JP6289007B2 - 樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物およびその用途に関する。詳しくは、本発明は高強度、高剛性で耐衝撃性のある成形体を形成可能な樹脂組成物およびその用途に関する。
ポリアミドは、耐熱性や耐薬品性などに優れるため、エンジニアリングプラスチックとして汎用されている。しかし、ポリアミドは吸水性が高いため、吸水により弾性率が低下し、また寸法安定性が悪化するという欠点を有する。
このようなポリアミドの欠点を補うために、吸水性が低く、耐熱性にも優れる非極性の樹脂であるポリプロピレンを、ポリアミドとブレンドすることが従来行われている。しかし、両者を単に混練等により混合しただけでは互いに混ざらないため、相溶化剤が用いられている。
例えば、特許文献1には、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリプロピレンおよび/またはビニル芳香族化合物とオレフィンとの共重合体に酸無水物基を導入した変性重合体、ならびに、酸無水物基を含有する液状のオレフィン系オリゴマーまたはビニル芳香族化合物とオレフィンとの共重合オリゴマーを含有するポリアミド組成物を成形した自動車用コネクターが提案されている。
特許文献2には、ポリプロピレン単独重合体および/またはポリプロピレン共重合体、ポリアミド、オレフィン性不飽和カルボン酸および/またはオレフィン性不飽和カルボン酸誘導体、ならびに、耐衝撃性に変性する薬剤等を含む熱可塑性ポリプロピレン−ポリアミド成形材料は、高い靭性、剛性および熱成形安定性を有することが記載されている。
特許文献3には、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ならびに、ポリプロピレン樹脂および高密度ポリエチレン樹脂からなる混合物に酸無水物を付加させて得られる変性ポリオレフィン樹脂を含むポリアミド/ポリオレフィン樹脂組成物を用いることで、耐衝撃性およびウエルド強度等に優れる成形体が得られることが記載されている。
また、特許文献4には、汎用エンジニアリングプラスチック、ポリプロピレン系樹脂および変性プロピレン系樹脂を含む組成物は、これらの樹脂の有する物性を損なうことなく、引張強度、耐衝撃性および外観に優れることが記載されている。
特開平1−311580号公報 特開平3−109452号公報 特開平4−252264号公報 国際公開第2009/119536号
しかしながら、前記特許文献1に記載のポリアミド組成物には強度等の観点から改善の余地があり、特許文献2に記載されている熱可塑性ポリプロピレン−ポリアミド成形材料は、ポリプロピレンとポリアミドとの相溶性の観点から改善の余地があった。
また、前記特許文献3に記載の変性ポリオレフィン樹脂は、ポリアミド樹脂やポリプロピレン樹脂との相溶性が不足していることから、前記特許文献3に記載の組成物は、外観や引張伸び等の点で改善の余地があり、特許文献4に記載の組成物を用い、引張強度、曲げ強度、剛性および耐衝撃性のいずれにも満足の得られる成形体を得るためにはさらなる改善の余地があった。
本発明の課題は、剛性、強度および耐衝撃性にバランスよく優れる成形体を形成可能な樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、エンジニアリングプラスチックと高メルトフローレート(MFR)のポリプロピレン系樹脂と、相溶化剤としての役割を有する特定の変性プロピレン系樹脂とを特定の配合量で含む樹脂組成物によれば、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の樹脂組成物はエンジニアリングプラスチック(A)70〜95重量%、ポリプロピレン系樹脂(B)1〜20重量%および変性プロピレン系樹脂(C)1〜20重量%(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)を含み、前記ポリプロピレン系樹脂(B)のメルトフローレート(ASTM D1238に準拠し、温度230℃、2.16kg荷重にて測定)が20g/10分以上であることを特徴とする。
前記エンジニアリングプラスチック(A)は、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレンホモポリマー、または、プロピレンと炭素数2もしくは4〜10のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましく、示唆走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上の共重合体であることが好ましい。
前記変性プロピレン系樹脂(C)は、プロピレンと炭素数2もしくは4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−1)を不飽和カルボン酸またはそのエステルでグラフト変性した樹脂であることが好ましく、該共重合体(C−1)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)であることが好ましい。
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、以下(1)〜(3)の要件を満たすことが好ましく、さらに、以下(4)の要件を満たすことが好ましい。
(1)プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%および1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%含有する(ただし、これらの構成単位の合計を100モル%とする。)
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下である
(3)DSCにより測定されるTmが110℃以下であるかまたはDSCにより融点ピークが観測されない
(4)DSCにより測定されるTm(℃)と1−ブテンから導かれる構成単位含量M(モル%)との関係が下記式
−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155を満たす
本発明には、前記樹脂組成物を成形して得られる成形体が含まれる。
前記成形体は、自動車部品または家電部品であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物によれば、剛性、強度および耐衝撃性にバランスよく優れる成形体を得ることができる。また、本発明の樹脂組成物によれば、エンジニアリングプラスチックやポリプロピレン系樹脂が本来有する物性、例えば低吸水性、耐熱性、耐薬品性、曲げ弾性が損なわれず、かつ、引張強度、耐衝撃性および外観に優れる成形体を得ることができる。このため該樹脂組成物は、自動車、家電などの成形体の形成材料として好適に用いることができる。
次に本発明について具体的に説明する。
≪樹脂組成物≫
本発明の樹脂組成物は、エンジニアリングプラスチック(A)(以下「成分(A)」ともいう。)70〜95重量%、ポリプロピレン系樹脂(B)1〜20重量%および変性プロピレン系樹脂(C)1〜20重量%(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)を含み、前記ポリプロピレン系樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)(ASTM D1238に準拠し、温度230℃、2.16kg荷重にて測定)が20g/10分以上である。
このような樹脂組成物では、前記樹脂(C)が相溶化剤として働き、成分(A)と樹脂(B)とを良好に相溶させることができ、前記効果を有する組成物が得られる。
<エンジニアリングプラスチック(A)>
本発明で用いられる成分(A)としては、特に限定されないが、得られる成形体の強度・耐熱性等の点から、汎用エンジニアリングプラスチックが好ましく、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂がより好ましい。本発明においては、成分(A)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリアミドとしては、特に限定はなく、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミドのいずれを用いてもよい。これらのポリアミドの中でも、市場から容易に入手することができ、かつ高い耐熱性を有するポリアミド6を用いることが好ましい。
前記ポリアミドは、例えば、ラクタム等の開環重合によって製造することができる。ラクタムとしては、ε−カプロラクタムを用いると、開環重合によりポリアミド6が得られるため好ましい。ポリアミドの別の製造方法としては、例えば、炭素数4〜12のジカルボン酸と、炭素数2〜13のジアミンとを重縮合させることにより製造する方法が挙げられる。
ポリアミドを製造する際に使用される代表的なジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸などが挙げられる。またこれらの誘導体、例えばエステル、酸塩化物またはアミン塩などを使用することもできる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
また、ポリアミドを製造する際に使用される代表的なジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
前記ポリアミドの、DSCにより測定されるTmは、通常175〜330℃であり、好ましくは210〜330℃である。
このようなTmを有するポリアミドを含む本発明の樹脂組成物は耐熱性に優れるため好ましい。
本発明において、Tmは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコールと、テレフタル酸とを共重合することで得ることができ、従来公知のポリエチレンテレフタレートを用いることができる。
