JP5475805B2 - 経路探索装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の経路探索装置に関し、より具体的には、車両が出発地から目的地まで走行する際に、燃料消費量が最小になる走行経路を探索する経路探索装置に関する。
特許文献1は、ナビゲーションシステムを開示する。このシステムは、目的地までのルートの各交差点間の区間毎の所要時間、走行距離、燃費を走行毎にデータベースとして記憶し、これらのデータから最高燃費ルートを表示する。
特許文献2は、車両用ナビゲーションシステムを開示する。このシステムは、(a)経路に関する静的情報(区間毎の走行距離、道路勾配等)、(b)経路に関する動的情報(交通状況、信号機状況等)、(c)自車両の車両諸元(駆動源の種類およびその性能等)、および(d)運転者の運転特性の4つの情報からエネルギー消費率を予測するとしている。
特許文献3は、経路探索装置を開示する。この装置は、出発地から目的地に至る各リンクの二酸化炭素排出量(燃料消費量)を、アイドリング状態で消費される燃料消費量、一定速走行時に消費される燃料消費量、および停止状態から走行状態になるときの加速等によって消費される燃料消費量の和として算出する。
特許文献4は、車両用ナビゲーション装置を開示する。この装置は、市街地道路、郊外の道路、又は高速道路かに応じて燃料消費係数を設定し、更に平坦路、上り勾配、又は下り勾配かに応じてその燃料消費係数を補正する。そして、燃料消費率と区間毎の燃料消費係数及び区間毎の走行距離とにより、目的地に到達するまでに必要な燃料の量を計算する。
特開平2−278116号公報 特開2005−98749号公報 特開2009−79995号公報 特開平10−197272号公報
特許文献1に記載の発明では、データベースに記憶されている区間についての最高燃費ルートのみの探索が可能であり、データベースに記憶されていない区間を走行する場合には、ルート探索をすることはできない。
特許文献2に記載の発明では、4つの情報からエネルギー消費率を予測するとしているが、これらの情報を具体的にどのように利用してエネルギー消費率の予測をおこなうかの開示がない。
特許文献3に記載の発明では、燃料消費量の算出に際して、渋滞情報や道路種別を考慮する旨を開示するが、道路種別を具体的にどうようにその算出に反映させるかの開示がない。
特許文献4に記載の発明では、設定される燃料消費係数が市街地の道路よりも高速道路の方が小さく設定されており、また各区間に対して一律に燃料消費係数を設定しているので、いずれも実際の走行状態に即した燃料消費係数とはなっていない。
本発明は、特許文献1ないし4に記載の発明の問題を改善して、車両が出発地から目的地まで走行する際に、実際の走行状態に即したより精度の高い燃料消費量の予測をおこなうことによって、燃料消費量が最小になる走行経路を探索することを目的とする。
本発明は、車両の走行経路を探索する経路探索装置を提供する。その経路探索装置は、出発地から目的地までの複数の経路を構成する各区間の予測燃料消費量を算出する予測燃料消費量算出手段と、出発地から目的地までの予測燃料消費量の総計が最小になる経路を選択する最適経路選択手段とを備え、予測燃料消費量算出手段は、各区間について、平均車速に応じて定まる燃料消費率に当該区間の距離を乗算してクルーズ燃料消費量を算出する手段と、各区間について、平均車速と当該区間の道路種別とから定まる燃料消費率に当該区間の距離を乗算して道路種別毎の車速変動燃料消費量を算出する手段と、各区間について、道路の平均勾配に応じて定まる燃料消費率に当該区間の距離を乗算して勾配燃料消費量を算出する手段とを含み、予測燃料消費量は、クルーズ燃料消費量と勾配燃料消費量と車速変動燃料消費量とを合算して得られる。
本発明によれば、各区間における予測燃料消費量を、クルーズ燃料消費量と、車速変動燃料消費量と、勾配燃料消費量の3つに分けて算出し、さらに車速変動燃料消費量を道路種別毎に算出する。したがって、従来の技術では反映できていない道路種別による車速の変動量の違いを予測燃料消費量の算出に反映させることができるので、より精度の高い燃料消費量の予測をおこなうことが可能となる。
