しかしながら、建物内から屋外へ出る際に身支度を整えることはまだしも、建物内において部屋間を移動する際に身支度を整えることは住人にとって煩わしいことであると考えられる。また、上着を羽織ることで身支度を整える場合、羽織る上着の選択は住人等が行う必要があるため、その上着が部屋間の温度差に適していないことも想定される。したがって、部屋間を移動する際のヒートショックの発生を抑制する構成に関して改善の余地がある。
本発明は、建物内において人が複数の空間部を移動する際のヒートショックの発生を好適に抑制することを主たる目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明は、建物内空間として第1空間部と第2空間部とが設けられ、それら両空間部の人の行き来を可能とする出入口にドアが設けられている建物に適用され、前記第2空間部の少なくとも一部であって前記第1空間部との人の行き来が可能な特定空間部と、該特定空間部及び前記第1空間部とは異なる他空間部との間の空気の流れを制限する通気制限手段と、前記第1空間部と前記第2空間部の前記特定空間部との温度差を算出する温度差算出手段と、前記温度差算出手段により算出された温度差が所定の温度差判定値より大きい場合に前記通気制限手段を通気制限状態にする通気制限制御手段とを備えていることを特徴とする。
第1の発明によれば、第1空間部と第2空間部の特定空間部との温度差が所定値より大きい場合、通気制限手段が通気制限状態に移行することにより特定空間部と他空間部との間での空気の流れが制限される。この場合、特定空間部の温度が他空間部の温度に依存しにくくなるため、仮に他空間部にて温度変化が生じてもそれに伴う特定空間部の温度変化を抑制することができる。例えば、空調装置により第1空間部の温度が所定温度に保たれている状況において、第1空間部と特定空間部との温度差の増加を抑制できる。したがって、人が第1空間部と特定空間部との間を移動する際にヒートショックの発生を抑制することが可能となる。しかも、移動に際して身支度を整えるという煩わしさを感じさせることもない。
以上の結果、建物内において人が複数の空間部を移動する際においてヒートショックの発生を好適に抑制することができる。
第2の発明では、前記第1空間部の空調を行う第1空調装置を備え、前記通気制限制御手段は、前記第1空調装置により前記第1空間部の空調が行われている場合に、前記温度差算出手段により算出された温度差に基づいて前記通気制限手段を前記通気制限状態にする。
第1空間部の温度調整が行われている場合、第1空間部と第2空間部の特定空間部との温度差が大きくなりやすいため、第1空間部と特定空間部とを移動する際においてヒートショック発生が懸念される。この点、第2の発明によれば、第1空調装置により第1空間部の空調が行われている場合に、通気制限手段を通気制限状態にすること、つまり第1空間部に対する特定空間部の相対的な温度変化を抑制することが可能となる。したがって、ヒートショックの発生が懸念される場合にその懸念を解消することができる。
なお、前記通気制限制御手段は、前記第1空調装置が暖房運転されており、且つ前記特定空間部が前記第1空間部に対して前記温度差判定値よりも大きい温度差で低温である場合に、又は前記第1空調装置が冷房運転されており、且つ前記特定空間部が前記第1空間部に対して前記温度差判定値よりも大きい温度差で高温である場合に、前記通気制限手段を前記通気制限状態にすることが好ましい。この構成によれば、例えば第1空間部が暖房されている冬季において、人が第1空間部から特定空間部に移動する際(高温空間から低温空間に移動する際)にヒートショックが発生するという懸念を解消できる。また、例えば第1空間部が冷房されている夏季において、人が特定空間部から第1空間部に移動する際(高温空間から低温空間に移動する際)にヒートショックが発生するという懸念を解消できる。
第3の発明では、前記第2空間部のうち前記特定空間部の空調を行う第2空調装置を備え、前記通気制限手段は、前記第2空間部に設けられた空間仕切装置であり、該第2空間部を前記特定空間部と前記他空間部とに仕切る。
第3の発明によれば、通気制限手段により特定空間部を仕切形成した状態で、第2空調装置により特定空間部の空調を行うことが可能となる。ここで、特定空間部が仕切形成されていないと、第2空調装置から特定空間部に供給された空調空気が他空間部にも流れ込むことになるが、通気制限手段により特定空間部が仕切形成されていると、空調空気は他空間部に流れ込みにくくなるため、他空間部の空調を行わない分だけ特定空間部の空調効率を向上させることができる。また、第2空間部を特定空間部と他空間部とに仕切ることは、第2空調装置から空調空気が供給される空間を第2空間部よりも空間容積の小さい特定空間部に縮小化することになるため、特定空間部の空調効率をより一層向上させることができる。
