JP5506035B2 - アクチュエータの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はアクチュエータの製造方法に係り、特に、圧電体薄膜を振動板に積層した構造からなるアクチュエータ及びアクチュエータ構造体、並びにその製造方法の技術に関する。
特許文献1には、基板上に圧電体膜と電極とを積層してなるカンチレバー型変位素子において、圧電体膜の亀裂(クラック)や圧電体膜と電極との界面の剥がれ、先端の反りなどを防止しつつ、繰り返し耐久性を高めるために、電極と圧電体膜との層間、電極と基板との層間の少なくとも1つの層間に応力緩和層を設けた構造が開示されている。
特許文献2には、高周波信号の切り替えに使用されるマイクロマシンスイッチにおいて、高速応答性、低消費電力、高信頼性、長寿命を達成するために、圧電体を駆動部とする片持ち梁形状をなすマイクロマシンスイッチの構造が提案されている。
特許文献3には、気相成長法で成膜されるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:一般式Pb(ZrTi1−x)O(0<x<1))系の圧電体層の結晶配向性向上とクラックの抑制を達成するために、圧電体の下部電極側に圧縮応力を持つ配向制御層を形成して、応力の制御を行う構成が開示されている。
特許第3218406号公報 特開2003−217421号公報 特開2008−42069号公報
しかしながら、特許文献1に開示された応力緩和層は、各層の界面で発生する応力を緩和するだけであり、カンチレバー部の反りを完全に抑えることができない。また、特許文献1に開示されたカンチレバー型変位素子の構造の場合、圧電体を駆動した際に発生する駆動力(応力の一種)が応力緩和層で吸収されるため、変位効率が悪く、必要以上に応力緩和の効果を大きく得ようとすると、圧電体で発生する駆動力が伝達されずに、カンチレバー部が十分に変位しないなどの問題がある。
特許文献2に開示されたスイッチ構造では、応力により片持ち梁が反る可能性があるため、歩留まりが悪いと推察される。また同文献2では、具体的な製造方法が記述されておらず、当該スイッチ構造を良好に実現するための製造プロセスについては更なる工夫が必要である。
特許文献3に開示された構成では、配向制御層の選択に際して、圧電体層から圧縮応力を受けるものを選択する必要がある。例えば、シリコン(Si)基板上に下部電極層、圧電体層、上部電極層を積層形成する構成の場合、一般的には圧縮応力を受ける材料は、Siよりも熱膨張係数が小さい必要がある。しかし、一般的なセラミックスや金属はSiよりも熱膨張係数が大きい。そのため、特許文献3に開示の配向制御層に適用可能な材料が限られてくる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、カンチレバー構造やダイアフラム構造などのアクチュエータ可動部における反りを防止し、歩留まりの向上を達成でき、信頼性が高く、耐久性のあるアクチュエータ及びアクチュエータ構造体を提供することを目的とし、併せて、そのアクチュエータの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明に係るアクチュエータの製造方法は、第1基板の第1面上に第1電極層、圧電体層及び第2電極層を形成する膜形成工程と、前記第1基板の前記圧電体層が形成されている前記第1面側に、第2基板を有する構造体を貼り合わせる構造体接合工程と、前記第1基板に前記構造体を貼り合わせた状態で、前記第1基板の前記圧電体層が形成されている前記第1面側と反対側の面から当該第1基板の一部を除去し、前記第1基板の材料のシリコン(Si)を残した残部により厚さ0.5μm以上20μm以下の振動板を形成する薄層化工程と、前記薄層化工程の後に、前記振動板の前記圧電体層が形成されている前記第1面と反対側の第2面に、前記圧電体層が前記振動板から受けている応力と同じ方向の応力を前記振動板から受ける応力調整層を形成する応力調整層形成工程と、を含むことを特徴とする。
また、前記目的を達成するために以下の発明態様を提供する。
(発明1):発明1に係るアクチュエータは、厚さ0.5μm以上20μm以下の振動板と、前記振動板の第1面側に設けられ、該振動板から応力を受けている圧電体層と、前記圧電体層とともに前記振動板の前記第1面側に設けられ、前記圧電体層を挟んで対向する電極対と、前記振動板の前記第1面と反対側の前記振動板の第2面側に設けられ、前記圧電体層が前記振動板から受けている前記応力と同じ方向の応力を前記振動板から受けている応力調整層と、を備えることを特徴とする。
振動板の厚みが20μmを超えると、当該振動板と圧電体層とを含む可動部の変位量が小さく、アクチュエータとして駆動が不十分となりやすい。また、振動板の厚みが20μmを超えて厚いものになると、圧電体層の応力による反り(撓み)が少なく、あまり問題にならなくなる。したがって、本発明では、アクチュエータにおける振動板としての機能を果たすに足る実用的な厚みを確保しつつ、「反り」の問題への対処を要する振動板の厚みとして、0.5μm以上20μm以下の厚みを持つ振動板が採用される。
本発明によれば、振動板上に積層された圧電体層により振動板の第1面側に作用する応力と、その反対側の第2面に積層された応力調整層により当該振動板の第2面側に作用する応力が釣り合い、振動板の反りが防止される。これにより、歩留まりが向上する。また、信頼性が高く、耐久性に優れたアクチュエータが得られる。
(発明2):発明2に係るアクチュエータは、発明1において、前記圧電体層が前記振動板から受けている前記応力は引っ張り応力であり、応力値が50MPa以上500MPa以下であることを特徴とする。
圧電体層が振動板から受ける応力の向きとしては、引っ張り方向の応力、或いは、逆に、圧縮方向の応力があり得る。例えば、圧電体層を形成する工程において、室温よりも高い温度で圧電体膜を形成すると、その後室温に戻した際に、圧電体と振動板の熱膨張係数差に応じた応力を受ける。圧電体の熱膨張係数が振動板の熱膨張係数よりも大きいと、圧電体層は振動板から引っ張り応力を受ける。
圧電体層が振動板から受ける応力値が50MPaよりも小さければ「反り」が問題になることは少ない。その一方、応力値が500MPaを超えると、応力調整層による反りの矯正が困難になることに加え、「反り」の問題よりも、圧電体層のクラックなど、反りとは別の問題が顕著になる。よって、応力値が50〜500MPaの範囲について、本発明を適用することが特に有用である。
(発明3):発明3に係るアクチュエータは、発明1又は2において、前記応力調整層の熱膨張係数は、前記振動板の熱膨張係数よりも大きく、かつ5ppm/℃以上であることを特徴とする。
