JP5482652B2 - 含フッ素重合体の製造方法および含フッ素イオン交換膜 - Google Patents

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Description

本発明は、含フッ素重合体の製造方法に係り、さらに詳しくは、環境破壊をもたらすおおそれの少ない重合媒体を用いて、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性等に優れ、イオン交換膜に好適する含フッ素重合体を効率よく製造する製造方法に関する。また、本発明は、上記製造方法によって得られたカルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体からなるイオン交換膜を少なくとも1層含み、高電流効率を発現する含フッ素イオン交換膜に関する。
従来から、食塩電解に使用されるイオン交換膜としては、カルボン酸型官能基またはスルホン酸型官能基を有する含フッ素重合体からなる膜が知られている。このような含フッ素重合体は、カルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテルのような含フッ素モノマーと、テトラフルオロエチレン(CF=CF)のような含フッ素オレフィンとを共重合させることにより得られる。
共重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等がある。乳化重合は、水性媒体中で、重合開始剤とパーフルオロカルボン酸型の乳化剤(例えば、C15CONHやC17CONH)の存在下で行われるが、近年このようなパーフルオロカルボン酸型の乳化剤については、環境への影響が懸念されている。
また、溶液重合においては、重合媒体として、パーフルオロメチルシクロヘキサンのようなパーフルオロカーボンや、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(CClF−CClF)等が使用できることが知られている(例えば、特許文献1、および特許文献2参照。)。しかし、このような溶剤は大気中のオゾンを破壊するおそれが大きいことから、その使用が制限されている。
一方、オゾン破壊係数や地球温暖化係数が小さいハイドロフルオロエーテルを媒体とし、カルボン酸基やスルホン酸基に変換可能な官能基を有するビニルエーテルとテトラフルオロエチレンとを共重合させて、含フッ素重合体を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、イオン交換膜等として有用な含フッ素重合体をさらに効率よく製造する方法が求められている。
特開昭52−28586号公報 特公平1−24171号公報 特開2005−29704号公報
本発明は、オゾン破壊係数や地球温暖化係数が小さく、連鎖移動定数の小さい重合媒体を使用し、高分子量で耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性等に優れた含フッ素重合体を効率よく製造する製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明者らは、単量体を溶解性の低い媒体中に分散させて重合を行う場合、あるいは開始剤を溶解性の低い媒体中に分散させて重合を行う場合、重合時の媒体中の単量体濃度や開始剤濃度が不均一になり、重合が進行するに従って組成の異なった重合体が生成し、得られた重合体の組成の分布すなわちイオン交換容量の分布(以下、イオン交換容量分布という。)が大きくなることを見出した。特に、乳化重合では、単量体液滴が存在し、その液滴から開始剤の存在する重合場へ溶解、拡散により単量体が供給されるため、反応中の単量体濃度を一定に制御することが難しく、イオン交換容量分布は大きくなる。
さらに、本発明は、前記のような製造方法によって得られた、高い電流効率を発現するイオン交換膜を提供することを目的とする。
本発明の含フッ素重合体の製造方法は、分子中に1個以上のフッ素原子を有しカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと、分子中に1個以上のフッ素原子を有する含フッ素オレフィンとを、ハイドロフルオロカーボンを媒体として重合させる含フッ素重合体の製造方法において、前記ハイドロフルオロカーボンは、炭素原子数が4〜10で水素原子数/フッ素原子数の割合(モル基準)が0.05〜20であり、前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーを、前記ハイドロフルオロカーボン中に逐次添加して反応させる連続的な反応工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、規制対象となるおそれのある乳化剤を使用することなく、オゾン破壊係数や地球温暖化係数が小さく重合速度の大きい重合媒体を使用し、イオン交換膜として有用なカルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体を、安定的に効率よく製造することができる。また、本発明によれば、このような製造方法によって得られた含フッ素重合体を含む、高い電流効率を発現する食塩電解用イオン交換膜が得られる。
含フッ素重合体のイオン交換容量とアニオン拡散係数の関係を示すグラフである。
本発明の実施形態に係る含フッ素重合体の製造方法は、カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと含フッ素オレフィンとを、重合媒体としてハイドロフルオロカーボンを使用し、この媒体中で重合させることを特徴とする。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]の要旨を有する。
[1]分子中に1個以上のフッ素原子を有しカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと、分子中に1個以上のフッ素原子を有する含フッ素オレフィンとを、ハイドロフルオロカーボンを媒体として重合させる含フッ素重合体の製造方法において、
前記ハイドロフルオロカーボンは、炭素原子数が4〜10で水素原子数/フッ素原子数の割合(モル基準)が0.05〜20であり、
前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーを、前記ハイドロフルオロカーボン中に逐次添加して反応させる連続的な反応工程を有することを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
[2]前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーは、下記式(1)で表わされるパーフルオロビニルエーテルであることを特徴とする前記[1]に記載の含フッ素重合体の製造方法。
Figure 0005482652
(式中、XおよびX’は、それぞれ独立してフッ素原子(F)またはトリフルオロメチル基(CF)であり、Aはカルボン酸型官能基である。pは0または1、qは0〜12の整数、rは0〜3の整数、sは0または1、tは0〜12の整数、uは0〜3の整数である。ただし、1≦p+sであり、かつ1≦r+uである。)
[3]前記含フッ素オレフィンは、テトラフルオロエチレンであることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の含フッ素重合体の製造方法。
[4]前記ハイドロフルオロカーボンは、式:Cn+m2n+12m+1(ただし、nは2〜8の整数であり、mは0〜3の整数であり、n+mは4〜10である。)で表わされる化合物であることを特徴とする前記[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
