JP5504652B2 - 二次電池、負極および集電体 - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学デバイスに用いられる集電体、ならびにそれを用いた負極および二次電池に関する。
近年、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
中でも、充放電反応にリチウムイオンの吸蔵および放出を利用するリチウムイオン二次電池は、大いに期待されている。鉛電池およびニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるからである。
リチウムイオン二次電池は、正極および負極と共に電解質を備えている。この負極は、負極集電体上に負極活物質層を有しており、その負極活物質層は、充放電反応に寄与する負極活物質を含んでいる。
負極活物質としては、炭素材料が広く用いられている。しかしながら、最近では、ポータブル電子機器の高性能化および多機能化に応じて電池容量のさらなる向上が求められていることから、ケイ素を用いることが検討されている。ケイ素の理論容量(4199mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも格段に大きいため、電池容量の大幅な向上を期待できるからである。この場合には、ケイ素の単体に限らず、ケイ素の化合物あるいは合金なども検討されている。
しかしながら、負極活物質としてケイ素を用いると、充放電時において負極活物質層が激しく膨張および収縮するため、集電体が変形すると共に、負極活物質層が破損あるいは脱離する可能性がある。このため、二次電池の重要な性能であるサイクル特性が低下しやすくなる。
ところで、リチウムイオン二次電池については、各種性能を向上させるためにさまざまな検討がなされている。具体的には、低磁化率の材料から作製された密閉型の電池系を実現するために、化学的にエッチングされたスクリーン形状を有する負極集電体などが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。集電体と活物質薄膜との密着性を改善して充放電サイクル特性を向上させるために、クロム含有層により防錆処理された金属箔が負極集電体として用いられている(例えば、特許文献2参照。)。この場合には、粒粉状銅が鍍金されたのち、それによる凹凸形状を損なわないように緻密な銅層が鍍金された銅箔も負極集電体として用いられている(例えば、特許文献3参照。)。負極集電体を厚くすることなくサイクル特性を向上させるために、突起部を有する負極集電体が用いられている(例えば、特許文献4〜6参照。)。
特開2000−100475号公報 特開2002−319407号公報 特開2002−319408号公報 特開2004−207112号公報 特開2007−103197号公報 特開2008−041307号公報
近年、ポータブル電子機器は益々高性能化および多機能化しており、その消費電力は増大する傾向にあるため、二次電池の充放電は頻繁に繰り返され、そのサイクル特性は低下しやすい状況にある。これに伴い、二次電池のサイクル特性について、より一層の向上が望まれている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性を向上させることが可能な二次電池、負極および集電体を提供することにある。
本発明の集電体は、集電体本体の表面に複数の導電性粒子を有し、その複数の導電性粒子が球状粒子および板状粒子を含むものである。本発明の負極は、負極集電体上に負極活物質層を有し、その負極集電体が上記した本発明の集電体と同様の構成を有するものである。本発明の二次電池は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な正極および負極と共に電解質を備え、その負極が上記した本発明の負極と同様の構成を有するものである。
本発明の集電体によれば、集電体本体の表面に複数の導電性粒子を有しており、その複数の導電性粒子が球状粒子および板状粒子を含んでいる。これにより、球状粒子および板状粒子により複雑な形状を有する立体構造(凹凸)が集電体本体の表面に形成されるため、アンカー効果が著しく高くなる。このため、本発明の集電体を用いた負極によれば、負極集電体に対する負極活物質層の密着性が著しく向上する。よって、本発明の負極を用いた二次電池によれば、充放電時における負極集電体の変形および負極活物質層の破損等が抑制されるため、サイクル特性を向上させることができる。
本発明の一実施の形態に係る集電体を用いた負極の構成を表す断面図である。 図1に示した負極集電体の構成を拡大して表す断面図である。 本発明における負極集電体の表面構造を表すSEM写真である。 本発明における負極集電体の表面構造を拡大して表すSEM写真である。 本発明における負極の断面構造および表面構造を表すSEM写真である。 比較例における負極集電体の表面構造を表すSEM写真である。 比較例における負極の断面構造および表面構造を表すSEM写真である。 本発明の一実施の形態に係る集電体および負極を用いた第1の二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回電極体の構成を表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る集電体および負極を用いた第2の二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図10に示した巻回電極体のXI−XI線に沿った断面図である。 コイン型の二次電池の構成を表す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.集電体を用いた負極
2.集電体および負極を用いた電気化学デバイス(二次電池)
2−1.第1の二次電池(円筒型)
2−2.第2の二次電池(ラミネートフィルム型)
<1.集電体を用いた負極>
図1および図2は、本発明の一実施の形態に係る集電体を用いた負極の断面構成を表している。図1は、負極10の全体を示しており、図2は、図1に示した負極集電体1を拡大して示している。
[負極の全体構成]
この負極10は、例えば二次電池などの電気化学デバイスに用いられるものであり、図1に示したように、集電体(負極集電体1)上に負極活物質層2を有している。なお、負極活物質層2は、負極集電体1の片面だけに設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。
[負極集電体]
負極集電体1は、図2に示したように、集電体本体11の表面に複数の導電性粒子12を有している。これにより、負極集電体1の表面は粗面化されている。いわゆるアンカー効果により、負極集電体1に対する負極活物質層2の密着性が向上するからである。
負極集電体1の表面粗さ(十点平均粗さRz)は、特に限定されないが、できるだけ大きいことが好ましい。負極集電体1に対する負極活物質層2の密着性がより向上するからである。ただし、十点平均粗さRzが大きすぎると、かえって負極活物質層2の密着性が低下する可能性がある。そこで、十点平均粗さRzは、例えば、2.5μm以上8.5μm以下であることが好ましい。
負極集電体1の引張強度は、特に限定されないが、できるだけ大きいことが好ましく、例えば、400N/mm2 以上であることが好ましい。負極10の物理強度が高くなるため、電極反応時において負極10が変形あるいは破損しにくくなるからである。
集電体本体11は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する材料により構成されている。このような材料としては、金属元素を構成元素として含む材料が好ましく、その材料は、金属の単体、化合物あるいは合金のいずれでもよいし、ステンレスでもよい。この金属元素としては、例えば、銅(Cu)あるはニッケル(Ni)などが挙げられ、中でも、銅が好ましい。電気伝導性が著しく高いからである。
この集電体本体11は、例えば、金属箔からなる。この金属箔は、未だ粗面化されていない未粗面化箔でもよいし、既に粗面化されている粗面化箔でもよい。未粗面化箔としては、例えば、圧延箔などが挙げられる。粗面化箔としては、例えば、電解箔あるいはサンドブラスト箔などが挙げられる。電解箔とは、電解法により基礎箔(例えば圧延箔など)の表面に微粒子が形成された(凹凸が設けられた)ものである。サンドブラスト箔とは、サンドブラスト処理により基礎箔の表面に凹凸が設けられたものである。中でも、粗面化箔が好ましく、電解銅箔がより好ましい。集電体本体11の表面粗さ(十点平均粗さRz)が大きくなり、それに応じて負極集電体1の表面粗さも大きくなるため、負極集電体1に対する負極活物質層2の密着性がより向上するからである。このため、集電体本体11の表面粗さは、特に限定されないが、できるだけ大きいことが好ましい。
また、集電体本体11は、炭素および硫黄を構成元素として含んでいることが好ましい。集電体本体11の物理強度が向上するからである。集電体本体11中における炭素および硫黄の含有量は、特に限定されないが、中でも、いずれも100ppm以下であることが好ましい。十分な電気伝導性を維持しつつ、高い物理強度が得られるからである。
X線回折により得られる集電体本体11の結晶子の平均径は、特に限定されないが、中でも、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。集電体本体11の物理強度が向上するからである。
複数の導電性粒子12は、負極活物質層2に対向する側における集電体本体11の表面に設けられている。この複数の導電性粒子12は、図2に示したように、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bを含んでいる。外観形状が著しく異なる2種類の粒子(球状粒子12Aおよび板状粒子12B)により複雑な形状を有する立体構造(凹凸)が集電体本体11の表面に形成されるため、アンカー効果がより高くなるからである。これにより、負極集電体1に対する負極活物質層2の密着性が著しく高くなる。なお、球状粒子12Aあるいは板状粒子12Bの数は、特に限定されないが、いずれもできるだけ多いことが好ましい。球状粒子12Aおよび板状粒子12Bにより複雑な形状を有する立体構造が形成されやすくなると共に、その立体構造の形状がより複雑になるからである。
