4. 前記速度制御手段は、ブーム長さが長いときほどクレーンの起伏作動速度を遅くするリミッタ値を算出するリミッタ関数を用いてブーム長さに対する起伏速度を制限する起伏速度制限処理を実行し、
    前記起伏速度制限処理では、ブーム長さが伸長するにつれてクレーンの起伏作動速度を減速する程度が大きくなるように、ブーム長さに対応する前記リミッタ値が設定される請求項1〜3のいずれか一項に記載のクレーンの速度制御装置。
  5. 前記速度制御手段は、クレーンの作業半径が大きいときほどクレーンの旋回作動速度を遅くするリミッタ値を算出するリミッタ関数を用いて作業半径に対する旋回速度を制限する第1の旋回速度制限処理を実行し、
    前記第1の旋回速度制限処理では、作業半径が大きくなるにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、作業半径に対応する前記リミッタ値が設定される請求項4に記載のクレーンの速度制御装置。
  6. 前記速度制御手段は、ワイヤロープの吊下長さが長いときほどクレーンの旋回作動速度を遅くするリミッタ値を算出するリミッタ関数を用いてワイヤロープの吊下長さに対する旋回速度を制限する第2の旋回速度制限処理を実行し、
    前記第2の旋回速度制限処理では、吊下長さが長くなるにつれてクレーンの旋回作動速度を減速する程度が大きくなるように、ワイヤロープの吊下長さに対応する前記リミッタ値が設定される請求項5に記載のクレーンの速度制御装置。
  7. 前記速度制御手段は、前記遠隔操作器からの起伏操作信号および旋回操作信号を監視して、前記起伏速度制限処理、前記第1の旋回速度制限処理、および前記第2の旋回速度制限処理を実行し、これらの処理結果を比較して、最も作動速度が減速される一の処理結果を選択し、その処理結果を他の操作信号にも適用して最終的な前記各動作の作動速度を設定する請求項6に記載のクレーンの速度制御装置。
  8. 前記速度制御手段は、前記遠隔操作器からの起伏操作信号および旋回操作信号を監視して、前記起伏速度制限処理、前記第1の旋回速度制限処理、および前記第2の旋回速度制限処理を実行し、前記起伏速度制限処理の処理結果に基づいてクレーンの起伏速度を制限し、前記第1の旋回速度制限処理および前記第2の旋回速度制限処理の処理結果を比較して、前記旋回速度が最も減速される方の処理結果を選択し、その処理結果に基づいてクレーンの旋回速度を制限する請求項6に記載のクレーンの速度制御装置。
  9. 前記コントローラは、前記クレーンの速度モードとして、前記クレーンが通常に作動する通常モードと、前記クレーンの全作動速度に制限を加える速度制限モードとを備え、
    前記通常モードおよび前記速度制限モードは、オペレータが選択可能になっており、
    前記速度制御手段は、前記速度モードが速度制限モードに設定されているときに限ってクレーンの作動速度を制限する処理を実行する請求項1〜8のいずれか一項に記載のクレーンの速度制御装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のクレーンの速度制御装置を備えることを特徴とする車両搭載型クレーン。
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