ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション端末の構成:
(2)評価情報取得処理:
(3)評価情報表示処理:
(4)表示位置修正処理:
(5)他の実施形態:
(1)ナビゲーション端末の構成:
図1は、車両に搭載された評価表示システムの構成を示すブロック図である。本実施形態において評価表示システムは、ナビゲーション端末10によって実現される。ナビゲーション端末10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20を備えており、ROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラムを実行可能である。当該ナビゲーションプログラムは、ナビゲーション端末の表示部に車両の現在位置が含まれる地図を表示して運転者を目的地まで案内する機能を制御部20に実現させるプログラムであり、表示部において今回評価の表示位置に今回評価を表示し、過去評価の表示位置に過去評価を表示するとともに、両者にずれが生じた場合にそのずれを修正する評価表示プログラム21が含まれている。
本実施形態にかかる車両は、燃費評価ランプECU40とGPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を示す信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43等は、GPS受信部41の出力信号から特定される車両の現在位置を補正するなどのために利用される。また、車両の現在位置は、当該車両の走行軌跡に基づいて適宜補正される。
燃費評価ランプECU40は、車両の動作に基づいて走行中の車両の燃費を評価するための制御回路を備えており、車両のインストルメンタルパネルに備えられたランプ40aが接続されている。本実施形態において燃費評価ランプECU40は、消費燃料を示す情報(例えば、インジェクタを動作させるための信号から特定される情報や消費燃料センサが示す情報等)と車速センサ42の出力情報とトランスミッションの状態を示す情報との組み合わせが消費燃料を抑制する条件に合致しているか否かを判定する。なお、消費燃料を抑制する条件としては、種々の条件を定義可能であるが、本実施形態においては、消費燃料が所定量以下であり、かつ、車速が所定の閾値以上であり、かつ、トランスミッションの状態が通常の状態(スポーツモードなど高効率に加速するための状態ではないドライブモード等の状態)である場合に消費燃料を抑制する条件に合致しているとする。
そして、燃費評価ランプECU40は、各情報の組み合わせが消費燃料を抑制する条件に合致している場合にランプ40aを点灯させる。この結果、運転者はランプ40aが点灯している場合に消費燃料が抑制される運転を行っており、ランプ40aが消灯している場合に消費燃料が過度に消費される運転を行っていると判断することができる。また、燃費評価ランプECU40は、ランプ40aを点灯させる場合に制御部20に対してランプ40aが点灯していることを示す情報を出力する。従って、制御部20は、当該情報に基づいてランプ40aが点灯していることおよび消灯していることを特定することができる。さらに、燃費評価ランプECU40は、制御部20に対して上述の消費燃料を示す情報を出力する。制御部20は、当該消費燃料を示す情報に基づいて位置毎の車両の燃費(km/l)を特定することができる。
ユーザI/F部44は、運転者の指示を入力し、また運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。ユーザI/F部44は制御信号を制御部20から受信し、各種案内を行うための画像をタッチパネルディスプレイに表示する。
記録媒体30には地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、車両が走行する道路の端点に対応するノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ等を含んでいる。また、本実施形態においては、車両が走行するたびに車両の燃費の評価を示す評価情報30bが記録される。当該評価情報30bは、単位区間内における燃費の評価対象区間内で上述のランプ40aが点灯していた割合を示す情報であるとともに、目的地を設定して走行した状態で評価情報30bが記録される場合には、当該目的地と出発地とを示す情報が評価情報30bに対応付けられて記録される。
制御部20は、ナビゲーションプログラムに含まれる評価表示プログラム21を実行することにより、ユーザI/F部44の表示部に今回評価と過去評価とを含む地図を表示する。この処理を実行するため、評価表示プログラム21は、地図表示制御部21aと今回評価取得部21bと過去評価取得部21cとを備えている。
地図表示制御部21aは、ユーザI/F部44の表示部に車両の現在位置とともに当該現在位置の周辺の地図を表示し、また、地図上に今回単位区間毎の今回評価と過去単位区間毎の過去評価とを併せて表示する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在位置を特定し、車両の現在位置周辺における地図の表示範囲を特定し、当該表示範囲内の道路や施設等の情報を地図情報30aから抽出する。そして、制御部20は、車両の現在位置と当該現在位置の周辺における道路や施設等を示す地図を描画するための制御信号をユーザI/F部44の表示部に出力する。この結果、ユーザI/F部44の表示部は、車両の現在位置の周辺における道路や施設等を示す地図と、車両の現在位置を表示する。
今回評価取得部21bは、車両の今回の走行における燃費を今回の走行を評価するための単位区間である今回単位区間毎に評価した今回評価を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。なお、制御部20は、車両が走行する過程において今回評価取得部21bにより後述する評価情報取得処理を実行し、ランプ40aの一定距離(例えば100m)毎の点灯割合を取得し、当該一定距離毎の点灯割合を評価情報30bとして記録する。当該評価情報30bからは今回評価と過去評価とが生成される。
本実施形態においては、運転者がナビゲーションプログラムの機能により、ユーザI/F部44を操作して目的地を設定し、当該目的地を設定した時点での車両の現在位置を出発地とし、当該出発地から目的地までの経路を探索して案内する。そして、現在において当該出発地から当該目的地まで走行している場合に、当該出発地から当該目的地までの走行を今回の走行とみなす。すなわち、今回走行した区間は、出発地が始点、現在位置が終点となる区間であり、車両の進行とともに車両が目的地に到達するまで今回走行した区間の総距離が大きくなる。なお、目的地を設定した走行が行われ、車両が目的地に到達した場合、制御部20は、評価情報30bを記録する際に、出発地から目的地まで走行するまでの一定距離毎の評価情報30bと当該出発地および当該目的地とを対応付けて記録する。
