JP5479276B2 - X線照射装置 - Google Patents

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本発明は、X線照射装置に関する。
X線照射装置として、電子を出射する電子銃部と、電子銃部を収容し且つ電子銃部から出射された電子が通過する電子通路を含むと共に真空状態が保持される筐体と、を有する電子出射部と、基板と該基板に埋設されており電子の入射によりX線を発生する材料からなるターゲット体とを含むターゲット部と、被照射物を保持する保持部と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−028845号公報 実開平06−035953号公報 特開2002−286900号公報 特開2002−323462号公報(特許第4484012号公報) 特開2005−276760号公報
X線照射装置では、電子銃部から出射された電子をターゲット体に入射させて、ターゲット体からX線を放射させ、そのX線を被照射物に照射しているが、X線の焦点と被照射物との間の距離が変化してしまうことがある。その要因としては、装置の構成部材の熱膨張の影響がある。例えば、ターゲット体が電子出射部の筐体に保持されているため、筐体が熱膨張すると、その分ターゲット体が移動してX線の焦点の移動が生じる、また、被照射物を保持する保持部が熱膨張することで被照射物の移動が生じる等の影響が考えられる。X線の焦点と被照射物との間の距離が変化すると、X線照射によりX線像を撮像する際の分解能が著しく劣化することとなる。
本発明は、X線の焦点と被照射物との間の距離が変化するのを抑制して、被照射物に安定してX線を照射することが可能なX線照射装置を提供することを目的とする。
本発明に係るX線照射装置は、電子を出射する電子銃部と、電子銃部を収容し且つ電子銃部から出射された電子が通過する電子通路を含むと共に真空状態が保持される筐体と、を有する電子出射部と、基板と該基板に埋設されており電子の入射によりX線を発生する材料からなるターゲット体とを含むターゲット部と、ターゲット部と電子出射部とを結合する結合部と、ターゲット体に対向して配置され且つターゲット体から発生したX線が照射される被照射物を保持する保持部と、ターゲット部及び保持部が設けられる基準面を有する設置部と、を備え、結合部は、電子通路に連続し且つ真空状態が保持される空間を画成すると共に伸縮性を有しており、少なくとも空間に面する部分が導電性を有していることを特徴とする。
本発明に係るX線照射装置では、ターゲット部と保持部とが同じ基準面に設けられており、ターゲット部と保持部との間の距離が変化することが抑制される。このため、X線の焦点と被照射物との間の距離が変化するのを抑制して、被照射物に安定してX線を照射することができる。
本発明では、ターゲット部と電子出射部とを結合する結合部が、電子通路に連続し且つ真空状態が保持される空間を画成し、少なくとも空間に面する部分が導電性を有しているので、ターゲット部(ターゲット体)への電子の照射を妨げることはない。また、結合部が伸縮性を有しているので、電子出射部(たとえば、筐体等)の熱膨張等により電子出射部とターゲット部との間の距離が変化した場合でも、この距離の変化を結合部が吸収することができる。
設置部は、基準面に対しターゲット部を移動させる移動機構を有し、ターゲット部は、移動機構を介して設置部に設けられていてもよい。この場合、移動機構により、ターゲット部の基準面に対する位置が調整されることとなり、X線の焦点と被照射物との間の距離の微調整が可能となる。これにより、より一層安定してX線を被照射物に照射することができる。
結合部は、可撓性を有していてもよい。この場合、結合部が、電子の入射軸と交差する方向へのターゲット部の移動に支障となるようなことはなく、電子ビームとターゲット部との位置関係を適切に調整することができる。このため、より一層安定してX線を被照射物に照射することができる。
設置部は、電子出射部に固定された板状部材を有し、板状部材の一方の主面が基準面であってもよい。この場合、電子出射部と板状部材とが一体となり、電子出射部と板状部材との位置関係が変動するのが抑制される。このため、より一層安定してX線を被照射物に照射することができる。
設置部は、電子出射部と離間した支持部材と、該支持部材に固定された板状部材と、を有し、板状部材の一方の主面が基準面であってもよい。この場合、電子出射部と支持部材とが離間しているので、電子出射部の熱が支持部材及び板状部材に伝わるのが抑制される。このため、X線の焦点と被照射物との間の距離の変化がより一層抑制され、より一層安定してX線を被照射物に照射することができる。