[5]前記ハイドロフルオロカーボンが、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、および1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
[6]含フッ素重合体のイオン交換容量が0.8〜1.3ミリ当量/グラム乾燥樹脂であることを特徴とする前記[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
]前記[1]乃至[]のいずれか1項に記載の製造方法によって得られたカルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体からなる膜を含むことを特徴とする含フッ素イオン交換膜。
]前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体からなる膜のアニオン拡散係数が1×10−9〜1×10−7cm/秒であることを特徴とする前記[]に記載の含フッ素イオン交換膜。
以下、本発明の製造方法おける各単量体成分、重合媒体、重合方法、得られる含フッ素重合体、および該含フッ素重合体からなるイオン交換膜を含む含フッ素イオン交換膜などについて、詳細に説明する。
[カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマー]
本発明において、カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーとしては、分子中に1個以上のフッ素原子を有するとともにエチレン性の二重結合を有し、かつカルボン酸型の官能基を有する化合物であれば特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
好適なものとしては、下記一般式(1)で表わされるパーフルオロビニルエーテルを挙げることができる。
Figure 0005482652
式(1)中、XおよびX’はそれぞれ独立にフッ素原子(F)またはトリフルオロメチル基(CF)である。すなわち、XおよびX’はFまたはCFであり、1分子中にXとX’の両方が存在する場合、それぞれは同一であっても異なっていてもよい。
Aはカルボン酸型官能基である。カルボン酸型官能基は、カルボン酸基(−COOH)そのもの、または加水分解または中和によりカルボン酸基に変換し得る官能基をいう。具体的には、−COOH、−CN、−COF、−COOR、−COOM、−COONRで表される官能基が挙げられる。ここで、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、あるいは炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。RとRは、同一であっても異なっていてもよい。Mはアルカリ金属または第4級アンモニウム塩基を示す。
また、式(1)中、pは0または1、qは0〜12の整数、rは0〜3の整数、sは0または1、tは0〜12の整数、uは0〜3の整数である。ただし、pとs、rとuが同時に0になることはない。すなわち1≦p+sかつ1≦r+uが成り立つ。
これらのパーフルオロビニルエーテルの具体例としては、以下の式:
CF=CF−O−CFCF−COOCH
CF=CF−O−CFCF−CF−COOCH
CF=CF−O−CFCF−CFCF−COOCH
CF=CF−O−CFCF−O−CFCF−COOCH
CF=CF−O−CFCF−O−CFCF−CF−COOCH
CF=CF−O−CFCF−O−CFCF−CFCF−COOCH
CF=CF−O−CF−CFCF−O−CFCF−COOCH
CF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCF−COOCH
CF=CF−O−CFCF(CF)−O−CF−CFCF−COOCH、CF=CF−O−CFCF−O−CFCF−O−CF−COOCHで表される化合物が挙げられる。製造が容易であることから、これらの中でもp=1、q=0、r=1、s=0〜1、t=1〜3、u=0〜1である化合物が特に好ましい。
[含フッ素オレフィン]
本発明において含フッ素オレフィンとしては、分子中に1個以上のフッ素原子を有する炭素原子数が2〜3のフルオロオレフィンが使用される。好ましいフルオロオレフィンの具体例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)(CF=CF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)(CF=CFCl)、フッ化ビニリデン(VDF)(CF=CH)、フッ素ビニル(VF)(CH=CHF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)(CF=CFCF)等が挙げられるが、特にTFEの使用が好ましい。これらの含フッ素オレフィンは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[その他の単量体]
本発明においては、前記したカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと含フッ素オレフィンに加えて、さらに他の単量体を共重合させることができる。共重合可能な単量体としては、例えば、式:CF=CF−Rや式:CF=CF−OR(これらの式中、Rは炭素原子数1〜10のパーフルオロアルキル基を示す。)で表されるビニルモノマー、あるいは式:CF=CFO(CF)CF=CF(式中、vは1〜3の整数である。)で表されるジビニルモノマー等が挙げられる。これらの単量体を共重合させることにより、膜の可撓性や機械的強度を向上させることができる。これらの単量体成分の含有割合は、イオン交換性能の維持の観点から30質量%以下とすることが望ましく、20質量%以下がより望ましい。
[重合媒体]
本発明においては、重合媒体として、炭素原子数が4〜10であり、モル基準での水素原子数/フッ素原子数の割合(以下、H/Fと示す。)が0.05〜20であるハイドロフルオロカーボンが使用される。ハイドロフルオロカーボンの分子構造は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよい。ハイドロフルオロカーボンの炭素原子数が4未満であるか、あるいは10を超えた場合には、沸点が所望の温度範囲(0〜200℃、より好ましくは10〜100℃)を外れてしまい好ましくない。特に、炭素原子数が4〜8であるものが好ましい。
すなわち、ハイドロフルオロカーボンの炭素原子数が4未満である場合には、沸点が0℃未満となるため保管や輸送に困難が伴い、一方炭素原子数が10を超える場合には、沸点が200℃を超えるため、重合後の懸濁液からの溶媒の分離回収が困難となる。
また、本発明におけるハイドロフルオロカーボンは、H/F比が0.05〜20のものである。H/F比が0.06〜1であるものがより好ましい。H/F比が0.05より小さいハイドロフルオロカーボンでは、後述する重合開始剤の溶解性が不十分となる。一方、ハイドロフルオロカーボンのH/F比が20を超えると、重合反応の連鎖移動定数が大きくなり、所望の分子量の含フッ素重合体が得られない。
このようなハイドロフルオロカーボンの具体例としては、以下の式:
CFCFCHCH
CFCHCFCH
CHFCFCFCHF
CHCFCHFCF
CFCFCHFCF
CFCFCFCFH、
(CFCFCHCH
CHCHFCFCFCHCH
CHCFCFCFCHF
CFCHFCHFCFCF
CFCFCFCFCHCH
CFCFCHCHCFCF
CFCFCFCFCFCFH、
(CFCFCHFCHFCF
CHCFCFCFCFCFCFH、
CFCFCFCFCFCFCFH、
CFCFCFCFCFCFCHCH
CFCFCFCFCFCFCFCHF
で表される化合物等が挙げられる。
