以下、本発明の走行データ出力装置を車両搭載型のナビゲーション装置に適用した一実施形態を、図1〜図10に基づいて説明する。
まず、本実施形態に係るナビゲーション装置20の構成を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、ナビゲーション装置20は、車両50に搭載可能なもので、主に、CPU21、メモリ22、道路データベース23a、走行履歴データベース23b、入出力インタフェース24、入力装置25、ディスプレィ26、音源ユニット28、GPSセンサ31、車速センサ32、ジャイロセンサ33、燃料量センサ34、通信装置35等から構成されている。なお、図1には、当該車両50が実際の道路90を走行している様子が示されている。
このナビゲーション装置20は、CPU21、メモリ22、道路データベース23a、走行履歴データベース23b、入出力インタフェース24、入力装置25、ディスプレィ26等によりコンピュータとしての機能を実現可能に構成されており、ハードウェアは次のように構成されている。
CPU21は、ナビゲーション装置20を制御する中央演算処理装置で、システムバスを介してメモリ22、道路データベース23a、走行履歴データベース23b、入出力インタフェース24等と接続されている。このメモリ22には、CPU21を制御するシステムプログラム22aのほか、各種制御プログラム22b〜22i等が格納されており、CPU21はこれらのプログラムをメモリ22から読み出して逐次実行している。なお、このCPU21には、現在の時刻と日付(年月日)を計時する機能を有する時計21aが内蔵されている。
メモリ22は、システムバスに接続されている半導体記憶装置であり、CPU21が使用する主記憶空間を構成するもの(ROM、RAM等)である。このメモリ22には、システムプログラム22aをはじめとして、入力プログラム22b、経路探索プログラム22c、経路案内プログラム22d、走行データ取得プログラム22e、経路等特定プログラム22f、経路検索照合プログラム22g、燃費/時間/車速等算出プログラム22h、出力プログラム22i等の各種プログラムデータやそれに付随する設定データ等が予め書き込まれている。
道路データベース23aや走行履歴データベース23bは、CPU21が使用する補助記憶空間を構成するハードディスク、コンパクトディスクやディジタルバーサティルディスク等の情報記憶媒体で、システムバスを介してそれぞれCPU21に接続されている。道路データベース23aには、後述する経路探索や経路案内に必要な地図データや道路データ等が格納されている。ここで「道路データ」とは、道路や河川等の地形、道路リンク(番号、リンク長、リンク旋回角等)、ノード(番号、座標等)等の各種データのことをいう。
一方、走行履歴データベース23bは、後述する走行履歴記憶処理によって作成される走行履歴データが格納されている。この走行履歴データは、ナビゲーション装置20による経路案内の開始から終了までの間に当該車両50の走行により得られた走行生データやこの走行生データに基づいて演算された走行データをひと括りとして捉えたもので、出発地から目的地(到着地)までを一つの経路としてその経路の各位置での走行データの集合である。なお、この走行履歴データの詳細については、図4を参照しながら後述する。また、走行生データと走行データとの違いは、走行データ取得プログラム22eの説明において述べる。なお、特許請求の範囲に記載の「走行データ」は、走行生データと走行データの双方を含み得るものである。また、走行履歴データベース23bは、特許請求の範囲に記載の「経路走行データ記憶手段」に相当し得るものである。なお、時間の経過によって「過去のものとなった走行データを記憶しておく」という意味で「走行履歴データベース」という名称を用いているが、記憶されているデータは走行データである。
入出力インタフェース24は、入力装置25、ディスプレィ26、音源ユニット28、GPSセンサ31、車速センサ32、ジャイロセンサ33、燃料量センサ34、通信装置35等の入出力装置とCPU21等とのデータのやり取りを仲介する装置で、システムバスに接続されている。
入力装置25は、ナビゲーション装置20の操作パネルに設けられている入力装置で、入出力インタフェース24を介してシステムバスに接続されている。この入力装置25は、当該車両50の運転者や乗員(以下「利用者」という。)が経路探索を希望する目的地や出発地等に関するデータを入力プログラム22bを介して入力するものである。一般に、押圧式のスイッチを所定数並べた構成を採るが、入力操作の簡便化を考慮してディスプレィ26の表面に設けられたタッチパネル式のものや、あるいは利用者の声を認識してナビゲーション装置20への入力データに変換する、マイクロフォンと音声認識装置とで構成されているものもある。
ディスプレィ26は、出発地から目的地までの案内経路や当該車両50が現在走行している経路の走行データや当該車両が過去に走行した経路の走行データあるいはその他の道路交通情報等を出力プログラム22iを介して出力し得る表示装置で、ナビゲーション装置20の操作パネルに設けられている。このディスプレィ26も、入出力インタフェース24を介してシステムバスに接続されており、例えば、液晶表示器、CRT表示器やプラズマ表示器により構成されている。また表示面に、入力装置25を構成するタッチパネルを備えているものもある。
なお、本実施形態では、入力装置25とディスプレィ26は、ナビゲーション装置20の操作パネルに設けたが、これに限られることはなく、ナビゲーション装置20とは、別個の筐体に、入力装置25とディスプレィ26とを構成しても良い。また入力装置25とディスプレィ26とが互いに物理的に分離された構成を採っても良い。
音源ユニット28は、所定の音声データに基づくディジタル信号をアナログ信号に変換した後、当該アナログ信号によりアンプを介してスピーカから可聴音を発生させ得るもので、入出力インタフェース24を介してシステムバスに接続されている。これにより、スピーカからは経路案内や現在および過去の走行データの内容等が音声により出力され、利用者に通知される。
GPSセンサ31は、経度・緯度により車両の現在位置データを出力するためのもので、入出力インタフェース24を介してシステムバスに接続されている。このGPSセンサ31は、複数のGPS衛星からの信号を受信して利用者の絶対位置を計測するGPS受信機等から構成されている。