なお、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bを含んでいるかどうかは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)などを用いて負極集電体1の表面あるいは断面を観察することにより確認できる。この負極集電体1の「表面」とは、負極活物質層2が形成される側における表面(後述する図3等参照)であり、「断面」とは、負極集電体1の表面と交差する方向における断面(後述する図5(A)参照)である。これらの「表面」および「断面」の定義は、以降においても同様である。
球状粒子12Aおよび板状粒子12Bの数がいずれも複数である場合には、例えば、それらは集電体本体11の表面においてランダムに積み重なっている。このため、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bの配置関係は、特に限定されない。なお、図2では、図示内容を簡略化するために、負極集電体1の最表面に存在する一部の球状粒子12Aおよび板状粒子12Bだけを示している。
球状粒子12Aは、略球状の外観形状を有している。この「略球状」とは、SEMなどを用いて負極集電体1の表面あるいは断面を観察した場合に、板状粒子12Bと区別できる程度に丸い形状(輪郭)を有しているという意味である。この略球状には、円形の輪郭を有する形状に加えて、楕円形の輪郭を有する形状や、それらが変形した形状なども含まれる。
複数の球状粒子12Aおよび板状粒子12Bが積み重なっている場合には、その球状粒子12Aは、集電体本体11の表面に位置したり、板状粒子12Bの下面に位置したり、複数の板状粒子12Bの間に位置したり、板状粒子12Bの上面に位置する。ただし、SEMなどを用いて負極集電体1の表面を観察すると、球状粒子12Aのうちの少なくとも一部は、板状粒子12Bの上に乗っているはずである。
球状粒子12Aの平均粒子径は、特に限定されないが、できるだけ小さいことが好ましい。負極集電体1の十点平均粗さRzが大きくなると共に、その表面積が大きくなるため、負極集電体1に対する負極活物質層2の密着性がより向上するからである。ただし、平均粒子径が小さくなりすぎると、かえって負極集電体1の十点平均粗さRzが小さくなる可能性がある。そこで、平均粒子径は、例えば、1μm以上10μm以下であることが好ましい。なお、球状粒子が楕円形などの輪郭を有している場合における平均粒子径とは、平均最大粒子径(長軸の最大粒子径)を意味する。なお、本発明における「粒子径」とは、全てメジアン径である。
板状粒子12Bは、略板状の外観形状を有している。この「略板状」とは、SEMなどを用いて負極集電体1の表面あるいは断面を観察した場合に、球状粒子12Aと区別できる程度に潰れて広がった形状を有しているという意味である。略板状の外観形状を有していれば、板状粒子12Bの平面形状(負極活物質層2の側から見た板状粒子12Bの形状)は、特に限定されない。
この板状粒子12Bは、集電体本体11の表面に沿った方向に延在していることが好ましい。この「集電体本体11の表面に沿った方向に延在している」とは、例えば、板状粒子12Bの延在方向と集電体本体11の表面との間の角度が45°以下になっているという意味である。この場合には、負極集電体1の断面において、板状粒子12Bは、その延在方向における端部12BTが集電体本体11の表面から遠ざかる(離れる)ように湾曲していることが好ましい。端部12BTの下側(集電体本体11に近い側)に応力緩和用のスペース(隙間13)が形成されるため、電極反応時において負極活物質層2が膨張および収縮しにくくなるからである。この隙間13の容積は、複数の球状粒子12A間などに形成される隙間の容積よりも著しく大きくなるため、電極反応時において負極活物質層2中に生じた応力が隙間13により著しく緩和される。なお、複数の板状粒子12Bが存在する場合には、上記したように湾曲している板状粒子12Bは、そのうちの全部でもよいし、一部だけでもよい。また、板状粒子12Bのうちの湾曲している端部12BTは、両方でもよいし、一方だけでもよい。一部の板状粒子12Bあるいは一方の端部12BTだけでも湾曲していれば、隙間13が形成されるからである。
複数の板状粒子12Bが存在する場合には、負極集電体1の表面において、板状粒子12B同士は部分的に重なっていることが好ましい。板状粒子12B同士が電気的に接続されるため、負極集電体1の電気導電性が高くなるからである。
板状粒子12Bの平均粒子径(長軸の最大粒子径)は、特に限定されないが、できるだけ大きいことが好ましい。負極集電体1の十点平均粗さRzが大きくなるため、負極集電体1に対する負極活物質層2の密着性がより向上するからである。ただし、平均粒子径が大きくなりすぎると、かえって負極集電体1の十点平均粗さRzが小さくなる可能性がある。そこで、平均粒子径は、例えば、50μm以下であることが好ましい。
板状粒子12Bの延在方向における寸法(長軸の長さ)は、特に限定されないが、できるだけ大きいことが好ましい。球状粒子12Aおよび板状粒子12Bにより複雑な形状を有する立体構造が形成されやすくなるからである。ただし、長さが大きすぎると、かえって立体構造が簡素化するため、負極集電体1の表面が平坦に近づく可能性がある。そこで、負極集電体1の断面において、板状粒子12Bの長軸の寸法(長さ)をLとし、短軸の寸法(厚さ)をTとした場合には、その寸法比L/Tは、例えば、1以上30以下であることが好ましい。
球状粒子12Aおよび板状粒子12Bは、例えば、集電体本体11と同様の材料により構成されていてもよいし、異なる材料により構成されていてもよい。この場合には、球状粒子12Aと板状粒子12Bとの間で構成材料が一致していてもよいし、異なっていてもよい。中でも、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bは、集電体本体11と同様の金属元素を含む粒子(金属粒子)であることが好ましい。集電体本体11に対する球状粒子12Aおよび板状粒子12Bの密着性が向上するからである。
また、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bは、単一の工程により形成されていてもよいし、別個の工程により形成されていてもよい。中でも、溶射法により単一の工程で形成されていることが好ましい。外観形状の異なる球状粒子12Aおよび板状粒子12Bが一括して容易に形成されると共に、それらの形状が制御されやすいからである。溶射法を用いた場合には、溶融物(球状粒子12Aおよび板状粒子12の形成材料が溶融したもの)が集電体本体11の表面に噴き付けられて球状粒子12Aおよび板状粒子12Bが形成される。この場合には、主に、比較的小さな粒子径を有する溶融物が集電体本体11の表面にそのまま定着して球状粒子12Aになり、比較的大きな粒子径を有する溶融物が集電体本体11の表面で潰れて板状粒子12Bになると考えられる。
特に、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bの表面には、酸化物が形成されていることが好ましい。アンカー効果がより高くなるからである。球状粒子12Aおよび板状粒子12Bが金属粒子である場合には、上記した酸化物は金属酸化物である。溶射法を用いて球状粒子12Aおよび板状粒子12Bが形成されている場合には、例えば、金属酸化物は繊維状に成長する。この金属酸化物が形成されているどうかは、例えば、SEMなどを用いて負極集電体1の表面を観察することにより確認できる。また、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX:energy dispersive x-ray fluorescence spectroscopy )で元素分析しても確認できる。一例を挙げると、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bが銅粒子である場合には、それらの表面に酸化銅が形成されることになる。
[負極活物質層]
負極活物質層2は、負極活物質として、例えばリチウムイオンなどの電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。なお、負極活物質層2は、必要に応じて、上記した負極活物質と共に、負極導電剤あるいは負極結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。これらの負極導電剤あるいは負極結着剤に関する詳細は、例えば、後述する正極導電剤あるいは正極結着剤と同様である。
負極材料としては、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料(金属系材料)が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。この金属系材料は、金属元素あるいは半金属元素の単体、合金あるいは化合物でもよいし、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に含むものでもよい。
この金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、電極反応物質と合金を形成することが可能な金属元素あるいは半金属元素が挙げられ、具体的には、以下の元素のうちの少なくとも1種などである。マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)あるいは鉛(Pb)である。ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)である。中でも、ケイ素あるいはスズが好ましく、ケイ素がより好ましい。より高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素を含む材料(ケイ素含有材料)は、ケイ素の単体、合金あるいは化合物でもよいし、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に含むものでもよい。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の構成元素として、以下の元素のうちの少なくとも1種を含むものなどが挙げられる。スズ、ニッケル、銅、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)あるいはクロム(Cr)である。ケイ素の化合物としては、例えば、ケイ素以外の構成元素として、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものなどが挙げられる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、ケイ素の合金について説明した一連の元素のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいてもよい。ケイ素の合金あるいは化合物の一例としては、以下のものなどが挙げられる。SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 あるいはTaSi2 である。VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、Si2 2 O、SiOv (0<v≦2)、SnOw (0<w≦2)あるいはLiSiOである。
