JP5473898B2 - 樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物およびその用途に関する。詳しくは本発明は、汎用エンジニアリングプラスチック、ポリプロピレン系樹脂および特定の変性プロピレン系樹脂を含有する、自動車部品、家電部品などの成形体に成形可能な樹脂組成物およびその用途に関する。
ポリアミドは、耐熱性、耐薬品性などに優れるため、エンジニアリングプラスチックとして汎用されている。しかし、ポリアミドは吸水性が高いため、吸水により弾性率が低下し、また寸法安定性が悪化するという欠点を有する。
このようなポリアミドの欠点を補うために、吸水性が低く、耐熱性にも優れる非極性の樹脂であるポリプロピレンを、ポリアミドとブレンドすることが従来行われている。しかし、両者を単に混練等により混合しただけでは互いに混ざらないため、相溶化剤が用いられている。
例えば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリプロピレンおよび/またはビニル芳香族化合物とオレフィンとの共重合体に酸無水物基を導入した変性重合体および酸無水物基を含有する液状のオレフィン系オリゴマーまたはビニル芳香族化合物とオレフィンとの共重合オリゴマーを含有するポリアミド組成物を成形した自動車用コネクターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、ポリアミドとポリプロピレンに、変性したプロピレン系樹脂およびオリゴマーを加えることにより、得られるポリアミド組成物の耐熱性、寸法安定性が向上することが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載のポリアミド組成物においては、酸無水物基を含有するオリゴマーが必須の成分として含まれているため、前記ポリアミド組成物には強度等の観点から改善の余地がある。
また、少なくとも、ポリプロピレン単独重合体および/またはポリプロピレン共重合体とポリアミドと、オレフィン性不飽和カルボン酸および/またはオレフィン性不飽和カルボン酸誘導体とを含む熱可塑性ポリプロピレン‐ポリアミド成形材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2には、前記熱可塑性ポリプロピレン‐ポリアミド成形材料は、高い靭性、剛性および熱成形安定性を有することが記載されている。しかし、特許文献2に記載されている熱可塑性ポリプロピレン‐ポリアミド成形材料は、ポリプロピレンとポリアミドとの相溶性の観点から改善の余地がある。
さらにポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂および変性ポリオレフィン樹脂を含むポリアミド/ポリオレフィン樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3には、前記ポリアミド/ポリオレフィン樹脂組成物は、耐衝撃性、ウエルド強度に優れることが記載されている。特許文献3に記載の変性ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂との混合物に酸無水物を付加させて得られる樹脂であり、該樹脂には、ポリアミド樹脂とポリプロピレン樹脂との相溶性が不足していることから、外観や引張伸び等の観点から改善の余地がある。
特開平1−311580号公報 特開平3−109452号公報 特開平4−252264号公報
本発明は、汎用エンジニアリングプラスチックとポリプロピレン系樹脂との相溶化剤として特定の変性プロピレン系樹脂を用いることにより、汎用エンジニアリングプラスチックやプロピレン系樹脂の有する物性を損なうことなく、引張強度および耐衝撃性に優れ、かつ外観に優れる樹脂組成物およびその用途を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、下記特定の変性プロピレン系樹脂を相溶化剤として用いることにより、前記課題を解決することができることを見出し本発明を完成させた。
すなわち本発明の樹脂組成物は、
(A)汎用エンジニアリングプラスチック20〜80重量%、(B)ポリプロピレン系樹脂10〜50重量%および(C)変性プロピレン系樹脂1〜30重量%(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)を含み、
前記(C)変性プロピレン系樹脂が、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であるポリプロピレン(C−1)0〜40重量%、およびDSCにより測定される融点(Tm)が120℃未満またはDSCにより融点ピークが観測されないプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−2)60〜100重量%(ただし、前記(C−1)および(C−2)の合計を100重量%とする)を含む樹脂組成物(C−3)を変性して得られる樹脂であることを特徴とする。
前記(A)汎用エンジニアリングプラスチックが、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記(B)ポリプロピレン系樹脂が、プロピレンホモポリマーまたはプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であることが好ましい。
前記プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(C−2)の融解熱量ΔHは、40J/gを超えることが好ましい。
前記プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(C−2)が、プロピレン・1−ブテン共重合体であることが好ましく、
(1)プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%および1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%含有し、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、
(3)示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が110℃以下であるかまたはDSCにより融点ピークが観測されないことがより好ましく、さらに、
(4)示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)(℃)と1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)(モル%)との関係が
−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155であることが特に好ましい。
前記(C)変性プロピレン系樹脂が、前記樹脂組成物(C−3)が不飽和カルボン酸またはその誘導体によりグラフト変性されたものであることが好ましい。
本発明には、前記樹脂組成物を成形して得られる成形体が含まれる。
前記成形体は、自動車部品または家電部品であることが好ましい。
さらに本発明には、(A)汎用エンジニアリングプラスチック20〜80重量%および(B)ポリプロピレン系樹脂10〜50重量%の相溶化剤として、
示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であるポリプロピレン(C−1)0〜40重量%、およびDSCにより測定される融点(Tm)が120℃未満またはDSCにより融点ピークが観測されないプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−2)60〜100重量%(ただし、前記(C−1)および(C−2)の合計を100重量%とする)を含む樹脂組成物(C−3)を変性して得られる、
(C)変性プロピレン系樹脂1〜30重量%を使用する方法(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)が含まれる。
本発明の樹脂組成物においては、相溶化剤として、(C)変性プロピレン系樹脂を用いることにより、(A)汎用エンジニアリングプラスチックと(B)ポリプロピレン系樹脂とが良好に相溶化されている。該樹脂組成物は引張強度および耐衝撃性に優れ、かつ外観に優れる。また本発明の樹脂組成物においては、(A)汎用エンジニアリングプラスチックおよび(B)ポリプロピレン系樹脂が本来有する物性、例えば低吸水性、耐熱性、耐薬品性、曲げ弾性が損なわれていない。このため該樹脂組成物は、自動車、家電などの成形体に成形可能である。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の樹脂組成物は、(A)汎用エンジニアリングプラスチック20〜80重量%、(B)ポリプロピレン系樹脂10〜50重量%および(C)変性プロピレン系樹脂1〜30重量%(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)を含み、前記(C)変性プロピレン系樹脂が、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であるポリプロピレン(C−1)0〜40重量%、およびDSCにより測定される融点(Tm)が120℃未満またはDSCにより融点ピークが観測されないプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−2)60〜100重量%(ただし、前記(C−1)および(C−2)の合計を100重量%とする)を含む樹脂組成物(C−3)を変性して得られる樹脂であることを特徴とする。
<(A)汎用エンジニアリングプラスチック>
本発明で用いられる汎用エンジニアリングプラスチックとしては、特に限定はないが、通常は、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。本発明においては、汎用エンジニアリングプラスチックは、一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
本発明に用いるポリアミドとしては、特に限定はなく、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミドいずれを用いてもよい。これらのポリアミドの中でも、市場から容易に入手することができ、且つ高い耐熱性を有するポリアミド6を用いることが好ましい。
本発明に用いるポリアミドは、例えば、ラクタム等の開環重合によって製造することができる。ラクタムとしては、ε‐カプロラクタムを用いると、前記開環重合によりポリアミド6が得られるため好ましい。
本発明に用いるポリアミドの別の製造方法としては、例えば炭素原子数4〜12のジカルボン酸と、炭素原子数2〜13のジアミンとを重縮合させることにより製造する方法が挙げられる。
ポリアミドを製造するのに使用される代表的なジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸などがあげられる。またこれらの誘導体、例えばエステル、酸塩化物またはアミン塩などを使用することもできる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
また、ポリアミドを製造するのに使用される代表的なジアミンとしては、p‐フェニレンジアミン、m‐フェニレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンおよびこれらの誘導体などがあげられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
