JP5517123B2 - 窒化アルミニウム単結晶とその製造方法および製造装置 - Google Patents

窒化アルミニウム単結晶とその製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、窒化アルミニウム(AlN)単結晶とその製造方法および製造装置に関する。
窒化アルミニウム系半導体は、深紫外のレーザーダイオードや高効率、高周波の電子デバイスとして期待されている。この半導体を育成する基板としては、窒化アルミニウム単結晶が最適であることから、窒化アルミニウム単結晶作製の開発が進められている。
窒化アルミニウム単結晶の特徴としては、熱伝導率が290Wm−1−1と非常に高いことが挙げられ、デバイス動作時に発生する熱を拡散する上で大変有利である。
窒化アルミニウム単結晶の製造方法としては、溶液法ではフラックス法、気相法では有機金属気相成長法(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy、MOVPE)、水素化物気相堆積法(Hydride Vapor Phase Epitaxy、HVPE)、昇華法などが挙げられる。この中でも、昇華法は、一般的に成長速度が大きいため、バルク結晶の作製に対して有力な方法である。この昇華法とは、原料である窒化アルミニウムを昇華させ、それを昇華温度よりも低い温度領域で再凝縮させることにより単結晶を作製する方法である。
昇華法での高純度窒化アルミニウムの結晶成長については、Slackらにより初めて実証されて以来(非特許文献1を参照)、広く研究開発が行われてきた。最近では、非特許文献2に記載の技術のように、半導体グレードの窒化アルミニウム単結晶が昇華法により作製されつつある。
昇華法による従来の窒化アルミニウム(AlN)単結晶の成長は、従来、黒鉛や炭化金属等、2000℃以上で使用可能な高温材料で作成される坩堝を成長炉として使用する。坩堝を成長炉とする従来の窒化アルミニウム単結晶の製造装置50の一例を図4に示す。
坩堝51は、黒鉛もしくは炭化金属等によって形成された容器であり、その底部には、窒化アルミニウムを主な組成とする原料12が収納されている。坩堝51の上面には蓋体52が載置されており、蓋体52と坩堝51によって内部空間18が形成されている。蓋体52の下面には窒化アルミニウムまたは炭化シリコン(SiC)等により形成された種子基板14が固着されている。
坩堝51は、加熱手段21を備えた結晶成長用炉10内に固定されている。結晶成長用炉10の天井部には窒素ガスなどのガス導入部22が形成されているとともに、結晶成長用炉10の底部には窒素ガスなどのガス排出部23が形成されており、結晶成長用炉10の内部を、所定のガス圧に調整することが可能となっている。
窒化アルミニウム単結晶16を成長させる際は、加熱手段21によって坩堝51を約2000℃まで加熱して、窒化アルミニウムを主な組成とする原料12を昇華させる。これにより窒化アルミニウム組成の昇華ガスが発生し、種子基板14上に移送されることで昇華ガスから窒化アルミニウム単結晶16として再結晶化する。この時、昇華ガスの移送を促進するため、種子基板14の温度は原料温度よりも低く設定される。
Journal of Crystal Growth 34 (1976) 263 Journal of Crystal Growth 310 (2008) 881
上述した坩堝を用いた結晶成長法においては、一般的に、種子基板は坩堝の蓋体の下面に、接着剤を用いて接着保持されている。種子基板の接着には、樹脂や無機化合物系セラミクス材、黒鉛材を主成分とした市販の高温用接着剤を利用することが可能である。しかしながら、市販の高温用接着剤は、黒鉛や炭化金属等よりなる坩堝には接着力が弱く、種子基板を全く剥離させずに固着保持させるのが困難である場合があった。そのため、結晶成長時に坩堝内壁から種子基板が脱落したり、部分的に固着されていても、剥離が発生している部分から結晶欠陥が発生することが多く、良質な窒化アルミニウム単結晶が得られない場合があった。
また、種子基板と接着剤、さらに、接着剤と坩堝との間の熱膨張係数差が存在する場合、2000℃付近での高温結晶成長時もしくは成長開始前の昇温中に種子基板が坩堝内壁から剥離するなど、種子基板を坩堝内壁に接着保持させた状態で結晶成長を行えない場合があった。また、接着剤により結晶成長時に種子基板が坩堝内壁に固着されていたとしても、上述の熱膨張係数差によって種子基板が大きく歪み、その影響で成長結晶の結晶性が悪化する問題もあった。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、結晶成長中に坩堝内壁より種子基板が剥離、脱落するのを抑制し、かつ、結晶性が良好な窒化アルミニウム単結晶を製造することのできる窒化アルミニウム単結晶の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の窒化アルミニウムの製造装置は、上部に開口部を有し、内底部に原料を収納する坩堝と、前記開口部近傍に設置された蓋体と、前記蓋体の下面側に前記原料と対向するように配置された種子基板と、前記種子基板の下部側において、前記坩堝の開口部を覆うように当該坩堝の開口部の周縁上に設置され、かつ、前記種子基板の外周部の少なくとも一部に接し、その中心部に前記種子基板の外径より小さく、前記坩堝の開口部より小さな貫通開口を有する種子基板保持部材とを備え、前記種子基板は、前記種子基板保持部材により保持されていることを特徴とする。
本発明の記載の窒化アルミニウム単結晶の製造装置は、前記種子基板は、前記種子基板保持部材と前記蓋体との間に狭持されていることが好ましい。
