以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は建物の概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、住宅等の建物10には、寝室11と、廊下12と、居室13とが設けられている。寝室11は、外壁15を隔てて屋外と隣接しており、その外壁15には、寝室11と屋外とを連通する窓部16が形成されている。窓部16にはガラス戸17が設けられており、このガラス戸17によって窓部16が開閉される。また、寝室11には、就寝用のベッド18が設けられている。なお、寝室11が「屋内空間」に相当し、窓部16が「開口部」に相当する。
廊下12は、間仕切壁21によって寝室11と仕切られている。間仕切壁21には、廊下12と寝室11との間を出入りするための出入口22が設けられている。出入口22には、回動式のドア23(開き戸)が設けられており、このドア23によって出入口22が開閉される。また、出入口22は、寝室11を挟んで窓部16と対向する位置に配置されている。なお、廊下12が「別の屋内空間」に相当する。
ドア23はアンダーカットされており、ドア23の下端部と床面との間には通気用の隙間24が形成されている。この隙間24を通じて寝室11と廊下12との間の通気が可能となっている。
廊下12の突き当たりには外壁25が設けられている。外壁25には、廊下12と屋外とを連通する開口部26が形成されている。開口部26は、外壁15において廊下12の天井付近の高さ位置に設けられている。この開口部26には、気流発生手段としての換気扇27が設けられている。換気扇27は、開口部26を通じて廊下12内の空気を屋外に排出するものである。本実施形態では、換気扇27として、その空気排出量(風量)が比較的大きなものが用いられている。
なお、換気扇27に、開口部26を開閉する開閉体が設けられていてもよい。この場合、換気扇27が作動すると、開閉体が開状態となり開口部26が開放される一方、換気扇27の作動が停止すると、開閉体が閉状態となり開口部26が閉鎖される。
居室13は、廊下12を挟んで寝室11とは反対側に設けられている。居室13は、間仕切壁31によって廊下12と仕切られている。間仕切壁31には、廊下12と居室13との間を出入りするための出入口32が設けられている。出入口32には、回動式のドア33が設けられており、このドア33によって出入口32が開閉される。ドア33はアンダーカットされており、ドア33の下端部と床面との間には通気用の隙間34が形成されている。この隙間34を通じて廊下12と居室13との間の通気が可能となっている。
居室13は、外壁35を隔てて屋外と隣接しており、その外壁35には、居室13と屋外とを連通する窓部36が形成されている。窓部36にはガラス戸37が設けられており、このガラス戸37によって窓部36が開閉される。
続いて、寝室11に風を取り込む場合の風の流れについて説明する。
寝室11に風を取り込む場合には、寝室11のガラス戸17を開いて窓部16を開放するとともに、居室13のガラス戸37を開いて窓部36を開放する。かかる窓部16,36の開放状態では、屋外の外気が窓部16を介して寝室11に取り込まれるとともに、その取り込まれた外気(風)が廊下12を経由して居室13へと流れ、その後窓部36を介して屋外へ排出される。つまり、この場合、建物10内に、窓部16を風の取込口とし、窓部36を風の排出口とした寝室11を経由する風の流れが生じる。図1では、この場合の通風経路を点線矢印で示しており、以下においてはこの通風経路を第1通風経路ともいう。
第1通風経路に沿って流れる風は、寝室11から廊下12へ通気用の隙間24を通じて流れ、廊下12から居室13へ通気用の隙間34を通じて流れる。この場合、寝室11では、窓部16から、床面高さにある上記隙間24へ向けて風が流れる。そのため、寝室11において床付近の高さ位置に風を流すことができ、ひいてはベッド18で横たわる就寝者の近くに風を流すことができる。これにより、就寝者の快適性向上が図られる。
上述した各窓部16,36の開放状態において、換気扇27を作動させると、開口部26を通じて廊下12の空気が屋外へ排出され、その排出に伴って寝室11の空気が隙間24を通じて廊下12に引き込まれるとともに、屋外の空気が窓部16を通じて寝室11に引き込まれる(取り込まれる)。つまり、換気扇27を作動させると、建物10内に、窓部16を風の取込口とし開口部26を風の排出口とした寝室11を経由する風(空気)の流れが生じる。要するに、換気扇27を作動させると、建物10(寝室11)内に、窓部16を通じた寝室11への風の取り込みを促進させる空気の流れが生じる。図1では、この場合の通風経路を実線矢印で示しており、以下においてはこの通風経路を第2通風経路ともいう。