スズを含む材料(スズ含有材料)は、スズの単体、合金あるいは化合物でもよいし、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に含むものでもよい。スズの合金としては、例えば、スズ以外の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムのうちの少なくとも1種を含むものなどが挙げられる。スズの化合物としては、例えば、スズ以外の構成元素として、酸素あるいは炭素を含むものなどが挙げられる。なお、スズの化合物は、例えば、スズ以外の構成元素として、スズの合金について説明した一連の元素のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいてもよい。スズの合金あるいは化合物の一例としては、SnSiO3 、LiSnOあるいはMg2 Snなどが挙げられる。
特に、スズ含有材料としては、例えば、スズを第1の構成元素とし、それに加えて第2および第3の構成元素を含むものが好ましい。高いエネルギー密度が安定して得られるからである。第2の構成元素は、以下の元素のうちの少なくとも1種などである。コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウムあるいはジルコニウムである。ニオブ、モリブデン、銀、インジウム、セリウム(Ce)、ハフニウム、タンタル、タングステン、ビスマスあるいはケイ素である。第3の構成元素は、ホウ素、炭素、アルミニウムおよびリンのうちの少なくとも1種などである。
中でも、スズ、コバルトおよび炭素を含むと共に、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下、スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が20質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、スズ、コバルトおよび炭素を含む相を有しており、その相は、低結晶性あるいは非晶質であることが好ましい。この相は、電極反応物質と反応可能な反応相であり、その反応相の存在により優れた特性が得られるようになっている。この相のX線回折により得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用いると共に挿引速度を1°/minとした場合に、回折角2θで1.0°以上であることが好ましい。電極反応物質がより円滑に吸蔵および放出されると共に、電解質などの他の材料との反応性が低減するからである。なお、SnCoC含有材料は、低結晶性あるいは非晶質の相に加えて、各構成元素の単体あるいは一部を含む相を含んでいる場合もある。
X線回折により得られた回折ピークが電極反応物質と反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、電極反応物質との電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較すれば、容易に判断することができる。例えば、電極反応物質との電気化学的反応の前後において回折ピークの位置が変化すれば、その電極反応物質と反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性あるいは非晶質の反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。このような反応相は、例えば、上記した構成元素を含んでおり、主に、炭素の存在に起因して低結晶化あるいは非晶質化しているものと考えられる。
SnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合していることが好ましい。スズなどの凝集あるいは結晶化が抑制されるからである。元素の結合状態については、例えば、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)により確認できる。市販の装置では、例えば、軟X線としてAl−Kα線あるいはMg−Kα線などが用いられる。炭素の少なくとも一部が金属元素あるいは半金属元素などと結合している場合には、炭素の1s軌道(C1s)の合成波のピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。なお、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正されているものとする。この際、通常、物質表面には表面汚染炭素が存在しているため、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、それをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形が表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形で得られるため、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析し、両者のピークを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
なお、SnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。このような他の構成元素としては、ケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウムあるいはビスマスなどが好ましく、それらの2種以上でもよい。
このSnCoC含有材料の他、スズ、コバルト、鉄および炭素を構成元素として含むSnCoFeC含有材料も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意に設定可能である。例えば、鉄の含有量を少なめに設定する場合の組成は、以下の通りである。炭素の含有量は9.9質量%以上29.7質量%以下、鉄の含有量は0.3質量%以上5.9質量%以下、スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))は30質量%以上70質量%以下である。また、例えば、鉄の含有量を多めに設定する場合の組成は、以下の通りである。炭素の含有量は11.9質量%以上29.7質量%以下である。また、スズ、コバルトおよび鉄の含有量の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))は26.4質量%以上48.5質量%以下、コバルトおよび鉄の含有量の割合(Co/(Co+Fe))は9.9質量%以上79.5質量%以下である。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。このSnCoFeC含有材料の物性等は、上記したSnCoC含有材料と同様である。
この他、負極材料としては、例えば、炭素材料が挙げられる。電極反応物質の吸蔵および放出時における結晶構造の変化が非常に少ないと共に、高いエネルギー密度が得られるからである。また、負極導電剤としても機能するからである。この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素、あるいは(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状あるいは鱗片状のいずれでもよい。
また、負極材料としては、例えば、金属酸化物あるいは高分子化合物が挙げられる。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンあるいはポリピロールなどである。
もちろん、負極材料は、上記以外のものでもよい。また、一連の負極活物質は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
この負極活物質層2は、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法あるいは焼成法(焼結法)、またはそれらのうちの2種以上の方法により形成されている。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を負極結着剤などと混合したのち、溶剤に分散させて塗布する方法である。気相法の一例としては、物理堆積法あるいは化学堆積法などが挙げられる。具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition )法あるいはプラズマ化学気相成長法などである。液相法の一例としては、電解鍍金法あるいは無電解鍍金法などが挙げられる。溶射法とは、負極活物質を溶融状態あるいは半溶融状態で噴き付ける方法である。焼成法とは、例えば、塗布法と同様の手順で塗布したのち、負極結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法については、公知の手法を用いることができる。一例としては、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法あるいはホットプレス焼成法などが挙げられる。中でも、負極活物質層2は、気相法により形成されていることが好ましい。負極集電体1に対して負極活物質層2が連結されるため、その負極活物質層2の密性が高くなるからである。