前記ポリアミドの、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)は、通常175〜330℃であり、好ましくは210〜330℃である。前記範囲のポリアミドを含む本発明の樹脂組成物は耐熱性に優れるため好ましい。
本発明に用いる、ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコールと、テレフタル酸の共重合体であり、本発明には従来公知のポリエチレンテレフタレートを用いることができる。
前記ポリエチレンテレフタレートとしては、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が245〜255℃である市販のものを用いることができる。
本発明に用いる、ポリブチレンテレフタレートは、1,4−ブタンジオールと、テレフタル酸との共重合体であり、本発明には従来公知のポリブチレンテレフタレートを用いることができる。
前記ポリブチレンテレフタレートとしては、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が225〜230℃である市販のものを用いることができる。
<(B)ポリプロピレン系樹脂>
本発明に用いられる(B)ポリプロピレン系樹脂に特に限定はないが、通常はその示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上、好ましくは120〜170℃、より好ましくは120〜160℃、特に好ましくは130〜155℃である。
前記(B)ポリプロピレン系樹脂としては、結晶性を有し、アイソタクチック・インデックスI.I.(沸騰n−ヘプタン不溶成分)が、好ましくは75重量%以上、より好ましくは75〜99重量%のポリプロピレンを用いることが望ましい。
また、(B)ポリプロピレン系樹脂の密度は、通常890〜920kg/m3、メルトフローレート(ASTM D1238、温度230℃)が、通常0.1〜20g/10分、好ましくは1〜10g/10分である。メルトフローレートが1g/10分以上であると、本発明の樹脂組成物が溶融成形時の成形性に優れ、また10g/10分以下であると前記樹脂組成物において強度が損なわれることがないため好ましい。
前記(B)ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンホモポリマーまたは、プロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。前記(B)ポリプロピレン系樹脂がプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体である場合には、共重合体中、炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンから導かれる構成単位が、通常は10モル%以下、好ましくは5モル%未満である。
該α−オレフィンとしては、具体的に、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。なお、これらは一種でも二種以上でもよい。
また、上記共重合体は、ランダムポリプロピレンでもよく、ブロックポリプロピレンでもよいが、ランダムポリプロピレンがより好ましい。
このような(B)ポリプロピレン系樹脂は、固体状チタン触媒(チーグラー触媒)成分またはメタロセン化合物触媒成分を用いて製造することができる。また、(B)ポリプロピレン系樹脂として、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、「プライムポリプロ F113G」(商品名;プライムポリマー(株)製)、「プライムポリプロ CJ700」(商品名;プライムポリマー(株)製)が挙げられる。
<(C)変性プロピレン系樹脂>
本発明に用いる(C)変性プロピレン系樹脂は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であるポリプロピレン(C−1)0〜40重量%、およびDSCにより測定される融点(Tm)が120℃未満またはDSCにより融点ピークが観測されないプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−2)60〜100重量%を含む樹脂組成物(C−3)を変性して得られる樹脂である。
((C−1)ポリプロピレン)
前記(C−1)ポリプロピレンとしては、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であることが必須の条件であることを除いて、前記(B)ポリプロピレン系樹脂で記載したポリプロピレン系樹脂を用いることができる。
((C−2)プロピレンとα−オレフィンとの共重合体)
前記プロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−2)(以下プロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)とも記す)には、DSCにより測定される融点(Tm)が120℃未満またはDSCにより融点ピークが観測されないことを除いて特に限定は無く、該共重合体(C−2)として種々の共重合体を用いることができる。
前記炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらのうち、経済性、ポリプロピレンとの相溶性の点で、1−ブテンが好ましい。すなわちプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)は、プロピレン・1−ブテン共重合体であることが好ましい。
また前記プロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)の融解熱量(ΔH)は、好ましくは40J/gを超え、更に好ましくは41J/g以上、特に好ましくは46J/g以上であり、好ましくは70J/g以下、更に好ましくは60J/g以下、特に好ましくは50J/g以下である。
前記プロピレン・1−ブテン共重合体は、下記要件(1)〜(3)を満たすことが好ましく、さらに下記要件(4)を満たすことがより好ましい。
(1)プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%および1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%含有する。
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下である。
(3)示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が110℃以下であるかまたはDSCにより融点ピークが観測されない。
(4)示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)(℃)と1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)(モル%)との関係が−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155である。
以下各要件について説明する。
[要件(1)]
要件(1)は、プロピレン・1−ブテン共重合体が、プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%、好ましくは55〜93モル%、より好ましくは60〜90モル%、特に好ましくは60〜79モル%の量で、1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%、好ましくは7〜45モル%、より好ましくは10〜40モル%、特に好ましくは21〜40モル%の量で含有するとするものである。
1−ブテンから導かれる構成単位が5モル%以上であると、(A)汎用エンジニアリングプラスチックと(B)ポリプロピレン系樹脂とを良好に相溶化することができ、引張強度、耐衝撃性、及び外観に優れる樹脂組成物を得ることができ、50モル%以下であると本発明の樹脂組成物を製造する際のハンドリング性に優れることから好ましい。
また、プロピレン・1−ブテン共重合体は、プロピレンおよび1−ブテン以外のα−オレフィンから導かれる構成単位を、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、10モル%以下の量で含んでもよい。
[要件(2)]
要件(2)は、プロピレン・1−ブテン共重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる、分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5であるとするものである。ポリプロピレン換算のMw/Mnが上記範囲内であると、プロピレン・1−ブテン共重合体における低分子量成分の含有量を少なくできる。
なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mnの測定は、後述する実施例に記載の条件で実施することができる。
[要件(3)]
要件(3)は、プロピレン・1−ブテン共重合体の示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が110℃以下であるかまたはDSCにより融点ピークが観測されず、好ましくは融点が50〜110℃、より好ましくは60〜100℃、さらに好ましくは65〜90℃、特に好ましくは76〜90℃であるとするものである。
融点(Tm)が50℃以上であると、本発明の樹脂組成物を製造する際のハンドリング性に優れ、110℃以下であると、(A)汎用エンジニアリングプラスチックと(B)ポリプロピレン系樹脂とを良好に相溶化することができ、引張強度、耐衝撃性、及び外観に優れる樹脂組成物を得ることができることから特に好ましい。
なお、融点は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて、試料約5mgをアルミパンに詰めて200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、10℃/分で−40℃まで冷却し、−40℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めることができる。
プロピレン・1−ブテン共重合体は、さらに下記要件(4)を満たすことが好ましく、要件(5)〜(8)のいずれかを満たすことがより好ましい。
[要件(4)]
要件(4)は、プロピレン・1−ブテン共重合体の、示差走査型熱量計で測定される融点(Tm)(℃)と1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)(モル%)とが
−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155
で表される関係式を満たすとするものである。
融点(Tm)が前記範囲内であり、前記式を満たすと、本発明の樹脂組成物を製造する際のハンドリング性と、(A)汎用エンジニアリングプラスチックと(B)ポリプロピレン系樹脂との相溶化効果とのバランスに優れるため好ましい。
[要件(5)]
要件(5)は、プロピレン・1−ブテン共重合体の、ASTM D1238に準拠して、温度230℃、2.16kg荷重で測定して得られるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは1〜20g/10分であるとするものである。MFRが0.01g/10分以上であると、本発明の樹脂組成物の溶融成形時の成形性が良好であり、MFRが1000g/10分以下であると、前記樹脂組成物の機械物性が損なわれることがなく好ましい。