なお、例えば、第2空間部において人が通りそうな場所や人の用事がありそうな場所を特定空間部として想定しておき、その特定空間部について空調を行うとよい。これにより、第1空間部から第2空間部の特定空間部に人が移動した場合のヒートショックを抑制する。ちなみに、第2空間部が通路である場合には例えばトイレに通じる場所を特定空間部として想定し、第2空間部が居室である場合にはテレビ周辺を特定空間部として想定し、第2空間部が寝室である場合にはベッド周辺を特定空間部として想定する。
第4の発明では、前記第2空間部は前記第1空間部に通じる通路部である。
第4の発明によれば、通気制限手段により通路部を特別空間部と他空間部とに仕切ることが可能であるため、人が通る場所が特別空間部だけであれば、通気制限手段により仕切っても通路部の使い勝手が悪くならない状態で特別空間部の空調効率を向上させることができる。したがって、人が部分的に使用する(通る)ことが多い通路部が第2空間部とされることは、人が全体的に使用することが多いリビング等の居室空間が第2空間部とされることに比べて有効である。
第5の発明では、建物内空間として前記通路部に通じる第3空間部が設けられており、前記通路部は、前記第1空間部から前記第3空間部に通じる第1通路部と、該第1通路部から分岐して設けられ前記第3空間部以外に通じる第2通路部とを有する分岐通路であり、前記通気制限手段は、前記第1通路部から前記第2通路部に繋がる分岐口に設けられており、前記通路部を前記第1通路部と前記第2通路部とに仕切る。
第5の発明によれば、通路部においては第1通路部が第1空間部と第3空間部とに通じているため、通気制限手段により通路部を第1通路部と第2通路部とに仕切っても、人が第1空間部と第3空間部とを行き来する際に第1通路部の使い勝手が悪くならない。
なお、第3空間部がトイレである場合、人が第1空間部とトイレとを通路部を通って行き来する際においてヒートショック発生を抑制できる。
第6の発明では、前記通気制限制御手段は、あらかじめ定めた夜間時間帯において、前記温度差算出手段により算出された温度差に基づいて前記通気制限手段に前記第2空間部を仕切らせる。
第6の発明によれば、夜間において特定空間部の温度調整を行うことができる。特に冬季の夜間においては第1空間部と第2空間部との温度差が大きくなりやすく、第1空間部と第2空間部の特定空間部との出入りに際してヒートショック発生が懸念されるため、夜間において特定空間部の温度調整を行うことは効果的である。
第7の発明では、前記第1空間部からの人の行き先を予測する予測手段を備え、前記通気制限制御手段は、前記予測手段の予測結果に基づいて、前記通気制限手段による通気制限態様を変更する。
第7の発明によれば、第1空間部からの人の行き先に合わせて通気制限手段の仕切態様を変更することが可能であるため、第2空間部のうち人が通る最低限の領域を特別空間部として温度調整することが可能となる。この場合、第2空調装置による空調範囲を極力小さくすることができるため、特別空間部の空調に際して省エネルギ化を図ることができる。また、通気制限手段の仕切態様を変更することにより、特別空間部を人の移動に際して通気制限手段が支障とならないような大きさや形状とすることが可能となる。以上の結果、第2空間部を通る人の行き先の候補が複数存在している場合に、第2空間部の使い勝手が悪くなることを回避しつつ、第2空間部における特別空間部の空調効率を向上させることができる。
なお、前記通気制限手段による通気制限態様を変更する構成としては、前記空間仕切装置による前記第2空間部の仕切位置を複数定めておき、どこを仕切るのかを都度変更する構成が挙げられる。
第8の発明では、前記第1空間部に人が居る場合に、該人が所在している状態を取得する状態取得手段と、前記状態取得手段により取得された所在している状態に基づいて前記温度差判定値を可変に設定する手段とを備えている。
第1空間部において人が所在している状態によっては、その人が第1空間部の温度よりも高い温度の状況下にあることも考えられる。その状況としては、人がベッド等において布団をかぶった状態にある場合等が想定される。この点、第8の発明によれば、人の所在している状態に合わせて通気制限手段を通気制限状態にすることができる、つまり人の周辺の温度に合わせて特定空間部の温度変化を抑制することができるため、第1空間部の温度と人の周辺の温度とが同じでない場合でも、第1空間部から特定空間部に出た際のヒートショック発生を抑制することができる。