[負極の詳細な構成例]
ここで、負極10の詳細な構成例について説明する。
図3〜図7は、負極のSEM写真(二次電子像)を表している。図3〜図5は、本発明における負極集電体1および負極10の表面構造および断面構造を示しており、図6および図7は、本発明に対する比較例における負極集電体3および負極20の表面構造および断面構造を示している。ここで、図3および図6は表面構造を示しており、(A)は低倍率像、(B)は高倍率像である。図4は超高倍率の表面構造を示しており、(B)は(A)に示した領域Rの拡大像である。図5および図7において、(A)は断面構造、(B)は表面構造を示している。なお、比較例における負極集電体3は、電解箔である。
本発明における負極集電体1の表面を観察すると、図3(A),(B)に示したように、溶射法により集電体本体11の表面に形成された複数の導電性粒子12は、複数の球状粒子12Aおよび板状粒子12Bを含んでいる。球状粒子12Aと板状粒子12Bとの間では、外観形状(輪郭)および大きさ(平均粒子径)などの構造的特徴が著しく異なっているため、SEM写真中において両者を明確に区別することができる。溶射法を用いた場合には、集電体本体11の表面に溶融物が噴き付けられ、その溶融物が潰れて広がったのちに冷却される(固体化して定着する)ことにより、板状粒子12Bが形成される。これにより、各板状粒子12Bの平面形状は、不規則(不定形)になっている。この場合には、複数の球状粒子12Aおよび板状粒子12Bが積み重なっているが、負極集電体1の最表面では、板状粒子12B同士が部分的に重なっていると共に、その板状粒子12Bの上に球状粒子12Aが乗っている。
なお、球状粒子12Aの輪郭を明確に確認できる程度まで負極集電体1の表面を拡大して観察すると、図4(A),(B)に示したように、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bの表面に酸化物14が形成されている。球状粒子12Aおよび板状粒子12Bが金属粒子である場合には、上記した酸化物14は金属酸化物である。この酸化物14は、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bの表面において繊維状に成長している。
また、本発明における負極10の断面を観察すると、図4(A)に示したように、板状粒子12Bは、集電体本体11の表面に沿った方向に延在しており、負極集電体1の最表面では、板状粒子12B同士が部分的に重なっている。この場合において、板状粒子12Bは、その端部12BTが集電体本体11の表面から遠ざかるように湾曲している。これにより、端部12BTの下側には、板状粒子12Bの延在方向と同方向に延在する窪み状の隙間13が形成されている。この隙間13は、負極活物質層2が形成される側から見ると陰になる部分であるため、その隙間13の内部までは、負極活物質層2が入り込んでいない。このため、隙間13は、電極反応時において応力緩和用のスペースとして機能できる。一方、球状粒子12Aは、板状粒子12Bの上および隙間13の内部などにランダムに存在している。なお、蒸着法などの気相法により負極集電体1の上に形成された負極活物質層2は、図4(B)に示したように、複数の粒子状の負極活物質(負極活物質粒子21)を含んでいる。
これに対して、比較例における負極集電体3(電解銅箔)の表面を観察すると、図6(A),(B)に示したように、電解法により複数の導電性粒子15が形成されている。この複数の導電性粒子15は、球状粒子15Aだけからなり、板状粒子を含んでいない。しかも、図3と図6との比較から明らかなように、電解法により形成された球状粒子15Aの粒子径は、溶射法により形成された球状粒子12Aの粒子径よりも明らかに大きくなっている。
また、比較例における負極20の断面を観察すると、図7(A)に示したように、複数の球状粒子15Aは、局所的に集合して積み重なることにより、負極活物質層2の厚さ方向に延在する複数の突起部16を形成している。これにより、隣り合う突起部16の間には、それと同方向に延在する窪み状の隙間17が形成されている。この隙間17は、負極活物質層2が形成される側から見て陰になる部分ではないため、その隙間17の内部まで、負極活物質層2が入り込んでいる。このため、隙間17は、電極反応時において応力緩和用のスペースとして機能できない。なお、負極活物質層2は、図7(B)に示したように、図5(B)に示した本発明の場合と同様に、複数の負極活物質粒子21を含んでいる。
図3〜図7に示したSEM写真から明らかなように、SEMなどを用いて負極の表面構造および断面構造を観察すれば、複数の導電性粒子12が球状粒子12Aおよび板状粒子12Bを含んでいるかどうかを視覚的に確認することができる。しかも、球状粒子12Aの粒子径や、板状粒子12Bを含むか否かなどの条件を検討すれば、負極集電体が単なる電解銅箔か、あるいは溶射法などにより電解銅箔が処理されたものであるかを確認することもできる。
[負極の製造方法]
この負極は、例えば、以下の手順により製造される。
最初に、電解銅箔などからなる集電体本体11を準備する。続いて、溶射法などを用いて集電体本体11の表面に複数の導電性粒子12を形成する。複数の導電性粒子12の形成方法として溶射法を用いた場合には、集電体本体11の表面に溶融物が噴き付けられて堆積するため、球状粒子12Aと共に板状粒子12Bが形成される。これにより、集電体本体11の表面に複数の導電性粒子12(球状粒子12Aおよび板状粒子12B)を有する負極集電体1が形成される。最後に、気相法などを用いて負極集電体1の表面に負極活物質層2を形成する。これにより、負極が完成する。
[本実施の形態の作用および効果]
本実施の形態における集電体を用いた負極によれば、負極集電体1が集電体本体11の表面に複数の導電性粒子12を有しており、その複数の導電性粒子12が球状粒子12Aおよび板状粒子12Bを含んでいる。このため、球状粒子12Aおよび板状粒子12Bにより複雑な形状を有する立体構造(凹凸)が集電体本体11の表面に形成される。この場合には、複数の導電性粒子12が球状粒子12Aだけを含んでいる場合よりもアンカー効果が著しく高くなるため、負極集電体1に対する負極活物質層2の密着性が著しく向上する。よって、集電体および負極を用いた電気化学デバイスの性能向上に寄与することができる。具体的には、集電体および負極が二次電池に用いられた場合には、サイクル特性を向上させることができる。
特に、負極集電体1の断面において、端部12BTが集電体本体11の表面から遠ざかるように板状粒子12Bが湾曲していれば、電極反応時における応力緩和用のスペース(隙間13)が確保される。よって、電極反応時において負極集電体1が変形しにくくなると共に負極活物質層2が破損等しにくくなるため、電気化学デバイスの性能向上により寄与することができる。
また、複数の導電性粒子12が溶射法により形成されていれば、その形成材料の溶融物が互いに異なる形状となるように成形されやすくなるため、複数の球状粒子12Aおよび板状粒子12Bを一括して容易に形成することができる。
<2.集電体および負極を用いた電気化学デバイス(二次電池)>
次に、上記した集電体および負極の使用例について説明する。ここで、電気化学デバイスの一例として二次電池を例に挙げると、上記した集電体および負極は、以下のようにして用いられる。
<2−1.第1の二次電池(円筒型)>
図8および図9は、第1の二次電池の断面構成を表しており、図9では、図8に示した巻回電極体40を拡大している。ここで説明する二次電池は、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムイオンの吸蔵および放出により表されるリチウムイオン二次電池である。
[二次電池の全体構成]
この二次電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶31の内部に、一対の絶縁板32,33および巻回電極体40が収納されたものである。このような電池缶31を用いた電池構造は、円筒型と呼ばれている。
電池缶31は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有していると共に、鉄、アルミニウムあるいはそれらの合金などにより構成されている。なお、電池缶31が鉄により構成される場合には、例えば、電池缶の31の表面にニッケルなどが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板32,33は、巻回電極体40を上下から挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶31の開放端部には、電池蓋34、安全弁機構35および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)36がガスケット37を介してかしめられており、その電池缶31の内部は、密閉されている。電池蓋34は、例えば、電池缶31と同様の材料により構成されている。安全弁機構35および熱感抵抗素子36は、電池蓋34の内側に設けられている。安全弁機構35は、熱感抵抗素子36を介して電池蓋34と電気的に接続されている。この安全弁機構35では、内部短絡、あるいは外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板35Aが反転して電池蓋34と巻回電極体40との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子36は、温度の上昇に応じて抵抗が増大し(電流を制限し)、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット37は、例えば、絶縁材料により構成されており、その表面には、例えば、アスファルトが塗布されている。
巻回電極体40は、セパレータ43を介して正極41と負極42とが積層および巻回されたものである。この巻回電極体40の中心には、例えば、センターピン44が挿入されていてもよい。巻回電極体40では、アルミニウムなどにより構成された正極リード45が正極41に接続されていると共に、ニッケルなどにより構成された負極リード46が負極42に接続されている。正極リード45は、安全弁機構35に溶接などされて電池蓋34と電気的に接続されており、負極リード46は、電池缶31に溶接などされて電気的に接続されている。