車速センサ32およびジャイロセンサ33は、車両の速度(車速)、相対位置や進行方向を計測するためのもので、それぞれ入出力インタフェース24を介してシステムバスに接続されている。車速センサ32およびジャイロセンサ33により得られる車両の相対位置データは、GPS受信機が衛星からの電波を受信できないトンネル内等において位置を得たり、GPS受信機によって計測された絶対位置の測位誤差を補正する等に利用される。また車速センサ32により得られる車速データは、走行データ取得プログラム22eによる走行生データとして利用される。
燃料量センサ34は、エンジンのシリンダ内に燃料を噴射するフューエルインジェクタによる燃料噴射量を計測するためのもので、入出力インタフェース24を介してシステムバスに接続されている。この燃料量センサ34による噴射量データはCPU21に出力され、後述するように、燃費/時間/車速等算出プログラム22hによる燃料消費量の算出に供される。
通信装置35は、道路交通情報配信システムセンタ(VICS)等の図略のデータセンタとの間で無線通信回線によるデータの送受信を行うための無線通信機器で、入出力インタフェース24を介してシステムバスに接続されている。例えば、携帯電話機、PHS等の無線通信システムを利用している。なお、VICSは、財団法人道路交通情報通信システムセンターの登録商標である。
ここで、メモリ22に格納されている、入力プログラム22b、経路探索プログラム22c、経路案内プログラム22d、走行データ取得プログラム22e、経路等特定プログラム22f、経路検索照合プログラム22g、燃費/時間/車速等算出プログラム22h、出力プログラム22iの概要を説明する。
システムプログラム22aは、ナビゲーション装置20の起動から停止までに行われる各機能、即ちナビゲーション機能(図2)、走行履歴記憶機能(図3)および各走行データ出力機能(図5〜図8)等を制御したり、またメモリ22を介した各プログラム間のデータ授受に関する等の一連のメモリ管理等も行う基本プログラムに相当するものである。
入力プログラム22bは、ナビゲーション装置20の利用者が経路案内を希望する目的地、その出発地等に関するデータ等その他、ナビゲーション機能を利用する上で必要な各種データ等を、入力装置25を介して利用者に入力させ、他のプログラムや処理等に受け渡す機能を有するものである。また入力プログラム22bは、GPSセンサ31から出力される現在位置データ、車速センサ32から出力される車速データ、ジャイロセンサ33から出力される相対位置データ、燃料量センサ34から出力される噴射量データ、またはCPU21の時計21aから出力される現在時刻データ等を入力し、他のプログラムや処理等に受け渡す機能も有する。
経路探索プログラム22cは、ナビゲーション装置20の基本機能であるナビゲーション機能を担い推定経路や最短時間経路等を探索可能にするものである。具体的には、入力装置26により入力された目的地を道路データベース23aの地図データに基づいて検索する機能と、入力装置26により入力された出発地あるはGPSセンサ31等により検出される車両の現在地から目的地までの経路を道路データベース23aの道路データに基づいて探索する機能と、を有する。
経路案内プログラム22dは、経路探索プログラム22cにより探索された経路に関するデータ(例えば、右左折等の進行方向の説明や道路交通情報等)を、利用者に対してディスプレィ26に表示される画像や音源ユニット28により出力される合成音声等によって行う機能を有するものである。
走行データ取得プログラム22eは、当該車両50の走行生データ、即ち走行中の当該車両50からリアルタイムに得られる車両状態を表すデータを、GPSセンサ31、ジャイロセンサ33、時計21a、燃料量センサ34、車速センサ32等から取得する機能を有するものである。この走行生データは、少なくともその時の位置データ(マップマッチング処理やGPSセンサ31により得られる道路上の位置)、その位置での時刻データ、噴射量データ、速度データを含むもので、走行履歴データベース23bに格納される走行データに包含されるものである。つまり、走行生データは、当該走行生データに基づく演算処理によって得られる距離、所要時間や平均車速等のデータを含まない点で、走行データよりも狭い概念である。なお、この走行データ取得プログラム22eは、特許請求の範囲に記載の「経路走行データ取得手段」に相当し得るものである。
なお、ここでいう「マップ・マッチング処理」とは、ディスプレィ26に表示させる当該車両50の現在の位置データを、道路データベース23aの地図データや道路データあるいは各種センサ等から取得し、走行状態情報として出力プログラム22iを介してディスプレィ26に出力するものである。
経路等特定プログラム22fは、当該車両50がこれから走行しようとしている経路を特定したり、また走行中の経路の目的地(到着地)を特定したり、さらには当該車両50が走行した経路の出発地と目的地(到着地)とを特定する機能を有するもので、特許請求の範囲に記載の「走行予定経路推定手段」および「2地点データ特定手段」に相当し得るものである。
例えば、この経路等特定プログラム22fでは、当該車両50がこれから走行しようとしている経路を特定する場合、ナビゲーション装置20が起動された時刻から出発時刻を仮定して(例えば出発時刻=起動時刻)、当該出発時刻と出発地とをキーにしてほぼ同じ時刻(出発時刻±5分)に同じ地点から出発したときの経路データを走行履歴データベース23bから検索することで、経路を推定して特定する。また走行中の経路の目的地(到着地)を特定する場合や当該車両50が走行した経路の出発地と目的地(到着地)とを特定する場合には、当該経路データをキーに到着地データや出発地データを走行履歴データベース23bから検索することで、目的地(到着地)や出発地を特定する。
経路検索照合プログラム22gは、出発地データ(ナビゲーション装置20の起動時点における地理的位置データのこと)等に基づいて同じ出発地データ等を持つ走行履歴データ(過去の経路データ)を走行履歴データベース23bから検索する機能と、検索した走行履歴データから走行データを抽出する機能とを有するもので、特許請求の範囲に記載の「経路走行データ検索手段」および「出力手段」に相当し得るものである。
