JP4684453B2 - オレフィン系ブロック共重合体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン系ブロック共重合体に関し、さらに詳しくは、例えば樹脂などの改質剤として用いることができるようなオレフィン系ブロック共重合体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
樹脂の改質剤としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、塩酸吸収剤などの安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、防曇剤、難燃剤、滑剤などの機能性付与剤、核剤、フィラー、ゴム、可塑剤などの物性付与剤などがあり、その用途により様々に使い分けられている。また、樹脂同士の特性を補完するために様々なポリマーアロイが提案されており、その物性を高めるための相溶化剤も改質剤の一つである。
【0003】
しかしながら、上記のような改質剤の中で、帯電防止剤、防曇剤などの改質剤は、親水性が高いため、ポリオレフィンに添加した場合、必ずしもなじみがよくないため、表面から除去されやすく、効果が長期間持続しにくいなどの問題があり改善が望まれていた。また、耐熱安定剤、耐候安定剤などの改質剤においても、同様になじみがよくなく、ブリードアウトによる外観低下を招く、安定化効果が持続しないといった問題点があった。
【0004】
また、ポリオレフィンにおいては、耐熱性、剛性、強度などの物性を付与するために様々なポリマーアロイが提案されている。しかしながら、極性の高い高分子とのブレンドは、分散性が悪く、得られるポリマーアロイの物性は必ずしも良好とはいえなかった。そのため、無水マレイン酸で変性したポリオレフィンを添加するなどして分散性を改良する検討が行われてきたが、必ずしも満足の得られるポリマーアロイは得られてなかった。
【0005】
一方、ポリスチレンやポリ塩化ビニル、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリメチルメタクリレートなどの透明樹脂においては、耐衝撃性が低いという問題があった。このため、ブタジエンゴムやメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体などが耐衝撃性改良材として用いられることがあったが、通常は非相溶の耐衝撃セグメントが大きなドメインを形成してしまい、その結果、透明性が低下する問題があり解決が望まれていた。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、樹脂との親和性、分散性に優れた改質剤となりうるようなオレフィン系ブロック共重合体を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体(1)は、下記一般式(I)で表されることを特徴としている;
PO-f-R …(I)
(式中、POは炭素原子数2〜20のオレフィンから導かれる繰返し単位からなり、重量平均分子量が2,000未満であるポリオレフィンセグメントを示し、
fはエーテル結合、エステル結合またはアミド結合を示し、
Rは連鎖重合反応で得られる官能性セグメントを示す。)。
【0008】
また本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体(2)は、下記一般式(II)で表されることを特徴としている;
PO-f-R-(X)n-h …(II)
(式中、POは、炭素原子数が2〜20のオレフィンから導かれる繰返し単位からなり、重量平均分子量が2,000未満であるポリオレフィンセグメントを示し、
fはエーテル結合、エステル結合またはアミド結合を示し、
Rは連鎖重合反応で得られる官能性セグメントを示し、
Xはエステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、尿素結合、シリルエーテル結合もしくはカルボニル結合、またはこれらから選ばれる少なくとも1種の結合を含む2価の基を示し、
hはアミノ基、ハロゲン原子、イソシアネート基、アルデヒド基、水酸基、カルボン酸基、酸無水基、シラノール基、スルフォン酸基、エポキシ基から選ばれる極性基を示し、
nは0または1を示す。)
上記POは、例えば炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを配位アニオン重合で重合または共重合することにより得られたものである。このPOは、炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状α-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンを重合または共重合して得られたものであることが好ましい。
【0009】
上記POは、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることが好ましい。
上記Rは、例えば少なくとも1種のラジカル重合性モノマーをラジカル重合反応させることにより得られたものである。上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば不飽和カルボン酸およびその誘導体、芳香族ビニル化合物、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、窒素含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどが挙げられる。
【0010】
また上記Rは、例えば少なくとも1種の環状モノマーを開環重合反応させることにより得られたものである。上記環状モノマーとしては、例えばラクトン、ラクタム、2-オキサゾリンおよび環状エーテルが挙げられる。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体について具体的に説明する。
本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体は、ポリオレフィンセグメントと官能性セグメントを含むブロック共重合体であって、下記一般式(I)または(II)で表される。
【0012】
PO-f-R …(I)
PO-f-R-(X)n-h …(II)
上記一般式(I)および(II)中、POは、炭素原子数が2〜20のオレフィンから導かれる繰返し単位からなるポリオレフィンセグメントであり、具体的には炭素原子数が2〜20のオレフィンから選ばれるオレフィンの単独重合体または共重合体である。このポリオレフィンセグメントが立体規則性を有する場合は、アイソタクティックポリオレフィン、シンジオタクティックポリオレフィンのいずれであってもよい。
【0013】
炭素原子数が2〜20のオレフィンとしては、例えば直鎖状または分岐状のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエンなどが挙げられる。
直鎖状または分岐状のα-オレフィンとして具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10のものが挙げられる。
【0014】
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素原子数が3〜20、好ましくは5〜15のものが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、およびα-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレンが挙げられる。
【0015】
共役ジエンとしては、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエンなどの炭素原子数が4〜20、好ましくは4〜10のものが挙げられる。
非共役ポリエンとしては、例えば1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペンル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエンなどの炭素原子数5〜20、好ましくは5〜10のものが挙げられる。
【0016】
このポリオレフィンセグメントは、重量平均分子量が2,000未満であることが好ましく、500〜1800の範囲にあることが好ましい。
またポリオレフィンセグメントは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めた分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下、好ましくは2.3であることが望ましい。
【0017】
ポリオレフィンセグメントは、示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度(Tg)が、通常150℃以下、好ましくは−100〜100℃、より好ましくは−80〜40℃の範囲にあることが好ましい。
ポリオレフィンセグメントとしては、炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状α-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンを重合または共重合して得られたセグメントが好ましく、具体的にはエチレン単独重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体などのエチレン系重合体;プロピレン単独重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体などのプロピレン系重合体;ブテン単独重合体、ブテン・エチレン共重合体などのブテン系重合体;4-メチル-1-ペンテン単独重合体などの4-メチル-1-ペンテン系重合体などが好ましい。