炭素原子数が少なすぎると沸点が低くなりすぎ、反対に炭素原子数が多すぎると沸点が高くなりすぎること、および水素原子数が多いと高分子量の共重合体を得ることが困難になることから、前記化合物の中でも、式:Cn+m2n+12m+1(ただし、nは2〜8の整数であり、mは0〜3の整数である。)で表わされるハイドロフルオロカーボンの使用が特に好ましい。特に好ましいハイドロフルオロカーボンとしては、式:CFCFCFCFCFCFH(H/F比=0.076)で表される1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、式:CFCFCFCFCHCH(H/F比=0.56)で表される1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、および式:CFCFCFCFCFCFCHCH(H/F比=0.38)で表される1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン等が挙げられる。
重合媒体は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法における重合媒体を使用することにより、同じイオン交換容量の含フッ素重合体でも、イオン交換膜としたときに高い電流効率を発現する含フッ素重合体が得られる。
[重合方法]
本発明においては、重合媒体であるハイドロフルオロカーボンの使用量がカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーの質量に対して0.01〜20倍、好ましくは0.05〜10倍になるように制御して、前記含フッ素モノマーと含フッ素オレフィンとの共重合反応を実施することが好ましい。重合媒体であるハイドロフルオロカーボンの使用量が少なすぎる場合には、重合反応が円滑に進行しない。また、ハイドロフルオロカーボンの使用量が多すぎる場合には、反応装置の大型化や、重合体の分離回収などの作業操作面での不利が生じる。
カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと含フッ素オレフィンとの使用割合は、得られる重合体が所望の共重合割合となるように選定される。カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーの共重合割合が、15〜95質量%となるように選定することが好ましく、20〜80質量%がより好ましく、20〜60質量%が最も好ましくい。
本発明においては、各単量体を一括で仕込んでもよいが、逐次的にあるいは連続的に添加して反応させることもできる。反応系内の単量体の濃度を一定にして、生成する共重合体の組成を均一化させるという観点からは、TFE、およびカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーを、重合媒体であるハイドロフルオロカーボンを含む重合系中に逐次的に添加して連続的に反応させるように構成することが好ましい。
逐次添加の方法は特に限定されず、重合初期と重合後期で添加割合を変化させてもよいが、得られる重合体の組成を均一にするという観点からは、重合によって消費されたTFEおよびカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーを補って、重合系中の各モノマーの濃度を一定にするように添加することが好ましい。具体的には、重合系の圧力を一定とするようにTFEを逐次導入し、TFEの導入量に比例してカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーを逐次添加することが好ましい。
溶液重合のような均一な重合場での重合であっても、反応により単量体が消費されて単量体濃度が低下するため、イオン交換容量は反応に従って低下し、重合体の組成の分布が発生する。しかし、各単量体を逐次的にあるいは連続的に添加して単量体の濃度を一定に制御しながら反応させることにより、得られた重合体中の組成分布すなわちイオン交換容量の分布を小さくすることができる。
本発明者らは、重合で得られた含フッ素重合体中のイオン交換容量分布が小さいほど、高いイオン交換容量でも初期電流効率が発現し、かつヨウ素などの不純物に対する電流効率等の性能低下が小さくなることを見出した。
カルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体中のイオン交換容量分布が小さいほど、不純物による電流効率の低下を抑えることができる理由ははっきりとはわかってはいないが、本発明者らは以下のとおりと考えている。
イオン交換容量分布が小さいと含フッ素重合体の含水率の分布も小さいために、イオン交換容量を高くしても最適含水率範囲から高めに外れる成分が少なくなり初期電流効率が高くなる。そして、イオン交換容量を高くできることにより、不純物が沈着して含水率が下がっても最適含水率範囲から低めに外れる成分が少ないため、電流効率の低下が抑えられる。
また、本発明においては、重合反応の圧力を0.05MPaG(ゲージ圧、以下同じ。)以上とすることが好ましく、0.1MPaG以上がより好ましい。圧力が低すぎる場合には、重合反応の速度を実用上満足し得る速さに維持することが難しく、高分子量の重合体を得ることが難しい。また、重合圧力は2.0MPaG以下とすることが好ましい。
本発明の重合反応において、他の条件や操作は特に限定されることなく、広い範囲の反応条件を採用することができる。例えば、重合反応の温度は、単量体の種類や反応モル比等により最適値が選定され得るが、余りに高温度や低温度での反応は、工業的に実施には不利となるので、20〜90℃、より好ましくは30〜80℃の反応温度を選定することが望ましい。
本発明においては、例えば電離性放射線の照射によって重合を開始することも可能であるが、前記した好適な反応温度(20〜90℃)において高い活性を示すアゾ化合物やパーオキシ化合物等の重合開始剤を使用する方が、工業的実施には有利である。
本発明で好適に使用される重合開始剤としては、ジコハク酸パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ビス(ペンタフルオロプロピオニル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸類、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;などが挙げられる。
このような重合開始剤の添加量は、全単量体100質量部に対して0.0001〜3質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.0001〜2質量部とする。重合開始剤の添加量を下げることによって、生成する重合体の分子量を高めることができる。重合開始剤の他に、通常の溶液重合において用いられる分子量調節剤等を添加することもできる。
[後処理]
重合反応の終了後、得られた含フッ素重合体は、該含フッ素重合体を溶解しない媒体(以下、凝集媒体という。)とともに混合することにより凝集させて分離することができる。凝集媒体としては、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素系溶媒;メタノールのようなアルコール系溶媒;テトラクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロエタン(CHCClF)のような含ハロゲン系溶剤;などから適宜選択することができる。
反応後の液と凝集媒体との混合は、反応後の液に撹拌下に凝集媒体を加えてもよいし、あるいは凝集媒体に撹拌下に反応後の液を添加してもよい。凝集媒体あるいは反応後の液の添加・混合とともに、重合体が粒子状となって凝集し析出する。この凝集粒子はろ過などの操作によって単離され、乾燥後回収される。
また、重合反応により得られたカルボン酸基を有する含フッ素重合体は、水によって容易に加水分解され、場合によっては溶融加工を施すうえで不具合が生じるおそれがあるため、アルコール処理により再エステル化を施すことができる。このとき、硫酸等の酸性触媒を用いることも可能である。またアルコール処理に代えて、オルト蟻酸トリメチルやオルト酢酸トリメチルで処理することで再エステル化することも可能である。