前記ポリエチレンテレフタレートとしては、DSCにより測定されるTmが245〜255℃である市販品を用いることができる。
前記ポリブチレンテレフタレートは、1,4−ブタンジオールと、テレフタル酸とを共重合させることで得ることができ、従来公知のポリブチレンテレフタレートを用いることができる。
前記ポリブチレンテレフタレートとしては、DSCにより測定されるTmが225〜230℃である市販品を用いることができる。
<ポリプロピレン系樹脂(B)>
本発明に用いられる樹脂(B)は、MFR(ASTM D1238に準拠し、温度230℃、2.16kg荷重にて測定)が20g/10分以上であれば特に限定はない。
このような樹脂(B)を成分(A)および樹脂(C)とともに特定量で用いることで、引張強度、曲げ強度、剛性および耐衝撃性のいずれにも満足の得られる成形体を得ることができる。
前記樹脂(B)のMFRは、好ましくは20〜100g/10分、より好ましくは20〜90g/10分、さらに好ましくは20〜80g/10分である。MFRが前記下限以上であると、本発明の樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性が向上し、また前記上限以下であると前記樹脂組成物から得られる成形体の強度が損なわれることがないため好ましい。
前記樹脂(B)のDSCにより測定されるTmは、得られる成形体の強度・耐熱性等の点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは120〜170℃、さらに好ましくは125〜165℃、特に好ましくは130〜160℃である。
前記樹脂(B)としては、結晶性を有し、アイソタクチック・インデックスI.I.(沸騰n−ヘプタン不溶成分)が、好ましくは75重量%以上、より好ましくは75〜99重量%のポリプロピレンを用いることが望ましい。このI.I.は、核磁気共鳴(NMR)で測定することができる。
また、樹脂(B)の密度は、通常880〜920kg/m3、好ましくは885〜915kg/m3、さらに好ましくは、890〜910kg/m3である。
前記樹脂(B)は、プロピレンホモポリマー、または、プロピレンと炭素数2もしくは4〜10のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。前記樹脂(B)がプロピレンと炭素数2または4〜10のα−オレフィンとの共重合体である場合には、共重合体中、炭素数2または4〜10のα−オレフィンから導かれる構成単位は、通常は10モル%以下、好ましくは5モル%未満である。
このα−オレフィンとしては、具体的に、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。なお、これらは一種でも二種以上でもよい。
また、前記共重合体は、ランダムポリプロピレンでもよく、ブロックポリプロピレンでもよいが、ランダムポリプロピレンがより好ましい。
このような樹脂(B)は、固体状チタン触媒(チーグラー触媒)成分またはメタロセン化合物触媒成分を用いて製造することができる。また、樹脂(B)として、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、「プライムポリプロ J136」(商品名;プライムポリマー(株)製)、「プライムポリプロ J139」(商品名;プライムポリマー(株)製)が挙げられる。
<変性プロピレン系樹脂(C)>
本発明に用いる樹脂(C)としては、特に制限されないが、得られる成形体の靭性等の点から、前記成分(A)と樹脂(B)との相溶化剤としての役割を果たす樹脂であることが好ましく、プロピレンと炭素数2もしくは4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−1)を変性して得られる樹脂であることがより好ましく、プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)を変性して得られる樹脂であることがさらに好ましい。
樹脂(C)の、ASTM D1238に準拠して、温度190℃、2.16kg荷重で測定して得られるMFRは、通常は0.1〜2000g/10分であり、好ましくは1.0〜1000g/10分である。
樹脂(C)の密度は、通常875〜900kg/m3であり、880〜895kg/m3であることが好ましい。
樹脂(C)の、135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]は、通常は0.01〜6dl/g、好ましくは0.1〜5dl/gである。
さらに樹脂(C)の融点は、通常は60〜160℃の範囲にあり、結晶化度は、通常は20〜60%、好ましくは30〜55%である。
(プロピレンと炭素数2もしくは4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−1))
前記共重合体(C−1)は、プロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)との共重合体であれば特に限定されず、DSCにより測定されるTmが120℃未満またはDSCにより融点ピークが観測されない共重合体であることが好ましい。
前記共重合体(C−1)の融解熱量(ΔH)は、得られる成形体の柔軟性と強度とのバランス等の点から、好ましくは20J/gを超え、より好ましくは25J/g以上、さらに好ましくは28J/g以上であり、特に好ましくは30J/gを超え、好ましくは70J/g以下、より好ましくは65J/g以下、さらに好ましくは60J/g以下である。ΔHは、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記共重合体(C−1)の原料として用いられるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらのうち、経済性、ポリプロピレンとの相溶性の点で、1−ブテンが好ましい。すなわち共重合体(C−1)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)であることが好ましい。
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、下記要件(1)〜(3)を満たすことが好ましく、さらに、下記要件(4)を満たすことがより好ましい。
(1)プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%および1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%含有する(ただし、これらの構成単位の合計を100モル%とする。)。
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下である。
(3)DSCにより測定されるTmが110℃以下であるかまたはDSCにより融点ピークが観測されない。
(4)DSCにより測定されるTm(℃)と1−ブテンから導かれる構成単位含量M(モル%)との関係が−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155を満たす。
以下各要件について説明する。
[要件(1)]
要件(1)は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)が、プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%、好ましくは55〜95モル%、より好ましくは60〜95モル%、特に好ましくは65〜90モル%の量で、1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%、好ましくは5〜45モル%、より好ましくは5〜40モル%、特に好ましくは10〜35モル%の量で含有することを規定する。なお、プロピレンから導かれる構成単位のモル%と、1−ブテンから導かれる構成単位のモル%との和は、100モル%である。
各構成単位のモル%は、プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)を合成する際に使用する各モノマーの使用量から判断することができ、具体的には、13C−NMRより求めることができる。
1−ブテンから導かれる構成単位が、前記下限以上であると、成分(A)と樹脂(B)とを良好に相溶化することができる樹脂(C)が得られる傾向にあり、引張強度、耐衝撃性および外観に優れる成形体を容易に形成できる樹脂組成物を得ることができ、前記上限以下であると、得られる樹脂(C)を含む樹脂組成物を製造する際のハンドリング性に優れることから好ましい。
また、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、プロピレンおよび1−ブテン以外のα−オレフィンから導かれる構成単位を、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、10モル%以下の量で含んでもよい。
[要件(2)]
要件(2)は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の、GPCにより求められる、Mw/Mn(ポリプロピレン換算)が3.0以下であり、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5であることを規定する。Mw/Mnが前記範囲内であると、該プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、低分子量成分の含有量が少ないため好ましい。
なお、GPCによるMw/Mnの測定は、後述する実施例に記載の条件で実施することができる。
[要件(3)]
要件(3)は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)のDSCで測定されるTmが110℃以下であるかまたはDSCにより融点ピークが観測されず、好ましくは融点が50〜110℃、より好ましくは60〜110℃、さらに好ましくは65〜110℃、特に好ましくは70〜105℃であることを規定する。