【0018】
上記一般式(I)および(II)中、fは、エーテル結合、エステル結合またはアミド結合であり、これらのうちエーテル結合であることが好ましい。このf部は、上記ポリオレフィンセグメントと下記官能性セグメントとを化学的に結合している。
なおfには、下記連鎖重合反応、例えばラジカル重合反応、開環重合反応またはイオン重合反応で形成された構造の一部が含まれる場合がある。
【0019】
上記一般式(I)および(II)中、Rはラジカル重合反応、開環重合反応またはイオン重合反応で得られる官能性セグメントであり、不飽和炭化水素を含む繰返し単位および/またはヘテロ原子を含む繰返し単位を含む官能性セグメントであることが好ましく、ラジカル重合反応または開環重合反応で得られることがより好ましい。また上記POとRとは、異なる重合体からなるセグメントであることが好ましい。
【0020】
この官能性セグメントは、少なくとも1種の連鎖重合性モノマーを連鎖重合する、例えば少なくとも1種のラジカル重合性モノマーをラジカル重合するか、少なくとも1種以上の環状モノマーを開環重合するか、または少なくとも1種のイオン重合性モノマーをイオン重合することによって得ることができる。
ラジカル重合に用いられるラジカル重合性モノマーとしては、不飽和カルボン酸およびその誘導体、芳香族ビニル化合物、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、窒素含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどが挙げられる。
【0021】
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などが挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物およびこれらの酸ハライド、アミド、イミド、エステルなどの誘導体が挙げられる。
【0022】
具体的な化合物の例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどを挙げることができる。これらの中では、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましい。
【0023】
芳香族ビニル化合物としては、例えば下記式で表される化合物が挙げられる。
【0024】
【化1】
Figure 0004684453
【0025】
上記式において、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基が挙げられる。また、R3は炭素原子数1〜3の炭化水素基またはハロゲン原子を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの炭素原子数1〜3の炭化水素基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。また、nは通常は0〜5、好ましくは1〜5の整数を表す。
【0026】
上記式で表される芳香族ビニル化合物の具体的な例としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロメチルスチレンなどが挙げられる。
また上記式で表されるもの以外の芳香族ビニル化合物の具体的な例としては、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、2-イソプロペニルピリジン、2-ビニルキノリン、3-ビニルイソキノリン、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0027】
ビニルエステル化合物の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p-t-ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどが挙げられる。
【0028】
水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;10-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2-ブテン-1,4-ジオール、グリセリンモノアルコールなどが挙げられる。
【0029】
窒素含有エチレン性不飽和化合物としては、例えばエチレン性二重結合とアミノ基を有するアミノ基含有エチレン性不飽和化合物が挙げられ、このような化合物としては、次式で表されるアミノ基および置換アミノ基を少なくとも1種類有するビニル系単量体を挙げることができる。
【0030】
【化2】
Figure 0004684453
【0031】
式中、R4は水素原子、メチル基またはエチル基を示し、R5は、水素原子、炭素原子数1〜12、好ましくは1〜8のアルキル基、または炭素原子数6〜12、好ましくは6〜8のシクロアルキル基である。なお上記のアルキル基、シクロアルキル基は、さらに置換基を有してもよい。
このようなアミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的には、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類;N-ビニルジエチルアミンおよびN-アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類;アリルアミン、メタクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチルアクリルアミド、およびN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアリルアミン系誘導体;アクリルアミドおよびN-メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体;p-アミノスチレンなどのアミノスチレン類;6-アミノヘキシルコハク酸イミド、2-アミノエチルコハク酸イミドなどが用いられる。
【0032】
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物は、1分子中に重合可能な不飽和結合およびエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーであり、このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物として具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、マレイン酸のモノおよびジグリシジルエステル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、クロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタコン酸のモノおよびグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノおよびグリシジルエステルなどのジカルボン酸モノおよびアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合は、アルキル基の炭素原子数は1〜12。)、p-スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどが挙げられる。
【0033】
これらのラジカル重合性モノマーの中でも、芳香族ビニル誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、無水マレイン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、9-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミド、イソブチルビニルエーテル、イソブテンなどが好ましい。さらには、スチレン、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、酢酸ビニル、ビニルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、塩化ビニルが好ましい。
【0034】
開環重合に用いられる環状モノマーとしては、例えばラクトン、ラクタム、2-オキサゾリン、環状エーテルなどが挙げられる。
具体的には、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、グリコライド、ラクチド、ε-カプロラクトン、α-ピロリドン、γ-ブチロラクタム、ε-カプロラクタム、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。
【0035】
これらの中でもε-カプロラクトン、ε-カプロラクタム、エチレンオキサイドが好ましい。
また、イオン重合に用いられるイオン重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリルアミドなどのアニオン重合性モノマーなどが挙げられる。
【0036】
この官能性セグメントは、重量平均分子量(Mw)が500以上であることが好ましく、500〜1,000,000の範囲にあることがより好ましく、500〜100,000の範囲にあることがさらに好ましく、500〜50,000の範囲にあることが特に好ましい。
官能性セグメントは、オレフィン系ブロック共重合体に対して、通常20〜99.99重量%、好ましくは20〜99重量%、より好ましくは20〜95重量%、特に好ましくは20〜90重量%での量で含まれることが望ましい。
【0037】