本発明の窒化アルミニウム単結晶の製造装置は、前記坩堝が、黒鉛、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル、炭化モリブデン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化タンタル、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化タンタルのうち少なくとも一種類から形成されることが好ましい。
本発明の窒化アルミニウム単結晶の製造装置は、前記蓋体及び前記種子基板保持部材が、黒鉛、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル、炭化モリブデン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化タンタル、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化タンタルのうち少なくとも一種類から形成されていることも好ましい。
上記課題を解決するため、本発明の窒化アルミニウム単結晶の製造装置は、下部に原料ガスを導入する原料ガス供給部と、それに対向するサセプタを備えた成長容器と、前記サセプタの下面側に前記原料ガス供給部と対向するように配置された種子基板と、前記種子基板の下部に配置され、かつ、前記種子基板の外周部の少なくとも一部に接し、その中心部に前記種子基板の外径より小さな貫通開口を有する種子基板保持部材とを備え、前記種子基板は、前記種子基板保持部材により保持されていることを特徴とする。
本発明の窒化アルミニウム単結晶の製造装置は、前記種子基板は、前記種子基板保持部材と前記蓋体との間に狭持されていることが好ましい。
上記課題を解決するため、本発明の窒化アルミニウム単結晶の製造方法は、昇華法による窒化アルミニウム単結晶の製造方法であって、上部に開口部を有し、内底部に原料を収納する坩堝と、前記開口部近傍に設置された蓋体と、前記蓋体の下面側に前記原料と対向するように配置された種子基板と、前記種子基板の下部側において、前記坩堝の開口部を覆うように当該坩堝の開口部の周縁上に設置され、かつ、前記種子基板の外周部の少なくとも一部に接し、前記種子基板を保持し、前記坩堝の開口部より小さな貫通開口を有する種子基板保持部材と、前記坩堝を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段により前記坩堝を加熱することにより前記原料を昇華させて、前記種子基板の前記原料と対向する面上に単結晶を成長させることを特徴とする。
本発明の窒化アルミニウム単結晶の製造方法は、前記坩堝が、黒鉛、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル、炭化モリブデン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化タンタル、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化タンタルのうち少なくとも一種類から形成されることが好ましい。
本発明の窒化アルミニウム単結晶の製造方法は、前記蓋体及び前記種子基板保持部材が、黒鉛、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル、炭化モリブデン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化タンタル、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化タンタルのうち少なくとも一種類から形成されることも好ましい。
上記課題を解決するため、本発明の窒化アルミニウム単結晶の製造方法は、気相法による窒化アルミニウム単結晶の製造方法であって、下部に原料ガスを導入する原料ガス供給部と、それに対向するサセプタを備えた成長容器と、前記サセプタ下部に種子基板を保持する種子基板保持部材とを備え、前記原料ガス供給部から原料ガスを導入し、前記原料ガスを前記種子基板の前記原料ガス供給部と対向する面上に堆積させて単結晶を成長させることを特徴とする。
さらに、本発明は、上記窒化アルミニウム単結晶の製造方法を用いて得られる窒化アルミニウム単結晶を提供する。
本発明によれば、種子基板は種子基板保持部材により保持されることにより蓋体下面側に設置されるので、種子基板の脱落を防ぎ、保持することができる。従って、種子基板の蓋体からの剥離や脱落に起因する窒化アルミニウム単結晶の成長欠陥の発生を抑制することができる。また、種子基板は蓋体に接着されずに保持されるので、窒化アルミニウムの結晶成長の加熱時において、種子基板は自由に膨張が可能である。従って、蓋体と種子基板との熱膨張係数差に関係なく、熱歪みを緩和して成長結晶の結晶性の悪化を防ぎ、良好な結晶性の窒化アルミニウム単結晶を製造することができる。
本発明の第1実施形態に係る窒化アルミニウム単結晶の製造装置の一例を模式的に示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係る窒化アルミニウム単結晶の製造装置の種子基板保持部材を説明する断面模式図である。 本発明の第2実施形態に係る窒化アルミニウム単結晶の製造装置の他例を模式的に示す概略構成図である。 従来の窒化アルミニウム単結晶の製造装置の一例を模式的に示す概略構成図である。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る窒化アルミニウム単結晶の製造装置の一例を模式的に示す概略構成図である。図1において、図4で示した従来の製造装置の要素と同一の要素には同一の符号を付してある。本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造装置1は、昇華法によって種子基板上に窒化アルミニウムを昇華再結晶させて、窒化アルミニウム単結晶を成長させる装置である。
