JP5792675B2 - 窒化アルミニウム結晶の成長方法 - Google Patents

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本発明は、成長容器内の高温部側に充填された原料を昇華させ、成長容器内の低温部側に配置された種結晶上に析出させて窒化アルミニウム結晶を成長させる窒化アルミニウム結晶の成長方法に係り、特に、特別な保持用部材や接着剤を用いることなく種結晶を簡便に保持でき、成長させた窒化アルミニウム結晶が種結晶と共に成長容器内に落下する現象も回避できると共に、成長容器の機密性(密閉性)が向上して成長容器外への原料漏洩も回避できる窒化アルミニウム結晶の成長方法に関するものである。
窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)およびこれ等の混晶はIII族窒化物半導体と呼ばれ、バンドギャップはInNの0.8eVからAlNの6.4eVと広範囲にわたり、赤外から可視、深紫外領域の発光デバイス用材料としての応用が可能である。特に、GaNおよびGaInN混晶が青色(白色)発光素子用材料として飛躍的な発展を遂げたことは周知の通りである。GaN系材料の発展の基盤となったのは、サファイア単結晶を基板材料とするエピタキシャル成長技術、p型ドーピングをはじめとするデバイス技術である。
しかし、青色より波長が短い紫外、深紫外領域でより高効率な発光素子やレーザーダイオードを形成しようとすると、現在主流である上記サファイア単結晶基板を用いたのでは材料特性上、限界があり、ホモエピタキシャル成長、すなわちAlNやGaNといった同種材料を基板に用いる必要が出てくる。その理由として、半導体材料をデバイスとして用いる場合には、窒化物半導体に限らず薄膜構造を形成する必要があるが、薄膜の品質に大きな影響を与えるのがベースとなる基板材料の特性だからである。良質なデバイスを実現するには、良質な薄膜単結晶を成長させる必要があり、そのためには格子定数や熱膨張係数が同じである同種基板を用いるのが最良の方法である。
また、作製するデバイスの種類により基板に要求される特性も異なってくる。発光デバイスの場合には光を効率的に外部に取り出すことができるように、基板材料自身がデバイス層で発光する光を吸収しない光透過特性を持つことが望ましい。また、高出力化によってデバイスの発熱が問題となる場合には、基板を通して効率的に放熱する必要があり、熱伝導率の高い基板材料が望ましい。実際に、青色レーザーダイオードの実用化のために、既にGaNの自立基板(気相成長法によってGaN厚膜の成長を行い、成長後に種基板と成長層を剥離することによって得られる基板)が開発、実用化されている。
更に、短波長領域となる深紫外領域での次世代デバイス開発のため、AlGaN混晶のエピタキシャル成長技術やデバイス技術の開発が盛んであるが、これ等の実用化のためには良質な基板、すなわち同種基板であるAlN単結晶基板の開発が不可欠と考えられている。
ところで、AlN単結晶の成長方法には、昇華成長法、溶液成長法、塩化物気相成長法(HVPE法)、有機金属気相結晶成長法(MOVPE法)、分子ビームエピタキシャル法(MBE法)等があり、デバイス用基板の実用化に向けて様々な方法で検討が行なわれている。これに対し、GaN基板の場合は、バルク単結晶を得ることが困難なため、HVPE法等を用いた厚膜成長による自立基板技術に頼らざるを得ないのが現状で、GaAsやサファイアといった異種材料を種基板として使用せざるを得ないことから、クラックの発生や転位密度等の品質およびコストの点で限界を有する。他方、上記AlNは昇華成長法によって比較的速い成長速度を実現でき、バルク単結晶の育成が可能であるという大きな利点がある。昇華成長法はSiC単結晶の成長技術として実用化の段階にあり、AlN単結晶の成長についても、低転位密度を代表とする高品質化、コストの点で非常に有利な方法と考えられており、特許文献1や特許文献2に示されているように鋭意研究が進められている。