[要件(6)]
要件(6)は、プロピレン・1−ブテン共重合体の、共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値が1.0〜1.5、好ましくは1.0〜1.3、より好ましくは1.0〜1.2であるとするものである。
B値が上記範囲内であると、プロピレンと1−ブテンとが、より均一に共重合しており、(A)汎用エンジニアリングプラスチックと(B)ポリプロピレン系樹脂とを良好に相溶化することができるため好ましい。
上記パラメータB値は、コールマン等(B.D.Cole−man and T.G.Fox, J. Polym.Sci., Al,3183(1963))により提案されており、以下のように定義される。
B=P12/(2P1・P2
式中、P1およびP2は、それぞれ第1モノマー、第2モノマー含量分率であり、P12は全二分子中連鎖中の(第1モノマー)−(第2モノマー)連鎖の割合である。なお、このB値は、1のときベルヌ−イ統計に従い、B<1のとき共重合体はブロック的であり、B>1のとき交互的である。
[要件(7)]
要件(7)は、プロピレン・1−ブテン共重合体の、X線回折法により測定される結晶化度(C)[%]と1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)[モル%]との関係が、C≧−1.5M+75を満たすとするものである。
プロピレン・1−ブテン共重合体の結晶化度(C)は、通常65%以下、好ましくは15〜65%、より好ましくは20〜60%である。結晶化度(C)が15%以上であると、本発明の樹脂組成物を製造する際のハンドリング性に優れ、一方、結晶化度が65%以下であると、(A)汎用エンジニアリングプラスチックと(B)ポリプロピレン系樹脂とを良好に相溶化することができ、引張強度、耐衝撃性、及び外観に優れる樹脂組成物を得ることができることから好ましい。
[要件(8)]
要件(8)は、プロピレン・1−ブテン共重合体が、(i)頭−尾結合したプロピレンから導かれる構成単位3連鎖、または(ii)頭−尾結合したプロピレンから導かれる構成単位とブテンから導かれる構成単位とからなり、かつ第2単位目にプロピレンから導かれる構成単位を含むプロピレン・ブテン3連鎖を、3連鎖中の第2単位目のプロピレンから導かれる構成単位の側鎖メチル基について、13C−NMRスペクトル(ヘキサクロロブタジエン溶液、テトラメチルシランを基準)で測定したとき、19.5〜21.9ppmに表れるピ−クの全面積を100%とした場合に、21.0〜21.9ppmに表れるピ−クの面積が90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上であるとするものである。このようなピ−ク面積が上記範囲内であると、立体規則性が低い低融点成分の含有量を少なくできる。
本発明に係るプロピレン・1−ブテン共重合体の立体規則性は、トリアドタクティシティ(mm分率)によって評価することができる。
例えば、プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体において、このmm分率は、ポリマー鎖中に存在する3個の頭−尾結合したプロピレン単位連鎖を表面ジグザグ構造で表したとき、そのメチル基の分岐方向が同一である割合として定義され、下記のように13C−NMRスペクトルから求められる。
このmm分率を13C−NMRスペクトルから求める際には、具体的にポリマー鎖中に存在するプロピレン単位を含む3連鎖として、 (i)頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖、および (ii)頭−尾結合したプロピレン単位とα−オレフィン単位とからなりかつ第2単位目がプロピレン単位であるプロピレン単位・α−オレフィン単位3連鎖について、mm分率が測定される。
これら3連鎖(i)および(ii)中の第2単位目(プロピレン単位)の側鎖メチル基のピーク強度からmm分率が求められる。以下に詳細に説明する。
プロピレン・1−ブテン共重合体の13C−NMRスペクトルは、サンプル管中でプロピレン・1−ブテン共重合体をロック溶媒として少量の重水素化ベンゼンを含むヘキサクロロブタジエンに完全に溶解させた後、120℃においてプロトン完全デカップリング法により測定される。測定条件は、フリップアングルを45゜とし、パルス間隔を3.4T1以上(T1はメチル基のスピン格子緩和時間のうち最長の値)とする。メチレン基およびメチン基のT1は、メチル基のそれより短いので、この条件では試料中のすべての炭素の磁化の回復は99%以上である。ケミカルシフトは、テトラメチルシランを基準として頭−尾結合したプロピレン単位5連鎖(mmmm)の第3単位目のメチル基炭素ピークを21.593ppmとして、他の炭素ピークはこれを基準とする。
このように測定されたプロピレン・1−ブテン共重合体の13C−NMRスペクトルのうち、プロピレン単位の側鎖メチル基が観測されるメチル炭素領域(約19.5〜21.9ppm)は、 第1ピーク領域(約21.0〜21.9ppm)、 第2ピーク領域(約20.2〜21.0ppm)、 第3ピーク領域(約19.5〜20.2ppm)に分類される。
そしてこれら各領域内には、表1に示すような頭−尾結合した3分子連鎖(i)および(ii)中の第2単位目(プロピレン単位)の側鎖メチル基ピークが観測される。
Figure 0005473898
表1中、Pはプロピレンから導かれる単位、Bはブテンなどのα−オレフィンから導かれる単位を示す。
表1に示される頭−尾結合3連鎖(i)および(ii)のうち、(i)3連鎖がすべてプロピレン単位からなるPPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)についてメチル基の方向を下記に表面ジグザグ構造で図示するが、(ii)α−オレフィン単位を含む3連鎖(PPB、BPB)のmm、mr、rr結合は、このPPPに準ずる。
Figure 0005473898
第1領域では、mm結合したPPP、PPB、BPB3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。
第2領域では、mr結合したPPP、PPB、BPB3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基およびrr結合したPPB、BPB3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。
第3領域では、rr結合したPPP3連鎖の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。
したがってプロピレン系エラストマーのトリアドタクティシティ(mm分率)は、 (i)頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖、または (ii)頭−尾結合したプロピレン単位とα−オレフィン単位とからなり、かつ第2単位目にプロピレン単位を含むプロピレン・α−オレフィン3連鎖を、3連鎖中の第2単位目のプロピレン単位の側鎖メチル基について、13C−NMRスペクトル(ヘキサクロロブタジエン溶液、テトラメチルシランを基準)で測定したとき、 19.5〜21.9ppm(メチル炭素領域)に表れるピークの全面積を100%とした場合に、 21.0〜21.9ppm(第1領域)に表れるピークの面積の割合(百分率)として、下記式から求められる。
Figure 0005473898
本発明に係るプロピレン・1−ブテン共重合体は、このようにして求められるmm分率が通常90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上である。
メチル基Cに基づくピーク面積は、隣接するメチン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。メチル基Dに基づくピーク面積は、前記構造(iv)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3ppm付近および34.5ppm付近で共鳴で共鳴)のピーク面積の和の1/2より求めることができ、メチル基D'に基づくピーク面積は、前記構造(v)メチル基E'のメチル基の隣接メチン基に基づくピーク(33.3ppm付近で共鳴)の面積より求めることができる。メチル基Eに基づくピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.7ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、メチル基E'に基づくピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。
したがってこれらのピーク面積を第2領域および第3領域の全ピーク面積より差し引くことにより、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖(i)および(ii)に基づくメチル基のピーク面積を求めることができる。
以上により頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖(i)および(ii)に基づくメチル基のピーク面積を評価することができるので、上記式に従ってmm分率を求めることができる。なおスペクトル中の各炭素ピークは、文献(Polymer,30,1350(1989))を参考にして帰属することができる。
このようなプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)、好ましくはプロピレン・1−ブテン共重合体は、プロピレンと炭素数2または4〜10のα−オレフィン、好ましくは1−ブテンと、必要に応じて少量のその他のオレフィンとを、チーグラー触媒またはメタロセン化合物を含む触媒の存在下に共重合することにより好適に得ることができる。中でも、得られる樹脂組成物を成形する際のハンドリングの観点から、メタロセン化合物触媒成分を用いて前記共重合体(C−2)を製造することが好ましく、たとえばWO2004/087775号またはWO01/27124号公報に記載の方法で製造することができる。
より好ましくは、本発明に使用されるプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)は、下記一般式(1a)で表される遷移金属化合物(1a)を含む触媒の存在下に、プロピレンとα−オレフィンとを共重合して得られたものであることが望ましい。ここで、遷移金属化合物(1a)を含む触媒は、(2a)有機金属化合物、(2b)有機アルミニウムオキシ化合物および(2c)遷移金属化合物(1a)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、遷移金属化合物(1a)とともに含む触媒であることが望ましい。
Figure 0005473898
(式(1a)中、R1、R3は水素であり、R2、R4は炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は水素、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5からR12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。R13とR14はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。Mは第4族遷移金属であり、Yは炭素原子であり、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、jは1〜4の整数である。)