本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造装置1は、上部に開口部を有する坩堝11と、前記開口部近傍に設けられた蓋体13と、蓋体13の下方に設けられた種子基板保持部材15と、種子基板保持部材15により保持されることにより(図1に示す例では種子基板保持部材15の上面と蓋体13の下面との間に狭持されることにより)、蓋体13の下面側に設けられた種子基板14とを備えて構成される。坩堝15及び蓋体13で構成される結晶成長空間17全体は、黒鉛製の外側坩堝18及び外側坩堝18の上面に載置された黒鉛性の外側蓋体19により形成される空間内に配置され、外側坩堝18及び坩堝11は、不図示の固定手段により結晶成長用炉10内に固定されている。坩堝11の内底部には、窒化アルミニウム粉末等の原料12が収納されており、種子基板14の種子基板保持部材15と接しない部分は、原料12と対向している。
結晶成長用の種子基板14は、例えば、板状又は円板状のSiC単結晶、AlN単結晶、AlN/SiC単結晶(SiC単結晶上に膜厚200〜500μm程度のAlN単結晶膜をヘテロ成長させた単結晶)である。
また、結晶成長用炉10外周に沿って、結晶成長用炉10内に配された、外側坩堝18、坩堝11、原料12、種子基板14を加熱する複数の加熱手段21が設けられている。加熱手段21としては特に限定されるものではなく、高周波誘導加熱(高周波コイル)、抵抗加熱及び赤外加熱といった、従来公知のものを用いることができる。加熱温度の制御は、不図示の放射温度計により外側坩堝18の表面温度を測定しながら、加熱手段21を調整することにより行うことができる。
結晶成長用炉10の天井部には窒素ガスなどのガス供給装置に接続されたガス導入部22が形成されている。また、結晶成長用炉10の底部には、不図示の圧力調整弁を介して真空ポンプ等の減圧装置が接続され、窒素ガスなどを排出可能なガス排出部23が形成されている。これらガス導入部22及びガス排出部23を操作することにより、結晶成長用炉10、外側坩堝18内部及び坩堝11内の結晶成長空間17を所定のガス圧に調整できるようになっている。ここで、外側蓋体19は、外側坩堝18の開口部上部に載置または嵌め合わせられている状態であり、窒素ガスの出入りが容易な準密閉的な構造となっている。同様に、蓋体13及び種子基板保持部材15は、坩堝11の開口部上部に載置または嵌め合わせられている状態であり、窒素ガスの出入りが容易な準密閉的な空間となっている。ガス導入部22から窒素ガスなどのプロセスガスを導入することにより、外側坩堝18と外側蓋体19とで形成された内部空間、及び、坩堝11内の結晶成長空間17に、窒素ガスなどが流入可能となっている。
坩堝11、蓋体13及び種子基板保持部材15は、黒鉛、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル、炭化モリブデン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化タンタル、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化タンタルのうち少なくとも一種類から形成されている。これらの材料は、窒化アルミニウム単結晶の結晶成長時の2000℃程度の高温での熱的耐性を有するため、坩堝11、蓋体13及び種子基板保持部材15の材料として好ましい。
また、坩堝11の内底部には窒化アルミニウム粉末などの原料12が直接収納されるとともに、蓋体13と種子基板保持部材15との間には種子基板14が設置され、バルク結晶成長に適した窒化アルミニウムの昇華ガスに曝される。よって、坩堝11、蓋体13及び種子基板保持部材15を構成する材料は、窒化アルミニウムの昇華ガスによる腐食を受けないものに限られる。加えて、これらの坩堝11、蓋体13及び種子基板保持部材15を構成する材料からの窒化アルミニウム単結晶16への汚染(固溶による汚染)を防ぐために、アルミニウムのイオン半径と大きく異なる金属の単体、ないしはその窒化物又は炭化物が望ましい。したがって、坩堝11、蓋体13及び種子基板保持部材15の材料として前記した材料の中でも、モリブデン、タングステン、タンタル、窒化モリブデン、窒化タングステン、窒化タンタル、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化タンタルがより好ましい。
なお、酸化物については、放出された酸素により窒化アルミニウム結晶中に酸窒化アルミニウム(AlON)層を形成し、窒化アルミニウムの結晶成長を阻害するため、用いることはできない。
種子基板保持部材15は、坩堝11の開口部を覆うように坩堝11の周縁11a上に設置され、その上に種子基板14と蓋体13とが設置されている。すなわち、種子基板保持部材15は、種子基板14の下部に配置され、かつ、種子基板14の外周部の少なくとも一部に接し、その中心部に種子基板14の外径より小さな貫通開口15Aを有する中空の円盤形状をしている。
種子基板保持部材15の貫通開口15Aの内周部近傍は、種子基板14の外周部と接するように設置されており、種子基板14は蓋体13の下面と種子基板保持部材15の上面との間に狭持されて、保持されている。そのため、種子基板14は、従来の製造装置のように、接着剤などで蓋体13に固着されることなく、蓋体13の下面に原料12と対向して配置される。窒化アルミニウム単結晶製造時は、原料12から発生した窒化アルミニウ蒸気が、種子基板保持部材15の貫通開口に露出している種子基板14上に堆積して、窒化アルミニウム単結晶16が成長する。
