JP5581716B2 - リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、電動工具、電気自動車および電力貯蔵システム - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、電動工具、電気自動車および電力貯蔵システム Download PDF

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Description

本発明は、構成元素として珪素(Si)を含有する負極活物質を含むリチウムイオン二次電池用負極、およびそれを備えたリチウムイオン二次電池、ならびにそれを用いた電動工具、電気自動車および電力貯蔵システムに関する。
近年、カメラ一体型VTR(video tape recorder )、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、ポータブル電子機器の電源として、電池、特に軽量で高エネルギー密度が得られる二次電池の開発が進められている。このような二次電池は、最近では、小型の電子機器に限らず、電気自動車などに代表される大型の電子機器への適用も検討されている。
中でも、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)は、鉛電池やニッケルカドミウム電池よりも大きなエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
このリチウムイオン二次電池は、負極活物質を含む負極活物質層が負極集電体に設けられた構成を有する負極を備えている。この負極活物質としては炭素材料が広く用いられているが、最近では、ポータブル電子機器の高性能化および多機能化に伴って電池容量のさらなる向上が求められていることから、炭素材料に代えて珪素を用いることが検討されている。珪素の理論容量(4199mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも格段に大きいため、電池容量の大幅な向上が期待されるからである。
ところが、気相法によって負極活物質として珪素を堆積させることにより負極活物質層を形成した場合には、その結着性が十分でないため、充放電を繰り返すと、負極活物質層が激しく膨張および収縮して粉砕するおそれがある。負極活物質層が粉砕すると、その粉砕の程度によっては表面積の増大に起因して不可逆性のリチウム酸化物が形成されすぎると共に負極集電体からの崩落に起因して集電性が低下するため、二次電池の重要な特性であるサイクル特性が低下してしまう。
そこで、負極活物質として珪素を用いた場合においてもサイクル特性を向上させるために、さまざまな工夫がなされている。具体的には、気相法において複数回に分けて珪素を堆積させ、負極活物質層を多層構造とする技術が開示されている(例えば、特許文献1)。これ以外にも、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛あるいは銅などの金属で負極活物質の表面を被覆する技術(例えば、特許文献2参照。)や、リチウムと合金化しない銅などの金属元素を負極活物質中に拡散させる技術(例えば、特許文献3参照。)や、負極活物質に銅を固溶させる技術(例えば、特許文献4参照。)などが提案されている。この他、本出願人は、珪素を含み、かつ、酸素の含有量が異なる第1層と第2層とを交互に積層させた多層構造を備えることにより、負極活物質層の激しい膨張および収縮を抑制し、その構造破壊を抑制するようにした技術も開示している(例えば、特許文献5参照)。
特開2007−317419号公報 特開2000−036323号公報 特開2001−273892号公報 特開2002−289177号公報 特開2004−349162号公報
しかしながら、最近のポータブル電子機器は益々小型化、高性能化および多機能化しており、それに伴って二次電池の充放電が頻繁に繰り返される傾向にあるため、サイクル特性が低下しやすい状況にある。特に、高容量化のために負極活物質として珪素を用いたリチウムイオン二次電池では、上記した充放電時における負極活物質層の粉砕の影響を受けてサイクル特性が顕著に低下しやすい。このため、二次電池のサイクル特性に関してより一層の向上が望まれている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性を向上させることが可能なリチウムイオン二次電池用負極およびそれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することにある。また、上記のリチウムイオン二次電池を用いた電動工具、電気自動車および電力貯蔵システムを提供することにある。
本発明の第1のリチウムイオン二次電池用負極は、負極集電体上に、珪素を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられてなるものである。複数の負極活物質繊維は、それぞれ負極活物質層の厚さ方向に延在し、負極活物質層の厚さ方向において他の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域を含み、互いに異なる方向に湾曲した一対の湾曲部が高濃度酸素含有領域において連結されたS字形状部分を含む。
また、本発明の第2のリチウムイオン二次電池用負極は、負極集電体上に、珪素を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられてなるものである。 複数の負極活物質繊維は、それぞれ負極活物質層の厚さ方向に延在し、かつ、互いに異なる方向に湾曲した第1および第2の湾曲部からなるS字形状部分を含み、負極活物質層は、第1の湾曲部を含む第1の領域と第2の湾曲部を含む第2の領域とが交互に複数積層され、かつ、第1および第2の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域において前記第1の領域と前記第2の領域とが連結されたものである。
また、本発明のリチウムイオン二次電池は、正極および上記の本発明のリチウムイオン二次電池用負極と共に電解質を備えるようにしたものである。さらに、本発明の電動工具、電気自動車および電力貯蔵システムは、上記のリチウムイオン二次電池を電源あるいは電力貯蔵源として用いるようにしたものである。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、電動工具、電気自動車および電力貯蔵システムでは、負極活物質層が珪素を構成元素とする複数の負極活物質繊維を含んで構成されているので、負極活物質層での充放電時における膨張および収縮に伴う局所的な応力集中が緩和される。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極によれば、負極活物質層を、珪素を含有する複数の負極活物質繊維を用いて構成するようにしたので、充放電時における負極活物質層での膨張および収縮に伴う局所的な応力集中の緩和により、負極活物質層の割れなどの構造破壊が抑制されると共に負極活物質層と負極集電体との密着性および集電性が向上する。そのため、このリチウムイオン二次電池用負極をリチウムイオン二次電池に適用すれば、負極活物質として珪素を用いることで高容量化を図りつつ、優れたサイクル特性をも得ることができる。また、本発明の電動工具、電気自動車および電力貯蔵システムによれば、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を用いるようにしたので、より長期間に亘る使用が可能となる。
本発明の第1の実施の形態としてのリチウムイオン二次電池用負極を表す概略断面図である。 図1に示した負極活物質層の詳細な構成を表す断面図である。 図1に示したリチウムイオン二次電池用負極の製造に用いる蒸着装置の構成を表す概略図である。 図1に示したリチウムイオン二次電池用負極における負極活物質繊維の形状に関する変形例を表す断面の模式図である。 本発明の第2の実施の形態としてのリチウムイオン二次電池用負極を表す概略断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池用負極を用いた第1の二次電池の構成を表す断面図である。 図6に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池用負極を用いた第2の二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図8に示した巻回電極体のIX−IX切断線に沿った構成を表す断面図である。 図9に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池用負極を用いた第3の二次電池の構成を表す断面図である。 図11に示した巻回電極体のXII−XII切断線に沿った構成を表す断面図である。 実験例のリチウムイオン二次電池用負極の断面を表す電子顕微鏡の画像である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(負極:負極活物質層が粒子状でない場合の例)
2.第2の実施の形態(負極:負極活物質層が粒子状である場合の例)
3.第3の実施の形態(上記負極を備えた第1〜第3の二次電池の例)
3−1.第1の二次電池(円筒型)
3−2.第2の二次電池(ラミネートフィルム型)
3−3.第3の二次電池(角型)
4.リチウムイオン二次電池の用途
[1.第1の実施の形態]
<負極の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態としてのリチウムイオン二次電池用負極(以下単に「負極」という。)10における概略断面構成を表している。負極10は、例えば負極集電体101の表面に負極活物質層102が設けられた構造を有している。なお、負極活物質層102は、図1に示したように負極集電体101の両面に設けてもよいし、あるいは一方の面のみに設けてもよい。
負極集電体101は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する金属材料により構成されているのが好ましい。この金属材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどが挙げられる。中でも、金属材料としては、銅が好ましい。高い電気伝導性が得られるからである。
特に、負極集電体101を構成する金属材料としては、電極反応物質と金属間酸化物を形成しない1種あるいは2種以上の金属元素を含有するものが好ましい。電極反応物質と金属間酸化物を形成すると、充放電時における負極活物質層102の膨張および収縮による応力の影響を受けて破損するため、集電性が低下したり負極活物質層102が剥離したりしやすくなるからである。この金属元素としては、例えば、銅、ニッケル、チタン(Ti)、鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)などが挙げられる。
また、上記した金属材料としては、負極活物質層102と合金化する1種あるいは2種以上の金属元素を含有するものが好ましい。負極集電体101と負極活物質層102との間の密着性が向上するため、その負極活物質層102が負極集電体101から剥離しにくくなるからである。電極反応物質と金属間酸化物を形成せず、しかも負極活物質層102と合金化する金属元素としては、例えば、負極活物質層102の負極活物質が珪素(Si)を有する場合には、銅、ニッケルあるいは鉄などが挙げられる。これらの金属元素は、強度および導電性の観点からも好ましい。
なお、負極集電体101は、単層構造を有していてもよいし、多層構造を有していてもよい。この負極集電体101が多層構造を有する場合には、例えば、負極活物質層102と隣接する層がそれと合金化する金属材料によって構成される一方で、隣接しない層が他の金属材料によって構成されるのが好ましい。