第9の発明では、前記第1空間部に人が居る場合に、該人の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報取得手段により取得された人の生体情報に基づいて前記温度差判定値を可変に設定する手段とを備えている。
人が第1空間部と特定空間部とを行き来する際において、ヒートショックの発生のしやすさはその人の健康状態や年齢などによって異なると考えられる。この点、第9の発明によれば、人の健康状態に合わせて通気制限手段を通気制限状態にすることができるため、ヒートショックの発生しやすい人が第1空間部と特定空間部とを行き来する際についてもヒートショック発生を好適に抑制できる。
第10の発明では、前記第1空間部側から前記ドアが開放されることを検出するドア開放検出手段と、前記温度差算出手段により算出された温度差に関する情報を報知する報知手段と、前記ドア開放検出手段により前記ドアの開放が検出された場合に前記報知手段に報知動作を行わせる報知制御手段とを備えている。
第10の発明によれば、人が第1空間部から特定空間部へ移動する際に、第1空間部と特定空間部との温度差に関する情報が報知される。この場合、第1空間部と特定空間部との温度差の増加が抑制されている状態において、さらに人が重ね着をするなど身支度を整えることが可能となるため、ヒートショック発生の可能性をより一層低減させることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、一階部分と二階部分とを有する2階建て建物に具体化している。図1は建物10の平面図、図2は建物10の温度調整システムの構成を示す図である。なお、図1及び図2は建物10の二階部分を示す図であり、図2は温度調整システムの電気的な構成の図示を含んでいる。
図1に示すように、住宅等の建物10の二階部分には、寝室11と、トイレ12と、それら寝室11及びトイレ12に通じる廊下15と、一階部分に通じる吹抜空間16とが設けられている。寝室11と廊下15とは寝室出入口19を介して通じており、寝室出入口19には寝室ドア22が設けられている。また、トイレ12と廊下15とはトイレ出入口23を介して通じており、トイレ出入口23にはトイレドア24が設けられている。寝室ドア22及びトイレドア24は例えば開き戸となっている。ここでは、寝室11が第1空間部に相当し、廊下15及び吹抜空間16が第2空間に相当し、トイレ12が第3空間に相当する。また、第2空間のうち廊下15が特定空間部に相当し、吹抜空間16が他空間部に相当する。
吹抜空間16には一階部分と二階部分との行き来を可能とする階段25が設けられている。吹抜空間16は廊下15から廊下分岐口26を介して分岐しており、階段25は廊下分岐口26を介して廊下15に通じている。なお、廊下15及び吹抜空間16は建物10において通路部を形成しており、廊下15が第1通路部に相当し、吹抜空間16が第2通路部に相当する。
廊下分岐口26には吹抜空間16及び廊下15を仕切る空間仕切装置としてのカーテン装置31が設けられている。図2に示すように、カーテン装置31は、吹抜空間16と廊下15との境界に沿って延びているカーテンレール32と、カーテンレール32に沿って水平方向にスライド移動するカーテン33とを有している。カーテンレール32は廊下分岐口26の上面に取り付けられており、廊下分岐口26の幅寸法とほぼ同じになっている。
カーテン33は、カーテン33は布材により形成された布製カーテンとなっている。また、布材の表面には金属膜を付着させており、断熱性能が高められた断熱カーテンとなっている。カーテン33は、その上下方向の寸法が廊下分岐口26の上下寸法とほぼ同じとなっており、左右方向の寸法が廊下分岐口26の幅寸法とほぼ同じとなっている。したがって、カーテン33は、カーテンレール32に沿わせて広げられることにより、吹抜空間16と廊下15との間での通気を制限するように廊下分岐口26を閉鎖することになる。ちなみに、カーテン33により廊下分岐口26が閉鎖されている場合、吹抜空間16と廊下15との間での空気の流れは遮られるが、吹抜空間16内での空気の流れや廊下15内での空気の流れは遮られない。このように、カーテン装置31において廊下15と吹抜空間16とを仕切った状態が通気制限状態に相当する。
カーテン装置31は、電動式のカーテン装置となっており、電動モータを含んで構成されたカーテン駆動部34を有している。カーテン装置31においては、カーテン33の上端が接続されたランナがカーテン駆動部34の駆動に伴ってカーテンレール32に沿って移動し、それによってカーテン33による廊下分岐口26の開閉が行われる。