[含フッ素重合体]
本発明により得られる含フッ素重合体をイオン交換膜として使用する場合、イオン交換膜のイオン交換容量は、0.5〜2.0ミリ当量/グラム乾燥樹脂という広い範囲から選択される。さらに、より好ましい含フッ素重合体のイオン交換容量の範囲は0.8〜1.3ミリ当量/グラム乾燥樹脂である。得られる含フッ素重合体のイオン交換容量を大きくしても、含フッ素重合体の分子量を高くすることができるので、含フッ素重合体の機械的性質や耐久性が低下することがない。得られる含フッ素重合体の組成に応じてイオン交換容量が異なるが、イオン交換膜としての機械的性質や電気化学的性能の観点から、0.6ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上のイオン交換容量を有することが好ましく、特に0.7ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上のイオン交換容量を有することが好ましい。さらに同様の観点から、イオン交換膜として使用する含フッ素重合体のイオン交換容量の範囲としては、0.8ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上がさらに好ましく、0.9ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上が最も好ましい。
イオン交換容量がこの値より大きいと含水率が適切な高さとなり、イオン交換基が充分に電離してアニオンを充分に排除することができ、電流効率が高くなる。
また、電流効率や製造される苛性品質の観点から、イオン交換膜として使用する含フッ素重合体のイオン交換容量の範囲としては、1.3ミリ当量/グラム乾燥樹脂以下が好ましく、1.2ミリ当量/グラム乾燥樹脂以下がより好ましい。
イオン交換容量がこの値より小さいと含水率が適切な低さとなり、膜中のイオン交換基濃度が適切な高さとなるため、アニオンを充分に排除することができ、電流効率が高くなる。
本発明で得られる含フッ素重合体の分子量は、イオン交換膜としての機械的性能および製膜性と関連するので極めて重要である。含フッ素重合体の分子量は、イオン交換膜の高機械強度および良好な製膜性の観点から、「TQ」値で150℃以上とすることが好ましい。より好ましい「TQ」値は170〜340℃であり、特に「TQ」値で170〜300℃とすることが望ましい。なお、「TQ」値とは、重合体の分子量に関係する値であって、容量流速100mm/秒を示す温度で示したものである。上記容量流速は、例えば、重合体を3MPaの加圧下に一定温度のオリフィス(径1mm、長さ1mm)から溶融流出させ、流出する重合体量をmm/秒の単位で示したものである。「TQ」値は重合体の分子量の指標となり、「TQ」値が高いほど高分子量であることを示す。
含フッ素重合体の分子量は、重合反応中の系中に存在する連鎖移動性成分の量が多ければ低分子量に、少なければ高分子量になる。前記のとおり、本発明の含フッ素共重合体は、高機械的性能や良好な製膜性の観点から、一定量以上の分子量を有することが好ましい。本発明の製造方法における重合媒体を用いれば、重合媒体自体の連鎖移動性が低く、充分に高い分子量を有する含フッ素重合体を得ることができる。
[イオン交換膜]
本発明で得られた含フッ素重合体を製膜することにより、イオン交換膜を得ることができる。イオン交換膜の製造方法は、得られる含フッ素重合体を製膜する工程、および得られる含フッ素重合体のカルボン酸型官能基を加水分解によりカルボン酸に転換する工程を有する。上記製膜の工程と、カルボン酸基への転換の工程は、どちらを先に行ってもよいが、通常は製膜後に加水分解を行う方が好ましい。
本発明のイオン交換膜は、アニオン拡散係数が小さいという利点を有する。アニオン拡散係数とは、異なる濃度のアニオンを膜の両側に配置させた時のアニオンの拡散における比例定数であり、拡散係数が大きいほど単位面積あたり、および単位時間あたりのアニオン拡散量が多くなることを意味する値である。
イオン交換膜の電流効率は水酸化物イオンの移動量が大きいと低くなるが、電解時の水酸化物イオンの移動量と電場のない状態での水酸化物イオンの拡散量には相関があり、アニオン拡散係数が大きいと電解時の水酸化物イオンの移動量が大きくなり、電流効率が低くなるという関係にある。そのため、同じイオン交換容量では、アニオン拡散係数が小さい重合体の方が、より電流効率が高い重合体であると考えられる。
イオン交換容量は含フッ素重合体全体のイオン交換容量の平均値を表わすが、電流効率はイオン交換容量だけでなくイオン交換容量分布の影響も受けると考えられ、同じイオン交換容量でもイオン交換容量分布によっては電流効率が異なると考えられる。また、前記のとおりイオン交換容量分布は、不純物による電流効率等の性能低下にも影響していると考えられる。
アニオン拡散係数を小さくすることにより、高い電流効率を実現でき、かつ不純物による電流効率等の性能低下を抑制することができる。アニオン拡散係数は、1×10−7cm/秒以下であることが好ましく、5×10−8cm/秒以下であることがより好ましい。アニオン拡散係数がこの値より小さいとイオン交換膜の電流効率が充分に高くなる。また、アニオン拡散係数は1×10−9cm/秒以上であることが好ましく、5×10−9cm/秒以上であることがより好ましい。この値より大きいと電解電圧が充分に低くなる。
イオン交換容量とアニオン拡散係数とは、図1に示すような相関関係が認められるが、本発明の製造方法により得られた含フッ素重合体からなるイオン交換膜は、同じ電流効率でもアニオン拡散係数が低くなっており、高い電流効率を発現し得ることがわかる。
また、本発明の製造方法によって得られた含フッ素重合体からなる膜は、単体の膜でイオン交換膜として用いてもよく、異なるイオン交換容量を有する膜あるいはスルホン酸基等の異なる官能基を有する膜や補強布などとともに積層してイオン交換膜として用いることも可能である。さらに、クロス、繊維、不織布等による補強を加えることもできる。単体の膜としてまたは積層して得られた本発明の含フッ素重合体からなるイオン交換膜は、拡散透析、オゾン発生電解、電解還元、燃料電池の隔膜、高分子触媒などとして使用することができるが、特に、塩化ナトリウム等の水酸化アルカリの電解に好適に使用することができる。
以下、本発明の具体的実施例について記載するが、本発明は、以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例においては、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサンをC6Hと、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサンをC4エタンと、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタンをC6エタンと記載する。
<含フッ素重合体のTQ値、イオン交換容量の評価>
以下の実施例および比較例において、「TQ」値は、容量流速「Q」値が100mm/秒を示す温度である。容量流速値は、島津フローテスターCFD−100D(島津製作所社製)を使用し、含フッ素重合体を3MPaGの加圧下で一定温度のオリフィス(径1mm、長さ1mm)から溶融・流出させたときの流出量を、mm/秒の単位で示したものである。
また、イオン交換容量の測定は、以下の方法で行った。すなわち、重合によって得られた含フッ素重合体0.7gをポリカーボネート製の容器に入れ、これに0.1NのNaOH水溶液5mLを加えた。これを60℃で18時間静置することにより、含フッ素重合体のカルボン酸型官能基を完全にNa型に転換した後、この溶液を0.1Nの塩酸水溶液で逆滴定し、溶液中のNaOHの量を求めることにより、含フッ素重合体のイオン交換容量を算出した。