設置部は、ターゲット部の側方に配置されていてもよい。この場合、基準面(設置部)がターゲット部及び保持部の近傍に位置することとなり、ターゲット部及び保持部を安定して設置部に設けることができる。このため、より一層安定してX線を被照射物に照射することができる。
本発明によれば、X線の焦点と被照射物との間の距離が変化するのを抑制して、被照射物に安定してX線を照射することが可能なX線照射装置を提供することができる。
本実施形態に係るX線照射装置を示す概略構成図である。 ターゲット部の構成を示す図である。 本実施形態の変形例に係るX線照射装置を示す概略構成図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係るX線照射装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るX線照射装置を示す概略構成図である。
X線照射装置1は、ターゲット部T、電子銃部3、筒状部5(筐体)、天板20、ベローズBE、及び保持部30を備えている。X線照射装置1は、開放型である。開放型は、使い捨てに供される密封型と異なり、真空状態を任意に作り出すことができ、ターゲット部Tや電子銃部3のカソード等の交換が可能である。電子銃部3は、電子を出射する。電子銃部3から出射された電子により電子ビームEBが形成される。
筒状部5は、円筒形状を呈しており、ステンレス鋼からなる。筒状部5内は、動作時に真空状態が保持される。X線照射装置1では、電子銃部3及び電子銃部3を内部に収容する筒状部5等が電子出射部2を構成している。筒状部5は、下側に位置する固定部5aと上側に位置する着脱部5bとからなる。着脱部5bは、ヒンジ(不図示)を介して固定部5aに取り付けられている。従って、着脱部5bが、ヒンジを介して横倒しになるように回動することで、固定部5aの上部を開放させることができる。これにより、固定部5a内に収容されている電子銃部3(カソード)へのアクセスが可能となる。
着脱部5b内には、集束レンズとして機能する筒状のコイル部7と、偏向コイル(電子ビーム偏向部)として機能する筒状のコイル部9と、が設けられている。着脱部5b内には、コイル部7,9の中心を通るよう、筒状部5の長手方向に電子通路11が延在している。電子通路11は、コイル部7,9で包囲される。着脱部5bの下端には、ディスク板13が蓋をするように固定されている。ディスク板13の中心には、電子通路11の下端側に一致させる電子導入孔13aが形成されている。着脱部5bの上端は、円錐台に形成されている。
固定部5aには真空ポンプ17が固定されている。真空ポンプ17は、筒状部5内全体を高真空状態にする。X線照射装置1が真空ポンプ17を装備することによって、ターゲット部Tやカソード等の交換が可能である。
筒状部5の基端側には、電子銃部3との一体化が図られたモールド電源部19が固定されている。モールド電源部19は、電気絶縁性の樹脂(例えば、エポキシ樹脂)でモールド成形させたものであると共に、金属製のケース内に収容されている。
モールド電源部19内には、高圧発生部(不図示)が封入されている。高圧発生部は、高電圧(例えば、ターゲット部Tを接地させる場合には最大−160kV)を発生させるトランスを有している。モールド電源部19は、下側に位置して直方体形状をなすブロック状の電源本体部19aと、電源本体部19aから上方に向けて固定部5a内に突出する円柱状のネック部19bと、からなる。
高圧発生部は、電源本体部19a内に封入されている。ネック部19bの先端部には、電子通路11を挟むように、ターゲット部Tに対峙させるよう配置させた電子銃部3が装着されている。モールド電源部19の電源本体部19a内には、高圧発生部に電気的に接続させた電子放出制御部(不図示)が封入されている。電子放出制御部は、電子銃部3に接続されており、電子の放出のタイミングや管電流等を制御している。
筒状部5の着脱部5bの頂部(電子出射部2の先端部)には、設置部としての天板20が設けられている。天板20は、板状部材であって、互いに対向する第1主面20aと第2主面20bとを有している。天板20は、第2主面20bを着脱部5b(電子出射部2)側として、ねじ止め等により着脱部5bに固定されている。天板20は、ターゲット部Tの側方に配置されている。天板20には、電子通路11に対応する位置に、ターゲット部Tに向かう電子を通すベローズBEを収容するための開口20cが形成されている。第1主面20aは、基準面として機能する。