なお、カーテンレール32及びカーテン33の各幅寸法は廊下分岐口26の幅寸法より小さくされていても大きくされていてもよい。また、カーテン装置31が廊下分岐口26よりも廊下15側に設けられている場合、カーテンレール32及びカーテン33は廊下分岐口26の幅寸法より大きくされていることが好ましい。これは、カーテン33が廊下15側又は吹抜空間16側から廊下分岐口26を覆う状態で閉鎖することができるためである。
建物10においては、寝室11、トイレ12及び廊下15の空調を行う空調設備が設けられている。具体的には、それら寝室11、トイレ12及び廊下15には寝室エアコン41、トイレエアコン42、及び第2空調装置としての廊下エアコン43がそれぞれ設けられている。寝室エアコン41、トイレエアコン42及び廊下エアコン43は個別に動作させることが可能となっており、それらエアコン41〜43により寝室11、トイレ12及び廊下15は個別に空調される。なお、寝室エアコン41が第1空調装置に相当し、廊下エアコン43が第2空調装置に相当する。
本実施形態の建物10においては、廊下15と寝室11との温度差を取得するとともに、その温度差が小さくなるように廊下15の温度調整を行う温度調整システムが構築されている。これにより、住人等が寝室11と廊下15とを行き来する際において、ヒートショックが発生することを抑制するようにしている。なお、寝室エアコン41の暖房運転により寝室11の温度が廊下15の温度より高くなっている状態で人が寝室11から廊下15に移動して寒さを感じた場合や、寝室エアコン41の冷房運転により寝室11の温度が廊下15の温度より低くなっている状態で人が廊下15から寝室11に入って涼しさを感じた場合などに、ヒートショックが発生しやすいと想定している。
まず、建物10の温度調整システムに関する電気的な構成について説明する。
温度調整システムは、カーテン装置31や各エアコン41〜43の動作制御を行う制御手段としてコントローラ51を有している。コントローラ51は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、温度調整システムに関する情報を記憶する記憶部52を有している。
コントローラ51には、カーテン駆動部34、寝室エアコン41、トイレエアコン42及び廊下エアコン43が接続されており、コントローラ51は指令信号を出力することによりそれらカーテン駆動部34やエアコン41〜43の動作制御を行う。ただし、寝室エアコン41は、例えば操作リモコンが人に操作されることにより空調運転を行うことが可能となっており、現在の運転状態に関する情報を検出信号としてコントローラ51に対して出力する。
コントローラ51には、寝室11の温度を検出する寝室温度センサ55と、廊下15の温度を検出する廊下温度センサ57とが接続されている。各温度センサ55,57はそれぞれ例えば壁面に取り付けられており、検出信号をコントローラ51に対して出力する。
コントローラ51には、寝室11おける寝室出入口19付近を検知範囲とする寝室人感センサ61と、寝室11の壁面に対して取り付けられた操作盤63とが接続されている。寝室人感センサ61は、寝室11において例えば寝室出入口19付近の天井面に対して取り付けられており、廊下15に出るために寝室出入口19に近づいた人を検出するとともに、検出信号をコントローラ51に対して出力する。つまり、寝室人感センサ61は人が寝室11から退出することを検出する退出検出手段となっている。なお、退出検出手段としては、寝室人感センサ61の他に、寝室ドア22における寝室11側のドアノブに人が触れたことやドアノブが開状態とされたことを検出するドアノブセンサなどが挙げられる。
操作盤63は、住人等により入力操作される操作部64と、温度調整システムに関する情報を表示する表示モニタ65と、報知音声を出力する報知スピーカ66とを有している。操作部64は入力操作の内容を検出するとともに検出信号をコントローラ51に対して出力し、表示モニタ65及び報知スピーカ66はコントローラ51により動作制御される。コントローラ51においては、操作部64からの検出信号に基づいて、温度調整システムの制御モードに関する情報や、寝室11にいる人の健康状態に関する情報を取得する。制御モードとしては、通常モードと、住人等の健康状態をパラメータに含む健康重視モードと、省エネルギ化を目的とした省エネモードとが設定可能となっている。健康状態に関する情報には、体調についての情報だけでなく年齢や性別についての情報も含まれている。
なお、人の生体情報を検出する生体センサがコントローラ51に接続されており、コントローラ51が生体センサからの検出信号に基づいて人の健康状態に関する情報を取得する構成としてもよい。生体センサとしては、例えばベッドのマットレスや枕に設けられ、ベッドで寝ている人の体温や心拍数などを生体情報として検出する生体情報検出手段が挙げられる。