本発明の一形態によると、平均車速と当該区間の道路種別とから定まる燃料消費率は、市街地の道路よりも高速道路の方が大きい値を有し、平均車速が小さいほど当該市街地の道路と高速道路との値の差が大きい。
この本発明の一形態によれば、高速道路と市街地の道路(一般道路)の特徴を反映して車速変動燃料消費量を算出することができるので、より実際の走行状態に即した精度の高い燃料消費量の予測をおこなうことが可能となる。
本発明の一形態によると、勾配燃料消費量を算出する手段は、平均勾配に応じて定まる燃料消費率を、(i)各区間における平均勾配が大きいほど大きい値に設定し、(ii)上り勾配の場合には、高速道路よりも市街地の道路の方を小さい値に設定し、さらに、(iii)下り勾配の場合には、高速道路よりも市街地の道路の方を大きい値に設定する。
この本発明の一形態によれば、勾配燃料消費量を、高速道路か市街地の道路かに応じて変わる車速パターン(変動)を反映した形で算出することができるので、より実際の走行状態に即した精度の高い燃料消費量の予測をおこなうことが可能となる。
本発明の一形態によると、さらに、外気温度に応じて定まるエアコン消費電力に各区間における走行予測時間を乗算してエアコンによる燃料消費量を算出する手段を備え、予測燃料消費量算出手段は、エアコンによる燃料消費量をも加算して予測燃料消費量を算出する。
この本発明の一形態によれば、エアコン作動による燃料消費量を加味して燃料消費量の予測をおこなうことができるので、より実際の走行状態(環境)に即した精度の高い燃料消費量の予測をおこなうことが可能となる。
本発明の経路探索装置の構成を示すブロック図である。 図1の制御装置の構成(機能)を示すブロック図である。 車速と燃料消費率の関係を示す図である。 車速と車速変動のエネルギーのパラメータAEの関係を示す図である。 道路勾配と燃料消費率の関係を示す図である。 外気温度とエアコン消費電力の関係を示す図である。 経路選択を説明するための図である。 制御装置による制御フローである。
図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に従う、経路探索装置の構成を示すブロック図である。
車両1内の経路探索装置100は、制御装置10、表示部12、操作部14、音声出力部16、情報記憶部18、センサインターフェース(I/F)20、通信インターフェース(I/F)24、GPS受信部22を備える。制御装置10は、電子制御ユニット(以下、「ECU」)という)とも呼ばれ、中央演算処理装置(CPU)およびメモリを備えるコンピュータである。制御装置10は各種制御を実行する。制御装置10の詳細は後述する。経路探索装置100は、ナビゲーション装置として、あるいはその一部として構成してもよい。
表示部12は、LCD等のディスプレイを含む。表示部12は、タッチパネル機能を有するディスプレイとすることができる。その場合、操作部14の操作の一部が表示部12のタッチパネル上で行われる。操作部14は、情報入力のためあるいは表示部12に表示された情報の選択のためのボタン等を含む。音声出力部16はスピーカを備え、制御装置10からのガイダンス(指示)を音声として運転者に伝える。音声出力部16に、運転者の音声による指示を受けるため、マイクロフォンを介した音声入力機能を追加してもよい。
情報記憶部18は、任意の記憶手段(記憶媒体、半導体メモリ、HDD等)にて実現される。情報記憶部18は、経路探索に必要な地図データを格納する。地図データは、表示部12の表示画面上に地図画像を描画するのに必要なデータを含む。地図データは、さらに道路の接続状態に関する情報を示す道路データを含む。道路データには、各道路についての属性を示す属性情報が含まれる。属性情報には、道路の種別、道路の形状、道路の勾配(平均勾配を含む)等に関する情報などが含まれる。
情報記憶部18は、予測燃料消費量を算出する上で必要となる各種パラメータ(テーブルを含む)を格納する。そのパラメータには、例えばクルーズ燃料消費量、車速変動燃料消費量、または勾配燃料消費量の算出するために使用される燃料消費率等が含まれる。そのパラメータには、さらにエアコンによる燃料消費量を算出するために必要となるパラメータ等が含まれる。情報記憶部18は、さらに通信I/F22を介して受信される各種情報を保管するメモリとしても機能する。