そして、制御部20は、今回評価取得部21bの処理により、評価情報30bから、今回の走行に関する評価を今回評価として取得する。このために、制御部20は、出発地において車両の走行が開始された後、目的地に到達する以前において車両が今回走行した区間における一定距離毎の評価情報30bを取得する。すなわち、今回の走行における一定距離毎の区間が今回単位区間となる。そして、制御部20は、評価情報30bが示す今回単位区間毎のランプ40aの点灯割合(ランプ40aが点灯している状態で走行した距離の割合)を所定の閾値と比較し、所定の閾値以上である場合に燃費の評価を「良」、当該点灯割合が所定の閾値よりも小さい場合に燃費の評価を「悪」とし、今回単位区間毎の今回評価とする。すなわち、本実施形態においては、ランプ40aの点灯割合が高いほど燃費が高くなるため、ランプ40aの点灯割合は燃費改善に寄与する運転操作の頻度に対応しており、当該点灯割合によって、燃費を改善させるための運転操作の有無を評価することができる。なお、所定の閾値は、燃費の評価を行う際に決定されていればよく、本実施形態においては、運転者が予め設定した診断難易度に応じて当該所定の閾値が設定される。すなわち、診断難易度が高いほど所定の閾値が大きくなるように設定される。
なお、目的地を設定した走行が行われた場合、制御部20は、評価情報30bを記録する際に、出発地から現在位置までの消費燃料を示す情報に基づいて位置毎の車両の燃費を特定し、平均化し、出発地と目的地との組み合わせに対して平均化した燃費を対応付けて記録する。評価情報30bに対応付けられる平均化された燃費の情報は、車両の走行とともに逐次更新される。従って、車両が目的地に到達する前においては、車両が出発地から目的地よりも進行方向後方の地点まで走行する過程における平均化された燃費が出発地と目的地との組み合わせに対して対応付けられて記録される。一方、車両が目的地に到達すると、車両が出発地から目的地まで走行する過程における平均化された燃費が出発地と目的地との組み合わせに対して対応付けられて記録される。
過去評価取得部21cは、今回の走行よりも過去の走行における車両の燃費を過去の走行を評価するための単位区間である過去単位区間毎に評価した過去評価を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において制御部20は、車両が今回の走行よりも過去に出発地と同一の地点から出発し、目的地と同一の地点まで走行した場合における一連の走行を過去評価の表示対象となる過去の走行と見なす。そして、制御部20は、過去の走行で車両が走行した区間の一定距離毎の評価を過去評価として取得する。すなわち、過去の走行における一定距離毎の区間が過去単位区間となる。なお、本実施形態においては、出発地と目的地とが同一か否かを判定するために、各地点からの距離に所定のマージンを設け、例えば、距離が300m以内の2地点は同一と見なしている。
過去評価を取得するため、制御部20は、評価情報30bから上述の今回の走行と同一の出発地、目的地が対応付けられたランプ40aの点灯割合を示す情報を取得する。なお、今回の走行と同一の出発地、目的地が対応付けられた情報が複数個記録されている場合、例えば、出発地と目的地とに対応付けられた平均化された燃費が最も良いもの(すなわち、過去において最高の平均燃費となったもの)を過去評価として取得する構成とすればよい。そして、制御部20は、ランプ40aの点灯割合と所定の閾値と比較し、所定の閾値以上である場合に燃費の評価を「良」、当該点灯割合が所定の閾値よりも小さい場合に燃費の評価を「悪」とする。
以上のようにして今回評価と過去評価とが取得されると、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、今回評価と過去評価とを地図上に描画するための制御信号をユーザI/F部44の表示部に出力する。なお、今回評価と過去評価とを表示するために、制御部20は、ユーザI/F部44の表示部に現在表示されている地図から、今回の走行によって走行した区間と過去の走行によって走行した区間とを抽出する。そして、制御部20は、各区間における今回単位区間毎の今回評価と過去単位区間毎の過去評価とを特定する。また、制御部20は、今回評価の表示位置(デフォルト位置は今回単位区間の中央位置、修正された後には修正後の位置)と過去評価の表示位置(過去単位区間の中央位置)とを特定し、地図上の各表示位置に今回評価と過去評価とを描画するための制御信号をユーザI/F部44の表示部に出力する。この結果、ユーザI/F部44の表示部は、今回単位区間毎の今回評価と過去単位区間毎の過去評価とを表示する。なお、本実施形態において、今回評価と過去評価とが重なる場合、制御部20は、重なる部分については今回評価を優先して表示するようにユーザI/F部44の表示部を制御する。
図5Aは、表示部に表示される地図の例を示しており、本例においては、実線の曲線によって示された道路R上に車両の現在位置を示すアイコンCが表示されている。また、図5Aに示す例においては、道路上に葉を模したアイコンによって燃費の評価を表示しており、実線のアイコンEtgによって「良」の今回評価、実線のハッチが付されたアイコンEtbによって「悪」の今回評価を示し、破線のアイコンEpgによって「良」の過去評価、破線のハッチが付されたアイコンEpbによって「悪」の過去評価を示している。すなわち、今回評価を示すアイコンと過去評価を示すアイコンとにおいては大きさおよび形状が同一であり、外周を示す線が異なるように構成されている。
以上のように、本実施形態によれば、ユーザI/F部44の表示部に表示された地図に、今回評価と過去評価とが同時に視認できるように表示される。この結果、運転者は今回の走行区間における燃費の評価と過去の燃費の評価とを運転中に容易に比較しながら運転を行うことができる。なお、図5Aに示す例のように、今回評価と、過去評価とを異なる態様(実線と破線)で地図に表示することにより、運転者は、今回評価と過去評価とを混同することなく明確に区別することが可能になる。
なお、今回の走行と過去の走行とで出発地と目的地とが同一の場合、通常は、ナビゲーションプログラムによって同一の経路が探索される。今回の走行と過去の走行とが同一の経路であった場合、図5Aに示すように、今回の走行に関する今回評価Etg,Etbは出発地から現在位置までの経路について表示される。過去の走行に関する過去評価Epg,Epbは、少なくとも、現在位置から目的地までの経路について表示される。この場合、過去評価Epg,Epbは、今回の走行よりも過去に現在位置Cを含む区間を走行した場合の車両の燃費の評価となる。過去評価Epg,Epbの表示対象となる現在位置を含む区間は、図5Aに示すように現在位置Cの直後に走行する道路を含むため、運転者は現在位置以後の過去評価Epg,Epbを認識し、さらに、現在位置以前の今回評価Etg,Etbを対比させながら運転を行うことが可能になる。従って、本実施形態によれば、ある出発地から他の目的地に向けて今回走行する際に、過去の走行に比べて総消費燃料を抑制するための指針を運転者が決定しながら運転を行うことが可能である。