次に、コントローラ51において実行されるヒートショック防止制御処理について、図3及び図4を参照しつつ説明する。ヒートショック防止制御処理は、夜間時間帯(例えば午後10時〜午前6時といった就寝時間帯)において所定周期で繰り返し実行される。ちなみに、就寝時間帯以外においては、カーテン33は開放されており、廊下エアコン43及びトイレエアコン42は停止状態とされている。
図3において、ステップS101では、寝室エアコン41、各温度センサ55,57、寝室人感センサ61、操作部64の各検出信号を取得する。ステップS102〜S114では温度制御処理を行う。温度制御処理においてステップS102では、寝室エアコン41の運転により寝室11の温度調整が行われているか否かを判定する。寝室エアコン41が停止している場合、ヒートショック対策を行う必要がないとしてそのまま温度制御処理を終了し、寝室エアコン41が運転している場合、ステップS103に進む。
ステップS103では、寝室温度センサ55及び廊下温度センサ57の各検出信号に基づいて寝室11及び廊下15の温度をそれぞれ算出するとともに、それら寝室11と廊下15との温度差である廊下温度差ΔTを算出する。ステップS104では、操作盤63の検出信号に基づいて現在の制御モードを取得する。ステップS105では、制御モードが通常モード又は省エネモードに設定されているか否かを判定し、通常モード又は省エネモードである場合、ステップS106に進む。ステップS106では、廊下15の温度調整が必要であるか否かの判定を行うための温度差判定値としての判定値Sを第1閾値S1に設定する。第1閾値S1は廊下温度差ΔTと比較する値であり、例えば6℃とする。
ステップS107では、廊下温度差ΔTが判定値Sより大きいか否かを判定する。つまり、廊下温度差ΔTが第1閾値S1より大きいか否かを判定する。廊下温度差ΔTが判定値Sより大きくない場合、廊下15の温度調整を行う必要がないとしてそのまま温度制御処理を終了し、廊下温度差ΔTが判定値Sより大きい場合、ステップS108に進む。
ステップS108ではカーテン装置31を閉鎖状態に移行させて廊下分岐口26を閉鎖する。つまり、カーテン33に廊下15と吹抜空間16とを仕切らせる。ステップS109では、制御モードが省エネモードであるか否かを判定し、省エネモードでない場合、つまり通常モードである場合、ステップS110に進み、廊下エアコン43及びトイレエアコン42の運転を行う。
なお、ここでは廊下15とトイレ12とはほぼ同じ温度であると想定して、廊下エアコン43及びトイレエアコン42の動作制御を同じとする。これにより、廊下15とトイレ12とをほぼ同じ温度に調整することができる。ちなみに、寝室11より廊下15の温度が低い場合や寝室エアコン41が暖房運転中である場合には廊下エアコン43及びトイレエアコン42に暖房運転を行わせ、寝室11より廊下15の温度が高い場合や寝室エアコン41が冷房運転中である場合には廊下エアコン43及びトイレエアコン42に冷房運転を行わせる。
一方、制御モードが省エネモードである場合、廊下エアコン43及びトイレエアコン42を運転させないとしてそのまま温度制御処理を終了する。この場合、通常モードである場合に比べて、廊下エアコン43及びトイレエアコン42を運転させない分だけ省エネルギ化を図ることができる。
ステップS105において、制御モードが通常モード及び省エネモードのいずれでもない場合、ステップS111に進み、制御モードが健康重視モードであるか否かを判定する。健康重視モードでない場合、廊下15の温度調整が必要ないとしてそのまま温度制御処理を終了し、健康重視モードである場合、ステップS112に進む。
ステップS112では、操作部64の検出信号に基づいて人の健康状態を取得し、ステップS113では、人の健康状態が良好であるか否かを判定する。健康状態が良好である場合、ステップS106にて判定値Sを第1閾値S1に設定し、それ以降のステップにおいて制御モードが通常モードにある場合と同様の制御処理を行う。これに対して、健康状態が良好でない場合、ステップS114に進み、判定値Sを第1閾値S1より小さい第2閾値S2に設定する。第2閾値S2は例えば2℃とする。その後、制御モードが通用モードにある場合と同様の制御処理を行う。つまり、廊下エアコン43及びトイレエアコン42に暖房運転又は冷房運転を行わせる。この結果、制御モードが健康重視モードにある場合、通常モードにある場合に比べて廊下温度差ΔTが小さくされるため、ヒートショック発生の可能性を低減させることになる。
ステップS115では報知制御処理を行う。報知制御処理については図4を参照しつつ説明する。