上記一般式(II)中Xは、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、尿素結合、シリルエーテル結合もしくはカルボニル結合、またはこれらから選ばれる少なくとも1種の結合を含む2価の基を示す。
nは0または1である。
上記一般式(II)中hは、アミノ基、ハロゲン原子、イソシアネート基、アルデヒド基、水酸基、カルボン酸基、酸無水基、シラノール基、スルフォン酸基、エポキシ基から選ばれる極性基である。
【0038】
本発明のオレフィン系ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238、230℃、荷重2.16kg)は、通常0.01〜5000g/10分、好ましくは0.05〜1000g/10分、さらに好ましくは0.1〜500g/10分であることが望ましい。
本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体として具体的には、例えば以下のようなものがある。
【0039】
PO部が分子量500以上2,000未満のアイソタクティックポリプロピレンセグメントであり、R部が分子量500〜10,000のポリカプロラクタムセグメントであるブロック共重合体。このようなブロック共重合体はポリプロピレンとナイロン樹脂の相溶化剤として好適である。
PO部が分子量500以上2,000未満、エチレン含有量が10〜90モル%のエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとのランダム共重合体セグメントであり、R部が分子量500〜10,000のポリカプロラクタムセグメントであるブロック共重合体。このようなブロック共重合体はナイロン樹脂の耐衝撃性改良材、またはナイロン樹脂と軟質ポリオレフィンとの相溶化剤として好適である。
【0040】
PO部が、分子量500以上2,000未満、エチレン含有量が10〜90モル%のエチレン・プロピレンランダム共重合体セグメントであり、R部が分子量500〜50,000のポリスチレンセグメントであるブロック共重合体。このようなブロック共重合体はポリスチレンの透明性を低下させない耐衝撃性改良剤やポリスチレンと軟質ポリオレフィンとの相溶化剤として好適である。
【0041】
PO部が、分子量500以上2,000未満、エチレン含有量が10〜90モル%のエチレン・プロピレンランダム共重合体セグメントであり、R部が分子量500〜10,000のポリメチルメタクリレートセグメントであるブロック共重合体。このようなポリメチルメタクリレートの透明性を低下させない耐衝撃性改良剤やポリメチルメタクリレートと軟質ポリオレフィンとの相溶化剤として好適である。
【0042】
PO部が、分子量500以上2,000未満、エチレン含有量が90〜100モル%のポリエチレンセグメント、R部が分子量500〜10000のポリエチレンオキサイドセグメントであるブロック共重合体。このようなブロック共重合体は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムの長期防曇剤や高密度ポリエチレン(HDPE)の長期帯電防止剤として好ましい。
【0043】
製造方法
本発明に係る上記一般式(I)で表されるオレフィン系ブロック共重合体(1)は、例えば、まず末端に13族元素が結合したポリオレフィンを製造し、次いで該ポリオレフィンの存在下に、連鎖重合反応、例えばラジカル重合反応、開環重合反応、イオン重合反応などの活性種を形成させてこれらの反応を行うことにより製造することができる。
【0044】
末端に13族元素が結合したポリオレフィンは、遷移金属による配位重合により製造することができ、例えば従来公知のオレフィン重合用触媒の存在下に、上述したような炭素原子数2〜20のオレフィンを単独重合または共重合させる。ここで製造されるポリオレフィンが、オレフィン系ブロック共重合体(1)のポリオレフィンセグメント(以下「PO部」ということがある。)となる。
【0045】
従来公知のオレフィン重合用触媒としては、TiCl3系触媒、MgCl2担持型TiCl4系触媒、メタロセン系触媒、ポストメタロセン系触媒などが挙げられ、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。
好ましく用いられるメタロセン系触媒としては、従来公知のメタロセン系触媒が挙げられ、メタロセン系触媒の例としては、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属のメタロセン化合物が挙げられる。メタロセン化合物は、使用条件下で液状のものでも固体状のものでも使用することができる。また、これらは単一化合物である必要はなく、他の化合物に担持されていてもよいし、他の化合物との均質混合物であってもよく、さらに他の化合物との錯化合物や複化合物であってもよい。
【0046】
ポリオレフィンの製造には、従来公知のメタロセン系触媒の中でも、C2対称またはC1対称を有するキラルな構造のメタロセン化合物を使用することが好ましい。
C2対称を有するキラルな構造のメタロセン化合物としては、rac-エチレン-ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-エチレン-ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス[1-(4-フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス[1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-メチル-4-(1-ナフチル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-メチル-4-(2-ナフチル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-メチル-4-(1-アントラセニル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-メチル-4-(9-アントリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-メチル-4-(o-クロロフェニル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-メチル-4-(ペンタフルオロフェニル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス[1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-エチル-4-(1-ナフチル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス[1-(2-n-プロピル-4-フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-n-プロピル-4-(1-ナフチル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス{1-[2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリドなどを好ましい例として挙げることができる。
【0047】
C1対称を有するキラルな構造のメタロセン化合物としては、エチレン[2-メチル-4-(9-フェナントリル)-1-インデニル](9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[2-メチル-4-(9-フェナントリル)-1-インデニル](2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(9-フルオレニル)(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(9-フルオレニル)(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを好ましい例として挙げることができる。
【0048】
また、従来公知のメタロセン化合物の中で好ましくは使用されるメタロセン化合物としては、置換シクロペンタジエニル基を1個のみ有するメタロセン化合物も挙げられる。
例えば(第3級ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルジルコニウムジクロリド、(第3級ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルチタンジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルジルコニウムジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルチタンジクロリド、(エチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)メチレンチタンジクロリド、(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド、(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド、(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジルなど。
【0049】
さらに従来公知のメタロセン化合物の中で好ましくは使用されるメタロセン化合物としては、置換シクロペンタジエニル基を2個有し、この2個のシクロペンタジエニルが(置換)アルキレン、(置換)シリレンなどの結合基で結合されていないメタロセン化合物も挙げられる。
例えば、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0050】