このように、建物10内には、寝室11を経由する通風経路として、第1通風経路と第2通風経路とが設けられている。換気扇27の作動が停止している状態(以下、自然通風状態という)では、第1通風経路のみを通じて風が流れ、換気扇27が作動している状態(以下、強制通風状態という)では、第1通風経路に加えて第2通風経路を通じて風が流れる。
また、本建物10には、就寝時において防犯性を確保しながら寝室11に風を取り込むことができるように、窓部16の屋外側に防犯機能を有するシャッタ装置40が設けられている。以下、このシャッタ装置40の構成について図1に加えて図2に基づいて説明する。図2は、シャッタ装置40の正面図である。
図1及び図2に示すように、シャッタ装置40は、横長箱状をなすシャッタボックス41と、スラット開閉式のシャッタカーテン42とを有して構成されている。シャッタボックス41は、外壁15における窓部16の上方に取り付けられ、シャッタカーテン42は、そのシャッタボックス41内に巻回された状態で収納される。シャッタカーテン42は、昇降することにより窓部16を開閉する昇降開閉式となっており、シャッタカーテン42がシャッタボックス41から引き出される(降下する)と窓部16が閉鎖(遮蔽)され、シャッタカーテン42がシャッタボックス41内に巻き取られる(上昇する)と窓部16が開放されるようになっている。なお、シャッタカーテン42が遮蔽部材に相当する。
シャッタカーテン42は、多数のスラット43が上下に連結されて構成されている。各スラット43は、それぞれ横長板状に形成されており、上下に並ぶように配置されている。それらスラット43は、上下に隣接するスラット43同士が互いに係合されており、シャッタカーテン42として一体的に上昇したり下降したりする構成となっている。
シャッタカーテン42の最上部は、シャッタボックス41内に設置された巻取りドラム45と連結されている。巻取りドラム45が回転することでシャッタカーテン42の巻き取りや引き出しが行われる。巻取りドラム45は、同じくシャッタボックス41に収容されたドラム駆動部46と連結されている。ドラム駆動部46は電動モータ等を含んで構成されており、このドラム駆動部46の駆動によって巻取りドラム45が正逆いずれかの方向に回転すると、シャッタカーテン42が巻き取り又は引き出される。
シャッタカーテン42の左右両端部にはガイドレール47が設けられている。これらのガイドレール47によって、シャッタカーテン42の巻き取り又は引き出し動作が案内される。ガイドレール47は、外壁15における窓部16の左右両側に取り付けられている。
各スラット43はそれぞれ開閉動作可能とされている。各スラット43はそれぞれ水平方向に延びる軸部を中心として回動可能とされており、その回動によって開状態及び閉状態に移行することが可能となっている。閉状態ではスラット43が鉛直方向に起立した状態となり、開状態ではスラット43が閉状態に対して傾いた状態(図1参照)となる。詳しくは、スラット43の開状態では、スラット43が屋外側から寝室11側に向けて上方傾斜する向きで傾く。スラット43が開状態にある場合には、上下に隣接するスラット43間にスラット長手方向に延びる隙間(以下、スラット間隙間49という)が形成される。これにより、シャッタカーテン42により窓部16が遮蔽されている状態でも、このスラット間隙間49を通じて屋外から風を寝室11に取り込むことが可能となっている。なお、スラット間隙間49が通気部に相当する。
ガイドレール47には、スラット43を開閉させるための開閉ガイド機構51が設けられている。開閉ガイド機構51は、スラット43ごとに係合リンク部52を有している。それら各係合リンク部52はそれぞれ対応するスラット43に対し係合及び係合解除することが可能となっており、スラット43に対して係合した状態で動作することで当該スラット43を開閉する構成となっている。なお、各係合リンク部52によるスラット43の係合及びその解除は、例えばスラット43ごとに設けられた電動モータ等の駆動部を駆動させることで実現される。
開閉ガイド機構51には、電動モータ等を有して構成されたスラット駆動部53が連結されている。このスラット駆動部53が駆動することにより係合リンク部52が動作し、係合リンク部52と係合されているスラット43が開閉される。このようにして各スラット43は、スラット駆動部53の駆動に伴って個別に開閉される構成となっている。