さらに、図5Aに示す例においては、今回評価の表示位置と過去評価の表示位置が一致せず、両者にずれが生じている場合を示している。すなわち、車両の現在位置Cよりも後方の道路R上には破線で示す過去評価と実線で示す過去評価とが単位区間毎に表示されている。本実施形態においては、今回評価と過去評価とが重なる場合、重なる部分に今回評価が表示されるように構成されている。従って、両者を示すアイコンの大きさおよび形状は同一であるため、今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とが完全に一致している場合、今回の走行区間に過去評価は表示されない。しかし、今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とがずれている場合、図5Aに示すように今回評価の近くに過去評価が表示される。
すなわち、本実施形態のように今回の走行と過去の走行とで出発地と目的地が同一であるように構成されていたとしても、上述のように今回の走行と過去の走行とにおいて出発地の間の距離が所定のマージンの範囲内である場合には同一の出発地であると見なされるため、今回の走行と過去の走行とで出発地が完全に一致することはまれである。また、GPS受信部41、車速センサ42、ジャイロセンサ43の出力に基づいて特定される車両の現在位置には誤差が含まれる。従って、出発地と目的地とが同一である今回の走行と過去の走行とについて一定距離毎に評価情報30bが定義される構成であっても、一定距離毎の区間の始点が一致するとは限らない。このため、今回単位区間と過去単位区間とが一致するとは限らず、今回評価の表示位置と過去評価の表示位置に図5Aに示すようなずれが生じ得る。
図5Cは、一点鎖線で示す測定区間Z1に実線で示す今回単位区間Z01〜Z03が含まれるとともに、各今回単位区間Z01〜Z03と一部重複する過去単位区間Zp1〜Zp3を例示した図である。同図5Cにおいては、黒丸によって各単位区間の端点を示している。同図5Cにおいて、今回評価を示すアイコンEtgの表示位置はデフォルト値である今回単位区間の中央位置であり、過去評価を示すアイコンEpgとの表示位置は規定の位置である過去単位区間の中央位置である。このような場合、図5Cに例示するように、今回評価を示すアイコンEtgの表示位置と過去評価を示すアイコンEpgの表示位置とがずれることになる。
また、本実施形態において今回単位区間と過去単位区間とが一致するとは限らないが、同一の道路上に今回評価と過去評価とが表示される場合、図5Cに示すように今回単位区間と過去単位区間とが少なくとも一部で重複する。そこで、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、今回単位区間と過去単位区間とが少なくとも一部で重複する状態において今回単位区間の表示位置と過去単位区間の表示位置とのずれを測定する。すなわち、今回単位区間と過去単位区間とが少なくとも一部で重複する状態であれば、各区間に対応する今回評価と過去評価とはほぼ同じ区間についての評価であるため、両者の表示位置を一致させるように修正を行ったとしても区間毎の評価として正しい情報を運転者に認識させることができる。
そこで、制御部20は、予め決められた規則によって測定区間を設定し、当該測定区間内で今回単位区間と過去単位区間とが少なくとも一部で重複する状態において今回単位区間と過去単位区間とのずれを測定する。例えば、図5Cにおいて、今回単位区間Z01における表示位置のずれはL1、今回単位区間Z02における表示位置のずれはL2、今回単位区間Z03における表示位置のずれはL3であり、これらのずれの平均値Laveが表示位置のずれとして測定される。そして、今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とがずれている場合、制御部20は、車両が複数の今回単位区間を走行する過程において両者のずれを徐々に修正する。図5Dは、図5Cに示す測定区間Z1を通過した後、車両が今回単位区間Z11〜Z1Nを走行する過程で今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とのずれを徐々に修正する例を示す図である。すなわち、図5Dに示す例においては、今回単位区間Z11において今回評価を示すアイコンEtgの表示位置が修正され、表示位置のずれがL11(L11<Lave)となっている。以後、今回の今回単位区間Z12・・・Z1(N-1),Z1Nと車両が走行するにつれ、表示位置のずれがL12・・・L1(N-1),0となる。
このように、本実施形態においては、車両の走行過程において今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とがずれたとしても、両者のずれが徐々に修正され、やがてずれは解消される。従って、今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とが常に離れた状態となっていることを防止することができ、地図の表示が煩雑になることを抑制しながら今回評価と過去評価とを地図上に表示することが可能である。また、今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とのずれは徐々に修正されるため、今回評価の表示位置を急激に変化させることなくずれを修正することができ、運転者に違和感を与えることなくずれを修正することが可能である。
(2)評価情報取得処理:
次に、評価情報取得処理について詳細に説明する。図2は、評価情報取得処理のフローチャートであり、本実施形態において制御部20は、目的地を設定した走行が開始された後に今回評価取得部21bによって評価情報取得処理を実行する。評価情報取得処理が実行される前に制御部20は、車両が一定距離を走行したか否かを判定するための累計距離と、車両が当該一定距離を走行する過程で燃費の評価を行うことが可能であった距離を特定するための評価距離と、ランプ40aが点灯した状態で走行した距離を特定するための点灯距離とを示す変数を初期化する。
制御部20は、走行距離を累計距離に加算する(ステップS100)。本実施形態において、ステップS100〜S130はループ処理となっており、ループ処理が繰り返される場合には一定の期間(例えば、100ms)毎にステップS100の処理が行われる。そこで、制御部20は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43との出力信号に基づいて、前回ステップS100が実行されてから今回ステップS100が実行されるまでの間に車両が走行した走行距離ΔLを特定し、累計距離に加算する。すなわち、制御部20は、ステップS100〜S130が繰り返されている間に車両が走行した総距離を示す値が累計距離となるように加算処理を行う。
次に、制御部20は、車速が所定値以上であるか否かを判定し(ステップS110)、車速が所定値以上であると判定されない場合にはステップS115〜S125をスキップする。一方、ステップS110にて、車速が所定値以上であると判定された場合、制御部20は、走行距離を評価距離に加算する(ステップS115)。すなわち、ステップS100にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを評価距離に加算する。