種子基板保持部材15の貫通開口15Aの形状は特に限定されるものではなく、種子基板14の外径よりも小さく、かつ、結晶が成長する種子基板14上の面積が十分確保されていればよい。例えば、図1に示す種子基板保持部材15の構造では、種子基板14の外周部は坩堝11外の空間に暴露されているため、結晶成長の条件によっては種子基板14がその外周部から昇華し、種子基板14が結晶成長時に消失してしまう虞がある。そのような場合には、図2(a)に示すように、坩堝11の開口部を覆うように坩堝11の周縁11a上に設置された種子基板保持部材15の上に、種子基板14の外径よりも大きな貫通開口を有するリング状の種子基板保護部材15bを介して蓋体13を設置してもよい。このように、蓋体13と種子基板保持部材15aとの間にリング状の種子基板保護部材15bを設置することにより、種子基板14を坩堝11の外部空間と分離して、種子基板14の外周部からの昇華を効果的に抑制することができる。
なお、種子基板保持部材15aと種子基板保護部材15bよりなる種子基板保持部15Bは、坩堝11の周縁11a上に種子基板保持部材15a及び種子基板保護部材15bがそれぞれ順に載置積層されていてもよく、種子基板保持部材15aと種子基板保護部材15bとが溶接や接着などにより固着されていてもよい。この場合、坩堝11の周縁11a上に種子基板保持部15Bを設置した後に、種子基板14をその外周部が種子基板保持部材15aの貫通開口15Aの内周縁と接して保持されるように設置し、その後、その上に蓋体13を設置することにより、図2(a)に示すようにそれぞれの部材が設置される。また、蓋体13と種子基板保護部材15bとが溶接や接着などにより固着されており、坩堝11の周縁11a上に種子基板保持部15aを設置した後に、種子基板14をその外周部が種子基板保持部材15aの貫通開口15Aの内周縁と接して保持されるように種子基板保持部材15a上に設置し、次いで、一体に固着された種子基板保護部材15bと蓋体13を、リング状の種子基板保護部材15bの外周部が種子基板保持部材15aの外周部付近と重なるように設置してもよい。
また、図2(a)には、種子基板14が種子基板保持部材15aの上面と蓋体13との間に狭持されて、保持されている例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。種子基板保持部材15aの上面と蓋体13の下面との隙間が種子基板14の厚みよりも大きく、すなわち、種子基板保護部材15bの鉛直方向の厚みが種子基板14の厚みよりも大きく、種子基板14が種子基板保持部材15aの上に載置されることにより保持される構造であっても良い。しかしながら、結晶成長時の種子基板14が動いたり落下することを効果的に抑制するためには、図2(a)に示す如く、種子基板保持部材15aと蓋体13との間に種子基板14が狭持されていることが好ましい。
なお、種子基板保護部材15bの材質は、上述した種子基板保持部材15を構成する材料と同一のものが挙げられる。
さらに、種子基板保持部材15は、図2(b)に示す如く、図2(a)の種子基板保持部材15aと種子基板保護部材15bとが一体となって形成された構造である種子基板保持部15Cであってもよい。この場合、種子基板保持部15Cは削り出し等により一体形成されていてもよく、また、各構成部材同士を接着、溶接等により固着することにより成形してもよい。このような種子基板保持部15Cを用いることにより、種子基板14と坩堝11の外部空間との分離は一層確実なものとすることができる。なお、種子基板14の設置方法は、坩堝11の周縁11a上に種子基板保持部15C、種子基板14及び蓋体13を順次設置することにより、図2(b)に示すようにそれぞれの部材を設置することができる。また、上述した図2(a)に示す例と同様に、図2(b)に示す例においても、種子基板14は、種子基板保持部15Cと蓋体13との間に狭持されていてもよく、単に、種子基板保持部15C上に設置されて保持されていてもよい。
また、種子基板保持部材15は、図2(c)に示す如く、図2(a)の蓋体13と種子基板保持部材15aと種子基板保護部材15bとが一体に形成された構造である種子基板保持部15Dであってもよい。この場合、蓋体13と種子基板保持部材15dを構成する各部材同士を接着や溶接、削り出し等により成形することにより、種子基板14と坩堝11の外部空間との分離は一層確実なものとすることができる。なお、図2(c)に示す構造の種子基板保持部15Dを採用する場合、種子基板保持部材15d上に種子基板14を配置し、さらに蓋体13を接着や溶接等により接合して、種子基板14を種子基板保持部15Dの間隙に固定・保持してもよいし、種子基板保持部15Dの一部に種子基板14をスライドさせて設置するためのスリットを予め形成しておき、このスリットより種子基板14を種子基板保持部15Dの間隙に設置した後、該スリットを埋めることにより、種子基板14を種子基板保持部15Dの間隙に固定・保持することもできる。また、上述した図2(a)に示す例と同様に、図2(c)に示す例においても、種子基板14は、種子基板保持部材15dと蓋体13との間に狭持されていてもよく、単に、種子基板保持部材15d上に設置されて保持されていてもよい。図2(c)に示す例の如く種子基板14を設置する場合、成長後の窒化アルミニウム単結晶は、種子基板保持部15Dの一部又は接合部を分解又は破壊して種子基板14と窒化アルミニウム単結晶を回収してもよいし、成長後の窒化アルミニウム単結晶を切り離すことにより回収してもよい。