ここで、本シャッタ装置40では、スラット43を開状態とする態様として、各スラット43のうち一部のスラット43のみを開状態とする一部開状態と、全部のスラット43を開状態とする全部開状態とを有している。以下、これらの態様について図3を用いながら説明する。図3はシャッタ装置40の概略側面図であり、(a)にスラット43の一部開状態を示し、(b)に全部開状態を示している。
まず、スラット43の一部開状態では、図3(a)に示すように、各スラット43のうち、上部に設けられた複数(本実施形態では3つ)のスラット43のみが開状態とされ、それ以外のスラット43は閉状態とされる。この場合、シャッタカーテン42の上部にのみスラット間隙間49が形成され、それらスラット間隙間49を通じて屋外から風が寝室11に取り込まれる。この態様では、スラット43の全部開状態と比べて、屋外からの視線を遮る効果が高いため、プライバシ性を高めることができる。
一方、スラット43の全部開状態では、図3(b)に示すように、各スラット43のすべてが開状態とされる。この場合、シャッタカーテン42の上下方向全域においてスラット間隙間49が形成され、それらスラット間隙間49を通じて屋外から風が寝室11に取り込まれる。この態様では、スラット43の一部開状態と比べて、寝室11へ取り込まれる風の量が多くなるため、快適性を高めることができる。
ここで、本建物10には、就寝時において寝室11に風を好適に取り込むことを可能とすべく通風システムが設けられている。以下、この通風システムについて説明する。
図1に示すように、建物10には、屋外温検出手段としての屋外温センサ56と、屋内温検出手段としての寝室温センサ57とが設けられている。屋外温センサ56は、屋外の温度を検出するセンサであり、例えば外壁15の屋外面に設けられている。寝室温センサ57は、寝室11の温度を検出するセンサであり、例えば寝室11の壁面に設けられている。また、建物10には、風圧検出手段としての風圧センサ58が設けられている。風圧センサ58は、屋外における風の風圧を検出するセンサであり、例えば外壁15の屋外面に設けられている。なお、屋外温センサ56及び風圧センサ58はそれぞれ取得手段に相当する。
続いて、通風システムの電気的構成について図4に基づいて説明する。なお、図4は通風システムの電気的構成を示す図である。
図4に示すように、本通風システムは、制御手段としてのコントローラ60を備えている。コントローラ60は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成されており、例えば寝室11の壁面に設けられている。
コントローラ60は、記憶部60aを有している。本通風システムでは、制御モードとして、防犯モードと快適モードとのうちいずれかのモードを設定可能となっている。記憶部60aには、それら各モードのうちいずれのモードが設定されているかに関するモード情報が記憶されている。
コントローラ60の入力側には、本通風システムに関する各種操作を行うための操作装置61が接続されている。操作装置61は、例えば寝室11の壁面に設けられている。なお、操作装置61はコントローラ60と一体に設けられていてもよい。ユーザにより操作装置61に対して防犯モード及び快適モードのうちいずれかの制御モードが入力されると、コントローラ60はその入力された制御モードを記憶部60aに記憶(設定)する。
コントローラ60の入力側には、屋外温センサ56、寝室温センサ57及び風圧センサ58がそれぞれ接続されている。コントローラ60には、これら各センサ56〜58から逐次検出結果が入力される。
コントローラ60の出力側には、換気扇27、ドラム駆動部46及びスラット駆動部53が接続されている。コントローラ60は、上記各センサ56〜58からの検出結果及び記憶部60aに記憶された制御モード等に基づいて、換気扇27、ドラム駆動部46及びスラット駆動部53に対して駆動信号を出力する。
次に、コントローラ60によって実行される通風制御処理について説明する。この制御処理は、ユーザ(居住者)が夏場に寝室11で就寝する際に実行されることを想定している。本制御処理は、操作装置61に設けられた開始スイッチがユーザにより操作されたことをトリガとして開始され、同装置61に設けられた終了スイッチが操作されるまでの間、所定の周期で繰り返し実行される。以下、本制御処理の流れについて図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