かかる態様によれば、圧電体層側の応力による反りを相殺し得るに足る応力調整層を得ることができる。
(発明4):発明4に係るアクチュエータは、発明1乃至3のいずれか1項において、前記振動板は、シリコン(Si)或いは二酸化シリコン(SiO)、又はこれらの組合せであることを特徴とする。
かかる態様によれば、SiウエハやSOIウエハを用い、半導体製造技術を利用することにより、微細なアクチュエータデバイスを製造することができる。なお、Siの熱膨張係数は約2.6ppm/℃であり、SiOの熱膨張係数は約0.5ppm/℃である。一方、PZTの熱膨張係数は概ね5〜7ppm/℃である。
(発明5):発明5に係るアクチュエータ構造体は、発明1乃至4のいずれか1項に記載のアクチュエータと、前記アクチュエータの前記圧電体側に貼り合わせられた構造体と、を備え、前記構造体は、前記アクチュエータの前記圧電体層側に、当該アクチュエータの可動部が変位できる空間を形成する凹部を有していることを特徴とする。
電極対に挟まれた圧電体層を振動板上の第1面側に形成し、その反対側の第2面側に応力調整層を形成した構成からなるアクチュエータは、電極対間に電圧を印加することで振動板及び圧電体層が変位する。このような変位素子としてのアクチュエータは、可動部の変位空間を確保する凹部を有する他の構造体と貼り合わされた形態で使用されることが多い。例えば、可動部が片持ち梁(カンチレバー)構造で支持されているアクチュエータ構造体や、可動部が両持ち梁構造で支持されているアクチュエータ構造体、或いは、可動部の周囲全周が固定支持されているダイアフラム構造のアクチュエータ構造体などの場合は、可動部の支点を固定する支持部と、その可動部の変位空間を形成する凹部とを有する構造体が貼り合わされる。
(発明6):発明6に係るアクチュエータ構造体は、発明5において、前記電極対間に電圧が印加されていない状態で前記圧電体層は、前記構造体側がプラス、前記振動板側がマイナスとなる向きに分極していることを特徴とする。
かかる態様によれば、前記電極対に電圧を印加して前記圧電体層の振動板側から構造体側に向かう方向の電界を発生させることにより、可動部を構造体に近づける方向に変位させる駆動を行うことができる。
(発明7):発明7に係るアクチュエータ構造体は、発明6において、前記電極対に駆動電圧が印加されることにより前記可動部が前記構造体の前記凹部内に入り込む方向に変位するものであり、前記圧電体層の分極(Pr)−電界(E)ヒステリシス特性における正電界側の抗電界と負電界側の抗電界のうち、前記駆動電圧の印加による駆動時の電界方向の抗電界をEc_a、前記駆動電圧と逆方向の電圧を印加した時の電界方向の抗電界をEc_bとするとき、|Ec_b|>|Ec_a|であることを特徴とする。
このように、分極(Pr)−電界(E)ヒステリシス特性が電界に対して偏っている圧電体層を採用する態様によれば、電極対に駆動電圧とは逆方向の電圧が印加されることにより、可動部が構造体の凹部から遠ざかる(離れる)方向に変位し、可動部の構造体に対する貼り付き(スティッキング)を防止できる。なお、可動部がベース基板側に変位している状態から上記逆向きの電圧印加によって圧電駆動を行うと、振動板が元の位置(基準の位置)に戻ろうとする力(バネ力)に加えて、圧電駆動による引き剥がし方向の駆動力が付与されるため、大きな引き剥がし力を得ることができる。
好ましくは|Ec_b|>2|Ec_a|、より好ましくは|Ec_b|>5|Ec_a|である。|Ec_b|と|Ec_a|の差が大きいほど(偏りが大きいほど)、引き剥がし方向の駆動時(貼り付き防止の駆動時)に印加できる電圧が大きくなる点で好ましい。
(発明8):発明8に係るアクチュエータ構造体は、発明5乃至7のいずれか1項において、前記可動部は片持ち梁構造で支持されていることを特徴とする。
片持ち梁構造は、両持ち構造、ダイアフラム構造と比較して、特に、反りが発生しやすいため、本発明の適用が有益である。
(発明9):発明9に係るアクチュエータの製造方法は、基板の第1面上に第1電極層、圧電体層及び第2電極層を形成する膜形成工程と、前記基板の前記圧電体層が形成されている前記第1面側と反対側の面から当該第1基板の一部を除去し、その残部により厚さ5μm以上20μm以下の振動板を形成する薄層化工程と、前記振動板の前記圧電体層が形成されている前記第1面と反対側の第2面に、前記圧電体層が前記振動板から受けている応力と同じ方向の応力を前記振動板から受ける応力調整層を形成する応力調整層形成工程と、を含むことを特徴とする。
発明9の製造方法によれば、薄膜の積層構造からなるアクチュエータの可動部の反りを防止でき、歩留まりの向上を達成できる。また、信頼性が高く、耐久性に優れたアクチュエータが得られる。発明9の製造方法により、発明1〜4のアクチュエータ、発明5〜8のアクチュエータ構造体を得ることができる。
(発明10):発明10に係るアクチュエータの製造方法は、発明9において、前記圧電体層は成膜温度300℃以上700℃以下の条件で成膜され、厚みが0.5μm以上10μm以下の膜厚であることを特徴とする。
かかる態様によれば、振動板と圧電体層の熱膨張係数差に起因して相応の応力が生じるため、本発明の応力調整層による応力の調整作用により、反りの防止効果が顕著に現れる。
(発明11):発明11に係るアクチュエータの製造方法は、発明9又は10において、前記基板の前記圧電体層が形成されている前記第1面側に、第2基板を有する構造体を貼り合わせる構造体接合工程を有し、前記構造体接合工程後に前記応力調整層が形成されることを特徴とする。
電極対に挟まれた圧電体層が振動板の第1面側に形成され、その反対側の第2面に応力調整層が形成されてなるアクチュエータ(薄膜の積層体)に、当該アクチュエータを支持する他の構造体を貼り合わせることにより、アクチュエータ構造体を得ることができる。
(発明12):発明12に係るアクチュエータの製造方法は、発明11において、前記基板に前記構造体を貼り合わせた状態で前記薄層化工程を行い、その後、前記応力調整層が形成されることを特徴とする。
かかる態様によれば、薄層化工程や応力調整層の形成工程の際における基板のハンドリングが容易である。
(発明13):発明13に係るアクチュエータの製造方法は、発明9乃至12のいずれか1項において、前記応力調整層が形成された後に、前記圧電体層及び前記振動板の一部を除去して片持ち梁構造のアクチュエータ可動部となる形状の周囲を分離する可動部形状分離工程を含むことを特徴とする。