また、種子基板保持部材15aと種子基板保護部材15bとを一体に形成した構造としては、図2(b)に示す種子基板保持部15Cの形状に限定されるものではなく、図2(d)に示す如く、その開口部の大きさをテーパー状に連続的に変化させた構造の種子基板保持部15Eとすることも有効である。種子結晶保持部材15及び種子結晶保持部形状の開口部の構造は、このように種子結晶14の脱落が防げるように種子結晶14の外径より小さい開口寸であればよく、開口形状は特に限定されるものではない。なお、上述した図2(b)に示す例と同様に、図2(d)に示す例においても、種子基板14は、種子基板保持部15Eと蓋体13との間に狭持されていてもよく、単に、種子基板保持部15E上に設置されて保持されていてもよい。
なお、本実施形態においては、坩堝11の開口部に種子基板保持部材15が載置された構造を例示したが、本発明はこの形態に限定されるものではない。坩堝11の開口部に蓋体13が載置または嵌め合わされて設置され、蓋体13の下部であり坩堝11の内壁よりも内側に種子基板保持部材15が形成されていてもよい。この場合も上述した実施形態と同様に、蓋体13と種子基板保持部材15との間で種子基板14を狭持することができ、かつ、種子基板保持部材15の貫通開口により露出している種子基板14上に窒化アルミニウム単結晶を成長させることができる構造であればよい。なお、この場合の蓋体13の下部に種子基板保持部材15を形成する方法としては、例えば、蓋体13の下面に接着、溶接等、2000℃程度の結晶成長時の高温にも耐えうる接合方法により接合されていればよい。
また、本実施形態においては、外側坩堝18の内部に坩堝11が設置された2重坩堝構造を例示したが、本発明はこの形態に限定されるものではない。外側坩堝18と坩堝11との間に他の坩堝が配された3重坩堝構造であってもよいのは勿論である。
本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造装置は、従来の製造装置とは異なり、種子基板14は蓋体13の下面に接着剤などで固定せずに、種子基板保持部材15により種子基板14を保持することにより、種子基板14の脱落を防ぎつつ設置することができる。従って、種子基板14の蓋体13からの剥離や脱落に起因する窒化アルミニウム単結晶の成長欠陥の発生を抑制することができる。また、種子基板14は蓋体13に接着されずに保持されるので、窒化アルミニウムの結晶成長の加熱時において、種子基板14は自由に膨張が可能である。従って、蓋体13と種子基板14との熱膨張係数差に関係なく、熱歪みを緩和して成長結晶の結晶性の悪化を防ぎ、良好な結晶性の窒化アルミニウム単結晶を製造することができる。
次に、本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造装置1を用いた窒化アルミニウム単結晶の製造方法について説明する。
まず、窒化アルミニウム粉末等の原料12を坩堝11内底部にセットし、種子基板保持部材15により種子基板14を保持して蓋体13の下面側に設置した後(図1に示す例では、種子基板14を種子基板保持部材15と蓋体13とで狭持させて設置した後)、坩堝11内の結晶成長空間17及び外側坩堝18と外側蓋体19とで形成された内部空間を準密閉状態とする。
次いで、不図示の真空ポンプを稼動させてガス排出口23より結晶成長用炉10内部の大気を除去し、結晶成長用炉10内の圧力を減圧させる。続いて、結晶成長用炉10にガス導入部22から窒素ガスを導入する。これにより、窒化アルミニウム単結晶の成長は、高純度窒素ガス雰囲気下で行われる。
そして、加熱手段21により外側坩堝18及び外側蓋体19を加熱し、不図示の放射温度計で外側坩堝18及び外側蓋体19の温度を測定してこれらの温度を制御する。窒化アルミニウム単結晶成長時は外側坩堝18の温度を1700〜2300℃で一定制御する。なお、窒化アルミニウム単結晶成長時は、外側坩堝18下端の温度(原料温度)は、外側蓋体19上側の温度(結晶成長部温度)よりも高温となるように設定する。
結晶成長は、前述の設定温度まで加熱した後に結晶成長用炉10を減圧することで開始され、100torr以上600torr以下に定圧保持することで行われる。
また、加熱中は、ガス排出部23から結晶成長用炉10内の窒素ガスを排出しつつ、ガス導入部22から窒素ガスを結晶成長用炉10内に供給することにより、結晶成長用炉10内の窒素ガス圧力及び流量を適切に調整する。
加熱で昇華させて分解気化された原料12は、窒素ガス雰囲気下で種子基板保持部材15の貫通開口部に露出した種子基板14上に結晶成長することで、種子基板14上に窒化アルミニウム単結晶16となり成長する。
本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造方法は、従来の製造方法とは異なり、種子基板14は蓋体13の下面に接着剤などで固定せずに、種子基板保持部材15により種子基板14を保持して、種子基板14の脱落を防ぎつつ、設置することができる。従って、従来の製造方法で発生していた種子基板14の蓋体13からの剥離や脱落に起因する窒化アルミニウム単結晶の成長欠陥の発生を抑制することができる。また、種子基板14は蓋体13に接着されずに保持されるので、窒化アルミニウムの結晶成長の加熱時において、種子基板14は自由に膨張が可能である。従って、蓋体13と種子基板14との熱膨張係数差に関係なく、熱歪みを緩和して成長結晶の結晶性の悪化を防ぎ、良好な結晶性の窒化アルミニウム単結晶を製造することができる。さらに、本発明によれば、種子基板保持部材15は種子基板14よりも原料12側に位置するので、種子基板保持部材15は種子基板14よりも高温となっている。そのため、種子基板保持部材15上に堆積する窒化アルミニウム多結晶の堆積速度を抑制し、種子基板保持部材15よりも低温の種子基板14上に選択的に窒化アルミニウム単結晶を成長させることができる。