負極集電体101の表面は、粗面化されているのが好ましい。いわゆるアンカー効果によって負極集電体101と負極活物質層102との間の密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層102と対向する負極集電体101の表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法としては、例えば、電解処理によって微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中において電解法によって負極集電体101の表面に微粒子を形成することにより凹凸を設ける方法である。この電解処理が施された銅箔は、一般に「電解銅箔」と呼ばれている。
この負極集電体101の表面の十点平均粗さRzは、例えば1.5μm以上6.5μm以下の範囲内であるのが好ましい。負極集電体101と負極活物質層102との間の密着性がより高くなるからである。
図2は、負極活物質層102の詳細な断面構成を表すものである。図2に示したように、負極活物質層102は負極活物質繊維4を複数含んでいる。複数の負極活物質繊維4は負極集電体101の表面に沿って面内方向に並んでおり、それぞれ例えばS字形状を繰り返すように蛇行しながら負極活物質層102の厚さ方向に延在している。負極活物質繊維4は、さらに、負極活物質層102の厚さ方向において、他の領域よりも高い酸素含有率を有する層状の高濃度酸素含有領域3(以下、単に酸素含有領域3という。)を含んでいる。詳細には、負極活物質繊維4は、例えば互いに異なる方向(図2では反対向きの例を示す)に湾曲する一対の湾曲部4A,4Bが、酸素含有領域3において連結されることによりS字形状となっている。すなわち、負極活物質層102は、湾曲部4Aを含む層状の第1の領域1と、酸素含有領域3と、湾曲部4Bを含む層状の第2の領域2と、酸素含有領域3とが順に繰り返し積層された多層構造を有している。なお、この多層構造における第1の領域1および第2の領域2の積層数は、図2に示したものに限定されるものではなく、適宜選択可能なものである。また、図2では、負極活物質繊維4が、負極集電体101と接する位置から負極活物質層102の最上面に至るまで連続した紐状の組織を構成する場合を例示しているが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。負極活物質繊維4は、負極活物質層102の厚さ方向において途中で途切れていてもよい。
負極活物質繊維4とは、例えばTEMなどの電子顕微鏡によって観察される負極活物質からなる糸状の組織であり、そのアスペクト比(径と長さとの比)が1:10以上であり、かつ、その径の最大値が50nm以下のものをいう。例えば電子ビーム蒸着法などの気相法によって形成される場合、複数の負極活物質繊維4の各々は、互いに異なる箇所を基点として独立して成長することによって得られる。
第1の領域1、酸素含有領域3、および第2の領域2の厚さは、それぞれ、例えば50nm以上3000nm以下、10nm以上200nm以下、および50nm以上3000nm以下である。
この負極活物質は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極材料である珪素(Si)を構成元素として含有するものである。珪素はリチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができる。この負極材料は、珪素の単体、合金あるいは化合物であってもよいし、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有するものであってもよい。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてよい。なお、本実施の形態における合金には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。もちろん、本実施の形態における合金は、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらの2種以上が共存するものもある。
珪素の合金としては、例えば、珪素以外の第2の構成元素として、スズ(Sn),ニッケル,銅,鉄,コバルト(Co),マンガン(Mn),亜鉛(Zn),インジウム(In),銀(Ag),チタン,ゲルマニウム(Ge),ビスマス(Bi),アンチモン(Sb),砒素(As),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),アルミニウム(Al)およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。特に、鉄、コバルト、ニッケル、ゲルマニウム、スズ、砒素、亜鉛、銅、チタン、クロム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムまたは銀を第2の構成元素として負極活物質に適量加えることで、珪素の単体からなる負極活物質と比べ、エネルギー密度の向上が見込まれる。これらのエネルギー密度の向上が見込まれる第2の構成元素が、負極活物質のうち、例えば1.0原子数%(at%)以上40原子数%以下の割合で含まれるようにすると、二次電池としての放電容量維持率の向上に対する寄与が明確に現れる。
珪素の化合物としては、例えば、珪素以外の構成元素として、酸素(O)あるいは炭素(C)を有するものなどが挙げられる。なお、珪素の化合物は、例えば、珪素以外の構成元素として、上述した第2の元素の1種あるいは2種以上を含んでいてもよい。
また、酸素含有領域3では、少なくとも一部の酸素が一部の珪素と結合しているのが好ましい。この場合には、結合の状態が一酸化珪素や二酸化珪素であってもよいし、他の準安定状態であってもよい。
また、負極活物質は、さらに、鉄、コバルト、ニッケル、チタン、クロムおよびモリブデン(Mo)からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を有しているのが好ましい。負極活物質層102の膨張および収縮が抑制されるからである。
この負極活物質層102は、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法、焼成法あるいはそれらの2種以上の方法を用いて形成されている。特に、気相法を用いて負極活物質層102が形成されており、その負極活物質層102が負極集電体101との界面の少なくとも一部において合金化しているのが好ましい。具体的には、両者の界面において、負極集電体101の構成元素が負極活物質層102に拡散していてもよいし、負極活物質層102の構成元素が負極集電体101に拡散していてもよいし、両者の構成元素が互いに拡散しあっていてもよい。充放電時の膨張および収縮に起因して負極活物質層102が破損しにくくなると共に、負極集電体101と負極活物質層102との間において電子伝導性が向上するからである。
負極活物質層102が珪素と共に鉄、コバルト、ニッケル、チタン、クロムおよびモリブデンなどの金属元素を負極活物質の構成元素として含む場合、負極活物質層102は、例えば、気相法として蒸着法を用いてその負極活物質を堆積させる際、金属元素を混合させた蒸着源を用いたり、多元系の蒸着源を用いたりすることにより形成可能である。
また、酸素含有領域3については、例えば気相法を用いて負極活物質を堆積させる際、チャンバ内に断続的に酸素ガスもしくは窒素ガスを導入することにより形成可能である。特に、酸素ガスや窒素ガスを導入しただけでは所望の酸素含有率もしくは窒素含有率が得られない場合には、チャンバ内に液体(例えば水蒸気など)を導入してもよい。なお、酸素含有領域3と、それ以外の領域(第1および第2の領域1,2)との境界は明確であってもよいし、不明確であってもよい。すなわち、酸素含有領域3と、第1および第2の領域1,2との境界近傍では、酸素含有率の変化が連続的であってもよいし、不連続であってもよい。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法、より具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition )法、プラズマ化学気相成長法あるいは溶射法などが挙げられる。液相法としては、電気鍍金あるいは無電解鍍金などの公知の手法を用いることが可能である。焼成法とは、例えば、粒子状の負極活物質と結着剤などとを混合して溶剤に分散させることにより塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が使用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法あるいはホットプレス焼成法などが挙げられる。
負極活物質層102は、上述したように、第1の領域1と酸素含有領域3と第2の領域2とを順に有するユニットが繰り返し積層された多層構造を有している。負極活物質層102が多層構造を有することにより、充放電時の負極活物質の膨張収縮に起因する負極活物質層102の内部応力が緩和され易くなる。また、成膜時に高熱を伴う蒸着法などを用いて負極活物質層102を形成する場合に、その負極活物質層102の成膜工程を多数回に分割して行う(負極活物質層102を順次形成して積層させる)ことで以下の利点が得られる。すなわち、1回の成膜処理で単層構造の負極活物質層102を形成する場合と比較して負極集電体101が高熱に晒される時間を短縮でき、その負極集電体101の受ける熱的ダメージを低減することができる。
<負極の製造方法>
負極10は、例えば、以下の手順によって製造される。具体的には、まず、負極集電体101を準備し、必要に応じて負極集電体101の表面に粗面化処理を施す。そののち、その負極集電体101の表面に気相法など上述した方法を用い、複数回に亘って上述した負極活物質を含む第1の領域1、酸素含有領域3および第2の領域2を順次堆積させることにより、多層構造の負極活物質層102を形成する。なお、気相法による場合には、負極集電体101を固定したまま負極活物質を堆積させてもよいし、負極集電体101を回転させながら負極活物質を堆積させてもよい。
ここでは、特に図3に示した電子ビーム蒸着装置(以下、単に蒸着装置という。)を用いた真空蒸着法により負極活物質層102を形成する場合について例示し、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態の負極の製造に好適な蒸着装置の構成を表す概略図である。この蒸着装置は、坩堝31A,31Bに収容された蒸着物質32A,32Bを蒸発させ、それをキャンロール40A,40Bに保持された帯状の金属箔などからなる被蒸着物としての負極集電体101の表面に堆積させることで負極活物質層102を形成するものである。
この蒸着装置は、蒸着処理槽20の内部に、蒸発源30A,30B、キャンロール(成膜ロール)40A,40B、シャッタ60A,60B、巻き取りローラー7,8、ガイドローラー11〜15、およびフィードローラー16を備えるようにしたものである。蒸着処理槽20の外側には真空排気装置17が設けられている。
蒸着処理槽20は、仕切板18によって、蒸発源設置室20A,20Bと、被蒸着物走行室20Cとの2つの空間に仕切られている。蒸発源設置室20Aと蒸発源設置室20Bとは隔壁19によって隔離されている。蒸発源設置室20Aには蒸発源30Aのほかシャッタ60Aが設置され、一方の蒸発源設置室20Bには蒸発源30Bのほかシャッタ60Bが設置されている。これらの蒸発源30A,30Bおよびシャッタ60A,60Bの詳細については後に説明する。また、蒸着処理槽20には、図示しないガス導入口が設けられており、酸素ガスの供給が可能となっている。
被蒸着物走行室20Cには、蒸発源30A,30Bの上方に、それぞれキャンロール40A,40Bが設置されている。但し、仕切板18には、キャンロール40A,40Bに対応した2箇所に開口18A,18Bが設けられ、キャンロール40A,40Bの一部が蒸発源設置室20A,20Bに突き出した状態となっている。さらに被蒸着物走行室20Cには、負極集電体101を保持し、かつ、その長尺方向に走行させる手段として、巻き取りローラー7,8、ガイドローラー11〜15、およびフィードローラー16がそれぞれ所定位置に配置されている。