天板20の第1主面20aには、移動機構としての第1XYZステージST1が設けられている。第1XYZステージST1は、電子銃部3の電子の出射方向、すなわちZ軸方向だけでなく、Z軸方向と直交するX軸方向、並びにZ軸方向及びX軸方向と直交するY軸方向にも、可動台を移動させる。第1XYZステージST1の可動台には、固定治具FXを介してターゲット部Tが固定されている。これにより、ターゲット部Tは、第1XYZステージST1を介して天板20に設けられることとなる。ターゲット部T(後述するターゲット体23)の位置は、第1XYZステージST1により調整することが可能となる。固定治具FXは、ステンレス鋼やアルミナ等からなる。
ターゲット部Tは、図2にも示されるように、基板21と、基板21に埋設されているターゲット体23と、を有している。ターゲット体23は、電子の入射によりX線を発生する材料からなる。基板21は、X線透過性および放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンドからなり、板状である。基板21は、互いに対向する第1及び第2主面21a,21bを有している。基板21の直径は、例えば3mm程度に設定されている。基板21の厚みは、例えば100μm程度に設定されている。
ターゲット体23は、基板21の第1主面21a側に位置している。ターゲット体23は、基板21とは異なる材料からなる金属(例えば、タングステン、金、白金等)によって円柱状に形成されており、ナノサイズ(例えば、外径が100nm程度)とされている。本実施形態では、ターゲット体23の金属として、タングステン(W)を採用している。ターゲット体23の長さ(高さ)は、例えば1000nm程度に設定されており、基板21の第2主面21b側には貫通していない。ターゲット体23は、第1主面21aが電子銃部3と対向するように配置されている。
ターゲット部Tと筒状部5(着脱部5b)とは、結合部としてのベローズBEにより結合されている。ベローズBEは、電子通路11に連続し且つ真空状態が保持される空間を画成しており、電子銃部3の電子の出射方向(Z軸方向)に対し伸縮性を有している。ベローズBEは、可撓性も有している。これにより、ベローズBEは、Z軸方向だけでなく、Z軸方向に直交する方向にも移動する可能となる。
ベローズBEは、ステンレス鋼からなり、電子通路11に連続し且つ真空状態が保持される空間に面する部分が導電性を有している。これにより、散乱電子等によりベローズBEが帯電するのを防ぐことができる。ベローズBEは、全体が導電性を有している必要なく、少なくとも上記空間に面する部分が導電性を有していればよい。ベローズBEは、コイル部7により形成される磁場レンズに影響を与えないために、非磁性材料からなることが好ましい。ベローズBEとターゲット部T(基板21)とは、ロー付け等により接合されている。ベローズBEと筒状部5(着脱部5b)とは、Oリング等の封止部材を挟み、ネジ等の接合部材により交換可能(着脱可能)に接合されている。ベローズBEの全長は、例えば10mm程度に設定されている。このように、X線照射装置1では、電子銃部3、筒状部5、ターゲット部T、及びベローズBE等がX線発生部を構成している。
天板20の第1主面20aには、第2XYZステージST2が設けられている。第2XYZステージST2は、第1XYZステージST1と同じく、電子銃部3の電子の出射方向、すなわちZ軸方向だけでなく、Z軸方向と直交するX軸方向、並びにZ軸方向及びX軸方向と直交するY軸方向にも、可動台を移動させる。第2XYZステージST2の可動台には、保持部30が固定されている。これにより、保持部30(被照射物SM)の位置が第2XYZステージST2により調整することが可能となる。第1及び第2XYZステージST1,ST2は、当業者にとって既知であり、その構成の詳細な説明は省略する。
保持部30は、ターゲット体23から発生したX線が照射される被照射物SMを保持する。被照射物SMは、保持部30に保持されることにより、ターゲット体23に対向して配置される。
続いて、X線照射装置1を用いた被照射物SMの観察手順を説明する。