上記メタロセン化合物は、単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよく、TiCl3系触媒、MgCl2担持型TiCl4系触媒、ポストメタロセン系触媒などの他のオレフィン系重合用触媒と組み合わせて用いてもよい。
ポリオレフィンの製造の際には、メタロセン化合物は、下記有機金属触媒成分と組み合わせて使用される。また、TiCl3系触媒、MgCl2担持型TiCl4系触媒またはポストメタロセン系触媒が使用される場合も下記有機金属触媒成分と組み合わせて使用される。
【0051】
ポストメタロセン触媒は、窒素原子または酸素原子を配位子中に含有する遷移金属錯体であり、該遷移金属錯体としては従来公知のものが好ましく使用される。ポストメタロセン触媒触媒の例としては、以下の文献に記載されているような遷移金属錯体が挙げられる。
1) M.Brookhart et al.,J.Am.Chem.Soc.1995,117,6414-6415
2) M.Brookhart et al.,J.Am.Chem.Soc.1996,118,267-268
3) D.H.McConville et al.,Macromolecules 1996,29,5241-5243
4) R.F.Jordan et al.,Organometallics 1997,16,3282-3302
5) R.H.Grubbs et al.,Organometallics 1998,17,3149-3151
6) S.Collins et al.,Organometallics 1999,18,2731-2733
7) M.S.Eisen et al.,Organometallics 1998,17,3155-3157
8) M.S.Eisen et al.,J.Am.Chem.Soc.1998,120,8640-8636
9) R.F.Jordan et al.,J.Am.Chem.Soc.1997,119,8125-8126
10) K.Hakala et al.,Macromol.Rapid Commun.18,634-638(1997)
有機金属触媒成分は、周期表第13族から選ばれる元素を含むものが好ましく、中でも、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、周期表第1族元素とアルミニウムまたはホウ素との錯アルキル化合物などが好ましく挙げられる。
【0052】
有機アルミニウム化合物としては、例えば、下記一般式で示される化合物を例示することができる。
a nAlX3-n
(式中、Raは炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、Xはハロゲンまたは水素を示し、nは0〜3である。)
aは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルなどである。
【0053】
このような有機アルミニウム化合物として具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0054】
また有機アルミニウム化合物として、下記一般式で示される化合物を用いることもできる。
a nAlY3-n
上記式において、Raは上記と同様であり、
Yは、−ORb基、−OSiRc 3基、−OAlRd 2基、−NRe 2基、−SiRf 3基または−N(Rg)AlRh 2基であり、nは1〜2であり、Rb、Rc、RdおよびRhは、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、シクロヘキシル、フェニルなどであり、Reは水素原子、メチル、エチル、イソプロピル、フェニル、トリメチルシリルなどであり、RfおよびRgはメチル、エチルなどである。
【0055】
このような有機アルミニウム化合物として具体的には、以下のような化合物を例示できる。
(i)Ra nAl(ORb3-n で表される化合物、例えば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、
(ii)Ra nAl(OSiRc3-n で表される化合物、例えば
Et2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiEt3)など、
(iii)Ra nAl(OAlRd 23-n で表される化合物、例えば
Et2AlOAlEt2、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2 など、
(iv)Ra nAl(NRe 23-n で表される化合物、例えば
Me2AlNEt2、Et2AlNHMe、Me2AlNHEt、Et2AlN(Me3Si)2、(iso-Bu)2AlN(Me3Si)2 など、
(v)Ra nAl(SiRf 3)3-n で表される化合物、例えば
(iso-Bu)2AlSiMe3など、
(vi)Ra nAl〔N(Rg)−AlRh 23-n で表される化合物、例えば
Et2AlN(Me)−AlEt2(iso-Bu)2、AlN(Et)Al(iso-Bu)2 など。
【0056】
またこれに類似した化合物、例えば酸素原子、窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
具体的には、(C25)2AlOAl(C25)2、(C49)2AlOAl(C49)2、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2 など。
さらにメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類を挙げることができる。
【0057】
また、下記一般式で表されるの有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
aAlXY
(式中、Ra、X、Yは上記と同様である)
有機ホウ素化合物としては、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、テキシルボラン、ジシクロヘキシルボラン、ジシアミルボラン、ジイソピノカンフェニルボラン、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、ジメチルボラン、ジクロロボラン、カテコールボラン、B-ブロモ-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、ボラン-トリエチルアミン錯体、ボラン-メチルスルフィド錯体などが挙げられる。
【0058】
また、有機ホウ素化合物としてイオン性ホウ素化合物を使用してもよい。このような化合物としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[トリ(n-ブチル)アンモンニウム]ノナボレート、ビス[トリ(n-ブチル)アンモンニウム]デカボレートなどを挙げることができる。
【0059】
周期表第1族元素とアルミニウムとの錯アルキル化物としては、下記一般式で表される化合物が例示できる。
1AlRj 4
(式中、M1は、Li、NaまたはKを示し、Rjは、炭素原子数1〜15の炭化水素基を示す。)
具体的には、LiAl(C25)4、LiAl(C715)4 などが挙げられる。
【0060】
有機ホウ素化合物および周期表第1族元素とホウ素との錯アルキル化物としては、前述の有機アルミニウム化合物および周期表第1族元素とアルミニウムとの錯アルキル化物のアルミニウムをホウ素で置換した構造の化合物を挙げることができる。
上記有機金属触媒成分は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0061】
有機金属触媒成分は、水素−13族元素結合を有する化合物と、トリアルキルアルミニウムまたはアルミノキサン類またはイオン性ホウ素化合物とを組合わせて用いることが好ましく、該水素−13族元素結合を有する化合物は、水素−ホウ素結合を有する化合物であることが好ましい。これらの化合物は混合した後に重合に用いるか、トリアルキルアルミニウムまたはアルミノキサン類またはイオン性ホウ素化合物のみを用いて重合を開始した後に、水素−13族元素結合を有する化合物を重合系に添加することが好ましい。
【0062】
水素−13族元素結合を有する化合物としては、例えば有機アルミニウム化合物のうちジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライドなどが挙げられ;有機ホウ素化合物のうち9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、ジメチルボラン、ジクロロボラン、カテコールボランなどが挙げられる。
【0063】
上記のようなオレフィン重合用触媒は、予備重合をしてもよい。予備重合を行う方法に特に制限はないが、例えば不活性溶媒の共存下で行うことができ、不活性溶媒にオレフィンおよび各触媒成分を加え、比較的温和な条件下で予備重合を行うことが好ましい。この際、生成した予備重合体が重合媒体に溶解する条件下に行ってもよいし、溶解しない条件下に行ってもよいが、好ましくは溶解しない条件下に行う。
【0064】
予備重合に用いられるオレフィンとしては、炭素原子数2以上のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。また予備重合で用いられるα-オレフィンは、後述するオレフィン重合で用いられるα-オレフィンと同一であっても、異なっていてもよいが、オレフィン重合に用いるオレフィンと同一のものが好ましい。
【0065】
また上記不活性溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらは組み合わせて用いてもよい。
【0066】