ここで、負極集電体101は、その一端側が例えば巻き取りローラー7に巻き取られた状態となっており、巻き取りローラー7から順にガイドローラー11、キャンロール40A、ガイドローラー12、フィードローラー16、ガイドローラー13、ガイドローラー14、キャンロール40Bおよびガイドローラー15を経由して他端側が巻き取りローラー8に取り付けられた状態となっている。負極集電体101は、巻き取りローラー7,8、ガイドローラー11〜15、およびフィードローラー16の各外周面と接するように配設されている。なお、負極集電体101のうちの一方の面(表面)がキャンロール40Aと接し、他方の面(裏面)がキャンロール40Bと接するようになっている。巻き取りローラー7,8が駆動系となっているので、負極集電体101は、巻き取りローラー7から巻き取りローラー8へ順次搬送可能であると共に巻き取りローラー8から巻き取りローラー7へ順次搬送可能ともなっている。なお、図3は、巻き取りローラー7から巻き取りローラー8へ向けて負極集電体101が走行する様子に対応しており、図中の矢印は負極集電体101が移動する方向を表している。さらに、この蒸着装置ではフィードローラー16も駆動系となっている。
キャンロール40A,40Bは負極集電体101を保持するための、例えば円筒状をなす回転体(ドラム)であり、回転(自転)することにより順次その外周面の一部が蒸発源設置室20A,20Bに進入し、蒸発源30A,30Bと対向するようになっている。ここで、キャンロール40A,40Bの外周面のうち、蒸発源設置室20A,20Bに進入した部分41A,41Bが蒸発源30A,30Bからの蒸着物質32A,32Bによって薄膜が形成される蒸着領域となる。
蒸発源30A,30Bは、例えば窒化ホウ素(BN)からなる坩堝31A,31Bに単結晶のケイ素と炭素とを含む蒸着物質32A,32Bが収容されたものであり、蒸着物質32A,32Bが加熱されることにより蒸発(気化)するようになっている。具体的には、蒸発源30A,30Bは例えば電子銃(図示せず)をさらに備えており、この電子銃の駆動によって放出される熱電子が、例えば偏向ヨーク(図示せず)によって電磁気的に飛程を制御されつつ坩堝31A,31Bに収容された蒸着物質32A,32Bへと照射されるように構成されている。蒸着物質32A,32Bは、電子銃からの熱電子の照射によって加熱され、溶融したのち徐々に蒸発することとなる。
坩堝31A,31Bは、窒化ホウ素のほか、例えば酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウムまたは酸化硅素などの酸化物によって構成されており、蒸着物質32A,32Bに対する熱電子の照射に伴う坩堝31A,31Bの過度な温度上昇から守るため、その周囲の一部(例えば底面)が冷却系(図示せず)と接するように構成されていてもよい。冷却系としては、例えばウォータジャケットのような水冷方式の冷却装置などが好適である。
シャッタ60A,60Bは、蒸発源30A,30Bとキャンロール40A,40Bとの間に配置され、坩堝31A,31Bからキャンロール40A,40Bに保持される負極集電体101へ向かう気相状態の蒸着物質32A,32Bの通過を制御する開閉可能な機構である。すなわち、蒸着処理中には開状態となり、坩堝31A,31Bから蒸発した気相状態の蒸着物質32A,32Bの通過を許可する一方、蒸着処理の前後においては、その通過を遮断するものである。シャッタ60A,60Bは、制御回路系(図示せず)と接続されており、開状態または閉状態とする指令信号が入力されることにより、駆動するようになっている。
この蒸着装置を用いて本実施の形態の負極を製造するには、以下のようにして行う。具体的には、まず、負極集電体101の巻回物を巻き取りローラー7に取り付けると共に、その外周側の端部を引き出し、その端部をガイドローラー11、キャンロール40A、ガイドローラー12、フィードローラー16、ガイドローラー13、ガイドローラー14、キャンロール40Bおよびガイドローラー15を順に経由させて巻き取りローラー8の嵌合部(図示せず)に取り付ける。
次に、真空排気装置17によって排気を行い、蒸着処理槽20の内部の真空度が所定値(例えば10-3 Pa程度)となるようにする。なお、この時点では、シャッタ60A,60Bを閉状態としておく。シャッタ60A,60Bを閉じた状態のまま、坩堝31A,31Bに収容された蒸着物質32A,32Bを加熱し、その蒸発(気化)を開始させる。この状態で、水晶モニタなど(図示せず)によって坩堝31A,31Bに収容された蒸着物質32A,32Bの蒸発レートの観測を開始し、蒸発を開始させてから所定時間が経過した時点で蒸発レートが目標値に到達したか否か、および安定したか否かを判断する。そこで、蒸発レートが目標値に達し、かつ、安定していることが確認できた場合には、蒸着処理槽20へ所定量の酸素ガスを導入しつつ、巻き取りローラー8などを駆動させることで負極集電体101の走行を開始させると共にシャッタ60A,60Bを開状態とする。これにより、気化した蒸着物質32A,32Bが開状態となったシャッタ60A,60Bを通過してキャンロール40A,40Bに保持された負極集電体101へ到達し、負極集電体101の両面への蒸着が開始される。この結果、負極集電体101の走行速度と蒸着物質32A,32Bの蒸発レートとを調整することで、所定の厚みを有する負極活物質層102を形成することができる。
なお、ここでは、巻き取りローラー7から巻き取りローラー8への走行(便宜上、順方向の走行という。)を行いながら負極集電体101に負極活物質層102を形成する場合について説明したが、それとは逆方向の走行、すなわち、負極集電体101を巻き取りローラー8から巻き取りローラー7へ向かうように走行させながら負極活物質層102を形成するようにしてもよい。その場合には、巻き取りローラー7,8、ガイドローラー11〜15、フィードローラー16およびキャンロール40A,40Bを逆方向に回転させればよい。また、負極活物質層102の形成は、負極集電体101を複数回に亘って走行させることにより行う。
また、負極活物質繊維4の形状は、蒸発源30A,30Bから蒸発した蒸着物質32A,32Bの負極集電体101への入射角度を主に調整することにより、適宜変化させることができる。その入射角度は、例えばキャンロール40A,40Bの外周面のうちの部分41A,41Bに対応する位置(以下、蒸着位置という。)での負極集電体101の曲率半径のほか、仕切板18に設けられた開口18A,18Bの大きさや、キャンロール40A,40B、開口18A,18Bおよび蒸発源30A,30Bの相対位置によって調整される。蒸着位置での負極集電体101の曲率半径は、例えばキャンロール40A,40Bの曲率半径、あるいはキャンロール40A,40Bに対するガイドローラー11〜15の相対位置などを変更すればよい。
<本実施の形態の作用および効果>
このように本実施の形態の負極10によれば、負極活物質層102が、珪素を構成元素とする負極活物質繊維4を複数含むようにしたので、負極活物質層102において充放電時の膨張および収縮によって発生する応力が緩和される。特に、負極活物質繊維4がS字形状をなし、かつ、酸素含有領域3を含むようにしたので、十分な応力緩和効果が発揮され、負極活物質層102の膨張および収縮がいっそう抑制される。したがって、負極活物質層102の構造破壊が抑制されると共に、多層構造における各層間の密着性、ならびに負極活物質層102と負極集電体101との密着性および集電性が向上する。そのため、この負極10をリチウムイオン二次電池に適用すると、負極活物質として珪素を用いることで高容量化を図りつつ、優れたサイクル特性をも得ることができる。
なお、図2では、第1の領域1と第2の領域2とが同じ厚みである例を表しているが、これに限定されるものではない。また、負極活物質層102は、負極活物質のほか、必要に応じて結着剤や導電剤などを含んでいてもよい。
また、本実施の形態では、負極活物質繊維4の形状をS字形状としたが、本発明はこれに限定されるものではない。負極活物質繊維4は、例えば、図4(A)〜4(E)に模式図として表したような他の形状をも取り得るものである。詳細には、図4(A)は、負極活物質繊維4が、互いに連結された一対の直線部4A1,4B1によって構成された例を示す。図4(B)は、負極活物質繊維4が、互いに連結された一対の曲線部4A2,4B2によって一の連続した湾曲線を描くように構成された例を示す。図4(C)は、負極活物質繊維4が、負極集電体101の側から順に配置されて互いに連結された一の直線部4A3と、一の曲線部4B3とによって構成された例を示す。図4(D)は、負極活物質繊維4が、互いに連結された一の曲線部4A4と一の曲線部4B4とによって一の不連続な曲線を描くように構成された例を示す。ここで、曲線部4A4と曲線部4B4とは、互いに同方向に湾曲するものである。図4(E)は、負極活物質繊維4が、負極集電体101の側から順に配置されて互いに連結された一の曲線部4A5と一の直線部4B5とによって構成された例を示す。これらの形状の負極活物質繊維4であっても、ある程度の応力緩和の効果が発揮され得る。
[2.第2の実施の形態]
<負極の構成>
図5は、本発明の第2の実施の形態としての負極10Aの要部断面構成を模式的に表している。この負極10Aは、上記第1の実施の形態の負極10と同様、リチウムイオン二次電池に用いられるものである。なお、以下の説明では、上述した負極10と実質的に同一の構成要素についての構成、作用および効果の記載を省略することとする。
図5に示したように、負極10Aは、負極集電体101の上に、複数の負極活物質粒子6を含む負極活物質層102Aが設けられた構造を有している。負極活物質粒子6の各々は、負極集電体101に立設するように負極活物質層102Aの厚み方向に延在している。さらに、負極活物質粒子6の各々は、第1の実施の形態と同様の負極活物質繊維4の部分を各層に複数含む多層構造を有している。なお、図5では、負極活物質繊維4の図示を省略している。この場合も、負極活物質繊維4は、互いに反対向きの方向に湾曲する一対の湾曲部が酸素含有領域3において連結されてなり、S字形状を繰り返すように蛇行しながら負極活物質層102Aの厚さ方向に延在しているとよい。すなわち、負極活物質粒子6は、一方の湾曲部を含む層状の第1の領域1と、酸素含有領域3と、他方の湾曲部を含む層状の第2の領域2と、酸素含有領域3とが順に繰り返し積層された多層構造を有している。なお、この多層構造における第1の領域1および第2の領域2の積層数は、図5に示したものに限定されるものではなく、適宜選択可能なものである。また、本実施の形態においても、負極活物質繊維4の形状はS字形状に限定されるものではなく、例えば図4(A)〜4(E)に示したような他の形状をも取り得る。
<負極の製造方法>
負極活物質粒子6は、上記第1の実施の形態と同様に、例えば、気相法、液相法、溶射法または焼成法のいずれか、あるいはそれらの2種以上の方法によって形成されるものである。特に、気相法を用いると、負極集電体101と負極活物質粒子6とがそれらの界面において合金化し易いので好ましい。合金化は、負極集電体101の構成元素が負極活物質粒子6へ拡散することでなされてもよいし、その逆でもよい。あるいは、負極集電体101の構成元素と負極活物質粒子6の構成元素である珪素とが相互に拡散し合うことによってなされてもよい。このような合金化により、充放電時の膨張および収縮に起因する負極活物質粒子6の構造的な破壊が抑制され、負極集電体101と負極活物質粒子6との間における導電性が向上する。
<本実施の形態の作用および効果>
このように、本実施の形態の負極10Aでは、負極集電体101に設けられた負極活物質層102Aを構成する負極活物質粒子6を、各層に負極活物質繊維4を複数含む多層構造とした。これにより、負極活物質層102Aにおいて充放電時の膨張および収縮によって発生する応力が緩和される。したがって、負極活物質層102Aの構造破壊が抑制されると共に、多層構造における各層間の密着性、ならびに負極活物質層102Aと負極集電体101との密着性および集電性が向上する。よって、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
[3.第3の実施の形態]
次に、上記第1および第2の実施の形態で説明した負極10,10Aの使用例について説明する。ここでは、負極10,10Aが使用されるリチウムイオン二次電池として第1〜第3の二次電池を例示して説明する。