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、上述した第1実施形態の種子基板保持部材15により種子基板14を保持する構成を、CVD法(化学気相成長法)等の気相法に適用したものである。
図3は、本発明の第2実施形態に係る窒化アルミニウム単結晶の製造装置の一例を模式的に示す概略構成図である。図3において、図4で示した従来の製造装置及び図1で示した第1実施形態の製造装置1の要素と同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造装置1Bは、気相法によって種子基板上に窒化アルミニウム単結晶を成長させる装置である。
本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造装置1Bは、石英等よりなる成長容器35と、成長容器35の下部に設けられた原料ガスを導入する原料ガス供給部33及び原料ガス供給口33Aと、原料ガス供給部33に対向して設けられたサセプタ34と、サセプタ34の下方に設けられた種子基板保持部材15と、種子基板保持部材15により保持されることにサセプタ34の下面側に設置された種子基板14とを備えて構成される。原料ガス供給部33及び原料ガス供給口33からは、窒化アルミニウムの原料ガスとなる、トリメチルアルミニウムの蒸気、窒素、水素、アンモニア等が導入される。
成長容器35の外周に沿って、成長容器35の内部空間及び種子基板14を加熱する複数の加熱手段21が設けられている。また、成長容器21及び加熱手段21はチャンバー30によって包囲されている。チャンバー30の天井部には窒素ガス等のガス導入部31及びガス排出部32が設けられている。これにより、チャンバー30の内部を、所定のガス圧力に調整できるようになっている。
本実施形態において、種子基板14を保持する種子基板保持部材15の材質及び形状は、上記第1実施形態で挙げたものと同様のものが挙げられる。すなわち、上記第1実施形態における蓋体13を第2実施形態におけるサセプタ34に置き換えた構造である。また、サセプタ34は、例えば、黒鉛等の材料より形成されている。種子基板保持部材15をサセプタ34の下方に設ける方法としては、例えば、サセプタ34の下面に、種子基板保持部材15を接着、溶接等により接合する方法、サセプタ34下面に種子基板保部材15を爪部材、フック部材、係止部材等により固定する方法等により設置する方法が挙げられる。なお、上記第1実施形態と同様に、本実施形態においても、種子基板14は種子基板保持部材15とサセプタ34との間に狭持されていてもよいし、単に、種子基板保持部材15の上面に種子基板保持部材15に形成された貫通開口を塞ぐように載置されていてもよい。
従来の気相法による窒化アルミニウム単結晶の製造装置では、一般的に、種子基板14はサセプタ34の下面に接着剤などで固定されていた。しかしながら、本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造装置1Bでは、種子基板保持部材15によりと種子基板14を保持して、種子基板14の脱落を防ぎつつ、設置することができる。従って、種子基板14のサセプタ34からの剥離や脱落に起因する窒化アルミニウム単結晶の成長欠陥の発生を抑制することができる。また、種子基板14はサセプタ34に接着されずに保持されるので、窒化アルミニウムの結晶成長の加熱時において、種子基板14は自由に膨張が可能である。従って、サセプタ34と種子基板14との熱膨張係数差に関係なく、熱歪みを緩和して成長結晶の結晶性の悪化を防ぎ、良好な結晶性の窒化アルミニウム単結晶を製造することができる。
次に、本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造装置1Bを用いた窒化アルミニウム単結晶の製造方法について説明する。
まず、種子基板14を種子基板保持部材15により保持してサセプタ34の下面側に配置し(図3に示す例では、種子基板14を種子基板保持部材15とサセプタ34とで狭持させて配置し)、チャンバー30内をガス排出部32に接続された不図示の真空ポンプにより真空排気した後、ガス導入部31より窒素ガス等を成長容器35へ導入する。ここでの圧力は1〜760torr程度に設定することができる。続いて、加熱手段21により成長容器35内及び種子基板14を2000℃程度に加熱する。
その後、原料ガス供給部33の原料ガス供給口33Aより、窒化アルミニウムの原料ガスである、トリメチルアルミニウムの蒸気、窒素、水素、アンモニア等を導入する。成長容器35内に導入された原料ガスは、窒素ガス雰囲気下で、種子基板保持部材15の貫通開口部に露出した種子基板14上に、窒化アルミニウム単結晶16となり成長する。
本実施形態の窒化アルミニウム単結晶の製造方法は、従来の製造方法とは異なり、種子基板14はサセプタ34の下面に接着剤などで固定せずに、種子基板保持部材15により種子基板14を保持して、種子基板14の脱落を防ぎつつ、設置することができる。従って、種子基板14のサセプタ34からの剥離や脱落に起因する窒化アルミニウム単結晶の成長欠陥の発生を抑制することができる。また、種子基板14はサセプタ34に接着されずに保持されるので、窒化アルミニウムの結晶成長の加熱時において、種子基板14は自由に膨張が可能である。従って、サセプタ34と種子基板14との熱膨張係数差に関係なく、熱歪みを緩和して成長結晶の結晶性の悪化を防ぎ、良好な結晶性の窒化アルミニウム単結晶を製造することができる。さらに、本発明によれば、種子基板保持部材15は種子基板14よりも原料ガス供給部33側に位置するので、種子基板保持部材15は種子基板14よりも高温となっている。そのため、種子基板保持部材15上に堆積する窒化アルミニウム多結晶の堆積速度を抑制し、種子基板保持部材15よりも低温の種子基板14上に選択的に窒化アルミニウム単結晶を成長させることができる。