ここで、ステップS110の判定における判定条件となる所定値は、所定値よりも小さい車速である場合に有意な燃費の評価が行えなくなるような車速の値(例えば4km/h)として予め定義されていればよい。すなわち、車速が過度に低速である場合、消費燃料を抑制した運転と過度に燃料を消費した運転とを区別して運転操作をすることが困難であるため、所定値よりも小さい車速である場合には燃費の評価を行わないようにする。このために、本実施形態においては、車速が所定値よりも小さい場合、有意な燃費の評価を行えないと見なしてステップS115を実行しないが、車速が所定値以上であれば有意な燃費の評価を行えると見なしてステップS115にて評価距離をΔLだけ増加させることになる。なお、当該所定値は、燃費評価ランプECU40がランプ40aを点灯させる際の条件の一つとして車速について設定されている所定の閾値と同一であっても良い。
さらに、制御部20は、ランプ40aが点灯しているか否かを判定し(ステップS120)、ランプ40aが点灯していると判定されない場合にはステップS125をスキップする。一方、ステップS120にて、ランプ40aが点灯していると判定された場合、制御部20は、走行距離を点灯距離に加算する(ステップS125)。すなわち、有意な燃費の評価を行うことが可能な状態であり、かつ、ランプ40aが点灯している場合に、制御部20は、ステップS100にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを評価距離に加算する。
次に、制御部20は、累計距離が一定距離以上になったか否かを判定し(ステップS130)、ステップS130にて累計距離が一定距離以上になったと判定されるまでステップS100以降の処理を繰り返す。すなわち、制御部20は、累計距離が、一定距離以上になった場合に、車両が一定距離を走行したと見なしてステップS100〜S130のループ処理を抜けることになる。
ステップS130にて、累計距離が一定距離以上になったと判定された場合、制御部20は、評価距離が0より大きいか否かを判定する(ステップS135)。すなわち、車両が一定距離を走行する過程において有意な評価を行える区間が存在したか否かを判定する。ステップS135にて、評価距離が0より大きいと判定された場合、制御部20は、ランプ40aの点灯割合を点灯距離/評価距離に設定する(ステップS140)。一方、ステップS135にて、評価距離が0より大きいと判定されない場合、制御部20は、ランプ40aの点灯割合を0に設定する(ステップS145)。すなわち、点灯割合を評価するための分母が0でない場合には点灯距離と評価距離とに基づいて点灯割合を算出し、点灯割合を評価するための分母が0である場合には点灯割合の定義から点灯割合を算出できないため0とする。むろん、ここでは、評価不能などとすることも可能である。
次に、制御部20は、ステップS140あるいはS145にて設定したランプ40aの点灯割合を累計距離の計測対象となった一定距離の区間(今回単位区間あるいは過去単位区間となる区間)の位置に対応付けて評価情報30bとして記録媒体30に記録する(ステップS150)。以上の処理によれば、一定距離毎の評価情報30bを記録媒体30に記録することができる。なお、車両の目的地が設定された状態で評価情報取得処理が実行された場合、制御部20は、ステップS150において、目的地と出発地とを示す情報を評価情報30bに対応付けて記録する。
(3)評価情報表示処理:
次に、評価情報表示処理について詳細に説明する。図3は、評価情報表示処理のフローチャートであり、本実施形態においては、運転者によって目的地が設定され、今回の走行の出発地および目的地と同一の出発地および目的地であった過去の走行についての評価情報30bが存在する場合に当該評価情報表示処理が実行される。また、制御部20は、ユーザI/F部44の表示部において所定の期間毎に地図表示を更新しており、当該更新のたびに当該評価情報表示処理が実行される。さらに、当該評価情報表示処理が実行される前には予め上述の診断難易度が運転者の指示あるいはデフォルト値によって特定されている。
ステップS200〜S230は過去評価を地図上に表示するためのループ処理であり、制御部20は、地図表示制御部21aおよび過去評価取得部21cの処理により、まず、処理対象の過去単位区間を選択する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、ユーザI/F部44の表示部に表示されている地図の範囲を特定する。さらに、制御部20は、過去評価取得部21cの処理により、今回の走行における出発地および目的地と同一の出発地および目的地が対応付けられた評価情報30bから、出発地と目的地とに対応付けられた平均化された燃費が最も良いものを抽出する。さらに、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、抽出された評価情報30bに対応付けられた一定距離の区間の位置からユーザI/F部44の表示部に表示されている地図の範囲に含まれる区間の位置を過去単位区間として特定し、特定された過去単位区間の過去評価を表示対象とする。そして、特定された過去単位区間の中から過去評価を表示する処理を行っていない過去単位区間を選択し、処理対象の過去単位区間とする。
次に、制御部20は、過去評価取得部21cの処理により、処理対象の過去単位区間の過去の評価情報を取得する(ステップS205)。すなわち、制御部20は、処理対象の過去単位区間の位置が対応付けられた評価情報30bを参照して過去の走行におけるランプ40aの点灯割合を取得する。次に、制御部20は、過去評価取得部21cの処理により、処理対象の過去単位区間の過去の走行におけるランプ40aの点灯割合が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS210)。ステップS210でランプ40aの点灯割合が所定の閾値以上であると判定された場合、制御部20は、過去評価取得部21cの処理により、処理対象の過去単位区間の過去評価を「良」に設定する(ステップS215)。また、ステップS210でランプ40aの点灯割合が所定の閾値以上であると判定されない場合、制御部20は、過去評価取得部21cの処理により、処理対象の過去単位区間の過去評価を「悪」に設定する(ステップS220)。なお、ランプ40aの点灯割合と比較される所定の閾値は上述の診断難易度に応じて設定され、診断難易度が高いほど大きい値となる。従って、診断難易度が高いほど、過去評価が「良」とされにくくなる。
次に、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、処理対象の過去単位区間の過去評価を表示位置に表示する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、処理対象の過去単位区間の過去評価に対応したアイコンを当該過去単位区間における過去評価の表示位置に描画するための信号をユーザI/F部44の表示部に対して出力する。この結果、ユーザI/F部44の表示部は、処理対象の過去単位区間の過去評価に対応したアイコンを表示する。なお、本実施形態において、過去評価の表示位置は、過去単位区間の端点と所定の関係のなるような位置(すなわち、過去単位区間内での固定的な位置)に予め決められていれば良く、本実施形態においては、過去単位区間の中央位置(過去単位区間の一方の端点から過去評価の表示位置までの距離と過去単位区間の全長との比が50%となる位置)である。この構成により、過去評価の表示間隔を一定にすることができる。図5Cには、過去単位区間Zp1〜Zp3のそれぞれにおいて当該中央位置に破線にて過去評価が表示されている例を示している。