<3−1.第1の二次電池(円筒型)>
図6および図7は第1の二次電池の断面構成を表しており、図7では図6に示した巻回電極体120の一部を拡大して示している。ここで説明する二次電池は、例えば、負極122の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。
(第1の二次電池の全体構成)
この二次電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶111の内部に、セパレータ123を介して正極121と負極122とが巻回された巻回電極体120と、一対の絶縁板112,113とが収納されたものである。この電池缶111を含む電池構造は、円筒型と呼ばれている。
電池缶111は、例えば、鉄、アルミニウムあるいはそれらの合金などの金属材料によって構成されており、その一端部は閉鎖されていると共に他端部は開放されている。一対の絶縁板112,113は、巻回電極体120を挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶111の開放端部には、電池蓋114と、その内側に設けられた安全弁機構115および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)116とがガスケット117を介してかしめられて取り付けられている。これにより、電池缶111の内部は密閉されている。電池蓋114は、例えば、電池缶111と同様の材料によって構成されている。安全弁機構115は、熱感抵抗素子116を介して電池蓋114と電気的に接続されている。この安全弁機構115では、内部短絡、あるいは外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板115Aが反転して電池蓋114と巻回電極体120との間の電気的接続が切断されるようになっている。熱感抵抗素子116は、温度の上昇に応じた抵抗の増大によって電流を制限し、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット117は、例えば、絶縁材料によって構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体120の中心には、センターピン124が挿入されていてもよい。この巻回電極体120では、アルミニウムなどの金属材料によって構成された正極リード125が正極121に接続されていると共に、ニッケルなどの金属材料によって構成された負極リード126が負極122に接続されている。正極リード125は、安全弁機構115に溶接されて電池蓋114と電気的に接続されており、負極リード126は、電池缶111に溶接されて電気的に接続されている。
(正極)
正極121は、例えば、一対の面を有する正極集電体121Aの両面に正極活物質層121Bが設けられたものである。この正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケル、あるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。なお、正極活物質層121Bは、正極活物質を含んでおり、必要に応じて結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
正極活物質は、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。この正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、あるいはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられ、特に、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、例えば、Lix M1O2 あるいはLiy M2PO4 で表される。式中、M1およびM2は、1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は、二次電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni(1-z) Coz 2 (z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Lix Ni(1-v-w) Cov Mnw 2 (v+w<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。中でも、コバルトを含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe(1-u) Mnu PO4 (u<1))などが挙げられる。
この他、正極材料としては、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物あるいは導電性高分子などが挙げられる。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどである。
もちろん、正極材料は、上記以外のものでもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
正極結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
正極導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックあるいはケチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などでもよい。
(負極)
負極122は、上記した負極10もしくは負極10と同様の構成を有しており、例えば、一対の面を有する負極集電体122Aの両面に負極活物質層122Bが設けられたものである。負極集電体122Aおよび負極活物質層122Bの構成は、それぞれ上記した負極における負極集電体101および負極活物質層102の構成と同様である。この負極122では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量が正極121の充電容量よりも大きくなっているのが好ましい。満充電時においても、負極122にリチウムがデンドライトとなって析出する可能性が低くなるからである。
(セパレータ)
セパレータ123は、正極121と負極122とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡(ショート)を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ123は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などによって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は、ショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による二次電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下でシャットダウン効果を得ることができると共に、電気化学的安定性が優れているので好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であれば、ポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたものや、ブレンド化したものであってもよい。
(電解液)
このセパレータ123には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒は、例えば、有機溶剤などの非水溶媒のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。以下で説明する一連の溶媒(非水溶媒)は、単独でもよいし、2種以上混合されてもよい。
非水溶媒としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタンあるいはテトラヒドロフランである。2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサンあるいは1,4−ジオキサンである。酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルあるいはトリメチル酢酸エチルである。アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンあるいはN−メチルオキサゾリジノンである。N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルあるいはジメチルスルホキシドである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種が好ましい。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。この場合には、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、ハロゲン化鎖状炭酸エステルおよびハロゲン化環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。充放電時において負極122の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。なお、ハロゲン化鎖状炭酸エステルとは、ハロゲンを構成元素として含む鎖状炭酸エステルであり、詳細には、鎖状炭酸エステルのうちの少なくとも一部の水素がハロゲンにより置換されたものである。また、ハロゲン化環状炭酸エステルとは、ハロゲンを構成元素として含む環状炭酸エステルであり、詳細には、環状炭酸エステルのうちの少なくとも一部の水素がハロゲンにより置換されたものである。
ハロゲンの種類は、特に限定されないが、中でも、フッ素、塩素あるいは臭素が好ましく、フッ素がより好ましい。他のハロゲンよりも高い効果が得られるからである。ただし、ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上でもよい。保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
ハロゲン化鎖状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)あるいは炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。ハロゲン化環状炭酸エステルとしては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。このハロゲン化環状炭酸エステルには、幾何異性体も含まれる。溶媒中におけるハロゲン化鎖状炭酸エステルおよびハロゲン化環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%以上50重量%以下である。
また、溶媒は、不飽和炭素結合環状炭酸エステルを含んでいることが好ましい。充放電時において負極42の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。なお、不飽和炭素結合環状炭酸エステルとは、不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルであり、詳細には、環状炭酸エステルのうちのいずれかの箇所に不飽和炭素結合が導入されたものである。不飽和炭素結合環状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸ビニレンあるいは炭酸ビニルエチレンなどが挙げられる。溶媒中における不飽和炭素結合環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%以上10重量%以下である。