なお、上記第1及び第2実施形態においては、窒化アルミニウム単結晶の製造方法として、昇華法及び気相法を用いた場合について例示したが、本発明はこれらに限定されず、物理気相成長法(PVD法)や液相成長法(フラックス法)等の方法にも適宜利用可能である。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示した製造装置1にて種子基板14上に窒化アルミニウム単結晶の成長を行った。種子基板14としては、円板状の6H−SiC単結晶(直径50mm、厚さ600μm)を用いた。なお、成長面の方位および極性は(0001)Si面および(000−1)C面とした。種子基板保持部材15には1mm厚の円板状部材を用い、中心部にΦ30mmの裏面まで貫通する穴を穿ち、リング状部材とした。また、坩堝11、蓋体13及び種子基板保持部材15は炭化タンタル製のものを使用した。坩堝を成長装置内に設置した後、不図示のドライポンプ及びターボ分子ポンプを逐次稼動することにより、結晶成長用炉10内にある大気を除去し、結晶成長用炉10内圧力を5×10−6torrまで減圧した。この後、窒素ガスを装置内に導入し、700torrまで昇圧した。次に、坩堝温度を約2000℃に昇温したのち、結晶成長用炉10内圧力を100〜600torrへ減圧させることで、窒化アルミニウム結晶成長を開始した。成長開始から10〜120時間経過したところで、結晶成長用炉10内圧力を窒素ガスにより700torrまで昇圧し、その後、種子基板14および原料温度を室温まで冷却させることで結晶成長を終了させた。得られた窒化アルミニウム単結晶のサイズは直径30mm厚さは0.1〜5mmであり、成長速度は10〜120μm/hであった。
この結晶を成長方向に対し、垂直および水平方向に1mm厚の板状に切断し、評価用の試料を作成した。評価用試料は表面を平坦かつ鏡面に研磨し、切断加工によるダメージを表面から極力取り除いた。評価については、相の同定をラマン散乱測定から、結晶性はX線ラングカメラによるX線トポグラフィー法により分析した。ラマン散乱測定から、得られた結晶の相が2H構造を有する(0001)AlN結晶であることがわかった。また、X線トポグラフィー像により従来の種子基板の接着保持による成長と比較して種子基板保持部材による成長では結晶欠陥密度が2桁低いことが判明した。これらの結果は、種子基板保持部材を用いて種子基板を保持したことにより、(0001)面内方向の熱歪みが緩和され、結晶性が向上したことを示している。
(実施例2)
図1に示した製造装置1にて種子基板14上に窒化アルミニウム単結晶の成長を行った。種子基板14としては、円板状のAlN単結晶(直径38mm、厚さ1mm)を用いた。なお、成長面の方位および極性は(0001)Al面および(000−1)N面とした。種子基板保持部材15には1mm厚の円板状部材を用い、中心部にΦ30mmの裏面まで貫通する穴を穿ち、リング状部材とした。また、坩堝11、蓋体13及び種子基板保持部材15は炭化タンタル製のものを使用した。坩堝を成長装置内に設置した後、不図示のドライポンプ及びターボ分子ポンプを逐次稼動することにより、装置内にある大気を除去し、結晶成長用炉10内圧力を5×10−6torrまで減圧した。この後、窒素ガスを装置内に導入し、700torrまで昇圧した。次に、坩堝温度を約2200℃に昇温したのち、結晶成長用炉10内圧力を100〜600torrへ減圧させることで、窒化アルミニウム結晶成長を開始した。成長開始から10〜150時間経過したところで、結晶成長用炉10内圧力を窒素ガスにより700torrまで昇圧し、その後、種子基板温度および原料温度を室温まで冷却させることで結晶成長を終了させた。得られた窒化アルミニウム単結晶のサイズは直径30mm厚さは0.1〜7.5mmであり、成長速度は10〜100μm/hであった。
この結晶を成長方向に対し、垂直および水平方向に1mm厚の板状に切断し、評価用の試料を作成した。評価用試料は表面を平坦かつ鏡面に研磨し、加工によるダメージを表面から取り除いた。評価については、相の同定をラマン散乱測定、結晶性はX線ラングカメラによるX線トポグラフィー法により分析した。ラマン散乱測定から、得られた結晶の相が2H構造を有する(0001)AlN結晶であることがわかった。また、X線トポグラフィー像により一般的な種子基板の接着保持成長と比較して種子基板保持部材による成長では結晶欠陥密度が2桁低いことが判明した。これらの結果は、種子基板保持部材を用いて種子基板を保持したことにより、(0001)面内方向の熱歪みが緩和され、結晶性が向上したことを示している。
(実施例3)
図1に示した製造装置1にて種子基板14上に窒化アルミニウム単結晶の成長を行った。種子基板14としては、円板状のAlN/SiC単結晶(SiC結晶上に膜厚200〜500μm程度のAlN単結晶膜をヘテロ成長させた単結晶、直径38mm、厚さ1mm)を用いた。なお、成長面は(0001)Al面および(000−1)N面とした。種子基板保持部材15には5mm厚の円板状部材を用い、中心部に20mm角の裏面まで貫通する穴を穿ち、種子基板保持部材15とした。また、坩堝11、蓋体13及び種子基板保持部材15は炭化タンタル製のものを使用した。坩堝を成長装置内に設置した後、不図示のドライポンプ及びターボ分子ポンプを逐次稼動することにより、装置内にある大気を除去し、結晶成長用炉10内圧力を5×10−6torrまで減圧した。この後、窒素ガスを装置内に導入し、700torrまで昇圧した。次に、坩堝温度を約2000℃に昇温したのち、結晶成長用炉10内圧力を100〜600torrへ減圧させることで、窒化アルミニウム結晶成長を開始した。成長開始から10〜100時間経過したところで、結晶成長用炉10内圧力を窒素ガスにより700torrまで昇圧し、その後、種結晶温度および原料温度を室温まで冷却させることで結晶成長を終了させた。得られた窒化アルミニウム単結晶のサイズは直径25mm厚さは0.1〜6mmであり、成長速度は10〜130μm/hであった。また、種子基板上以外の坩堝内壁に堆積したAlN多結晶の厚みは20〜150μmであった。