ちなみに、本制御処理を開始するに際しては、予め寝室11のガラス戸17を開いて窓部16を開放状態としておくとともに、居室13のガラス戸37を開いて窓部36を開放状態としておく。また、シャッタカーテン42を降下させて窓部16を遮蔽状態としておく。なお、シャッタカーテン42が上昇状態にある場合には、コントローラ60が、ドラム駆動部46に降下信号を出力してシャッタカーテン42を降下させる。
図5に示すように、まずステップS11では、記憶部60aに記憶されているモード情報に基づいて、防犯モード及び快適モードのうちいずれの制御モードが設定されているかを判定する。防犯モードが設定されている場合にはステップS12に進み、スラット43の一部開放処理を実行する。この処理では、スラット駆動部53に対して一部開信号を出力し、スラット43を一部開状態(図3(a)の状態)とする。これにより、プライバシ性の向上を図りながら、寝室11への風の取り込みが可能となる。
一方、快適モードが設定されている場合にはステップS13に進み、スラット43の全部開放処理を実行する。この処理では、スラット駆動部53に対して全部開信号を出力し、スラット43を全部開状態(図3(b)の状態)とする。これにより、快適性の向上を図りながら、寝室11への風の取り込みが可能となる。
ステップS12又はステップS13の後のステップS14では、屋外温センサ56、寝室温センサ57及び風圧センサ58からの各検出信号に基づいて、屋外の温度、寝室11の温度及び屋外における風圧の各情報を取得する(読み込む)。続くステップS15では、ステップS14で取得した屋外の温度と寝室11の温度とに基づいて、それら各温度の温度差(詳細には温度差の絶対値)を算出する。
ここで、窓部16を通じて屋外から寝室11へ取り込まれる風(外気)の量は、屋外と寝室11との温度差に依存することが考えられる。つまり、かかる温度差が大きいと、屋外から寝室11へ取り込まれる風の量が増え、かかる温度差が小さいと、屋外から寝室11へ取り込まれる風の量が少なくなると考えられる。そこで本通風制御処理では、この点に着目し、ステップS15で算出した屋外と寝室11との温度差に基づいて、換気扇27を作動させない自然通風状態にあっても寝室11に風が十分に取り込まれるか否かを判定するようにしている。具体的には、屋外と寝室11との温度差が所定の閾値以下である否かに基づいて、かかる判定を行うようにしている。以下、この点について説明する。
まずステップS16において、上記判定の基準値となる温度差閾値を設定する。ここで、窓部16を通じて寝室11へ取り込まれる風の量は、スラット43が一部開状態にある場合(換言すると防犯モード設定時)と、全部開状態にある場合(換言すると快適モード設定時)とで異なることが考えられる。つまり、防犯モードの設定時には、快適モードの設定時よりも寝室11へ取り込まれる風の量が少なくなると考えられる。そこで本ステップS16では、この点に鑑みて、防犯モードが設定されている場合と、快適モードが設定されている場合とで、異なる値の温度差閾値α1,α2を設定するようにしている。具体的には、防犯モードが設定されている場合には、比較的高い値からなる温度差閾値(以下、第1温度差閾値α1という)を設定し、快適モードが設定されている場合には、比較的低い値からなる温度差閾値(以下、第2温度差閾値α2という)を設定する(α1>α2)。なお、第1温度差閾値α1は例えば5℃に設定され、第2温度差閾値α2は例えば4℃に設定されている。
ステップS17では、ステップS15で算出した屋外と寝室11との温度差がステップS16で設定した温度差閾値α1,α2以下であるか否かを判定する。すなわち、防犯モードが設定されている場合には上記温度差が第1温度差閾値α1であるか否かを判定し、快適モードが設定されている場合には上記温度差が第2温度差閾値α2であるか否かを判定する。屋外と寝室11との温度差が温度差閾値α1,α2以下である場合にはステップS18に進む。
ところで、窓部16を通じて屋外から寝室11へ取り込まれる風(外気)の量は、屋外と寝室11との温度差だけでなく、屋外における風の風圧にも依存することが考えられる。そこで本通風制御処理では、上記の温度差に加え、屋外における風圧に基づいて、自然通風状態において寝室11に風が十分に取り込まれるか否かを判定するようにしている。具体的には、屋外における風圧が所定の閾値以下であるか否かに基づいて、かかる判定を行うようにしている。