また、溶媒は、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が向上するからである。スルトンとしては、例えば、プロパンスルトンあるいはプロペンスルトンなどが挙げられる。溶媒中におけるスルトンの含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が向上するからである。酸無水物としては、例えば、例えば、カルボン酸無水物、ジスルホン酸無水物あるいはカルボン酸スルホン酸無水物などが挙げられる。カルボン酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸あるいは無水マレイン酸などである。ジスルホン酸無水物は、例えば、無水エタンジスルホン酸あるいは無水プロパンジスルホン酸などである。カルボン酸スルホン酸無水物は、例えば、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸あるいは無水スルホ酪酸などである。溶媒中における酸無水物の含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種類あるいは2種類以上を含んでいる。以下で説明する一連の電解質塩は、単独でもよいし、2種以上混合されてもよい。
リチウム塩としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )あるいは六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )である。テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )あるいはテトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )である。六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)である。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムのうちの少なくとも1種が好ましい。また、六フッ化リン酸リチウムおよび四フッ化ホウ酸リチウムがより好ましく、六フッ化リン酸リチウムがさらに好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下であることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
なお、電解液は、溶媒および電解質塩と共に、各種の添加剤を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。
この添加剤としては、例えば、スルトン(環状スルホン酸エステル)が挙げられる。このスルトンは、例えば、プロパンスルトンあるいはプロペンスルトンなどであり、中でも、プロペンスルトンが好ましい。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
また、添加剤としては、例えば、酸無水物が挙げられる。この酸無水物は、例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物あるいはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物や、エタンジスルホン酸無水物あるいはプロパンジスルホン酸無水物などのジスルホン酸無水物や、スルホ安息香酸無水物、スルホプロピオン酸無水物あるいはスルホ酪酸無水物などのカルボン酸とスルホン酸との無水物などであり、中でも、スルホ安息香酸無水物あるいはスルホプロピオン酸無水物が好ましい。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
(二次電池の製造方法)
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
まず、正極121を作製する。最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体121Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて正極活物質層121Bを形成する。最後に、必要に応じて加熱しながら、ロールプレス機などを用いて正極活物質層121Bを圧縮成型する。この場合には、複数回に渡って圧縮成型を繰り返してもよい。
次に、上記した負極10などと同様の手順により、負極122を作製する。この場合には、負極集電体122Aを準備したのち、その負極集電体122Aの両面に第1の領域、酸素含有領域および第2の領域を順次形成するなどして負極活物質層122Bを作製する。
最後に、正極121および負極122を用いて二次電池を組み立てる。最初に、正極集電体121Aに正極リード125を溶接などして取り付けると共に、負極集電体122Aに負極リード126を溶接などして取り付ける。続いて、セパレータ123を介して正極121と負極122とを積層および巻回させて巻回電極体120を作製したのち、その巻回中心にセンターピン124を挿入する。続いて、一対の絶縁板112,113で挟みながら巻回電極体120を電池缶111の内部に収納する。この場合には、正極リード125を安全弁機構115に溶接などして取り付けると共に、負極リード126を電池缶111に溶接などして取り付ける。続いて、電池缶111の内部に電解液を注入してセパレータ123に含浸させる。最後に、ガスケット117を介して電池缶111の開口端部に電池蓋114、安全弁機構115および熱感抵抗素子116をかしめる。これにより、図6および図7に示した二次電池が完成する。
(二次電池の動作)
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極121からリチウムイオンが放出され、セパレータ123に含浸された電解液を介して負極122に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極122からリチウムイオンが放出され、セパレータ123に含浸された電解液を介して正極121に吸蔵される。
(二次電池の効果)
この二次電池によれば、負極122が図1に示した負極10と同様の構成を有しているので、高容量化を図りつつ、サイクル特性を向上させることができる。この二次電池に関する他の効果は、上記した負極10と同様である。
<3−2.第2の二次電池(ラミネートフィルム型)>
図8は、第2の二次電池の分解斜視構成を表しており、図9は、図8に示した巻回電極体130のIX−IX線に沿った断面を拡大して示している。
この二次電池は、例えば、第1の二次電池と同様にリチウムイオン二次電池であり、主に、フィルム状の外装部材140の内部に、正極リード131および負極リード132が取り付けられた巻回電極体130が収納されたものである。このような外装部材140を用いた電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード131および負極リード132は、例えば、いずれも外装部材140の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。ただし、巻回電極体130に対する正極リード131および負極リード132の設置位置や、それらの導出方向などは、特に限定されない。正極リード131は、例えば、アルミニウムなどにより構成されており、負極リード132は、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。これらの材料は、例えば、薄板状あるいは網目状になっている。
外装部材140は、例えば、融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムである。この場合には、例えば、融着層が巻回電極体130と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外縁部同士が融着、あるいは接着剤などにより貼り合わされている。融着層は、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレンなどのフィルムである。金属層は、例えば、アルミニウム箔などである。表面保護層は、例えば、ナイロンあるいはポリエチレンテレフタレートなどのフィルムである。
中でも、外装部材140としては、ポリエチレンフィルム、アルミニウム箔およびナイロンフィルムがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムが好ましい。ただし、外装部材140は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムでもよい。
外装部材140と正極リード131および負極リード132との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム141が挿入されている。この密着フィルム141は、正極リード131および負極リード132に対して密着性を有する材料により構成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
巻回電極体130は、図9に示したように、セパレータ135および電解質層136を介して正極133と負極134とが積層および巻回されたものであり、その最外周部は、保護テープ137により保護されている。正極133は、例えば、正極集電体133Aの両面に正極活物質層133Bが設けられたものである。負極134は、例えば、負極集電体134Aの両面に負極活物質層134Bが設けられたものである。
図10は、図9に示した巻回電極体130の一部を拡大して表している。正極133は、例えば、一対の面を有する正極集電体133Aの両面に正極活物質層133Bが設けられたものである。負極134は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、一対の面を有する負極集電体134Aの両面に負極活物質層134Bが設けられたものである。正極集電体133A、正極活物質層133B、負極集電体134A、負極活物質層134Bおよびセパレータ135の構成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体121A、正極活物質層121B、負極集電体122A、負極活物質層122Bおよびセパレータ123の構成と同様である。
電解質層136は、高分子化合物により電解液が保持されたものであり、必要に応じて、各種添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。この電解質層136は、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に電解液の漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物としては、例えば、以下の高分子材料うちの少なくとも1種などが挙げられる。ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサンあるいはポリフッ化ビニルである。ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートである。フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体である。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリフッ化ビニリデン、あるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、第1の二次電池における電解液の組成と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層136において、電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、高分子化合物により電解液が保持されたゲル状の電解質層136に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、セパレータ135に電解液が含浸される。