次に、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、表示対象とされた過去評価の全てを表示済であるか否かを判定する(ステップS230)。ステップS230にて、表示対象とされた過去評価の全てを表示済であると判定されない場合、ステップS200以降の処理を繰り返す。一方、ステップS230にて表示対象とされた過去評価の全てを表示済であると判定された場合、ステップS235以降で今回評価を表示するための処理を行う。表示対象とされた過去評価の全てを表示した時点では、図5Aに示す実線のアイコンEtg,Etb(今回評価を示すアイコン)は表示されておらず、破線で示すアイコンEpg,Epb(過去評価を示すアイコン)が表示された状態となる。
ステップS235〜S265は今回評価を地図上に表示するためのループ処理であり、制御部20は、地図表示制御部21aおよび今回評価取得部21bの処理により、まず、処理対象の今回単位区間を選択する(ステップS235)。すなわち、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、ユーザI/F部44の表示部に表示されている地図の範囲を特定する。さらに、制御部20は、今回評価取得部21bの処理により、今回の走行の過程で記録媒体に記録された評価情報30bに対応付けられた一定距離の区間の位置からユーザI/F部44の表示部に表示されている地図の範囲に含まれる区間の位置を今回単位区間として特定し、特定された今回単位区間の今回評価を表示対象とする。そして、特定された今回単位区間の中から今回評価を表示する処理を行っていない今回単位区間を選択し、処理対象の今回単位区間とする。
次に、制御部20は、今回評価取得部21bの処理により、処理対象の今回単位区間の今回の評価情報を取得する(ステップS240)。すなわち、制御部20は、処理対象の今回単位区間の位置が対応付けられた評価情報30bを参照して今回の走行におけるランプ40aの点灯割合を取得する。次に、制御部20は、今回評価取得部21bの処理により、処理対象の今回単位区間の今回の走行におけるランプ40aの点灯割合が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS245)。ステップS245でランプ40aの点灯割合が所定の閾値以上であると判定された場合、制御部20は、今回評価取得部21bの処理により、処理対象の今回単位区間の今回評価を「良」に設定する(ステップS250)。また、ステップS245でランプ40aの点灯割合が所定の閾値以上であると判定されない場合、制御部20は、今回評価取得部21bの処理により、処理対象の今回単位区間の今回評価を「悪」に設定する(ステップS255)。なお、ランプ40aの点灯割合と比較される所定の閾値はステップS210における所定の閾値と同一である。
次に、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、処理対象の今回単位区間の今回評価を表示位置に表示する(ステップS260)。すなわち、制御部20は、処理対象の今回単位区間の今回評価に対応したアイコンを当該今回単位区間における今回評価の表示位置に描画するための信号をユーザI/F部44の表示部に対して出力する。この結果、ユーザI/F部44の表示部は、処理対象の今回単位区間の今回評価に対応したアイコンを表示する。
なお、本実施形態において、今回評価の表示位置は変動し得る。すなわち、出発地からの走行開始直後において今回評価の表示位置はデフォルト位置であり、当該デフォルト位置は今回単位区間の中央位置である。例えば、図5Cに示す例のように、今回単位区間Z01〜Z03のそれぞれにおいて、黒丸で示す端点から等距離にある中央位置がデフォルトでの今回評価の表示位置となる。
一方、今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とのずれを測定する測定区間は後述する処理によって予め設定されており、ある測定区間において両表示位置のずれが検出された場合、制御部20は、後述する処理により、ずれが検出された測定区間である検出区間から当該検出区間の次に到達することが予測される測定区間(隣接区間)までの区間に存在するN個の今回単位区間においてずれを修正する。例えば、図5Dに示す例のように、検出区間Z1と隣接区間Z2との間に存在するN個の今回単位区間Z11〜Z1Nを車両が走行する過程において、表示位置のずれが、ずれL11〜L1(N-1)のように徐々に逓減するように修正する。
そして、このような修正を実現するため、本実施形態においては、事前に表示位置修正処理(詳細は後述)を実行しておき、修正が必要な場合には、図3に示す評価情報表示処理においてステップS260が実行される前にN個の今回単位区間毎の表示位置が予め決定されているように構成されている。なお、本実施形態においては、今回単位区間の一方の端点(例えば、車両が先に通過する端点)から今回評価の表示位置までの距離と今回単位区間の全長との比(≦1)によってN個の今回単位区間のそれぞれにおける表示位置が予め決定される。例えば、図5Cの今回単位区間Z01においては、端点Pから今回評価の表示位置までの距離がLtであり、今回単位区間Z01の全長はLaである。従って、今回単位区間Z01において、今回評価の表示位置はLt/Laと定義される。そこで、処理対象の今回単位区間が検出区間と隣接区間との間に存在する複数の今回単位区間のいずれかである場合、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、処理対象の今回単位区間について上述の比によって表現された修正後の表示位置を取得し、当該表示位置に今回評価を表示するための制御信号をユーザI/F部44の表示部に出力することになる。
なお、車両がN個目の今回単位区間Z11〜Z1Nを通過した後に隣接区間Z2に到達し、当該隣接区間Z2が測定区間となってずれの測定が行われた際にずれが検出されなければ、それ以後の今回評価の表示位置は、N個目の今回単位区間における修正後の表示位置となる。一方、N個目の今回単位区間を通過した後に車両が再び測定区間に到達しない場合、それ以後のN個の今回単位区間において表示位置の修正をキャンセルする処理を行う。すなわち、測定区間から隣接区間に到達するまでの間にずれを修正してずれが解消されるためには、車両が検出区間を通過した後、予定された経路(検出区間と隣接区間との間において過去評価が表示される経路)を走行して隣接区間に到達する必要がある。従って、車両が検出区間を通過した後に予定された経路以外の道路を走行すると、今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とのずれが、経路を走行していた場合におけるずれと異なってしまう。