かかる態様によれば、応力調整層を付加して反りを矯正した状態で片持ち梁(カンチレバー)構造の可動部の形状を切り離すため、切り離し後もカンチレバー部の反りが防止される。
本発明によれば、振動板及び圧電体層を含むアクチュエータ可動部の反りを防止でき、歩留まりの向上を達成できる。これにより、信頼性が高く、耐久性のあるアクチュエータ及びアクチュエータ構造体を提供できる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータを適用したrf−MEMSスイッチの作製プロセスを示す工程図 比較例のrf−MEMSスイッチの作製プロセスを示す工程図 本発明の実施形態に用いた圧電体膜(膜厚4μm)のPr−Eヒステリシス特性を示す図 従来の圧電体(PZT系)のPr−Eヒステリシス特性を示す図 従来の圧電体(PZT系)の電歪と印加電界の関係を示す図 図3の特性を有する圧電体膜を備えた圧電アクチュエータを駆動した場合の駆動電圧と変位の関係(電界―変位ヒステリシス特性)を示す図 図6の圧電特性を調べた圧電アクチュエータの構成図 図1の作製プロセスで製造したrf−MEMSスイッチを上から見た平面図
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここでは、高周波回路に用いられるカンチレバー構造のrf−MEMS(Micro Electro Mechanical System)スイッチを例に説明するが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。
<rf−MEMSスイッチの作製プロセスの実施例>
図1は本発明の実施形態に係るアクチュエータを適用したrf−MEMSスイッチの作製プロセスを示す工程図である。
(工程1)基板としてSOI(silicon on insulator)ウエハ10を用い、このSOIウエハ10(活性層5μm)上に高周波(rf)の信号線用の電極12をパターニングした(図1(a))。なお、SOIウエハに代えて、通常のシリコン(Si)ウエハを用いることも可能である。
(工程2)次に、上記SOIウエハ10上にフォトレジスト(例えば、商品名:SU−8)14を5μm厚で形成し、その上にAu−Sn15を形成し、これをパターニングして柱16を形成した(図1(b))。この工程2で得られたウエハ(構造体)を「下部ウエハ」18とした。
(工程3)その一方で、上記工程1,2とは別に、図1(c)に示したように、基板としてSOIウエハ20を用意する。SOIウエハ20は、シリコン層21の上に熱酸化膜(SiO)22を介して活性層(Si層)23が積層された構造を有する。本例の場合、活性層23の厚みは5μmである。すなわち、活性層23の厚み5μmの熱酸化膜22付きのSOIウエハ20を基板として用意した。
(工程4)このSOIウエハ20の活性層23上に圧電体(PZT)の下側電極26としてTiW(膜厚50nm)及びIr(膜厚150nm)を積層構造で形成した(図1(d))。
(工程5)次に、下側電極26上に、圧電体(PZT)膜30を500℃にてスパッタ法により4μm厚で形成した(図1(e))。この圧電体膜30の圧電性能について、詳細は後述する。この圧電体膜30の分極状態は、図1(e)における上側(TiW/Au電極側)がプラス、下側(TiW/Ir電極側)がマイナスに分極したものとなっている。分極電荷のプラスからマイナスに向かう方向を「分極向き」と定義すると、ここでの分極向きは「下向き」である。
なお、圧電体膜30の成膜温度は300〜700℃の範囲が好ましく、圧電体膜30の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましい。このような条件により、応力値50〜500MPaを満たす圧電体膜30を得ることができる。
(工程6)次に、圧電体膜30の上に電極32としてTiW(膜厚50nm)及びAu(膜厚150nm)を積層形成し、パターニングによって、その一部はPZT駆動用の電極33とし、一部はrf信号線用の電極34とした(図1(f))。この工程6で得られたウエハ構造体を「上部ウエハ」38とした。なお、上部ウエハ38の作成手順(工程3〜6)と、下部ウエハ18の作成手順(工程1〜2)は、独立して実施することができるため、上部ウエハ38、下部ウエハ18の作製順序は問わない。
(工程7)次に、図1(g)に示すように、下部ウエハ18と上部ウエハ38を重ねて両者を貼り合わせ、一つの(一枚の)ウエハ40を形成した(「構造体接合工程」に相当)。
このとき、上部ウエハ38は図1(f)の状態から上下を反転させ、電極32(33,34)を下に(下部ウエハ18側に)向けて、下部ウエハ18上に接合した。つまり、図1(g)の接合状態では、圧電体膜30の下面に配置される符号33の電極が下部電極となり、圧電体膜30の上面に配置される符号26の電極が上部電極となる。このとき圧電体膜30の分極向きは「上向き」となる。
(工程8)次に、上部ウエハ38のSi層21(犠牲層に相当する)をウエットエッチングにて取り除き、熱酸化膜22と活性層23のみを残した(図1(h))。この残った熱酸化膜22と活性層23とによって振動板24が構成される(「薄層化工程」に相当)。なお、熱酸化膜22も除去して活性層23のみを残し、これを振動板として利用する形態も可能である。
(工程9)次に、下部ウエハ18の上部に配置された振動板24の上に応力調整層25としてTiOを200℃にてスパッタ法により500nm厚で形成した(図1(i)、「応力調整層形成工程」に相当))。ここでは、TiOを例示したが、応力調整層の材料は特に限定されない。応力調整層に好適な条件は、Siの熱膨張係数2.6ppm/℃よりも熱膨張係数が大きく、室温よりも高い温度で形成すればよい。
TiOの熱膨張係数は9.2ppm/℃であるため、成膜後、室温に戻すと、当該TiO膜に引っ張り応力が生じる。
圧電体膜30に生じる引っ張り応力と、応力調整層(TiO膜)に生じる引っ張り応力とがバランスして釣り合うように、応力調整層25の材料、膜厚、成膜条件が選択される。
応力調整層25の熱膨張係数は、振動板24を構成するシリコン(Si)の熱膨張係数(2.6ppm/℃)よりも大きい方が好ましい。膜の応力の発生原因として、内部応力と熱膨張係数による応力があるが、デバイス化プロセス中の熱履歴などによって内部応力の値は小さくなる。そのため、熱膨張係数差による応力が支配的であると考えられる。