なお、本明細書で使用する燃料消費量には、エンジン(内燃機関)で使用するガソリンや軽油等の消費量のみならず、ハイブリット車両や電気自動車で使用される電池の蓄電量(電力量)をも含む。したがって、本発明を例えば電気自動車に適用する場合は、燃料消費量(率)をバッテリ消費量(率)あるいは電力消費量(率)のように読み替えて、本明細書の記述を理解することが望ましい。
センサI/F20は、車両1に搭載されたジャイロスコープ26、地磁気センサ28から受信した信号を制御装置10へ送る。ジャイロスコープ26と地磁気センサ28は、GPS受信部22と同様に、車両の現在位置、向きを特定するための信号を制御装置10へ送る。このうち、GPS受信部22は、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために、複数のGPS衛星からの測位用のデータを含むGPS信号を受信する。制御装置10はGPS信号から車両の現在位置を算出する。
通信I/F24は、車両1に搭載された無線通信機30を介して、ネットワーク通信34あるいは車両間通信をおこなう。ネットワーク通信網36は、各種道路情報を保有する情報サーバ38に接続する。情報サーバ38には、例えば道路交通情報通信システム(VICS)やインターナビ情報システムが含まれる。VICSからは、例えば渋滞、工事、交通規制等に関する情報の他に、各区間(リンク)における予測平均車速の情報も提供される。インターナビ情報システムからは、例えば道路種別毎の情報や各区間(リンク)における道路の平均勾配等の情報が提供される。インターナビ情報システムは、プローブ車から区間毎の車速パターンを取得して、区間毎の平均車速等も算出できる。そして、各区間の時間単位あるいは曜日単位でのデータとして平均車速等も蓄積している。本発明では、こうしたデータ(情報)を取得して利用する。
図2は、図1の制御装置10の構成(機能)を示すブロック図である。各ブロックの機能は、制御装置10が有するコンピュータ(CPU)によって実現される。なお、制御装置10の構成は、ナビゲーション装置の中に組み込んでもよい。
制御装置10は、予測燃料消費量算出手段40と最適経路選択手段42を含む。予測燃料消費量算出手段40は、車両が出発地から目的地まで走行する際に、出発地から目的地までの複数の経路を構成する各区間の予測燃料消費量を算出する。最適経路選択手段42は、出発地から目的地までの予測燃料消費量の総計が最小になる経路を選択する。
予測燃料消費量算出手段40は、クルーズ燃料消費量を算出する手段401、道路種別毎の車速変動燃料消費量を算出する手段402、勾配燃料消費量を算出する手段403、およびエアコンによる燃料消費量を算出する手段404を含む。これらの手段401〜404の機能を以下に説明する。
クルーズ燃料消費量を算出する手段401は、出発地から目的地までの各区間ついて、平均車速に応じて定まる燃料消費率に当該区間の距離を乗算してクルーズ燃料消費量を算出する。図3は、車速Vと燃料消費率R1の関係を示す図である。図3の関係はテーブルとして予め情報記憶部18に格納されている。
制御装置10(401)は、通信I/F24を介して情報サーバ38から、出発地から目的地までの各区間の平均車速の予測値Vp(km/h)を取得し情報記憶部18に格納する。制御装置10は、さらに情報記憶部18に格納されている地図データあるいは情報サーバ38から各区間の距離L(km)を取得する。制御装置10は、図3の関係を示すテーブルを情報記憶部18から読み出して、取得した平均車速の予測値Vpに対応する燃料消費率R1(cc/km)を得る。そして、(1)式から各区間のクルーズ燃料消費量A(cc)を算出する。得られた区間毎のクルーズ燃料消費量Q1(cc)は、情報記憶部18に格納される。

A=R1×L (1)