この経路検索照合プログラム22gでは、例えば、(1) これから出発しようとする地点の位置データとその時の時刻データから、それらが同じ値をもつ走行履歴データを走行履歴データベース23bから検索したり、また(2) 現在走行中の経路の経路データから、同じ値をもつ過去に走行した走行履歴データを走行履歴データベース23bから検索することにより、現在辿っている経路が過去に走行した経路と一致するか否かを判断したりする。さらに(3) 出発地データと到着地データ(ナビゲーション装置20の停止時点における地理的位置データのこと)とが特定された場合に、走行履歴データベース23bに、同じ出発地データと同じ到着地データとを有する走行履歴データがあるか否かを検索する。
燃費/時間/車速等算出プログラム22hは、燃費、所要時間、平均車速等を算出する機能を有するもので、特許請求の範囲に記載の「車両の燃費に関するデータ」、「車両の走行時間に関するデータ」および「車両の平均車速に関するデータ」に相当し得るものを求める。例えば、燃料量センサ34から出力された噴射量データと走行距離とに基づいて、「出発地から現在地までの走行距離(km)」を「出発時刻から現在時刻まで間に噴射された燃料の総量(L)」で割る演算処理により、1L(リットル)当たりの走行距離(km)、つまり燃費(km/L)(車両の燃費に関するデータ)を求める。
また、所要時間(分)(車両の走行時間に関するデータ)は、現在地における時刻から出発地を出た時刻を減算することにより求めている。さらに、平均車速(km/h)(車両の走行時間に関するデータ)は、出発地から現在地までの距離を求めそれを所要時間で割ることにより求めている。そして、このようにして求められた燃費、所要時間、平均車速等は、走行履歴データ(走行データ)として走行履歴データベース23bに格納される。
出力プログラム22iは、各種画面データをディスプレィ26に線図として描画する機能、各種案内データを音源ユニット28によりスピーカから出力させる機能や走行履歴データを作成しそれを走行履歴データベース23bに格納する機能を有するもので、特許請求の範囲に記載の「出力手段」に相当し得るものである。この出力プログラム22iでは、例えば、道路データベース23aの地図データや道路データをもとに、地図や経路探索プログラム22cにより探索された最短距離経路等をディスプレィ26に表示させたり、また経路案内等に必要なメッセージ音や合成音声を所定の音声データに基づいて音源ユニット28により鳴らさせたりする。
また、この出力プログラム22iでは、前述の燃費/時間/車速等算出プログラム22hにより求められた目的地(到着地)における燃費、所要時間、平均車速等の走行データと走行生データに含まれる出発時刻データ(年月日も含む)、出発地データ、到着地データとに基づいて、出発日時(年月日時分)ごとに当該出発地から到着地までの経路を一つのルートとして一意性のあるユニークな名称またはIDを付すとともに、これらの各データをそのルート(経路データ)に関する走行データとして編集することにより図4に示すような走行履歴データを作成する。そして、これにより作成された走行履歴データは、走行履歴データベース23bに格納される。
次に、本ナビゲーション装置20のCPU21により実行されるナビゲーション処理の流れを図2に基づいて説明する。なお、通常、ナビゲーション装置20では、当該車両50のエンジンの始動(イグニッションスイッチのオン)に連動してナビゲーション装置20の主電源が投入されるように構成されているので、主電源のオン直後(以下「ナビゲーション装置20の起動直後」という。)からこのナビゲーション処理がシステムプログラム22aにより自動的に起動するように設定されている。
図2に示すように、ナビゲーション処理では、まずステップS10により初期化処理が行われる。この初期化処理では、例えば、メモリ22に所定のワーク領域を確保したり、あるいは各種フラグ等を初期値に設定する処理を行う。
続いてステップS20より目的地設定処理が行われる。この処理では、例えば、利用者の操作によって、入力装置25を介し目的地や必要に応じて目的地までの通過地点あるいは一般道路/有料道路のいずれを優先するか等の経路探索条件等に関する、目的地データや優先経路データ等を入力する処理を行う。なお、この処理は、入力プログラム22bにより行われるもので、またこれにより設定された目的地は、道路データベース23aの地図情報に基づいて、例えば、経度・緯度(東経北緯)等による座標情報により一義的に定められる。
次のステップS30では経路探索処理が行われる。この処理は、経路探索プログラム22cにより行われるものである。具体的には、例えばGPSセンサ31によって取得される当該車両50の現在位置(現在位置データ)からステップS20により設定された目的地(目的地データ)に至るまでの最短距離経路を、道路データベース23aの地図情報や道路情報に基づいてダイクストラ法等の探索アルゴリズムにより経路探索する処理が行われる。なお、この処理で探索された最短距離経路に関するデータは、メモリ22の所定のワーク領域に記憶されることにより、後述する経路等特定プログラム22f等により参照可能に保持される。
このようにステップS30により経路探索されると、続くステップS40では経路案内処理が行われる。この処理は、経路案内プログラム22dにより行われるもので、例えば、ステップS30により探索された経路に関する情報(例えば、右左折等の進行方向の説明や道路交通情報等)を、ディスプレィ26に表示される画像や音源ユニット28による合成音声等として出力することで、利用者に対する経路案内を可能にしている。
ステップS40による経路案内が終了すると、ステップS50により当該ナビゲーション処理の停止要求があるか否かを判断する処理が行われる。即ち、当該車両50が目的地の到着すると、通常、利用者は駐停車したり降車することから、その際のエンジン停止に伴ってナビゲーション装置20の主電源も切断されることになるが、その直前に得られるエンジンの停止(イグニッションスイッチのオフ)の信号に基づいてナビゲーション処理を停止する必要があるか否かを本ステップS50により判断している。そして、ナビゲーション処理の停止要求がある場合には(S50でYes)、バッテリバックアップされたメモリ装置等の不揮発性半導体記憶装置に保持すべきデータを記憶したり、また後述する走行データ出力処理(図5〜図8)にナビゲーション処理の停止要求があった旨の情報をフラグやタスク間通信を利用して伝達する。一方、ナビゲーション処理の停止要求がない場合には(S50でNo)、ステップS20に処理を移行して利用者に目的地情報の入力等を促す処理を行う。