これらの不活性溶媒のうちでは、特に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。予備重合は、α-オレフィンが液状となる状態で行うこともできるし、気相条件下で行うことも可能である。また予備重合は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれにおいても行うことができる。さらに予備重合では、本重合における系内の触媒濃度よりも高い濃度の触媒を用いることが好ましい。
【0067】
上記オレフィン系ブロック共重合体のPO部となるポリオレフィンは、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、上述したような炭素原子数2〜20のオレフィンを単独重合または共重合(以下、単に「オレフィン重合」ということがある。)させて得られる。
オレフィン重合は、溶液重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施することができる。懸濁重合の反応溶媒としては、前述の不活性溶媒を用いることもできるし、反応温度において液状のオレフィンを用いることもできる。反応温度は、通常−50℃〜200℃、好ましくは0℃〜150℃の範囲である。重合圧力は、通常0.1〜100atm、好ましくは1〜50atmである。オレフィン重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれにおいても行うことができ、2段以上に分けて行う場合は、反応条件は同じであっても異なっていてもよい。
【0068】
オレフィン重合では、重量平均分子量が通常2,000未満のポリオレフィンを製造する。この際、一般的な分子量調節剤である分子状水素を重合系に存在させないことが好ましく、分子量の調節は、上記有機金属触媒成分の濃度、重合温度、オレフィンの濃度(重合圧力)のいずれか1種以上を制御することによって行うことが好ましい。分子量を調製する方法として具体的には、例えば分子状水素が実質的に存在しない懸濁重合において、上記有機金属触媒成分の濃度を増大させると、得られるポリオレフィンの分子量を低下させることができ、また分子状水素が実質的に存在しない懸濁重合において、重合温度を高めると、得られるポリオレフィンの分子量を低下させることができる。
【0069】
上記のようにして得られたポリオレフィンの片末端は、13族元素が結合した末端または不飽和結合末端である。ポリオレフィンの片末端に13族元素が結合した末端であるか、不飽和結合末端であるかは、用いられる有機金属触媒成分の種類および/または量、重合温度などの重合条件による。
ポリオレフィンの片末端が不飽和結合末端である場合には、13族元素含む化合物を反応させて13族元素が結合した末端に変換する。なお、得られたポリオレフィンが、片末端に13族元素が結合したものと、片末端が不飽和結合末端であるものとの混合物である場合にも、必要に応じて、片末端が不飽和結合末端であるポリオレフィンの末端を13族元素が結合した末端に変換してもよい。
【0070】
反応に用いられる13族元素含む化合物は、前述の有機化合物触媒成分として例示した化合物の中から選ばれ、有機アルミニウム化合物または有機ホウ素化合物として例示した化合物が好ましく用いられる。中でも、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハイドライドまたは1つ以上の水素−ホウ素結合を有するホウ素化合物であることがより好ましく、1つ以上の水素−ホウ素結合を有するホウ素化合物であることが特に好ましい。最も好ましい化合物としては、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナンが挙げられ、該9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナンはモノマーであってもダイマーであってもよい。
【0071】
片末端が不飽和結合末端であるポリオレフィンと、13族元素含む化合物との反応は、例えば以下のようにして行われる。
▲1▼末端がビニリデン基であるポリプロピレン0.1〜50gと、ジイソブチルアルミニウムハイドライドの0.01〜5モル/リットル−オクタン溶液を5〜1000ミリリットルとを混合し、0.5〜6時間還流させる。
▲2▼末端がビニリデン基であるポリプロピレン0.1〜50gと、5〜1000ミリリットルの無水テトラヒドロフランと、0.1〜50ミリリットルの9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの0.05〜10モル/リットル−テトラヒドロフラン溶液とを混合し、20〜65℃で0.5〜24時間撹拌する。
【0072】
以上のようにしてオレフィン系ブロック共重合体(1)のPO部となるポリオレフィンを製造する。得られたポリオレフィンの片末端には13族元素が結合している。該13族元素はホウ素であることが好ましい。
次に、上記片末端に13族元素が結合したポリオレフィンの存在下に、ラジカル重合反応、開環重合反応、イオン重合反応などの連鎖重合活性種を形成させてこれらの反応を行いオレフィン系ブロック共重合体(1)を製造する。この反応により、末端に結合した13族元素とポリオレフィンセグメントとの間にf部が形成され、またラジカル重合反応、開環重合反応、イオン重合反応などの連鎖重合反応により製造される重合体が、官能性セグメント(以下「R部」ということがある。)となる。なおf部には、ラジカル重合反応、開環重合反応、イオン重合反応などの連鎖重合反応で形成された構造の一部が含まれる場合がある。
【0073】
この重合反応は、例えば以下のようにして行われる。
(1)ポリオレフィンの片末端に結合された13族元素がホウ素である場合、ラジカル重合性モノマーの存在下に炭素−ホウ素結合部を分子状酸素で酸化することによってラジカルを発生させラジカル重合反応を行う。
具体的には、片末端にホウ素が結合したポリオレフィンをラジカル重合性モノマーの存在下に分子状酸素で酸化する。これによって末端のホウ素がパーオキシボラン(-O-O-B)に変換される。該パーオキシボランは、ラジカル重合性モノマーの存在下に撹拌されることでO-O結合が開裂してラジカルを発生し、生成されたアルコキシラジカル(-O*)が開始剤となってラジカル重合性モノマーのラジカル重合が進行する。
【0074】
ラジカル重合性モノマーとしては、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、ブチルメタクリレート、ビニルアクリレート(VA)、ブチルアクリレート(BA)、スチレン、アクリロニトリル、ビニルアセテートなどが挙げられる。これらのラジカル重合性モノマーは、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0075】
ラジカル重合の停止は、メタノール中でポリマーを沈殿させることによって行うことができる。以上のようにしてf部がエーテル結合またはエステル結合であり、R部がラジカル重合体であるオレフィン系ブロック共重合体を製造することができる。
(2)ポリオレフィンの片末端に結合された13族元素がアルミニウムである場合、炭素−アルミニウム結合部を分子状酸素で酸化することにより活性種を発生させ開環重合反応を行う。
【0076】
具体的には、炭素−アルミニウム結合部を分子状酸素で酸化し、これによってPO部末端のアルミニウムをアルミニウムオキサイド(-O-Al)に変換する。これによって得られたアルミニウムオキサイドを活性種として開環重合性モノマーを開環重合させる。
開環重合反応は、通常0〜100℃の温度で30分間〜12時間、好ましくは1時間〜6時間行われる。開環重合反応の停止は、メタノール中でポリマーを沈殿させることによって行うことができる。以上のようにしてf部がエーテル結合またはエステル結合であり、R部が開環重合体であるオレフィン系ブロック共重合体を製造することができる。
(3)ポリオレフィンの片末端に結合された13族元素を、水酸基、アミノ基、アルデヒド基またはハロゲンに変換した後に、開環重合活性種を生成させて開環重合反応を行う。
【0077】
開環重合活性種の生成は、例えば片末端にホウ素が結合されたポリオレフィンに、水酸化ナトリウム溶液と過酸化水素溶液とを加えて40℃〜50℃で3〜5時間反応させてホウ素を水酸基に変換し、これにブチルリチウムを反応させた後にジエチルアルミニウムクロライドを反応させて、水酸基をアルミニウムオキサイドに変換することによって行うことができる。
【0078】
このような方法で得られたアルミニウムオキサイドを活性種として上記開環重合性モノマーを開環重合させる。開環重合反応は、上記(2)の方法と同様にして行われる。また、アルミニウムオキサイドの代わりに他の金属アルコキサイドや金属ハロゲン化物や金属アミンをポリオレフィンの片末端に結合させて開環重合反応の活性種としてもよい。アルミニウムオキサイド以外の活性種は、ポリオレフィンの片末端に結合させた水酸基、アミノ基、アルデヒド基またはハロゲンを利用して生成させる。これらのなかでは、アルミニウムオキサイドを活性種として用いることが好ましい。以上のようにしてf部がエーテル結合、エステル結合またはアミド結合であり、R部が開環重合体であるオレフィン系ブロック共重合体を製造することができる。
【0079】
また、イオン重合反応の例として、例えばアニオン重合反応をする場合、上記末端に水酸基を有するポリオレフィンを、例えば末端にリチウム、カリウム、ナトリウム、リン含有基などを有するポリオレフィンに変換した後、アニオン重合可能なモノマーを重合することで得ることができる。以下に例として、末端にリチウムを有するポリオレフィンを用いて、R部がアニオン重合体であるセグメントの例として、(メタ)アクリル酸エステルを有するブロック共重合体を製造する方法を記載する。
【0080】
末端にリチウムを有するポリオレフィンの調製
末端にリチウムを有するポリオレフィンは、上記末端に水酸基を有するポリオレフィンと有機リチウム化合物とを反応させることにより得られる。末端に水酸基を有するポリオレフィンと有機リチウム化合物との反応は、通常溶媒中で行われる。