応力調整層25が発生させる応力は、振動板材料との熱膨張係数差と成膜温度、さらには膜の厚みによって決まる。振動板材料との熱膨張係数差が大きいほど応力が大きくなり、成膜温度が高いほど、室温に戻したときに応力が大きくなる。また、膜厚が厚いほど応力が大きくなる。すなわち、振動板との熱膨張係数差が大きい方が、より低い基板温度(成膜温度)で、より薄い膜厚の応力調整層25で応力調整可能となるため、応力調整層25の熱膨張係数は5ppm/℃以上が好ましい。より好ましくは7ppm/℃以上、さらに好ましくは10ppm/℃以上である。これらのパラメータを調整しながら、振動板両面の応力がバランスされるように成膜が行われる。
(工程10)次に、ドライエッチングにて、応力調整層25、圧電体膜30及び振動板24の一部を取り除き(除去により貫通させ)、片持ち梁(カンチレバー)構造の可動部となる形状の周囲を分離した(図1(j)、「可動部形状分離工程」に相当)。このとき、カンチレバー部の反りはほとんど無く、フラットであった。振動板24の片側(図1(i)において下側)面に設けられている圧電体膜30の応力と、その反対側の面(図1(i)において振動板24の上側の面)に設けられている応力調整層25の応力が釣り合い、カンチレバー部の反りが防止される。
レジスト14で構成された柱16は、圧電体膜30と振動板24からなる可動部を片持ち支持する支持台として機能するとともに、電極(12,34)間のギャップGを確保する空隙(空洞)44を形成する壁部材(スペーサ部材)として機能する。なお、スイッチ接点用の電極(12,34)の距離(ギャップG)は、20μm以下、好ましくは、10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
こうして、符号12で示した固定電極に対し、符号34で示した可動電極が空隙(ギャップ)44を介して対向するrf−MEMSスイッチ50を作製した。
(工程11)最後に、工程10で活性層23上に付与したレジスト(不図示)をリムーバーにて取り除き、水洗した。なお、洗浄等の工程は、この工程10に限らず、他の工程でも必要に応じて実施されるが、説明を省略している。
上記の手順で作製されたrf−MEMSスイッチ50は、圧電駆動により可動電極34が固定電極12に対して接離し、スイッチングのオンオフ動作が行われる。
図1(b)の符号18で示した下部ウエハが「構造体」に相当し、ウエハ10上の柱16の部分(凸部)よりも窪んだ凹部17がカンチレバー部の変位空間(空隙44)を形成する「凹部」に相当する。
なお、本発明の実施に際して、スイッチの作製工程(製造方法)やスイッチの構造は上記実施形態に限定されない。
<比較例>
比較のために、工程9を省略し、応力調整層25の無いスイッチを作製した。図2にその作製プロセスを示す。図2において、図1に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図2に示したとおり、応力調整層を形成しない構成の場合、圧電体膜30の応力によって、カンチレバー部が下に反ってしまう(図2(j)参照)。このため、図2(j)に示したスイッチ50’は、図1(j)の本発明の実施形態に係るrf−MEMSスイッチ50と比較して、信頼性に劣るものであった。
<応力と熱膨張係数、成膜温度の関係について>
一般的に反りがないと仮定したときに、基板の熱膨張率を αs [1/℃]、当該基板上に形成される膜の熱膨張率を αf [1/℃] 、成膜温度を Tg[℃]、室温を Ta [℃] とすると、成膜後に室温に戻したときに膜が受ける熱応力 σ [N/m] は、
σ = E×(αs −αf)×(Tg −Ta)
で表される。ただし、Eは膜のヤング率 [Pa = N/m]である。σの符号は、膜が圧縮応力を受けるときを正とする。膜のヤング率(縦弾性係数)が大きいほど(硬い膜ほど)応力が大きくなる。すなわち、圧電体膜30側の応力が大きい場合は、それに合わせて応力調整層25の応力も大きくしなければデバイスの反りを抑えることができない。
本発明の実施に際しては、圧電体層(圧電体膜30)の応力値と応力調整層25の応力値を同程度とし、好ましくは圧電体層の応力値に対して応力調整層25の応力値が0.1〜10倍、さらに好ましくは0.3倍から5倍、より好ましくは0.6倍から2倍程度である。
なお、このモデルでは膜厚のパラメータは入っていないが、実際には膜の厚みの影響も受け、膜厚が厚い方が大きな力を発生できる。
本発明の実施に際して、応力調整層25の厚みは、成膜時間の問題や、振動板24の厚みの変化を考えると、できるだけ薄いほうがよいため、膜厚が薄くても大きな応力を発生できるものが好ましい。そのため応力調整層25に用いる材料は、ヤング率が大きく、できるだけ高い温度で成膜できる方が好ましく、有機材料よりも無機材料の方がヤング率が大きく、高温で成膜できるためにより好ましい。
無機材料の候補としては、金属材料、金属酸化物、金属窒化物、あるいはそれらの複合材料が好ましい。なお、ここでは金属材料と述べたものに、C,Si,Sb,Biなどの金属と非金属の中間的なものも含めている。
<圧電体の材料>
ここで、本発明の実施形態に用いる圧電材料について説明する。本例で用いる圧電体は、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3、俗称「PZT」と呼ばれるもの)をベースとしている。PZTでは、Zr、Tiはいずれも4価のイオンであり、PbTiO3からPbZrO3まで、Ti:Zrは全ての濃度比率を取り得る。このうち、PbTiO3の結晶系である正方晶、PbZrO3の結晶系である菱面体のちょうど間の組成であるZr:Tiが52:48、または53:47である組成が特に圧電特性が良好であり、この特性がアクチュエータ用圧電体として使われている。この組成はMPB組成と呼ばれる。
ドーパントを何も添加しない真性PZTに対し、Nb5+などの4価よりも価数の大きいイオンを微量添加して圧電特性を向上させたものを変性PZTと言う。本実施例で用いるPZTでは、10%程度以上のNb添加が可能であり、高特性なPZT(変性PZT)が得られる。例えば、d31=200〜300pm/Vという高い圧電性が得られる。
図3は、本実施形態に用いた圧電体膜(膜厚4μm)のPr−Eヒステリシス特性を示したものである。ここでは、Nbをドープした変性PZT膜を用いた。なお、図3の横軸は「駆動電圧(単位:ボルト[V])となっているが、電圧を膜厚で除算すると電界になる。抗電界はPr−Eヒステリシス特性のグラフにて、残留分極がゼロとなる点であり、本例における圧電体膜の抗電界は正電界側(Ec+)が約35kV/cm、負電界側(Ec)が約7.5kV/cmである。図3中のVc+は正電界側の抗電界(Ec+)に対応した電圧(抗電界Ec+と膜厚の積)、Vc−は負電界側の抗電界(Ec−)に対応した電圧(抗電界Ec−と膜厚の積)である。