この点に関してまずステップS18では、上記判定の基準値となる風圧閾値β1,β2を設定する。この風圧閾値β1,β2の設定に際しても、ステップS16における温度差閾値α1,α2の設定の場合と同様、防犯モードが設定されている場合には比較的高い値からなる風圧閾値(以下、第1風圧閾値β1という)を設定し、快適モードが設定されている場合には比較的低い値からなる風圧閾値(以下、第2風圧閾値β2という)を設定する(β1>β2)。
ステップS19では、ステップS14で取得した屋外における風圧が所定の風圧閾値β1,β2以下であるか否かを判定する。すなわち、防犯モードが設定されている場合には屋外における風圧が第1風圧閾値β1であるか否かを判定し、快適モードが設定されている場合には屋外における風圧が第2風圧閾値β2であるか否かを判定する。屋外における風圧が風圧閾値β1,β2以下である場合には、ステップS20に進む。この場合、自然通風状態においては寝室11への風の取り込みが十分に行われないと判定される。
ステップS20では、ステップS14で取得した寝室11の温度が所定温度以下であるか否かを判定する。ここで、所定温度は、寝室11への風の取り込みが行われない場合でも、快適さを感じることのできる温度に設定されており、例えば26℃に設定されている。寝室11の温度が所定温度よりも高い場合には、ステップS21に進む。
ステップS21では、換気扇27に対して駆動信号を出力することで、換気扇27を作動させる。これにより、窓部16を通じた寝室11への風の取り込みが促進されるため、屋外の環境が寝室11への風の取り込みが難しい環境である場合でも、快適性を確保することができる。
一方、寝室11の温度が所定温度以下である場合には、ステップS22に進む。ステップS22では、換気扇27に対する駆動信号の出力を停止することで、換気扇27の作動を停止させる。これにより、屋外の環境が寝室11への風の取り込みが難しい環境である場合でも、寝室11の温度が比較的低く快適に過ごすことができるときには、寝室11への風の取り込みが促進されないようになっている。
また、先のステップS17にて屋外と寝室11との温度差が温度差閾値α1,α2よりも大きい場合、又は、ステップS19にて屋外における風圧が風圧閾値β1,β2よりも大きい場合には、ステップS22へ進む。この場合、自然通風状態においても寝室11への風の取り込みが十分に行われると判定される。
ステップS22では、換気扇27の作動を停止させる。これにより、自然通風状態においても寝室11への風の取り込みが十分行われる場合には、自然対流のみによる寝室11への風の取り込みが行われる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
屋外環境情報(具体的には風圧情報及び外気温情報)を取得するとともに、その取得した屋外環境情報に基づいて、自然通風状態において窓部16を通じた寝室11への風の取り込みが十分に行われるか否かを判定するようにした。そして、その判定結果に基づいて、寝室11への風の取り込みを促進させる空気の流れを寝室11において生じさせるよう換気扇27を動作制御するようにした。具体的には、寝室11への風の取り込みが十分に行われないと判定した場合には、換気扇27を作動させるようにした。これにより、屋外の環境が風を取り込むのに難しい環境である場合にも、寝室11に十分な風を取り込むことができるため、快適性を確保することができる。また、寝室11への風の取り込みが十分に行われると判定した場合には、換気扇27の作動を停止するようにした。これにより、換気扇27を作動しないでも(つまり自然通風状態でも)、寝室11に十分な風を取り込むことができるにもかかわらず、無駄に換気扇27を作動させてしまうことを回避することができるため、省エネ性の低下を抑制することができる。よって、以上より、省エネ性の低下を抑制しながら、快適性を確保することができる。
具体的には、寝室11と屋外との温度差と、屋外における風の風圧とに基づいて、自然通風状態において窓部16を通じた寝室11への風の取り込みが十分に行われるか否かを判定するようにした。この場合、寝室11と屋外との温度差と、風の風圧との双方に基づいて、風の取り込み易さについての判定が行われるため、その判定精度を高めることができる。
寝室11の温度が所定温度以下である場合には、自然通風状態において寝室11への風の取り込みが十分に行われないと判定されたときにも、換気扇27の作動を停止させるようにした。これにより、寝室11の温度が比較的低く快適性が確保されているにもかかわらず、無駄に換気扇27を作動させてしまうことを回避することができるため、省エネ性の低下をより一層抑制することができる。また、快適性が確保されているにもかかわらず換気扇27により空気の流れを生じさせることで、かえって寒さを感じてしまう等、快適性が損なわれてしまうのを回避することもできる。