<含フッ素重合体からなる膜のアニオン拡散係数の評価>
アニオン交換拡散係数の測定は、以下の方法で行った。すなわち、重合によって得られた含フッ素重合体を、平板プレスを用いてTQより10℃高い温度でプレスし、厚み100〜200μmのフィルムを得た。以下、このフィルムをプレスフィルムという。このプレスフィルムをDMSO/KOH/HO=30/15/65(質量%)の組成の液に95℃で1時間浸漬し、加水分解した。30分水洗した後、さらに12質量%のNaOH水溶液に90℃で16時間浸漬し、カルボン酸ナトリウム塩型官能基を有する含フッ素重合体の膜を得た。
該膜の膜厚(xcm)を測定した後、該膜を開口面積S=0.785cm、液容量30cmを持つPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製セルに挟み込み、膜を介したセルの片側に3.39mol/LのNaOHを、別の片側に2.89mol/LのNaOHと0.5mol/LのNaClとの混合液を満たし、膜の両側のOHイオン濃度差、Clイオン濃度差をいずれも濃度差ΔC=0.0005mol/cmとした。次に、水の蒸発を防ぐためにセルにふたをして液温を90℃まで上昇させた。温度が90℃に達した後1時間経過後に、液を抜き出し、膜のそれぞれの側について、昇温、保持前と同一組成の溶液を予め90℃に温めておいた溶液に入れ替え、再び90℃で4時間(t=14400秒)保持した。4時間経過後、セルから3.39mol/LのNaOHを仕込んだ側の溶液をサンプリングし、該サンプリング液の重量(wg)を測定し、さらに該サンプリング液中のNaCl濃度(Cmol/g)をチオシアン酸水銀法(比色法)で測定した。
得られた含フッ素重合体から作製された膜のアニオン拡散係数D(cm/秒)は、Fickの第一法則に従って、下記の式により計算した。
D=Cwx/ΔCSt
<イオン交換膜の作製と評価>
TFEとCF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOFで表されるスルホン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物の共重合体からなるイオン交換容量1.10ミリ当量/グラム乾燥樹脂、TQ235℃の含フッ素重合体S(以下、重合体Sと記載する。)を合成した。
実施例または比較例で得られたカルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体(以下、重合体Cと記載する。)と重合体Sとを共押し出し法により成形し、重合体Cからなる層の厚さが18μm、重合体Sからなる層の厚さが65μmの2層構成のフィルムAを得た。また、重合体Sを溶融押し出し法により成形し、厚さ30μmのフィルムBを得た。
一方、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムを急速延伸した後、100デニールの太さにスリットして得たモノフィラメントのPTFE糸と、5デニールのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を6本引きそろえて撚ったマルチフィラメントのPET糸とを、PTFE糸1本に対し、PET糸2本の交互配列で平織りし、糸密度30本/cmの補強織布を得た。この織布を、ロールプレス機を用い、織布厚さが約80μmとなるように扁平化した。
これら得られた織布とフィルムを、フィルムB、織布、フィルムA(重合体Cの層が離型用PETフィルム側になるように)、離型用PETフィルム(厚さ100μm)の順に重ね、ロールを用いて積層した。そして離型用PETフィルムを剥がし、補強された積層膜を得た。
次に、平均粒子径1μmの酸化ジルコニウムを29.0重量%、メチルセルロース1.3重量%、シクロヘキサノール4.6重量%、シクロヘキサン1.5重量%、および水63.6重量%からなるペーストを積層膜のフィルムBの側にロールプレスにより転写を行い、ガス開放性被覆層を付着させた。このときの酸化ジルコニウムの付着量は20g/mとした。
次に、ジメチルスルホキシド30重量%、および水酸化カリウム15重量%の水溶液に95℃、10分間浸漬し、COCH基およびSOF基を加水分解して、イオン交換基に転換した。
さらに、重合体Sの酸型ポリマーを2.5重量%含有するエタノール溶液に、平均粒子径1μmの酸化ジルコニウムを13重量%分散させた分散液を調合し、この分散液を上記積層膜のフィルムA側へ噴霧し、ガス開放性被覆層を付着させた。このときの酸化ジルコニウムの付着量は3g/mとした。
このようにして得た含フッ素陽イオン交換膜を、電解槽内でフィルムAが陰極に面するように配置して、塩化ナトリウム水溶液の電解を行った。有効通電面積25cmの電解槽を用い陰極室の供給水入り口を陰極室下部、生成する水酸化ナトリウム水溶液出口を陰極室上部に配し、陽極室の塩化ナトリウム水溶液入口を陽極室下部、反応により希釈された塩化ナトリウム水溶液出口を陽極室上部に配した。陽極としてはチタンのパンチドメタル(短径4mm、長径8mm)に酸化ルテニウムと酸化イリジウムと酸化チタンの固溶体を被覆したものを用い、陰極としてはSUS304製パンチドメタル(短径5mm、長径10mm)にルテニウム入りラネーニッケルを電着したものを用いた。
また、塩化ナトリウム水溶液の電解においては、陽極と膜とが接触するように陰極側を加圧状態にし、290g/Lの塩化ナトリウム水溶液および水をそれぞれ陽極室および陰極室に供給しながら、陽極室から排出される塩化ナトリウム濃度を190g/L、陰極室から排出される水酸化ナトリウム濃度を32重量%に保ちつつ、温度80℃、電流密度6kA/mの条件で1週間電解を行い、1週間後の電流効率を測定した。その後、供給塩化ナトリウム水溶液を、ヨウ素イオン20ppmおよびバリウムイオン1ppmを含有する290g/Lの塩化ナトリウム水溶液に切り替えて電解を行い、切り替え10日後の電流効率を測定した。
<重合反応と得られた含フッ素重合体の評価>
実施例1
内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応容器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、その中に、重合開始剤であるジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート37.2mgを重合媒体であるC6H(CFCFCFCFCFCFH;H/F比=0.076)59.2gに溶解して得られた溶液と、式:CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOCHで表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物70.4gを吸引・注入した。
次いでこの反応容器に、テトラフルオロエチレン(TFE)を容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)になるまで導入し、容器内の温度が60℃となるよう加温した。容器内温度が60℃で安定した後、さらにTFEを圧力が1.20MPaGになるまで導入し、反応を開始させた。反応中は、圧力が1.20MPaGに保持されるように、TFEを連続的に導入した。反応開始からのTFE導入量が18gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。こうして得られたスラリーにメタノールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は0.86ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は247℃であった。
実施例2