比較のために、図4及び図5に従来の一般的な圧電体の特性を示す。この図4及び図5は、特開2008−91167号公報の図4、図5から引用した。図4は強誘電体膜に印加した電界Eと分極Prの関係を示した図であり、Pr−Eヒステリシス曲線と呼ばれるものである。図5は、強誘電体に生じる電歪εと印加電界Eの関係を示した図である。
図4に示すように、従来の一般的な圧電体のPr−Eヒステリシスは、分極値を示すy軸に対して略対称であり、負電界側の抗電界Ec1の絶対値と正電界側の抗電界Ec2とは略一致する(|Ec1|≒Ec2)。
これに対し、本実施形態で用いるPZTN膜は、スパッタリング法等の気相成長により成膜されたものであり、当該膜のPr−Eヒステリシスは図3のように、正電界側に偏った、すなわちy軸に対して非対称なものである。負電界側の抗電界Ec−(「Ec_a」に相当)の絶対値と正電界側の抗電界Ec+(「Ec_b」に相当)の絶対値が異なり、|Ec+|>|Ec−|の関係がある。このように正電界側に偏った非対称Pr−Eヒステリシスを有する圧電体膜では、正電界を印加した場合は抗電界Ec+が大きいため分極されにくく、負電界を印加した場合は抗電界Ec−の絶対値が小さいため分極されやすい。
つまり、抗電界値の絶対値が小さい側の極性の電界印加(この場合、マイナス駆動)により駆動させることにより、大きな圧電性能を得ることができる。
なお、本実施形態では、正電界側に偏ったPr−Eヒステリシスを有する圧電体を例に説明するが、負電界側に偏ったPr−Eヒステリシスを有する圧電体においてもその符号が異なるだけで同様の作用効果を得ることができる。
図6は、図3のPr−Eヒステリシス特性を有する圧電体膜を備えた圧電アクチュエータを駆動した場合の駆動電圧と変位の関係を示す図である。図6では、後述する作製例において作製した圧電アクチュエータ(図7参照)を駆動して得られた「電界―変位ヒステリシス特性」を示してある。ここでは、下部電極(図7におけるTi/Irの電極層)を基準電位(グランド)として、駆動電圧の正負符号を定義した。なお、非駆動時における当該圧電アクチュエータにおける圧電体膜の分極状態は、上部電極側が+、下部電極側が−である(分極ベクトルが上向き)。また、変位量については、振動板(図7における5μm厚のSi層と0.3μm厚のSiO層)が下に凸の方向に変位する量を「+方向」の変位、上に凸の方向に変位する量を「−方向」の変位と定義した。
駆動電圧としてマイナスの電圧を印加する場合に注目すると、0Vからマイナス電圧の絶対値を大きくしていく(図6の左側の負電界側)と、印加電圧の絶対値の増加に応じて、略リニアな関係(比例関係)で変位量が増加していく。ここでは、振動板が下に凸の方向に変位する量を「+方向」の変位量とした。また、逆に、印加するマイナス電圧の絶対値を次第に小さくしていくと、印加電圧の絶対値の減少に応じて、上記同様の比例関係で変位量が減少していく。図示のとおり、負電界側において殆ど履歴がなく、かつ、リニアリティの高いものとなっている(図6中の符号Aで示す領域)。なお、図6において、履歴によるリニアリティの誤差は1%以下である。
さらに、マイナス電圧から0Vを超えてプラス電圧に転じても、しばらくはリニアな領域がある(図6中の符号Bで示す領域)。すなわち、正電界側において、駆動電圧が0〜約10Vの範囲は、印加電圧(電界)の強さに略比例して、逆方向の変位量が得られる。このように、プラス電圧を印加したとき、逆方向(上に凸の方向)に変位するリニア領域がある。
先に述べた負電界側のリニア領域(図6中の符号A)と、この正電界側のリニア領域(図6中の符号B)が連続しており、負電圧側と正電圧側とにまたがる連続した範囲で略比例の関係となるリニア領域(領域A+Bの区間)が形成される。このように負電界側のリニア領域(符号A)から連続する正電界側のリニア領域(符号Bの領域)が存在することにより、本例の圧電アクチュエータは、逆符号の電圧の印加によって逆方向(+方向)に変位させる駆動が可能となっている。
<図7の圧電アクチュエータの作製例>
ここで、図3、図6の圧電特性を調べた圧電アクチュエータ(図7)の作製方法を説明する。まず、ダイアフラム構造が形成されているSOI(Silicon On Insulator)基板上に、スパッタ法にて、Ti密着層を介して150nm厚のIr下部電極が順次積層された電極付き基板を用意した。次いでターゲットとしてPb1.3Zr0.43Ti0.44Nb0.13焼結体のターゲットを用いて、真空度0.5Pa、Ar/O混合雰囲気(O体積分率1.0%)、成膜温度525℃、投入電力500W、基板ターゲット間距離60mmの条件下で、NbドープPZT膜(PZTN膜)4ミクロンの厚みで成膜を実施した。
このとき、基板を浮遊状態にして、ターゲットと基板との間ではない基板から離れたところにアースを配して成膜した。得られた膜の組成をXRFにより分析したところ、Pb1.03Zr0.43Ti0.44Nb0.13であった。
次いで、上記Nb−PZT膜上にPt上部電極を、Ti密着層を介してスパッタリング法にて形成し、リフトオフによりパターニングして圧電アクチュエータを作製した(図7参照、各層の厚みは図中に記載した。)。
得られた圧電アクチュエータのバイポーラ分極―電界特性(Pr−Eヒステリシス特性)を測定した結果が図3である。図示されるように、得られたPr−Eヒステリシス特性は、正電界側に偏った、分極を示すy軸に対して非対称なものであり、その偏り率は76%であった。なお、このときの抗電界は、プラス方向は41.6kV/cm 、マイナス方向で5.8kV/cm であった。
次いで、得られた圧電アクチュエータのバイポーラ電界―変位特性を測定したところ、図6に示されるヒステリシスが得られた。図6に示されるように、上記Nb−PZT膜は、負電界側に高いリニアリティを有することが確認され、更に、正側の抗電界よりも低い電圧においても高いリニアリティを有することも確認された。
<rf−MEMSスイッチの動作について>
図8は、図1で説明したプロセスで作製した本発明の実施形態に係るrf−MEMSスイッチ50を上から見た平面図である。図8中の破線で示した符号52の部分が圧電駆動によって変位するカンチレバー部分(「可動部」に相当)である。このカンチレバー52の下に電極(図8中図示を省略、図1で説明した符号34、以下「可動電極」という。)が設けられている。
また、当該カンチレバー52に対向する下部ウエハ18上には、信号用の電極12A、12Bが所定の絶縁ギャップ55を介して配置されている。この電極12A、12Bは高周波(RF)の信号を流す信号ライン(以下「rf信号ライン」という。)であり、カンチレバー52を駆動させることで、信号線(電極12A,12B)同士の連結(オン)/分離(オフ)の切替が可能である。