まず、コイル部7及び電子銃部3を作動させ、コイル部7により電子ビームEBの照射野の直径が10μm程度となるように調整する。そして、第1XYZステージST1により可動台を移動させて、電子ビームEBの照射野内にターゲット体23を移動させる。本実施形態では、ダイヤモンドからなる基板21中にタングステンからなるターゲット体23を埋設している。タングステンは、ダイヤモンドよりも質量数が大きい。このため、二次電子放出比、吸収電流量、又はターゲット電流等の変化によってターゲット体23の位置を判定することができる。また、基板21にターゲット体23の位置を示すマーク(例えば、矢印や、2重又は3重の円等)をタングステン等の材料により形成していてもよい。
次に、コイル部7により電子ビームEBの照射野の直径を100nm程度に絞る。その後、コイル部9を作動させてターゲット体23の位置を求め、ターゲット体23に電子ビームEBを照射する。これにより、X線が出力されることとなる。ターゲット体23の位置を求める手順は、上述した二次電子放出比、吸収電流量、又はターゲット電流等の変化に基づいて行うことができる。
一方、保持部30に被照射物SMを固定する。そして、第2XYZステージST2により、電子出射部2と被照射物SMとの間の距離を、例えば10mmに設定して、被照射物SMにおける観察部位を探す。その後、電子出射部2と被照射物SMとの間の距離を、例えば0.5mmに設定して、被照射物SMを観察する。
ところで、電子ビームEBは、そのビーム径が基板21上で100nm程度になるようにコイル部7で形成した集束レンズ(電子レンズ)により集束される。微細な電子ビームEBをナノサイズとされたターゲット体23に確実に照射してX線を発生させるためには、コイル部7の中心とターゲット体23の位置とを精密に合わせる必要がある。基板21上での電子ビームEBの位置はコイル部9により調整されることとなるが、コイル部9による調整範囲は、±50μm程度である。このため、コイル部9による調整範囲内にターゲット体23の位置を設定するため、すなわち集束レンズの中心軸上にターゲット体23を配置するためには、位置調節機構が必要となる。更に、位置調節機構での調節によって、集束レンズの中心軸上を電子が通過すると集束レンズの収差の影響を受けにくいので、ターゲット体23上でのビーム径を容易に小さくできる。第1XYZステージST1は、この位置調節機構として機能する。
被照射物SMの位置は、第2XYZステージST2により被照射物SMをX軸及びY軸方向に移動させることにより設定される。第2XYZステージST2により被照射物SMをZ軸方向に移動させることにより、拡大率M(=x1/x2)が決定される。ここで、x1は、X線の焦点(ターゲット体23)と撮像デバイス(不図示)との間の距離である。x2は、X線の焦点(ターゲット体23)と被照射物SMとの間の距離である。
X線照射装置1の分解能は、拡大率Mを任意に設定できるとした場合、X線の焦点サイズで決まる。例えば、100nm程度の分解能を得ようとする場合、X線の焦点サイズは100nmに設定する必要がある。また、観察中はX線の焦点と被照射物SMとの間の距離も100nmの精度で固定されている必要がある。本実施形態では、天板20の第1主面20aに、ターゲット部T(ターゲット体23)が第1XYZステージST1を介して設けられると共に、保持部30が第2XYZステージST2を介して設けられている。このように、ターゲット部T(ターゲット体23)と保持部30とが間接的に一体化するため、X線の焦点と被照射物SMとの間の距離は100nm以下の精度で固定されることとなる。そして、X線の焦点と被照射物SMとの位置関係が固定されていれば、天板20の第1主面20a、すなわち基準面の絶対的な位置が変動しようともX線画像の位置分解能は維持される。
以上のように、本実施形態によれば、ターゲット部Tと保持部30とが同じ第1主面20aに設けられており、ターゲット部Tと保持部30との間隔が変化することが抑制される。このため、X線の焦点と被照射物SMとの間隔が変化するのを抑制して、被照射物SMに安定してX線を照射することができる。
また、ベローズBEが伸縮性を有している。このため、電子出射部2(たとえば、筒状部5等)の熱膨張等により、筒状部5とターゲット部Tとの間隔が変化した場合でも、この間隔の変化をベローズBEが吸収することができる。また、天板20の熱膨張等によって、筒状部5とターゲット部Tとの間隔が変化した場合(換言すれば、筒状部5と天板20の第1主面20a(つまり基準面)との間隔が変化した場合)でも、同様にこの間隔の変化をベローズBEが吸収することができる。