このゲル状の電解質層136を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1の製造方法では、最初に、第1の二次電池における正極121および負極122と同様の手順により、正極133および負極134を作製する。具体的には、正極集電体133Aの両面に正極活物質層133Bを形成して正極133を作製すると共に、負極集電体134Aの両面に負極活物質層134Bを形成して負極134を作製する。続いて、電解液、高分子化合物および溶剤を含む前駆溶液を調製して正極133および負極134に塗布したのち、その溶剤を揮発させてゲル状の電解質層136を形成する。続いて、正極集電体133Aに正極リード131を溶接などして取り付けると共に、負極集電体134Aに負極リード132を溶接などして取り付ける。続いて、電解質層136が形成された正極133と負極134とをセパレータ135を介して積層および巻回したのち、その最外周部に保護テープ137を接着させて巻回電極体130を作製する。最後に、2枚のフィルム状の外装部材140の間に巻回電極体130を挟み込んだのち、その外装部材140の外縁部同士を熱融着などで接着させて巻回電極体130を封入する。この際、正極リード131および負極リード132と外装部材140との間に、密着フィルム141を挿入する。これにより、図8〜図10に示した二次電池が完成する。
第2の製造方法では、最初に、正極133に正極リード131を取り付けると共に、負極134に負極リード132を取り付ける。続いて、セパレータ135を介して正極133と負極134とを積層して巻回させたのち、その最外周部に保護テープ137を接着させて巻回電極体130の前駆体である巻回体を作製する。続いて、2枚のフィルム状の外装部材140の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させて、袋状の外装部材140の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材140の内部に注入したのち、その外装部材140の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とし、ゲル状の電解質層136を形成する。これにより、二次電池が完成する。
第3の製造方法では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ135を用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材140の内部に収納する。このセパレータ135に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体、あるいは多元共重合体など)が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種あるいは2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材140の内部に注入したのち、その外装部材140の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材140に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ135を正極133および負極134に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質層136が形成されるため、二次電池が完成する。
この第3の製造方法では、第1の製造方法よりも二次電池の膨れが抑制される。また、第3の製造方法では、第2の製造方法よりも高分子化合物の原料であるモノマーあるいは溶媒などが電解質層136中にほとんど残らないため、高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極133、負極134およびセパレータ135と電解質層136との間において十分な密着性が得られる。
この二次電池では、充電時において、例えば、正極133からリチウムイオンが放出され、電解質層136を介して負極134に吸蔵される。一方、放電時において、例えば、負極134からリチウムイオンが放出され、電解質層136を介して正極133に吸蔵される。
この第2の二次電池によれば、負極134が図1に示した負極10と同様の構成を有しているので、高容量化を図りつつ、サイクル特性を向上させることができる。この第2の二次電池に関する他の効果は、上記した負極10と同様である。
<3−3.第3の二次電池(角型)>
図11および図12は、第3の二次電池の断面構成を表している。図11に示された断面と図12に示された断面とは、互いに直交する位置関係にある。すなわち、図12は、図11に示したXII−XII線に沿った矢視方向における断面図である。この二次電池は、いわゆる角型といわれるものであり、ほぼ中空直方体形状をなす外装缶151の内部に、偏平形状の巻回電極体160を収容したリチウムイオン二次電池である。
外装缶151は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、負極端子としての機能も有している。この外装缶151は、一端部が閉鎖され他端部が開放されており、開放端部に絶縁板152および電池蓋153が取り付けられることにより外装缶151の内部が密閉されている。絶縁板152は、ポリプロピレンなどにより構成され、巻回電極体160の上に巻回周面に対して垂直に配置されている。電池蓋153は、例えば、外装缶151と同様の材料により構成され、外装缶151と共に負極端子としての機能も有している。電池蓋153の外側には、正極端子となる端子板154が配置されている。また、電池蓋153の中央付近には貫通孔が設けられ、この貫通孔に、端子板154に電気的に接続された正極ピン155が挿入されている。端子板154と電池蓋153との間は絶縁ケース156により電気的に絶縁され、正極ピン155と電池蓋153との間はガスケット157により電気的に絶縁されている。絶縁ケース156は、例えばポリブチレンテレフタレートにより構成されている。ガスケット157は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
電池蓋153の周縁付近には開裂弁158および電解液注入孔159が設けられている。開裂弁158は、電池蓋153と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合に開裂して内圧の上昇を抑えるようになっている。電解液注入孔159は、例えばステンレス鋼球よりなる封止部材159Aにより塞がれている。
巻回電極体160は、正極161と負極162とが、セパレータ163を間にして積層されて渦巻き状に巻回されたものであり、外装缶151の形状に合わせて偏平な形状に成形されている。巻回電極体160の最外周にはセパレータ163が位置しており、そのすぐ内側には正極161が位置している。図12では、正極161および負極162の積層構造を簡略化して示している。また、巻回電極体160の巻回数は、図11および図12に示したものに限定されず、任意に設定可能である。巻回電極体160の正極161にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード164が接続されており、負極162にはニッケルなどよりなる負極リード165が接続されている。正極リード164は正極ピン155の下端に溶接されることにより端子板154と電気的に接続されており、負極リード165は外装缶151に溶接され電気的に接続されている。
図11に示したように、正極161は、正極集電体161Aの一方の面または両面に正極活物質層161Bが設けられたものであり、負極162は、負極集電体162Aの一方の面または両面に負極活物質層162Bが設けられたものである。正極集電体161A、正極活物質層161B、負極集電体162A、負極活物質層162Bおよびセパレータ163の構成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体121A、正極活物質層121B、負極集電体122A、負極活物質層122Bおよびセパレータ123の構成と同様である。セパレータ163には、セパレータ123と同様の電解液が含浸されている。
この第3の二次電池は、例えば、以下のようにして製造することができる。
上記した第1の二次電池と同様に、正極161および負極162を、セパレータ163を介して巻回させることにより巻回電極体160を形成したのち、その巻回体160を外装缶151の内部に収容する。次いで、巻回電極体160の上に絶縁板152を配置し、負極リード165を外装缶151に溶接すると共に、正極リード164を正極ピン155の下端に溶接して、外装缶151の開放端部に電池蓋153をレーザ溶接により固定する。最後に、電解液を電解液注入孔159から外装缶151の内部に注入し、セパレータ163に含浸させ、電解液注入孔159を封止部材159Aで塞ぐ。これにより、図11および図12に示した二次電池が完成する。
この第3の二次電池によれば、負極162が上記した図1に示した負極10と同様の構成を有しているので、高容量化を図りつつ、サイクル特性を向上させることができる。この第3の二次電池に関する他の効果は、上記した負極10と同様である。
[4.リチウムイオン二次電池の用途]
次に、上記したリチウムイオン二次電池の適用例について説明する。
リチウムイオン二次電池の用途は、それを駆動用の電源あるいは電力蓄積用の電力貯蔵源などとして用いることが可能な機械、機器、器具、装置あるいはシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。リチウムイオン二次電池が電源として用いられる場合、それは主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、あるいは主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。この主電源の種類は、リチウムイオン二次電池に限られない。
リチウムイオン二次電池の用途としては、例えば、以下の用途などが挙げられる。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノートパソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビあるいは携帯用情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)などの携帯用電子機器である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源あるいはメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルあるいは電動のこぎりなどの電動工具である。ペースメーカーあるいは補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などの車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、上記以外の用途でもよい。
中でも、リチウムイオン二次電池は、電動工具、電気自動車あるいは電力貯蔵システムなどに適用されることが有効である。優れた電池特性(サイクル特性、保存特性および負荷特性など)が要求されるため、本発明のリチウムイオン二次電池を用いることにより、有効に特性向上を図ることができるからである。なお、電動工具は、リチウムイオン二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動する工具である。電気自動車は、リチウムイオン二次電池を駆動用電源として作動(走行)する自動車であり、上記したように、リチウムイオン二次電池以外の駆動源も併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、リチウムイオン二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源であるリチウムイオン二次電池に電力が蓄積されており、その電力が必要に応じて消費されるため、家庭用電気製品などの各種機器が使用可能になる。