[正極]
正極41は、例えば、正極集電体41Aの両面に正極活物質層41Bが設けられたものである。ただし、正極活物質層41Bは、正極集電体41Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体41Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
正極活物質層41Bは、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでおり、必要に応じて、正極結着剤あるいは正極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
正極材料としては、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを構成元素として含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物などが挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、例えば、Lix M1O2 あるいはLiy M2PO4 で表される。式中、M1およびM2は、1種類以上の遷移金属元素を表す。また、xおよびyの値は、充放電状態に応じて異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、あるいは下記の化学式で表されるリチウムニッケル系複合酸化物などが挙げられる。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-u Mnu PO4 (u<1))などが挙げられる。高い電池容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。
LiNi1-x x 2
(Mはコバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、バナジウム、スズ、マグネシウム、チタン、ストロンチウム、カルシウム、ジルコニウム、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、タンタル、タングステン、レニウム、イッテルビウム、銅、亜鉛、バリウム、ホウ素、クロム、ケイ素、ガリウム、リン、アンチモンおよびニオブのうちの少なくとも1種である。xは0.005<x<0.5である。)
この他、正極材料としては、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物あるいは導電性高分子などが挙げられる。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどである。
もちろん、正極材料は、上記以外のものでもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
正極結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
正極導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックあるいはケチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などでもよい。
[負極]
負極42は、例えば、負極集電体42Aの両面に負極活物質層42Bが設けられたものである。ただし、負極活物質層42Bは、負極集電体42Aの片面だけに設けられていてもよい。なお、負極集電体42Aおよび負極活物質層42Bの構成は、上記した負極における負極集電体1および負極活物質層2の構成と同様である。
[セパレータ]
セパレータ43は、正極41と負極42とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ43には、液状の電解質(電解液)が含浸されている。セパレータ43は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などにより構成されており、それらの2種以上の多孔質膜が積層されたものでもよい。
[電解液]
電解液は、溶媒に電解質塩が溶解されたものであり、必要に応じて、各種添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。
溶媒は、例えば、有機溶剤などの非水溶媒のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。以下で説明する一連の溶媒(非水溶媒)は、単独でもよいし、2種以上混合されてもよい。
非水溶媒としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタンあるいはテトラヒドロフランである。2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサンあるいは1,4−ジオキサンである。酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルあるいはトリメチル酢酸エチルである。アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンあるいはN−メチルオキサゾリジノンである。N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルあるいはジメチルスルホキシドである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種が好ましい。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。この場合には、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、ハロゲン化鎖状炭酸エステルおよびハロゲン化環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。充放電時において負極42の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。なお、ハロゲン化鎖状炭酸エステルとは、ハロゲンを構成元素として含む鎖状炭酸エステルであり、詳細には、鎖状炭酸エステルのうちの少なくとも一部の水素がハロゲンにより置換されたものである。また、ハロゲン化環状炭酸エステルとは、ハロゲンを構成元素として含む環状炭酸エステルであり、詳細には、環状炭酸エステルのうちの少なくとも一部の水素がハロゲンにより置換されたものである。
ハロゲンの種類は、特に限定されないが、中でも、フッ素、塩素あるいは臭素が好ましく、フッ素がより好ましい。他のハロゲンよりも高い効果が得られるからである。ただし、ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上でもよい。保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
ハロゲン化鎖状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)あるいは炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。ハロゲン化環状炭酸エステルとしては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。このハロゲン化環状炭酸エステルには、幾何異性体も含まれる。溶媒中におけるハロゲン化鎖状炭酸エステルおよびハロゲン化環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%以上50重量%以下である。
また、溶媒は、不飽和炭素結合環状炭酸エステルを含んでいることが好ましい。充放電時において負極42の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。なお、不飽和炭素結合環状炭酸エステルとは、不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルであり、詳細には、環状炭酸エステルのうちのいずれかの箇所に不飽和炭素結合が導入されたものである。不飽和炭素結合環状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸ビニレンあるいは炭酸ビニルエチレンなどが挙げられる。溶媒中における不飽和炭素結合環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%以上10重量%以下である。
また、溶媒は、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が向上するからである。スルトンとしては、例えば、プロパンスルトンあるいはプロペンスルトンなどが挙げられる。溶媒中におけるスルトンの含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が向上するからである。酸無水物としては、例えば、例えば、カルボン酸無水物、ジスルホン酸無水物あるいはカルボン酸スルホン酸無水物などが挙げられる。カルボン酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸あるいは無水マレイン酸などである。ジスルホン酸無水物は、例えば、無水エタンジスルホン酸あるいは無水プロパンジスルホン酸などである。カルボン酸スルホン酸無水物は、例えば、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸あるいは無水スルホ酪酸などである。溶媒中における酸無水物の含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種類あるいは2種類以上を含んでいる。以下で説明する一連の電解質塩は、単独でもよいし、2種以上混合されてもよい。