【0081】
有機リチウム化合物としては、ブチルリチウム、プロピルリチウム、エチルリチウム、メチルリチウムなどのアルキルリチウム;ブトキシリチウム、プロポキシリチウム、エトキシリチウム、メトキシリチウムなどのアルコキシリチウムなどが挙げられる。本発明においては、アルキルリチウムがより好ましく用いられる。
【0082】
反応に用いる溶媒としては、不活性炭化水素媒体として例示した炭化水素と同様のものが挙げられる。
末端に水酸基を有するポリオレフィンと有機リチウム化合物とを反応させるに際し、有機リチウム化合物は、ポリオレフィン末端の水酸基1モルに対し、0.1〜100モル、好ましくは0.2〜10モルの範囲で用いられる。反応温度は、通常−100〜100℃、好ましくは0〜80℃であり、反応時間は通常0.1〜48時間、好ましくは0.5〜12時間である。
【0083】
このようにして下記一般式(III)で表される末端にリチウムを有するポリオレフィンを製造する。
PO−O−Li …(III)
式中、POは重量平均分子量が1,000〜10,000,000、好ましくは3,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000であるポリオレフィンセグメントを示す。またこの末端Liポリオレフィンは、Mw/Mnが2以上、好ましくは3〜15、より好ましくは4〜14の範囲にあることが望ましい。
【0084】
ブロック共重合体の製造
次に、上記末端Liポリオレフィンの存在下に例えば(メタ)アクリル酸エステルをアニオン重合させて、ポリオレフィンセグメントと(メタ)アクリル酸エステルセグメントとからなるポリオレフィン系ブロック共重合体を得る。
重合は溶媒と末端Liポリオレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとを混合するか、または末端Liポリオレフィンと液状の(メタ)アクリル酸エステルとを混合することにより行われる。末端Liポリオレフィンと溶媒と(メタ)アクリル酸エステルとを混合することによってアニオン重合活性種を形成させることができる。
【0085】
溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、モノグリム、ジグリムなどのエーテル系溶媒などが用いられる。これらの溶媒は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、芳香族炭化水素とエーテル系溶媒が好ましく用いられる。
【0086】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸2-メトキシエチル、メタクリル酸2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。(メタ)アクリル酸エステルの組合せとしては、アクリル酸エステルから選ばれる2種以上、メタクリル酸エステルから選ばれる2種以上、アクリル酸エステルから選ばれる1種以上とメタクリル酸エステルから選ばれる1種以上との組合せが挙げられる。
【0087】
また、重合に際してトリフェニルホスフィン、α,α'-ジピリジル、ヘキサメチルホスホロアミド(HMPA)、四塩化チタン、アルキルリチウム、アルコキシリチウムなどのアニオン重合活性種の形成に有用な化合物を添加してもよい。重合は、通常−100℃〜100℃、好ましくは−80℃〜80℃、より好ましくは−70℃〜70℃の重合温度で、1分間〜500時間、好ましくは10分間〜300時間、より好ましくは15分間〜150時間かけて実施される。この重合においては、末端Liポリオレフィンは、0.001〜100モル/リットル、好ましくは0.005〜50モル/リットル、より好ましくは0.01〜10モル/リットル、さらに好ましくは0.1〜5モル/リットルの濃度で使用される。また(メタ)アクリル酸エステルは、通常0.001〜500モル/リットル、好ましくは0.005〜300モル/リットル、より好ましくは0.01〜150モル/リットルの濃度で使用される。
【0088】
上記のような重合により立体規則性を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルセグメントを製造することが好ましい。すなわちトリアドシンジオタクティシティー(rr)が70%以上またはトリアドアイソタクティシティー(mm)が70%以上である立体規則性ポリ(置換アクリル酸エステル)が好ましい。
なおrrおよびmmは、サンプルをnitrobenzene-d5に溶解して、1H-NMRを測定し、それぞれ0.85、1.05、1.25ppm付近に検出されるrr、mr、mmのピーク面積の総和に対するrrのピーク面積またはmmのピーク面積の比率により求める。
【0089】
以上のようにして、ポリオレフィンセグメント(PO)とポリ(メタ)アクリル酸エステルセグメントとが化学的に結合したブロック共重合体を含むポリマーを製造できるが、このポリマーが上記ポリオレフィンセグメントとポリ(メタ)アクリル酸エステルセグメントとが化学的に結合したポリマーを含んでいるかどうかは、例えば得られたポリマーの分子量、有機溶媒への溶解度、または、分光学的解析によって判断することができる。すなわち、本発明の方法で得られるポリマーの分子量が上記末端LiポリオレフィンのPOの分子量に対して高い値を示すこと、本発明の方法で得られるオレフィン系ブロック共重合体ポリマーのポリオレフィンセグメントに相当するポリマーと該ポリマーのアニオン重合によって製造されるポリマーのセグメントに相当するポリマーとの混合物が示す有機溶媒への溶解挙動が、本発明の方法で得られるオレフィン系ブロック共重合体の有機溶媒への溶解挙動とは異なっていること、または、本発明の方法で得られるオレフィン系ブロック共重合体の末端構造を13C-NMRで解析してポリオレフィンセグメントとアニオン重合によって製造されるポリマーのポリ(メタ)アクリル酸エステルセグメントとの化学的結合に由来するピークを検出することによって目的とするブロック共重合体が製造できたものと判断することができる。
【0090】
上記のようなラジカル重合反応、開環重合反応、イオン重合反応などの連鎖重合反応では、重量平均分子量が通常500以上の重合体を製造する。
上述のようなラジカル重合反応または開環重合反応では、末端に酸素−13族元素結合を含む基が結合したオレフィン系ブロック共重合体(1)が得られる。このオレフィン系ブロック共重合体(1)は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス中で取り扱う限りは、酸素−13族元素結合を含む基を末端に有するポリマー構造を維持できる。
【0091】
次いで、上述した下記一般式(II)で示されるオレフィン系ブロック共重合体(2)の製造方法について説明する。
PO-f-R-(X)n-h …(II)
上記一般式(II)で表されnが0であるオレフィン系ブロック共重合体(2)は、例えば前述の酸素−13族元素結合を含む基を末端に有するオレフィン系ブロック共重合体(1)の酸素−13族元素結合を含む基を、酸素、窒素、ケイ素およびハロゲンから選ばれる少なくとも1種の元素を必須成分とする基に置換することにより製造することができる。
【0092】
まず、上記一般式(II)で表されnが0でありhが水酸基であるオレフィン系ブロック共重合体(2)の製造方法の一例を示す。
上記一般式(II)で表されnが0でありhが水酸基であるオレフィン系ブロック共重合体(2)は、前述の酸素−13族元素を含む基を末端に有するオレフィン系ブロック共重合体を加水分解または加アルコール分解して製造される。加水分解または加アルコール分解は、少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、前述の13族元素を末端に有するポリマーを投入し、5分間以上撹拌することが好ましい。
【0093】
上記のように得られる上記一般式(II)で表されnが0でありhが水酸基であるオレフィン系ブロック共重合体(2)の水酸基に、該水酸基と反応し得る官能基含有化合物を反応させて、他の基に変換することによって、上記一般式(II)で表されnが0であり、hがアミノ基、ハロゲン、イソシアネート基、アルデヒド基、カルボン酸基、酸無水基、シラノール基、スルフォン酸基またはエポキシ基であるオレフィン系ブロック共重合体(2)を製造することができる。
【0094】
水酸基を変換することによって得られる官能基にさらに該官能基と反応し得る官能基含有化合物を反応させて、他の基に変換してもよい。具体的には、水酸基をハロゲンに変換した後、ハロゲンをアミノ基に変換する例や、水酸基をハロゲンに変換した後にアミノ基に変換して得たポリマーのhをさらにイソシアネート基に変換する例を好ましい例として挙げられる。
【0095】
これらの変換反応は、オレフィン系ブロック共重合体(2)が溶融した状態または、少なくとも一部のオレフィン系ブロック共重合体(2)が有機溶媒に溶解した状態で行うことが好ましく、オレフィン系ブロック共重合体(2)が完全に有機溶媒に溶解した状態で行うことがより好ましい。
有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどのヘテロ原子含有炭化水素などが使用される。
【0096】
以下に、上記一般式(II)で表され、nが0であり、hがアミノ基、ハロゲン、アルデヒド基、カルボン酸基またはイソシアネート基であるオレフィン系ブロック共重合体(2)の製造方法の一例を示す。
(hがハロゲンの場合)
上記のhが水酸基であるオレフィン系ブロック共重合体(2)に、水酸基の1〜10倍モルのチオニルクロライドを加えて、0〜100℃で、5分間〜24時間反応させる。なお、チオニルクロライドの代わりにチオニルブロマイドを用いることもできる。
【0097】
(hがアルデヒド基の場合)