なお、図2に示すフローチャートでは、当該ナビゲーション処理の停止要求があるか否かを判断する処理をステップS50における処理として記述しているが、この判断処理はステップS20、S30、S40による各処理が行われている間においても、例えば、エンジンオフ信号をトリガとするハードウェア割り込みによる割込み処理として並行して実行可能に設定されている。
続いて、本ナビゲーション装置20のCPU21により実行される走行履歴記憶処理の流れを図3および図4に基づいて説明する。なお、この走行履歴記憶処理は、システムプログラム22a、入力プログラム22b、走行データ取得プログラム22e、燃費/時間/車速等算出プログラム22hおよび出力プログラム22iにより、前述したナビゲーション処理と並行して実行されるもので、前述したナビゲーション処理と同様、ナビゲーション装置20の起動直後からシステムプログラム22aによって自動的に起動するように設定されている。
図3に示すように、走行履歴記憶処理では、まずステップS101により初期化処理が行われる。この初期化処理では、例えば、メモリ22に所定のワーク領域を確保したり、一時データ等の各種データやフラグ等を初期値に設定する処理を行う。
次のステップS103では、現在の時刻データ,位置データ取得処理が行われる。この処理は、入力プログラム22bおよび走行データ取得プログラム22eによって行われるもので、ここではナビゲーション装置20の起動直後における当該車両50の位置のデータとその時刻のデータを取得する。この取得された現在の時刻データおよび位置データは、後述するステップS111により走行履歴データの一部として走行履歴データベース23bに記憶される。
続くステップS105では、走行データ取得処理が行われる。この処理は、入力プログラム22bおよび走行データ取得プログラム22eによって行われるもので、当該車両50の現在位置における走行生データ(位置データ、時刻データ、噴射量データ、速度データ等)が各センサ等(GPSセンサ31、ジャイロセンサ33、時計21a、燃料量センサ34、車速センサ32等)より取得される。なお、このステップS105による走行生データの取得は、所定周期(例えば30秒周期)ごとに行われる。
続くステップS107では、燃費等算出処理が行われる。この処理は、燃費/時間/車速等算出プログラム22hによって行われる。具体的には、前述したように、例えば、出発地から現在地までの走行距離(km)を出発時刻から現在時刻までの間に噴射された噴射の総量(L)で割る演算処理を行うことで、出発地から現在地までの燃費(km/L)を算出する。また、現在地における時刻から出発地を出た時刻を減算する演算処理を行うことで、出発地から現在地までの所要時間を算出する。さらに、出発地から現在地までの距離(km)を求めそれを所要時間(分/60)で割る演算処理を行うことで、平均車速(km/h)を算出する。
続くステップS109では、当該ナビゲーション処理の停止要求があるか否かを判断する処理が行われる。この処理は、前述したナビゲーション処理のステップS50によるものとほぼ同様で、例えば、イグニッションスイッチのオフ等の信号の有無やタスク間通信等で当該ナビゲーション処理から伝達されてくるナビゲーション処理の停止要求があった旨の情報の有無に基づいて、並列に実行されているナビゲーション処理が停止されるか否かを判断する。そして、ナビゲーション処理の停止要求がある場合には(S109でYes)、続くステップS111に処理を移行してナビゲーション装置20の主電源が切断されるまでの間に走行履歴データの作成格納処理を行う。一方、ナビゲーション処理の停止要求がない場合には(S109でNo)、ステップS105に処理を移行して、再度、走行データ取得処理を行う。
ステップS111では、走行履歴データ作成格納処理が行われる。この処理は、出力プログラム22iにより行われるもので、例えば、前述の燃費/時間/車速等算出プログラム22hにより求められた目的地(到着地)における燃費(km/L)、所要時間(分)、平均車速(km/h)等の走行データと走行生データに含まれる出発時刻データ(年月日も含む)、出発地データ、到着地データとに基づいて、出発日時、出発地名称、到着地名称、経路ID、距離(km)、平均車速(km/h)、所要時間(分)、燃費(km/L)の項目からなる走行履歴データ(図4)を作成し、作成された走行履歴データを走行履歴データベース23bに格納する。
なお、図4に示す走行履歴データの項目のうち、経路ID、出発地名称、到着地名称としてそれぞれ記憶されるデータは、特許請求の範囲に記載の「過去の経路データ」、「過去の経路データの始点」、「過去の経路データの終点」にそれぞれ相当し得るものである。また、平均車速、所要時間、燃費としてそれぞれ記憶されるデータは、特許請求の範囲に記載の「車両の平均車速に関するデータ」、「車両の走行時間に関するデータ」、「車両の燃費に関するデータ」にそれぞれ相当し得るものである。
ここで、図4に示す走行履歴データの例を説明する。なお、出発地名称および到着地名称については説明を簡略化するためアルファベット1文字で代用している。また、経路IDの欄の「ルート1」や「ルート2」等も、具体的にはどのようなルート(経路)を走行してきたかその経路データを特定できる識別子、例えば複数の英数字や記号の組み合わせによって記憶される。ここでは、便宜上、「ルート1」のように表記されている。
図4に示すデータ例の場合、例えば、「A」が自宅、「B」が会社をそれぞれ表すものとすると、No.1,No.3,No.5の走行データは、出発地名称が「A」、到着地名称が「B」であるから、A→Bは出勤時のもの、またNo.2,No.4,No.6の走行データは、出発地名称が「B」、到着地名称が「A」であるから、B→Aは退勤時のものであることがわかる。これにより、通常、通勤時の経路はルート1、退勤時の経路はルート2となるが、No.5の通勤時の経路の場合、何らかの理由で通常とは異なるルート3を走行している。そして、その退勤時の経路も、通常とは異なるルート4を走行している。このように通勤経路を多少変更することは、寄り道をする、気分を変える、いつもの経路が交通事故等で渋滞するから迂回する、等といった理由で日頃経験することである。また、No.7、No.8ついては、自宅「A」から地点「D」(例えばデパート)へ走行した場合を想定している。ここでは往路A→Dの経路しか表記されていないが、復路D→Aの経路についても記憶される。