内容積1リットル(L)のステンレス鋼製反応容器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、その中に、重合媒体であるC6H(CFCFCFCFCFCFH;H/F比=0.076)315gと、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物174gをそれぞれ吸引・注入した。
次いで、TFEを容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)になるまで導入し、容器内の温度が70℃となるよう加温した。容器内温度が70℃で安定した後、圧力が1.22MPaGになるまでTFEを導入し、さらに重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリルの0.38質量%媒体(CFCFCFCFCFCFH)溶液63gを容器内に圧入・添加し、反応を開始させた。
反応中は圧力が1.22MPaGに保持されるように、TFEを連続的に導入した。また、TFEの導入量9gに対して、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるパーフルオロビニルエーテル化合物10gをTFEの導入量に比例して逐次的に添加した。反応開始からのTFE導入量が76gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。こうして得られたスラリーにメタノールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は0.94ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は252℃であった。またプレスフィルムのアニオン拡散係数は8.98×10−9cm/秒であった。
実施例3
内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応容器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、その中に、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル45.2mgを重合媒体であるC6H(CFCFCFCFCFCFH;H/F比=0.076)69.3gに溶解して得られた溶液と、式:CF=CFOCFCFCFOCFCFCOOCHで表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物53.7gを吸引・注入した。
次いで、容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)になるまでTFEを導入し、容器内の温度が70℃となるよう加温した。容器内温度が70℃で安定した後、圧力が0.97MPaGになるまでTFEをさらに導入し、反応を開始させた。また、TFEの導入量2gに対して、式:CF=CFOCFCFCFOCFCFCOOCHで表されるパーフルオロビニルエーテル化合物4gをTFEの導入量に比例して逐次的に添加した。反応開始からのTFE導入量が7gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。こうして得られたスラリーにメタノールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は0.97ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は208℃であった。
実施例4
内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応容器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、その中に、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル61mgを重合媒体であるC6H(CFCFCFCFCFCFH;H/F比=0.076)103.8gに溶解して得られた溶液と、式:CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3で表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物38.6gを吸引・注入した。
次いで、容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)になるまでTFEを導入し、容器内の温度が70℃となるよう加温した。容器内温度が70℃で安定した後、圧力が1.05MPaGになるまでTFEをさらに導入し、反応を開始させた。反応開始からのTFE導入量が14gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。こうして得られたスラリーにメタノールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は0.93ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は244℃であった。
実施例5
内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応容器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、その中に、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル61mgを重合媒体であるC4エタン(CFCFCFCFCHCH;H/F比=0.56)88.0gに溶解して得られた溶液と、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物38.6gを吸引・注入した。
次いで、容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)になるまでTFEを導入し、容器内の温度が70℃となるよう加温した。容器内温度が70℃で安定した後、圧力が1.05MPaGになるまでTFEをさらに導入し、反応を開始させた。反応開始からのTFE導入量が8gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。こうして得られたスラリーにメタノールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は0.92ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は201℃であった。
実施例6
内容積0.2リットル(L)のステンレス鋼製反応容器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、その中に、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル61mgを重合媒体であるC6エタン(CFCFCFCFCFCFCHCH;H/F比=0.38)96.6gに溶解して得られた溶液と、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物38.6gを吸引・注入した。
次いで、容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)になるまでTFEを導入し、容器内の温度が70℃となるよう加温した。容器内温度が70℃で安定した後、圧力が1.05MPaGになるまでTFEをさらに導入し、反応を開始させた。反応開始からのTFE導入量が9gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。こうして得られたスラリーにメタノールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は0.95ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は191℃であった。