そこで、N個目の今回単位区間を通過した後に車両が再び測定区間に到達しない場合には車両が予定された経路と異なる経路を走行したと見なし、ずれの修正をキャンセルする。すなわち、ずれが検出された検出区間を通過後にN個目の今回単位区間を通過し、さらにその後にN個の今回単位区間を走行する段階で表示位置を徐々に戻すように今回単位区間毎の今回評価の表示位置が予め決定する。そして、車両が表示位置を戻すためのN個の今回単位区間のいずれかを走行している場合、制御部20は、処理対象の今回単位区間について上述の比によって表現された修正キャンセル後の表示位置を取得し、当該表示位置に今回評価を表示するための制御信号をユーザI/F部44の表示部に出力する。この結果、車両が表示位置を戻すためのN個の今回単位区間を走行している過程で表示位置が徐々に戻ることになり、表示位置のずれの修正が失敗した場合に、今回評価の表示位置を急激に変化させることなく修正をキャンセルすることが可能である。以上の構成により、ずれを修正している過程およびずれの修正を戻している過程を除き、今回評価の表示間隔を一定にすることができる。
以上のように、処理対象の今回単位区間の今回評価を表示位置に表示すると、制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、表示対象とされた今回評価の全てを表示済であるか否かを判定する(ステップS265)。ステップS265にて、表示対象とされた今回評価の全てを表示済であると判定されない場合、ステップS235以降の処理を繰り返す。一方、ステップS265にて表示対象とされた今回評価の全てを表示済であると判定されると、制御部20は、評価情報表示処理を終了する。なお、本実施形態において、今回評価と過去評価とが重複する場合、重複する部分においては今回評価が表示される。従って、今回評価と過去評価とが重複する場合、図5Aや図5Dに示すように、今回評価を示すアイコンの脇に過去評価を示すアイコンが表示された状態となる。
(4)表示位置修正処理:
本実施形態においては、ステップS260において地図上に今回評価を表示するための処理を行う以前に今回評価の表示位置を予め決定しておくように構成されており、当該表示位置は、図4Aに示す測定区間設定処理と図4Bに示す表示位置修正処理を経て決定される。すなわち、本実施形態にかかる制御部20は、地図表示制御部21aの処理により、図4Aに示す測定区間設定処理を一定期間毎(例えば、100ms毎)に実行し、図4Bに示す表示位置修正処理を一定期間毎(例えば、100ms毎)に実行する。
測定区間設定処理において、制御部20は、車両が所定距離を走行したか否かを判定する(ステップS300)。すなわち、制御部20は、車両の現在位置を取得し、当該現在位置と基準位置との距離が所定距離以上であるか否かを判定する。なお、基準位置は、車両の走行が開始された後、初めて測定区間設定処理が実行された場合には車両の出発地が初期の基準位置とされる。一方、ステップS300において所定距離走行したと判定された場合には、当該判定が行われた後に車両が到達した交差点の位置が新たな基準位置に設定される。また、所定距離は、測定区間が最低限離れているべき距離として予め規定された距離であり、当該所定距離内で徐々に今回評価の表示位置を修正することにより、表示位置が急激に変化することによって運転者に違和感を与えることが防止できるような距離に設定されている。
ステップS300において、車両が所定距離を走行したと判定されない場合、ステップS305,S310はスキップされる。一方、ステップS300において、車両が所定距離を走行したと判定された場合、制御部20は、車両が交差点を通過したか否かを判定する(ステップS305)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、ステップS300において、所定距離を走行したと判定された時点での車両の現在位置より前方に存在する交差点の位置(ノードの位置)を特定する。さらに、制御部20は、車両の現在位置と当該交差点の位置とを比較し、当該交差点の位置が車両の現在位置よりも後方となった場合に交差点を通過したと判定する。
ステップS305にて、車両が交差点を通過したと判定された場合、制御部20は、通過した交差点を端点とするリンクを測定区間に設定し、進行方向とともに記録する(ステップS310)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、通過した交差点を示すノードが端点となっているリンクが示す道路区間であって車両が既に通過した道路区間を測定区間とする。また、制御部20は、測定区間に対して車両が進入した進入方向を示す情報(例えば、先に通過した端点等)を特定する。そして、制御部20は、地図情報30aにおいて当該リンクを示すリンクデータに対して測定区間であることを示す情報と当該測定区間への進入方向を示す情報とを対応付けて記録する。なお、当該処理が行われた場合、通過した交差点の位置が新たな基準位置となるように基準位置が変更される。
以上の処理は、一定期間毎に実行されるため、車両が所定距離の整数倍以上の距離を走行すると、所定距離以上離れた交差点に接続する測定区間が2個以上設定されることになる。図5Bは、複数の測定区間Zm1,Zm2と所定距離ΔZとの関係を示す図である。同図5Bにおいて、道路R上を左から右に向けて車両が走行する過程で測定区間設定処理によって測定区間Zm1が設定された状態を想定する。この状態においては、測定区間Zm1が設定されると、当該測定区間Zm1が接続する交差点I1が新たな基準位置とされ、再び、一定期間毎に測定区間設定処理が実行される。従って、車両の走行が継続し、図5Bに示すように交差点I1以降において車両が所定距離ΔZを走行すると、当該所定距離ΔZの走行後に車両が通過する交差点I2に接続された車両が通過した道路区間Zm2が測定区間となる。このように、測定区間設定処理によれば、車両の走行とともに所定距離ΔZ以上離れた交差点を端点とした測定区間が順次設定される。
次に、表示位置修正処理を説明する。表示位置修正処理において、制御部20は、過去と同一の進入方向で測定区間に進入したか否かを判定する(ステップS400)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、車両の現在位置が存在する道路区間がステップS310によって測定区間であるか否かを判定する。測定区間である場合、制御部20は、車両の現在位置の時間変化に基づいて車両の進行方向を特定し、当該進行方向へ走行する車両が当該測定区間に進入する場合の進入方向を特定する。そして、制御部20は、当該特定された進入方向と、ステップS310において当該測定区間に対応付けられた進入方向とが一致する場合に、過去と同一の進入方向で測定区間に進入したと判定する。
例えば、過去の走行において図5Bに示す道路Rを左から右に走行した際に測定区間Zm1,Zm2が設定され、今回の走行において道路Rを左から右に走行した場合、今回の走行における測定区間Zm1への進入方向は、測定区間Zm1が設定された際の測定区間Zm1への車両の進入方向と同一である。従って、この場合には、過去と同一の進入方向で測定区間に進入したと判定される。
ステップS400において、過去と同一の進入方向で測定区間に進入したと判定されない場合、制御部20は、ステップS405以降の処理をスキップする。一方、ステップS400において、過去と同一の進入方向で測定区間に進入したと判定された場合、制御部20は、測定区間における今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とのずれを測定する(ステップS405)。本実施形態において、制御部20は、重複する距離が最も長い今回単位区間および過去単位区間における今回評価の表示位置と過去評価の表示位置を比較してずれを測定する。例えば、図5Cに示す測定区間Z1において、過去単位区間Zp1と今回単位区間Z01との重複距離は過去単位区間Zp1と今回単位区間Z02との重複距離よりも長いため、過去単位区間Zp1における今回評価の表示位置と今回単位区間Z01における表示位置とが比較される。