このように図3に示す走行履歴記憶処理では、当該車両50の走行中に逐次サンプリングすることによって得られた走行生データやそれを演算して求められた走行データに基づいて、走行履歴データを作成し(図4)、それを走行履歴データベース23bに格納し記憶するといった一連の処理が行われる。なお、この走行履歴データベース23bは、次に説明する走行データ出力処理(図5〜図8)に用いられる。
次に、本ナビゲーション装置20のCPU21により実行される走行データ出力処理の流れを図5〜図10に基づいて説明する。なお、以下説明する走行データ出力処理は、走行データを出力するタイミングの違いや特定するデータ(経路、始点、終点)の違い等によって複数のバリエーションがあるため、ここでは便宜的に[その1]、[その2]、[その3]というように処理名の末尾に識別名に付している。また、これらの各処理は、システムプログラム22a、入力プログラム22b、走行データ取得プログラム22e、経路等特定プログラム22f、経路検索照合プログラム22g、燃費/時間/車速等算出プログラム22hおよび出力プログラム22i等により実行されるもので、前述したナビゲーション処理や走行履歴記憶処理と並行して実行可能なものである。
まず、図5に示される走行データ出力処理[その1]から説明する。この走行データ出力処理[その1]は、ナビゲーション装置20の起動直後に、出発地と現在時刻とからこれからの走行予定経路を推定し、この走行予定経路(例えば通勤経路)について前回(例えば前日)までの走行時に要した燃費(および所要時間)を今回の走行前に表示するものである。なお、この走行データ出力処理[その1]は、特許請求の範囲に記載の請求項2に相当し得るものである。
図5に示すように、走行データ出力処理[その1]では、まずステップS201により初期化処理が行われる。この初期化処理では、例えば、メモリ22に所定のワーク領域を確保したり、一時データ等の各種データやフラグ等を初期値に設定する処理を行う。
次のステップS203では、現在の時刻データ、位置データ取得処理が行われる。この処理は、入力プログラム22bおよび走行データ取得プログラム22eによって行われるもので、ここではナビゲーション装置20の起動直後における当該車両50の位置のデータとその時刻のデータを取得する。
続くステップS205では、予定経路推定処理が行われる。この処理は、経路等特定プログラム22fにより行われるもので、当該車両50がこれから走行しようとしている経路を特定する。例えば、ステップS203により取得されたナビゲーション装置20の起動直後における当該車両50の位置のデータとその時刻のデータとをキーにしてほぼ同じ時刻(出発時刻±5分)に出発したときの経路データを走行履歴データベース23bから検索したり、また曜日とだいたいの出発時刻から、通勤経路であるか日常的な買物経路であるか等を推定する。また、前述したナビゲーション処理の経路探索処理(図2に示すステップS30)によって、既に経路探索が完了している場合には、探索された最短距離経路に関するデータがメモリ22の所定のワーク領域に記憶されているので、これを参照しても良い。なお、この車両50がこれから走行しようとしている経路は、特許請求の範囲に記載の「走行予定経路」に相当し得るものである。
例えば、前述の図4に示す走行履歴データの例において、例えば、当該車両50の現在地が「A」、現在時刻が7時29分であった場合には、出発地名称「A]および出発時刻「7時24分〜7時34分(=7時29分±5分)」の検索条件で走行履歴データを検索する。すると、図4に示す走行履歴データには、この検索条件に該当する経路が3件ヒット(No.1;ルート1,No.3;ルート1,No.5;ルート3)するので、これら候補の中から、これから走行しようとしている経路を多数決で特定する。この例では、経路IDがルート3のものが1件であるのに対し、経路IDがルート1のものは2件であるので、ルート1が予定経路として推定され特定される。
このようにステップS205によって予定経路が特定されると、次にステップS207により、この予定経路と同じ経路で、同じ出発時刻の走行データが走行履歴データベース23bの走行履歴データに存在するか否かの判断処理が行われる。即ち、予定経路の経路ID(経路データ)と一致する経路ID(経路データ)が、走行履歴データベース23bに既に記憶されているか否かを検索する。なお、この処理は、経路検索照合プログラム22gにより行われるものである。
そして、予定経路の経路IDと一致するものが走行履歴データベース23bの走行履歴データに存在する場合には(S207でYes)、続くステップS209に処理を移行し、予定経路の経路IDと一致するものが走行履歴データベース23bの走行履歴データに存在しない場合には(S207でNo)、続くステップS209の処理をスキップして本走行データ出力処理[その1]を終了する。即ち、これから走行しようとする予定経路が、過去に走行したことのある経路である場合には(S207でYes)、過去にその経路を走行した際に取得された当該車両50の平均車速、所要時間および燃費(過去の走行データ)がステップS209により出力され、過去に走行したことのある経路でない場合には(S207でNo)、出力対象となるデータが存在しないのでそのまま本処理を終了する。
続くステップS209では、走行データ出力処理が行われる。この処理は、出力プログラム22iにより行われるもので、ステップS207により検索された経路IDに対応する平均車速、所要時間および燃費に関するデータ(情報)がディスプレィ26や音源ユニット28を介して出力される。例えば、図9に示すような画像による情報がディスプレィ26に出力される。この図9に示す出力例では、出発地Aから到着地Bまでの走行したときの過去の走行データ(所要時間、燃費)が表されており、ルート1に関する情報を○(白丸)、またルート3に関する情報を□(白四角)により、さらにその所要時間に関する推移を破線、燃費に関する推移を実線により、それぞれ表現している。また、音源ユニット28を介して出力する場合には、例えば、合成音声によって、出発地名称および到着地名称を読み上げた後に、年月日の古いものから新しいものの順に、所要時間や燃費の推移状態を日付けとともに読み上げたり、所要時間や燃費の最小値および最大値を読み上げる。これにより、例えば、昨日までの走行の様子を運転者に想起させるので、昨日は燃費が悪いということであれば、荒い運転をしたことを思い出させ、今日のこれからの通勤は安全運転しよう、という心掛けを促すことが可能となる。