図4において、ステップS201では、寝室人感センサ61の検出信号に基づいて寝室11からの人の退出の有無を判定する。人が寝室11から退出する場合、ステップS202に進み、退出者が身支度をする必要があるか否かを判定する。例えば、健康状態が良好であるか否かを判定するとともに、廊下温度差ΔTが第1閾値S1より大きいか否か及び第2閾値S2より大きいか否かを判定し、健康状態が良好でなく且つ廊下温度差ΔTが第2閾値S2より大きい場合、及び健康状態が良好であっても廊下温度差ΔTが第1閾値S1より大きい場合に重ね着の必要があると判定する。
身支度の必要がある場合、ステップS203に進み、廊下温度差ΔTや健康状態に基づいて衣類設定を行う。例えば廊下温度差ΔTに応じて保温性の異なる衣類を重ね着用として設定する。また、健康状態が良好であれば薄手の衣類を重ね着用として設定し、良好でなければ厚手の衣類を設定する。ステップS204では、報知スピーカ66を動作させることにより報知処理を行う。報知処理では、例えば廊下温度差ΔTを知らせる音声や、重ね着を推奨する音声、重ね着用として設定した衣類を知らせる音声などを報知スピーカ66から出力させる。
一方、人が寝室11から退出しない場合(ステップS201がNO判定の場合)や、重ね着が必要ない場合(ステップS202がNO判定の場合)は、重ね着推奨の報知を行わないとしてそのまま報知制御処理を終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
温度調整システムの制御モードが通常モードに設定されており、寝室エアコン41の運転中に寝室11と廊下15との廊下温度差ΔTが第1閾値S1より大きくなった場合、カーテン装置31により廊下15と吹抜空間16とが仕切られるとともに、廊下エアコン43の空調運転が行われる。この場合、廊下エアコン43により廊下15の温度を寝室11の温度に近づけることが可能となるため、寝室暖房時に人が寝室11から廊下15に出る際や、寝室冷房時に人が廊下15から寝室11に入る際においてヒートショックの発生を抑制できる。また、この場合、廊下エアコン43から供給された空調空気が廊下15から吹抜空間16に流出しにくくなる、すなわち空調空気の供給先が廊下15の容積に限定されるため、廊下15における空調効率が高められる。
制御モードが省エネモードに設定されており、寝室エアコン41の運転中に廊下温度差ΔTが第1閾値S1より大きくなった場合、廊下エアコン43による空調を行わない状態で、カーテン装置31により廊下15と吹抜空間16とが仕切られる。この場合、廊下15の温度が吹抜空間16の温度に依存しにくくなるため、例えば冬季の夜間において吹抜空間16の温度が低下しても廊下15の温度が低下しにくくなる。つまり、廊下温度差ΔTの増加が抑制される。したがって、人が寝室11から廊下15に出る際においてヒートショックの発生を抑制できる。また、制御モードが通常モードに設定されている場合に比べて、廊下エアコン43の運転が行われない分だけ省エネルギ化を図ることができる。
制御モードが健康重視モードに設定されており且つ人の健康状態が良好でない状態で、廊下温度差ΔTが第2閾値S2より大きくなった場合、カーテン装置31により廊下15と吹抜空間16とが仕切られるとともに、廊下エアコン43の空調運転が行われる。ここで、第2閾値S2は第1閾値S1より小さく設定されているため、健康重視モード時の方が通常モード時に比べて廊下温度差ΔTが小さくされる。したがって、寝室11と廊下15とを行き来する人の健康状態が良好でなくても、廊下温度差ΔTを極力小さくすることによりヒートショック発生の可能性を低減させることができる。
以上の結果、建物10内において寝室11と廊下15とを移動する際において、人が重ね着をするなど身支度を整えなくてもヒートショックの発生を好適に抑制することができる。
寝室エアコン41により寝室11の空調が行われている場合、すなわち寝室11の温度と廊下15の温度との差が増加しやすい場合に、廊下15の温度調整を行うことが可能となっている。つまり、寝室11と廊下15とを行き来する際においてヒートショックの発生が懸念される場合にその懸念を解消することが可能となっている。また、常に廊下15の温度調整が行われる構成に比べて省エネルギ化を図ることができる。
廊下15の空調が行われる場合、カーテン33により廊下15と吹抜空間16とが仕切られている。この場合、廊下エアコン43から供給された空調空気が吹抜空間16に流れ出ることが制限されるため、吹抜空間16に空調空気が流れ出ない分だけ省エネルギ化を図ることができる。換言すれば、廊下15及び吹抜空間16の両方の空調を行う場合に比べて省エネルギ化を図ることができる。また、この場合、廊下エアコン43からの空調空気が供給される空間の容積が、廊下15と吹抜空間16とが仕切られていない場合に比べて縮小化されるため、廊下15の空調効率をより一層向上させることができる。