但し、昇華法によるAlN単結晶成長では、種結晶となるAlN単結晶基板を得ること自体が困難なため、非特許文献1に示すように予めSiC基板上にAlN厚膜を成長させ、厚膜成長したAlN膜をSiCから分離させたものをAlN単結晶基板(シード)とし、更に厚いバルクAlN単結晶を得る方法が用いられている。すなわち、容器本体と蓋体とで構成される成長容器内において原料を昇華させ、AlN単結晶基板(シード)にAlN結晶を析出させる方法が用いられている。
ここで、種結晶(シード)となるSiCやAlNは、成長容器内の高温側に配置された原料と対向する低温側に配置させる必要があるが、配置の方法としては低温側に配置する上記蓋体に接着剤を用いて種結晶(シード)を貼り付けるのが一般的である。そして、上述したSiCの昇華成長法では、上記蓋体を構成する黒鉛にSiC種結晶を確実に保持させるための接着剤について多くの検討がなされており(例えば特許文献3)、結晶成長後における結晶の落下防止はもちろん、結晶裏面側の昇華によるマイクロパイプ等の結晶欠陥発生の防止に対しても重要な技術となっている。
ところで、AlN単結晶を昇華成長法により成長させる場合、成長容器を構成する黒鉛は、Alガスとの反応性並びにAlガスの透過性において適性を欠くため、炭化タンタルやタングステンといった高融点金属やその炭化物、窒化物等を用いて成長容器を構成する必要がある。そして、炭化タンタルやタングステンといった高融点金属等で構成された蓋体に種結晶となるSiCやAlNを接着させる必要があるが、適当な接着剤がないため接着強度が弱く、成長させたAlN単結晶が種結晶と共に成長容器内に落下し易い問題が存在した。また、上記蓋体、接着剤、種結晶の熱膨張係数の差異により、成長させる結晶の結晶性が悪化するという問題も存在した。
これ等問題に対し、特許文献4では、種結晶基板の外径より小さな貫通開口を有する種結晶保持用部材を用い、接着剤を用いることなく種結晶を保持する方法を開示している。しかしながら、上記成長容器や保持用部材として用いる炭化タンタル等の高融点金属は形状精度が悪く、また、結晶成長中に変形を伴う場合がある。この場合、精度不良や変形に起因して成長容器の密閉性が損なわれ、原料の昇華漏洩による製造効率の低下や種結晶自体の昇華による消失、欠陥の導入等が起こり易い問題があった。更に、種結晶保持用部材を用いることにより成長容器のコストが高くなるといった問題も存在した。
特表2006−511432号公報(第1頁) 特開平10−53495号公報(第1頁) 特許第3680531号(第1〜3頁) 特開2011−132079号公報(第1頁)
Yu.N.Makarov et.al,Journal of Crystal Growth 310 (2008) 881
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、特別な種結晶保持用部材や接着剤を用いることなく種結晶を簡便に保持でき、成長させた窒化アルミニウム結晶が種結晶と共に成長容器内に落下する現象も回避できると共に、成長容器の機密性(密閉性)が向上して成長容器外への原料漏洩も回避できる窒化アルミニウム結晶の昇華成長法を提供することにある。
すなわち、請求項1に係る発明は、
一端側が開放され他端側が閉止された筒状容器本体と該筒状容器本体の開放部を閉止する蓋体とで構成される成長容器内の高温部側に充填された原料を昇華させ、上記成長容器内の低温部側に配置された種結晶上に析出させて窒化アルミニウム結晶を成長させる窒化アルミニウム結晶の成長方法であって、
上記筒状容器本体の上記開放部における開放縁部から外方へ外周縁が食み出る大きさを有する上記種結晶を用いて上記筒状容器本体の上記開放部を覆うと共に、上記種結晶の外周縁から外方へ食み出る大きさを有する上記蓋体を上記種結晶の裏面側に重ね合わせて上記筒状容器本体の上記開放部を閉止し、上記成長容器内の高温部側に充填された上記原料を昇華させて上記種結晶の上記裏面側とは反対の表面側に窒化アルミニウム結晶を成長させる窒化アルミニウム結晶の成長方法において、
上記蓋体の外周部にはその外周縁に沿って下方へ伸びる凸状片が設けられ、該凸状片により上記蓋体下面側に配置された上記種結晶の側面が保護されるようになっていることを特徴とする。