このように図5に示す走行データ出力処理[その1]では、ナビゲーション装置20の起動直後に、これから走行しようとする予定経路を推定して、その予定経路が過去に走行した経路であれば過去の経路データに対応した走行データをディスプレィ26や音源ユニット28に出力する。これにより、当該車両50の運転者には、これから走行しようとする予定経路について、自分の過去の運転行動を省みる機会が与えられるので、これをきっかけにして当該運転者に対して安全運転や省燃費運転の心掛けを促すことができる。
次に図6に示される走行データ出力処理[その2]を説明する。この走行データ出力処理[その2]は、当該車両50の走行中に現在走行している経路を特定し、当該走行中の経路について前回(例えば前日)までの走行時に要した燃費(および所要時間)を目的地(到着地)に到着してから、あるいは到着する直前に表示するものである。なお、この走行データ出力処理[その2]は、特許請求の範囲に記載の請求項1に相当し得るものである。
図6に示すように、走行データ出力処理[その2]では、まずステップS301により初期化処理が行われる。この初期化処理では、例えば、メモリ22に所定のワーク領域を確保したり、一時データ等の各種データやフラグ等を初期値に設定する処理を行う。
次のステップS303では、走行データ取得処理が行われる。この処理は、入力プログラム22bおよび走行データ取得プログラム22eによって行われるもので、当該車両50の現在位置における走行生データ(位置データ、時刻データ、噴射量データ、速度データ等)が各センサ等(GPSセンサ31、ジャイロセンサ33、時計21a、燃料量センサ34、車速センサ32等)より取得される。なお、このステップS303による走行生データの取得は、所定周期(例えば30秒周期)ごとに行われる。
続くステップS305では、走行経路特定処理が行われる。この処理は、経路等特定プログラム22fにより行われるもので、当該車両50が現在走行している経路を特定する。例えば、ステップS303によりそれまで走行してきた経路の走行生データとして位置データが取得されているので、この複数の位置データに基づいて現在走行中の経路を道路データベース23aの地図データから検索することで、当該経路の特定やその目的地(到着地)の特定が可能となる。また、前述したナビゲーション処理の経路探索処理(図2に示すステップS30)によって、既に経路探索が完了している場合には、探索された最短距離経路に関するデータがメモリ22の所定のワーク領域に記憶されているので、これを参照しても良い。
このようにステップS305によって現在走行中の経路が特定されると、次にステップS307により、この走行中の経路と同じ経路の走行データが走行履歴データベース23bの走行履歴データに存在するか否かの判断処理が行われる。即ち、走行中の経路の経路ID(経路データ)と一致する経路ID(経路データ)が、走行履歴データベース23bに既に記憶されているか否かを検索する。なお、この処理は、経路検索照合プログラム22gにより行われるものである。
そして、走行中の経路の経路IDと一致するものが走行履歴データベース23bの走行履歴データに存在する場合には(S307でYes)、続くステップS309に処理を移行し、走行中の経路の経路IDと一致するものが走行履歴データベース23bの走行履歴データに存在しない場合には(S307でNo)、続くステップS309、S311の処理をスキップして本走行データ出力処理[その2]を終了する。即ち、現在走行中の経路が、過去に走行したことのある経路である場合には(S307でYes)、過去にその経路を走行した際に取得された当該車両50の平均車速、所要時間および燃費(過去の走行データ)が目的地に到着直前にステップS311により出力され、過去に走行したことのある経路でない場合には(S307でNo)、出力対象となるデータが存在しないのでそのまま本処理を終了する。
続くステップS309では、GPSセンサ31による現在位置データ等から当該車両50が目的地(到着地)に到着したか否かを判断する処理が行われる。そして、目的地に到着するまでこのステップS309を繰り返し実行し(S309でNo)、到着した場合には(S309でYes)、ステップS311に処理を移行する。これにより、当該車両50が目的地に到着してから、過去にその経路を走行した際に取得された当該車両50の平均車速、所要時間および燃費(過去の走行データ)をディスプレィ26等に出力する。
なお、このステップS309では、当該車両50が目的地に到着するのを待ってステップS311による出力処理を行うように設定したが、当該車両50が目的地から所定距離内に到達した際、例えば、目的地の手前1kmの地点に到達したことをステップS309により判断してステップS311による出力処理を行うようにしても良い。これにより、例えば、通勤時なとは到着とともに直ぐに当該車両50から降りることが予想されるため、目的地の到着直前に走行データを表示させることで、運転者が目的地に到着して直ぐに車両50を降りるような性癖であったとしても、運転者に確実に過去の走行データやその日の走行データを知らせることが可能となる。
続くステップS311では、走行データ出力処理が行われる。この処理は、出力プログラム22iにより行われるもので、ステップS307により検索された経路IDに対応する平均車速、所要時間および燃費に関するデータ(情報)がディスプレィ26や音源ユニット28を介して出力される。例えば、前述した図9に示すような画像による情報がディスプレィ26に出力されたり、音源ユニット28を介して読み上げられる。これにより、例えば、今日の走行状態と昨日までの走行状態とを運転者に比較可能に出力するので、今日は、昨日よりも燃費が悪いことがわかれば、今日は荒い運転をしてしまったことを運転者に反省させ、明日からの通勤は安全運転しよう、という心掛けを促すことが可能となる。
このように図6に示す走行データ出力処理[その2]では、当該車両50の走行中に現在走行している経路を特定し、その走行中の経路が過去に走行した経路であれば、目的地(到着地)に到着してから、あるいは到着する直前に、過去の経路データに対応した走行データをディスプレィ26や音源ユニット28に出力する。これにより、当該車両50の運転者には、このような過去の走行データから自分の過去の運転行動や今回の運転行動を省みる機会が与えられるので、これをきっかけにして当該運転者に対して安全運転や省燃費運転の心掛けを促すことができる。