本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する。
(実験例1−1)
以下の手順により、図11および図12に示した角型の二次電池を製造した。この際、負極162の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池となるようにした。
まず、正極161を作製した。すなわち、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを0.5:1のモル比で混合したのち、空気中において900℃で5時間焼成することにより、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。続いて、正極活物質としてリチウム・コバルト複合酸化物96質量部と、導電剤としてグラファイト1質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。最後に、帯状のアルミニウム箔(厚さ=15μm)からなる正極集電体161Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型することにより、正極活物質層161Bを形成した。こののち、正極集電体161Aの一端に、アルミニウム製の正極リード164を溶接して取り付けた。
次に、負極162を作製した。具体的には、電解銅箔からなる負極集電体162A(厚さ=10μm,十点平均粗さRz=4.0μm)を準備したのち、図3に示した蒸着装置を用い、電子ビーム蒸着法によって負極集電体162Aの両面に負極活物質としての珪素を複数回に亘って堆積させることにより、第1の領域1および第2の領域2の合計が20層となるように各々積層された負極活物質粒子6(図5参照を複数形成し、負極活物質層162Bを得た。この際、蒸着処理槽20の内部に間欠的に酸素ガスを導入しながら、所定の速度で走行する負極集電体162Aの表面に負極活物質を蒸着させ、厚さ4μmの負極活物質層162Bを形成した。このときの実質的な成膜レートは1〜100nm/秒となった。蒸発源としては、純度99.9%の単結晶珪素を用いた。ここでは、負極集電体101の表面に対して斜めの方向に蒸着物質32A,32Bを入射し、第1の領域1を作製する際には負極集電体101を順方向(巻き取りローラー7から巻き取りローラー8へ進行する方向)に走行させ、第2の領域2を作製する際には逆方向(巻き取りローラー8から巻き取りローラー7へ進行する方向)に走行させた。また、蒸着位置での負極集電体101の曲率半径を変更することにより、負極活物質繊維4の曲率半径を調整した。負極活物質層162Bを形成したのち、負極集電体162Aの一端に、ニッケル製の負極リード165を溶接して取り付けた。
このようにして得られた負極162の断面を拡大して観察したところ、図13(A)に示したように、負極集電体162Aの表面の突起部を基点としてその表面に直交する方向へ延在する複数の負極活物質粒子6が確認された。負極活物質粒子6の一部断面をさらに拡大して観察したところ、図13(B)に示したように、第1の領域1から酸素含有領域3を経由して第2の領域2に至るまで延在するS字形状の負極活物質繊維4が観察された。なお、図13(A)および図13(B)は、クロスセクションポリッシャーにより研磨して得た負極162の断面を、それぞれ走査型電子顕微鏡 (SEM;Scanning Electron Microscope)または透過型電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)によって観察した画像である。
続いて、23μm厚の微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ163を用意し、正極161と,セパレータ163と、負極162と、セパレータ163とを順に積層して積層体を形成したのち、この積層体を渦巻状に複数回巻回することで巻回電極体160を作製した。得られた巻回電極体160は、偏平な形状に成形した。
次に、偏平形状に成型された巻回電極体160を外装缶151の内部に収容したのち、巻回電極体160の上に絶縁板152を配置し、負極リード165を外装缶151に溶接すると共に、正極リード144を正極ピン155の下端に溶接して、外装缶151の開放端部に電池蓋153をレーザ溶接により固定した。そののち、電解液注入孔159から外装缶151の内部に電解液を注入した。電解液には、炭酸エチレン(EC)50重量%と炭酸ジエチル(DEC)50重量%とを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を1mol/dm3 の濃度で溶解させたものを用いた。最後に、電解液注入孔159を封止部材159Aで塞ぐことにより、角型の二次電池を得た。
(実験例1−2)
電子ビーム蒸着法により負極活物質層162Bを形成するにあたり、蒸着物質32A,32Bの負極集電体101への入射角度を0度とした(負極集電体101の表面に対して直交する方向に蒸着物質32A,32Bを入射した)ことを除き、他は実験例1−1と同様にして二次電池を作製した。これにより、負極活物質繊維4は、図4(A)に示したような、互いに連結された一対の直線部4A1,4B1によって構成されたものとなった。
(実験例1−3)
電子ビーム蒸着法により負極活物質層162Bを形成するにあたり、逆方向のみに負極集電体101を走行させると共に、蒸着レートを実験例1−1の場合の2倍としたことを除き、他は実験例1−1と同様にして二次電池を作製した。これにより、負極活物質繊維4は、図4(B)に示したような、互いに連結された一対の曲線部4A2,4B2によって一の連続した湾曲線を描くように構成されたものとなった。
(実験例1−4)
電子ビーム蒸着法により負極活物質層162Bを形成するにあたり、第1の領域1を形成する際のみに蒸着物質32A,32Bの負極集電体101への入射角度を0度としたことを除き、他は実験例1−1と同様にして二次電池を作製した。これにより、負極活物質繊維4は、図4(C)に示したような、負極集電体101の側から順に配置されて互いに連結された一の直線部4A3と、一の曲線部4B3とによって構成されたものとなった。
(実験例1−5)
電子ビーム蒸着法により負極活物質層162Bを形成するにあたり、逆方向のみに負極集電体101を走行させたことを除き、他は実験例1−1と同様にして二次電池を作製した。これにより、負極活物質繊維4は、図4(D)に示したような、互いに連結された一の曲線部4A4と一の曲線部4B4とによって一の不連続な曲線を描くように構成されたものとなった。ここで、曲線部4A4と曲線部4B4とは、互いに同方向に湾曲するものとなった。
(実験例1−6)
電子ビーム蒸着法により負極活物質層162Bを形成するにあたり、第2の領域2を形成する際のみに蒸着物質32A,32Bの負極集電体101への入射角度を0度とし、かつ、第1の領域1を形成する際には逆方向のみに負極集電体101を走行させるようにした。これらの点を除き、他は実験例1−1と同様にして二次電池を作製した。これにより、負極活物質繊維4は、図4(E)に示したような、負極集電体101の側から順に配置されて互いに連結された一の曲線部4A5と一の直線部4B5とによって構成されたものとなった。
(実験例1−7)
負極活物質層162Bを、焼成法を採用してバルク状の負極活物質によって形成したことを除き、他は実験例1−1と同様にして実験例1−7の二次電池を作製した。具体的には、負極活物質として平均粒径1μmの珪素粉末90質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、ペースト状の負極合剤スラリーとした。最後に、負極集電体162Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのちロールプレス機で圧縮成型し、真空雰囲気下において400℃で12時間に亘って加熱処理することにより、負極活物質層162Bを形成した。
このようにして作製した実験例1−1〜1−7の二次電池についてサイクル特性を調べた。その結果を表1に示す。
Figure 0005581716
サイクル特性を調べる際には、以下の手順でサイクル試験を行うことにより、放電容量維持率を求めた。25℃の雰囲気中において、まず初回の充放電を行い、初回の放電容量を測定した。続いて、同雰囲気中において99サイクル充放電させることにより、100サイクル目の放電容量を測定した。最後に、放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/初回の放電容量)×100を算出した。そののち、さらに200サイクル目および300サイクル目の放電容量についても測定し、同様にして放電容量維持率(%)を求めた。この際、1回の充放電サイクルの条件は以下の通りである。まず、2mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに到達するまで定電流充電したのち、引き続き4.2Vの定電圧で電流密度が0.05mA/cm2 に到達するまで定電圧充電し、さらに、0.05mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに到達するまで定電流放電した。
また、各実験例の負極活物質層162Bに含まれる酸素量(負極活物質中の酸素含有率(原子%))を以下の要領で測定した。すなわち、負極活物質層162Bの断面を切り出したのち、その断面をオージェ電子分光法(AES;Auger electron spectroscopy)によって分析した。ここでは、負極活物質層162Bの断面の5箇所を測定し、それらの平均値を求めた。
さらに、図13(B)に例示した負極162の断面におけるTEM画像に基づき、負極活物質繊維4における最小の曲率半径についても測定した。ここでは、無作為に選んだ5本の負極活物質繊維4についてその最小の曲率半径を測定し、それらの平均値を求めた。その結果についても表1に併せて示す。
表1に示したように、実験例1−1〜1−6では、負極活物質層162Bが負極活物質繊維4を有するようにしたので、バルク状の負極活物質からなる場合(実験例1−7)と比較して放電容量維持率の向上が認められた。特に、負極活物質繊維4が直線部のみからなる場合(実験例1−2)よりも、湾曲部を有するようにした場合において、より高い放電容量維持率が得られた。このことから、直線部のみからなる負極活物質繊維4よりも、曲線部を有する負極活物質繊維4のほうが、より応力緩和に適していることが確認できた。なかでも、負極活物質繊維4がS字形状(実験例1−1)をなす場合において最も高い放電容量維持率が得られた。その理由としては、負極活物質繊維4におけるS字形状が不連続な屈曲部を含まず、かつ互いに逆向きに湾曲した部分を含むことから、他の形状と比べて多方向から加わる応力を緩和するのにより適しているためと考えられる。
(実験例2−1〜2−6)
電子ビーム蒸着法により負極活物質層162Bを形成するにあたり、酸素ガスの導入量を変化させたことを除き、他は実験例1−1と同様にして二次電池を作製した。
これらの実験例2−1〜2−についても、上記と同様にしてサイクル特性(放電容量維持率)、負極活物質中の酸素含有率(原子%)および負極活物質繊維4の最小曲率半径を測定した。それらの結果について表2に示す。
Figure 0005581716
表2に示したように、負極活物質中の酸素含有率を変化させることにより、サイクル特性も変化することがわかった。特に、酸素含有率が3原子%以上46原子%以下の場合に、より良好なサイクル特性が得られた。
(実験例3−1〜3−16)
電子ビーム蒸着法により負極活物質層162Bを形成する際の、蒸着位置での負極集電体101の曲率半径を変化させたことを除き、他は実験例1−1と同様にして二次電池を作製した。
これらの実験例3−1〜3−16についても、上記と同様にしてサイクル特性(放電容量維持率)、負極活物質中の酸素含有率(原子%)および負極活物質繊維4の最小曲率半径を測定した。それらの結果について表3に示す。