廊下15と吹抜空間16とがカーテン33により仕切られるため、廊下エアコン43から供給された空調空気が吹抜空間16を通じて下階へ流れ出にくくなる。したがって、建物10において複数の空間に通じている通路部としての廊下15及び吹抜空間16(廊下15)を仕切ることは、通路部の一部(廊下15)の温度調整を行う際に有効である。
廊下15が寝室11及びトイレ12に通じているため、廊下エアコン43の運転により廊下15全体が空調される。したがって、人が寝室11とトイレ12とを行き来する際に廊下15にて温度差を感じることがない。つまり、廊下15の移動に際してヒートショックが発生することを抑制できる。また、カーテン33により廊下15と吹抜空間16とを仕切っていても、人が寝室11とトイレ12とを行き来する場合にカーテン33が支障にならないため、廊下15の空調効率を高めつつ、廊下15やトイレ12の使い勝手が悪くなることを回避できる。
夜間時間帯において廊下15及びトイレ12の温度制御処理が行われるため、寝室11で就寝していた人が夜中に起きてトイレ12に行くに際してヒートショックの発生を抑制できる。特に、冬季において寝室11が暖房されている場合、夜間は寝室11と廊下15やトイレ12との温度差が大きくなりやすいため、夜間に廊下15及びトイレ12の温度調整を行うことは効果的である。
寝室11に通じる廊下15を対象として温度調整が行われるため、就寝時間帯などにおいて寝室11における人の滞在時間が長くなり寝室11の温度に身体が慣れている状態でも、寝室11から廊下15に移動した際におけるヒートショックの発生を抑制できる。また、滞在時間がある程度の長さに達するトイレ12では、一時的に通過するだけの廊下15に比べて、寝室11との温度差による影響が身体に対して与えられやすいと考えられるが、トイレ12を対象として温度調整が行われるため、寝室11からトイレ12に移動した際のヒートショックの発生を抑制できる。以上のように、廊下15やトイレ12への移動に際してヒートショック発生を抑制することは日常生活において効果的である。
廊下15と吹抜空間16とを仕切るのがカーテン33であるため、カーテン33の少なくとも一部を開放させることやカーテン33を捲り上げてその下をくぐることにより、人は廊下15と吹抜空間16とを容易に行き来することができる。したがって、廊下15と吹抜空間16とを仕切った状態において、廊下15や吹抜空間16の使い勝手が低下することを回避できる。
トイレエアコン42が廊下エアコン43と同じように動作制御されるため、トイレ12と廊下15との温度差が大きくなりにくくなっている。したがって、寝室11と廊下15との出入りだけでなく廊下15とトイレ12との出入りに際してもヒートショックの発生を抑制することができる。つまり、寝室11とトイレ12との行き来に際してヒートショックの発生を抑制することができる。
寝室11と廊下15やトイレ12との温度差に関する情報や、重ね着を推奨する音声、重ね着として推奨する衣類を知らせる音声が報知スピーカ66から報知されるため、人は寝室11において重ね着をするなど身支度を整えてから廊下15やトイレ12に行くことが可能となる。したがって、仮に寝室11と廊下15やトイレ12との温度差が大きい場合でも、服装によりヒートショック発生を抑制できる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)空間仕切装置としてのカーテン装置31は、廊下15と吹抜空間16とを仕切るのではなく、廊下15を複数に仕切る構成としてもよい。例えば、廊下15の中間位置に寝室出入口19とトイレ出入口23とが設けられており、カーテン装置31が、寝室出入口19及びトイレ出入口23を連通する第1通路部とそれ以外の第2通路部とに廊下15を仕切る構成とする。この構成によれば、人が寝室11とトイレ12とを行き来する場合に、廊下15において人が通る領域(第1通路部)だけを温度調整することができる。つまり、廊下エアコン43による空調範囲を極力小さくすることができるため、廊下15のうち第1通路部の空調に際して省エネルギ化を図ることができる。しかも、この場合、寝室11とトイレ12との行き来に際して人が第1通路部と第2通路部との境界部を通る必要がないため、カーテン33が人の移動の支障になることもない。