すなわち、カンチレバー52が上に上がっているときは、可動電極34は電極12A,12Bから離れており、電極12A,12B間が開放(接点間が開放)され、「オフ」(非導通)の状態となる。その一方、カンチレバー52が下に下がり、可動電極34が電極12A、12Bに接触すると、電極間が繋がって「オン」(導通)状態になる。
このrf−MEMSスイッチ50について、表1に示す印加電圧の組合せで駆動した。なお、ここでは圧電体(PZT)を駆動する電極として、図1(j)における振動板24側のIr電極(符号26)を「上部電極」と呼び、rf信号ライン(12A,12B)に面する側のAu電極(符号33)を「下部電極」と呼ぶ。図1(j)に示したスイッチ構造の場合、圧電体膜30がd31方向に縮んだときにスイッチはONになり、圧電体膜30がd31方向に伸びたときにスイッチが電極12から離れる方向に動く。
Figure 0005506035
表1に示したとおり、下部電極を接地し、上部電極にプラスの電圧を印加すると、カンチレバー52は下に変位し、スイッチオン(ON)となる。また、この下部電極を接地した状態で、上部電極にマイナスの電圧を印加すると、カンチレバー52は上方向に変位する。なお、このとき上部電極に印加するマイナス電圧の値は、圧電体膜内の電界が抗電界(Ec+)の値以下となる値とし、好ましくは、抗電界(Ec+)の80%以内の電界となる電圧値とする。このマイナス電圧の印加による駆動動作は、カンチレバー52をrf信号ライン(電極12A,12B)から引き離す方向の動きであり、スティッキング防止の作用をもたらす。表1において「スティッキング防止」と記載している駆動形態は、カンチレバー(片持ち梁)が上方向に移動するのをレーザードップラー変位計にて確認した。また、それぞれの動作が良好であることを確認した。
駆動電圧を印加する形態は、上記に限らない。上記と同様の印加電界を実現できる電位の組合せにより、同様の駆動が可能である。例えば、次のような形態でもよい。すなわち、上部電極を接地し、下部電極にマイナスの電圧を印加すると、カンチレバー52は下に変位し、スイッチオン(ON)となる。また、この上部電極を接地した状態で、下部電極にプラスの電圧を印加すると、カンチレバー52は上方向に変位する。このとき下部電極に印加するプラス電圧の値は、圧電体膜内の電界が抗電界(Ec+)の値以下となる値とし、好ましくは、抗電界(Ec+)の80%以内の電界となる電圧値とする。このプラス電圧の印加による動作はカンチレバー52をrf信号ラインから引き離す方向の動きであり、スティッキング防止の作用をもたらす。
その他、下部電極にマイナス電圧、上部電極にプラス電圧を印加することにより、カンチレバー52は下に変位し、スイッチオン(ON)となる。逆に、下部電極にプラス電圧、上部電極にマイナス電圧を印加すると、カンチレバー52は上方向に変位し、スティッキングを防止できる。なお、このときの電極間の電位差は、圧電体膜内の電界が抗電界(Ec+)の値以下となる値とし、好ましくは、抗電界(Ec+)の80%以内の電界となる電位差とする。
以上説明したとおり、圧電体膜の駆動の方法は、表1に示した様々な組合せが可能である。適当な駆動回路を選択することにより、どのような組合せでも可能である。
図1の作製プロセスで製造した複数のrf−MEMSスイッチにおいて、これら複数のデバイスのうち一部のものは初期状態からrf信号ラインがオンになっており、PZTの部分の片持ち梁(カンチレバー)が下部ウエハに貼り付いているものが存在した。
ウエットエッチング工程や洗浄工程によってデバイス内に残存する液はスティッキングの原因となりやすい。一部のデバイスについてスティッキング(貼り付き)が発生した要因の一つとして、このようなデバイス内の残存液が考えられる。
その貼り付いたデバイスに関して、表1の「スティッキング防止」の効果がある電圧の組合せで圧電体を駆動したところ、貼り付き(スティッキング)が解消された。なお、本例の圧電膜の場合、約7V(抗電界の70%)の電圧を印加した。こうして、貼り付きを解除した後は、良好にデバイスを駆動することができた。
本デバイスのスティッキング防止用の駆動は、デバイス検査時に行うことで、以後はスティッキングを起こすことはなかった。このように、出荷前の検査でスティッキングを解除し、正常な(出荷可能な)素子にすることできる。これにより、応力調整層25の反り防止効果と相まって、さらなる歩留まりの向上を達成できる。
なお、デバイス検査の工程を経て、貼り付きのないデバイスが得られた場合も、その後の実際のデバイス駆動中に、何らかの理由でrf信号線が常時ONとなり、貼り付いてしまうことも想定される。その際には、当該貼り付いたデバイスに対して、上記のスティッキング防止効果のある電圧(この例では約7Vの電圧)を印加することで、貼り付きを剥がすことが可能である。
上述した実施形態では、圧電体のd31方向の歪みを利用して振動板を撓ませるユニモルフ型のアクチュエータとなっているが、圧電体の圧電定数d31(pm/V)は高い方が好ましい。好ましくは100pm/V以上、さらに好ましくは200pm/V以上である。100pm/V以下であれば本発明のスティッキング防止のための力の発生が十分でない可能性があるためである。
<貼り付き(スティッキング)防止動作時の印加電圧と抗電界の関係について>
デバイスの貼り付き(スティッキング)を解消するための駆動時に印加する電圧の抗電界に対する割合とスティッキング防止効果の関係を調べた。評価実験では、図1で説明した特性を持つ圧電体膜を用い、ヒステリシスのプラス方向側に駆動するように電圧を印加して、カンチレバーがスイッチ電極から離れる方向に駆動して、スティッキング防止効果を調べた。表2にその結果を示す。
Figure 0005506035
抗電界よりも大きな印加電界となる電圧をかけたもの(抗電界に対する割合が150%、ここでは52.5kV/cmの電界に相当する電圧)は、スティッキング防止効果がなく、評価を「×」とした。
抗電界と同じ電界(抗電界に対する割合が100%)ではスティッキング効果が確認されたものの、当該駆動を繰り返し、カンチレバーが電極と離れる方向に駆動を進めると徐々に変位量が落ちていったため、スティッキング防止効果はあるものの、信頼性が若干劣るとして「△」とした。
抗電界に対する割合が80%(本実施例では約28kV/cm)ではスティッキング防止効果は現れ、繰り返しの状況も良好であり、「○」の評価とした。抗電界の10%(約3.5kV/cm)で駆動したものは、サンプルによってはスティッキングできるものとできないものがあり、十分効果がないとして「△」とした。0%ではカンチレバーが全く動かず、スティッキング防止とならなかったため「×」であった。