Figure 0005581716
表3に示したように、負極活物質繊維4の最小曲率半径を変化させることにより、サイクル特性も変化することがわかった。特に、最小曲率半径が102nm以上405nm以下の範囲においてより良好なサイクル特性が得られた。
以上の各実験例の結果から、本発明の二次電池によれば、多層構造を有する負極活物質層の構造破壊が抑制されると共に、多層構造における各層間の密着性が向上するので、サイクル特性に優れることがわかった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はそれらで説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵放出により表される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。本発明は、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵放出による容量とリチウム金属の析出溶解による容量とを含み、かつ、それらの容量の和により表される場合についても適用可能である。この場合には、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵放出可能な負極材料が用いられると共に、負極材料の充電可能な容量が正極の放電容量よりも小さくなるように設定される。
また、上記した実施の形態および実施例では、電池構造が円筒型、ラミネートフィルム型あるいは角型である場合や、電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限られない。本発明の二次電池は、電池構造がコイン型あるいはボタン型などである場合や、電池素子が積層構造などを有する場合についても、同様に適用可能である。
1…第1の領域、2…第2の領域、3…酸素含有領域、4…負極活物質繊維、6…負極活物質粒子、20…蒸着処理室、20A,20B…蒸発源設置領域、20C…被蒸着物走行領域、30A,30B…蒸発源、31A,31B…坩堝、32A,32B…蒸着物質、40A,40B…キャンロール、60A,60B…シャッタ、7,8…巻き取りローラー、11〜15…ガイドローラー、16…フィードローラー、17…真空排気装置、18…仕切板、19…隔壁、10,10A…負極、101,122A,134A,162A…負極集電体、102,102A,122B,134B,162B…負極活物質層、111…電池缶、112,113…絶縁板、114…電池蓋、115…安全弁機構、115A…ディスク板、116…熱感抵抗素子、117…ガスケット、120,130,160…巻回電極体、121,133,161…正極、121A,133A,161A…正極集電体、121B,133B,161B…正極活物質層、122,134,162…負極、123,135,163…セパレータ、124…センターピン、125,131,164…正極リード、126,132,165…負極リード、136…電解質、137…保護テープ、140…外装部材、141…密着フィルム、151…外装缶、152…絶縁板、153…電池蓋、154…端子板、155…正極ピン、156…絶縁ケース、157…ガスケット、158…開裂弁、159…電解液注入孔、159A…封止部材。

Claims (15)

  1. 負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられてなり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、前記負極活物質層の厚さ方向において他の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域を含み、互いに異なる方向に湾曲した一対の湾曲部が前記高濃度酸素含有領域において連結されたS字形状部分を含む
    リチウムイオン二次電池用負極。
  2. 前記一対の湾曲部における最小曲率半径は、102nm以上405nm以下である
    請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  3. 前記負極活物質繊維は、酸素(O)を構成元素として含有し、前記負極活物質中における酸素の含有率は3原子数%以上46原子数%以下である
    請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  4. 負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられてなり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、かつ、互いに異なる方向に湾曲した第1および第2の湾曲部からなるS字形状部分を含み、
    前記負極活物質層は、前記第1の湾曲部を含む第1の領域と前記第2の湾曲部を含む第2の領域とが交互に複数積層され、かつ、前記第1および第2の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域において前記第1の領域と前記第2の領域とが連結されたものである
    リチウムイオン二次電池用負極。
  5. 前記負極活物質層は、前記負極集電体上に設けられた複数の粒子を含む
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  6. 前記粒子は、各層に複数の前記負極活物質繊維を含む多層構造を有する
    請求項5記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  7. 前記粒子は、気相法により形成されたものである
    請求項5または請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  8. 正極および負極と共に電解質を備え、
    前記負極は、負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられてなり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、前記負極活物質層の厚さ方向において他の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域を含み、互いに異なる方向に湾曲した一対の湾曲部が前記高濃度酸素含有領域において連結されたS字形状部分を含む
    リチウムイオン二次電池。
  9. 正極および負極と共に電解質を備え、
    前記負極は、負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられてなり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、かつ、互いに異なる方向に湾曲した第1および第2の湾曲部からなるS字形状部分を含み、
    前記負極活物質層は、前記第1の湾曲部を含む第1の領域と前記第2の湾曲部を含む第2の領域とが交互に複数積層され、かつ、前記第1および第2の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域において前記第1の領域と前記第2の領域とが連結されたものである
    リチウムイオン二次電池。
  10. 正極および負極と共に電解液を備えたリチウムイオン二次電池を電源として作動する電動工具であって、
    前記負極は、負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられたものであり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、前記負極活物質層の厚さ方向において他の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域を含み、互いに異なる方向に湾曲した一対の湾曲部が前記高濃度酸素含有領域において連結されたS字形状部分を含む
    電動工具。
  11. 正極および負極と共に電解液を備えたリチウムイオン二次電池を電源として作動する電動工具であって、
    前記負極は、負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられたものであり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、かつ、互いに異なる方向に湾曲した第1および第2の湾曲部からなるS字形状部分を含み、
    前記負極活物質層は、前記第1の湾曲部を含む第1の領域と前記第2の湾曲部を含む第2の領域とが交互に複数積層され、かつ、前記第1および第2の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域において前記第1の領域と前記第2の領域とが連結されたものである
    電動工具。
  12. 正極および負極と共に電解液を備えたリチウムイオン二次電池を電源として作動する電気自動車であって、
    前記負極は、負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられたものであり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、前記負極活物質層の厚さ方向において他の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域を含み、互いに異なる方向に湾曲した一対の湾曲部が前記高濃度酸素含有領域において連結されたS字形状部分を含む
    電気自動車。
  13. 正極および負極と共に電解液を備えたリチウムイオン二次電池を電源として作動する電気自動車であって、
    前記負極は、負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられたものであり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、かつ、互いに異なる方向に湾曲した第1および第2の湾曲部からなるS字形状部分を含み、
    前記負極活物質層は、前記第1の湾曲部を含む第1の領域と前記第2の湾曲部を含む第2の領域とが交互に複数積層され、かつ、前記第1および第2の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域において前記第1の領域と前記第2の領域とが連結されたものである
    電気自動車。
  14. 正極および負極と共に電解液を備えたリチウムイオン二次電池を電力貯蔵源とする電力貯蔵システムであって、
    前記負極は、負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられたものであり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、前記負極活物質層の厚さ方向において他の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域を含み、互いに異なる方向に湾曲した一対の湾曲部が前記高濃度酸素含有領域において連結されたS字形状部分を含む
    電力貯蔵システム。
  15. 正極および負極と共に電解液を備えたリチウムイオン二次電池を電力貯蔵源とする電力貯蔵システムであって、
    前記負極は、負極集電体上に、珪素(Si)を構成元素として含有する負極活物質繊維を複数含む負極活物質層が設けられたものであり、
    複数の前記負極活物質繊維は、それぞれ前記負極活物質層の厚さ方向に延在し、かつ、互いに異なる方向に湾曲した第1および第2の湾曲部からなるS字形状部分を含み、
    前記負極活物質層は、前記第1の湾曲部を含む第1の領域と前記第2の湾曲部を含む第2の領域とが交互に複数積層され、かつ、前記第1および第2の領域よりも高い酸素含有率を有する高濃度酸素含有領域において前記第1の領域と前記第2の領域とが連結されたものである
    電力貯蔵システム。
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