実施例7
重合圧力を1.18MPaGに変えたこと以外は実施例2と同様の操作を行なった。得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は0.99ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は242℃であった。またプレスフィルムのアニオン拡散係数は1.47×10−8cm/秒であった。
実施例8
重合圧力を1.12MPaGに変えたこと以外は実施例2と同様の操作を行なった。得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は1.04ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は230℃であった。またプレスフィルムのアニオン拡散係数は2.83×10−8cm/秒であった。
実施例9
内容積1リットル(L)のステンレス鋼製反応容器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、その中に、重合媒体であるC6H(CFCFCFCFCFCFH;H/F比=0.076)315gと、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物177gをそれぞれ吸引・注入した。
次いで、TFEを容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)になるまで導入し、容器内の温度が70℃となるよう加温した。容器内温度が70℃で安定した後、圧力が1.18MPaGになるまでTFEを導入し、さらに重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリルの0.38質量%媒体(CFCFCFCFCFCFH)溶液63gを容器内に圧入・添加し、反応を開始させた。
反応中は圧力が1.18MPaGに保持されるように、TFEを連続的に導入した。また、TFEの導入量9gに対して、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるパーフルオロビニルエーテル化合物3.7gをTFEの導入量に比例して逐次的に添加した。反応開始からのTFE導入量が18gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。得られたスラリーにメタノールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
また、上記と同様の重合において、TFE導入量が54gおよび90gとなった時点で重合を終了させ、上記と同様の反応後の処理により含フッ素重合体の粉体をそれぞれ得た。それぞれの得られた含フッ素重合体のイオン交換容量を測定したところ、TFE導入量が18g、54g、および90gの場合に得た含フッ素重合体のいずれのイオン交換容量も0.95ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TFE導入量によるイオン交換容量の変化はみられなかった。
実施例10
内容積20リットル(L)のステンレス鋼製反応容器(オートクレーブ)を真空に脱気した後、その中に、重合媒体であるC6H(CFCFCFCFCFCFH;H/F比=0.076)8607gと、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物4586gをそれぞれ吸引・注入した。
次いで、TFEを容器内の圧力が0.1MPaG(ゲージ圧)になるまで導入し、容器内の温度が70℃となるよう加温した。容器内温度が70℃で安定した後、圧力が1.09MPaGになるまでTFEを導入し、さらに重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリルの0.38質量%媒体(CFCFCFCFCFCFH)溶液1169gを容器内に圧入・添加し、反応を開始させた。
反応中は圧力が1.09MPaGに保持されるように、TFEを連続的に導入した。また、TFEの導入量179gに対して、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるパーフルオロビニルエーテル化合物80gをTFEの導入量に比例して逐次的に添加した。反応開始からのTFE導入量が1635gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。こうして得られたスラリーにメタノールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は1.02ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQは232℃であった。
また、得られた含フッ素重合体を用いてイオン交換膜を上記した方法で作製して評価を行ったところ、電解開始1週間後の電流効率は96.4%であった。その後、前記したヨウ素イオンおよびバリウムイオンを添加した塩化ナトリウム水溶液に切り替えて、10日間電解を行った後の電流効率は95.8%であった。
比較例1
内容積1Lのステンレス製オートクレーブを真空に脱気した後、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物174g、およびAE-3000(旭硝子社製品名、CFCHOCFCHF)306gを吸引注入し、TFEを0.1MPaGまで導入後、内温が70℃となるよう加温した。内温が70℃で安定した後、さらにTFEを1.17MPaGとなるまで導入し、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)の0.85質量%AE−3000溶液28gをオートクレーブに圧入添加し、反応を開始させた。反応中は圧力が1.22MPaGを保持するようにテトラフルオロエチレンを連続的に導入した。またテトラフルオロエチレンの導入量9gに対して、式:CF=CFOCFCFCFCOOCHで表されるカルボン酸型官能基を有するパーフルオロビニルエーテル化合物10gをTFEの導入量に比例して逐次添加し、反応開始後からのTFE導入量が73gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し、重合を終了させた。
得られたスラリーの重量に対して半分の重量のAE−3000を添加し、攪拌分散させた後、追加したAE−3000の5倍量のメタノールに投入することでポリマーを凝集した。凝集後のポリマーはろ別後、さらにメタノールによる洗浄を行った。その後、80℃にて16時間、真空下で乾燥して含フッ素重合体の粉体を得た。得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は0.95ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQは245℃であった。またプレスフィルムのアニオン拡散係数は1.72×10−8cm/秒であった。
比較例2
重合圧力を1.12MPaGに変えたこと以外は比較例1と同様の操作を行なった。得られた含フッ素重合体のイオン交換容量は0.98ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQ値は241℃であった。またプレスフィルムのアニオン拡散係数は2.80×10−8cm/秒であった。
比較例3