上述の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、アリル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基;ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基などの環状不飽和炭化水素基の置換した飽和炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基、ピリル基、チエニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基等を挙げることができる。
ケイ素含有基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。
また、R5からR12の隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。このような置換フルオレニル基としては、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基などを挙げることができる。
また、R13、R14はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(1a)において、シクロペンタジエニル環に置換するR2、R4は炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。中でも、R2はtert−ブチル基、アダマンチル基、トリフェニルメチル基のような嵩高い置換基であることがより好ましく、R4はメチル基、エチル基、n−プロピル基のようにR2より立体的に小さい置換基であることがより好ましい。ここでいう立体的に小さいとは、その置換基が占有する体積を指す。
前記一般式(1a)において、フルオレン環に置換するR5からR12のうち、R6、R7、R10、R11の任意の二つ以上は炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素 数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。特に配位子の合成上の容易さから、フルオレン環は左右対称、すなわちR6とR11およびR7とR10が同一の基であることが好ましい。このような好ましい様態の中には、R6とR7が脂肪族環(AR−1)を形成し、かつ、R10とR11が脂肪族環(AR−1)と同一な脂肪族環(AR−2)を形成している場合も含まれる。
前記一般式(1a)において、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環を架橋するYは炭素原子である。
前記一般式(1a)において、Mは第4族遷移金属であり、具体的にはTi、Zr、Hf等が挙げられる。また、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれる。jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよい。ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、炭化水素基の具体例としては前述と同様のものなどが挙げられる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシなどのアルコキシ基、アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基、メシレート、トシレートなどのスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類等が挙げられる。Qは少なくとも1つがハロゲンまたはアルキル基であることが好ましい。
このような遷移金属化合物(1a)としては、たとえばジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、 ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明に使用されるプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)を製造する際に好適に用いられる触媒は、上述の遷移金属化合物(1a)とともに、(2a)有機金属化合物、(2b)有機アルミニウムオキシ化合物および(2c)遷移金属化合物(1a)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。これらの(2a)、(2b)、(2c)の化合物には特に制限はないが、好ましくは、WO2004/087775号またはWO01/27124号公報に記載の化合物であり、その例として以下のものが挙げられる。
(2a)有機金属化合物としては、下記のような第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(2a−1)一般式:Ra mAl(ORbnpq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物。このような化合物の具体例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどを例示することができる。
(2a−2)一般式:M2AlRa 4
(式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。このような化合物としては、LiAl(C254、LiAl(C7154などを例示することができる。
(2a−3)一般式:Rab3
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
これらの有機金属化合物(2a)のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。また、このような有機金属化合物(2a)は、1種単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
(2b)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
2)ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお、上記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また、回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(2a−1)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同一の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
また、ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物としては、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。これらの有機アルミニウムオキシ化合物(2b)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
(2c)遷移金属化合物(1a)と反応してイオン対を形成する化合物としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号明細書などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。このような(2c)の化合物は、1種単独または2種以上組み合わせて用いられる。
本発明に使用されるプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)の製造においては、遷移金属化合物(1a)とともに、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(2b)を併用した触媒を用いると、特に高い重合活性で共重合体(C−2)が得られるため好ましい。
また、本発明に使用されるプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)の製造に用いる重合用触媒は、必要に応じて担体を用いたものであってもよく、その他の助触媒成分を含むものであってもよい。
このような触媒は、あらかじめ各成分を混合するか、または担体に担持させて調製してもよく、重合系に各成分を同時にまたは逐次に添加して用いてもよい。
本発明に使用されるプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)は、好適には、上述の触媒の存在下に、プロピレンと、炭素数2または4〜10のα−オレフィン、特に好ましくは1−ブテンと、必要に応じて少量のその他のオレフィンとを共重合して得られる。共重合に際し、各モノマーは、製造するプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)中の各構成単位量が所望の比率となる量で用いられればよく、具体的には、プロピレン/α−オレフィンのモル比で50/50〜95/5、好ましくは55/45〜93/7、より好ましくは60/40〜90/10の割合で用いることが望ましい。
共重合条件は、特に限定されるものではなく、たとえば、重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲、重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧とすることができる。また、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うことも可能である。プロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができ、触媒中の(2a)、(2b)または(2c)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量はモノマー1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
((C−3)樹脂組成物)
<樹脂組成物(C−3)>
本発明に使用される樹脂組成物(C−3)は、前記ポリプロピレン(C−1)0〜40重量%、および前記プロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)60〜100重量%を含む樹脂組成物である。
前記樹脂組成物(C−3)には、該樹脂組成物100重量%中、ポリプロピレン(C−1)が、0〜40重量%、好ましくは0〜35重量%、より好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは5〜30重量%含まれ、プロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)が、60〜100重量%、好ましくは65〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは70〜95重量%含まれる。前記樹脂組成物(C−3)の組成が上記範囲内であると、(A)汎用エンジニアリングプラスチック、(B)ポリプロピレン系樹脂、及び(C)変性プロピレン系樹脂を含む本発明の樹脂組成物の引張強度、耐衝撃性、及び外観が優れるとともに、樹脂組成物(C−3)を後述の押出機を用いて変性する際の連続生産性に優れることから好ましい。