続いて図7に示される走行データ出力前処理と図8に示される走行データ出力処理[その3]とについて説明する。なお、図7に示す走行データ出力前処理は、図8に示す走行データ出力処理[その3]により出力する走行データの準備処理を行うもので、ステップS401は、メモリ22に所定のワーク領域を確保したり、一時データ等の各種データやフラグ等を初期値に設定する初期化処理で、ステップS403は、前述のステップS303(図6)と同様の走行データ取得処理、ステップS405は、前述のステップS107(図3)と同様の燃費等算出処理、ステップS407は、前述のステップS109(図3)と同様のナビゲーション処理停止判定処理、ステップS409は、前述のステップS111(図3)と同様の走行履歴データ作成格納処理であるので、ここではこれらの詳細な説明は省略する。なお、この走行データ出力前処理および走行データ出力処理[その3]は、特許請求の範囲に記載の請求項3に相当し得るものである。
例えば、同じ目的地へ行くのに通常の経路とは異なる経路を利用する場合(例えばたまにデパートへ行く場合等)がある。このような場合には、前述した走行データ出力処理[その2]ではステップS305(走行経路特定処理)により走行経路を特定してもその経路が走行履歴データベース23bに存在するとは限らないため、存在しないときには目的地に到着してイグニッションスイッチのオフ信号を受けるまで、目的地(到着地)を確定することができない。つまり、ナビゲーション装置20の利用者により目的地データが入力されていない場合には、前述の走行データ出力処理[その2]では、今回の出発地とその目的地とが過去に走行した経路の出発地とその目的地(到着地)とたとえ同じであっても、その間の経路が通常とは全く異なる(初めて走行する経路等)場合には、当該車両50が目的地に到着するまでは、目的地(到着地)を特定することができない。
そこで、図7に示す走行データ出力前処理によって、走行履歴データを作成および格納して(S409)、出発地および到着地を特定した後(S411)、その最新の走行履歴データの出発地と到着地が同じ過去のデータがあるか否かを検索する(S413)。しかし、このような走行データ出力前処理を行っている間、たとえ同じ到着地のデータが存在したとしても、図9に示すような走行データを出力するまでに、イグニッションスイッチがオフにされナビゲーション装置20の主電源がオフにされてしまう場合やナビゲーション装置20の利用者が当該車両50を降りてしまう場合には、走行データをディスプレィ26等に出力して有意義ではない。そのため、この走行データ出力前処理では、ステップS413により走行履歴データベース23bに出発地および到着地が同じ経路の走行データが存在した場合には(S413でYes)、その走行データを出力するのではなく、当該ナビゲーション装置20の次回の起動時にその走行データを出力する旨の出力処理フラグをオンに設定する処理をステップS415の後に設けた。
これにより、次回、当該ナビゲーション装置20が起動されたときに、図8に示す走行データ出力処理[その3]が自動的に起動することにより、ステップS501による初期化処理の後、この出力処理フラグがオンに設定されている場合には(ステップS503でYes)、前回、ナビゲーション装置20がオフになる直前に走行履歴データベース23bから検索された走行データを処理をステップS505の走行データ出力処理により行う。これにより、当該車両50が目的地に到着した直後に、イグニッションスイッチがオフにされてしまう場合や利用者が直ぐに降車する場合であっても、次に利用者が当該車両50に戻って来たときに、今回(前回、ナビゲーション装置20がオフになる直前)の走行データ(燃費、所要時間、平均車速等)と過去の走行データ(燃費、所要時間、平均車速等)とを比較して提示することができる。これにより、今回の到着地までの燃費、所要時間、平均車速等とそれ以前の燃費、所要時間、平均車速等との比較を利用者に明示することにより、例えば、燃費が悪かった場合には、運転が荒かった等の反省を促すことができる。
なお、図10には、図8に示すステップS505による走行データの出力例として、画像による情報がディスプレィ26に出力されているものが図示されている。この出力例は、例えば、図4に示すNo.7,No.8のように、出発地と到着地とが同じであっても、その間の経路が大きく異なる場合において、前述の走行データ出力前処理により出発地と到着地とが特定され(S411)、さらにその間の経路が走行履歴データベース23bから検索されたときに(S413でYes)、次回のナビゲーション装置20の起動直後の走行データ出力処理[その3]によりディスプレィ26に表示される走行データの例である。
この例では、経路を合わせて表示してある。ルート6の方が距離的に長いにもかかわらず所要時間が短いが燃費はルート5よりも悪化している。これは高速走行を行った結果と推定できる。このようなディスプレィ26による表示により、ナビゲーション装置20の利用者に比較的速い速度で走行してきたことを認識させ、次回からは安全運転を心掛けるように奨励することができる。なお、図10に示す走行データとして平均速度をあわせて表示しても良い。また、この例では、図4に示す走行履歴データに基づくので、表示されるのは、後の日(2004年3月18日)に利用者が到着地Dへ到着し、当該車両50から降りて、用事を済ませて当該車両50に戻ってナビゲーション装置20が起動したときに表示される場合を想定している。
以上説明したように、本実施形態に係るナビゲーション装置20によると、走行データ取得プログラム22eにより車両50が走行した経路の経路データおよびこの経路を走行した際の当該車両50の走行データを取得し(S105)、この取得された経路データおよび走行データを走行履歴データベース23bにより記憶する(S111)。そして、経路検索照合プログラム22gによって、当該車両50が現在走行している経路の経路データ(経路ID)と一致する経路データ(経路ID)が過去の経路データ(経路ID)として走行履歴データベース23bに既に記憶されているか否かを検索し(S307)、一致する過去の経路データ(経路ID)が検索された場合に(S307でYes)、現在走行している経路の走行データおよび一致した過去の経路データ(経路ID)に対応した走行データ(燃費、所要時間、平均車速)を出力プログラム22iにより走行履歴データベース23bら抽出してディスプレィ26や音源ユニット28に出力する。これにより、過去に走行したことのある経路については、現在の走行データとともに、その経路を走行した際に取得された当該車両50の過去の走行データが出力プログラム22iによりディスプレィ26や音源ユニット28から出力される(図9)。したがって、当該車両50の利用者(運転者)には、このような過去の走行データから自分の過去の運転行動を省みる機会が与えられるので、これをきっかけにして当該利用者(運転者)に対して安全運転や省燃費運転の心掛けを促すことができる。