さらに、制御部20は、過去評価の表示位置をデフォルト位置である過去単位区間の中央位置であると見なす。例えば、図5Cに示す例において、過去単位区間Zp1における過去評価の表示位置は過去単位区間Zp1の中央位置とされる。一方、制御部20は、今回評価の表示位置を、今回単位区間の一方の端点から今回評価の表示位置までの距離と今回単位区間の全長との比によって特定する。例えば、図5Cに示す今回単位区間Z01について今回評価が表示されていた場合、その表示位置は比Lt/Laによって特定される。そこで、制御部20は、評価情報30bによって一定距離の区間の位置から過去単位区間Zp1の一方の端点Ppの位置を特定し、過去単位区間Zp1の中央位置と端点Ppの位置との関係から地図表示のために用いられる座標系(例えば、緯度および経度で位置が特定される座標系)で過去評価の表示位置を特定する。
また、制御部20は、評価情報30bによって一定距離の区間の位置から今回単位区間Z01の一方の端点Pの位置を特定し、比Lt/Laが示す位置と端点Ppの位置との関係から地図表示のために用いられる座標系で今回評価の表示位置を特定する。この結果、特定された過去評価の表示位置と今回評価の表示位置との距離が0より大きければ、当該距離がずれL1として特定される。なお、ずれの測定は車両の現在位置が測定区間に存在する過程において継続される。従って、図5Cに示す例のように測定区間Z1内にさらに今回単位区間Z02と今回単位区間Z03とが含まれる場合、今回単位区間Z02と今回単位区間Z03とについての表示位置のずれL2,L3がさらに特定され、ずれL1,L2,L3の平均値Laveがずれとして測定される。
本実施形態においては、以上のように、一定期間毎に図4Bに示す表示位置修正処理を実行し、ステップS400において過去と同一の進入方向で測定区間に進入したと判定された場合に、ステップS405にて測定区間におけるずれを測定する。従って、過去評価の表示対象となる道路上に設定されたリンクであって所定距離以上離れた交差点を端点としたリンクが示す測定区間を車両が走行するたびに今回評価の表示位置と過去評価の表示位置とのずれを測定するように構成されていることになる。
以上のようにしてずれが測定されると、制御部20は、ずれを検出したか否かを判定する(ステップS410)。すなわち、制御部20は、ステップS405において測定されたずれが0より大きい場合にはずれを検出したと判定する。ステップS410において、ずれを検出したと判定されない場合、ステップS415以降の処理はスキップされる。
一方、ステップS410において、ずれを検出したと判定された場合、制御部20は、ずれが測定された測定区間である検出区間に隣接する隣接区間を特定する(ステップS415)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、車両の前方(走行予定経路が設定されている場合には走行予定経路上)に設定された測定区間のうち、車両の現在位置に最も近い測定区間を隣接区間として特定する。例えば、図5Bに示す道路を左から右に向けて走行している過程において測定区間Zm1が検出区間となった場合、測定区間Zm2が隣接区間として特定される。
次に、制御部20は、検出区間と隣接区間との間に存在する今回単位区間の数Nを取得する(ステップS420)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、検出区間の位置と隣接区間の位置を特定する。また、制御部20は、検出区間の位置と隣接区間の位置の間に存在する道路上に検出区間内の今回単位区間の端点から一定距離毎の位置を特定する処理を隣接区間に達するまで順次繰り返し、得られた端点に挟まれた区間を今回単位区間とする。この処理により、例えば、図5Dに示すように検出区間Z1と隣接区間Z2との間に存在する複数の今回単位区間Z11〜Z1Nの位置が特定される。そして、制御部20は、得られた今回単位区間の数をカウントすることによって検出区間と隣接区間との間に存在する今回単位区間の数Nを特定する。
次に、制御部20は、今回単位区間毎の修正後の表示位置を取得する(ステップS425)。本実施形態においては、N個の今回単位区間のそれぞれにおいて一定の修正量で表示位置を修正することによってN個の今回単位区間において表示位置をN回修正する構成としている。そこで、制御部20は、ステップS405において測定されたずれをNで除することによって一回当たりのずれの修正量を特定し、今回単位区間の表示位置を示す比に対して当該一回当たりのずれの修正量だけ表示位置が修正されるように修正を行ってN個の今回単位区間のそれぞれにおける表示位置を特定する。例えば、ステップS405において測定されたずれがΔLである場合、一回当たりのずれの修正量はΔL/Nであり、当該修正量だけ修正を行うために必要な比の変化量はΔL/(N×La)となる。
従って、例えば、図5Dに示すように検出区間Z1の次に存在する今回単位区間Z11においては、修正後の表示位置を示す比が(Lt/La)+ΔL/(N×La)と設定される。以後、今回単位区間Z12・・・Z1(N-1),Z1Nとのそれぞれに対して比をΔL/(N×La)だけ増加させるようにして、表示位置を示す比が設定さえる。すなわち、今回単位区間Z12に対して修正後の表示位置を示す比が(Lt/La)+2×ΔL/(N×La)、今回単位区間Z1(N-1)に対して修正後の表示位置を示す比が(Lt/La)+(N−1)×ΔL/(N×La)、今回単位区間Z1Nに対して修正後の表示位置を示す比が(Lt/La)+ΔL/Laと設定される。すなわち、過去評価の表示位置と今回評価の表示位置との距離が逓減するように比を修正するように構成されている。なお、修正後の位置が一方の端点から遠ざかる場合にΔLの符号が正、近づく場合にΔLの符号が負に設定される。
以上のように今回単位区間毎の修正後の表示位置を取得する処理は、車両が測定区間を通過した直後には完了しており、この結果、図3に示す評価情報表示処理を実行する過程で車両がN個の今回単位区間のそれぞれに到達すると、各今回単位区間の今回評価を表示する表示位置が修正後の表示位置となる。従って、車両がN個の今回単位区間(所定距離以上離れた交差点間に設定される複数の今回単位区間)を走行する過程で表示位置のずれを徐々に修正することができる。
次に、制御部20は、N個の今回単位区間を通過後に隣接区間に到達したか否かを判定する(ステップS430)。すなわち、制御部20は、車両の現在位置と地図情報30aとに基づいて、ステップS400にて進入したと判定された測定区間を通過した後、N個の今回単位区間を通過して隣接区間に到達したか否かを判定する。ステップS430において、N個の今回単位区間を通過後に隣接区間に到達したと判定された場合、表示位置のずれが解消したと見なして表示位置修正処理を終了する。