道路種別毎の車速変動燃料消費量を算出する手段402は、出発地から目的地までの各区間について、平均車速と当該区間の道路種別とから定まる燃料消費率に当該区間の距離を乗算して、道路種別毎の車速変動の燃料消費量を算出する。この算出に際して、車速変動に応じて変化するエネルギーを表すパラメータAEを導入する。パラメータAEは、車両が停止状態から走行状態に移るときの加速等によって消費される単位距離当たりのエネルギー(v/km)を表す。パラメータAEは、渋滞等による断続的な停止、あるいは減速と加速の繰り返しが多い場合に増加する。
図4は、車速V(km/h)とパラメータAE(v/km)の関係を示す図である。図4の関係はテーブルとして予め情報記憶部18に格納されている。図4では、高速道路でのAEを示すグラフ44と市街地の道路(一般道路)でのAEを示すグラフ45が示されている。図4では、特に低速の領域で高速道路でのAE(44)が市街地の道路でのAE(45)よりも大きくなっている。その理由は、高速道路の走行において、低速の領域は渋滞区間である場合が多く、渋滞の先が見えないため、車間が空けば加速し、車間が詰まると減速することを繰り返していることが多いからである。一方、市街地の道路の走行では、信号等が見えて前方の状況が把握可能であるため無駄な加減速をしないので、パラメータAEが比較的小さくなっている。
本発明では、このように道路種別に応じて傾向が異なるパラメータAEを利用することに特徴がある。すなわち、各区間において例えば高速道路か市街地の道路によってパラメータAEを使い分けて燃料消費量を算出する。
制御装置10(402)は、図4の関係を用いて、既に取得した各区間の平均車速の予測値Vp(km/h)に対応するパラメータAEの値を求める。その際、情報記憶部18に格納されている地図データから各区間の道路種別(例えば、高速道路か市街地の一般道路)を取得して、その道路種別に応じてパラメータAEの関係(例えばグラフ44か45)を選択する。
制御装置10は、各区間での車速変動の燃料消費率R2(cc/km)を、パラメータAEを用いて、(2)式を用いて算出する。

R2=α×AE (2)

ここで、係数αは任意の定数である。αは、車両のエンジン効率あるいはトランスミッション効率が高いほど小さい値となり、また車両の重量が重いほど大きい値となる。ハイブリット車両においては、減速時の回生量が増えるほど小さな値とすることができる。
出発地から目的地までの各区間での道路種別毎の車速変動の燃料消費量B(cc)は、燃料消費率R2(cc/km)と既に取得した各区間の距離L(km)を用いて、(3)式から求められる。得られた区間毎の車速変動の燃料消費量B(cc)は、情報記憶部18に格納される。

B=R2×L (3)
勾配燃料消費量を算出する手段403は、各区間について、道路の平均勾配に応じて定まる燃料消費率に当該区間の距離を乗算して、勾配燃料消費量を算出する。この勾配燃料消費量は、道路の勾配の有無、すなわち上りか下りかによって平坦な道路の走行時に比べて燃料消費量が変わってくることから、その影響を反映させるために求める。各区間の道路の平均勾配は、インターナビ情報システム等の情報サーバ38から取得したデータを利用する。
図5は、道路勾配Δ(%)と燃料消費率R3(cc/km)の関係を示す図である。図5の関係はテーブルとして予め情報記憶部18に格納されている。図5では、高速道路でのR3を示すグラフ46と市街地の道路(一般道路)でのR3を示すグラフ47が示されている。上り勾配(プラス%)においては、高速道路の方が燃料消費率R3が大きくなり、下り勾配(マイナス%)においては、市街地の道路の方が燃料消費率R3が若干大きくなっている。その理由は、高速道路の上り勾配においては、一定以上(例えば80km/h以上)の速度を維持するためにアクセルを大きく踏み込みながら走行する必要があるのに対して、市街地の道路の下り勾配においては、速度が上がり過ぎないようにするためにブレーキを断続的に踏んで減速と加速を繰り返しながら走行する必要があるからである。
本発明では、このように道路種別に応じて傾向が異なる燃料消費率R3を利用することに特徴がある。すなわち、各区間において例えば高速道路か市街地の道路によって燃料消費率R3を使い分ける。制御装置10(403)は、図5の関係を用いて、取得した各区間の道路の平均勾配Δ(%)に対応する燃料消費率R3を求める。