Tmが前記下限以上であると、本発明の樹脂組成物を製造する際のハンドリング性に優れ、前記上限以下であると、成分(A)と樹脂(B)とを良好に相溶化することができる樹脂(C)が得られる傾向にあり、引張強度、耐衝撃性および外観に優れる成形体を容易に形成できる樹脂組成物を得ることができることから特に好ましい。
なお、融点は、DSCを用いて、試料約5mgをアルミパンに詰めて200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、10℃/分で−40℃まで冷却し、−40℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めることができる。
[要件(4)]
要件(4)は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の、DSCで測定されるTm(℃)と1−ブテンから導かれる構成単位含量M(モル%)とが下記式
−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155
で表される関係式を満たすことを規定する。
Tmが前記要件(3)で規定する範囲内であり、TmとMとの関係が前記式を満たすと、得られる樹脂(C)を含む樹脂組成物を製造する際のハンドリング性と、得られる樹脂(C)の成分(A)と樹脂(B)との相溶化効果とにバランスよく優れるため好ましい。
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、さらに下記要件(5)〜(8)の少なくとも1つを満たすことがより好ましい。
[要件(5)]
要件(5)は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の、ASTM D1238に準拠して、温度230℃、2.16kg荷重で測定して得られるMFRが0.01〜1000g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは1〜20g/10分であることを規定する。MFRが前記下限以上であると、得られる樹脂(C)を含む樹脂組成物の溶融成形時の成形性が良好となり、MFRが前記上限以下であると、前記樹脂組成物の機械物性が損なわれることがなく好ましい。
[要件(6)]
要件(6)は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の、共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値が1.0〜1.5、好ましくは1.0〜1.3、より好ましくは1.0〜1.2であることを規定する。
B値が前記範囲内であると、プロピレンと1−ブテンとが、より均一に共重合しており、成分(A)と樹脂(B)とを良好に相溶化することができる樹脂(C)が得られるため好ましい。
前記パラメータB値は、コールマン等(B.D.Cole-man and T.G.Fox, J. Polym.Sci., Al,3183(1963))により提案されており、以下のように定義される。
B=P12/(2P1・P2
式中、P1およびP2は、それぞれ第1モノマー、第2モノマー含量分率であり、P12は全二分子連鎖中の(第1モノマー)−(第2モノマー)連鎖の割合である。ここで、第1モノマーとは、プロピレンのことであり、第2モノマーとは、1−ブテンのことである。P1およびP2はそれぞれ、共重合体合成時に用いるプロピレンと1−ブテンとの使用量から算出でき、P12はNMRで測定することができる。
なお、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、B=1のときベルヌーイ統計に従って各構成単位が分布した共重合体であり、B<1のとき各構成単位がブロック的につながった共重合体であり、B>1のとき各構成単位が交互的につながった共重合体である。
[要件(7)]
要件(7)は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の、X線回折法により測定される結晶化度C[%]と1−ブテンから導かれる構成単位含量M[モル%]との関係が、C≧−1.5M+75を満たすことを規定する。
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の結晶化度(C)は、通常65%以下、好ましくは15〜65%、より好ましくは20〜60%である。結晶化度(C)が前記下限以上であると、得られる樹脂(C)を含む樹脂組成物は、該組成物を製造する際のハンドリング性に優れ、一方、結晶化度が前記上限以下であると、成分(A)と樹脂(B)とを良好に相溶化することができる樹脂(C)が得られ、引張強度、耐衝撃性および外観に優れる成形体を容易に形成できる樹脂組成物を得ることができることから好ましい。
[要件(8)]
要件(8)は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の立体規則性を規定し、具体的には、該共重合体(C−2)のトリアドタクティシティ(mm分率)を規定する。
例えば、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体において、このmm分率は、ポリマー鎖中に存在する3個の頭−尾結合したプロピレン単位連鎖を表面ジグザグ構造で表したとき、そのメチル基の分岐方向が同一である割合として定義され、下記のように13C−NMRスペクトルから求められる。
mm分率を13C−NMRスペクトルから求める際には、具体的には、
(i)頭−尾結合したプロピレンから導かれる構成単位3連鎖、および、
(ii)頭−尾結合したプロピレンから導かれる構成単位と1−ブテンから導かれる構成単位とからなり、かつ第2単位目にプロピレンから導かれる構成単位を含むプロピレン・1−ブテン3連鎖
中の第2単位目(プロピレン単位)の側鎖メチル基のピーク強度からmm分率を求めることができる。
以下に、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)のmm分率の測定方法について詳細に説明する。
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の13C−NMRスペクトルは、サンプル管中でプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)を、ロック溶媒として少量の重水素化ベンゼンを含むヘキサクロロブタジエンに完全に溶解させた後、得られた溶液を用い、120℃においてプロトン完全デカップリング法により測定される。
測定条件は、フリップアングルを45゜とし、パルス間隔を3.4T1以上(T1はメチル基のスピン格子緩和時間のうち最長の値)とする。メチレン基およびメチン基のT1は、メチル基のそれより短いので、この条件では試料中のすべての炭素の磁化の回復は99%以上である。ケミカルシフトは、テトラメチルシランを基準として、頭−尾結合したプロピレン単位5連鎖(mmmm)の第3単位目のメチル基炭素ピークを21.593ppmとして、他の炭素ピークはこれを基準とする。
このように測定されたプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の13C−NMRスペクトルのうち、プロピレン単位の側鎖メチル基が観測されるメチル炭素領域(約19.5〜21.9ppm)は、第1ピーク領域(約21.0〜21.9ppm)、第2ピーク領域(約20.2〜21.0ppm)、第3ピーク領域(約19.5〜20.2ppm)に分類される。
そしてこれら各領域内には、表1に示すような頭−尾結合した3連鎖(i)および(ii)中の第2単位目(プロピレン単位)の側鎖メチル基ピークが観測される。
Figure 0006289007
表1中、Pはプロピレンから導かれる単位、Bは1−ブテンから導かれる単位を示す。
表1に示される3連鎖がすべてプロピレン単位からなるPPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)についてメチル基の方向を下記に表面ジグザグ構造で示すが、α−オレフィン単位を含む3連鎖(PPB、BPB)のmm、mr、rr結合は、このPPPに準ずる。
Figure 0006289007
前記第1領域では、mm結合した3連鎖(PPP、PPB、BPB)中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。
前記第2領域では、mr結合した3連鎖(PPP、PPB、BPB)中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基およびrr結合した3連鎖(PPB、BPB)中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。
前記第3領域では、rr結合した3連鎖(PPP)の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。
したがって、プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)のトリアドタクティシティ(mm分率)は、前記3連鎖(i)および(ii)中の第2単位目のプロピレン単位の側鎖メチル基について、13C−NMRスペクトル(ヘキサクロロブタジエン溶液、テトラメチルシランを基準)を測定した場合であって、19.5〜21.9ppm(メチル炭素領域)に表れるピークの全面積を100%とした場合、21.0〜21.9ppm(第1領域)に表れるピークの面積の割合(百分率)として、下記式から求められる。
Figure 0006289007
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、このようにして求められるmm分率が通常90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上である。