この結晶を成長方向に対し、垂直および水平方向に1mm厚の板状に切断し、評価用の試料を作成した。評価用試料は表面を平坦かつ鏡面に研磨し、加工によるダメージを表面から取り除いた。評価については、相の同定をラマン散乱測定、結晶性はX線ラングカメラによるX線トポグラフィー法により分析した。ラマン散乱測定から、得られた結晶の相が2H構造を有する(0001)AlN結晶であることがわかった。また、X線トポグラフィー像により一般的な種子基板の接着保持成長と比較して種子基板保持部材による成長では結晶欠陥密度が2桁低いことが判明した。これらの結果は、種子基板保持部材を用いて種子基板を保持したことにより、(0001)面内方向の熱歪みが緩和され、結晶性が向上したことを示している。
1、1B…製造装置、10…結晶成長用炉、11、18…坩堝、12…原料、13、19…蓋体、14…種子基板、15…種子基板保持部材、16…窒化アルミニウム単結晶、17…結晶成長空間、21…加熱手段、22、31…ガス導入部、23、32…ガス排出部、33…原料ガス供給部、33A…原料ガス供給口、34…サセプタ、35…成長容器。

Claims (7)

  1. 上部に開口部を有し、内底部に原料を収納する坩堝と、
    前記開口部近傍に設置された蓋体と、
    前記蓋体の下面側に前記原料と対向するように配置された種子基板と、
    前記種子基板の下部側において、前記坩堝の開口部を覆うように当該坩堝の開口部の周縁上に設置され、かつ、前記種子基板の外周部の少なくとも一部に接し、その中心部に前記種子基板の外径より小さく、前記坩堝の開口部より小さな貫通開口を有する種子基板保持部材とを備え、
    前記種子基板は、前記種子基板保持部材により保持されていることを特徴とする窒化アルミニウム単結晶の製造装置。
  2. 前記種子基板は、前記種子基板保持部材と前記蓋体との間に狭持されていることを特徴とする請求項1に記載の窒化アルミニウム単結晶の製造装置。
  3. 前記坩堝は、黒鉛、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル、炭化モリブデン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化タンタル、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化タンタルのうち少なくとも一種類から形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化アルミニウム単結晶の製造装置。
  4. 前記蓋体及び前記種子基板保持部材は、黒鉛、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル、炭化モリブデン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化タンタル、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化タンタルのうち少なくとも一種類から形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窒化アルミニウム単結晶の製造装置。
  5. 昇華法による窒化アルミニウム単結晶の製造方法であって、
    上部に開口部を有し、内底部に原料を収納する坩堝と、
    前記開口部近傍に設置された蓋体と、
    前記蓋体の下面側に前記原料と対向するように配置された種子基板と、
    前記種子基板の下部側において、前記坩堝の開口部を覆うように当該坩堝の開口部の周縁上に設置され、かつ、前記種子基板の外周部の少なくとも一部に接し、前記種子基板を保持し、前記坩堝の開口部より小さな貫通開口を有する種子基板保持部材と、
    前記坩堝を加熱する加熱手段とを備え、
    前記加熱手段により前記坩堝を加熱することにより前記原料を昇華させて、前記種子基板の前記原料と対向する面上に単結晶を成長させることを特徴とする窒化アルミニウム単結晶の製造方法。
  6. 前記坩堝は、黒鉛、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル、炭化モリブデン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化タンタル、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化タンタルのうち少なくとも一種類から形成されることを特徴とする請求項5に記載の窒化アルミニウム単結晶の製造方法。
  7. 前記蓋体及び前記種子基板保持部材は、黒鉛、窒化硼素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、モリブデン、タングステン、タンタル、炭化モリブデン、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、炭化タンタル、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化タンタルのうち少なくとも一種類から形成されることを特徴とする請求項5または6に記載の窒化アルミニウム単結晶の製造方法。
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