(2)空間仕切装置としてのカーテン装置31は、廊下15及び吹抜空間16といった屋内空間を仕切るのではなく、屋内空間と屋外空間とを仕切ってもよい。例えば、廊下15に窓部が形成されており、カーテン装置31が窓部を閉鎖する構成とする。ここでは、廊下15が特定空間部に相当し、屋外空間が他空間部に相当する。この場合でも、廊下15と屋外空間との間での通気が制限されるため、廊下15の温度が外気温に依存しにくくなり、第1空間部としての寝室11と廊下15との温度差が大きくなることを抑制できる。つまり、寝室11と廊下15との出入りに際してヒートショック発生を抑制できる。
(3)上記実施形態では、寝室11と廊下15との廊下温度差ΔTに基づいて廊下15の温度調整を行う構成としたが、温度調整が行われる特定空間部を廊下でなく、リビング等の居室空間や脱衣室などとしてもよい。また、第1空間部と特定空間部とは廊下等を介して行き来可能な構成となっていてもよい。
(4)空間仕切装置としてのカーテン装置31の仕切態様が可変とされる構成としてもよい。例えば、カーテン装置31による第2空間部の仕切位置を複数設定しておく。具体的には、廊下15及び吹抜空間16においてカーテン装置31を複数設置し、廊下分岐口26の他に廊下15や吹抜空間16を仕切ることが可能な構成とする。
また、この場合、寝室11からの人の行き先を予測する予測手段を備え、コントローラ51が予測手段の予測結果に基づいてカーテン装置31による仕切位置を可変設定する構成としてもよい。この場合、コントローラ51が人の通る経路を遮らないようにカーテン装置31の仕切位置を設定することにより、人の移動に際してカーテン33が支障となることを回避できる。つまり、人の行き先の候補が複数存在している場合に、廊下15や吹抜空間16の使い勝手が悪くなることを回避しつつ、特別空間部の空調効率を向上させることができる。なお、予測手段はコントローラ51であり、例えば記憶部52に記憶された人の行動予定に基づいて人の行き先を予測することが好ましい。
(5)空間仕切装置としてのカーテン装置31は廊下15や吹抜空間16といった第2空間部を左右に仕切るのではなく、上下に仕切ってもよい。例えば、カーテン装置31が吹抜空間16を一階部分側と二階部分側とに仕切る構成とする。
(6)通気制限手段は、空間仕切装置としてのカーテン装置31でなくてもよい。要は、特定空間部と他空間部との通気を制限する手段であればよい。通気制限手段としては、例えば、分岐口を閉鎖することが可能な引き戸や開き戸などの開閉体、特定空間部と他空間部との境界部に沿って空気を噴出すことによりそれら空間部の通気を制限するエアカーテンなどが挙げられる。
(7)寝室11に人が居る場合に、人が所在している状態に合わせて廊下15の温度調整を行う構成としてもよい。例えば、寝室11において人が所在している状態を取得する状態取得手段を備え、コントローラ51が状態検出手段の検出結果に基づいて、廊下15の温度調整を行うか否かの判定値Sを可変設定する構成とする。この構成によれば、寝室11において人が布団で就寝している場合に、判定値Sを例えば第2閾値S2より小さい値に設定することができる。
ここで、人がベッド等において布団をかぶった状態で就寝している場合、布団内部の温度は寝室11の温度より高い、つまり冬季においては布団内部と廊下15との温度差が寝室11と廊下15との温度差より大きいと考えられる。この場合、判定値Sを小さい値に設定することにより、寝室11と廊下15との温度差が第2閾値S2より小さくても廊下15の温度調整を行うことができる。つまり、布団内部と廊下15との温度差を小さくすることができる。この結果、就寝中の人が起きて廊下15に出た際において、布団内部と廊下15との温度差によってヒートショックが発生するという不都合を抑制できる。なお、状態検出手段はコントローラ51であり、記憶部52に記憶された人の行動予定に基づいて人の所在している状態(就寝していること)を取得することが好ましい。
(8)上記実施形態では、ヒートショック防止制御処理は就寝時間帯に実行される構成としたが、日中に実行される構成としてもよい。例えば、ヒートショック防止制御処理が、吹抜空間16や廊下15、屋外の温度が上昇しやすい夏季の昼間に実行される構成とする。この場合、寝室エアコン41の冷房運転により寝室11の温度が調整されている状態であっても、廊下15の温度が上昇することを抑制できる。この結果、温度の高い廊下15から温度の低い寝室11に入った際にヒートショックが発生することを抑制できる。
また、ヒートショック防止制御処理は、人の居場所や生活パターンに合わせて実行される構成としてもよい。例えば、人が一階部分にいる場合には二階部分において廊下15やトイレ12の温度調整は行わない構成とする。また、脱衣室に脱衣室エアコンが設けられ、且つ脱衣室の窓を閉鎖する窓装置が設けられており、入浴時間帯である場合には窓装置により窓を閉鎖させるとともに脱衣室エアコンに脱衣室の空調を行わせる構成とする。