次に、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の窒化アルミニウム結晶の成長方法において、
上記種結晶とその裏面側に重ね合わされた上記蓋体との間に充填層を形成することを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2に記載の窒化アルミニウム結晶の成長方法において、
上記筒状容器本体と上記蓋体の材質が、炭化タンタルおよびタングステンから選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とし、
請求項4に係る発明は、
請求項1または2に記載の窒化アルミニウム結晶の成長方法において、
上記種結晶が、炭化珪素、予め窒化アルミニウム単結晶層を表面に形成した炭化珪素、および、窒化アルミニウムから選ばれることを特徴とし、
また、請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の窒化アルミニウム結晶の成長方法において、
上記種結晶の厚さが1mm以上であることを特徴とするものである。
本発明に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法は、
筒状容器本体の開放部における開放縁部から外方へ外周縁が食み出る大きさを有する種結晶を用いて筒状容器本体の上記開放部を覆うと共に、種結晶の外周縁から外方へ食み出る大きさを有する蓋体を種結晶の裏面側に重ね合わせて筒状容器本体の開放部を閉止し、成長容器内の高温部側に充填された原料を昇華させて種結晶の上記裏面側とは反対の表面側に窒化アルミニウム結晶を成長させることを特徴としている。
そして、種結晶における外周縁を筒状容器本体の上記開放縁部から外方へ食み出させた状態で、上記種結晶における外周縁の内側近傍領域が筒状容器本体の上記開放縁部に係止されていることから、特別な種結晶保持用部材や接着剤を用いることなく種結晶を簡便に保持することが可能となる。
また、蓋体における外周縁を種結晶の上記外周縁から外方へ食み出させた状態で、種結晶の裏面側に上記蓋体を重ね合わせていることから、種結晶の裏面側全体が蓋体により覆われるため種結晶裏面側の昇華消失を防止することが可能となる。従って、成長した窒化アルミニウム結晶が種結晶と共に成長容器内に落下することがなく、窒化アルミニウム結晶を破損させることなく回収することが可能となる。
更に、上記種結晶における外周縁の内側近傍領域が筒状容器本体の開放縁部に係止されており、筒状容器本体の開放縁部と接する種結晶外周縁の上記内側近傍領域は筒状容器本体の開放縁部からの伝熱により加熱されて温度が高くなり、その分、他の領域より昇華による消失が多くなるため、上記開放縁部と接する種結晶の上記内側近傍領域に筒状容器本体の開放縁部形状に沿った凹部が形成される。そして、この凹部に筒状容器本体の開放縁部が嵌合して筒状容器本体と種結晶との間に生じる隙間を閉止することになるため、成長容器の機密性(密閉性)が向上して成長容器外への原料の昇華漏洩が低減し、窒化アルミニウム結晶の結晶性と成長効率を向上させることが可能となる。
接着剤を用いて種結晶が成長容器の蓋体に保持される従来の昇華成長法による窒化アルミニウム結晶の成長方法を示す説明図。 本発明の参考例に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法を示す説明図。 本発明に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法を示す説明図。 本発明の他の参考例に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法を示す説明図。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、図1は接着剤を用いて種結晶が成長容器の蓋体に保持される従来例に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法を示す説明図である。