上記のhが水酸基であるオレフィン系ブロック共重合体(2)に、水酸基の1〜5倍モルの塩化クロム酸ピリジニウムを加えて、−20〜100℃で、0.5〜24時間反応させる。
(hがカルボン酸基の場合)
上記のhが水酸基であるオレフィン系ブロック共重合体(2)に、水酸基の1〜10倍モルの過マンガン酸カリウムを加え、0〜200℃で、0.5〜24時間反応させる。
【0098】
(hがアミノ基の場合)
上記のようにして得られる、hがハロゲンであるオレフィン系ブロック共重合体(2)に、ハロゲンの1〜10倍モルのソディウムアジドを加え、50〜150℃で0.5〜24時間反応させる。得られるポリマーに、ハロゲン(上記オレフィン系ブロック共重合体(2)中のハロゲン)の1〜10倍モルのトリフェニルフォスフィンを加え、0〜100℃で、0.5〜24時間反応させる。
【0099】
(hがイソシアネート基の場合)
上記のようにして得られるhがアミノ基であるオレフィン系ブロック共重合体(2)に、アミノ基の2〜20倍モルの塩酸を加え、30℃未満の温度、好ましくは−20〜20℃で0.5〜12時間反応させた後、アセトンを加えて沈殿させる。得られる沈殿を懸濁状態で150〜250℃に加熱しながら、ホスゲンを流通させて、8〜48時間反応させる。
【0100】
以上のようにして上記一般式(II)で示されnが0であるオレフィン系ブロック共重合体(2)を製造することができる。
上記一般式(II)で示されnが1であるオレフィン系ブロック共重合体(2)は、前述の上記一般式(II)で示されnが0であるオレフィン系ブロック共重合体(2)と、分子内にhと反応し得る官能基を2つ以上有する化合物とを反応させることによって製造することができる。分子内にhと反応し得る官能基を2つ以上有する化合物の官能基は、全て同一でも異なる官能基を組み合せたものでもどちらでもよく、これらの官能基は独立した基として存在していても酸無水物のように縮合して存在していてもよい。
【0101】
以下に上記一般式(II)で示されnが1であるオレフィン系ブロック共重合体(2)の製造方法の一例を示す。
(hがアミノ基の場合)
nが0であり、hが水酸基である上記オレフィン系ブロック共重合体(2)に、水酸基の1〜50倍モルのエタノールアミンと触媒量の硫酸を加え、40〜200℃で1〜24時間反応させる。
【0102】
(hがハロゲンの場合)
nが0でhが水酸基である上記オレフィン系ブロック共重合体(2)に、水酸基の1〜100倍モルの1,3-ジブロモプロパンを加え、ピリジンなどの塩基性有機溶媒の存在下に−20〜100℃で、5〜24時間反応させる。
(hがイソシアネート基の場合)
nが1であり、hがアミノ基である上記オレフィン系ブロック共重合体に、アミノ基の2〜20倍モルの塩酸を加え、30℃未満の温度、好ましくは−20〜20℃で0.5〜12時間反応させた後、アセトンを加えて沈殿させる。得られる沈殿を懸濁状態で150〜250℃に加熱しながら、ホスゲンを流通させて、8〜48時間反応させる。
【0103】
(hがアルデヒド基の場合)
nが0であり、hが水酸基である上記オレフィン系ブロック共重合体に、水酸基の1〜5倍モルの塩化クロム酸ピリジニウムを加えて、−20〜100℃で、0.5〜24時間反応させる。
(hが水酸基の場合)
nが0であり、hが水酸基である上記オレフィン系ブロック共重合体(2)に、水酸基の1〜10倍モルのエチレングリコールと触媒量の硫酸を加え、40〜150℃で1〜10時間反応させる。
【0104】
(hがカルボキシル基の場合)
nが0であり、hが水酸基である上記オレフィン系ブロック共重合体(2)に、水酸基の1〜10倍モルの無水マレイン酸を加え、20〜150℃で、0.5〜10時間反応させる。
(hが酸無水基の場合)
nが0であり、hが水酸基である上記オレフィン系ブロック共重合体(2)に、水酸基の1〜10倍モルのmeso-butane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydrideを加え、20〜150℃で、0.5〜10時間反応させる。
【0105】
(hがシラノール基の場合)
nが0であり、hが水酸基である上記オレフィン系ブロック共重合体(2)に、水酸基の1〜10倍モルのジ-t-ブチルシリルジクロライドと触媒量のAgNO3を加え、10〜40℃で、10〜24時間反応させる。
(hがスルフォン酸基の場合)
nが0であり、hが水酸基である上記オレフィン系ブロック共重合体に、水酸基の1〜10倍モルの硫酸を加え、40〜200℃で、1〜12時間反応させる。
【0106】
以上のようにして上記一般式(II)で示されnが1であるオレフィン系ブロック共重合体(2)を製造することができる。
本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体は、官能性セグメント中の官能基の一部や、一般式(II)で表されるオレフィン系ブロック共重合体(2)の末端の -(X)n-h に対して、低分子量化合物を結合させたり、またはオレフィン系ブロック共重合体を合成中に低分子量化合物を結合させたりすることも可能である。例えば、4-ヒドロキシ-2,2',6,6'-テトラメチル-1-ピペリジンをメタクリル酸セグメントとエステル化反応させて、分子内にヒンダードアミン構造を持たせたオレフィンブロック共重合体にすることも可能である。さらには、ヒンダードフェノール構造やホスファイト構造、チオエーテル構造などの構造を含有させて耐熱・耐候安定剤としての機能を付与することができる。
【0107】
本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体は、分子量が小さいと合成樹脂中を容易に移動しやすく、ポリオレフィンと極性ポリマーのアロイにおける界面の安定化効果に優れ、ポリオレフィンと極性ポリマーのポリマーアロイ用相溶化剤として用いることができる。
オレフィン系ブロック共重合体は、ポリオレフィンセグメントのガラス転移温度が低い場合には、極性ポリマーにブレンドしたときに、ポリオレフィンセグメントの分子量が小さいため、形成するドメインが微細になり、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニルなどの透明な極性高分子の透明性を阻害しない衝撃改良材に用いることができる。
【0108】
また、ポリオレフィンセグメントと、親水性基、樹脂安定化性基などの官能性セグメントとを有するオレフィン系ブロック共重合体は、ポリオレフィンとのなじみ性が良好な機能性添加剤として用いることができる。例えば、長期防曇剤、長期帯電防止剤、長期耐熱安定剤、長期耐候安定剤などの樹脂用添加剤用途に用いることができる。
【0109】
さらにオレフィン系ブロック共重合体は、低分子ポリオレフィン特有のシャープな融点と極性とを持ち合わせているので、様々な種類の被着体への印刷用のトナーバインダー用途に用いることができる。
本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体は、上記以外にも従来高級脂肪酸エステルなどが用いられている界面活性剤用途、低分子量ポリオレフィンや変性低分子量ポリオレフィンが用いられているワックス用途などにも好適に用いることができる。
【0110】
【発明の効果】
本発明に係るオレフィン系ブロック共重合体は、ポリオレフィンセグメントと官能性セグメントとからなり、ポリオレフィンセグメントの分子量が2000未満であるため、ポリオレフィンおよび極性ポリマーのどちらも親和性が優れている。
【0111】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0112】
【製造例1】
[オレフィン重合]
十分に窒素置換した内容積1リットルのガラス製反応器に精製トルエン500mlを装入し、エチレンを毎時70リットル、プロピレンを毎時215リットルの割合で流通させ、毎分600回転で撹拌しながら40℃で10分間保持した。次いで、メチルアルミノキサンをAl原子換算で2.5mmol、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロライドをZr原子換算で0.08mmol装入した。40℃、常圧で1時間重合を行った後、少量のメタノールを添加して重合を停止した。重合終了後、希塩酸のメタノール溶液500ミリリットル中に反応液を投入して撹拌し、エバポレーターで溶媒を除去した。メタノールで洗浄を2回行った後、得られたポリマーを130℃で一晩減圧下に乾燥した。得られたエチレン・プロピレン共重合体(EPR)は24.5gであり、触媒活性は310g/mmol-Zr・hであった。IR分析から求めたエチレン含量は68%であり、ポリマー末端には不飽和結合が存在していた。Mwは1,500であった。
【0113】
[ヒドロホウ素化]
アルゴンを満たしたドライボックス中、100mlの脱気乾燥テトラヒドロフラン(THF)で懸濁させた前記の末端に不飽和結合を有するEPR 2gを、磁気撹拌子を備えたガラスフラスコに入れ、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)のTHF溶液(0.5M)24mlを加えた。このスラリーをドライボックス中、55℃で5時間撹拌した後に濾過し、脱気乾燥IPAで洗浄・減圧乾燥することで、末端にホウ素を有するエチレン・プロピレン共重合体(EPR-B)を得た。
【0114】
[MMA重合]
密閉したフラスコに前記EPR-B 0.23gを入れ、乾燥メタクリル酸メチル(MMA)11.5g、THF80mlを加えて懸濁させたあと、1.6mlの乾燥酸素を吹き込んで反応を開始した。続いて室温で8時間撹拌した後、100mlのメタノールを加えて反応を停止させた。析出したポリマーはソックスレー抽出器により窒素雰囲気下、24時間かけてアセトンで抽出分取し、不溶成分としてEPR−O−ポリメタクリル酸メチルジブロック共重合体(EPR−O−PMMA)を得た。
【0115】
下記式により算出したポリメタクリル酸メチル(PMMA)部の重量平均分子量(Mw2)は20,000であった。