以上の結果から、スティッキング防止のための駆動時には、抗電界の10%〜100%の範囲で駆動することが好ましく、さらに好ましくは抗電界の30%〜80%の範囲で駆動することが好ましい。
<Pr−Eヒステリシス特性の「偏り」について>
図3で説明したPr−Eヒステリシス特性の電界に対する「偏り」は、例えば、正電界側の抗電界と負電界側の抗電界の絶対値の違いに注目して定義できる。偏りが大きい程、正電界側に偏ったPr−Eヒステリシス特性の場合、負電界側の抗電界Ec1と正電界側の抗電界Ec2から次式で「偏り率」を定めることができる。
(Ec2+Ec1)/(Ec2―Ec1)×100 (%)
なお、負電界側に偏ったPr−Eヒステリシス特性を有している圧電体においては、上式で得られる値の絶対値となる。
本発明によるアクチュエータ素子の駆動方法は、20%以上の偏り率を有するPr−Eヒステリシスを有する圧電体を備えたアクチュエータについて特に好ましく適用することができ、その偏り率が大きいほど効果的である。図3に示されるPr−Eヒステリシスの偏り率は76%である。
<圧電体膜の組成について>
本発明の実施に用いることができる圧電体膜として、下記一般式(P)で表される1種又は複数種のペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜(不可避不純物を含んでいてもよい。)が挙げられる。かかる圧電体膜は、プラズマを用いるスパッタリング法により基板上に成膜することができる。この圧電体膜(一般式(P))は、絶対値の小さい抗電界の極性が負であり、正電界側にPr−Eヒステリシスが偏った圧電特性を有している。
一般式A・・・(P)
式中、AはPbを主成分とするAサイト元素、BはBサイトの元素であり、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Sc,Co,Cu,In,Sn,Ga,Zn,Cd,Fe,及びNiからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Oは酸素であるa≧1.0かつb=1.0である場合が標準であるが、これらの数値はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で1.0からずれてもよい。
上記一般式(P)で表されるペロブスカイト型酸化物としては、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ジルコニウム酸鉛、ニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛等が挙げられる。圧電体膜は、これら上記一般式(P)で表されるペロブスカイト型酸化物の混晶系であってもよい。
また、本発明の実施に際しては、特に、下記一般式(P−1)で表される1種又は複数種のペロブスカイト型酸化物からなる(不可避不純物を含んでいてもよい。)圧電体膜がより好ましい。
Pb(Zrb1Tib2b3)O・・・(P−1)
式(P−1)中、XはV族及びVI族の元素群より選ばれた少なくとも1種の金属元素である。a>0、b1>0、b2>0、b3≧0。a≧1.0であり、かつb1+b2+b3=1.0である場合が標準であるが、これらの数値はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で1.0からずれてもよい。
上記一般式(P−1)で表されるペロブスカイト型酸化物は、b3=0のときチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であり、b3>0のとき、PZTのBサイトの一部をV族及びVI族の元素群より選ばれた少なくとも1種の金属元素であるXで置換した酸化物である。
Xは、VA族、VB族、VIA族、及びVIB族のいずれの金属元素でもよく、V,Nb,Ta,Cr,Mo,及びWからなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(P−1)で表される、ドーパントを含むPZT系酸化物からなる圧電体膜は、Pr−Eヒステリシス特性の正電界側への偏り率が大きいものとなるため、上記本発明の圧電アクチュエータの駆動方法を用いることにより得られる効果を良好に得ることができる。
また、上記一般式(P)及び(P−1)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜30の偏り率は、Pbが多いほど大きくなる。一般式(P)及び(P−1)で表されるペロブスカイト型酸化物において、Pbの組成aが1.02<a≦1.3の範囲内である場合に、偏り率を20%以上となることから、上記本発明の圧電アクチュエータの駆動方法を用いることにより得られる効果を良好に得ることができる。
従って、一般式(P−1)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜30において、Pb組成の大きいものほど、上記本発明の圧電アクチュエータの駆動方法を用いることにより得られる効果が大きいものとなる。
既述のとおり、上記一般式(P)及び(P−1)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜は、高い圧電歪定数(d31定数)を有するため、かかる圧電体膜を備えた圧電アクチュエータ(アクチュエータ素子)は、変位特性の優れたものとなる。
また、一般式(P)及び(P−1)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜を備えた圧電アクチュエータは、図2で説明したように、駆動電圧範囲において、リニアリティの優れた電圧―変位特性を有している。
なお、上記説明では、PZTについて説明したが、圧電体の性質としてヒステリシスが偏っている材料であれば、同様の作用効果が得られる。本発明の実施に際しては、上記説明した組成の物以外の材料組成や、非鉛圧電体なども用いることができる。
<本実施形態に係るアクチュエータ構造体の他の利点について>
本実施形態による圧電体のデバイス構造の場合、圧電駆動の際に構造体(図1において下部ウエハ18)側の電極(33)を接地電位とし、振動板24側の電極(26)をドライブ用の電圧にすることが好ましい。その理由は、仮に、構造体側をドライブ用の電圧にすると、構造体(18)を通して、当該構造体の基板(符号10)側に電位が発生する可能性があるためである。