メチル基Cに基づくピーク面積は、隣接するメチン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。メチル基Dに基づくピーク面積は、前記構造(iv)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3ppm付近および34.5ppm付近で共鳴)のピーク面積の和の1/2より求めることができ、メチル基D'に基づくピーク面積は、前記構造(v)メチル基E'のメチル基の隣接メチン基に基づくピーク(33.3ppm付近で共鳴)の面積より求めることができる。メチル基Eに基づくピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.7ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、メチル基E'に基づくピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。
したがって、これらのピーク面積を第2領域および第3領域の全ピーク面積より差し引くことにより、前記3連鎖(i)および(ii)に基づくメチル基のピーク面積を求めることができる。このため、前記式に従ってmm分率を求めることができる。なおスペクトル中の各炭素ピークは、文献(Polymer,30,1350(1989))を参考にして帰属することができる。
(共重合体(C−1)の製造方法)
前記共重合体(C−1)、好ましくはプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、プロピレンと、炭素数2または4〜10のα−オレフィン、好ましくは1−ブテンと、必要に応じて少量のその他のオレフィンとを、チーグラー触媒またはメタロセン化合物を含む触媒の存在下に共重合することにより好適に得ることができる。中でも、得られる樹脂組成物を成形する際のハンドリングの観点から、メタロセン化合物を含む触媒成分(以下「メタロセン化合物触媒成分」ともいう。)を用いて前記共重合体(C−1)を製造することが好ましく、例えば、WO2004/087775号やWO2001/27124号に記載の方法で製造することができる。
より好ましくは、前記共重合体(C−1)は、下記式(1a)で表される遷移金属化合物(1a)を含むメタロセン化合物触媒成分の存在下に、プロピレンと炭素数2または4〜10のα−オレフィンとを共重合して得られたものであることが望ましい。ここで、遷移金属化合物(1a)を含むメタロセン化合物触媒成分は、(2a)有機金属化合物(有機アルミニウムオキシ化合物を除く)、(2b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(2c)遷移金属化合物(1a)と反応してイオン対を形成する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、遷移金属化合物(1a)とともに含む成分であることが望ましい。
Figure 0006289007
(式(1a)中、R1およびR3は水素であり、R2およびR4は炭化水素基またはケイ素含有基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は水素、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5からR12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。R13とR14はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。Mは第4族遷移金属であり、Yは炭素原子であり、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、jは1〜4の整数である。)
上述の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、アリル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基;ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基などの環状不飽和炭化水素基が置換した飽和炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基、ピリル基、チエニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基等を挙げることができる。
ケイ素含有基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。
5からR12の少なくとも1つが水素以外の基である場合の、該R5からR12が結合した置換フルオレニル基としては、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基などを挙げることができる。
前記式(1a)において、シクロペンタジエニル環に置換するR2、R4は炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。中でも、R2はtert−ブチル基、アダマンチル基、トリフェニルメチル基のような嵩高い置換基であることがより好ましく、R4はメチル基、エチル基、n−プロピル基のようにR2より立体的に小さい置換基であることがより好ましい。ここでいう立体的に小さいとは、その置換基が占有する体積を指す。
前記式(1a)において、フルオレン環に置換するR5からR12のうち、R6、R7、R10、R11の任意の二つ以上は炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。特に配位子の合成上の容易さから、フルオレン環は左右対称、すなわちR6とR11およびR7とR10が同一の基であることが好ましい。このような好ましい様態の中には、R6とR7が脂肪族環(AR−1)を形成し、かつ、R10とR11が脂肪族環(AR−1)と同一な脂肪族環(AR−2)を形成している場合も含まれる。
前記一般式(1a)において、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環を架橋するYは炭素原子である。
前記一般式(1a)において、Mは第4族遷移金属であり、具体的にはTi、Zr、Hf等が挙げられる。jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよい。
また、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれる。
ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、炭化水素基の具体例としては前述と同様のものなどが挙げられる。
アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシなどのアルコキシ基、アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基、メシレート、トシレートなどのスルホネート基等が挙げられる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類等が挙げられる。Qは少なくとも1つがハロゲンまたはアルキル基であることが好ましい。
このような遷移金属化合物(1a)としては、たとえばジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、 ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前記化合物(2a)〜(2c)としては特に制限されないが、好ましくは、WO2004/087775号やWO2001/27124号に記載の化合物が挙げられ、その好適例として以下の化合物が挙げられる。
前記(2a)有機金属化合物としては、下記式(2a−1)〜(2a−3)で表される、第1、2、12または13族の金属を含む有機金属化合物が挙げられる。このような(2a)有機金属化合物は、1種単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(2a−1)式:Ra mAl(ORbnpqで表される有機アルミニウム化合物
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。例えば、mが2の場合には、式中には、2つのRaが存在するが、この場合、2つのRaは同一であっても異なっていてもよい。このことは、この式中の他の符号についても、本発明の他の式中の符号においても同様である。)
このような化合物の具体例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどを例示することができる。
(2a−2)式:M2AlRa 4で表される第1族金属とアルミニウムとの有機錯化合物
(式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す)
このような化合物としては、LiAl(C254、LiAl(C7154などを例示することができる。
(2a−3)式:Rab3で表される第2族または第12族金属を含む有機金属化合物
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである)
これらの(2a)有機金属化合物の中では、前記(2a−1)の有機アルミニウム化合物が好ましい。
(2b)有機アルミニウムオキシ化合物は、特に制限されず、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
この有機アルミニウムオキシ化合物(2b)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記1)〜3)の何れかの方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒を含む溶液として得られる。なお、前記アルミノキサンは、少量の該アルミノキサン以外の有機金属成分を含有してもよい。