Mw2=Mw1・(W2−W1)/W1
上記式において
Mw1:EPRのMw
Mw2:MMA重合部のMw
1:MMA重合に使用したEPR−Bの重量
2:ジブロック共重合体の収量
をそれぞれ示す。
【0116】
【製造例2】
[触媒溶液の調製]
窒素置換を十分行ったガラス容器に、ビス(ペンタメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウムをジルコニウム原子が0.23mmolとなるように秤量し、これにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのトルエン溶液をホウ素原子が0.92mmolとなるように加えた。これに適当量のトルエンを添加して全量を50mlとし、ジルコニウム濃度が0.0046mmol/mlである触媒溶液を調製した。
【0117】
[オレフィン重合]
十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に精製トルエン225mlを装入し、エチレンを毎時200リットルの割合で流通させ、毎分600回転で撹拌しながら45℃で10分間保持した。次いで、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で7.5mmolを装入した。さらに、9-BBNを6.5mmol、次いで上記の予備活性化処理を施した触媒溶液をジルコニウム原子換算で0.075mmol装入した。50℃、常圧で5分間重合を行った後、少量の無水メタノールを添加して重合を停止した。重合終了後、エバポレーターで溶媒を除去した後にTHFで洗浄した。得られたポリマーを50℃で一晩減圧下で乾燥した。得られたポリエチレン(PE)は0.61gであり、触媒活性は98g/mmol-Zr・hであった。
【0118】
[分子量とポリマー末端の確認]
得られたPEのうち0.5gを25mlの無水THF中に加えた。これに室温、窒素雰囲気下で15mlの水に溶解させた3gのNaOHと3.75mlのメタノールとを加えた。次いで12mlの30%H22を0℃で滴下した。これを40℃で6時間反応させた後、メタノール溶液2リットル中に反応液を投入してポリマーを析出させた。得られたポリマーを50mlのメタノールで2時間還流させた後、50℃で8時間減圧下で乾燥した。GPC分析から求めたMwは1,800であった。また、IR分析から、ポリマー末端が水酸基で修飾され、不飽和結合が無いことを確認したので、前記の[オレフィン重合]で得られたポリマー末端はホウ素で修飾されていると判断できた。
【0119】
[エチレンオキシド(EO)重合]
前記の末端ホウ素含有ポリマー(PE−B)18gとEP0791600の32頁に記載された方法と同様にして合成したテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド{[(Me2N)3P=N]4+OH-}62mgとを、温度測定管、圧力計、撹拌装置およびエチレンオキシド導入管を装備した実容積1500mlのオートクレーブに仕込んだ。その後反応容器内を乾燥窒素で置換し、内容物を125℃まで昇温して、反応時圧力が0.5MPa(絶対圧)前後を保つようにエチレンオキシド9.1gを間欠的に供給しながら同温度で12時間反応させた。その後、残留する未反応のエチレンオキシドを減圧下で留去して、ポリエチレン−O−ポリエチレングリコールブロック重合体(PE−O−PEG)を23gを得た。
【0120】
下記式により算出したポリエチレングリコール(PEG)部の重量平均分子量(Mw2)は500であった。
Mw2=Mw1・(W2−W1)/W1
上記式において
Mw1:PE部のMw
Mw2:PEG部のMw
1:EO重合に使用したPE−Bの重量
2:ジブロック共重合体の収量
をそれぞれ示す。
【0121】
【実施例1】
市販のポリメタクリル酸メチル樹脂(商品名:アクリペットMD、三菱レイヨン(株)製)94.1重量部とエチレン・プロピレン共重合体(エチレン含有量:80モル%、190℃で測定したメルトフローインデックス:7.5g/10分)4.9重量部、および製造例1で得られたジブロック共重合体(EPR−O−PMMA)1重量部に、イルガノックス1076(商品名:チバスペシャリティケミカルズ製)0.1重量部およびステアリン酸カルシウム 0.05重量部を加え、20mmφ二軸押出機にてシリンダ温度190℃、窒素雰囲気の条件下で樹脂を溶融混合し、ペレットを製造し、各種物性を評価した。また、得られたペレットを、シリンダ温度190℃、金型温度30℃、射出圧1000kg/cm2の条件で射出成形を行い、各種物性評価用試験片を成形し、得られた試験片について各物性を下記のように測定した。結果を表1に示す。
【0122】
曲げ弾性率(FM)
射出成形により得られた長さ5インチ、幅1/2インチ、厚み1/8インチの試験片を用い、ASTM D638に準拠して23℃で測定した。
アイゾット衝撃強度(IZ)
射出成形により得られた厚さ1/4インチの試験片(後ノッチ)を用いて、ASTM D258に準拠して23℃で測定した。
【0123】
透明性(HAZE)
射出成形により得られた厚さ1mmのカラープレートを用いて、JIS K6714に準拠してヘイズ測定(単位%)を行った。
【0124】
【比較例1】
実施例1において、ポリメタクリル酸メチル樹脂の配合量を95重量部と、エチレン・プロピレン共重合体の配合量を5.0重量部とし、およびジブロック共重合体を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてペレットを製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0125】
【表1】
Figure 0004684453
【0126】
【実施例2】
直鎖状低密度ポリエチレン(190℃で測定したメルトフローインデックス:4g/10分、密度0.920g/cm3、1-ヘキセン共重合体)97.5重量部に製造例2で製造したジブロック共重合体(PE−O−PEG)を2.5重量部加え、充分に乾燥させた後、さらにイルガノックス1076 0.1重量部、イルガフォス168(商品名:チバスペシャリティケミカルズ製)0.1重量部とステアリン酸カルシウム 0.1重量部を加え、20mmφ二軸押出機にてシリンダ温度180℃、窒素雰囲気下で、樹脂を溶融混合し、ペレットを製造した。
【0127】
得られたペレットについて、20mmφ単軸押出機にて、25mmφのダイ・リップ幅0.7mm、一重スリットエアリングを用い、エア流量90リットル/分、押出量9g/分、ブロー比1.8、引取速度2.4m/分、加工温度200℃条件下で、厚み30μmのフィルムをインフレーション成形で得、下記のように防曇性、透明性の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
【0128】
防曇性および防曇持続性、透明性
フィルムを70℃の温水が50ml入った200mlビーカーの上面に張り、5℃の冷蔵庫に1時間入れ、下記基準で防曇性を評価した。またフィルムを50℃の循環した温水に100時間浸漬した後一度乾燥させ、さらに70℃の温水が50ml入った200mlビーカーの上面に張り、5℃の冷蔵庫に1時間入れ、下記基準で防曇持続性を評価した。
【0129】
○:フィルムが曇っておらず、ビーカーの中がはっきり見える
×:フィルムが曇っており、ビーカーの中がはっきり見えない
さらに、防曇持続性試験前後、フィルムを乾燥した条件下において、透明性(ヘイズ)の評価を、日本電色工業社製ヘイズ測定装置により実施した。
【0130】
【比較例2】
直鎖状低密度ポリエチレン97.5重量部に市販の防曇剤(ステアリン酸グリセリンエステル モノ・ジ・トリ混合体)2.5重量部を加え、さらにイルガノックス1076 0.1重量部、イルガフォス168 0.1重量部とステアリン酸カルシウム 0.1重量部を加えた他は、実施例2と同様に、ペレット化、フィルムを成形し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0131】
【表2】
Figure 0004684453

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表されることを特徴とするオレフィン系ブロック共重合体;
    PO-f-R …(I)
    (式中、POは炭素原子数2〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単位からなり、重量平均分子量が500〜1800であるポリオレフィンセグメントを示し、
    fはエーテル結合示し、
    Rは不飽和カルボン酸エステルと環状エーテルとからなる群より選ばれるモノマーの連鎖重合反応で得られる官能性セグメントを示す。)。
  2. 上記POが炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを配位アニオン重合で重合または共重合することにより得られたものである請求項1に記載のオレフィン系ブロック共重合体。
  3. 上記POが、炭素原子数2〜20の直鎖状または分岐状α-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンを重合または共重合して得られたものである請求項1または2に記載のオレフィン系ブロック共重合体。
  4. 前記POは、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である請求項1ないし3のいずれかに記載のオレフィン系ブロック共重合体。
  5. 前記Rが、少なくとも1種の環状エーテルを開環重合反応させることにより得られたものである請求項1ないし4のいずれかに記載のオレフィン系ブロック共重合体。
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