リチウム塩としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )あるいは六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )である。テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )あるいはテトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )である。六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)である。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムのうちの少なくとも1種が好ましい。また、六フッ化リン酸リチウムおよび四フッ化ホウ酸リチウムがより好ましく、六フッ化リン酸リチウムがさらに好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下であることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
[二次電池の動作]
この二次電池では、充電時において、例えば、正極41からリチウムイオンが放出され、セパレータ43に含浸された電解液を介して負極42に吸蔵される。一方、放電時において、例えば、負極42からリチウムイオンが放出され、セパレータ43に含浸された電解液を介して正極41に吸蔵される。
[二次電池の製造方法]
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
まず、正極41を作製する。最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体41Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて正極活物質層41Bを形成する。最後に、必要に応じて加熱しながら、ロールプレス機などを用いて正極活物質層41Bを圧縮成型する。この場合には、複数回に渡って圧縮成型を繰り返してもよい。
次に、上記した負極と同様の手順により、負極42を作製する。この場合には、負極集電体42Aを準備したのち、その負極集電体42Aの両面に負極活物質層42Bを形成する。
最後に、正極41および負極42を用いて二次電池を組み立てる。最初に、正極集電体41Aに正極リード45を溶接などして取り付けると共に、負極集電体42Aに負極リード46を溶接などして取り付ける。続いて、セパレータ43を介して正極41と負極42とを積層および巻回させて巻回電極体40を作製したのち、その巻回中心にセンターピン44を挿入する。続いて、一対の絶縁板32,33で挟みながら巻回電極体40を電池缶31の内部に収納する。この場合には、正極リード45を安全弁機構35に溶接などして取り付けると共に、負極リード46を電池缶31に溶接などして取り付ける。続いて、電池缶31の内部に電解液を注入してセパレータ43に含浸させる。最後に、ガスケット37を介して電池缶31の開口端部に電池蓋34、安全弁機構35および熱感抵抗素子36をかしめる。これにより、図8および図9に示した二次電池が完成する。
この第1の二次電池によれば、負極42が上記した負極と同様の構成を有しているので、サイクル特性を向上させることができる。特に、負極活物質としてケイ素含有材料あるいはスズ含有材料などの高容量化に有利な金属系材料を用いた場合においてサイクル特性が向上するため、炭素材料などを用いた場合よりも高い効果を得ることができる。この第1の二次電池に関する他の効果は、上記した負極と同様である。
<2−2.第2の二次電池(ラミネートフィルム型)>
図10は、第2の二次電池の分解斜視構成を表しており、図11は、図10に示した巻回電極体50のXI−XI線に沿った断面を拡大して示している。
この二次電池は、例えば、第1の二次電池と同様にリチウムイオン二次電池であり、主に、フィルム状の外装部材60の内部に、正極リード51および負極リード52が取り付けられた巻回電極体50が収納されたものである。このような外装部材60を用いた電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード51および負極リード52は、例えば、外装部材60の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。ただし、巻回電極体50に対する正極リード51および負極リード52の設置位置や、それらの導出方向などは、特に限定されない。正極リード51は、例えば、アルミニウムなどにより構成されており、負極リード52は、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。これらの材料は、例えば、薄板状あるいは網目状になっている。
外装部材60は、例えば、融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムである。この場合には、例えば、融着層が巻回電極体50と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外縁部同士が融着、あるいは接着剤などにより貼り合わされている。融着層は、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレンなどのフィルムである。金属層は、例えば、アルミニウム箔などである。表面保護層は、例えば、ナイロンあるいはポリエチレンテレフタレートなどのフィルムである。
中でも、外装部材60としては、ポリエチレンフィルム、アルミニウム箔およびナイロンフィルムがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムが好ましい。ただし、外装部材60は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムでもよい。
外装部材60と正極リード51および負極リード52との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム61が挿入されている。この密着フィルム61は、正極リード51および負極リード52に対して密着性を有する材料により構成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
巻回電極体50は、セパレータ55および電解質層56を介して正極53と負極54とが積層および巻回されたものであり、その最外周部は、保護テープ57により保護されている。正極53は、例えば、正極集電体53Aの両面に正極活物質層53Bが設けられたものである。負極54は、例えば、負極集電体54Aの両面に負極活物質層54Bが設けられたものである。
なお、正極集電体53Aおよび正極活物質層53Bの構成は、それぞれ第1の二次電池における正極集電体41Aおよび正極活物質層41Bと同様である。負極集電体54Aおよび負極活物質層54Bの構成は、それぞれ第1の二次電池における負極集電体42Aおよび負極活物質層42Bの構成と同様である。セパレータ55の構成は、第1の二次電池におけるセパレータ43の構成と同様である。
電解質層56は、高分子化合物により電解液が保持されたものであり、必要に応じて、各種添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。この電解質層56は、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に電解液の漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物としては、例えば、以下の高分子材料うちの少なくとも1種などが挙げられる。ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサンあるいはポリフッ化ビニルである。ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートである。フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体である。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリフッ化ビニリデン、あるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、第1の二次電池における電解液の組成と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層56において、電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、高分子化合物により電解液が保持されたゲル状の電解質層56に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、セパレータ55に電解液が含浸される。
この二次電池では、充電時において、例えば、正極53からリチウムイオンが放出され、電解質層56を介して負極54に吸蔵される。一方、放電時において、例えば、負極54からリチウムイオンが放出され、電解質層56を介して正極53に吸蔵される。
このゲル状の電解質層56を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1の製造方法では、最初に、第1の二次電池における正極41および負極42と同様の手順により、正極53および負極54を作製する。具体的には、正極集電体53Aの両面に正極活物質層53Bを形成して正極53を作製すると共に、負極集電体54Aの両面に負極活物質層54Bを形成して負極54を作製する。続いて、電解液、高分子化合物および溶剤を含む前駆溶液を調製して正極53および負極54に塗布したのち、その溶剤を揮発させてゲル状の電解質層56を形成する。続いて、正極集電体53Aに正極リード51を溶接などして取り付けると共に、負極集電体54Aに負極リード52を溶接などして取り付ける。続いて、電解質層56が形成された正極53と負極54とをセパレータ55を介して積層および巻回したのち、その最外周部に保護テープ57を接着させて巻回電極体50を作製する。最後に、2枚のフィルム状の外装部材60の間に巻回電極体50を挟み込んだのち、その外装部材60の外縁部同士を熱融着などで接着させて巻回電極体50を封入する。この際、正極リード51および負極リード52と外装部材60との間に、密着フィルム61を挿入する。これにより、図10および図11に示した二次電池が完成する。