1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
2)ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
前記アルミノキサンは、前記何れかの方法1)〜3)で得られたアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物等を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させたものでもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられ得る有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(2a−1)に属する有機アルミニウム化合物として例示した化合物と同一の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。アルミノキサンを調製する際に用いられ得る有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
前記ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物としては、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下である、ベンゼンに対して不溶性または難溶性である化合物が好ましい。
(2c)遷移金属化合物(1a)と反応してイオン対を形成する化合物としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許第5321106号明細書などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。このような化合物(2c)は、1種単独または2種以上組み合わせて用いられる。
前記共重合体(C−1)の製造においては、遷移金属化合物(1a)とともに、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(2b)を併用した触媒を用いると、特に高い重合活性で共重合体(C−1)が得られるため好ましい。
また、前記共重合体(C−1)の製造に用いる重合用触媒は、必要に応じて担体を用いたものであってもよく、その他の助触媒成分を含むものであってもよい。
前記共重合体(C−1)の製造の際には、共重合体の製造前に、予め前記各成分を混合した触媒を用いてもよいし、または前記成分を担体に担持させた触媒を用いてもよいし、共重合体の製造時に前記各成分を同時にまたは逐次に添加して触媒として作用させてもよい。
前記共重合体(C−1)は、好適には、上述の触媒の存在下に、プロピレンと、炭素数2または4〜10のα−オレフィン、特に好ましくは1−ブテンと、必要に応じて少量のその他のオレフィンとを共重合して得られる。共重合に際し、各モノマーは、製造する共重合体(C−1)中の各構成単位量が所望の比率となる量で用いられればよく、好ましくはプロピレン/α−オレフィンのモル比で50/50〜95/5、より好ましくは60/40〜92/8、さらに好ましくは70/30〜90/10の割合で用いることが望ましい。
前記共重合体(C−1)の共重合条件は、特に限定されるものではなく、例えば、重合温度は、通常、−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲、重合圧力は、通常、常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧とすることができる。また、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法でもよい。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うことも可能である。
前記共重合体(C−1)の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができ、触媒中の(2a)、(2b)または(2c)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量はモノマー1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
(共重合体(C−1)の変性)
前記樹脂(C)は、前記共重合体(C−1)を変性することにより得ることができる。
具体的には、例えば、前記共重合体(C−1)をそのまま変性し、樹脂(C)を得てもよく、該共重合体から、一旦、押出機等を用いてペレット状ないし顆粒状の組成物を得た後に、変性を行い、樹脂(C)を得てもよい。
なお、この変性に用いる共重合体(C−1)は、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
前記共重合体(C−1)の変性方法としては、通常は、前記共重合体(C−1)に極性モノマーをグラフト反応させることにより行われる。
(極性モノマー)
前記変性に用いる極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体などが挙げられる。
水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル、10−ウンデセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、2−メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセリンモノアルコールが挙げられる。
アミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、下記式で示されるようなアミノ基または置換アミノ基を少なくとも1種類有するビニル系単量体を挙げることができる。
Figure 0006289007
(式中、R1は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R2は、水素原子、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜8のシクロアルキル基である。なお前記のアルキル基、シクロアルキル基は、さらに置換基を有してもよい。)
このようなアミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類、アリルアミン、(メタ)アクリルアミン、N−メチル(メタ)アクリルアミン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアリルアミン系誘導体、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系誘導体、p−アミノスチレンなどのアミノスチレン類、6−アミノヘキシルコハク酸イミド、2−アミノエチルコハク酸イミドが挙げられる。
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、1分子中に重合可能なエチレン性不飽和結合およびエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーが用いられる。このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、マレイン酸のモノおよびジグリシジルエステル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、クロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノおよびグリシジルエステルなどのジカルボン酸モノおよびアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12)、p−スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドが挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸が挙げられる。
不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、前記不飽和カルボン酸の酸無水物、酸ハライド、アミド、イミド、エステルなどが挙げられ具体的には、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルが挙げられる。
前記不飽和カルボン酸またはその誘導体の中では、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましい。
前記極性モノマーとしては、市場から容易に入手することができ、かつ安価であることから不飽和カルボン酸またはその誘導体を用いることが好ましい。
すなわち、本発明に使用される樹脂(C)は、前記共重合体(C−1)、特に、前記共重合体(C−2)が不飽和カルボン酸またはその誘導体によりグラフト変性されたものであることが好ましい。
前記共重合体(C−1)に、前記のような極性モノマーをグラフト重合させる際には、共重合体(C−1)100重量%に対して、極性モノマーを通常0.1〜100重量%、好ましくは5〜80重量%の量で使用する。
このグラフト重合は、通常ラジカル開始剤の存在下に行なわれる。ラジカル開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などを用いることができる。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイドが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、アゾイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチロニトリルが挙げられる。