本発明において、樹脂組成物(C−3)を調製するには、従来公知の任意の方法を採用することができ、例えば、V型ブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機により混合する方法、および/または押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の混練機により混練する方法を組み合わせて、あるいは単独で採用し、ポリプロピレン(C−1)とプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)とを混合すればよい。
混合して得られた樹脂組成物(C−3)は、一旦、押出機等を用いてペレット状ないし顆粒状などに調製した後に、変性を行い(C)変性プロピレン系樹脂を得てもよく、そのまま変性を行い、(C)変性プロピレン系樹脂を得てもよい。
本発明に用いる(C)変性プロピレン系樹脂は、前記樹脂組成物(C−3)を変性することにより得られる樹脂である。
前記樹脂組成物(C−3)の変性方法としては、通常は、前記樹脂組成物(C−3)に極性モノマーをグラフト反応させることにより行われる。
(極性モノマー)
前記変性に用いる極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体などが挙げられる。
水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル、10-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2-ブテン-1,4-ジオール、グリセリンモノアルコールなどが挙げられる。
アミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、下式で示されるようなアミノ基または置換アミノ基を少なくとも1種類有するビニル系単量体を挙げることができる。
Figure 0005473898
(式中、R1は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R2は、水素原子、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜8のシクロアルキル基である。なお上記のアルキル基、シクロアルキル基は、さらに置換基を有してもよい。)。
このようなアミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、たとえば(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類N-ビニルジエチルアミン、N-アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類アリルアミン、メタクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアリルアミン系誘導体アクリルアミド、N-メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体p-アミノスチレンなどのアミノスチレン類6-アミノヘキシルコハク酸イミド、2-アミノエチルコハク酸イミドなどが挙げられる。
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、1分子中に重合可能な不飽和結合およびエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーが用いられる。このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、たとえば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなど、マレイン酸のモノおよびジグリシジルエステル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、クロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノおよびグリシジルエステルなどのジカルボン酸モノおよびアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12)、p-スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などが挙げられる。また、その誘導体としては、たとえば酸無水物、酸ハライド、アミド、イミド、エステルなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどが挙げられる。
これらの中では、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましい。
前記極性モノマーとしては、市場から容易に入手することができ、且つ安価であることから不飽和カルボン酸またはその誘導体を用いることが好ましい。すなわち、本発明に使用される(C)変性プロピレン系樹脂は、前記樹脂組成物(C−3)が不飽和カルボン酸またはその誘導体によりグラフト変性されたものであることが好ましい。
((C)変性プロピレン系樹脂の調製)
本発明に用いる(C)変性プロピレン系樹脂は、ポリプロピレン(C−1)およびプロピレン・α−オレフィン共重合体(C−2)を含む樹脂組成物(C−3)を変性することにより得られるが、通常は、前記樹脂組成物(C−3)に極性モノマーをグラフト重合することにより調製される。
前記樹脂組成物(C−3)に、前記のような極性モノマーをグラフト重合させる際には、樹脂組成物(C−3)100重量%に対して、極性モノマーを通常0.1〜100重量%、好ましくは5〜80重量%の量で使用する。
このグラフト重合は、通常ラジカル開始剤の存在下に行なわれる。ラジカル開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などを用いることができる。
有機過酸化物としては、たとえばジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)バラレート、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイドおよび2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m-トルイルパーオキサイドなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、たとえばアゾイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチロニトリルなどが挙げられる。
ラジカル開始剤は、樹脂組成物(C−3)100重量%に対して、0.001〜10重量%程度の量で使用されることが望ましい。
ラジカル開始剤は、樹脂組成物(C−3)および極性モノマーとそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。この有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。たとえば前記有機溶媒として、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンなどの脂環族炭化水素系溶媒、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレンなどの塩素化炭化水素、メタノール、エタノール、n-プロピノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノールおよびtert-ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルおよびジメチルフタレートなどのエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒を用いることができる。
また樹脂組成物(C−3)に極性モノマーをグラフト重合させる際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、極性モノマーのグラフト量を向上させることができる。
還元性物質としては、鉄(II)イオン、クロムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、パラジウムイオン、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、さらには−SH、SO3H、−NHNH2、−COCH(OH)−などの基を含む化合物が挙げられる。
このような還元性物質としては、具体的には、塩化第一鉄、重クロム酸カリウム、塩化コバルト、ナフテン酸コバルト、塩化パラジウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルアニリン、ヒドラジン、エチルメルカプタン、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられる。
本発明では、還元性物質は、樹脂組成物(C−3)100重量%に対して、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の量で用いることができる。
樹脂組成物(C−3)の極性モノマーによるグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、たとえば樹脂組成物(C−3)を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることにより行うことができる。
上記の有機溶媒は、樹脂組成物(C−3)を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定されないが、たとえばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒などを前記有機溶媒として用いることができる。
また押出機などを用いて、無溶媒で、樹脂組成物(C−3)と極性モノマーとを反応させて、変性プロピレン系樹脂(C)を製造することもできる。
この反応は、樹脂組成物(C−3)の融点以上、具体的には120〜250℃の温度で、通常0.5〜10分間行なわれることが望ましい。
このようにして得られる変性プロピレン系樹脂(C)の変性量(極性モノマーのグラフト量)は、変性プロピレン系樹脂(C)100重量%当たり、通常0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%であることが望ましい。
前記のようにして調製される、(C)変性プロピレン系樹脂の、ASTM D1238に準拠して、温度230℃、2.16kg荷重で測定して得られるメルトフローレートは、通常は0.1〜2000g/10分であり、好ましくは1.0〜1000g/10分である。
また(C)変性プロピレン系樹脂の密度は、通常875〜900kg/m3であり、880〜895kg/m3であることが好ましい。
この(C)変性プロピレン系樹脂の、135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]は、通常は0.01〜6dl/g、好ましくは0.1〜5dl/gである。さらに(C)変性プロピレン系樹脂の融点は、通常は60〜160℃の範囲にあり、結晶化度は、通常は20〜60%、好ましくは30〜55%であることが望ましい。