第2の製造方法では、最初に、正極53に正極リード51を取り付けると共に、負極54に負極リード52を取り付ける。続いて、セパレータ55を介して正極53と負極54とを積層して巻回させたのち、その最外周部に保護テープ57を接着させて巻回電極体50の前駆体である巻回体を作製する。続いて、2枚のフィルム状の外装部材60の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させて、袋状の外装部材60の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材60の内部に注入したのち、その外装部材60の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とし、ゲル状の電解質層56を形成する。これにより、二次電池が完成する。
第3の製造方法では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ55を用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材60の内部に収納する。このセパレータ55に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体、あるいは多元共重合体など)が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種あるいは2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材60の内部に注入したのち、その外装部材60の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材60に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ55を正極53および負極54に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質層56が形成されるため、二次電池が完成する。
この第3の製造方法では、第1の製造方法よりも電池膨れが抑制される。また、第3の製造方法では、第2の製造方法よりも高分子化合物の原料であるモノマーあるいは溶媒などが電解質層56中にほとんど残らないため、高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極53、負極54およびセパレータ55と電解質層56との間において十分な密着性が得られる。
この第2の二次電池によれば、負極54が上記した負極と同様の構成を有しているので、サイクル特性を向上させることができる。この第2の二次電池に関する他の効果は、上記した第1の二次電池と同様である。
本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する。
(実験例1−1,1−2)
以下の手順により、図12に示したコイン型の二次電池を作製した。この際、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵および放出により表されるリチウムイオン二次電池となるようにした。
まず、正極71を作製した。最初に、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを0.5:1のモル比で混合したのち、空気中で900℃×5時間焼成してリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。続いて、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(メジアン径=5μm)96質量部と、正極導電剤としてカーボンブラック1質量部と、正極結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤とした。続いて、正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて、アルミニウム箔(厚さ=15μm)からなる正極集電体71Aの一面に正極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて正極活物質層71Bを形成した。続いて、ロールプレス機を用いて正極活物質層71Bを圧縮成型した。最後に、正極活物質層71Bが形成された正極集電体71Aを直径15mmのペレット状(円形状)に打ち抜いた。
次に、負極72を作製した。最初に、表1に示したように、集電体本体として電解銅箔あるいは圧延銅箔(いずれも厚さ=18μm)を準備した。続いて、ガスフレーム溶射法を用いて集電体本体の一面に球状の銅粒子を溶融状態あるいは半溶融状態で噴き付けて複数の導電性粒子を形成した。この場合には、溶融前の銅粒子の径、噴き付け速度、および噴き付けノズルと集電体本体を支持する基盤との間の距離などの条件を調整して、球状粒子と共に板状粒子を形成した。また、集電体本体が熱的ダメージを負わないように、炭酸ガスで基盤を冷却しながら噴き付け処理を行った。なお、溶射炎の発生用ガスとしては酸素ガスおよび水素ガス、噴き付け用ガスとしては窒素ガスを用いた。この際、溶射炎の発生用ガスの導入量を調整して溶射温度を制御し、球状粒子および板状粒子の表面を酸化して繊維状の金属酸化物(酸化銅)を形成した。これにより、集電体本体の表面に複数の導電性粒子(球状粒子および板状粒子)を有する負極集電体71Aが形成された。続いて、電子ビーム蒸着法を用いて負極集電体72Aの一面に負極材料としてケイ素を堆積させて負極活物質層72Bを形成した。この場合には、負極活物質層72Bの厚さを6μmとした。最後に、負極活物質層72Bが形成された負極集電体72Aを直径16mmのペレット状に打ち抜いた。
次に、電解液を調製した。最初に、溶媒として、炭酸エチレン(EC)と、炭酸ビニレン(VC)と、炭酸ジエチル(DEC)とを混合した。この場合には、溶媒の組成(EC:VC:DEC)を重量比で30:10:60とした。こののち、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を溶媒に溶解させた。この場合には、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。
最後に、正極71および負極72と共に電解液を用いて二次電池を組み立てた。最初に、正極71を外装缶74に収容すると共に、負極72を外装カップ75に貼り付けた。続いて、セパレータ73(厚さ=23μm)に電解液を含浸させた。このセパレータ73としては、多孔性ポリプロピレンフィルムにより多孔性ポリエチレンフィルムが挟まれたポリマーセパレータを用いた。最後に、電解液が含浸されたセパレータ73を介して正極71と負極72とを積層させたのち、ガスケット76を介して外装缶74および外装カップ75をかしめた。これにより、コイン型の二次電池が完成した。この二次電池を作製する場合には、負極72の充放電容量を正極71の充放電容量よりも大きくし、満充電時において負極72にリチウム金属が析出しないようにした。
(実験例1−3,1−4)
表1に示したように、電解銅箔あるいは圧延銅箔をそのまま負極集電体として用いたことを除き、実験例1−1,1−2と同様の手順を経た。
これらの実験例1−1〜1−4の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
サイクル特性を調べる際には、サイクル試験を行って放電容量維持率を求めた。最初に、電池状態を安定化させるために23℃の雰囲気中で1サイクル充放電させたのち、再び充放電させて2サイクル目の放電容量を測定した。続いて、同雰囲気中で99サイクル充放電させて101サイクル目の放電容量を測定した。最後に、放電容量維持率(%)=(101サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。この場合には、3mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに到達するまで充電したのち、4.2Vの定電圧で電流密度が0.3mA/cm2 に到達するまで充電した。また、3mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに到達するまで放電した。
なお、実験例1−1〜1−4の二次電池については、負極集電体の表面の十点平均粗さRz(μm)を調べた。また、サイクル試験を行う際には、その試験後の負極の状態を目視で観察して、充放電時の膨張および収縮に起因するシワ(電極シワ)が発生しているかどうかも調べた。それらの結果も表1に併せて示した。
上記したサイクル特性等を調べる場合の手順および条件は、以降の一連の実験例においても同様である。
Figure 0005504652
集電体本体の表面に複数の導電性粒子(球状粒子および板状粒子)を形成した場合には、その導電性粒子を形成しなかった場合よりも放電容量維持率が高くなった。しかも、後者の場合には電極シワが発生したが、前者の場合には電極シワが発生しなかった。この結果は、複数の導電性粒子が球状粒子および板状粒子を含んでいると、負極集電体に対する負極活物質層の密着性が向上するため、充放電時において負極集電体が変形しにくくなると共に負極活物質層が破損等しにくくなることを表している。これらのことから、本発明の二次電池では、電解銅箔あるいは圧延銅箔などからなる集電体本体の表面に複数の導電性粒子(球状粒子および板状粒子)を形成することにより、負極の変形が抑制されると共にサイクル特性が向上する。
(実験例2−1〜2−15)
表2に示したように、球状粒子および板状粒子の平均粒子径を変更したことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。この場合には、溶融前の銅粒子の平均粒子径を変更して球状粒子および板状粒子の平均粒子径を制御した。これらの実験例2−1〜2−15の二次電池についてサイクル特性等を調べたところ、表2に示した結果が得られた。