ラジカル開始剤は、前記共重合体(C−1)100重量%に対して、0.001〜10重量%程度の量で使用されることが望ましい。
ラジカル開始剤は、前記共重合体(C−1)および極性モノマーとそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。この有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。
例えば、この有機溶媒として、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンなどの脂環族炭化水素系溶媒、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレンなどの塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルおよびジメチルフタレートなどのエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒を用いることができる。
また、前記共重合体(C−1)に極性モノマーをグラフト重合させる際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、極性モノマーのグラフト量を向上させることができる。
還元性物質としては、鉄(II)イオン、クロムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、パラジウムイオン、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、さらには−SH、SO3H、−COCH(OH)−などの基や窒素元素含有基を含む化合物が挙げられる。
このような還元性物質としては、具体的には、塩化第一鉄、重クロム酸カリウム、塩化コバルト、ナフテン酸コバルト、塩化パラジウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、ヒドラジン、エチルメルカプタン、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
前記還元性物質は、前記共重合体(C−1)100重量%に対して、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の量で用いることができる。
前記共重合体(C−1)の極性モノマーによるグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、例えば、前記共重合体(C−1)を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを該溶液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることにより行うことができる。
前記有機溶媒は、前記共重合体(C−1)を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
また、押出機などを用いて、無溶媒で、前記共重合体(C−1)と極性モノマーとを反応させて、前記樹脂(C)を製造することもできる。
この反応は、共重合体(C−1)の融点以上、具体的には120〜250℃の温度で、通常0.5〜10分間行なわれることが望ましい。
このようにして得られる樹脂(C)の変性量(極性モノマーのグラフト量)は、樹脂(C)100重量%当たり、通常0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.3〜5重量%であることが望ましい。
<本発明の樹脂組成物の組成等>
本発明の樹脂組成物は、得られる成形体の耐衝撃性等の点から、前記成分(A)を70〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、より好ましくは70〜85重量%、樹脂(B)を1〜20重量%、好ましくは3〜18重量%、さらに好ましくは5〜15重量%、樹脂(C)を1〜20重量%、好ましくは3〜18重量%、さらに好ましくは5〜15重量%含む(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)。
本発明の樹脂組成物は、前記樹脂(C)を相溶化剤として特定量含むため、該樹脂組成物においては成分(A)と樹脂(B)とが良好に相溶化されており、該樹脂組成物は、引張強度および耐衝撃性に優れ、かつ外観に優れる成形体を容易に形成することができる。また、このような本発明の樹脂組成物では、成分(A)および樹脂(B)が本来有する物性、例えば低吸水性、耐熱性、耐薬品性、曲げ弾性を損なわれないため好ましい。
本発明の樹脂組成物には、前記成分(A)、樹脂(B)および(C)以外に、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、抗ブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤など所望の用途に応じ任意の添加剤が含まれていてもよい。
このような添加剤は、前記(A)、(B)および(C)の合計100重量%に対して、通常は0.01〜1重量%、好ましくは0.02〜0.6重量%の範囲で含まれる。
本発明の樹脂組成物の調製方法としては特に限定はなく、従来公知の任意の方法を採用することができ、例えば、V型ブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機により混合する方法、および、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の混練機により混練する方法が挙げられる。これらの方法は、組み合わせてもよいし、単独で採用してもよい。
得られた、本発明の樹脂組成物は、押出機等を用いてペレット状ないし顆粒状などに調製してもよく、そのまま成形を行い、成形体を得てもよい。
<成形体>
本発明の成形体は、前記樹脂組成物を成形して得られる。
本発明の成形体は、前記樹脂組成物から得られるため、引張強度および耐衝撃性に優れ、かつ外観に優れる。また寸法安定性にも優れている。さらに、成分(A)や樹脂(B)が本来有する物性、例えば低吸水性、耐熱性、耐薬品性、曲げ弾性等の物性も併せ持つ。このため、本発明の成形体は、自動車部品、家電部品、スポーツ用品等の様々な用途に使用可能であり、これらの用途に好適に使用される。
中でも、自動車部品や家電部品は耐熱性と耐薬品性が求められるため好ましい。なお、自動車部品としては例えば、ウィンドウォッシャ液の噴出口、ドアノックのノブ部分が挙げられ、家電部品としては例えば、電線用コネクターが挙げられる。
また、本発明には、前記成分(A)および樹脂(B)の相溶化剤として前記樹脂(C)を使用する方法が含まれる。より具体的に説明すれば、その方法は、成分(A)70〜95重量%および樹脂(B)1〜20重量%の相溶化剤として、樹脂(C)1〜20重量%を使用する方法である。ただし、前記(A)、(B)および(C)の使用量において、前記(A)、(B)および(C)の合計は100重量%である。
本発明に使用される樹脂(C)は、前記成分(A)と樹脂(B)とからなる樹脂組成物の相溶化剤として好適に使用することができる。
エンジニアリング樹脂、特にポリアミドは耐熱性が高いが、吸水性も高いため、吸水によって弾性率が低下し、また寸法安定性も悪くなる。それを補うために非極性の樹脂で、かつ比較的耐熱性のあるポリプロピレン系樹脂をポリアミドにブレンドし、樹脂組成物として用いることが従来行われている。
しかしながら、両者は極めて混ざり難く、該樹脂組成物の吸水は抑制できるが、エンジニアリング樹脂自体の有する物性を大きく損なう場合があった。
これに対し、本発明のように、前記成分(A)および樹脂(B)の相溶化剤として、前記樹脂(C)をそれぞれ特定量配合することで、エンジニアリングプラスチックの有する曲げ弾性、引張強度、引張伸び等の機械物性、耐熱性、耐薬品性等の物性を損なうことなく、吸水を抑制できる。従って寸法安定性に優れる成形体を形成することができる樹脂組成物が得られる。また、成分(A)と樹脂(B)とを、良好に相溶化させることができるため、本発明の樹脂組成物からは、表面状態が良好な成形体を得ることができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、各種性状の測定あるいは評価は次の方法により行った。
[1−ブテン含有量(M)]
プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)に含まれる、1−ブテンから導かれる構成単位の量である1−ブテン含有量(M)[モル%]を、13C−NMRにより求めた。
[メルトフローレート(MFR)]
プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)、変性プロピレン系樹脂(C1)およびプロピレン系樹脂(B1)のメルトフローレート(MFR)[g/10分]を、ASTM D1238に準拠し、2.16kg荷重にて測定した。なお、変性プロピレン系樹脂(C1)のMFRの測定は、190℃で行い、プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)およびプロピレン系樹脂(B1)のMFRの測定は、230℃で行った。
[分子量分布(Mw/Mn)]
プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の分子量分布(Mw/Mn)を、ミリポア社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。
分離カラムはTSK GNH HTを用い、カラムサイズは直径27mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)および酸化防止剤としてBHT(ジブチルヒドロキシトルエン、武田薬品(株)製)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500μlとし、検出器として示差屈折計を用いた。