<(A)汎用エンジニアリングプラスチック、(B)ポリプロピレン系樹脂および(C
)変性プロピレン系樹脂を含む樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、前記(A)汎用エンジニアリングプラスチック20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、(B)ポリプロピレン系樹脂10〜50重量%、好ましくは20〜45重量%および(C)変性プロピレン系樹脂1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%を含む(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)。
本発明の樹脂組成物は、前記(C)変性プロピレン系樹脂を相溶化剤として含むため、該樹脂組成物においては(A)汎用エンジニアリングプラスチックと(B)ポリプロピレン系樹脂とが良好に相溶化されており、前記樹脂組成物は、引張強度および耐衝撃性に優れ、かつ外観に優れる。また本発明の樹脂組成物においては、(A)汎用エンジニアリングプラスチックおよび(B)ポリプロピレン系樹脂が本来有する物性、例えば低吸水性、耐熱性、耐薬品性、曲げ弾性を損なわれていない。
本発明の樹脂組成物には、上記(A)汎用エンジニアリングプラスチック、(B)ポリプロピレン系樹脂および(C)変性プロピレン系樹脂以外に、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、抗ブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤などの添加剤が含まれていてもよい。
このような添加剤は、上記(A)、(B)および(C)の合計100重量%に対して、通常は0.01〜1重量%、好ましくは0.02〜0.6重量%の範囲で含まれる。
本発明の樹脂組成物の調製方法としては特に限定はなく、従来公知の任意の方法を採用することができる。例えば、V型ブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機により混合する方法、および/または押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の混練機により混練する方法を組み合わせて、あるいは単独で採用し、上記(A)汎用エンジニアリングプラスチック、(B)ポリプロピレン系樹脂および(C)変性プロピレン系樹脂を混合すればよい。
混合して得られた、本発明の樹脂組成物は、押出機等を用いてペレット状ないし顆粒状などに調製してもよく、そのまま成形を行い、成形体を得てもよい。
<成形体>
本発明の成形体は、前記樹脂組成物を成形して得られる。
前記樹脂組成物は、引張強度および耐衝撃性に優れ、かつ外観に優れる。また寸法安定性にも優れている。さらに前記樹脂組成物においては、(A)汎用エンジニアリングプラスチックおよび(B)ポリプロピレン系樹脂が本来有する物性、例えば低吸水性、耐熱性、耐薬品性、曲げ弾性が損なわれていない。このため、前記樹脂組成物を成形して得られる成形体は、自動車部品、家電部品、スポーツ用品等の様々な用途に使用可能である。
中でも、自動車部品や家電部品は耐熱性と耐薬品性が求められるため好ましい。なお、自動車部品としては例えば、ウィンド−ウォッシャ液の噴出口、ドアノックのノブ部分等が挙げられ、家電部品としては例えば、電線用コネクタ等が挙げられる。
また、本発明には、前記(A)汎用エンジニアリングプラスチックおよび(B)ポリプロピレン系樹脂の相溶化剤として(C)変性プロピレン系樹脂を使用する方法が含まれる。より具体的に説明すれば、その方法は、(A)汎用エンジニアリングプラスチック20〜80重量%および(B)ポリプロピレン系樹脂10〜50重量%の相溶化剤として、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であるポリプロピレン(C−1)0〜40重量%、およびDSCにより測定される融点(Tm)が120℃未満またはDSCにより融点ピークが観測されないプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−2)60〜100重量%(ただし、前記(C−1)および(C−2)の合計を100重量%とする)を含む樹脂組成物(C−3)を変性して得られる、(C)変性プロピレン系樹脂1〜30重量%を使用する方法である。ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計は100重量%である。
本発明に使用される(C)変性プロピレン系樹脂は、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレートに代表される汎用エンジニアリング樹脂とポリプロピレンからなる樹脂組成物の相溶化剤として好適に使用することができる。
汎用エンジニアリング樹脂、特にポリアミドは耐熱性が高いが、吸水性が高く、吸水によって弾性率が低下し、また寸法安定性も悪くなる。それを補うために非極性の樹脂で、且つ比較的耐熱性のあるポリプロピレンをポリアミドにブレンドし、樹脂組成物として用いることが従来行われている。しかしながら、両者は極めて混ざり難く、該樹脂組成物の吸水は抑制できるが、汎用エンジニアリング樹脂の特性を大きく損なう問題がある。
本発明のように、前記(A)汎用エンジニアリングプラスチックおよび(B)ポリプロピレン系樹脂の相溶化剤としての(C)変性プロピレン系樹脂を使用することで、汎用エンジニアリングプラスチックの有する耐熱性、耐薬品性、曲げ弾性、引張強度、引張伸び等の機械物性を損なう事無く、吸水を抑制できる。従って寸法安定性に優れる樹脂組成物を得ることができる。また、良好な相溶性が達成されていることから、本発明の樹脂組成物からは、表面状態が良好な成形体を得ることができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、各種性状の測定あるいは評価は次の方法により行った。
[1−ブテン含有量(M)]
プロピレン・1−ブテン共重合体に含まれる、1−ブテンから導かれる構成単位の量である1−ブテン含有量(M)[モル%]を、13C−NMRにより求めた。
[メルトフローレート(MFR)]
プロピレン・1−ブテン共重合体のメルトフローレート(MFR)[g/10分]を、ASTM D1238に準拠し、温度230℃、2.16kg荷重にて測定した。
[分子量分布(Mw/Mn)]
プロピレン・1−ブテン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を、ミリポア社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。
分離カラムはTSK GNH HTを用い、カラムサイズは直径27mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品(株)製)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500μlとし、検出器として示差屈折計を用いた。
分子量がMw<1000およびMw>4×106の重合体については東ソー(株)製標準ポリスチレンを用い、1000≦Mw≦4×106の重合体についてはプレッシャーケミカル(株)製標準ポリスチレンを用いた。
[融点(Tm)、融解熱量(ΔH)]
プロピレン・1−ブテン共重合体の融点(Tm)および融解熱量(ΔH)を、パーキンエルマー(株)製DSC−7型装置(示差走査型熱量計(DSC))を用いて測定した。
200℃設定とした加熱プレス機にて試料を4分間予備加熱し、1mm厚みとなるように3分間プレスした。1mm厚みに可塑化させたシートを20℃設定とした冷却プレスに4分間挟んで冷却、固化させた。シート状とした試料を固化させてから1週間以上、室温で放置し、シート中心部から5mgを採取してアルミパンに詰め、上記DSC測定装置にセットした。窒素雰囲気下、20℃から200℃へ10℃/分で昇温させる条件にて観測される吸熱曲線から、ピーク位置を融点(Tm)、ピーク面積を試料重量で割った値を融解熱量(ΔH)とした。
[密度]
ASTM D1505に準拠して密度勾配管を用いて温度23℃で測定した。
[マレイン酸変性量]
エレメンタール社製元素分析装置Vario EL IIIにより酸素含有量を求めて、マレイン酸含有量に換算した。
[引張降伏強さ、引張伸び]
シリンダー温度245℃、金型温度80℃とした50t型締力の射出成形機にて、ASTMIV号ダンベル114mm×18.3mm、厚さ2mmの試験片を成形し、ASTM D638に準拠して、温度23℃、引張速度50mm/分で前記試験片の引張降伏強さ、及び引張伸びを測定した。
[曲げ弾性率、曲げ強さ]
シリンダー温度245℃、金型温度80℃とした50t型締力の射出成形機にて、100mm×100mm、厚さ2mmの試験片を成形し、ASTM D790に準拠して、温度23℃、曲げ速度5mm/分で前記試験片の曲げ弾性率、及び曲げ強さを測定した。
[Izod衝撃強度]
シリンダー温度245℃、金型温度80℃とした50t型締力の射出成形機にて、62.3mm×12.4mm、厚さ3mmのIzod衝撃試験用ノッチ付き試験片を成形し、ASTM D256に準拠して温度0℃、及び23℃で前記試験片のIzod衝撃強度を測定した。
[外観]
シリンダー温度245℃、金型温度80℃とした50t型締力の射出成形機にて、100mm×100mm、厚さ3mmの角板を成形した。この角板の表面状態を目視で確認した。
角板の色が均一で、角板表面を爪でなぞっても引っかかりが無い状態であるものを「無(平滑)」、角板の色が不均一で、角板表面を爪でなぞると引っかかりのある状態であるものを「有」として、評価した。
[合成例1:メタロセン触媒]
(1)1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエンの調製
窒素雰囲気下でtert−ブチルマグネシウムクロライド/ジエチルエーテル溶液(450ml、0.90mol、2.0mol/l溶液)に脱水ジエチルエーテル(350ml)を加えた。得られた溶液に、氷冷下で0℃を保ちながら3−メチルシクロペンテノン(43.7g、0.45mmol)の脱水ジエチルエーテル(150ml)溶液を滴下し、さらに室温で15時間攪拌した。反応溶液に塩化アンモニウム(80.0g、1.50mol)の水(350ml)溶液を、氷冷下で0℃を保ちながら滴下した。この溶液に水(2500ml)を加え攪拌した後、有機層を分離して水で洗浄した。この有機層に、氷冷下で0℃を保ちながら10%塩酸水溶液(82ml)を加えた後、室温で6時間攪拌した。この反応液の有機層を分離し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾過し、濾液から溶媒を留去して液体を得た。この液体を減圧蒸留(45−47℃/10mmHg)することにより14.6gの淡黄色の液体を得た。分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)δ6.31+6.13+5.94+5.87(s+s+t+d、2H)、3.04+2.95(s+s、2H)、2.17+2.09(s+s、3H)、1.27(d、9H)。
(2)3−tert−ブチル−1,6,6−トリメチルフルベンの調製