一方、ステップS430において、N個の今回単位区間を通過後に隣接区間に到達したと判定されない場合、制御部20は、今回単位区間毎の修正キャンセル後の表示位置を取得する(ステップS435)。すなわち、ステップS430において、N個の今回単位区間を通過後に隣接区間に到達したと判定されない場合、測定区間と隣接区間との間において過去評価が表示される経路と異なる経路を車両が走行した可能性が高い。そこで、本実施形態においては、さらにN個の今回単位区間を走行する過程で、ステップS425での修正を徐々に戻す構成を採用している。
そこで、制御部20は、ステップS425における修正と逆の修正を順次行う。例えば、ステップS425において、図5Dに示すように今回単位区間Z1Nにおける修正後の表示位置を示す比が(Lt/La)+ΔL/(N×La)と設定され、以後、今回単位区間Z12に対して修正後の表示位置を示す比が(Lt/La)+2×ΔL/(N×La)、今回単位区間Z1(N-1)に対して修正後の表示位置を示す比が(Lt/La)+(N−1)×ΔL/(N×La)、今回単位区間Z1Nに対して修正後の表示位置を示す比が(Lt/La)+ΔL/Laと設定された場合を想定する。
この場合、検出区間から数えてN+1個目の今回単位区間における修正キャンセル後の表示位置を示す比を(Lt/La)+ΔL/La−ΔL/(N×La)に設定し、以後の今回単位区間に対して修正キャンセル後の表示位置を示す比が(Lt/La)+ΔL/La−2×ΔL/(N×La),,,,(Lt/La)+ΔL/La−(N−1)×ΔL/(N×La),(Lt/La)と設定される。以上の処理を行った後、制御部20は表示位置修正処理を終了する。以上のように今回単位区間毎の修正キャンセル後の表示位置を取得する処理も、車両が検出区間から数えてN個目の今回単位区間を通過した直後には完了しており、この結果、図3に示す評価情報表示処理を実行する過程で車両がN+1個目以降のN個の今回単位区間のそれぞれに到達すると、各今回単位区間の今回評価を表示する表示位置が修正キャンセル後の表示位置となる。
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、単位区間毎の今回評価と過去評価とを併せて表示するとともに、両者の表示位置にずれが発生した場合に車両の走行過程において当該ずれを徐々に修正する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、今回評価や過去評価は、車両に搭載されていない装置、例えば、情報管理センターから取得しても良い。むろん、ナビゲーション端末10は、車両に固定的に搭載されていても良いし、持ち運び可能なナビゲーション端末10が車両内に持ち込まれて利用される態様であっても良い。
さらに、上述の車両は内燃機関によって駆動される車両であるが、適用対象の車両はこのような車両に限定されず、ハイブリッド車や電気自動車にて今回評価と過去評価とを地図に表示する構成であっても良い。
さらに、燃費の評価は、複数の要素の組み合わせに対する条件によって評価されても良いし、単一の要素(例えば、燃費の値)に対する条件によって評価されても良い。また、液体燃料とバッテリーとを使用して駆動されるハイブリッド車においては、同一距離を走行するための単価が安い動力源のみで走行している場合に燃費が良いと判断されても良い。例えば、バッテリーで車両を駆動した方が液体燃料よりも安く同一距離を走行できる場合、液体燃料を使用せずバッテリーを使用して駆動される状態の燃費が良いと判断される構成を採用可能である。むろん、当該燃費の評価に加えてハイブリッド走行時の燃費の評価を行っても良い。さらに、燃費は、上述の実施形態のように2段階で評価されても良いし3段階以上で評価されても良い。
さらに、燃費の評価は、燃費を変化させるための指針となる情報であれば良く、燃費の値を示す情報(例えば、今回単位区間および過去単位区間内の平均値を示す情報)であっても良いし、基準の燃費と今回の燃費とを比較した結果を示す情報(例えば、基準燃費との相対関係を示す情報)であっても良い。
さらに、出発地や目的地は、上述の構成のように運転者が明示的に目的地を指示した時点で決定される構成の他、種々の構成を採用可能である。例えば、車両の動作状態に基づいて車両が出発したと判定される地点や到着したと判定される地点を出発地や目的地とする構成を採用しても良い。さらに、今回の目的地を、例えば、今回の走行の経路や過去の走行履歴等に基づいて推定しても良い。
さらに、上述の実施形態においては、今回の走行における出発地および目的地と同一の出発地から同一の目的地まで過去に走行した場合にその走行区間を過去評価の表示対象としたが、他の規則によって過去評価の表示対象区間を決定しても良い。すなわち、地図に表示されている今回よりも過去の走行区間のうち、今回評価と対比すべき区間を過去評価の表示対象区間とし、当該表示対象区間についての過去単位区間毎の燃費の評価を過去評価とすればよい。そして、過去評価の表示対象区間は、過去評価の情報が存在する区間の全てであっても良いし、一部であっても良い。例えば、現在位置周辺において、過去評価を特定可能な情報がある過去単位区間の全てあるいは一部の区間における過去評価を表示する構成としても良い。この構成において、現在位置までの今回の走行において総燃料消費量が多く、運転者が今後の走行で燃料消費量を抑制したいと考える場合、過去の走行で総燃料消費量が抑制されている傾向であった区間を走行するように経路を選択すれば、燃料消費を抑制可能であると推定することができる。
同様に、出発地から目的地までの走行を今回の走行とする構成以外にも、種々の態様によって今回の走行を定義することができる。すなわち、今回の走行区間の始点は特に限定されず、現在位置まで連続的に走行した場合において当該連続的な走行の開始地点を今回の走行区間の始点としても良いし、走行日が異なるなど非連続な走行が行われた場合において現在位置よりも前に車両が存在した地点を区間の始点としても良い。すなわち、今回の走行と今回の走行よりも過去の走行とが区別されて対比できるように今回の走行区間が定義されていればよい。
さらに、今回単位区間および過去単位区間は、燃費に関する評価の結論を導くための区間であればよく、一定距離の区間を今回単位区間および過去単位区間とする構成の他、所定の規則によって決められた区間を今回単位区間および過去単位区間としても良い。例えば、地図情報が示す最も近いノード同士を端点とする一つのリンクを一つの今回単位区間および過去単位区間とする構成等を採用可能である。
さらに、上述の実施形態においては、車両がN個の今回単位区間を走行する過程でずれを修正する構成としていたが、車両が所定距離を走行する過程でずれを修正する構成であっても良い。さらに、今回評価の表示位置の修正は、上述のように表示位置自体を変化させることによって行われても良いし、今回単位区間内の特定の位置に今回評価を表示するとともに今回単位区間の位置を変化させる構成であっても良い。さらに、表示位置を複数回にわたって修正する際に、複数回の修正のそれぞれにおいて修正量は一定であっても良いし、変化しても良い。さらに、上述の実施形態においては、測定区間において測定された複数のずれの平均値Laveを表示位置のずれとしていたが、測定区間において表示位置のずれを一回測定して表示位置のずれとして取得する構成であっても良い。