分子量がMw<1000およびMw>4×106の重合体については東ソー(株)製標準ポリスチレンを用い、1000≦Mw≦4×106の重合体についてはプレッシャーケミカル(株)製標準ポリスチレンを用いた。
[融点(Tm)、融解熱量(ΔH)]
プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)、エンジニアリングプラスチック(A1)およびプロピレン系樹脂(B1)の融点(Tm)および融解熱量(ΔH)を、パーキンエルマー(株)製DSC−7型装置(示差走査型熱量計(DSC))を用いて測定した。
200℃に設定した加熱プレス機にて試料を4分間予備加熱し、1mm厚みとなるように3分間プレスした。1mm厚みに可塑化させたシート状の試料を20℃に設定した冷却プレスに4分間挟んで冷却し、固化させた。得られたシート状の試料を固化させてから1週間以上、室温で放置し、シート中心部から5mgを採取してアルミパンに詰め、前記DSC測定装置にセットした。窒素雰囲気下、20℃から200℃に10℃/分で昇温させる条件で観測される吸熱曲線から、ピーク位置を融点(Tm)、ピーク面積を試料重量で割った値を融解熱量(ΔH)とした。
[密度]
変性プロピレン系樹脂(C1)の密度は、ASTM D1505に準拠して密度勾配管を用いて温度23℃で測定した。
[マレイン酸変性量]
変性プロピレン系樹脂(C1)のマレイン酸変性量は、エレメンタール社製元素分析装置Vario EL IIIにより酸素含有量を求め、その値をマレイン酸含有量に換算することで求めた。
[成形性]
樹脂組成物の成形性は、蚊取り線香様の渦巻き溝をもつ射出成形用金型を用いて、樹脂組成物が流れる長さを測定し、流動性を評価した。結果を表2または3に示す。
[引張降伏点強度、引張降伏点伸び、破断点伸びおよび引張弾性率]
樹脂組成物を用い、シリンダー温度を245℃、金型温度を80℃とした50t型締力の射出成形機にて、ASTMIV号ダンベル状、大きさ114mm×18.3mm、厚さ2mmの試験片を成形し、ASTM D638に準拠して、温度23℃、引張速度50mm/分で前記試験片の引張降伏点強度、引張降伏点伸び、破断点伸びおよび引張弾性率を測定した。結果を表2または3に示す。
[曲げ強度および曲げ弾性率]
樹脂組成物を用い、シリンダー温度を245℃、金型温度を80℃とした50t型締力の射出成形機にて、大きさ100mm×100mm、厚さ2mmの試験片を成形し、ASTM D790に準拠して、温度23℃、曲げ速度5mm/分で前記試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。結果を表2または3に示す。
[Izod衝撃強度]
樹脂組成物を用い、シリンダー温度を245℃、金型温度を80℃とした50t型締力の射出成形機にて、大きさ62.3mm×12.4mm、厚さ3mmのIzod衝撃試験用ノッチ付き試験片を成形し、ASTM D256に準拠して温度23℃、0℃および−23℃で前記試験片のIzod衝撃強度を測定した。結果を表2または3に示す。
[合成例1:メタロセン触媒]
(1)1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエンの調製
窒素雰囲気下でtert−ブチルマグネシウムクロライド/ジエチルエーテル溶液(450ml、0.90mol、2.0mol/l溶液)に脱水ジエチルエーテル(350ml)を加えた。得られた溶液に、氷冷下で0℃を保ちながら3−メチルシクロペンテノン(43.7g、0.45mol)の脱水ジエチルエーテル(150ml)溶液を滴下し、さらに室温で15時間攪拌した。反応溶液に塩化アンモニウム(80.0g、1.50mol)の水(350ml)溶液を、氷冷下で0℃を保ちながら滴下した。この溶液に水(2500ml)を加え攪拌した後、有機層を分離して水で洗浄した。この有機層に、氷冷下で0℃を保ちながら10%塩酸水溶液(82ml)を加えた後、室温で6時間攪拌した。この反応液の有機層を分離し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水および飽和食塩水それぞれをこの順で用い、順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤を濾過し、濾液から溶媒を留去して液体を得た。この液体を減圧蒸留(45〜47℃/10mmHg)することにより14.6gの淡黄色の液体を得た。得られた液体の分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS(テトラメチルシラン)基準)δ6.31+6.13+5.94+5.87(s+s+t+d、2H)、3.04+2.95(s+s、2H)、2.17+2.09(s+s、3H)、1.27(d、9H)。
(2)3−tert−ブチル−1,6,6−トリメチルフルベンの調製
窒素雰囲気下で1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエン(13.0g、95.6mmol)の脱水メタノール(130ml)溶液に、氷冷下で0℃を保ちながら脱水アセトン(55.2g、950.4mmol)を滴下し、さらにピロリジン(68.0g、956.1mmol)を滴下した後、室温で4日間攪拌した。反応液をジエチルエーテル(400ml)で希釈後、水(400ml)を加えた。有機層を分離し、該有機層を0.5Nの塩酸水溶液(150ml)で4回、水(200ml)で3回、および飽和食塩水(150ml)で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤を濾過し、濾液から溶媒を留去して液体を得た。この液体を減圧蒸留(70〜80℃/0.1mmHg)することにより10.5gの黄色の液体を得た。得られた液体の分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)δ6.23(s、1H)、6.05(d、1H)、2.23(s、3H)、2.17(d、6H)、1.17(s、9H)。
(3)2−(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−2−フルオレニルプロパンの調製
フルオレン(10.1g、60.8mmol)のテトラヒドロフラン(THF、300ml)溶液に、氷冷下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(40ml、61.6mmol)を窒素雰囲気下で滴下し、さらに室温で5時間攪拌した(濃褐色溶液)。この溶液を再度氷冷し、3−tert−ブチル−1,6,6−トリメチルフルベン(11.7g、66.5mmol)のTHF(300ml)溶液を窒素雰囲気下で滴下した。反応溶液を室温で14時間攪拌した後に得られた褐色溶液を氷冷し、水(200ml)を加えた。得られた溶液をジエチルエーテルで抽出、分離し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、濾液から溶媒を減圧下で除去して橙褐色オイルを得た。このオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製して3.8gの黄色オイルを得た。得られたオイルの分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)δ7.70(d、4H)、7.34−7.26(m、6H)、7.18−7.11(m、6H)、6.17(s、1H)、6.01(s、1H)、4.42(s、1H)、4.27(s、1H)、3.01(s、2H)、2.87(s、2H)、2.17(s、3H)、1.99(s、3H)、2.10(s、9H)、1.99(s、9H)、1.10(s、6H)、1.07(s、6H)。
(4)ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドの調製
氷冷下で2−(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−2−フルオレニルプロパン(1.14g、3.3mmol)のジエチルエーテル(25ml)溶液にn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(5.0ml、7.7mmol)を窒素雰囲気下で滴下し、さらに室温で14時間攪拌して桃色スラリーを得た。このスラリーに−78℃でジルコニウムテトラクロライド(0.77g、3.3mmol)を加え、−78℃で数時間攪拌し、室温で65時間撹拌した。得られた黒褐色スラリーを濾過し、濾物をジエチルエーテル10mlで洗浄した後、ジクロロメタンで抽出して赤色溶液を得た。この溶液の溶媒を減圧留去して0.53gの赤橙色の固体状のメタロセン触媒であるジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドを得た。得られた固体状物の分析値を以下に示す。
1H−NMR(270MHz、CDCl3中、TMS基準)δ8.11−8.02(m、3H)、7.82(d、1H)、7.56−7.45(m、2H)、7.23−7.17(m、2H)、6.08(d、1H)、5.72(d、1H)、2.59(s、3H)、2.41(s、3H)、2.30(s、3H)、1.08(s、9H)。
[製造例1:メタロセン触媒によるプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)の調製]