成長容器1は、図1に示すように一端側が開放され他端側が閉止された炭化タンタル等から成る筒状容器本体10と、この容器本体10の上記開放部を閉止する炭化タンタル等から成る蓋体12とで構成されており、成長容器1の外周近傍に配設された加熱装置9によって成長容器1内に高温部7と低温部8の温度分布が形成されている。また、成長容器1の高温部7側には原料6が充填されると共に、成長容器1の低温部8側には種結晶4が配置されている。尚、種結晶4は、上述したように接着剤3を用いて上記蓋体12に接着し保持されている。そして、成長容器1の高温部7側に充填された上記原料6を昇華させ、成長容器1の低温部8側に配置した種結晶4上にAlNを析出させて成長結晶5を成長させるものである。
次に、図2は本発明の参考例に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法を示す説明図である。
尚、本発明の参考例に係る成長容器21も、図2に示すように一端側が開放され他端側が閉止された炭化タンタル等から成る筒状容器本体20と、この容器本体20の上記開放部を閉止する炭化タンタル等から成る蓋体22とで構成されている。
本発明の参考例に係るAlN結晶の成長方法では、図2に示すように筒状容器本体20開放部の開放縁部から、その外周縁が外方へ食み出る大きさを有する種結晶23を用いると共に、この種結晶23における外周縁を図2に示すように筒状容器本体20の上記開放縁部から外方へ食み出させた状態で種結晶23における外周縁の内側近傍領域を筒状容器本体20の上記開放縁部に係止させている。更に、図2に示すように種結晶23の外周縁から、その外周縁が外方へ食み出る大きさを有する蓋体22を用い、かつ、蓋体22における外周縁を図2に示すように種結晶23の外周縁から外方へ食み出させた状態で種結晶23の裏面側(背面側)に蓋体22を重ね合わせると共に、上記種結晶23を介して容器本体20の開放部が蓋体22により閉止されている。
そして、本発明の参考例に係るAlN結晶の成長方法では、成長容器21の高温部側に充填された原料25を昇華させ、成長容器21の低温部側に配置した種結晶23の上記裏面側(背面側)とは反対の表面側(成長容器21の内側に面した側)にAlNを析出させて成長結晶24を成長させるものである。
上記筒状容器本体20の筒形状については、断面が円形状(すなわち円筒形)であっても、断面が矩形状であってもよく任意である。また、上記蓋体22における平面形状は筒状容器本体20の筒形状に合わせて、例えば、円形状、矩形状等任意である。但し、本発明に係るAlN結晶の成長方法において、蓋体22における断面形状については、図3の符号22Bで示すように蓋体の外周部にその外周縁に沿って下方へ伸びる凸状片を設け、蓋体の下面側に配置される種結晶23側面を保護するような構造であることを要する
また、図4に示すように、上記蓋体22と種結晶23との間の隙間をできる限り小さくして種結晶23裏面側の昇華を防止するため、例えば炭素系化合物等からなる充填層26を設けることも好適である。尚、上記充填層26については、例えば、平均粒径1μmの黒鉛微粒子がフェノール樹脂に分散された樹脂組成物を用い、これを80℃〜200℃で熱処理して形成することができる。
次に、図2〜4に示す本発明の参考例並びに本発明に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法において、筒状容器本体と蓋体の材質は、炭化タンタルおよびタングステンから選ばれる少なくとも1種類から形成することが好適である。この場合、炭化タンタルは、タンタルの表面を炭化したものでも、全体が炭化タンタルでもよく、また、これ等筒状容器本体や蓋体の製法、寸法によって本発明の効果が制限されるものではない。
また、図2〜4に示す本発明の参考例並びに本発明に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法において、上記種結晶として、炭化珪素、予め窒化アルミニウム単結晶層を表面に形成した窒化珪素、窒化アルミニウムであることが好適である。上記種結晶の製法や方位、寸法、表面状態等は目的とするAlN結晶の寸法、成長に合わせて適宜選択すればよく、本発明の効果はこれ等によって制限されるものではない。