この点、気相成長で作製した圧電体は、分極方向が図3のように偏りやすい。このような、材料を用いて構造体側に圧電体を貼り付けることにより(図1(g)〜(j)参照)、構造体側を接地電位、振動板側をプラス電位として使うことが可能である。
なお、仮に、振動板側を構造体に貼り付けた構成の場合(つまり、構造体の上に振動板、電極、圧電体、電極がこの順で積層された構成の場合)、振動板側を接地電位としたときには、圧電体上の電極にマイナス電位を印加する必要がある。この場合、マイナス電圧発生用のドライバ(駆動回路)を用意する必要があり汎用的でない。
また、図1で説明した実施形態のように、振動板24に圧電体膜30が積層された積層体の圧電体側を構造体(下部ウエハ18)に貼り付ける構成により、振動板24の裏面側(圧電体膜30を設けた面の反対側、つまり、スイッチ50の表面側)は、SiあるいはSiO材料のみの構造とすることができる。したがって、この上に新たなデバイス形成やトランジスタなどの半導体素子、回路を形成することが可能である。
これに対し、振動板側を構造体に貼り付けた場合、スイッチ表面には圧電体材料となるため、新たなデバイス等をこの上に作ることが困難である。
<変形例>
本発明の実施に際しては、上述した実施例における圧電体の材料、電極の材料、成膜条件、膜厚寸法、駆動電圧等の条件に限定されず、様々な条件で実施することが可能である。
また、上述の実施形態では、ベース基板上に複数の固定電極(12A,12B)を配置し、可動電極34がこれら複数の固定電極に接触することによって複数の固定電極間を導通させるスイッチ構造を例示したが、本発明の実施に際しては、1つの固定電極に対して、可動電極を接触/離間させるスイッチ構造を採用してもよい。
さらに、上述の実施形態では、片持ち梁(カンチレバー)構造を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限らず、両持ち構造、ダイアフラム構造にも適用できる。
また、図1(j)では、振動板24の下側面に圧電体膜30、上側面に応力調整層25が形成されているが、上下の位置関係は入れ替えも可能である。
<他の応用例>
上述した圧電特性を持つ圧電体膜を利用したアクチュエータ素子は、従来のアクチュエータと比較して、より大きな変位量が得られるので、スイッチ素子に限らず、光変調素子その他の様々な用途に広く利用可能であり、各種の圧電薄膜素子、MEMSデバイスに適用できる。
10…SOIウエハ、12,12A,12B…電極(固定電極)、17…凹部、18…下部ウエハ(構造体)、20…SOIウエハ、24…振動板、25…応力調整層、26…電極(上部電極)、30…圧電体膜、33…電極(下部電極)、34…電極(可動電極)、38…上部ウエハ、50…rf−MEMSスイッチ、52…カンチレバー

Claims (10)

  1. 第1基板の第1面上に第1電極層、圧電体層及び第2電極層を形成する膜形成工程と、
    前記第1基板の前記圧電体層が形成されている前記第1面側に、第2基板を有する構造体を貼り合わせる構造体接合工程と、
    前記第1基板に前記構造体を貼り合わせた状態で、前記第1基板の前記圧電体層が形成されている前記第1面側と反対側の面から当該第1基板の一部を除去し、前記第1基板の材料のシリコン(Si)を残した残部により厚さ0.5μm以上20μm以下の振動板を形成する薄層化工程と、
    前記薄層化工程の後に、前記振動板の前記圧電体層が形成されている前記第1面と反対側の第2面に、前記圧電体層が前記振動板から受けている応力と同じ方向の応力を前記振動板から受ける応力調整層を形成する応力調整層形成工程と、
    を含むことを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記圧電体層が前記振動板から受けている前記応力は引っ張り応力であり、応力値が50MPa以上500MPa以下であることを特徴とするアクチュエータの製造方法
  3. 請求項1又は2において、
    前記応力調整層の熱膨張係数は、前記振動板の熱膨張係数よりも大きく、かつ5ppm/℃以上であることを特徴とするアクチュエータの製造方法
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、
    前記残部により構成される前記振動板は、シリコン(Si)二酸化シリコン(SiO )の組合せであることを特徴とするアクチュエータの製造方法
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、
    前記圧電体層を挟んで対向する前記第1電極層と前記第2電極層の電極対間に電圧が印加されていない状態で前記圧電体層は、前記構造体側がプラス、前記振動板側がマイナスとなる向きに分極していることを特徴とするアクチュエータの製造方法
  6. 請求項1乃至のいずれか1項において、
    記構造体は、前記第1基板の前記圧電体層側と対面する側に、当該アクチュエータの可動部が変位できる空間を形成する凹部を有していることを特徴とするアクチュエータの製造方法
  7. 請求項において、
    前記アクチュエータは、前記圧電体層を挟んで対向する前記第1電極層と前記第2電極層の電極対に駆動電圧が印加されることにより当該アクチュエータの可動部が前記構造体の前記凹部内に入り込む方向に変位するものであり、
    前記圧電体層の分極(Pr)−電界(E)ヒステリシス特性における正電界側の抗電界と負電界側の抗電界のうち、前記駆動電圧の印加による駆動時の電界方向の抗電界をEc_a、前記駆動電圧と逆方向の電圧を印加した時の電界方向の抗電界をEc_bとするとき、|Ec_b|>|Ec_a|であることを特徴とするアクチュエータの製造方法
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項において、
    前記第1基板としてSOIウエハ、又はシリコン(Si)ウエハを用いることを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項において、
    前記圧電体層は成膜温度300℃以上700℃以下の条件で成膜され、厚みが0.5μm以上10μm以下の膜厚であることを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項において、
    前記応力調整層が形成された後に、前記圧電体層及び前記振動板の一部を除去して片持ち梁構造のアクチュエータ可動部となる形状の周囲を分離する可動部形状分離工程を含むことを特徴とするアクチュエータの製造方法。
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