燃料消費率R3は、経験的に式(4)により表すことができる。

R3=(a/b)log(1+eb(x−c))+d (4)

ここで、係数a、b、c、dは任意の定数である。aは主に車両の重量に比例して大きくなる定数である。aは、上り勾配(プラス%)においては所定の漸近線に近づくように図5のグラフを変化させ、下り勾配(マイナス%)においてはゼロに近づくようにグラフを変化させる。bは車両の加速度に比例して大きくなる定数である。bが大きいほど図5のグラフの傾きが大きくなり、小さいほどその傾きは小さくなる。cは車両の走行抵抗に比例して小さくなる定数である。cが大きくなるほど図5のグラフが右側へ平行移動する。dは勾配が0のときにbがゼロとなるように設定する定数である。すなわち、dはR3(0)=0となるように設定した切片を意味する。
出発地から目的地までの各区間での勾配燃料消費量C(cc)は、燃料消費率R3(cc/km)と既に取得した各区間の距離L(km)を用いて、(5)式から求められる。得られた区間毎の車速変動の燃料消費量C(cc)は、情報記憶部18に格納される。

C=R3×L (5)
エアコンによる燃料消費量を算出する手段404は、外気温度に応じて定まるエアコン消費電力に、各区間における走行予測時間を乗算して、エアコンによる燃料消費量を算出する。図6は、外気温度T(℃)とエアコン消費電力P(W/h)の関係を示す図である。図6の3つのグラフ50、51、52は、それぞれ、例えば天候状態に依存して外気温度T(℃)がt1、t2、t3の時にエアコンの使用を開始した場合の、外気温度の変化に対するエアコンの消費電力P(W/h)の変化を示している。図6の関係はテーブルとして予め情報記憶部18に格納されている。
各区間の外気温度T(℃)は、インターナビ情報システム等の情報サーバ38から取得したデータを利用する。制御装置10(404)は、図6の関係を用いて、各区間の外気温度T(℃)に対応するエアコン消費電力P(W/h)を求める。その際、日射量(天気)によってエアコンを作動させる気温が変化するため、利用する図6の関係(グラフ)を日射量(天気)によって変えることが考えられる。例えば、曇りの日にt1の温度でエアコンの動作を開始した、言い換えればグラフ50の関係を利用したとする。晴れの日には、t1より低いt2の温度で動作を開始することを想定して、グラフ51の関係を利用してエアコン消費電力P(W/h)を求める。同様な考えで、雨の日には、グラフ53の関係を利用してエアコン消費電力P(W/h)を求める。このようにすることにより、天候を考慮したエアコンの消費量の予測をおこなうことが可能となる。
制御装置10(404)は、各区間のエアコン動作による燃料消費量の予測値D(cc)を、(6)式を用いて算出する。

D=P×TM×f (6)
ここで、TMは、各区間における距離L(km)と予測平均速度Vp(km/h)から求めた予測走行時間(TM=L/Vp)である。fは、エアコン消費電力P(W/h)を燃料消費量(cc)に変換するための係数である。(6)式から各区間において、エアコンをその予測走行時間の間フルに使用すると仮定した場合における燃料消費量の予測値D(cc)を見積もることができる。得られた区間毎の燃料消費量の予測値D(cc)は、情報記憶部18に格納される。
図2の最適経路選択手段42は、情報記憶部18に格納されている出発地から目的地までの区間毎の燃料消費量の総計が最小になる経路を選択する。その際、いわゆるコストの概念を用いて最小コストの経路を選択する。ここでは、コストは燃料量(cc、w)である。燃料の単価を燃料量(電力量)に乗算し、コストを代金(円、ドル)として見積ってもよい。あるいは、燃料量を二酸化炭素の排出量に換算して、CO排出量(cc)をコストとして見積もってもよい。
図7は、経路選択を説明するための図である。図7では、出発地Sから、燃料消費量が最小となると予想される経路を通って、2つの目的地G1とG2のいずれか一方に向かうとする。目的地G1、G2は、例えば同種の施設(店、公園等)がある地点である。わかりやすくするために、図7ではP1〜P4の4つの地点で区切られた各区間(リンク)のみが示されているが、実際には目的地までの距離に応じで多数の通過地点Pnおよび区間(リンク)が存在する。