更に、図2〜4に示す本発明の参考例並びに本発明に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法において、用いる種結晶の厚さは1mm以上であることが好適である。その理由は、1mm未満の薄い種結晶を用いた場合、種結晶自体の昇華消失が進むことにより、種結晶および成長したAlN結晶を保持できなくなる可能性があるからである。
尚、図1〜4を用いて昇華法について説明したが、本発明に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法(昇華成長法)における加熱方法、原料、雰囲気ガスの種類や圧力、温度、時間等の各種成長条件等においてその効果が制限されるものでないことは明らかである。
以下、参考例により本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的内容が以下の参考例によって何ら限定されるものでは無い。
本発明の参考例に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法は、蓋体と種結晶との間に充填層が設けられた図4の構成物を用いた例である。
筒状容器本体20として、一端側が開放され他端側が閉止された直径47mmφ、高さ80mm、厚さ1mmの円筒状炭化タンタルを用いた。また、種結晶23として、成長面側(窒化アルミニウム結晶が析出する側)が機械化学研磨による鏡面、成長面側とは反対の裏面側をラップ面とした厚さ2mm、直径50mmのc面6H−SiC基板を用いた。更に、蓋体22として、厚さ2mm、直径60mmの炭化タンタル板を用い、かつ、炭化タンタル製蓋体の平面精度により種結晶23との間に僅かな隙間が生じてしまうため、蓋体22と種結晶23との間に炭素化合物からなる充填層26を形成した。
尚、充填層26は、平均粒径1μmの黒鉛微粒子が熱硬化型フェノール樹脂に分散された樹脂組成物を80℃〜200℃で熱処理して形成されている。また、原料25として、AlN多結晶粉末を用いた。
窒化アルミニウム(AlN)結晶の昇華成長では、加熱方法として高周波誘導加熱を用い、真空排気および高純度窒素ガスの供給が可能な石英製の容器中にセットされたグラファイトサセプターの内部に上記説明した寸法、材質の構成物(図4に示す構成物)を充填した。
窒化アルミニウム(AlN)結晶の成長雰囲気は、高純度窒素101kPaとし、高周波誘導加熱によってグラファイトサセプターを加熱し、種結晶23が配置された成長容器21の上部を低温側として1700℃〜1800℃、原料25が配置された成長容器21の部分を高温側として1850℃〜1950℃とし、10〜50時間AlN結晶の成長を行った。
得られたAlN結晶(成長結晶24)は、種結晶23であるSiC基板の中心部分に、直径約30mm、厚さ約1〜5mmに単結晶成長しており、成長中や成長後に割れ等で成長容器21内に落下することなく回収することができた。
また、成長したAlN単結晶(成長結晶24)は比較的透明で、X線ロッキングカーブの半値幅で100秒程度であり、結晶性も良好であった。
また、筒状容器本体20の開放縁部と接する種結晶23の内側近傍領域は、上記開放縁部と接していない領域より昇華消失によって厚さが0.5〜1mm程度減じており、種結晶23の内側近傍領域には、上記筒状容器本体20の開放縁部形状に沿った凹部が形成されているのが観察された。この現象は、筒状容器本体20の開放縁部に接触していた種結晶23の内側近傍領域が、成長容器21高温部側に位置した上記筒状容器本体20の開放縁部からの伝熱により加熱されて他の領域より温度が高くなり、昇華消失によって筒状容器本体20の上記開放縁部形状に沿った凹部が形成されたものである。そして、この凹部に筒状容器本体20の開放縁部が嵌合して筒状容器本体20と種結晶23との間に生じる隙間を閉止することになるため、成長容器21の機密性(密閉性)が向上して成長容器21外への原料の昇華漏洩が低減し、窒化アルミニウム結晶の結晶性と成長効率が向上することを示している。
[比較例]
この比較例に係る窒化アルミニウム結晶の成長方法は、接着剤を用いて蓋体の裏面側に種結晶を保持する図1の構成物を用いた例である。