なお、基準面の絶対的な位置が変化すると、ターゲット部Tの絶対的な位置も変化するために上記距離x1が変わることとなり、拡大率Mが変化すると言える。しかしながら、実際には距離x2に比較して、距離x1は非常に大きいため、その影響は小さい。例えば、距離x1を500mm、距離x2を0.5mmとして拡大率1000倍を得ているときに、距離x1が50μm大きくなるように変化しても、拡大率は1000.1倍にしかならず、実用上は無視できる。
また、一般的には、ターゲット部の絶対的な位置が変化すると、ターゲット体への電子ビームの入射条件、特にターゲット体へ入射する電子ビームのビーム径が変化してしまう。このため、X線の焦点径も変化する可能性がある。一方、本実施形態においては円柱状に形成されたターゲット体23が基板21に埋設されているために、X線焦点の径を直接反映するのはターゲット体23の径となる。よって、電子ビームEBがターゲット体23に入射していれば、ターゲット部Tの絶対的な位置が変化しても、X線の焦点径が変化する可能性は低い。
更に、ベローズBEは、電子通路に連続し且つ真空状態が保持される空間を画成し、少なくとも空間に面する部分が導電性を有しているので、ターゲット部T(ターゲット体23)への電子の照射を妨げることはない。
本実施形態では、ターゲット部Tは、第1XYZステージST1を介して天板20の第1主面20aに設けられている。これにより、ターゲット部Tの第1主面20aに対する位置が調整されることとなり、X線の焦点と被照射物SMとの間の距離の微調整が可能となる。この結果、より一層安定してX線を被照射物SMに照射することができる。更に、電子ビームEBの集束レンズの中心軸上にターゲット体23を配置するようにターゲット部Tの位置を調整することもできる。そのため、集束レンズの収差の影響を受けることなく微小な焦点径に電子を集束することができる。
ベローズBEは、伸縮性のみならず可撓性を有している。これにより、ベローズBEが、電子ビームEBと交差する方向へのターゲット部Tの移動に支障となるようなことはなく、特に、微小なターゲット体23に対して適切に電子ビームEBが入射されるように、電子ビームEBとターゲット部Tとの位置関係を適切に調整することができる。したがって、より一層安定してX線を被照射物SMに照射することができる。
天板20は、筒状部5に固定されている。これにより、筒状部5と天板20とが一体となり、筒状部5と天板20との位置関係が変動するのが抑制される。また、本実施形態においては、天板20は筒状部5の先端に固定されているので、筒状部5の熱膨張による、筒状部5とターゲット部Tとの間隔の変化を最小限に抑制することができ、電子ビームEBのターゲット体23への入射状態の変化を抑制することができる。したがって、より一層安定してX線を被照射物SMに照射することができる。また、X線照射装置1の装置全体を小型化することもできる。
天板20は、ターゲット部Tの側方に配置されている。これにより、第1主面20aがターゲット部T及び保持部30の近傍に位置することとなり、ターゲット部T及び保持部30を安定して天板20に設けることができる。更に、天板20を小型化することができるので、天板20の熱膨張による筒状部5とターゲット部Tとの間隔の変化を抑制することができる。この結果、より一層安定してX線を被照射物SMに照射することができる。
特許文献4に記載されたX線透視撮影装置では、ヒータの駆動による試料ステージの熱膨張/収縮に起因して試料が移動しても、その移動を打ち消すように試料ステージを移動させることが記載されている。この場合、試料ステージの熱膨張/収縮を検出する手段と、当該手段による検出結果に基づいて試料ステージを駆動させる手段と、が必要とされる。これに対して、本実施形態では、天板20が備えられ、ターゲット部Tと保持部30とが天板20の同じ第1主面20aに設けられているという極めて簡易な構成が採用されている。したがって、本実施形態では、複雑な制御等が必要とされることなく、X線の焦点と被照射物SMとの間隔が変化するのを抑制して、被照射物SMに安定してX線を照射することができる。
次に、図3を参照して、本実施形態の変形例に係るX線照射装置の構成について説明する。図3は、本実施形態の変形例に係るX線照射装置を示す概略構成図である。図3に示された変形例では、天板20が電子出射部2(筒状部5)と別体の支持部材に固定されている点で上述された実施形態と相違する。