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、875mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン75gおよびトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を65℃に昇温し、プロピレンで0.7MPaに加圧した。次いで、合成例1で得られたメタロセン触媒であるジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド0.002mmolと、アルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)とを接触させたトルエン溶液を重合器内に添加した。重合器の内温65℃、プロピレン圧0.7MPaを保ちながら30分間重合した後、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出させ、真空下130℃で、12時間乾燥し、プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)を得た。
得られたプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、15.2gであった。プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)は、1−ブテン含量(M):27.1モル%、メルトフローレート(MFR):6.5g/10分、分子量分布(Mw/Mn):2.11、融点(Tm):76.2℃、および、融解熱量(ΔH):48J/gであった。また、前記要件(4)の式:−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155については、Mが27.1であるから、前記式は、59.5≦Tm≦92.7となり、Tm:76.2を満たす。
[実施例1]
[変性プロピレン系樹脂(C1)の調製]
前記製造例1を繰り返し行うことで得られたプロピレン・1−ブテン共重合体(C−2);5kg、無水マレイン酸;60g、および反応開始剤として、日本油脂(株)製パーヘキサ25B(1分間半減温度が179.8℃)25gをヘンシェルミキサーを用いてブレンドした。次いで、該ブレンド物を30mmφの二軸押出機を用いて温度230℃で溶融混練することで、変性プロピレン系樹脂(C1)を得た。得られた変性プロピレン系樹脂(C1)のMFR(190℃、2.16kg)は、300g/10minであり、密度は886kg/m3であり、マレイン酸含有量は樹脂(C1)あたり、0.7wt%であった。
[樹脂組成物(1)の調製]
エンジニアリングプラスチック(A1)として、東レ(株)製アミランCM1017(ポリアミド6、Tm=225℃);4.5kg、プロピレン系樹脂(B1)として、プライムポリマー(株)製、プライムポリプロ J136(ホモポリマー、Tm=160℃、MFR(230℃、2.16kg)=20g/10min);0.25kg、および変性プロピレン系樹脂(C1)0.25kgを、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドした。その後、30mmφの二軸押出機を用いてそれらを溶融混練することで樹脂組成物(1)を得た。
[実施例2および3]
[樹脂組成物(2)および(3)の調製]
実施例1において、各成分の配合割合を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物(2)および(3)を得た。
[実施例4]
[樹脂組成物(4)の調製]
実施例1において、プロピレン系樹脂(B1)として、プライムポリプロ J136の代わりに、プライムポリマー(株)製、プライムポリプロ J139(ホモポリマー、Tm=160℃、MFR(230℃、2.16kg)=61g/10min)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(4)を得た。
[実施例5および6]
[樹脂組成物(5)および(6)の調製]
実施例4において、各成分の配合割合を表2に示すように変更した以外は実施例4と同様にして、樹脂組成物(5)および(6)を得た。
[比較例1]
東レ(株)製アミランCM1017(ポリアミド6、Tm=225℃)の、成形性、引張降伏点強度、引張降伏点伸び、曲げ強度、曲げ弾性率、およびIzod衝撃強度を評価した結果を表3に示す。
[比較例2]
[樹脂組成物(7)の調製]
エンジニアリングプラスチック(A1)として、東レ(株)製アミランCM1017(ポリアミド6、Tm=225℃);4.0kg、および変性プロピレン系樹脂(C1)1.0kgを、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドした。その後、30mmφの二軸押出機を用いてそれらを溶融混練することで樹脂組成物(7)を得た。
[比較例3]
[樹脂組成物(8)の調製]
エンジニアリングプラスチック(A1)である、東レ(株)製アミランCM1017;4.0kg、およびプロピレン系樹脂である、プライムポリマー(株)製、プライムポリプロ CJ700(ホモポリマー、Tm=160℃、MFR(230℃、2.16kg)=10g/10min);1.0kgを、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドした後、30mmφの二軸押出機を用い溶融混練することで樹脂組成物(8)を得た。
[比較例4]
[樹脂組成物(9)の調製]
実施例1において、プロピレン系樹脂として、プライムポリプロ J136の代わりに、プライムポリマー(株)製、プライムポリプロ CJ700(ホモポリマー、Tm=160℃、MFR(230℃、2.16kg)=10g/10min)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(9)を得た。
[比較例5および6]
[樹脂組成物(10)および(11)の調製]
比較例4において、各成分の配合割合を表3に示すように変更した以外は比較例4と同様にして、樹脂組成物(10)および(11)を得た。
[参考例1]
[樹脂組成物(12)の調製]
実施例1において、プロピレン系樹脂として、プライムポリプロ J136の代わりに、プライムポリマー(株)社製、プライムポリプロ J106MG(ホモポリマー、Tm=160℃、MFR(230℃、2.16kg)=16g/10min)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(12)を得た。
[参考例2および3]
[樹脂組成物(13)および(14)の調製]
参考例1において、各成分の配合割合を表3に示すように変更した以外は参考例1と同様にして、樹脂組成物(13)および(14)を得た。
Figure 0006289007
Figure 0006289007
表2および3から、実施例1〜6で得られた樹脂組成物によれば、剛性、強度および耐衝撃性にバランスよく優れる成形体を得ることができたことが分かる。一方、比較例および参考例で得られた樹脂組成物は、剛性、強度は良好だが耐衝撃性の劣る成形体、あるいは耐衝撃性は良好だが剛性、強度の劣る成形体であった。

Claims (9)

  1. エンジニアリングプラスチック(A)70〜95重量%、ポリプロピレン系樹脂(B)1〜18重量%および変性プロピレン系樹脂(C)1〜20重量%(ただし、前記(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)を含み、前記ポリプロピレン系樹脂(B)のメルトフローレート(ASTM D1238に準拠し、温度230℃、2.16kg荷重にて測定)が20g/10分以上であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記エンジニアリングプラスチック(A)が、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂(B)が、プロピレンホモポリマー、または、プロピレンと炭素数2もしくは4〜10のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリプロピレン系樹脂(B)の示走査熱量測定(DSC)により測定される融点(Tm)が120℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記変性プロピレン系樹脂(C)が、プロピレンと炭素数2もしくは4〜10のα−オレフィンとの共重合体(C−1)を不飽和カルボン酸またはそのエステルでグラフト変性した樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記共重合体(C−1)が、プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)であることを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)が、
    (1)プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%および1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%含有し(ただし、これらの構成単位の合計を100モル%とする。)、
    (2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、
    (3)DSCにより測定されるTmが110℃以下であるかまたはDSCにより融点ピークが観測されない
    ことを特徴とする請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記プロピレン・1−ブテン共重合体(C−2)が、
    (4)DSCにより測定されるTm(℃)と1−ブテンから導かれる構成単位含量M(モル%)との関係が下記式
    −2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155
    を満たすことを特徴とする請求項6または7に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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