制御モードとして、防犯モード及び快適モードのうちいずれかのモードを選択して設定できるようにし、防犯モードを設定した場合にはスラット43を一部開状態とし、快適モードを設定した場合にはスラット43を全部開状態とするようにした。これにより、ユーザが防犯性を重視するか快適性を重視するかに応じてシャッタカーテン42の開度を調整することが可能となる。
また、かかる構成にあって、シャッタカーテン42の開度(スラット43の開放状態)に基づいて、自然通風状態において寝室11への風の取り込みが十分に行われるか否かを判定するようにしたため、シャッタカーテン42の開度に応じた好適な判定を実現することができる。
具体的には、スラット43が全部開状態とされている場合(換言すると快適モードが設定されている場合)には、スラット43が一部開状態とされている場合(換言すると防犯モードが設定されている場合)と比べて寝室11への風の取り込み量が多くなる点が加味されて上記の判定が行われる。そのため、快適モードの設定時には、防犯モードの設定時と比べて、寝室11への風の取り込みが十分ではないと判定される頻度が少なくなり、その結果として換気扇27の作動する頻度が低減する。よって、この場合、省エネ性を高めることができる。
換気扇27を寝室11ではなく廊下12に設けることで、換気扇27の作動により寝室11にて窓部16から出入口22へ向けた空気の流れを生じさせるようにした。この場合、窓部16を通じて寝室11に取り込まれる風を寝室11において横断させることができるため、快適性を確保する上で好ましい構成といえる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、開状態とするスラット43の個数を調整することで、具体的にはスラット43を一部開状態及び全部開状態のうちいずれかの状態に設定することで、シャッタカーテン42の開度を調整するようにしたが、シャッタカーテン42の開度を調整する方法は必ずしもこれに限ることはない。
例えば、各スラット43のスラット角度を調整可能とし、そのスラット角度を調整することでシャッタカーテン42の開度を調整するようにしてもよい。この場合、シャッタカーテン42の各スラット43のうち一部のスラット43(例えば上部の3つ。以下、これを対象スラット43という。)のみを角度調整の対象とし、それ以外のスラット43は閉状態とする。そして、防犯モードが設定された場合には、対象スラット43を閉状態に対して斜めの状態とし、快適モードが設定された場合には、対象スラット43を水平方向に延びる状態(換言すると横向き状態)とする。この場合にも、防犯モードの設定時には、スラット間隙間49が小さく設定されることでシャッタカーテン42の開度を小さくすることができ、快適モードの設定時には、スラット間隙間49が大きく設定されることでシャッタカーテン42の開度を大きくすることができる。
(2)自然通風状態において寝室11への風の取り込みが十分に行われるか否かの判定結果に基づいて、換気扇27により屋外に排出される空気の排出量(風量)を調整するよう制御してもよい。つまり、上記の判定結果に基づいて、換気扇27により寝室11にて生じさせる空気の流れ量を調整するよう制御してもよい。具体的には、自然通風状態において寝室11への風の取り込みが十分に行われないと判定された場合には、換気扇27の風量を増大するよう調整する。これにより、屋外の環境が風を取り込むのに難しい環境である場合にも、寝室11へ十分な風を取り込むことができるため、快適性を確保することができる。一方、寝室11への風の取り込みが十分に行われると判定された場合には、換気扇27の風量を少なくするよう調整する。この場合、換気扇27の風量を無駄に増大させるのを回避することができるため、省エネ性の低下を抑制することができる。よって、この場合にも、省エネ性の低下を抑制しながら、快適性を確保することができる。
(3)上記実施形態では、シャッタカーテン42により窓部16が遮蔽された遮蔽状態であることを条件に、通風制御処理を実施するようにしたが、これを変更してもよい。すなわち、シャッタカーテン42が上昇状態にあって窓部16がシャッタカーテン42により遮蔽されていない非遮蔽状態にある場合でも、通風制御処理を実施できるようにしてもよい。