Figure 0005504652
球状粒子および板状粒子の平均粒子径を変更しても、実験例1−1と同様に、電極シワの発生が防止されると共に高い放電容量維持率が得られた。このことから、本発明の二次電池では、球状粒子および板状粒子の平均粒子径に依存せずに、負極の変形が抑制されると共にサイクル特性が向上する。
(実験例3−1〜3−4)
表3に示したように、集電体本体を熱処理して硫黄の含有量および引張強度を変更したことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。この場合には、集電体本体中における炭素の含有量を一定に維持しつつ、集電体本体の加熱温度を変更して硫黄の含有量および引張強度を制御した。これらの実験例3−1〜3−4の二次電池についてサイクル特性等を調べたところ、表3に示した結果が得られた。
Figure 0005504652
集電体本体の組成および引張強度を変更しても、実験例1−1と同様に、電極シワの発生が防止されると共に高い放電容量維持率が得られた。このことから、本発明の二次電池では、集電体本体の組成および物理特性に依存せずに、負極の変形が抑制されると共にサイクル特性が向上する
(実験例4−1〜4−4)
表4に示したように、負極を熱処理したことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。これらの実験例4−1〜4−4の二次電池についてサイクル特性等を調べたところ、表4に示した結果が得られた。
Figure 0005504652
負極を熱処理しても、実験例1−1と同様に高い放電容量維持率が得られた。この結果は、負極を熱処理すると、集電体本体に対する導電性粒子の密着性が向上すると共に、負極集電体に対する負極活物質層の密着性も向上することを表している。ただし、熱処理温度が高すぎると、集電体本体が軟化しやすくなるため、電極シワが発生した。これらのことから、本発明の二次電池では、負極を熱処理すれば、サイクル特性がより向上する。この場合には、熱処理温度を集電体本体の軟化温度よりも低くすれば、負極の変形が抑制されると共にサイクル特性が向上する。
(実験例5−1,5−2)
表5に示したように、負極集電体の表面粗さ(十点平均粗さRz)を変更したことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。この場合には、集電体本体(電解銅箔)の表面をブラスト処理し、その表面粗さを変化させて負極集電体の表面粗さを制御した。これらの実験例5−1,5−2の二次電池についてサイクル特性等を調べたところ、表5に示した結果が得られた。
Figure 0005504652
集電体本体および負極集電体の表面粗さ変更しても、実験例1−1と同様に、電極シワの発生が防止されると共に高い放電容量維持率が得られた。このことから、本発明の二次電池では、集電体本体および負極集電体の表面粗さに依存せずに、負極の変形が抑制されると共にサイクル特性が向上する。
(実験例6−1〜6−3)
表6に示したように、負極活物質層の形成方法を変更したことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。スパッタ法(RFマグネトロンスパッタ法)を用いる場合には、ターゲットとして純度99.99%のケイ素を用いると共に、堆積速度を0.5nm/秒とした。CVD法を用いる場合には、原材料としてシラン(SiH4 )、励起ガスとしてアルゴン(Ar)を用いた。溶射法を用いる場合には、溶融材料としてケイ素粉末(メジアン径=1μm〜300μm)を用いると共に、噴き付け速度を約45m/秒〜55m/秒とした。溶射法に関する他の条件は、実験例1−1で導電性粒子を形成した場合と同様である。これらの実験例6−1〜6−3の二次電池についてサイクル特性等を調べたところ、表6に示した結果が得られた。
Figure 0005504652
負極活物質層の形成方法を変更しても、実験例1−1と同様に、電極シワの発生が防止されると共に高い放電容量維持率が得られた。このことから、本発明の二次電池では、負極活物質層の形成方法に依存せずに、負極の変形が抑制されると共にサイクル特性が向上する。
(実験例7−1〜7−5)
表7に示したように、電解液の組成を変更したことを除き、実験例1−1と同様の手順を経た。この場合には、溶媒として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)あるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)を用いた。他の溶媒として、無水スルホ安息香酸(SBAH)あるいは無水スルホプロピオン酸(SPAH)を用いた。電解質塩として、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )を用いた。他の溶媒については、溶媒を混合したのち、それに対して所定の割合となるように加えた。これらの実験例7−1〜7−5の二次電池についてサイクル特性等を調べたところ、表7に示した結果が得られた。
Figure 0005504652
電解液の組成を変更しても、実験例1−1と同様に、電極シワの発生が防止されると共に高い放電容量維持率が得られた。この場合には、溶媒としてFEC等、他の溶媒としてSBAH等、電解質塩としてLiBF4 を加えれば、放電容量維持率がより高くなった。これらのことから、本発明の二次電池では、電解液の組成に依存せずに、負極の変形が抑制されると共にサイクル特性が向上する。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の負極あるいは集電体の使用用途は、必ずしも二次電池に限らず、それ以外の他の電気化学デバイスでもよい。他の用途としては、例えば、キャパシタなどが挙げられる。
また、上記した実施の形態および実施例では、二次電池の種類としてリチウムイオン二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の二次電池は、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵および放出による容量とリチウム金属の析出および溶解による容量とを含み、かつ、それらの容量の和により表される二次電池についても、同様に適用可能である。この場合には、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料が用いられると共に、負極材料の充電可能な容量が正極の放電容量よりも小さくなるように設定される。
また、上記した実施の形態および実施例では、電池構造が円筒型、ラミネートフィルム型あるいはコイン型である場合や、電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限られない。本発明の二次電池は、電池構造が角型あるいはボタン型などである場合や、電池素子が積層構造などを有する場合についても、同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、電極反応物質の元素としてリチウムを用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。電極反応物質の元素は、例えば、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他の1族元素や、マグネシウムあるいはカルシウムなどの2族元素や、アルミニウムなどの他の軽金属でもよい。本発明の作用および効果は、電極反応物質の種類に依存せずに得られるはずである。
1,42A,54A,72A…集電体(負極集電体)、2,42B,54B、72B…負極活物質層、10,42,54,72…負極、11…集電体本体、12…導電性粒子、12A…球状粒子、12B…板状粒子、13…隙間、14…酸化物、21…負極活物質粒子、40,50…巻回電極体、41,53,71…正極、41A,53A,71A…正極集電体、41B,53B,71B…正極活物質層、43,55,73…セパレータ、56…電解質層、57…保護テープ。

Claims (14)

  1. 電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な正極および負極と共に電解質を備え、
    前記負極は負極集電体上に負極活物質層を有し、
    前記負極集電体は前記負極活物質層と対向する側における集電体本体の表面に複数の導電性粒子を有し、
    前記複数の導電性粒子は球状粒子および板状粒子を含む、二次電池。
  2. 前記板状粒子は前記集電体本体の表面に沿った方向に延在している、請求項1記載の二次電池。
  3. 前記負極集電体の表面と交差する方向における断面において、前記板状粒子は延在方向における端部が前記集電体本体の表面から遠ざかるように湾曲している、請求項2記載の二次電池。
  4. 前記負極集電体の表面において、前記球状粒子は前記板状粒子の上に乗っている、請求項1記載の二次電池。
  5. 前記負極集電体の表面において、前記板状粒子同士は部分的に重なっている、請求項1記載の二次電池。
  6. 前記球状粒子および前記板状粒子はいずれも金属粒子であり、それらの表面に金属酸化物が形成されている、請求項1記載の二次電池。
  7. 前記金属酸化物は繊維状である、請求項6記載の二次電池。
  8. 前記球状粒子および前記板状粒子は溶射法により形成されている、請求項1記載の二次電池。
  9. 前記集電体本体および前記導電性粒子は銅(Cu)を構成元素として含む、請求項1記載の二次電池。
  10. 前記負極活物質層は、ケイ素(Si)を構成元素として含む、請求項1記載の二次電池。
  11. 前記負極活物質層は気相法により形成されている、請求項1記載の二次電池。
  12. 前記電極反応物質はリチウムイオンである、請求項1記載の二次電池。
  13. 負極集電体上に負極活物質層を有し、
    前記負極集電体は前記負極活物質層と対向する側における集電体本体の表面に複数の導電性粒子を有し、
    前記複数の導電性粒子は球状粒子および板状粒子を含む、負極
  14. 集電体本体の表面に複数の導電性粒子を有し、前記複数の導電性粒子は球状粒子および板状粒子を含む、集電体。
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