17COONHの8.6g、リン酸2水素ナトリウム塩5.0g、およびリン酸水素2ナトリウム塩8.6gを内容積2.5Lのステンレス製オートクレーブに入れ、真空に脱気した後、イオン交換水1695g、CF=CFOCFCFCFCOCH258g、n−ヘキサン0.28g、および硫酸銅12水和塩の0.12質量%水溶液5.2gを吸引注入した。次いで、これにTFEを圧力が0.01MPaになるまで導入し、オートクレーブの内温が50℃になるように加温した。内温が50℃に到達した後、さらにTFEを1.24MPaとなるまで導入し、過硫酸アンモニウムの3.8質量%水溶液50gを、圧入管を通してオートクレーブ内に添加して重合を開始させた。反応中は系外よりTFEを連続的に導入し、圧力を1.24MPaに保持した。反応開始からのTFE導入量が49gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し重合を終了させた。
得られた含フッ素重合体のラテックスにC6Hの600gを加えて30分間撹拌し、静置分離した後、C6Hからなる層を分離、除去することにより、ラテックス中に残存する未反応のCF=CFOCFCFCFCOCHを除去した。ラテックスに10質量%の硫酸水溶液を添加し、含フッ素重合体を凝集させ、さらにメタノールで洗浄し、その後乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
また、上記と同様の重合において、TFE導入量が182gおよび273gとなった時点で重合を終了させ、上記と同様の反応後の処理により含フッ素重合体の粉体をそれぞれ得た。それぞれの得られた含フッ素重合体のイオン交換容量を測定したところ、TFE導入量が49g、182g、および273gの場合に得た含フッ素重合体のイオン交換容量は、それぞれ0.98ミリ当量/グラム乾燥樹脂、0.95ミリ当量/グラム乾燥樹脂、および0.93ミリ当量/グラム乾燥樹脂、であり、TFE導入量が増えるにしたがってイオン交換容量は低下していた。
比較例4
比較例3と同様の重合を行い、反応開始からのTFE導入量が215gとなった時点で未反応のTFEを系外に放出し重合を終了させた。こうして得られたスラリーにメタノールを加えて重合体を凝集・分離し、次いで洗浄、乾燥を行い、含フッ素重合体の粉体を得た。
得られた含フッ素重合体のイオン交換容量を測定したところ、0.95ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQは250℃であった。
また、得られた含フッ素重合体を用いてイオン交換膜を作製して評価を行ったところ、電解開始1週間後の電流効率は96.6%であった。その後、前記したヨウ素イオンおよびバリウムイオンを添加した塩化ナトリウム水溶液に切り替えて10日間電解を行った後の電流効率は89.4%まで低下していた。
比較例5
TFE圧力を1.16MPaとした以外は、比較例4と同様の重合を行い、イオン交換容量が1.02ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、TQが242℃の含フッ素重合体の粉体を得た。
また、得られた含フッ素重合体を用いてイオン交換膜を作製して評価を行ったところ、電解開始1週間後に、前記したヨウ素イオンおよびバリウムイオンを添加した塩化ナトリウム水溶液に切り替えて電解を10日行った後の電流効率は94.5%と低い値であった。
以上の実施例および比較例について、重合条件および含フッ素重合体とイオン交換膜の評価結果を表1に示した。
なお、表1中、「−」は未測定であることを意味する。
Figure 0005482652
実施例2、7、8および比較例4、5について、イオン交換容量とアニオン拡散係数の関係を図1に示した。
実施例2、7、8および比較例1、2のイオン交換容量とアニオン拡散係数の比較から、実施例2、7、8で得られた含フッ素重合体は、比較例1、2で得られた含フッ素重合体よりも、同イオン交換容量におけるアニオン拡散係数が低いことが確認できる。
また、ヨウ素イオンを添加したときの電流効率の低下は、実施例10では小さいが、比較例4では著しいことから、実施例10のイオン交換膜の方が不純物による電流効率の低下が抑制されていることがわかる。
また、実施例9のパーフルオロビニルエーテル化合物の連続添加では、重合途中でも生成している重合体のイオン交換容量は一定であるのに対して、比較例3のようにパーフルオロビニルエーテル化合物の一括添加においては、重合が進行するにつれて生成している重合体のイオン交換容量が小さくなっており、パーフルオロビニルエーテル化合物の単量体を逐次添加した方が、得られた重合体のイオン交換容量の分布が小さいことがわかる。
本発明の含フッ素重合体の製造方法は、オゾン破壊係数および地球温暖化係数が極めて小さい重合媒体を使用し、種々の特性に優れ、特にイオン交換膜の材料として有用な含フッ素重合体を得ることができ、産業上有用な含フッ素重合体の製造方法である。

なお、2008年4月28日に出願された日本特許出願2008−117372号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (8)

  1. 分子中に1個以上のフッ素原子を有しカルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーと、分子中に1個以上のフッ素原子を有する含フッ素オレフィンとを、ハイドロフルオロカーボンを媒体として重合させる含フッ素重合体の製造方法において、
    前記ハイドロフルオロカーボンは、炭素原子数が4〜10で水素原子数/フッ素原子数の割合(モル基準)が0.05〜20であり、
    前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーを、前記ハイドロフルオロカーボン中に逐次添加して反応させる連続的な反応工程を有することを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
  2. 前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素モノマーは、下記式(1)で表わされるパーフルオロビニルエーテルであることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素重合体の製造方法。
    Figure 0005482652
    (式中、XおよびX’は、それぞれ独立してフッ素原子(F)またはトリフルオロメチル基(CF)であり、Aはカルボン酸型官能基である。pは0または1、qは0〜12の整数、rは0〜3の整数、sは0または1、tは0〜12の整数、uは0〜3の整数である。ただし、1≦p+sであり、かつ1≦r+uである。)
  3. 前記含フッ素オレフィンは、テトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1または2に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  4. 前記ハイドロフルオロカーボンは、式:Cn+m2n+12m+1(ただし、nは2〜8の整数であり、mは0〜3の整数であり、n+mは4〜10である。)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  5. 前記ハイドロフルオロカーボンが、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサン、および1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  6. 含フッ素重合体のイオン交換容量が0.8〜1.3ミリ当量/グラム乾燥樹脂であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の製造方法によって得られたカルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体からなる膜を含むことを特徴とする含フッ素イオン交換膜。
  8. 前記カルボン酸型官能基を有する含フッ素重合体からなる膜のアニオン拡散係数が1×10−9〜1×10−7cm/秒であることを特徴とする請求項に記載の含フッ素イオン交換膜。
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