Q1〜Q8は各区間での予想燃料消費量を示す。出発地Sから目的地G1、G2へ向かう4つの経路、R1(S、P1、P2、G1)、R2(S、P3、P4、G1)、R3(S、P1、P2、G2)、R4(S、P3、P4、G2)がある。各経路について予想燃料消費量の総計ΣQを求める。例えば、経路R1についての総計ΣQは、ΣQ=Q1+Q2+Q3となる。総計ΣQが最小となる経路を選択する。例えば経路R3が選択されると、車両は経路R3を通って目的地G2へ向かうことになる。その結果、車両はコスト(燃料量)を最も低く抑えながら目的地に行くことが可能となる。
なお、コストを代金(円、ドル)として見積る場合は、燃料代に有料道路の料金を加えた全体の料金が最小になる経路を選択するようにしてもよい。その際、表示部14に、燃料量、料金、あるいは走行時間のいずれかを優先して経路を選択するための選択メニューを表示させて、運転者が選択できるようにしてもよい。
図8は、図1の制御装置10による制御フローの一例である。図8のフローは制御装置10が内蔵するCPUにより実行される。ステップS102において、目的地が操作部14を介して入力される。制御装置10は、GPS信号等から取得する車両の現在位置の情報から、目的地までの複数の経路を含む地図情報を入手する。ステップS104において、現在地から目的地までの経路の各区間(リンク)の各種の情報を取得する。その情報には、既に説明した、各区間についての、平均車速の予測値Vp(km/h)、距離L(km)、各区間の道路の平均勾配Δ(%)、道路種別、外気温度T(℃)等が含まれる。各情報は上述したように、その内容に応じて、情報記憶部18あるいは外部の情報サーバ36から取得する。
ステップS106において、燃料消費量を算出するための関係テーブルを取得する。その関係テーブルには、既に説明した図3〜図6の各関係が含まれる。なお、図6の外気温度T(℃)とエアコン消費電力P(W/h)の関係は、明らかにエアコンを使用しない場合は、取得しないようにしてもよい。その取得は、操作部14により任意に選択できるようにしてもよい。
ステップS108において、区間毎の燃料消費量の予測値Q(=A+B+C+D)を算出し、情報記憶部18に保管する。この算出方法は、既に説明した通りである。ステップS110において、出発地から目的地までの各経路について、予測燃料消費量の総計ΣQを算出する。この算出方法は、既に説明した通りである。ステップS112において、最適経路を選択する。最適経路は、予測燃料消費量の総計ΣQが最小となる経路である。ステップS114において、その最適経路が表示部12に地図情報の一部として表示される。運転者はその最適経路を通って最小の燃料消費量で目的地に行くことできる。
上述した実施形態は一例でありこれに限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。本発明は、基本的に情報サーバとの間で無線通信が可能なあらゆる車両に適用することができる。
上記実施例では、制御装置10でクルーズ燃料消費量、車速変動燃料消費量、および勾配燃料消費量を、情報サーバ36から入手した平均車速と平均勾配により算出したが、例えば情報記憶部18に予め区間(リンク)ごとに平均車速と平均勾配を設定しておき、それらに基づいて各燃料消費量を算出しても良い。また、自車の過去の走行履歴から、区間(リンク)ごとに平均車速と平均勾配を設定しても良い。
また、情報サーバ36内で、クルーズ燃料消費量、車速変動燃料消費量、および勾配燃料消費量を算出して、それらの情報を情報サーバ36から取得しても良い。さらに、複数の車両から取得した実際の平均車速や、平均勾配に基づいて、情報サーバ内で各燃料消費量を算出することもできる。
1 車両、 100 経路探索装置、 36 情報サーバ

Claims (5)

  1. 車両の走行経路を探索する経路探索装置であって、
    出発地から目的地までの複数の経路を構成する各区間の予測燃料消費量を算出する予測燃料消費量算出手段と、