非遮蔽状態では、遮蔽状態と比べて、窓部16を通じて寝室11へ取り込まれる風の量(風量)が多くなると考えられる。そこで、この点に鑑みて、窓部16がシャッタカーテン42により遮蔽されているか否かに基づいて、自然通風状態において寝室11への風の取り込みが十分に行われるか否かを判定することが考えられる。具体的には、窓部16が非遮蔽状態にある場合には、図5のステップS16及びS18において、温度差閾値α3及び風圧閾値β3をそれぞれ遮蔽状態の場合よりも低い値に設定することが考えられる(すなわち、α3<α2<α1、β3<β2<β1)。この場合、シャッタカーテン42を備える構成にあって、窓部16の遮蔽/非遮蔽の状態を加味した好適な判定を実現することができる。
(4)上記実施形態では、自然通風状態において寝室11に風が十分に取り込まれるか否かの判定を、屋外と寝室11との温度差と、屋外における風圧との双方に基づいて行ったが、これを変更して、上記の判定を、屋外と寝室11との温度差と、屋外における風圧とのうちいずれか一方にのみ基づいて行ってもよい。
また、上記の判定を、屋外と寝室11との温度差や屋外の風圧に代えて又は加えて、屋外における風の風速や風向等、他の屋外環境情報に基づいて行ってもよい。さらに、上記の判定を、建物10周囲の建蔽率や建物10における窓部16の位置に基づいて行うようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、屋外の温度や屋外における風圧をそれぞれセンサ56,58により検出することで取得したが、これを変更して、例えば、コントローラ60を、インターネットを介して気象センタ(例えば気象庁)に接続し、その気象センタからコントローラ60が気象情報を受信することで屋外の温度や風圧を取得するようにしてもよい。
(6)風圧センサ58により検出された屋外における風の風圧が所定の値よりも高い場合に、シャッタカーテン42の各スラット43を閉状態とするようスラット駆動部53を制御するようにしてもよい。そうすれば、屋外で強風が吹いている場合に、その風が寝室11へ取り込まれることが防止されるため、強風が寝室11に入り込んでかえって快適性が損なわれてしまうといった不都合を防止することができる。
(7)上記実施形態では、換気扇27を廊下12に設けたが、換気扇27を居室13に設けてもよい。その場合にも、換気扇27を作動させることで、寝室11に窓部16から隙間24へ向けた風の流れを生じさせることができるため、窓部16を介して寝室11に取り込まれる風を寝室11において横断させることができる。
また、換気扇27を寝室11に設けてもよい。この場合にも、寝室11において窓部16を通じた風の取り込みを促進させる空気の流れを生じさせることができる。なお、図1には示されていないが、建物10には、寝室11、廊下12、居室13の他に、トイレや浴室が設けられており、それらトイレや浴室に換気扇27を設けるようにしてもよい。
(8)気流発生手段としては、必ずしも換気扇27を用いる必要はない。例えば、廊下12の天井部(屋根天井部)に、廊下12と屋外とを連通する開口部を形成し、その開口部の直下にシーリングファン(気流発生手段に相当)を設けることが考えられる。この場合にも、シーリングファンを作動させることにより、上記開口部を通じて廊下12の空気を屋外に排出するようにすれば、寝室11において窓部16を通じた風の取り込みを促進させる空気の流れを生じさせることができる。
(9)シャッタカーテン42として、上下に延びる複数のスラットが左右に連結されて構成されているものを用いてもよい。また、遮蔽部材としては必ずしもシャッタカーテン42を用いる必要はなく、すだれやカーテン等、その他の遮蔽部材を用いてもよい。要するに、通気可能に構成されているものであれば遮蔽部材として用いることができる。
ちなみに、すだれやカーテンを遮蔽部材として用いる場合には、上記(3)で説明した構成、すなわち窓部16が遮蔽部材により遮蔽されているか否かに基づいて、自然通風状態において寝室11への風の取り込みが十分に行われるか否かを判定する構成を適用することができる。この場合、遮蔽部材が遮蔽状態にあるか否かを検出する遮蔽センサを設け、そのセンサによる検出結果に基づいてかかる判定を行えばよい。
(10)上記実施形態では、外壁15に形成された窓部16(開口部に相当)を寝室11への風の取込口としたが、外壁15に屋外へ出入りするための掃き出し窓等の出入口が形成されている場合に、その出入口(開口部に相当)を風の取込口としてもよい。
(11)上記実施形態では、窓部16が設けられた寝室11に対して本発明の通風システムを適用したが、窓部が設けられた居室等、その他の屋内空間に対して本発明を適用してもよい。