また、本実施形態に係るナビゲーション装置20によると、走行データ取得プログラム22eにより車両50が走行した経路の経路データおよびこの経路を走行した際の当該車両50の走行データを取得し(S105)、この取得された経路データおよび走行データを走行履歴データベース23bにより記憶する(S111)。そして、経路検索照合プログラム22gによって、経路等特定プログラム22f(S205)により推定された当該車両50のこれからの走行予定経路の経路データ(経路ID)と一致する経路データ(経路ID)が、過去の経路データ(経路ID)として走行履歴データベース23bに既に記憶されているか否かを検索し(S207)、一致する過去の経路データ(経路ID)が検索された場合に(S207でYes)、一致した過去の経路データ(経路ID)に対応した走行データ(燃費、所要時間、平均車速)を出力プログラム22iにより走行履歴データベース23bから抽出してディスプレィ26や音源ユニット28に出力する。これにより、これから走行しようとする走行予定経路が、過去に走行したことのある経路である場合には、その経路を走行した際に取得された当該車両50の過去の走行データ(燃費、所要時間、平均車速)が出力プログラム22iによりディスプレィ26や音源ユニット28から出力される(図9)。したがって、当該車両50の利用者(運転者)には、これから走行しようとする走行予定経路について、自分の過去の運転行動を省みる機会が与えられるので、これをきっかけにして当該利用者(運転者)に対して安全運転や省燃費運転の心掛けを促すことができる。
さらに、本実施形態に係るナビゲーション装置20によると、走行データ取得プログラム22eにより車両50が走行した経路の経路データおよびこの経路を走行した際の当該車両50の走行データを取得し(S403)、この取得された経路データおよび走行データを走行履歴データベース23bにより記憶する(S409)。そして、経路検索照合プログラム22gによって、経路等特定プログラム22f(S411)により特定された今回走行した経路の始点および終点と一致する始点および終点を含む経路データ(経路ID)が、過去の経路データ(経路ID)として走行履歴データベース23bに既に記憶されているか否かを検索し(S413)、一致する過去の経路データ(経路ID)が検索された場合に(S413でYes)、今回走行した経路の走行データ(経路ID)および一致した過去の経路データ(経路ID)に対応した走行データ(燃費、所要時間、平均車速)を出力プログラム22iにより走行履歴データベース23bから抽出してディスプレィ26や音源ユニット28に出力する。これにより、途中の経路が異なっていても始点および終点が一致する経路として過去に走行したことのある経路については、今回走行した経路の走行データ(燃費、所要時間、平均車速)とともに、その経路を走行した際に取得された当該車両50の過去の走行データ(燃費、所要時間、平均車速)が出力プログラム22iによりディスプレィ26や音源ユニット28から出力される(図9、図10)。したがって、途中の経路が異なっていても始点および終点が一致する経路がある場合、当該車両50の利用者(運転者)には、このような過去の走行データから自分の過去の運転行動を省みる機会が与えられるので、これをきっかけにして当該利用者(運転者)に対して安全運転や省燃費運転の心掛けを促すことができる。
このようにナビゲーション装置20では、過去の走行データから自分の過去の運転行動を省みる機会が与え、これをきっかけにして当該利用者(運転者)に対して安全運転や省燃費運転の心掛けを促す。即ち、本実施形態に係るナビゲーション装置20によれば、毎日の燃費をその都度過去と比較を自動的に表示するので、自己の走り方と燃費との相関を感覚的に推測させることによって、当該利用者(運転者)に、燃費の良い走り方を奨励することができる。これにより、燃費表示は、走行中随時表示させる必要のあるものではないため、通常は利用者(運転者)によるボタン操作等により表示させるものであったが、利用者(運転者)が意識しなくても自動的に燃費を表示するので、利用者(運転者)は、その日の走行において、燃費が悪くなった、あるいは良くなった要因を感覚的に推定することができる。これにより、例えば、利用者(運転者)が、その車で通勤する場合、通勤に要する燃料が大半を占めるところ、この通勤での燃費を向上することができれば燃料費が低減できる一方で、同じ経路での燃費の差も、走り方や、渋滞などその日の道路状態で左右されるのでどのように走行すれば燃費がよくなるかを一該に特定することは困難であるという問題を解決することも可能となる。
また、通勤経路(通勤経路に限らず比較的良く利用する場所への経路)を多少変更させたい場合、例えば、会社までの経路には複数の経路が考えられるが、常に他の経路の方が速いかもしれないと、時折、試す場合がある。そのような場合、通常は、できるだけ所要時間の短い経路を運転者は希望するものである。しかしながら、所要時間は、無理な速度を出したり、狭い道や交差点の多い道でありながら、単に目的地までの距離が短いという理由で、発進停止を繰り返すことが多くなる場合もある。そのような経路は多少所要時間が短くなっても、事故の危険性が高い経路といえる一方で、一般に、急加減速が少なく、また車速が安定した走行である場合に燃費が良くなることは経験的に知られている。このような事例に対し、本実施形態に係るナビゲーション装置20では、同じ2点間を走行したときの燃費を表示させることで、所要時間と燃費の両面から、運転者にとってより良い経路を選択させることを可能にする。これにより、燃費を走行の安全性の指標と捉えることも可能になるので、燃費の良い運転を利用者(運転者)に試行錯誤的にも促すことで、結果、通勤時に安全な運転を心掛けるようにすることができる。