    前記出発地から目的地までの前記予測燃料消費量の総計が最小になる経路を選択する最適経路選択手段とを備え、
    前記予測燃料消費量算出手段は、
    前記各区間について、平均車速に応じて定まる燃料消費率に当該区間の距離を乗算して、クルーズ燃料消費量を算出する手段と、
    前記各区間について、当該区間における平均車速と道路種別とから定まる車速変動燃料消費率に当該区間の距離を乗算して、道路種別毎の、車速の変動に伴う燃料消費増分である車速変動燃料消費量を算出する手段と、
    前記各区間について、当該区間における平均勾配と道路種別とに応じて定まる勾配燃料消費率に当該区間の距離を乗算して、道路種別毎の、勾配の大きさに応じた燃料消費増分である勾配燃料消費量を算出する手段とを含み、
    前記予測燃料消費量は、前記クルーズ燃料消費量と前記勾配燃料消費量と前記車速変動燃料消費量とを合算して得られ、かつ、
    前記車速変動燃料消費率は、加速及び又は減速に伴って生ずる単位距離当たりの燃料消費率であって、各区間の前記車速変動燃料消費率は、前記車速変動燃料消費率を道路種別毎に平均車速の関数として表したデータを用いて、当該区間の平均車速と道路種別とに基づいて定められ、
    前記勾配燃料消費率は、道路に勾配があることによって生ずる単位距離当たりの燃料消費率であって、各区間の前記勾配燃料消費率は、前記勾配燃料消費率を道路の種別毎に当該種別の道路における平均勾配の関数として表したデータを用いて、当該区間の平均勾配と道路種別とに基づいて定められる、
    経路探索装置。
  2. 車両の走行経路を探索する経路探索装置であって、
    出発地から目的地までの複数の経路を構成する各区間の予測燃料消費量を算出する予測燃料消費量算出手段と、
    前記出発地から目的地までの前記予測燃料消費量の総計が最小になる経路を選択する最適経路選択手段と、を備え、
    前記予測燃料消費量算出手段は、
    前記各区間について、平均車速に応じて定まる燃料消費率に当該区間の距離を乗算して、クルーズ燃料消費量を算出する手段と、
    前記各区間について、当該区間の平均車速と道路種別とから定まる車速変動燃料消費率に当該区間の距離を乗算して、道路種別毎の車速変動燃料消費量を算出する手段と、
    前記各区間について、道路の平均勾配に応じて定まる燃料消費率に当該区間の距離を乗算して、勾配燃料消費量を算出する手段と、を含み、
    前記予測燃料消費量は、前記クルーズ燃料消費量と前記勾配燃料消費量と前記車速変動燃料消費量とを合算して得られ、
    さらに、
    前記勾配燃料消費量を算出する手段は、前記平均勾配に応じて定まる燃料消費率を、
    (i)各区間における平均勾配が大きいほど大きい値に設定し、
    (ii)上り勾配の場合には、高速道路よりも市街地の道路の方を小さい値に設定し、
    (iii)下り勾配の場合には、高速道路よりも市街地の道路の方を大きい値に設定する、
    路探索装置。
  3. 前記車速変動燃料消費率は、市街地の道路よりも高速道路の方が大きい値を有し、平均車速が小さいほど当該市街地の道路と高速道路との値の差が大きい、請求項1又は2に記載の経路探索装置。
  4. 前記勾配燃料消費量を算出する手段は、前記勾配燃料消費率を、
    (i)各区間における平均勾配が大きいほど大きい値に設定し、
    (ii)上り勾配の場合には、高速道路よりも市街地の道路の方を小さい値に設定し、
    (iii)下り勾配の場合には、高速道路よりも市街地の道路の方を大きい値に設定する、請求項1に記載の経路探索装置。
  5. さらに、外気温度に応じて定まるエアコン消費電力に前記各区間における走行予測時間を乗算して、エアコンによる燃料消費量を算出する手段を備え、
    前記予測燃料消費量算出手段は、当該エアコンによる燃料消費量をも加算して前記予測燃料消費量を算出する、請求項1〜のいずれかに記載の経路探索装置。
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