天板20は、電子出射部2と離間した支持部材40にねじ止め等により固定されている。支持部材40は、電子出射部2と別体であって、電子出射部2が設置されている台座に立設されている。天板20には、被照射物SMに対応する位置に、被照射物SMを透過して撮像デバイス(不図示)に向かうX線を通すための開口20dが形成されている。固定治具FXは、スペーサSPを介して第1XYZステージST1の可動台に設けられている。スペーサSPは必ずしも必要ではなく、固定治具FXを第1XYZステージST1の可動台に直接設けてもよい。
本変形例においても、ターゲット部T(ターゲット体23)と保持部30とが間接的に一体化するため、X線の焦点と被照射物SMとの間の距離は100nm以下の精度で固定されることとなる。
本変形例では、電子出射部2を構成する筒状部5と支持部材40とが離間しているので、筒状部5の熱が支持部材40及び天板20に伝わるのが抑制される。つまり、筒状部5における熱膨張がベローズBEによって吸収される一方で、筒状部5の熱が支持部材40及び天板20に伝わるのが抑制されることで、X線の焦点と被照射物SMとの間の距離の変化がより一層抑制され、より一層安定してX線を被照射物SMに照射することができる。更に、ターゲット部Tの絶対的な位置を保持することができるので、電子ビームEBのターゲット体23への入射状態の変化を抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
第1XYZステージST1により調整されるターゲット体23の位置は、通常、コイル部7の中心に一度合わせれば、その状態が維持される。したがって、ターゲット部Tを移動させる移動機構は、第1XYZステージST1の代わりに、水平に対向する4本のねじを有し、これらのねじの押し引きによりターゲット部Tの位置を調整する機構を用いてもよい。
1…X線照射装置、2…電子出射部、3…電子銃部、5…筒状部、7…コイル部、9…コイル部、11…電子通路、17…真空ポンプ、19…モールド電源部、20…天板、20a…第1主面、20b…第2主面、21…基板、23…ターゲット体、30…保持部、40…支持部材、BE…ベローズ、SM…被照射物、ST1…第1XYZステージ、ST2…第2XYZステージ、T…ターゲット部。

Claims (6)

  1. 電子を出射する電子銃部と、前記電子銃部を収容し且つ前記電子銃部から出射された電子が通過する電子通路を含むと共に真空状態が保持される筐体と、を有する電子出射部と、
    基板と該基板に埋設されており電子の入射によりX線を発生する材料からなるターゲット体とを含むターゲット部と、
    前記ターゲット部と前記電子出射部とを結合する結合部と、
    前記ターゲット体に対向して配置され且つ前記ターゲット体から発生したX線が照射される被照射物を保持する保持部と、
    前記ターゲット部及び前記保持部が設けられる基準面を有する設置部と、を備え、
    前記結合部は、前記電子通路に連続し且つ真空状態が保持される空間を画成すると共に伸縮性を有しており、少なくとも前記空間に面する部分が導電性を有していることを特徴とするX線照射装置。
  2. 前記設置部は、前記基準面に対し前記ターゲット部を移動させる移動機構を有し、
    前記ターゲット部は、前記移動機構を介して前記設置部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のX線照射装置。
  3. 前記結合部は、可撓性を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線照射装置。
  4. 前記設置部は、前記電子出射部に固定された板状部材を有し、
    前記板状部材の一方の主面が前記基準面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のX線照射装置。
  5. 前記設置部は、前記電子出射部と離間した支持部材と、該支持部材に固定された板状部材と、を有し、
    前記板状部材の一方の主面が前記基準面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のX線照射装置。
  6. 前記設置部は、前記ターゲット部の側方に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のX線照射装置。
JP2010194449A 2010-08-31 2010-08-31 X線照射装置 Active JP5479276B2 (ja)

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