すなわち、種結晶4の直径を40mmとし、接着剤3として炭素系化合物からなる接着剤(参考例の充填層26と同様、平均粒径1μmの黒鉛微粒子が熱硬化型フェノール樹脂に分散された樹脂組成物)を用いて蓋体12に貼り付けている点を除き、参考例と同様の構成および成長条件で窒化アルミニウム結晶の成長を行なっている。
そして、比較例では、種結晶4と蓋体12との接着力不足に起因し、成長中や成長後において、50%程度の割合で種結晶4および成長したAlN結晶が成長容器1内部の高温側に落下してしまい、この結果、落下物が原料6と固着し、また、昇華消失してしまい、AlN単結晶を得ることができなかった。
また、落下することなく成長後において種結晶4および成長したAlN結晶を回収できた場合、得られたAlN結晶は、種結晶であるSiC基板の中心部分に、直径約25mm、厚さ約0.5〜3mmに単結晶成長しており、参考例と比較した場合、成長するAlN単結晶の厚さに関して薄くなる傾向が確認された。また、参考例と比較した場合、結晶性や透明度に関し多少劣る傾向も見られたが、これは成長膜厚が薄いことによるものと考えられる。
本発明によれば、特別な種結晶保持用部材や接着剤を用いることなく種結晶を簡便に保持でき、成長させた窒化アルミニウム結晶が種結晶と共に成長容器内に落下する現象も回避できると共に、成長容器の機密性(密閉性)が向上して成長容器外への原料漏洩も回避できるため、AlGaN系半導体デバイス用基板として好適な特性を有する高品質なAlN基板を歩留まりよく低コストで製造することが可能となる。そして、得られたAlN基板は、深紫外領域での発光素子や高周波高出力電子素子等のデバイス製造に利用される産業上の利用可能性を有している。
1 成長容器
3 接着剤
4 種結晶
5 成長結晶(AlN結晶)
6 原料
7 高温部
8 低温部
9 加熱装置
10 筒状容器本体
12 蓋体
20 筒状容器本体
21 成長容器
22 蓋体
22B 蓋体
23 種結晶
24 成長結晶(AlN結晶)
25 原料
26 充填層

Claims (5)

  1. 一端側が開放され他端側が閉止された筒状容器本体と該筒状容器本体の開放部を閉止する蓋体とで構成される成長容器内の高温部側に充填された原料を昇華させ、上記成長容器内の低温部側に配置された種結晶上に析出させて窒化アルミニウム結晶を成長させる窒化アルミニウム結晶の成長方法であって、
    上記筒状容器本体の上記開放部における開放縁部から外方へ外周縁が食み出る大きさを有する上記種結晶を用いて上記筒状容器本体の上記開放部を覆うと共に、上記種結晶の外周縁から外方へ食み出る大きさを有する上記蓋体を上記種結晶の裏面側に重ね合わせて上記筒状容器本体の上記開放部を閉止し、上記成長容器内の高温部側に充填された上記原料を昇華させて上記種結晶の上記裏面側とは反対の表面側に窒化アルミニウム結晶を成長させる窒化アルミニウム結晶の成長方法において、
    上記蓋体の外周部にはその外周縁に沿って下方へ伸びる凸状片が設けられ、該凸状片により上記蓋体下面側に配置された上記種結晶の側面が保護されるようになっていることを特徴とする窒化アルミニウム結晶の成長方法。
  2. 上記種結晶とその裏面側に重ね合わされた上記蓋体との間に充填層を形成することを特徴とする請求項1に記載の窒化アルミニウム結晶の成長方法。
  3. 上記筒状容器本体と上記蓋体の材質が、炭化タンタルおよびタングステンから選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化アルミニウム結晶の成長方法。
  4. 上記種結晶が、炭化珪素、予め窒化アルミニウム単結晶層を表面に形成した炭化珪素、および、窒化アルミニウムから選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化アルミニウム結晶の成長方法。
  5. 上記種結晶の厚さが1mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の窒化アルミニウム結晶の成長方法。
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