窒素雰囲気下で1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエン(13.0g、95.6mmol)の脱水メタノール(130ml)溶液に、氷冷下で0℃を保ちながら脱水アセトン(55.2g、950.4mmol)を滴下し、さらにピロリジン(68.0g、956.1mmol)を滴下した後、室温で4日間攪拌した。反応液をジエチルエーテル(400ml)で希釈後、水(400ml)を加えた。有機層を分離し、該有機層を0.5Nの塩酸水溶液(150ml×4)、水(200ml×3)飽和食塩水(150ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾過し、濾液から溶媒を留去して液体を得た。この液体を減圧蒸留(70〜80℃/0.1mmHg)することにより10.5gの黄色の液体を得た。分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)δ6.23(s、1H)、6.05(d、1H)、2.23(s、3H)、2.17(d、6H)、1.17(s、9H)
(3)2−(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−2−フルオレニルプロパンの調製
フルオレン(10.1g、60.8mmol)のTHF(300ml)溶液に、氷冷下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(40ml、61.6mmol)を窒素雰囲気下で滴下し、さらに室温で5時間攪拌した(濃褐色溶液)。この溶液を再度氷冷し、3−tert−ブチル−1,6,6−トリメチルフルベン(11.7g、66.5mmol)のTHF(300ml)溶液を窒素雰囲気下で滴下した。反応溶液を室温で14時間攪拌した後に得られた褐色溶液を氷冷し、水(200ml)を加えた。得られた溶液をジエチルエーテルで抽出、分離した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、濾液から溶媒を減圧下で除去して橙褐色オイルを得た。このオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製して3.8gの黄色オイルを得た。分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)δ7.70(d、4H)、7.34−7.26(m、6H)、7.18−7.11(m、6H)、6.17(s、1H)、6.01(s、1H)、4.42(s、1H)、4.27(s、1H)、3.01(s、2H)、2.87(s、2H)、2.17(s、3H)、1.99(s、3H)、2.10(s、9H)、1.99(s、9H)、1.10(s、6H)、1.07(s、6H)。
(4)ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドの調製
氷冷下で2−(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−2−フルオレニルプロパン(1.14g、3.3mmol)のジエチルエーテル(25ml)溶液にn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(5.0ml、7.7mmol)を窒素雰囲気下で滴下し、さらに室温で14時間攪拌して桃色スラリーを得た。このスラリーに−78℃でジルコニウムテトラクロライド(0.77g、3.3mmol)を加え、−78℃で数時間攪拌し、室温で65時間撹拌した。得られた黒褐色スラリーを濾過し、濾物をジエチルエーテル10mlで洗浄した後、ジクロロメタンで抽出して赤色溶液を得た。この溶液の溶媒を減圧留去して0.53gの赤橙色の固体状のメタロセン触媒であるジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドを得た。分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)δ8.11−8.02(m、3H)、7.82(d、1H)、7.56−7.45(m、2H)、7.23−7.17(m、2H)、6.08(d、1H)、5.72(d、1H)、2.59(s、3H)、2.41(s、3H)、2.30(s、3H)、1.08(s、9H)。
[製造例1:メタロセン触媒によるプロピレン・1−ブテン共重合体(重合ポリマー1)の調製]
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、875mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン75gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を65℃に昇温し、プロピレンで0.7MPaに加圧した。次いで、合成例2で得られたメタロセン触媒であるジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド0.002mmolと、アルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)とを接触させたトルエン溶液を重合器内に添加した。重合器の内温65℃、プロピレン圧0.7MPaを保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥し、重合ポリマー1を得た。
得られた重合ポリマー1は、15.2gであった。重合ポリマー1は、1−ブテン含量(M):27.1モル%、メルトフローレート(MFR):6.5g/10分で、分子量分布(Mw/Mn):2.11および融点(Tm):76.2℃、融解熱量(ΔH):48J/gであった。また、上記要件(4)の式:−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155については、Mが27.1であるから、上記式は、59.5≦Tm≦92.7となり、Tm:76.2を満たす。
[製造例2:メタロセン触媒によるプロピレン・1−ブテン共重合体(重合ポリマー2)の調製〕
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、875mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン75gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を60℃に昇温し、プロピレンで0.7MPaに加圧した。次いで、合成例2で得られたメタロセン触媒であるジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド0.002mmolと、アルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)とを接触させたトルエン溶液を重合器内に添加した。重合器の内温65℃、プロピレン圧0.7MPaを保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥し、重合ポリマー2を得た。
得られた重合ポリマー2は、15.2gであった。重合ポリマー2は、1−ブテン含量(M):22.4モル%、メルトフローレート(MFR):6.5g/10分で、分子量分布(Mw/Mn):2.11および融点(Tm):83.2℃、融解熱量(ΔH):51J/gであった。また、上記要件(4)の式:−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155については、Mが22.4であるから、上記式は、71.8≦Tm≦103.5となり、Tm:83.2を満たす。
[実施例1]
[変性プロピレン系樹脂(C1)の調製]
前記製造例1を繰り返し行う事で得られた重合ポリマー1;5kg、無水マレイン酸;25g、及び反応開始剤として、日本油脂株式会社製パーヘキシン25B(1分後半減温度が180℃)12.5gをヘンシェルミキサーを用いてブレンドした。次いで、該ブレンド物を30mmφの二軸押出機を用いて温度230℃で溶融混練することで、変性されたプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)からなる変性プロピレン系樹脂(C1)を得た。得られた変性プロピレン系樹脂(C1)のMFR、密度、及びマレイン酸含有量を 表2に示す。
[汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C1)を含む樹脂組成物(1)の調製]
汎用エンジニアリングプラスチック(A1)として、東レ(株)製 アミランCM1017(ポリアミド6 Tm=225℃);2.9kg、プロピレン系樹脂(B1)として、プライムポリマー(株)社製、プライムポリプロ CJ700(ホモポリマー、Tm=160℃);1.5kg、及び変性プロピレン系樹脂(C1)0.6kgを、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドした。その後、30mmφの二軸押出機を用いてそれらを溶融混練することで、汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C1)を含む樹脂組成物(1)を得た。
得られた樹脂組成物(1)の、引張降伏強さ、引張伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、及び外観を評価した結果を表2に示す。
[実施例2]
[変性プロピレン系樹脂(C2)の調製]
前記製造例1を繰り返し行う事で得られた重合ポリマー1;4.75kg、無水マレイン酸;25g、プライムポリマー社製ポリプロピレン樹脂(C−1)、プライムポリプロ F113G(ホモポリマー、Tm=160℃);0.25kg、及び反応開始剤として、日本油脂株式会社製パーヘキシン25B(1分後半減温度が180℃)12.5gをヘンシェルミキサーを用いてブレンドした。
次いで、該ブレンド物を30mmφの二軸押出機を用いて温度230℃で溶融混練することで、変性されたポリプロピレン(C−1)及び変性されたプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)を含む変性プロピレン系樹脂(C2)を得た。得られた変性プロピレン系樹脂(C2)のMFR、密度、及びマレイン酸含有量を表2に示す。
[汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C2)を含む樹脂組成物(2)の調製]
汎用エンジニアリングプラスチック(A1)として、東レ(株)製 アミランCM1017;2.9kg、プロピレン系樹脂(B1)として、プライムポリマー(株)社製、プライムポリプロ CJ700;1.5kg、および変性プロピレン系樹脂(C2)0.6kgとを、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドした。その後、30mmφの二軸押出機を用いてそれらを溶融混練することで、汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C2)を含む樹脂組成物(2)を得た。
得られた樹脂組成物(2)の、引張降伏強さ、引張伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、及び外観を評価した結果を表2に示す。
[実施例3]
[変性プロピレン系樹脂(C3)の調製]
前記製造例2を繰り返し行う事で得られた重合ポリマー2を使用し、各成分の使用量を 表2に示す量に変更した以外は、実施例2と同様にして行い、変性されたポリプロピレン(C−1)及び変性されたプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)を含む変性プロピレン系樹脂(C3)を得た。得られた変性プロピレン系樹脂(C3)のMFR、密度、及びマレイン酸含有量を表2に示す。
[汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C3)を含む樹脂組成物(3)の調製]
前記変性プロピレン系樹脂(C2)を、前記変性プロピレン系樹脂(C3)に変え、前記汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)および変性プロピレン系樹脂(C3)の量比を表2に示す量に変更した以外は、実施例2と同様に行い、汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C3)を含む樹脂組成物(3)を得た。
得られた樹脂組成物(3)の、引張降伏強さ、引張伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、及び外観を評価した結果を表2に示す。
[実施例4〜12]
[変性プロピレン系樹脂(C4)〜(C12)の調製]
各成分の使用量を表2または3に示す量に変更した以外は、実施例2と同様にして行い、変性されたポリプロピレン(C−1)及び変性されたプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)を含む変性プロピレン系樹脂(C4)〜(C12)を得た。得られた変性プロピレン系樹脂(C4)〜(C12)のMFR、密度、及びマレイン酸含有量を表2および3に示す。
[汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C4)〜(C12)を含む樹脂組成物(4)〜(12)の調製]
前記変性プロピレン系樹脂(C2)を、前記変性プロピレン系樹脂(C4)〜(C12)に変え、前記汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)および変性プロピレン系樹脂(C4)〜(C12)の量比を表3に示す量に変更した以外は、実施例2と同様に行い、汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C4)〜(C12)を含む樹脂組成物(4)〜(12)を得た。
得られた樹脂組成物(4)〜(12)の、引張降伏強さ、引張伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、及び外観を評価した結果を表3に示す。
[比較例1]
各成分の使用量を表3に示す量に変更した以外は、実施例2と同様にして行い、変性されたポリプロピレン(C−1)及び変性されたプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)を含む変性プロピレン系樹脂(C13)を得た。
該変性プロピレン系樹脂(C13)のMFR、密度、及びマレイン酸含有量を表3に示す。
また、変性プロピレン系樹脂(C2)を変性プロピレン系樹脂(C13)に変えた以外は実施例2と同様に行い、汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C13)を含む樹脂組成物(13)を得た。
得られた樹脂組成物(13)の、引張降伏強さ、引張伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、及び外観を評価した結果を表3に示す。
[比較例2]
前記製造例1で得られた重合ポリマー1を、プライムポリマー社製ポリプロピレン樹脂、プライムポリプロ F113G;5kgに変えた以外は、実施例1と同様にして変性プロピレン系樹脂(C14)を得た。得られた変性プロピレン系樹脂(C14)のMFR、密度、及びマレイン酸含有量を表3に示す。
また、変性プロピレン系樹脂(C14)を使用した以外は、実施例1と同様に行い、汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)、及び変性プロピレン系樹脂(C14)を含む樹脂組成物(14)を得た。
得られた樹脂組成物(14)の、引張降伏強さ、引張伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、及び外観を評価した結果を表3に示す。
[比較例3]
汎用エンジニアリングプラスチック(A1)である、東レ(株)製 アミランCM1017;3.5kgおよび、プロピレン系樹脂(B1)である、プライムポリマー(株)社製、プライムポリプロ CJ700;1.5kg、を、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドした後、30mmφの二軸押出機を用い溶融混練することで、汎用エンジニアリングプラスチック(A1)および、プロピレン系樹脂(B1)を含む樹脂組成物(15)を得た。得られた樹脂組成物(15)の、引張降伏強さ、引張伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、及び外観を評価した結果を表3に示す。
[比較例4]
製造例1で得られた重合ポリマー1の代わりに、エチレン・1−ブテン共重合体(三井化学(株)製、タフマーA-4090)(MFR(190℃、2.16kg)=3.6g/10分、密度=890kg/m3、Tm=77℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして変性エチレン・1−ブテン共重合体を得た。得られた変性エチレン・1−ブテン共重合体のMFR、密度、及びマレイン酸含有量を表3に示す。
また、変性プロピレン系樹脂(C1)に変えて、前記変性エチレン・1−ブテン共重合体を使用した以外は実施例1と同様にして汎用エンジニアリングプラスチック(A1)、プロピレン系樹脂(B1)および変性エチレン・1−ブテン共重合体を含む樹脂組成物(16)を得た。
得られた樹脂組成物(16)の、引張降伏強さ、引張伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、Izod衝撃強度、及び外観を評価した結果を表3に示す。
Figure 0005473898
Figure 0005473898

Claims (7)

  1. (A)汎用エンジニアリングプラスチック20〜80重量%、(B)ポリプロピレン系樹脂10〜50重量%および(C)変性プロピレン系樹脂1〜30重量%(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)を含み、
    前記(C)変性プロピレン系樹脂が、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であるポリプロピレン(C−1)0〜40重量%、およびDSCにより測定される融点(Tm)が120℃未満またはDSCにより融点ピークが観測されないプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−2)60〜100重量%(ただし、前記(C−1)および(C−2)の合計を100重量%とする)を含む樹脂組成物(C−3)を変性して得られる樹脂であり、
    前記(A)汎用エンジニアリングプラスチックが、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記(B)ポリプロピレン系樹脂が、プロピレンホモポリマーまたはプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であり、
    前記プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(C−2)の融解熱量ΔHが40J/gを超え、
    前記プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(C−2)が、プロピレン・1−ブテン共重合体であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記プロピレン・1−ブテン共重合体が、
    (1)プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%および1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%含有し、
    (2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、
    (3)示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が110℃以下であるかまたはDSCにより融点ピークが観測されないことを特徴とする請求項に記載の樹脂組成物。
  3. 前記プロピレン・1−ブテン共重合体が、
    (4)示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)(℃)と1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)(モル%)との関係が
    −2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155であることを特徴とする請求項に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(C)変性プロピレン系樹脂が、前記樹脂組成物(C−3)が不飽和カルボン酸またはその誘導体によりグラフト変性されたものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
  6. 自動車部品または家電部品であることを特徴とする請求項に記載の成形体。
  7. (A)汎用エンジニアリングプラスチック20〜80重量%および(B)ポリプロピレン系樹脂10〜50重量%の相溶化剤として、
    示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であるポリプロピレン(C−1)0〜40重量%、およびDSCにより測定される融点(Tm)が120℃未満またはDSCにより融点ピークが観測されないプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−2)60〜100重量%(ただし、前記(C−1)および(C−2)の合計を100重量%とする)を含む樹脂組成物(C−3)を変性して得られる、
    (C)変性プロピレン系樹脂1〜30重量%を使用する方法(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)であり、
    前記(A)汎用エンジニアリングプラスチックが、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記(B)ポリプロピレン系樹脂が、プロピレンホモポリマーまたはプロピレンと炭素原子数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体であって、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であり、
    前記プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(C−2)の融解熱量ΔHが40J/gを超え、
    前記プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(C−2)が、プロピレン・1−ブテン共重合体であることを特徴とする(A)汎用エンジニアリングプラスチックおよび(B)ポリプロピレン系樹脂の相溶化剤として、(C)変性プロピレン系樹脂を使用する方法。
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